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特許異議申立

2026-700256

液体二酸化炭素貯蔵システム

審判番号
2026-700256
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2024-231555
登録番号
7746522
請求日
2026年03月26日
審決日
2026年07月23日
公報発行日
2026年09月25日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】日本酸素株式会社
  • 【権利者代理人】木戸 良彦
  • 【異議申立人】矢菅 由布子
審判長/審判官
  • 審判長 中木 努
  • 審判官 浜岸 広明
  • 審判官 角田 慎治
分類
P1651.121-Y (F17C) / P1651.537-Y (F17C)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第1号
データ出所
審決公報(XML)

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特許第7746522号発明「液体二酸化炭素貯蔵システム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7746522号の請求項 に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7746522号の請求項1から5に係る特許についての出願は、令和6年12月27日に出願され、令和7年9月19日にその特許権の設定登録がなされ、同年9月30日に特許掲載公報が発行された。その後、請求項1から5に係る特許に対して、令和8年3月26日に特許異議申立人 矢菅 由布子により特許異議の申立てがなされたものである。 第2 本件発明 特許第7746522号の請求項1から5に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」から「本件発明5」という。)は、それぞれ特許請求の範囲の請求項1から5に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。 「【請求項1】 液体二酸化炭素を貯液可能な複数の貯槽と、 前記貯槽から液体二酸化炭素を導出する配管と、 前記配管から液体二酸化炭素の導出を遮断する遮断手段と、 前記配管から導出された液体二酸化炭素を加圧する液体二酸化炭素ポンプと、加圧された液体二酸化炭素を出荷先に供給する出荷配管と、 前記遮断手段を制御する制御部と、 を備えた液体二酸化炭素貯蔵システムにおいて、 前記制御部は、 貯槽上部の圧力及び貯槽下部の圧力に基づいて、前記貯槽において、運転を継続すると前記液体二酸化炭素の固化が生じると推定される場合、又は、 前記遮断手段の1次側の圧力若しくは温度、及び、前記遮断手段の2次側の圧力若しくは温度に基づいて、前記遮断手段において、運転を継続すると前記液体二酸化炭素の固化が生じると推定される場合、 前記遮断手段により、前記貯槽からの液体二酸化炭素の導出を遮断することを特徴とする液体二酸化炭素貯蔵システム。 【請求項2】 前記液体二酸化炭素貯蔵システム内の液体二酸化炭素の一部を気化する蒸発器と、 前記蒸発器により気化された二酸化炭素ガスを前記貯槽に供給する気化ガス供給配管と を設けたことを特徴とする請求項1記載の液体二酸化炭素貯蔵システム。 【請求項3】 前記出荷先に液体二酸化炭素を供給した際に戻る二酸化炭素ガスを、前記気化ガス供給配管に導入することを特徴とする請求項2記載の液体二酸化炭素貯蔵システム。 【請求項4】 前記液体二酸化炭素貯蔵システム内の液体二酸化炭素の一部を前記貯槽の頂部から供給する配管が設けられていることを特徴とする請求項1記載の液体二酸化炭素貯蔵システム。 【請求項5】 前記制御部は、前記液体二酸化炭素の導出を遮断された前記貯槽又は前記遮断手段において、液体二酸化炭素の固化が無いと推定される場合、前記遮断手段による遮断を解除することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項記載の液体二酸化炭素貯蔵システム。」 第3 申立理由の概要 1.申立理由1(進歩性) 請求項1から5に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証~甲第8号証に記載された技術事項に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。 記 甲第1号証:特開2024-30333号公報 甲第2号証:韓国公開特許第10-2023-0084009号公報 甲第3号証:特許第6444547号公報 甲第4号証:韓国公開特許第10-2023-0044874号公報 甲第5号証:特開2024-9523号公報 甲第6号証:J.A.Feliu 他2名,「Determination of Dry-Ice Formation during the Depressurization of a CO2 Re-Injection System」,Cutting-Edge Technology for Carbon Capture, Utilization, and Storage,2018年4月16日,135-146頁(第10章) 甲第7号証:特開2023-104459号公報 甲第8号証:韓国公開特許第10-2024-0149272号公報 2.申立理由2(サポート要件) 請求項1から5に係る発明は、発明の詳細な説明に記載された事項の範囲を超えて特許請求の範囲が記載されたものであり、本件特許出願は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。 第4 甲第1号証から甲第8号証の記載事項 1.甲第1号証 甲第1号証(特開2024-30333号公報)には、「液化二酸化炭素設備」について、図面とともに以下の各記載がある(なお、下線は当審合議体で付与した。)。 (1)「【0014】 <第一実施形態> 以下、本開示の実施形態に係る液化二酸化炭素設備、ドライアイスの生成状況推定方法について、図1~図11を参照して説明する。 (液化二酸化炭素設備の全体構成) 図1に示すように、この実施形態における液化二酸化炭素設備1Aは、タンク2と、配管10と、圧力センサー20と、温度センサー30と、制御装置60Aと、を少なくとも備えている。 【0015】 タンク2は、液化二酸化炭素を貯留可能である。タンク2に貯留される液化二酸化炭素は、不純物が混在していてもよい。以下の説明において、液化二酸化炭素と、液化二酸化炭素に混在する不純物と、を含んだ液を、貯留液Lと称する。タンク2は、船舶の船体、洋上浮体設備の浮体本体、陸上の液化ガス貯蔵施設等に設置される。」 (2)「【0017】 本実施形態の液化二酸化炭素設備1Aは、配管10として例えば、積込配管11と、払出配管12と、を備えている。積込配管11、払出配管12は、それぞれタンク2に接続されている。配管10としての積込配管11、払出配管12は、それぞれ液化二酸化炭素の貯留液Lが流通可能である。配管10は、タンク2に接続された配管であれば、積込配管11と、払出配管12とに限られるものではなく、他の用途に用いる配管であってもよい。 ・・・(中 略)・・・ 【0019】 払出配管12は、タンク2内の貯留液Lをタンク2の外部へ払い出すための配管である。払出配管12は、例えば、タンク2の外部からタンク2の頂部を貫通し、タンク2の内部に延びている。払出配管12の先端部は、タンク2内の下部に配置されている。払出配管12の先端部には、ポンプ13が設けられている。ポンプ13は、タンク2内に配置されている。ポンプ13は、タンク2内の液化二酸化炭素の貯留液Lを吸い込み、払出配管12を通してタンク2の外部に送り出す。 払出配管12には、開閉弁16が設けられている。開閉弁16は、例えば、タンク2の外部に配置されている。開閉弁16は、払出配管12を開閉する。」 (3)「【0021】 (圧力センサー、温度センサーの構成) 圧力センサー20は、タンク2の内部、及び配管10の内部の、液化二酸化炭素が存在する領域の圧力を検出する。本実施形態において、圧力センサー20は、例えば、第一圧力センサー20A~第五圧力センサー20Eを備えている。 【0022】 このうち、第一圧力センサー20A、第二圧力センサー20B、及び第三圧力センサー20Cは、タンク2内の各部の圧力を検出する。第一圧力センサー20Aは、タンク2内の上部の圧力を検出する。第二圧力センサー20Bは、タンク2内の底部の圧力を検出する。第三圧力センサー20Cは、タンク2内の底部よりも上方の中間部の圧力を検出する。タンク2に設ける圧力センサー20の数、配置は、何ら限定するものではなく、第一圧力センサー20A、第二圧力センサー20B、第三圧力センサー20C以外に、さらに他の圧力センサー20を設けてもよい。また、第一圧力センサー20A、第二圧力センサー20B、第三圧力センサー20Cのうちの一部を省略してもよい。 【0023】 図2は、本開示の実施形態に係る配管に設けられた圧力センサー、及び温度センサーを示す断面図である。 図2に示すように、第四圧力センサー20D、第五圧力センサー20Eは、配管10内の各部の圧力を検出する。第四圧力センサー20D、第五圧力センサー20Eは、積込配管11、払出配管12の各々に設けられている。第四圧力センサー20Dは、配管10内の管壁近くの圧力を検出する。第五圧力センサー20Eは、管壁から離れた配管10内の中間部の圧力を検出する。 配管10に設ける圧力センサーの数、配置は、何ら限定するものではなく、第四圧力センサー20D、第五圧力センサー20E以外に他の圧力センサー20を設けてもよい。また、第四圧力センサー20D、第五圧力センサー20Eを、配管10の延伸方向に間隔を開けて複数組備えるようにしてもよい。 【0024】 温度センサー30は、タンク2、及び配管10の内部の、液化二酸化炭素が存在する領域の温度を検出する。本実施形態において、温度センサー30は、例えば、第一温度センサー30A~第五温度センサー30Eを備えている。 【0025】 図1に示すように、第一温度センサー30A、第二温度センサー30B、第三温度センサー30Cは、タンク2の各部で液化二酸化炭素の貯留液Lの温度を検出する。第一温度センサー30Aは、タンク2内の上部の温度を検出する。第二温度センサー30Bは、タンク2内の底部の温度を検出する。第三温度センサー30Cは、タンク2内の底部よりも上方の中間部の温度を検出する。第一温度センサー30A、第二温度センサー30Bとしては、例えばサーマルカメラ等を用いることができる。第三温度センサー30Cとしては、例えば熱電対等を用いることができる。 タンク2に設ける温度センサー30の数、配置は、何ら限定するものではなく、第一温度センサー30A、第二温度センサー30B、第三温度センサー30C以外に、さらに他の温度センサー30を設けてもよい。また、第一温度センサー30A、第二温度センサー30B、第三温度センサー30Cのうちの一部を省略してもよい。 【0026】 図2に示すように、第四温度センサー30D、第五温度センサー30Eは、配管10内の各部の温度を検出する。第四温度センサー30D、第五温度センサー30Eは、積込配管11、払出配管12の各々に設けられている。第四温度センサー30Dは、配管10の管壁近くの圧力を検出する。第五温度センサー30Eは、管壁から離れた配管10内の中間部の温度を検出する。第四温度センサー30Dとしては、例えばサーマルカメラ等を用いることができる。第五温度センサー30Eとしては、例えば熱電対等を用いることができる。 配管10に設ける温度センサーの数、配置は、何ら限定するものではなく、第四温度センサー30D、第五温度センサー30E以外に他の温度センサー30を設けてもよい。また、第四温度センサー30D、第五温度センサー30Eを、配管10の延伸方向に間隔を開けて複数組備えるようにしてもよい。」 (4)「【0028】 (機能ブロック図) 図4は、本開示の実施形態に係る制御装置の機能ブロック図である。 図4に示すように、制御装置60AのCPU61は予めストレージ64等に記憶されたプログラムを実行することにより、信号入力部70、記憶部71、推定部72A、制御部73A、出力部75の各機能構成を実現する。制御装置60Aは、圧力センサー20及び温度センサー30の検出結果に基づいて、液化二酸化炭素が存在する領域におけるドライアイスの生成状況を推定する。 ・・・(中 略)・・・ 【0030】 記憶部71は、タンク2に貯留された液化二酸化炭素の貯留液Lの組成に基づいた三重点の情報を記憶している。液化二酸化炭素の貯留液Lは、液化二酸化炭素と、液化二酸化炭素に混在する不純物と、を含んでいる。このような貯留液Lの三重点の圧力、温度は、不純物を含まない液化二酸化炭素に比較して、三重点の圧力、温度が異なる。また、貯留液Lにおける、液化二酸化炭素に対する不純物の量に応じて、三重点の圧力、温度が異なる。このため、タンク2に液化二酸化炭素の貯留液Lを貯留するに先立ち、貯留液Lの組成を分析し、貯留液Lの三重点の圧力、温度を含む、三重点の情報を取得しておく。取得された三重点の情報が、記憶部71に記憶されている。 【0031】 推定部72Aは、圧力センサー20及び温度センサー30の検出結果に基づいて、液化二酸化炭素が存在する領域におけるドライアイスの生成状況を推定する。推定部72Aは、信号入力部70で受信した圧力センサー20からの検出信号に基づいて、圧力センサー20(第一圧力センサー20A~第五圧力センサー20E)によるタンク2内、配管10内の、液化二酸化炭素が存在する領域における、貯留液Lの圧力の検出結果を取得する。推定部72Aは、信号入力部70で受信した温度センサー30からの検出信号に基づいて、温度センサー30(第一温度センサー30A~第五温度センサー30E)によるタンク2内、配管10内の各部における、液化二酸化炭素が存在する領域における、貯留液Lの温度の検出結果を取得する。 【0032】 推定部72Aは、圧力センサー20及び温度センサー30の検出結果と、記憶部71に記憶された三重点の情報と、に基づいて、ドライアイスの生成状況を推定する。推定部72Aは、取得された、液化二酸化炭素が存在する領域における貯留液Lの圧力、及び温度と、記憶部71に記憶された、貯留液Lの三重点の情報に基づく、貯留液Lの三重点の圧力、温度とを比較する。推定部72Aは、液化二酸化炭素が存在する領域における貯留液Lの圧力が、貯留液Lの三重点の圧力よりも低く、かつ、液化二酸化炭素が存在する領域における貯留液Lの温度が、貯留液Lの三重点の温度よりも高い場合に、液化二酸化炭素が存在する領域において、貯留液L中にドライアイスが生成される状況である、と推定する。 【0033】 制御部73Aは、推定部72Aで推定したドライアイスの生成状況に基づいて、ドライアイスの生成を抑制するために、ポンプ13、及び開閉弁15,16の動作を制御する。 制御部73Aは、推定部72Aでドライアイスが生成される状況であると推定された場合に、例えば、ポンプ13の動作を停止して、タンク2内の圧力低下を抑える。また、制御部73Aは、推定部72Aでドライアイスが生成される状況であると推定された場合に、例えば、ポンプ13の回転数を上昇させ、配管10内の液化二酸化炭素の貯留液Lを加圧するようにしてもよい。 また、制御部73Aは、推定部72Aでドライアイスが生成される状況であると推定された場合に、開閉弁15,16を閉じて配管10内の静圧回復を図るようにしてもよい。 制御部73Aによる、ポンプ13、及び開閉弁15,16の動作の制御は、その全てを実行してもよいし、一部のみを実行してもよい。また、制御部73Aは、ポンプ13、及び開閉弁15,16の動作の制御を同時に行ってもよいし、タイミングを異ならせてもよい。また、制御部73Aは、上記以外に、液化二酸化炭素が存在する領域に、加圧流体を供給するようにしてもよい。」 (5)「【0043】 また、上記実施形態では、推定部72Aでドライアイスが生成される状況であると推定した場合に、開閉弁15,16を閉じることによって、ドライアイスの生成の抑制を図ることができる。」 (6)「【図1】 [図:0001439240000001.jpg] 」 (7)「【図2】 [図:0001439240000002.jpg] 」 上記(1)から(7)から以下のことがいえる。 ・甲第1号証に記載の「液化二酸化炭素設備」は、上記(1)の記載、及び(6)、(7)の各図面によれば、液化二酸化炭素を貯留可能なタンク2と、配管10と、圧力センサー20と、温度センサー30と、制御装置60Aと、を少なくとも備えるものである。 ・上記(2)の記載、及び(6)の図面によれば、上記配管10として、タンク2内の貯留液Lをタンク2の外部へ払い出すための払出配管12を備え、タンク2内の下部に配置されている払出配管12の先端部にはポンプ13が設けられ、さらに、タンク2の外部において、払出配管12には払出配管12を開閉する開閉弁16が設けられてなるものである。 ・上記(3)の記載、及び(6)、(7)の各図面によれば、上記圧力センサー20は、タンク2内の各部、及び配管10内の各部の液化二酸化炭素が存在する領域の圧力を検出し、上記温度センサー30は、タンク2内の各部、及び配管10内の各部の液化二酸化炭素が存在する領域の温度を検出するものであり、特に圧力センサー20のうち、第一圧力センサー20Aはタンク2内の上部の圧力を検出し、第二圧力センサー20Bはタンク2内の底部の圧力を検出するものである。 ・上記(4)、(5)の記載によれば、上記制御装置60Aは、記憶部71、推定部72A、制御部73Aなどの各機能構成を実現するものであり、記憶部71は、タンク2に貯留された液化二酸化炭素の貯留液Lの組成に基づいた三重点の情報を記憶し、推定部72Aは、圧力センサー20及び温度センサー30により取得された貯留液の圧力及び温度と、記憶部71に記憶された三重点の情報に基づく、貯留液の三重点の圧力及び温度とを比較することで、液化二酸化炭素が存在する領域におけるドライアイスの生成状況を推定し、そして、制御部73Aは、推定部72Aでドライアイスが生成される状況であると推定された場合に、開閉弁16を閉じることによって、ドライアイスの生成の抑制を図るようにしてなるものである。 以上のことから、特に第一実施形態に係るものに着目し、上記記載及び図面を総合勘案すると、甲第1号証には、次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されている。 「液化二酸化炭素を貯留可能なタンクと、配管と、圧力センサーと、温度センサーと、制御装置と、を少なくとも備え、 前記配管として、前記タンク内の貯留液を当該タンクの外部へ払い出すための払出配管を備え、前記タンク内の下部に配置されている前記払出配管の先端部にはポンプが設けられ、また、前記タンクの外部において、前記払出配管には当該払出配管を開閉する開閉弁が設けられ、 前記圧力センサーは、前記タンク内の上部と下部を含む各部、及び前記配管内の各部の液化二酸化炭素が存在する領域の圧力を検出し、 前記温度センサーは、前記タンク内の各部、及び前記配管内の各部の液化二酸化炭素が存在する領域の温度を検出するものであり、 前記制御装置は、前記開閉弁の動作を制御する、液化二酸化炭素設備において、 前記制御装置は、記憶部、推定部、制御部などの各機能構成を実現するものであり、前記記憶部は、前記タンクに貯蔵された液化二酸化炭素の貯留液の組成に基づいた三重点の情報を記憶し、前記推定部は、前記圧力センサー及び前記温度センサーにより取得された貯留液の圧力及び温度と、前記記憶部に記憶された三重点の情報に基づく、貯留液の三重点の圧力及び温度とを比較することで、液化二酸化炭素が存在する領域におけるドライアイスの生成状況を推定し、そして、前記制御部は、前記推定部でドライアイスが生成される状況であると推定された場合に、前記開閉弁を閉じてドライアイスの生成の抑制を図るようにした、液化二酸化炭素設備。」 2.甲第2号証 甲第2号証(韓国公開特許第10-2023-0084009号公報)には、以下の各記載がある〔なお、特許異議申立人が提出した日本語翻訳文(段落番号は原文の段落番号と同じ)のみを記載した。また、下線は当審合議体で付与した。〕。 (1)「[0025] 貯蔵タンク(10)は複数設けられ、第1~第n貯蔵タンク(10)を含む。また、貯蔵タンク(10)は、船体の内部に縦方向に配列されてもよいが、配列方向や構造などは限定しない。また、少なくとも一部の貯蔵タンク(10)は、船外に配置されてもよい。 ・・・(中 略)・・・ [0028] 図3を参照すると、貯蔵タンク(10)は、二酸化炭素を三重点の圧力以上で貯蔵することにより、二酸化炭素を液相に維持することができる。・・(以下、略)」 (2)「[0042] 図1を参照すると、貯蔵タンク(10)内に二酸化炭素の蒸発ガスが生じて貯蔵タンク(10)の圧力が高い場合には、貯蔵タンク(10)の圧力を下げるために、貯蔵タンク(10)内の蒸発ガスを再液化装置(20)に送って再液化装置(20)で蒸発ガスを液化させて貯蔵タンク(10)に循環させることができる。貯蔵タンク(10)内の蒸発ガスの量を減らして貯蔵タンク(10)の圧力を調節して、二酸化炭素の圧力が設計圧力よりも大きくなることを防止することができる。 [0043] 図2を参照すると、貯蔵タンク(10)の圧力が低い場合に、貯蔵タンク(10)の圧力を高めるために、貯蔵タンク(10)内の液化ガスの一部を気化器(30)に送って気化器(30)で液化ガスを蒸発させて貯蔵タンク(10)に循環させることができる。貯蔵タンク(10)内の蒸発ガスの量を増やして貯蔵タンク(10)の圧力を調節して、二酸化炭素の圧力が三重点よりも低くなることを防止することができる。 ・・・(中 略)・・・ [0050] クールダウンのために、再液化装置(20)が貯蔵タンク(10)内の二酸化炭素蒸発ガスを吸入し、二酸化炭素を再液化させ、再液化装置(20)で再液化された液相二酸化炭素を貯蔵タンク(10)の上部から噴射するか、または貯蔵タンク(10)の下部に注入することができる。」 (3)「[0054] 図4を参照すると、貯蔵タンク(10)には、液相二酸化炭素を排出するためのオフローディングポンプ(11)、液相二酸化炭素が貯蔵タンク(10)の外部に排出されるオフローディングライン(L7)、および液相二酸化炭素が貯蔵タンク(10)の内部に注入されるローディングライン(L6)が備えられてもよい。」 3.甲第3号証 甲第3号証(特許第6444547号公報)には、以下の各記載がある(なお、下線は当審合議体で付与した。)。 (1)「【0022】 本発明は、LNG貯槽に接続され、LNGの供給を受け、貯蔵するLNGを加圧してLNGガス蒸発器に供給する加圧タンク及び加圧タンクに接続されてLNGの供給を受け、LNGを加温してLNGガスを生成して加圧し、加圧状態のLNGガスを加圧タンクに戻す加圧ガス蒸発器を備えて、加圧タンクと加圧ガス蒸発器との間にLNG還流系が形成され、当該LNG還流系が、加圧タンク内に貯蔵されたLNGを当該加圧タンクと加圧ガス蒸発器との間の水頭圧によって移送する無動力移送系を有し、もってLNG貯槽から加圧ガス蒸発器へのLNG移送を部分的な系統を無動力で高圧化することで、LNGを無動力でLNGガス蒸発器に供給することを特徴とする。本発明で「直接」とは、特許文献5に記載されるように、LNGローリータンク、貯槽タンク、その他の機器を介することなく、ということである。」 (2)「【0058】 ・・・(中 略)・・・ 本実施例では、加圧タンクA(5)、加圧タンクB(6)、加圧タンクC(7)、加圧タンクD(8)の4つの加圧タンクを使用したがLNGガス蒸発器2への、加圧連続供給運転では、供給の状態の加圧タンク5及び降圧の状態の加圧タンク8が必要とされる。いずれかの加圧タンクの故障を想定し、その場合にあってもLNGガス蒸発器2への、加圧連続供給運転を可能にするために、一つの待機状態の加圧タンクが追加される。いずれかの加圧タンクについて定期検査をしながら、LNGガス蒸発器2への、加圧連続供給運転を可能にするために、もう一つの加圧タンクが追加され、待機状態とされる。 ・・・(中 略)・・・ 【0060】 供給中の加圧タンクA(5)が予め設定している下限液面までLNGを使用されると、自動的に加圧タンクB(6)からの供給に切り替わり、LNG供給が継続される。加圧タンクA(5)は、この状態から準備として降圧・液受入れの状態となる。」 (3)「【0080】 STEP21からのステップは、いずれか一つの系統が故障した場合に、3系統運転となし、故障した系統を、修理・修理完了後手動で待機状態・故障復帰させる工程を含むようにして形成する。」 (4)「【0102】 本実施例では、故障する可能性のある機器としては、各系統に設置した弁が想定される。いずれかの弁に故障が発生した場合、故障した弁が設置された系統を休止し、残りの系統で運転継続することが可能である。故障した弁は、メーカーに返却することなく現地で修理することが可能であり、故障対応期間を短くすることができる。」 4.甲第4号証 甲第4号証(韓国公開特許第10-2023-0044874号公報)には、以下の各記載がある〔なお、特許異議申立人が提出した日本語翻訳文(段落番号は原文の段落番号と同じ)のみを記載した。また、下線は当審合議体で付与した。〕。 (1)「[0027] 図2を参照すると、本発明に係る液化二酸化炭素移送システム(1)は、液化二酸化炭素が貯蔵された貯蔵タンク(10)と、貯蔵タンク(10)に貯蔵された液化二酸化炭素を移送する移送配管(20)と、移送配管(20)を介して移送される液化二酸化炭素を貯蔵する需要先(30)、移送配管(20)を通過している二酸化炭素を加熱するための加熱手段(40)、および貯蔵タンク(10)から液化二酸化炭素を需要先(30)に移送するためのポンプやバルブなどの移送部(50)からなる。」 (2)「[0031] 移送配管(20)は、貯蔵タンク(10)に貯蔵された液化二酸化炭素を需要先(30)に移送する流路であって、移送配管(20)上には、貯蔵タンク(10)から液化二酸化炭素を需要先(30)に移送するためのポンプやバルブなどの移送部(50)が備えられる。 ・・・(中 略)・・・ [0033] 移送部(50)のバルブである場合、移送配管(20)上に設置されたバルブが開放されると、貯蔵タンク(10)に貯蔵された液化二酸化炭素が移送配管(20)に流入することができる。また、移送部(50)がポンプである場合、ポンプが作動すると、貯蔵タンク(10)に貯蔵された液化二酸化炭素がポンプを介して移送配管(20)に強制移送される。」 (3)「[0059] 図6は、本発明の第5実施例に係る液化二酸化炭素システムを説明するための図である。 [0060] 液化二酸化炭素移送システム(1)は、貯蔵タンク(10)の圧力を維持するために、需要先(30)から貯蔵タンク(10)に連結されるリターン配管(110)を含む。需要先(30)内の気体状態の二酸化炭素の少なくとも一部が貯蔵タンク(10)にリターンされてもよい。」 5.甲第5号証 甲第5号証(特開2024-9523号公報)には、以下の記載がある(なお、下線は当審で付与した。)。 「【0051】 (第一実施形態の変形例) 上記第一実施形態では、吐出管21Aが、第一タンク11の外部から第一タンク11の頂部を貫通し、第一タンク11の内部に延び、その先端部にポンプ30が設けられている。吐出管21A、及びポンプ30の配置は、これに限らず、例えば、以下の各変形例に示すように、適宜変更可能である。 図7は、本開示の第一実施形態の第一変形例に係るタンクシステムの概略構成を示す図である。 例えば、図7に示す第一実施形態の第一変形例のように、タンクシステム1Bの配管20Bの一端部20a側に設けられた吐出管21Bは、第一タンク11の外部から第一タンク11の側部の鏡板部14を貫通して、第一タンク11の内部に延びていてもよい。ポンプ30は、第一タンク11内で吐出管21Bの先端部に設けられている。 【0052】 図8は、本開示の第一実施形態の第二変形例に係るタンクシステムの概略構成を示す図である。 例えば、図8に示す第一実施形態の第二変形例のように、タンクシステム1Cの配管20Cの一端部20a側に設けられた吐出管21Cは、第一タンク11の外部から第一タンク11の側部の鏡板部14に接続されていてもよい。吐出管21Cの先端部は、第一タンク11内で側方に向けて開口している。ポンプ30は、第一タンク11の外部で、吐出管21Cの途中に設けられている。」 6.甲第6号証 甲第6号証(J.A.Feliu 他2名,「Determination of Dry-Ice Formation during the Depressurization of a CO2 Re-Injection System」,Cutting-Edge Technology for Carbon Capture, Utilization, and Storage,2018年4月16日,135-146頁(第10章))には、以下の各記載がある(なお、特許異議申立人が提出した日本語翻訳文のみを記載した。下線は当審合議体で付与した。)。 (1)「10.3.2 目的 本研究の主な目的は、適切な熱力学方程式を使用したプロセスシミュレーションにより、ブローダウンオリフィスを横切るガスのフラッシュに起因する等エントロピー冷却(ジュール・トムソン効果)によって減圧イベントが発生した際に、プロセスシステムの稼働条件内でドライアイスが生成する現実的な可能性が存在するかどうかを予測することであった。・・(以下、略)」 (原文の141頁の「10.3.2 Objectives」の項) (2)「10.3.4 シミュレーション実行の結論 ・・・(中 略)・・・ 感度分析により、以下のことが検出された: ・・・(中 略)・・・ ・初期のブローダウン温度の上昇は、ブローダウンバルブの下流で生成されるドライアイスの量を減少させるのに役立つ:コールドブローダウンの代わりに、プロセス条件からブローダウンすることが推奨される。 ・フレア圧力を下げることは、ブローダウンバルブの下流で生成されるドライアイスの量を減少させるのに役立つ。 ・フレア温度の上昇は、ブローダウンバルブの下流で生成されるドライアイスの量を減少させるのに役立つ:燃料油を使用して初期のフレアヘッダー温度をより高温に保つことは、固体CO2の生成を減少させるのに役立つ。したがって、制限オリフィスの周囲をプロセス条件よりも高い温度に保つような任意の熱媒体も、固体CO2の生成を減少させるのに役立つ可能性がある。」 (原文の145~146頁の「10.3.4 Simulation Runs Conclusions」の項) 7.甲第7号証 甲第7号証(特開2023-104459号公報)には、以下の各記載がある(なお、下線は当審合議体で付与した。)。 (1)「【0006】 本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであり、燃料生成後に残留する二酸化炭素が背圧弁において凍結することを防止することが可能な燃料生成装置を提供することを目的とする。」 (2)「【0029】 制御部CUによる制御は、各部に配置される各種計器類(流量計、温度センサ、圧力センサ)から受信する情報に基づいて行われる。本実施形態では、制御部CUは、流量計から、二酸化炭素の供給量F1、水素の供給量F2、窒素の供給量F3の情報を得る。また、制御部CUは、センサから、触媒15の反応温度T1、冷却部HEcと背圧弁BPとの間の流路のガスの温度T11及び圧力P11、背圧弁BPにおけるガスの温度Tb、背圧弁BPと開閉弁VLとの間の流路の圧力P12の情報を得る。 【0030】 制御部CUは、背圧弁BPを通過する二酸化炭素の凍結のおそれを把握するため、背圧弁BP周辺の温度や圧力に加え、背圧弁BPの二酸化炭素濃度を算出する。二酸化炭素濃度の算出は、例えば、実際のプラントにおける条件に基づいてシミュレーションを行うことで、予め二酸化炭素の濃度マップを作成しておき、この濃度マップを用いて、二酸化炭素濃度を算出する。ここで、触媒の使用状況に応じた性能に応じた補正値を前記濃度マップに反映することとすれば、より現実の値に近づけることができるので、好ましい。触媒の使用状況とは、触媒反応に使用した時間数や、触媒を燃料生成装置に設置した期間などがあるが、これに限るものではない。なお、二酸化炭素の濃度の算出は、これに限るものではない。例えば、背圧弁BPの上流側において、二酸化炭素の濃度を測定可能なセンサや計測器を設置して計測してもよい。 【0031】 このように、上述の温度、圧力、濃度等から、二酸化炭素を起因とする背圧弁BPにおける凍結可能性を予測しておき、数値化、マップ化した情報を予め用意しておく。制御部CUは、この予め用意された凍結可能性に関する情報に基づいて、二酸化炭素を起因とする背圧弁BPにおける凍結可能性を判断する。 【0032】 次に、燃料生成装置1の制御について説明する。以下の説明では、背圧弁BPにおける凍結のおそれがない状態における通常運転時の制御と、背圧弁BPにおいて二酸化炭素を起因とする凍結のおそれがある状態における緊急時の制御とに分けて説明する。 【0033】 通常運転時において、制御部CUは、各供給部における供給量F1、F2、F3と、触媒15の反応温度T1から、背圧弁BPの二酸化炭素濃度を算出する。また、制御部CUは、背圧弁BPの前後の差圧を、背圧弁BPの上流側の圧力P11と下流側の圧力P12とから算出する。また、制御部CUは、背圧弁BPの上流側のガスの温度T11や背圧弁BPにおけるガスの温度Tbを受信する。これらの情報から、通常運転時において、制御部CUは、背圧弁BPでの二酸化炭素の凍結可能性を判断する。この判断に基づいて、制御部CUは、主に冷却部HEcの冷媒の流量Fc11を制御することで、背圧弁BPでの二酸化炭素の凍結を回避する。なお、通常運転時における凍結防止のための制御方法は、冷却部HEcの冷媒の流量Fc11を制御することのみに限るものではなく、他の制御を組み合わせてもよい。 【0034】 緊急時とは、背圧弁において二酸化炭素が凍結するおそれがある場合である。通常運転時の制御から緊急時の制御への移行は、制御部CUが、背圧弁BPにおけるガスの温度Tbと上述の予め用意された凍結可能性に関する情報とに基づいて判断する。 【0035】 図2は、第一実施形態の緊急時における燃料生成装置1の制御を示すフローチャートである。制御部CUが緊急時だと判断した場合、制御部CUは、図2のフローチャートに沿って、各部を操作する。図2のフローチャートは、制御部CUが有するプロセッサがROM等の記憶装置に格納されるプログラムをRAM等のメモリに開放することで実行される。 【0036】 ステップS11において、制御部CUは、燃料の生成に関するガスの流れを止める操作であるガス流れ停止操作を行う。具体的には、制御部CUは、二酸化炭素供給部11、水素供給部12、窒素供給部13からの触媒15へのガスの供給を全て止める。また、制御部CUは、圧縮機14の駆動を止める。これは、背圧弁BPの上流側の圧力が高いと、背圧弁BPにおいて凍結が生じやすいからである。また、制御部CUは、開閉弁VLを閉める。このような制御が行われることにより、燃料生成装置1内のガス流れが停止する。」 8.甲第8号証 甲第8号証(韓国公開特許第10-2024-0149272号公報)には、以下の各記載がある〔なお、特許異議申立人が提出した日本語翻訳文(段落番号は原文の段落番号と同じ)のみを記載した。また、下線は当審合議体で付与した。〕。 (1)「[0016] 本発明の一態様に係る二酸化炭素処理システムは、二酸化炭素貯蔵タンクの内部圧力が設定圧力に達したときに開き、通気ユニットを介して二酸化炭素を大気中に放出する安全弁と、安全弁の後端に空気を供給して温度を上昇させる空気供給ユニットとを備えてもよい。 [0017] 具体的には、前記空気供給ユニットは、空気を圧縮して安全弁の後端に供給するコンプレッサと、コンプレッサに空気を供給する空気入口ユニットとを備え、安全弁の上流温度と安全弁の下流温度との差が設定温度差値を超えた場合にコンプレッサを作動させることができる。」 (2)「[0048] しかしながら、図5および図6に示すように、安全弁(130)から二酸化炭素ガスが連続的に排出されると、安全弁(130)の後端(133)の温度が低下して冷却され、その結果、冷却された安全弁(130)の後端(133)から安全弁(130)の前端(132)へ冷熱が伝達される。その結果、安全弁(130)の前端(132)の二酸化炭素ガスの一部が液体二酸化炭素に変化し、安全弁(130)のディスク(131)上に液滴が形成される。この液滴によってドライアイスが発生し、発生したドライアイスの量が少量であれはベントユニット(140)から大気中に排出できるが、量が多いと安全弁(130)のディスク(131)に堆積して安全弁(130)が凍結し、安全弁(130)が閉じられなくなるおそれがある。また、安全弁(130)の後端(133)に接続された第2配管(L2)の屈曲部や拡張部にドライアイスが堆積すると、配管が詰まるおそれがある。」 (3)「[0061] 第1温度検出センサ(TS1)は、二酸化炭素貯蔵タンク(111)と安全弁(130)とを接続する第1配管(L1)に設置されてもよい。 [0062] 第1温度検出センサ(TS1)は、安全弁(130)の前端(132)の温度を検出し、コンプレッサ(151)が作動しているかどうかの情報を提供することができる。 [0064] 第2温度検出センサ(TS2)は、安全弁(130)とベントユニット(140)とを接続する第2配管(L2)に設置することができる。 [0065] 第2温度検出センサ(TS2)は、安全弁(130)の後端(133)の温度を検出し、第1温度検出センサ(TS1)と連携してコンプレッサ(151)の作動状態に関する情報を提供することができる。すなわち、第1温度検出センサ(TS1)によって安全弁(130)の前端(132)の温度が策定され、第2温度検出センサ(TS2)によって安全弁(130)の後端(133)の温度が測定され、第1温度検出センサ(TS1)と第2温度検出センサ(TS2)によって測定された温度差値が設定温度差値を超えると、コンプレッサ(151)が作動する。」 第5 当審の判断 1.申立理由1(進歩性)について (1)本件発明1について ア 対比 本件発明1と甲1発明とを対比する。 (ア)甲1発明における「タンク」は、液化二酸化炭素を貯留可能なものであるから、本件発明1でいう「貯槽」に相当する。 したがって、本件発明1と甲1発明とは、「液体二酸化炭素を貯液可能な貯槽」を備えるものである点で一致するといえる。 ただし、貯槽について、本件発明1では「複数」であることを特定するのに対し、甲1発明ではタンクが複数であることの特定がない点で相違する。 (イ)甲1発明における配管として備える「払出配管」は、タンク内の貯留液、すなわち液化二酸化炭素をタンクの外部へ払い出し、つまり導出するためのものであるから、本件発明1でいう「配管」に相当する。 したがって、本件発明1と甲1発明とは、「前記貯槽から液体二酸化炭素を導出する配管」を備えるものである点で一致する。 ただし、上記(ア)に記載した「貯槽」についての相違に関連して、配管についても、本件発明1では「複数」の貯槽のそれぞれに対して設けられているといえるものであるのに対し、甲1発明ではそもそもタンクが複数であることの特定がない点で相違する。 (ウ)甲1発明における、タンクの外部において払出配管に設けられ、当該払出配管を開閉する「開閉弁」は、これを閉じることで払出配管から液化二酸化炭素の払い出し(導出)を遮断するものであることから、本件発明1でいう「遮断手段」に相当する。 したがって、本件発明1と甲1発明とは、「前記配管から液体二酸化炭素の導出を遮断する遮断手段」を備えるものである点で一致する。 ただし、上記(ア)(イ)に記載した「貯槽」及び「配管」についての相違に関連して、本件特許明細書における発明の詳細な説明の記載全体及び図面からしても、遮断手段についても、本件発明1では「複数」の貯槽及び配管のそれぞれに対して設けられているといえるものであるのに対し、甲1発明ではそもそもタンクが複数であることの特定がない点で相違する。 (エ)甲1発明におけるタンク内の下部に配置されている払出配管の先端部に設けられた「ポンプ」は、タンク内の貯留液、すなわち液化二酸化炭素を加圧して払出配管によってタンクの外部に払い出すためのものであることは自明であり、本件発明1でいう「液体二酸化炭素ポンプ」に相当する。ここで、甲1発明における「払出配管」は、加圧された液化二酸化炭素をタンクの外部に払い出し、供給先(出荷先)に供給する配管である。 したがって、本件発明1と甲1発明とは、「液体二酸化炭素を加圧する液体二酸化炭素ポンプと、加圧された液体二酸化炭素を出荷先に供給する配管」を備えるものである点で一致するといえる。 ただし、本件発明1では「液体二酸化炭素ポンプ」が「前記配管から導出された」液体二酸化炭素を加圧するのに対し、甲1発明では「ポンプ」がタンク内の払出配管の先端部に設けられているため、液体二酸化炭素は、本件発明1のように「前記配管から導出された」ものではない点で相違する。 (オ)甲1発明における「制御装置」は、開閉弁の動作を制御するものであり、本件発明1でいう「制御部」に相当する。 ここで、甲1発明における「制御装置」の推定部は、「前記圧力センサー及び前記温度センサーにより取得された貯留液の圧力及び温度と、前記記憶部に記憶された三重点の情報に基づく、貯留液の三重点の圧力及び温度とを比較することで、液化二酸化炭素が存在する領域におけるドライアイスの生成状況を推定」するものであるところ、圧力センサーにより取得される貯留液の圧力としては、タンク内の上部と下部の液化二酸化炭素が存在する領域の圧力をそれぞれ含むことを踏まえると、甲1発明で「前記推定部でドライアイスが生成される状況であると推定された場合」というのは、本件発明1でいう「貯槽上部の圧力及び貯槽下部の圧力に基づいて、前記貯槽において、運転を継続すると前記液体二酸化炭素の固化が生じると推定される場合」に相当するといえる。 そして、甲1発明における「制御装置」の制御部が、推定部でドライアイスが生成される状況であると推定された場合に「前記開閉弁を閉じてドライアイスの生成の抑制を図る」ことは、本件発明1でいう「前記遮断手段により、前記貯槽からの液体二酸化炭素の導出を遮断する」ことに相当する。 したがって、本件発明1と甲1発明とは、「前記制御部は、貯槽上部の圧力及び貯槽下部の圧力に基づいて、前記貯槽において、運転を継続すると前記液体二酸化炭素の固化が生じると推定される場合、前記遮断手段により、前記貯槽からの液体二酸化炭素の導出を遮断する」ものである点で一致するといえる。 ただし、上記(ア)から(ウ)に記載した「貯槽」、「配管」及び「遮断手段」についての相違に関連して、本件特許明細書における発明の詳細な説明の記載全体及び図面からしても、制御部は、本件発明1では「複数」の貯槽、配管及び遮断手段に対して設けられているといえるものであるのに対し、甲1発明ではそもそもタンクが複数であることの特定がない点で相違する。 (カ)そして、甲1発明における「液化二酸化炭素設備」は、タンク、払出配管、開閉弁、及び開閉弁の動作を制御する制御装置を備えるものであり、上記(ア)から(オ)に記載した相違点を除き、本件発明1でいう「液化二酸化炭素貯蔵システム」に相当するといえるものである。 よって上記(ア)から(カ)によれば、本件発明1と甲1発明とは、 「液体二酸化炭素を貯液可能な貯槽と、 前記貯槽から液体二酸化炭素を導出する配管と、 前記配管から液体二酸化炭素の導出を遮断する遮断手段と、 液体二酸化炭素を加圧する液体二酸化炭素ポンプと、加圧された液体二酸化炭素を出荷先に供給する配管と、 前記遮断手段を制御する制御部と、 を備えた液体二酸化炭素貯蔵システムにおいて、 前記制御部は、 貯槽上部の圧力及び貯槽下部の圧力に基づいて、前記貯槽において、運転を継続すると前記液体二酸化炭素の固化が生じると推定される場合、 前記遮断手段により、前記貯槽からの液体二酸化炭素の導出を遮断する 液体二酸化炭素貯蔵システム。」 である点で一致し、次の点で相違する。 [相違点1] 本件発明1では、貯槽が「複数」であるのに対し、甲1発明では、タンクが複数であるとの特定がない点。 なお、これに伴い、本願発明1では、「配管」は、「複数」の貯槽から液体二酸化炭素を導出するために設けられ、さらに、遮断手段は、当該「複数」の貯槽に対して設けられた「配管」から液体二酸化炭素の導出を遮断するために設けられ、さらに、制御部は、当該「遮断手段」を制御するために設けられているのに対し、甲1発明では、「配管」は、「複数」の貯槽に対して設けられるものではなく、さらに、「開閉弁」は、「複数」の貯槽に対して設けられた「配管」から液体二酸化炭素の導出を遮断するために設けられたものではなく、さらに、「制御装置」は、「複数」の貯槽に対して設けられた「配管」から液体二酸化炭素の導出を手段するための「開閉弁」を制御するために設けられたものではない点。 [相違点2] 本件発明1では「液体二酸化炭素ポンプ」が「前記配管から導出された」液体二酸化炭素を加圧するのに対し、甲1発明では「ポンプ」がタンク内の払出配管の先端部に設けられているため、液体二酸化炭素は、本件発明1のように「前記配管から導出された」ものではない点。 イ 判断 そこで、まず上記相違点1について検討する。 甲第2号証には、液相状態の二酸化炭素を貯蔵する貯蔵タンクを複数設けることや、複数の貯蔵タンクのそれぞれに対して液相二酸化炭素を外部に排出するための配管であるオフローディングラインを設けることは記載されている(前記「第4 2.」参照)。しかしながら、複数の貯蔵タンク及びオフローディングラインのそれぞれに対して遮断手段(開閉弁)を設けるとともに、それら遮断手段(開閉弁)の動作を制御する制御部(制御装置)を設けることは記載も示唆もされておらず、甲1発明において、上記相違点1に係る構成を導き出すことはできない。 また、甲第3号証には、複数(4つ)の加圧タンクを使用し、いずれかの加圧タンクや各系統に設置した弁が故障しても、待機状態の加圧タンクや残りの系統を利用して運転継続を可能とすることが記載されている(前記「第4 3.」参照)。しかしながら、そもそもLNGを対象としたものであることに加えて、複数(4つ)の加圧タンクは共通するLNG貯槽に接続され、LNGを加圧して加圧ガス蒸発器に供給するためのものであって、LNG貯槽自体を複数設けるようにしたものでもなく、甲1発明に組み合わせるべき動機がない。 なお、甲第4号証から甲第8号証についても、上記相違点1に係る構成については記載も示唆もない。 よって、他の相違点(相違点2)について検討するまでもなく、本件発明1は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証から甲第8号証に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (2)本件発明2から5について 請求項2から5は請求項1を引用するものであり、少なくとも上記相違点1に係る発明特定事項を備えるものであるから、本件発明1についての判断と同様の理由により、本件発明2から5についても、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証から甲第8号証に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (3)まとめ 以上のとおり、本件請求項1から5に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるということはできない。 2.申立理由2(サポート要件)について (1)特許異議申立人の主張 特許異議申立人は、概ね、以下の「ア」及び「イ」のようなサポート要件に関する申立理由を主張している。なお、「ア」については、異議申立書の第66頁から第69頁に記載された「(a)本件発明1の構成H-2に関するサポート要件違反」をまとめたものであり、「イ」については、異議申立書の第69頁から第71頁に記載された「(b)本件発明1の構成H-3に関するサポート要件違反」をまとめたものである。 ア 本件発明1の「前記遮断手段の1次側の圧力若しくは温度、及び、前記遮断手段の2次側の圧力若しくは温度に基づいて、前記遮断手段において、運転を継続すると前記液体二酸化炭素の固化が生じると推定される場合」との記載によれば、「1次側の圧力若しくは温度」と「2次側の圧力若しくは温度」という、いずれか一方のパラメータを欠く不完全な組み合わせによる推定構成まで包含してしまっている。これらの不完全なパラメータの組み合わせによる構成は、発明の詳細な説明において「固化を予測できる」として開示された課題解決手段(1次側の温度及び圧力、並びに2次側の温度及び圧力から推定すること)の範囲を逸脱しており、熱力学的な技術常識に照らしても、これらの不完全なパラメータのみによって、遮断手段における将来の固化を推定できるとは到底認識できない。 イ 本件発明1では「前記遮断手段により、前記貯槽からの液体二酸化炭素の導出を遮断する」ことが特定されている。ここで、本件特許明細書の段落【0007】には本件発明1の課題について「本発明は、一部の貯槽、配管に二酸化炭素の固化の可能性が生じても、システム全体として液体二酸化炭素の出荷を中止することなく、継続できる液体二酸化炭素貯蔵システムを提供すること」と記載され、段落【0014】には発明の効果について「本発明の液体二酸化炭素貯蔵システムによれば、制御部が、液体二酸化炭素の固化が推定される貯槽からの導出を遮断手段により遮断しても、他の貯槽からの出荷は継続されるので、システム全体として液体二酸化炭素の出荷を中止することなく、継続できる。」と記載されているように、本件発明1が「システム全体として液体二酸化炭素の出荷を中止することなく継続できる」という課題を解決するためには、固化が推定される一部の貯槽を遮断するだけでなく、「少なくとも他の貯槽からの液体二酸化炭素の出荷を継続する」ことが不可欠の前提となっている。しかしながら、本件発明1には、他の貯槽からの出荷を継続することについては何ら規定しておらず、例えば固化が推定された場合に、全ての貯槽を遮断してしまい、システム全体としての出荷が完全に停止してしまうような構成まで包含する。 よって、上記「ア」及び「イ」の点で、本件発明1は、発明の詳細な説明に記載された発明の課題を解決するための手段が正しく反映されておらず、発明の詳細な説明に記載された事項の範囲を超えて特許請求の範囲が記載されたものである。 (2)判断 上記各主張について検討する。 ア 上記アの主張について 本件発明1の「前記遮断手段の1次側の圧力若しくは温度、及び、前記遮断手段の2次側の圧力若しくは温度に基づいて、前記遮断手段において、運転を継続すると前記液体二酸化炭素の固化が生じると推定される場合」との記載に関して、本件特許明細書の段落【0031】には「液体二酸化炭素貯槽110A1から出荷される液体二酸化炭素は、弁600で圧力損失分が減圧され、・・・液体二酸化炭素を弁で減圧する際、液体二酸化炭素は、等エントロピ膨張により、温度が低下する。したがって、弁600の1次側(上流側)の温度(温度計650)、圧力(下部圧力計620)及び、2次側(下流側)の温度(温度計640)、圧力(圧力計630)から、弁600の2次側において、液体二酸化炭素の固化が生じるかどうかの可能性を推定することが可能である。」と記載されていることから、本件発明1に記載された事項は、発明の詳細な説明に記載されているといえる。なお、特許異議申立人は、遮断手段の一次側と二次側のそれぞれにおいて「圧力」もしくは「温度」のいずれか一方のみのパラメータの選択では遮断手段における将来の固化を推定できるとは到底認識できない旨主張しているが、上述したように、本件特許明細書の段落【0031】には、「液体二酸化炭素を弁で減圧する際、液体二酸化炭素は、等エントロピ膨張により、温度が低下する。」と記載されているように、圧力から温度が推定できる場合には、圧力と温度の両者を必ずしも必要としないことから、係る主張は採用できない。 したがって、特許異議申立人の上記アの主張は採用できない。 イ 上記イの主張について 本件発明1の解決しようとする課題は、本件特許明細書の段落【0007】に記載のとおり「一部の貯槽、配管に二酸化炭素の固化の可能性が生じても、システム全体として液体二酸化炭素の出荷を中止することなく、継続できる液体二酸化炭素貯蔵システムを提供すること」であり、そして、本件発明1に記載された課題を解決するための手段としては、「複数」の貯槽を設け、配管及び遮断手段についても「複数」の貯槽のそれぞれに対して設けるとともに、「複数」の貯槽、配管及び遮断手段に対して設けた制御部により、貯槽又は遮断手段において運転継続すると液体二酸化炭素の固化が生じると推定される場合に、遮断手段を制御して貯槽からの液体二酸化炭素の導出を遮断するようにしたことであると認められる(上記1.の「(1)本件発明1について」での記載も参照されたい。)。してみると、「遮断手段」は、「複数」の貯槽のそれぞれに対して設けられているといえるものであることに加えて、本件発明1には、固化が生じると推定される場合に「前記遮断手段により、前記貯槽からの液体二酸化炭素の導出を遮断する」と記載されていることから、固化が生じると推定される個々の貯槽からの液体二酸化炭素の導出を遮断するものであって、例えば「他の貯槽からの液体二酸化炭素の出荷を継続する」などの記載が無くとも、液体二酸化炭素の導出を遮断していない貯槽については当然、液体二酸化炭素の導出が継続されるものと理解することができるものである。 したがって、特許異議申立人の上記イの主張は採用できない。 ウ.まとめ 以上により、特許異議申立人のサポート要件に関する申立理由についての主張はいずれも採用することができず、本件請求項1から5に係る発明は、発明の詳細な説明に記載された事項の範囲を超えて特許請求の範囲が記載されたものではなく、本件特許出願は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないということはできない。 第6 むすび 以上のとおりであるから、本件請求項1から5に係る特許は、特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては取り消すことはできない。 また、他に本件請求項1から5に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2026-700256

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