特許異議申立
2026-700138
プログラム、方法、およびシステム
- 審判番号
- 2026-700138
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2023-195233
- 登録番号
- 7724829
- 請求日
- 2026年02月17日
- 審決日
- 2026年07月22日
- 公報発行日
- 2026年08月28日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】カバー株式会社
- 【権利者代理人】白井 宏紀
- 【権利者代理人】黒澤 万希
- 【異議申立人】倉光 周作
- 審判長/審判官
- 審判長 丸山 高政
- 審判官 鈴木 圭一郎
- 審判官 玉木 宏治
- 分類
- P1652.121-Y (H04L)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7724829号発明「プログラム、方法、およびシステム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7724829号の請求項1、4~7、9、14及び15に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7724829号(以下「本件特許」という。)の請求項1~15に係る特許についての出願は、令和5年11月16日に出願され、令和7年8月7日にその特許権の設定登録がされ、同年8月18日に特許掲載公報が発行された。その後、本件特許に対し、令和8年2月17日に特許異議申立人 倉光 周作(以下「申立人」という。)が請求項1、4~7、9、14及び15に対して特許異議の申立てをし、同年3月18日に手続補正書(方式)を提出し、さらに、同年3月24日に手続補正書(方式)を提出した。
第2 本件発明
本件特許の請求項1、4~7、9、14及び15の特許に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」、「本件発明4」~「本件発明7」、「本件発明9」、「本件発明14」及び「本件発明15」といい、これらを総称して「本件発明」という。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1、4~7、9、14及び15に記載された事項により特定される次のとおりのものである。なお、請求項1の符号1A等は、請求項1を分説するために当審で付与したものであり、分説した発明特定事項を以下では「発明特定事項1A」等のように参照する。
「【請求項1】
1A 仮想空間へのユーザの入室状況に基づいた処理をコンピュータに行わせるためのプログラムであって、
1B 前記コンピュータを、
1C 特定ユーザに関する情報を複数のユーザに閲覧可能とするための処理を行う閲覧可能化手段として機能させ、
1D 前記閲覧可能化手段は、前記特定ユーザが前記仮想空間に入室したときに、前記特定ユーザに関する情報として当該特定ユーザが前記仮想空間に入室したことが特定可能となる情報を、複数のユーザのうちいずれのユーザであるかにかかわらず閲覧可能となるようにするための処理を行い、
1E 前記いずれのユーザであるかにかかわらず閲覧可能となるようにするための処理は、前記特定ユーザ以外のユーザが前記仮想空間に入室することによっては行われない処理であり、
1F 複数のユーザ各々が入室可能な仮想空間として、提供されるコンテンツが異なる複数種類の仮想空間が設けられており、
1Ga 前記特定ユーザは、予め定められたユーザであって、
1Gb 当該特定ユーザであるか否かは、前記特定ユーザに関する情報が閲覧可能となる複数のユーザ各々が入室する仮想空間の種類にかかわらず予め定められている、
1H プログラム。
【請求項4】
前記特定ユーザには、前記仮想空間を運営する運営者によって予め定められたユーザが含まれる、請求項1に記載のプログラム。
【請求項5】
前記特定ユーザが前記仮想空間に入室したことを特定可能となる情報を閲覧可能となるユーザには、当該仮想空間に入室している他のユーザが含まれる、請求項1に記載のプログラム。
【請求項6】
前記閲覧可能化手段は、前記複数種類の仮想空間のうちのいずれかに前記特定ユーザが入室する毎に、当該特定ユーザが入室したことが特定可能となる情報を、他のユーザに閲覧可能とするための処理を行う、請求項1に記載のプログラム。
【請求項7】
前記特定ユーザが前記仮想空間に入室したことが特定可能となる情報には、前記複数種類の仮想空間のうち前記特定ユーザが入室した仮想空間を特定可能とする情報が含まれる、請求項1に記載のプログラム。
【請求項9】
前記閲覧可能化手段は、前記特定ユーザが前記仮想空間に入室したとしても、当該仮想空間への前回の入室から所定時間経過していないときには、当該特定ユーザが入室したことが特定可能となる情報を、他のユーザに閲覧可能とするための処理を行わない、請求項1に記載のプログラム。
【請求項14】
仮想空間へのユーザの入室状況に基づいた処理をコンピュータに行わせるための方法であって、
特定ユーザに関する情報を複数のユーザに閲覧可能とするための処理を行うステップを備え、
前記閲覧可能とするための処理を行うステップは、前記特定ユーザが前記仮想空間に入室したときに、前記特定ユーザに関する情報として当該特定ユーザが前記仮想空間に入室したことが特定可能となる情報を、複数のユーザのうちいずれのユーザであるかにかかわらず閲覧可能となるようにするための処理を行い、
前記いずれのユーザであるかにかかわらず閲覧可能となるようにするための処理は、前記特定ユーザ以外のユーザが前記仮想空間に入室することによっては行われない処理であり、
複数のユーザ各々が入室可能な仮想空間として、提供されるコンテンツが異なる複数種類の仮想空間が設けられており、
前記特定ユーザは、予め定められたユーザであって、当該特定ユーザであるか否かは、前記特定ユーザに関する情報が閲覧可能となる複数のユーザ各々が入室する仮想空間の種類にかかわらず予め定められている、方法。
【請求項15】
仮想空間へのユーザの入室状況に基づいた処理を行うコンピュータを備えるシステムであって、
特定ユーザに関する情報を複数のユーザに閲覧可能とするための処理を行う閲覧可能化手段を備え、
前記閲覧可能化手段は、前記特定ユーザが前記仮想空間に入室したときに、前記特定ユーザに関する情報として当該特定ユーザが前記仮想空間に入室したことが特定可能となる情報を、複数のユーザのうちいずれのユーザであるかにかかわらず閲覧可能となるようにするための処理を行い、
前記いずれのユーザであるかにかかわらず閲覧可能となるようにするための処理は、前記特定ユーザ以外のユーザが前記仮想空間に入室することによっては行われない処理であり、
複数のユーザ各々が入室可能な仮想空間として、提供されるコンテンツが異なる複数種類の仮想空間が設けられており、
前記特定ユーザは、予め定められたユーザであって、当該特定ユーザであるか否かは、前記特定ユーザに関する情報が閲覧可能となる複数のユーザ各々が入室する仮想空間の種類にかかわらず予め定められている、システム。」
第3 証拠方法及び申立理由
申立人は、特許異議申立書(以下「異議申立書」という。)とともに以下の1に示す甲第1号証~甲第39号証(以下「甲1」等という。)を提出し、以下の2に示す申立理由により、本件発明に係る特許を取消すべきものである旨主張する。
1 証拠方法
甲1.「VIP Join/Leave Message VJM-2.2」と題されるWebページのインターネットアーカイブ、[アーカイブ収集日:2018年12月23日]、<URL:https://web.archive.org/web/20181223225756/https://www.spigotmc.org/resources/vip-join-leave-message.40080/>
甲2.「VIP Join/Leave Message 4.0.1」と題されるWebページ、[最終更新日:2024年4月21日]、<URL:https://www.spigotmc.org/resources/vip-join-leave-message.40080/history>
甲3.甲2の「version」「4.0」の欄からダウンロードした「VIPJoinMessage 4.0.jar」について、逆コンパイルしたソースコード関連部分、[甲2に記載されているリリース日:2020年11月25日]、[出力日:2026年2月17日]、<URL:https://www.spigotmc.org/resources/vip-join-leave-message.40080/download?version=369044>
甲4.「INACTIVE | VIP Join Message 1.0.0」と題されるWebページのインターネットアーカイブ、[アーカイブ収集日:2021年12月4日]、<URL:https://web.archive.org/web/20211204024715/https://www.spigotmc.org/resources/inactive-vip-join-message.5592/>
甲5.「Bukkit INACTIVE | VIP Join Message1.0.0」と題されるWebページのインターネットアーカイブ、[アーカイブ収集日:2019年1月9日]、<URL:https://web.archive.org/web/20190109181819/https://www.spigotmc.org/threads/inactive-vip-join-message.58676/>
甲6.「INACTIVE | VIP Join Message 1.0.0」と題されるWebページ、[最終更新日:2015年4月4日]、<URL:https://www.spigotmc.org/resources/inactive-vip-join-message.5592/history>
甲7.甲6の「version」「1.00」の欄からダウンロードした「VIPJoinMessage.jar」を逆コンパイルしたソースコード関連部分、[甲6に記載されているリリース日:2015年4月4日]、[出力日:2026年2月17日]、<URL:https://www.spigotmc.org/resources/inactive-vip-join-message.5592/download?version=19562>
甲8.「LoginMessages | 1.8.X - 1.12.X |Messages, Titles, ActionBar, Sounds, Tab per GROUP! 2.0.0」と題されるWebページのインターネットアーカイブ、[アーカイブ収集日:2018年12月29日]、<URL:https://web.archive.org/web/20181229001758/https://www.spigotmc.org/resources/loginmessages-1-8-x-1-12-x-messages-titles-actionbar-sounds-tab-per-group.25359/>
甲8の2.甲8のうち、config.ymlの部分が画面に収まらないため、その部分だけ別途選択し印刷したもの、[アーカイブ収集日:2018年12月29日]
甲9.「LoginMessages | 1.8.X - 1.12.X | Messages, Titles, ActionBar, Sounds, Tab per GROUP! 2.0.0」と題されるWebページ、[最終更新日:2018年6月2日]、<URL:https://www.spigotmc.org/resources/loginmessages-1-8-x-1-12-x-messages-titles-actionbar-sounds-tab-per-group.25359/history>
甲10.甲9の「version」「2.00」の欄からダウンロードした「LoginMessages-2.0.0.jar」を逆コンパイルしたソースコード関連部分、[甲9に記載されているリリース日:2018年6月2日]、[出力日:2026年2月17日]、<URL:https://www.spigotmc.org/resources/loginmessages-1-8-x-1-12-x-messages-titles-actionbar-sounds-tab-per-group.25359/download?version=224358>
甲11.「Bungee - Spigot RocketJoin - Custom Join Messags 2.1」と題されるWebページのインターネットアーカイブ、[アーカイブ収集日:2021年7月30日]、<URL:https://web.archive.org/web/20210730045659/https://www.spigotmc.org/threads/rocketjoin-custom-join-messags.456935/>
甲12.「Added server switch event」と題されるWebページ、[コミット日(ソースコードなどの変更履歴を確定した日):2021年10月13日]、<URL:https://github.com/Lorenzo0111/RocketJoin/commit/1f7bc20fe6f43220833623c64cb2d784788dcf3b>
甲13.「RocketJoin/src/main/java/me/lorenzo0111/rocketjoin/bungeecord/listener/JoinListener.java」と題されるWebページ、[最終更新日:2021年7月1日(甲13の3)]、<URL:https://github.com/Lorenzo0111/RocketJoin/blob/1.9.3/src/main/java/me/lorenzo0111/rocketjoin/bungeecord/listener/JoinListener.java>
甲13の2.甲13の「Code」画面
甲13の3.甲13の「5 years ago」の欄の上にホバーしたときの表示
甲14.「ツール/BungeeCord」と題されるWebページのインターネットアーカイブ、[アーカイブ収集日:2023年3月25日]、<URL:https://web.archive.org/web/20230325054601/https://minecraftjapan.miraheze.org/wiki/ツール/BungeeCord>
甲15.「PvPサーバーや分散サーバーを立てる」と題されるWebページのインターネットアーカイブ、[アーカイブ収集日:2017年7月8日]、<URL:https://web.archive.org/web/20170708004415/https://thinkit.co.jp/article/10116>
甲16.「【マイクラ】複数のサーバー間を移動できる!BungeeCordを紹介!」と題されるWebページ、[最終更新日:2023年5月12日]、<URL:https://yaaaa.net/bungeecord/>
甲17.「How to setup a creative world alongside a survival world?」と題されるWebページ、[掲載日:2021年2月23日]、<URL:https://www.reddit.com/r/admincraft/comments/lqk6l0/how_to_setup_a_creative_world_alongside_a/>
甲18.「About BungeeCord」と題されるWebページのインターネットアーカイブ、[アーカイブ収集日:2023年4月17日]、<URL:https://web.archive.org/web/20230417054050/https://www.spigotmc.org/wiki/about-bungeecord/>
甲19.「[GUIDE] How Hypixel Works! (Bungeecord, Permissions & More)」と題されるWebページ、[投稿記事♯1の最終編集日:2019年7月28日、投稿記事♯8の投稿日:2020年4月5日、WEBページについて確認可能な最新更新日:2026年2月4日(4頁Similar threads欄参照)]、<URL:https://hypixel.net/threads/guide-how-hypixel-works-bungeecord-permissions-more.1600508/>
甲20.「BungeeCord Configuration Guide」と題されるWebページのインターネットアーカイブ、[アーカイブ収集日:2023年6月19日]、<URL:https://web.archive.org/web/20230619132941/https://www.spigotmc.org/wiki/bungeecord-configuration-guide/>
甲21.「権限を簡単に管理できる『LuckPerms』の導入方法と使い方」と題されるWebページ、[最終更新日:2023年5月30日]、<URL:https://yaaaa.net/luckperms/>
甲22.「【マインクラフト】権限の付与をしよう!!『LuckPerms』の使い方【Plugin紹介】」と題されるWebページ、[動画掲載日:2022年3月31日]、<URL:https://www.youtube.com/watch?v=EZfduL3vcNQ>
甲22の2.甲22の動画部分
甲23.「Advanced Setup」と題されるWebページのインターネットアーカイブ、[アーカイブ収集日:2023年8月4日]、<URL:https://web.archive.org/web/20230804090759/https://luckperms.net/wiki/Advanced-Setup>
甲24.「Permissions "Multiworld"」と題されるWebページ、[最終更新日:2012年6月7日]、<URL:https://www.minecraftforum.net/forums/support/server-support-and/1927331-permissions-multiworld>
甲25.「How do I force a gamemode in my minecraft server when switching between worlds.」と題されるWebページ、[最終更新日:2021年5月25日]、<URL:https://www.reddit.com/r/Minecraft/comments/nk9hhj/how_do_i_force_a_gamemode_in_my_minecraft_server/>
甲25の2.甲25(1頁)の「r/Minecraft」横、「5 years ago」の欄の上にホバーしたときの表示
甲26.「Per World Join Leave Messages 0.1.7」と題されるWebページ、[最終更新日:2022年12月11日]、<URL:https://www.spigotmc.org/resources/per-world-join-leave-messages.99738/>
甲27.「Per World Join Leave Messages 0.1.7」と題されるWebページ、[最終更新日:2022年12月11日]、<URL:https://www.spigotmc.org/resources/per-world-join-leave-messages.99738/history>
甲28.甲27の「version」「0.1.7」の欄からダウンロードした「pwjlm-0.1.7.jar」を逆コンパイルしたソースコード関連部分、[甲27に記載されているリリース日:2022年12月11日]、[出力日:2026年2月17日]、<URL:https://www.spigotmc.org/resources/per-world-join-leave-messages.99738/download?version=477958>
甲29.「Per World Permissions Using Luckperms and Multiverse」と題されるWebページ、[動画掲載日:2021年11月22日]、<URL:https://www.youtube.com/watch?v=pHl_kKrmyEg>
甲29の2.甲29の動画部分
甲30.「Class PlayerJoinEvent」と題されるWebページのインターネットアーカイブ、[アーカイブ収集日:2023年9月30日]、<URL:https://web.archive.org/web/20230930092833/https://hub.spigotmc.org/javadocs/spigot/org/bukkit/event/player/PlayerJoinEvent.html>
甲31.「RankJoin (Custom Join and Leave Messages) 4.0.0」と題されるWebページ、[最終更新日:2021年11月25日]、<URL:https://www.spigotmc.org/resources/rankjoin-custom-join-and-leave-messages.67551/>
甲32.「Server - Switch - Message - [BUNGEECORD] 0.9a」と題されるWebページ、[最終更新日:2016年11月13日]、<URL:https://www.spigotmc.org/resources/server-switch-message-bungeecord.31737/history>
甲33.甲32の「version」「0.9a」の欄からダウンロードした「ServerSwitcher.jar」を逆コンパイルしたソースコード関連部分、[甲32に記載されているリリース日:2016年11月13日]、[出力日:2026年2月17日]、<URL:https://www.spigotmc.org/resources/server-switch-message-bungeecord.31737/download?version=123938>
甲34.「Bungee Join Messages 1.11.0」と題されるWebページのインターネットアーカイブ、[アーカイブ収集日:2022年7月7日]、<URL:https://web.archive.org/web/20220707141624/https://www.spigotmc.org/resources/bungee-join-messages.87134/>
甲35.「Class Bukkit」と題されるWebページのインターネットアーカイブ、[アーカイブ収集日:2023年7月1日]、<URL:https://web.archive.org/web/20230701174251/https://hub.spigotmc.org/javadocs/spigot/org/bukkit/Bukkit.html>
甲36.「LuckPerms導入&使い方 Minecraft1.18.2」と題されるWebページ、[動画掲載日:2022年5月29日]、<URL:https://www.youtube.com/watch?v=BMsQmqgIFDE>
甲36の2.甲36の動画部分
甲37.「How to Install and Use LuckPerms in Minecraft」と題されるWebページ、[投稿日:2020年10月21日]、<URL:https://apexminecrafthosting.com/guides/minecraft/plugins/how-to-install-and-use-luckperms/>
甲38.「資源ワールドを作るには」と題されるWebページ、[掲載日:2021年11月3日]、<URL:https://shirohtoda.hatenablog.jp/entry/2021/10/26/074549>
甲39.「Q.Multiverse-Coreでワールド移動した際にメッセージを表示させたい」と題されるWebページ、[掲載日:2016年3月21日]、<URL:https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q14157225764>
2 申立理由
申立人が主張する特許異議申立理由の概要は、次のとおりである。
(1)申立理由1
本件請求項1、4~7、9、14、15に係る発明は、甲1に記載された発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1、4~7、9、14、15に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものである。(同法113条2号)
(2)申立理由2
本件請求項1、4~7、9、14、15に係る発明は、甲2、甲3、甲30及び甲35で立証される公然実施発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1、4~7、9、14、15に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものである。(同法113条2号)
(3)申立理由3
本件請求項1、4~7、9、14、15に係る発明は、甲4及び甲5に記載された発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1、4~7、9、14、15に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものである。(同法113条2号)
(4)申立理由4
本件請求項1、4~7、9、14、15に係る発明は、甲6及び甲7で立証される公然実施発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1、4~7、9、14、15に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものである。(同法113条2号)
(5)申立理由5
本件請求項1、4~7、9、14、15に係る発明は、甲8及び甲8の2に記載された発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1、4~7、9、14、15に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものである。(同法113条2号)
(6)申立理由6
本件請求項1、4~7、9、14、15に係る発明は、甲9及び甲10で立証される公然実施発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1、4~7、9、14、15に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものである。(同法113条2号)
(7)申立理由7
本件請求項1、4~7、9、14、15に係る発明は、甲11に記載された発明及び周知技術に基いて特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1、4~7、9、14、15に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものである。(同法113条2号)
(8)申立理由8
本件請求項1、4~7、9、14、15に係る発明は、甲13及び甲13の2で立証される公然実施発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1、4~7、9、14、15に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものである。(同法113条2号)
(9)申立理由9
本件請求項1、4~7、9、14、15に係る発明は、甲第26号証に記載された発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1、4~7、9、14、15に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものである。(同法113条2号)
(10)申立理由10
本件請求項1、4~7、9、14、15に係る発明は、甲第27号証及び甲第28号証で立証される公然実施発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1、4~7、9、14、15に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものである。(同法113条2号)
第4 当審の判断
1 申立理由1について
(1)甲1の記載事項
甲1号証には、次の記載がある。なお、訳は、申立人が提出したものを参考に当審で作成したものであり、下線は当審で付与したものである(以下、同様)。
ア 1頁
最上段の図
「
[図:0001438306000001.jpg]
」
甲1のWebページはSpigotに関するページであると解される。
イ 1頁
「VIP Join/Leave Message VJM-2.2」の白い画面内(以下「VJM2.2画面内」という。)の1~2行に次の記載がある。
「VIP Join/Leave Message VJM-2.2
Vip Join/Leave Message on chat announce | Enable/Disable Join/Leave Message」
(当審訳:VIP参加/退出メッセージ VJM-2.2
チャットアナウンスにおけるVIP参加/退出メッセージ | 参加/退出メッセージを有効化/無効化)
ウ 1頁
VJM2.2画面内の5~8行に次の記載がある。
「Tested Minecraft Versions:1.8,1.9,1.10,1.11,1.12
Contributors:Deewk」
「VIP JOIN MESSAGE」
「VIP/Staff Join announce.」
(当審訳:テスト済みのマインクラフトのバージョン:1.8、1.9、1.10、1.11、1.12
投稿者:Deewk
VIP参加メッセージ
VIP/スタッフ参加アナウンス)
エ 1頁
VJM2.2画面内の上から2つ目の画像に次の記載がある。
「
[図:0001438306000002.jpg]
」
(当審訳:(!)VIP Deewkがゲームを退出しました!
(!)VIP Deewkがハブに参加しました!)
「(!)VIP Deewkがハブに参加しました!」について、「VIP JOIN MESSAGE」の欄(前記イ)のメッセージの例示であることを考慮すると、「VIP Deewkがハブに参加しました」はVIP参加メッセージであると解される。
オ 1頁
VJM2.2画面内の上から2つ目の画像の直下の1~2行に次の記載がある。
「*Join/Leave message configurable per ranks.
*You can disable/enable Join/Leave message per ranks.」
(当審訳:*階級毎に設定可能な参加/退出メッセージ。
*階級毎に参加/退出メッセージを無効化/有効化できます。)
カ 5頁
VJM2.2画面内の7~8行に次の記載がある。
「HOW TO INSTALL」
「1. Put the plugin in plugins folder server\plugins.」
(当審訳:インストールの方法
1.そのプラグインを、プラグインフォルダであるserver\pluginsに配置してください。)
(2)甲1発明
前記(1)の記載事項によれば、甲1には、以下の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されている。なお、後の参照の便宜のため、甲1発明を以下のように分説し、「構成1a」のようにして参照する。
<甲1発明>
1a Spigotに関して、(前記(1)ア)
1b チャットアナウンスにおけるVIP参加メッセージと、参加メッセージの有効化/無効化についてであり、(前記(1)イ)
1c テスト済みのマインクラフトのバージョンが1.8、1.9、1.10、1.11、1.12であり、(前記(1)ウ)
1d 「(!)VIP Deewkがハブに参加しました!」はVIP参加メッセージであり、(前記(1)エ)
1e 階級毎に参加メッセージを無効化/有効化でき、(前記(1)オ)
1f インストールの方法として、プラグインをプラグインフォルダであるserver\pluginsに配置する、(前記(1)カ)
1g VJM-2.2。(前記(1)イ)
(3)本件発明1と甲1発明の対比
本件発明1と甲1発明とを対比する。
ア 発明特定事項1Aについて
発明特定事項1Aは「仮想空間へのユーザの入室状況に基づいた処理をコンピュータに行わせるためのプログラムであって、」というものである。
(ア)甲1発明の「VJM-2.2」(構成1g)は「Spigotに関」(構成1a)するものであって、その「プラグインをプラグインフォルダであるserver\pluginsに配置する」(構成1f)ことで、「インストール」(構成1f)するものである。このことを踏まえると、甲1発明の「VJM-2.2」はSpigotにインストールする「プラグイン」であるといえる。また、甲1発明の「Spigot」は、「テスト済みのマインクラフトのバージョンが1.8、1.9、1.10、1.11、1.12」(構成1c)であることから、マインクラフトの「Spigot」であり、上述の「プラグイン」は、マインクラフトの「Spigot」のプラグインであるといえる。
(イ)マインクラフト(前記(ア))は、ブロックでできたワールドと呼ばれる仮想空間で、プレイヤが建物などを作ることができるゲームであり、「マインクラフトのSpigot」(前記(ア))は、マルチプレイ用サーバを構築するためのソフトウェアであることは一般的に知られていることである。
そうすると、甲1発明の「マインクラフト」のプレイヤ及び仮想空間は、本件発明1の「ユーザ」及び「仮想空間」に相当するといえる。
(ウ)甲1発明の「プラグイン」(前記(ア))はSpigotにインストールするものである。そして、「プラグイン」とは、既存のソフトウェアに新しい機能を追加するための拡張プログラムであることは技術常識である。
よって、甲1発明の「プラグイン」は、本件発明1の「プログラム」に相当する。
また、甲1発明の「マインクラフトのSpigot」(前記(ア))が、ソフトウェア(前記(イ))であり、特定の機能を実現するための処理をコンピュータに行わせていることを踏まえると、甲1発明の「マインクラフトのSpigot」のプラグインについても、その処理をコンピュータに行わせることは明らかである。
(エ)甲1発明の「VIP Deewk」(構成1d)は、マインクラフトのプレイヤである。また、甲1発明は、「チャットアナウンスにおけるVIP参加メッセージ」(構成1b)として、「(!)VIP Deewkがハブに参加しました!」(構成1d)としており、甲1発明の「参加メッセージ」は、ユーザが「ハブに参加」した際にチャットにアナウンスされるものと解される。よって、甲1発明は、ハブへのユーザの「参加」状況に基づいた「処理」をしているといえる。
(オ)ここで、本件発明1の「仮想空間」への「入室」について、明細書の【0080】には「ユーザの入室とは、仮想空間へのログインや、ログイン後の仮想空間のルームへの入室が含まれる」と記載されている。この記載を考慮すると、「仮想空間」への「入室」には、「仮想空間へのログイン」及び「仮想空間のルームへの入室」が含まれると認められる。
甲1発明の「参加」については、「ハブへの参加」であり、「仮想空間へのログイン」、「仮想空間のルームへの入室」を含む「仮想空間」への「入室」ではない。
よって、本件発明1では、「仮想空間へのユーザの入室状況に基づいた処理」をしているのに対し、甲1発明では、「ハブ」へのユーザの「参加」状況に基づいた処理をしている点で相違する。
(カ)前記(ア)~(オ)のとおり、本件発明1と甲1発明は、「処理をコンピュータに行わせるためのプログラムであって、」という点で共通する。
ただし、本件発明1では、「仮想空間」への「入室状況に基づいた処理」をしているのに対し、甲1発明では、「ハブ」への「参加」状況に基づいた処理をしている点で相違する。
イ 発明特定事項1B及び1Cについて
発明特定事項1Bは「前記コンピュータを、」というものであり、発明特定事項1Cは「特定ユーザに関する情報を複数のユーザに閲覧可能とするための処理を行う閲覧可能化手段として機能させ、」というものである。
(ア)甲1発明の「マインクラフトのSpigot」のプラグインは、前記ア(ウ)で説示したとおり、本件発明1のように「コンピュータ」を、各種「手段として機能」させている「プログラム」であることは明らかである。
(イ)甲1発明の「VIP」(構成1b)は、本件発明1の「特定ユーザ」に相当する。また、甲1発明の「VIP参加メッセージ」は、「(!)VIP Deewkがハブに参加しました!」(構成1d)というものであり、「VIP」という属性や、「Deewk」というプレイヤ名が含まれていることを踏まえると、「特定ユーザ」に関する「情報」といえる。
よって、甲1発明の「VIP参加メッセージ」は、本件発明1の「特定ユーザに関する情報」に相当する。
(ウ)甲1発明は、「チャットアナウンスにおけるVIP参加メッセージ」(構成1b)に関するものであり、「VIP参加メッセージ」を「チャットアナウンス」として受けるプレイヤにとっては、VIP参加メッセージが「閲覧可能」であるといえる。そのため、甲1発明の「チャットアナウンス」は「閲覧可能とするための処理」であり、甲1発明は、その「処理を行う閲覧可能化手段」を有しているといえる。
一方、本件発明1は「複数のユーザ」に「閲覧可能とするための処理」を行っているのに対し、甲1発明は、どのような対象者に「閲覧可能とするための処理」を行っているのかが特定されていない。
(エ)前記(ア)~(ウ)をまとめると、本件発明1と甲1発明は、「前記コンピュータを、」「特定ユーザに関する情報」について「閲覧可能とするための処理を行う閲覧可能化手段として機能させ、」という点で一致する。
ただし、本件発明1は、「複数のユーザに閲覧可能とするための処理」を行っているのに対し、甲1発明は、どのような対象者に閲覧可能とするための処理を行っているのかが特定されていない点で相違する。
ウ 発明特定事項1Dについて
発明特定事項1Dは「前記閲覧可能化手段は、前記特定ユーザが前記仮想空間に入室したときに、前記特定ユーザに関する情報として当該特定ユーザが前記仮想空間に入室したことが特定可能となる情報を、複数のユーザのうちいずれのユーザであるかにかかわらず閲覧可能となるようにするための処理を行い、」というものである。
(ア)甲1発明の「VIP参加メッセージ」は、本件発明1の「特定ユーザに関する情報」に相当する(前記イ(イ))。そして、甲1発明は、「VIP参加メッセージ」として「(!)VIP Deewkがハブに参加しました!」(構成1d)としており、特定ユーザであることを「VIP」として表し、参加したプレイヤ名を「Deewk」として表すことで、参加したプレイヤを特定している。このことから、甲1発明では、「VIP参加メッセージ」を、「VIP」が「ハブ」に「参加」したことが特定可能となる情報としている。一方で、「VIP」が「仮想空間」に「入室」したことが特定可能となる情報とはいえない。
よって、特定ユーザに関する情報を、本件発明1では該ユーザが「前記仮想空間に入室したことが特定可能となる情報」としているのに対し、甲1発明では該ユーザが「ハブに参加したことが特定可能となる情報」としている点で相違する。
(イ)「閲覧可能化手段」については、前記イ(エ)と同様に、本件発明1と甲1発明は、「特定ユーザに関する情報」を「閲覧可能となるようにするための処理」である点で共通している。
一方、甲1発明の「VIP参加メッセージ」は「チャットアナウンス」(構成1b)されている。そして、「参加」が「ハブ」への参加(前記ア)であって、「チャットアナウンス」が「閲覧可能とするための処理」(前記イ)であることを踏まると、閲覧可能となるようにするための処理は、VIPがハブに参加したときに行っているものの、どのような対象者に対して行っているかは特定されていない。
よって、前記ア(カ)で示した相違点も踏まえると、「特定ユーザに関する情報」を「閲覧可能となるようにするための処理」について、本件発明1は該ユーザが「前記仮想空間に入室したときに」、「複数のユーザのうちいずれのユーザであるかにかかわらず」行っているのに対し、甲1発明は、該ユーザが「ハブに参加したときに行っている点で相違し、また、どのような対象者に対して行っているのかが特定されていない点で相違する。
(ウ)前記(ア)及び(イ)をまとめると、「閲覧可能化手段」(前記イ)について、本件発明1と甲1発明は、「特定ユーザに関する情報」を「閲覧可能となるようにするための処理」としている点で共通している。
一方、「特定ユーザに関する情報」を、本件発明1では該ユーザが「前記仮想空間に入室したことが特定可能となる情報」としているのに対し、甲1発明では該ユーザが「ハブに参加したことが特定可能となる情報」としている点で相違する。
また、「特定ユーザに関する情報」を「閲覧可能となるようにするための処理」について、本件発明1は該ユーザが「前記仮想空間に入室したときに」、「複数のユーザのうちいずれのユーザであるかにかかわらず」行っているのに対し、甲1発明は、該ユーザが「ハブに参加したときに行っている」点で相違し、また、どのような対象者に対して行っているのかが特定されていない点で相違する。
エ 発明特定事項1Eについて
発明特定事項1Eは「前記いずれのユーザであるかにかかわらず閲覧可能となるようにするための処理は、前記特定ユーザ以外のユーザが前記仮想空間に入室することによっては行われない処理であり、」というものである。
(ア)発明特定事項1Eの「前記いずれのユーザであるかにかかわらず閲覧可能となるようにするための処理」について、前記ウ(ウ)と同様に、本件発明1と甲1発明は、「閲覧可能となるようにするための処理」を行っている点で共通しているものの、当該処理について、本件発明1は「いずれのユーザであるかにかかわらず」行っているのに対し、甲1発明は、どのような対象者に対して行っているのかが特定されていない点で相違する。
(イ)甲1発明は、「参加メッセージを有効化/無効化」(構成1b)するものであり、また、「階級毎に参加メッセージを無効化/有効化でき」(構成1e)るものである。ここで、甲1発明の「参加メッセージ」を「有効化」、「無効化」するものについて、「参加メッセージ」に関する処理のうち何を「有効化」、「無効化」するのかが明記されていないものの、「VIP参加メッセージ」を「チャットアナウンス」(構成1b)していることを踏まえると、「参加メッセージ」を「有効化」、「無効化」できるとは、「参加メッセージ」の「チャットアナウンス」について「有効化」したり「無効化」したりすることができると解することができる。
そうすると、前記イ(ウ)で説示したとおり、甲1発明の「チャットアナウンス」とは、「閲覧可能」とするための「処理」であるので、甲1発明における「チャットアナウンス」の「無効化」とは、「閲覧可能となるようにするための処理」が「行われない処理」に相当するといえる。
(ウ)一方、甲1発明は、「階級毎に参加メッセージを無効化/有効化でき」(構成1e)るものであり、前記(イ)を踏まえると「参加メッセージ」は、「階級毎」に「チャットアナウンス」を「有効化」したり、「無効化」したりすることができると解することができる。しかしながら、「参加メッセージ」が、階級に分けた場合の特定の「階級」の対象者の「チャットアナウンス」を「無効化」ができたとしても、「VIP」以外の「ユーザ」の「チャットアナウンス」を「無効化」することを特定するものではない。
よって、本件発明1と甲1発明は、「閲覧可能となるようにするための処理」は対象者によっては「行われない処理」(以下「閲覧非実行処理」という。)である点で共通する。
一方、前記ウ(イ)を踏まえると、甲1発明は、「閲覧可能となるようにするための処理」は、VIPがハブに参加したときに行われる処理であるから、閲覧非実行処理については、本件発明1は「特定ユーザ以外のユーザ」を対象者とする「前記仮想空間に入室すること」による処理としているのに対し、甲1発明は「階級に分けた場合の特定の階級のユーザ」を対象者とする「ハブに参加すること」による処理としている点で相違する。
(エ)前記(ア)及び(ウ)をまとめると、本件発明1と甲1発明は、「閲覧可能となるようにするための処理」を行っている点、及びその「閲覧可能となるようにするための処理」が対象者によっては「行われない処理」である点で共通する。
一方、「閲覧可能となるようにするための処理」について、本件発明1は「いずれのユーザであるかにかかわらず」行っているのに対し、甲1発明は、どのような対象者に対して行っているのかが特定されていない点で相違する(前記ウ(ウ)の相違点と同様)。
また、「閲覧非実行処理」について、本件発明1は「特定ユーザ以外のユーザ」を対象者とする「前記仮想空間に入室すること」による処理としているのに対し、甲1発明は、「階級に分けた場合の特定の階級のユーザ」を対象者とする「ハブに参加すること」による処理としている点で相違する。
オ 発明特定事項1Fについて
発明特定事項1Fは「複数のユーザ各々が入室可能な仮想空間として、提供されるコンテンツが異なる複数種類の仮想空間が設けられており、」というものである。
(ア)前記ア(イ)でも示したように、マインクラフトは、仮想空間上のゲームであり、「マインクラフトのSpigot」は、マルチプレイ用サーバを構築するためのソフトウェアである。ここで、マルチプレイとは1つのゲームを複数人で同時にプレイすることを指すゲーム用語であることから、甲1発明の「マインクラフトのSpigot」は、複数のユーザ各々が入室可能な仮想空間が設けられたゲーム用のソフトウェアであることは明らかである。
よって、本件発明と甲1発明は、「複数のユーザ各々が入室可能な仮想空間」が設けられている点で共通する。
ただし、「仮想空間」として、本件発明1は「提供されるコンテンツが異なる複数種類の仮想空間が設けられて」いるのに対し、甲1発明は、そのような仮想空間が設けられていない点で相違する。
カ 発明特定事項1Ga及び1Gbについて
発明特定事項1Gaは「前記特定ユーザは、予め定められたユーザであって、」というものであり、発明特定事項1Gbは、「当該特定ユーザであるか否かは、前記特定ユーザに関する情報が閲覧可能となる複数のユーザ各々が入室する仮想空間の種類にかかわらず予め定められている、」というものである。
(ア)前記イ(イ)で示したように、甲1発明の「VIP」は、本件発明1の「特定ユーザ」に相当する。
また、甲1発明は、「VIP参加メッセージ」として「(!)VIP Deewkがハブに参加しました!」(構成1d)としており、「Deewk」が「VIP」とともに表記されていることから、「VIP」であるユーザは、「予め定めら」れているといえる。
よって、本件発明1と甲1発明は、「前記特定ユーザは、予め定められたユーザであって、」という点で一致する。
(イ)「特定ユーザ」について、本件発明1は該「ユーザであるか否か」は、「前記特定ユーザに関する情報が閲覧可能となる複数のユーザ各々が入室する仮想空間の種類にかかわらず予め定められている」のに対し、甲1発明は、そのように予め定められていない点で相違する。
キ 発明特定事項1Hについて
発明特定事項1Hは、「プログラム。」というものである。
(ア)前記ア(ウ)で示したとおりであり、甲1発明の「プラグイン」は本件発明1の「プログラム」に相当する。
よって、本件発明1と甲1発明は「プログラム。」という点で一致する。
(4)一致点及び相違点
前記(3)によれば、本件発明1と甲1発明の一致点と相違点は以下のとおりである。
[一致点]
処理をコンピュータに行わせるためのプログラムであって、
前記コンピュータを、
特定ユーザに関する情報を閲覧可能とするための処理を行う閲覧可能化手段として機能させ、
前記閲覧可能化手段は、前記特定ユーザに関する情報を閲覧可能となるようにするための処理を行い、
閲覧可能となるようにするための処理は、対象者によっては行われない処理であり、
複数のユーザ各々が入室可能な仮想空間が設けられており、
プログラム。
[相違点1-1]
本件発明1では、「仮想空間」への「入室状況に基づいた処理」をしているのに対し、甲1発明では、「ハブ」への「参加」状況に基づいた処理をしている点
[相違点1-2]
本件発明1は、「複数のユーザに閲覧可能とするための処理」を行っているのに対し、甲1発明は、どのような対象者に閲覧可能とするための処理を行っているのかが特定されていない点
[相違点1-3]
「特定ユーザに関する情報」を、本件発明1では該ユーザが「前記仮想空間に入室したことが特定可能となる情報」としているのに対し、甲1発明では該ユーザが「ハブに参加したことが特定可能となる情報」としている点
[相違点1-4]
「特定ユーザに関する情報」を「閲覧可能となるようにするための処理」について、本件発明1では該ユーザが「前記仮想空間に入室したときに」、「複数のユーザのうちいずれのユーザであるかにかかわらず」行っているのに対し、甲1発明では、該ユーザが「ハブに参加したとき」に行っている点、またどのような対象者に対して行っているのかが特定されていない点
[相違点1-5]
「閲覧非実行処理」について、本件発明1は「特定ユーザ以外のユーザ」を対象者とする「前記仮想空間に入室すること」による処理としているに対し、甲1発明は、「階級に分けた場合の特定の階級のユーザ」を対象者とする「ハブに参加すること」による処理としている点
[相違点1-6]
「仮想空間」として、本件発明1は「提供されるコンテンツが異なる複数種類の仮想空間が設けられて」いるのに対し、甲1発明は、そのような仮想空間が設けられていない点
[相違点1-7]
「特定ユーザ」について、本件発明1は該「特定ユーザであるか否か」は、「前記特定ユーザに関する情報が閲覧可能となる複数のユーザ各々が入室する仮想空間の種類にかかわらず予め定められている」のに対し、甲1発明は、そのように予め定められていない点
(5)相違点についての判断
ア 事案に鑑み、申立人が異議申立書で相違点として挙げている相違点1-7及び相違点1-7と関連する相違点1-6について検討する。
イ はじめに、相違点1-6は、仮想空間として、「提供されるコンテンツが異なる複数種類の仮想空間が設けられて」いるというものであり、マルチプレイのマインクラフトにおいて、そのような複数の仮想空間を設けることはよく知られていることである(例えば、「ecolight、”マインクラフトでマルチサーバーを建てよう!”、75~76頁、受入日:平成30年7月26日」を参照:当該周知文献の「ワールド」が本件発明1の「仮想空間」に相当する。)。
そうすると、甲1発明におけるマインクラフトについて、上述のような複数の仮想空間で構成することは、当業者が適宜なし得たものである。
ウ 一方、相違点1-7は、「当該特定ユーザであるか否かは、前記特定ユーザに関する情報が閲覧可能となる複数のユーザ各々が入室する仮想空間の種類にかかわらず予め定められている」というものである。
これに対し、マインクラフトにおいて、複数の仮想空間を設定した場合、それぞれの仮想空間に対して権限を設定することは周知である。例えば、「ecolight、”マインクラフトでマルチサーバーを建てよう!”、54~58頁、特に図11、受入日:平成30年7月26日」には、設定ファイル(図11のpermissons.ymlの記述)において、ワールドごとに権限を設定することが記載されている。
また、例えば、甲21(8頁下から1行~9頁下から2行)、甲24(1頁の♯1の画面の2~5行(I want to set up・・・(略)・・・has it set for all worlds,)及び甲37(21頁「Permission Context」の欄)についても、同様の内容が記載されている。
エ そこで、甲1発明に前記イで示した周知技術(複数種類の仮想空間)を適用し、前記ウで示した周知技術を踏まえた際の相違点1-7の設定について検討する。
甲1発明は、特定ユーザに関する情報を閲覧可能となるように設定しているものの、複数の仮想空間においても同様に閲覧可能となるように設定したものとしては記載されていない。
また、前記ウで示した周知技術については、複数の仮想空間に対して、各仮想空間に対して権限が個別に予め定められるものであるが、仮想空間の種類にかかわらず権限が予め定められるものではない。
そのため、甲1発明の仮想空間を、前記イで示した周知技術のように複数の種類の仮想空間とした場合、特定ユーザであるか否かを、前記ウで示した周知技術を踏まえて、複数種類の仮想空間に対して個別に定めることができたとしても、仮想空間の種類にかかわらず予め定めることまで当業者が容易に想到するものではない。
また、仮に、甲1発明において、VIPの参加メッセージをチャットアナウンスすること等の目的、解決すべき課題があったとしても、甲1発明はVIPの参加メッセージをチャットアナウンスする対象者が示されていないため(前記(4)の相違点1-2及び1-4)、甲1発明の仮想空間を、複数の種類の仮想空間としたとしても、複数種類の仮想空間のどの対象者にアナウンスするのかが特定されないことには変わりはないため、特定ユーザであるか否かを仮想空間の種類にかかわらず予め定めるような動機付けがあるとは認められない。
さらに、マインクラフトの技術常識なども含めて総合的に考慮しても、本件発明1のように、特定ユーザであるか否かを仮想空間の種類にかかわらず予め定める動機付けは見当たらない。
したがって、甲1発明に前記イ及びウで示した周知技術を適用して本件発明1のようにすることが、当業者にとって容易に想到し得たこととは認められない。
(6)前記(5)のとおりであるから、その余の相違点について判断するまでもなく、本件発明1は、甲1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
また、本件発明1を直接引用する本件発明4~7及び本件発明9、並びに本件発明1とカテゴリーのみが異なる本件発明14及び15についても、同様である。
2 申立理由2について
(1)甲3の記載事項、甲3の発明
ア 甲3は、申立人によれば、甲2「VIPJoinMessage 4.0.jar」を逆コンパイルし、パッケージvjm.diuwz.main.events内に位置するjoin.javaファイルをPDFファイルとして提出したものである(異議申立書9頁下から3行~10頁上から6行)。
なお、異議申立書10頁上から1~2行には、「証拠説明書甲5記載のURL直リンク」、「甲4欄の「4.0」の項目の「Download」」と記載されているが、甲4及び5は主引例2に関する事項であって、甲2及び3が「主引例1」に関する事項であり、前後の記載事項も踏まえると、「証拠説明書甲5記載のURL直リンク」は、「証拠説明書甲1記載の直リンク」の誤りであり、「甲4欄の「4.0」の項目の「Download」」は、「甲2欄の「4.0」の項目の「Download」」の誤りであると認められる。
イ 甲3は、申立人によれば、異議申立書において、下記のとおり発明が認定できるとされた(異議申立書10頁17~32行)。
<甲3発明>
「プレイヤがMinecraftサーバに参加したときに,(L21)
該プレイヤがvjm.join.1権限を保有している場合,
デフォルトの参加メッセージを無効化し,プラグイン設定のjoin-messages.priorities-and-messages.1 欄に定める参加メッセージの,%player%をプレイヤ名で置き換えたものをプレイヤ全員に送信し,処理を終了し,(L27-29)
同様の処理をvjm.join.2 からvjm.join.20 に対しても行い,(L30-89)
プレイヤがvjm.join.1からvjm.join.20までの権限をいずれも保有していない場合,(L90 else文)
プラグイン設定のdefault.join.enabledがtrueの場合は,デフォルトの参加メッセージを無効化し,プラグイン設定のdefault.join.message 欄に定める参加メッセージの,%player%をプレイヤ名で置き換えたものをプレイヤ全員に送信し,(L92-94)
そうでない場合は,デフォルトの参加メッセージを無効化する,(L96)
プログラム.」
ウ 甲3は、前記アのとおり、.javaファイル(以下「甲3のjava」という)である。申立人は、甲3発明を認定するため、Bukkit APIのドキュメント(甲30及び甲35)を提示し、「甲30によれば,メソッドPlayerJoinEvent#setJoinMessage(String)にnullを渡した場合,(デフォルトの)参加メッセージが送信されない.(“joinMessage - join message. If null, no message will be sent”)甲35によれば,メソッドBukkit#broadcastMessage(String)は,全プレイヤにメッセージをブロードキャストする.(“Broadcast a message to all players.”)」(異議申立書10頁9~14行)と主張している。
甲30は、パッケージ、クラスに対する、setJoinMessageメソッドに関する説明であり、甲35はパッケージ、クラスに対するbroadcastMessageのメソッドに関する説明であって、甲3のjavaで使われている一部のメソッドに対応する。しかしながら、甲3のjavaで使われているそれ以外のメソッドについては、証拠に基づいた説明が何ら示されていないため、甲3のjavaに記載されている内容を正確に理解できない。
また、甲3のjavaは、設定ファイル又は権限ファイルを参照していると考えられる記載があり、甲1に「Spoiler:CONFIG.YML」、「Spoiler:CONFIG PERMISSIONS EXAMPLE」と示されるように、設定ファイル、権限ファイルの関連ファイルが提示されているものの、甲3のjavaと甲1の各種ファイルとの関係が不明であるため、甲3のjavaが、どのような設定ファイル、権限ファイルを参照しているのかが不明であり、設定又は権限に関する意味が正確に理解できない。
さらに、甲3のjavaは、マインクラフトのSpigotのプラグインであるものの、Spigotのソフトウェアの処理に関する証拠が示されていないため、Spigotのソフトウェアとそのプラグインとの対応関係が不明であり、プラグインとしての処理そのものが正確に理解できない。
エ よって、申立人が主張する甲3発明は、甲3、甲30及び甲35により立証されているとはいえない。また、他の甲号証を参照しても甲3発明は立証されていない。
(2)前記(1)のとおりであるから、本件発明1は、甲3及び甲1、2、甲30及び甲35に基づいて、当業者が容易に想到し得るものではない。
また、本件発明1を直接引用する本件発明4~7及び本件発明9、並びに本件発明1とカテゴリーのみが異なる本件発明14及び15についても、同様である。
3 申立理由3について
(1)甲4及び甲5の記載事項
ア 甲4
甲4には、次の記載がある。なお、訳は、申立人が提出したものを参考に当審で作成したものでありる。
(ア)1頁
Webページの最上段に次の記載がある。
「
[図:0001438306000003.jpg]
」
(当審訳(右側の文章):より良いマインクラフトサーバを探していますか?
SpigotMCについてはこちらをご覧ください。)
WebページはマインクラフトのSpigotに関するページと解される。
(イ)1頁
「VIP JOIN MESSAGE」の横断幕画像の直下1~2行に次の記載がある。
「Join VIP Message is a plugin that lets you write a message for when a VIP player entered the server message appears you've selected」
(当審訳: Join VIP messageは、VIPプレイヤが入ったときのためのメッセージをあなたに記述させるプラグインであり、あなたが選択したサーバメッセージが表示される。)
(ウ)1頁
「VIP JOIN MESSAGE」の横断幕画像の直下3~5行に次の記載がある。
「Default Message
"&b%player% &6joined the lobby!"
You can put "%player%" in the message to display the player name」
(訳:デフォルトのメッセージ
「&b%player%&6がロビーに参加しました!」
プレイヤ名を表示するために、メッセージの中に「%player%」を入れることができる。)
イ 甲5
甲5には、次の記載がある。なお、訳は、申立人が提出したものを参考に当審で作成したものである。
(ア)2頁
投稿番号♯2の1~7行に次の記載がある。
「
[図:0001438306000004.jpg]
」
(当審訳: 次のアップデートでは、通常ユーザの参加を無効化し、VIPJM.Message1 VIPJM.Message2 VIPJM.Message3のように参加メッセージを追加し、権限を設定で追加できるようにしてほしいです。
ありがとうございます。)
(2)甲5発明(甲4及び甲5に記載された発明)
甲4及び甲5は1つのWebページの中でタブによって、「Overview」及び「Discussion」を切り替えた際のそれぞれの記載である。そのため、前記(1)の記載事項によれば、上述の1つのWebページ(甲4及び甲5)には、以下の発明(以下「甲5発明」という。)が記載されている。なお、後の参照の便宜のため、甲5発明を以下のように分説し、「構成5a」のようにして参照する。
<甲5発明>
5a マインクラフトのSpigotに関するプラグインであって、(前記(1)ア(ア)及び(イ))
5b VIPプレイヤが入ったときのためのメッセージを記述させるプラグインであって、選択したサーバメッセージが表示され、(前記(1)ア(イ))
5c デフォルトのメッセージは、「&b%player%&6がロビーに参加しました!」であり、プレイヤ名を表示するために、メッセージの中に「%player%」を入れることができ、(前記(1)ア(ウ))
5d 通常ユーザの参加を無効化する、(前記(1)イ(ア))
5e プラグイン。(前記(1)ア(イ))
(3)本件発明1と甲5発明の対比
本件発明1と甲5発明とを対比する。
ア 発明特定事項1Aについて
発明特定事項1Aは「仮想空間へのユーザの入室状況に基づいた処理をコンピュータに行わせるためのプログラムであって、」というものである。
(ア)甲5発明は、「マインクラフトのSpigotに関」(構成5a)して、「VIPプレイヤが入ったときのためのメッセージを記述させるプラグイン」(構成5b)であるので、「プラグイン」は「Spigot」へインストールするプラグインであると解することができる。そうすると、甲5発明は「マインクラフトのSpigot」の「プラグイン」であるといえる。
また、「プラグイン」が既存のソフトウェアに新しい機能を追加するための拡張プログラムであることは技術常識であることから、甲5発明の「プラグイン」(構成5b)は、本件発明1の「プログラム」に相当する。
(イ)「マインクラフト」とは、ブロックでできたワールドと呼ばれる仮想空間で、プレイヤが建物などを作ることができるゲームであり、一般的に知られているものである。
そうすると、甲5発明の「マインクラフト」(構成5a)のプレイヤ及び仮想空間は、本件発明1の「ユーザ」及び「仮想空間」に相当するといえる。
(ウ)「マインクラフトのSpigot」がマルチプレイ用サーバを構築するためのソフトウェアであることは一般的に知られていることである。
また、甲5発明の「マインクラフトのSpigot」(構成5a)が、ソフトウェアであり、特定の機能を実現するための処理をコンピュータに行わせていることを踏まえると、甲5発明の「マインクラフトのSpigot」の「プラグイン」についても、その処理をコンピュータに行わせることは明らかである。
(エ)甲5発明の「プラグイン」は、「VIPプレイヤが入ったときのためのメッセージを記述させ」(構成5b)、「選択したサーバメッセージ」を「表示」(構成5b)させることから、「サーバメッセージ」は、「記述」した「メッセージ」と同じ「メッセージ」であると解せる。また、「マインクラフトのSpigot」がマルチプレイ用サーバを構築するためのソフトウェアであることを踏まえると、「サーバメッセージ」の「サーバ」とは、Spigotによって構築されたマインクラフト用「サーバ」のことといえる。そうすると、「サーバメッセージ」は、VIPプレイヤがマインクラフトの「サーバ」に入ったときの「メッセージ」であると解することが自然である。
ここで、マインクラフトにおいて、プレイヤが「サーバ」に入ったときとは、例えば、「ecolight、”マインクラフトでマルチサーバーを建てよう!”、32頁下から4行~34頁8行、図9、受入日:平成30年7月26日」を参照すると、プレイヤが「サーバーに接続」のボタンを押し、ログインした後、図9で示すようにプレイヤが仮想空間に入室したときのことである。
そうすると、甲5発明の「プレイヤが入った」(構成5b)とは、本件発明1の「仮想空間へのユーザの入室」に相当するといえる。
(オ)前記(ア)~(エ)のとおり、本件発明1と甲5発明は、「仮想空間へのユーザの入室状況に基づいた処理をコンピュータに行わせるためのプログラムであって、」という点で一致する。
イ 発明特定事項1B及び1Cについて
発明特定事項1Bは「前記コンピュータを、」というものであり、発明特定事項1Cは「特定ユーザに関する情報を複数のユーザに閲覧可能とするための処理を行う閲覧可能化手段として機能させ、」というものである。
(ア)甲5発明の「マインクラフトのSpigot」(構成5a)の「プラグイン」は、前記ア(ウ)で説示したとおり、本件発明1のように「コンピュータ」を、各種「手段として機能」させている「プログラム」であることは明らかである。
(イ)甲5発明の「VIP」(構成5b)は本件発明1の「特定ユーザ」に相当する。一方、甲5発明の「メッセージ」は、「「&b%player%&6がロビーに参加しました!」であり、プレイヤ名を表示するために、メッセージの中に「%player%」を入れ」(構成5c)るものである。このことから、「メッセージ」の中には単に「プレイヤ」名を入れるものであって、「VIP」のプレイヤ名以外のプレイヤ名を排除・無効化するなどして「VIP」のプレイヤ名のみを入れるものとまではいえない。
よって、甲5発明において、「メッセージ」の中にプレイヤ名を入れることは、単なる「プレイヤ」に関する情報を表示するための処理であって、「VIP」に関する情報を表示するための処理とはいえない。
(ウ)甲5発明の「デフォルトのメッセージは、「&b%player%&6がロビーに参加しました!」」(構成5c)とするものであって、「プレイヤ名を表示するために、メッセージの中に「%player%」を入れることができ」(構成5c)るものであり、甲5発明はプレイヤに関する情報を「閲覧可能とするための処理」を行っているといえる。
よって、甲5発明は、上述のとおりであるから、その処理を行う「閲覧可能化手段として機能」させることも特定されている。
一方、甲5発明は、「プレイヤがサーバに入ったときのための」「メッセージ」を「表示」(構成5b、前記イ(エ))させるものの、メッセージをどのような対象者に表示させるかは特定されていない。
よって、本件発明1は、「複数のユーザ」に「閲覧可能とするための処理」を行っているのに対し、甲5発明は、どのような対象者に「閲覧可能とするための処理」を行っているのかが特定されていない点で相違する。
また、前記(イ)を踏まえると、本件発明1は、「特定ユーザに関する情報」を「閲覧可能とするための処理」を行っているのに対し、甲5発明は、単なるユーザに関する情報を「閲覧可能とするための処理」を行っている点で相違する。
(エ)前記(ア)~(ウ)をまとめると、本件発明1と甲5発明は、「コンピュータ」を、「ユーザに関する情報」を「閲覧可能とするための処理を行う閲覧可能化手段として機能させ」させている点で共通する。
ただし、本件発明1は、「複数のユーザ」に「閲覧可能とするための処理」を行っているのに対し、甲5発明は、どのような対象者に「閲覧可能とするための処理」を行っているのかが特定されていない点で相違する。
また、本件発明1は、「特定ユーザに関する情報」について、「閲覧可能とするための処理」を行っているのに対し、甲5発明は、単なるユーザに関する情報について、「閲覧可能とするための処理」を行っている点で相違する。
ウ 発明特定事項1D及び1Eについて
発明特定事項1Dは「前記閲覧可能化手段は、前記特定ユーザが前記仮想空間に入室したときに、前記特定ユーザに関する情報として当該特定ユーザが前記仮想空間に入室したことが特定可能となる情報を、複数のユーザのうちいずれのユーザであるかにかかわらず閲覧可能となるようにするための処理を行い、」というものであり、発明特定事項1Eは「前記いずれのユーザであるかにかかわらず閲覧可能となるようにするための処理は、前記特定ユーザ以外のユーザが前記仮想空間に入室することによっては行われない処理であり、」というものである。
(ア)前記イで示したことと同様に、本件発明1と甲5発明は、「閲覧可能化手段」が、「閲覧可能となるようにするための処理を行」っている点で共通する。
ただし、本件発明1は「複数のユーザのうちいずれのユーザであるかにかかわらず」(発明特定事項1D)又は「前記いずれのユーザであるかにかかわらず」(発明特定事項1E)、「閲覧可能となるようにするための処理」を行っているのに対し、甲5発明は、どのような対象者に「閲覧可能となるようにするための処理」を行っているのかが特定されていない点で相違する。
(イ)前記イ(イ)によれば、甲5発明の「メッセージ」に入れられるのは、「プレイヤ」名であって、「VIP」に関する情報を入れることが特定されていないので、甲5発明の「メッセージ」は、単なるプレイヤに関する情報であって、VIPに関する情報ではない。
また、甲5発明の「メッセージ」が「VIPプレイヤがサーバに入ったときに表示される」(構成5b、前記イ(エ))ものであったとしても、その「メッセージ」には、「プレイヤ」名が入るのみであって、「VIP」に関する情報を入れることが特定されていないので、「メッセージ」については、「VIP」がサーバに入ったことを特定するような情報であるとはいえない。
よって、本件発明1では「前記特定ユーザが前記仮想空間に入室したときに、前記特定ユーザに関する情報として当該特定ユーザが前記仮想空間に入室したことが特定可能となる情報」を「閲覧可能となるようにするための処理」を行っているのに対し、甲5発明では、そのような情報を「閲覧可能となるようにするための処理」を行っているのかが特定されていない点で相違する。
(ウ)甲5発明では、「通常ユーザの参加を無効化するためのものを追加」(構成5d)するものとしているが、「参加を無効化」することの具体的処理が特定されないため、「ユーザの参加を無効化する」ことが、本件発明1のような「閲覧可能となるようにするための処理」を「行わない処理」(「閲覧非実行処理」(前記1(3)エ(ウ)参照))であるとはいえない。
また、仮に、「メッセージを書かせるプラグイン」(構成5b)であることを踏まえて、甲5発明が、「通常ユーザの参加を無効化」(構成5d)するのではなくて、「通常ユーザ」の「参加メッセージ」を「無効化」するものであったとしても、「無効化」の具体的処理が特定されていないため、甲5発明において「メッセージ」を「無効化」することが、VIPプレイヤ以外のユーザが仮想空間に入室することによる「閲覧非実行処理」であることを特定するものではない。
よって、「閲覧非実行処理」について、本件発明1は、「前記特定ユーザ以外のユーザが前記仮想空間に入室すること」による処理であるのに対し、甲5発明はそのような処理が特定されていない点で相違する。
(エ)よって、前記(ア)~(ウ)をまとめると、本件発明1と甲5発明は、「閲覧可能化手段」が、「閲覧可能となるようにするための処理を行」っている点で共通する。
ただし、本件発明1は「複数のユーザのうちいずれのユーザであるかにかかわらず」「閲覧可能となるようにするための処理」を行っているのに対し、甲5発明は、どのような対象者に「閲覧可能となるようにするための処理」を行っているのかが特定されていない点で相違する。
また、本件発明1は「前記特定ユーザが前記仮想空間に入室したときに、前記特定ユーザに関する情報として当該特定ユーザが前記仮想空間に入室したことが特定可能となる情報」を「閲覧可能となるようにするための処理」を行っているのに対し、甲5発明は、そのような情報を「閲覧可能となるようにするための処理」を行っているのかが特定されていない点で相違する。
さらに、「閲覧非実行処理」について、本件発明1は、「前記特定ユーザ以外のユーザが前記仮想空間に入室すること」による処理であるのに対し、甲5発明はそのような処理が特定されていない点で相違する。
エ 発明特定事項1Fについて
発明特定事項1Fは「複数のユーザ各々が入室可能な仮想空間として、提供されるコンテンツが異なる複数種類の仮想空間が設けられており、」というものである。
(ア)甲5発明の「マインクラフトのSpigot」(構成5a)は、マルチプレイ用サーバを構築するためのソフトウェアである(前記ア(ウ))ことから、Spigotは、複数のプレイヤが入室可能な仮想空間が設けられて、その仮想空間で同時にプレイするゲーム用のソフトウェアであるといえる。
そのため、甲5発明の「マインクラフトのSpigot」は、複数のユーザ各々が入室可能な仮想空間が設けられているといえる。一方で、仮想空間として、提供されるコンテンツが異なる複数種類の仮想空間が設けられることまでは特定されていない。
(イ)よって、本件発明と甲5発明は「複数のユーザ各々が入室可能な仮想空間」が「設けられ」ている点で共通する。
ただし、「仮想空間」として、本件発明1は「提供されるコンテンツが異なる複数種類の仮想空間が設けられて」いるのに対し、甲5発明はそのような仮想空間が設けられていることが特定されていない点で相違する。
オ 発明特定事項1Ga及び1Gbについて
発明特定事項1Gaは「前記特定ユーザは、予め定められたユーザであって、」というものであり、発明特定事項1Gbは「当該特定ユーザであるか否かは、前記特定ユーザに関する情報が閲覧可能となる複数のユーザ各々が入室する仮想空間の種類にかかわらず予め定められている、」というものである。
(ア)甲5発明では、「メッセージ」が「VIPプレイヤがサーバに入ったときに表示される」(構成5b)ものであることから、「プレイヤ」がVIPとして「予め定められ」たプレイヤであるといえる。
よって、「特定ユーザ」について、本件発明1と甲5発明では、該ユーザが「予め定められたユーザ」である点で共通する。
(イ)一方、前記エ(ア)で示したとおり、甲5発明は、仮想空間として、提供されるコンテンツが異なる複数種類の仮想空間が設けられることまでは特定されていない。
そのため、特定ユーザについて、本件発明1は、該「ユーザであるか否か」は、「前記特定ユーザに関する情報が閲覧可能となる複数のユーザ各々が入室する仮想空間の種類にかかわらず予め定められている」のに対し、甲5発明について、そのように予め定められていない点で相違する。
カ 発明特定事項1Hについて
発明特定事項1Hは、「プログラム。」というものである。
(ア)前記アで示したとおりであり、甲5発明の「プラグイン」は本件発明1の「プログラム」に相当する。
よって、本件発明1と甲5発明は「プログラム。」という点で一致する。
(4)一致点及び相違点
前記(3)によれば、本件発明1と甲5発明の一致点と相違点は以下のとおりである。
[一致点]
仮想空間へのユーザの入室状況に基づいた処理をコンピュータに行わせるためのプログラムであって、
前記コンピュータを、ユーザに関する情報を閲覧可能とするための処理を行う閲覧可能化手段として機能させ、
複数のユーザ各々が入室可能な仮想空間が設けられており、
前記特定ユーザは、予め定められたユーザである、
プログラム。
[相違点3-1]
本件発明1は、「複数のユーザ」に「閲覧可能とするための処理」を行っているのに対し、甲5発明は、どのような対象者に「閲覧可能とするための処理」を行っているのかが特定されていない点
[相違点3-2]
本件発明1は、「特定ユーザに関する情報」について、「閲覧可能とするための処理」を行っているのに対し、甲5発明は、単なるユーザに関する情報について、「閲覧可能とするための処理」を行っている点
[相違点3-3]
本件発明1は「複数のユーザのうちいずれのユーザであるかにかかわらず」「閲覧可能となるようにするための処理」を行っているのに対し、甲5発明は、どのような対象者に「閲覧可能となるようにするための処理」を行っているのかが特定されていない点
[相違点3-4]
本件発明1は「前記特定ユーザが前記仮想空間に入室したときに、前記特定ユーザに関する情報として当該特定ユーザが前記仮想空間に入室したことが特定可能となる情報」を「閲覧可能となるようにするための処理」を行っているのに対し、甲5発明は、そのような情報を「閲覧可能となるようにするための処理」を行っているのかが特定されていない点
[相違点3-5]
「閲覧非実行処理」について、本件発明1は、「前記特定ユーザ以外のユーザが前記仮想空間に入室すること」による処理であるのに対し、甲5発明はそのような処理が特定されていない点
[相違点3-6]
「仮想空間」として、本件発明1は「提供されるコンテンツが異なる複数種類の仮想空間が設けられて」いるのに対し、甲5発明はそのような仮想空間が設けられていることが特定されていない点
[相違点3-7]
特定ユーザについて、本件発明1は、該「ユーザであるか否か」は、「前記特定ユーザに関する情報が閲覧可能となる複数のユーザ各々が入室する仮想空間の種類にかかわらず予め定められている」のに対し、甲5発明について、そのように予め定められていない点
(5)相違点についての判断
ア 事案に鑑み、申立人が異議申立書で相違点として挙げている相違点3-7について検討する。
イ 相違点3-7については、相違点3-6で示した仮想空間の態様における特定ユーザの設定に関することである。相違点3-6及び相違点3-7は、それぞれ、申立理由1の相違点1-6及び相違点1-7と同様の相違点である(前記1(4))。
それに加えて、相違点3-1及び相違点3-3については、いずれも閲覧可能とした対象者に関することであるが、相違点3-1及び相違点3-3は、それぞれ、申立理由1の相違点1-2及び相違点1-4と同様の相違点である(前記1(4))。
そして、前記1(5)の判断では、相違点1-7については、相違点1-6に関する周知技術があったとしても当業者が容易に想到し得るものではなく、さらに、仮に、解決すべき課題等があったとしても、相違点1-2、1-4があるため、相違点1-7にする動機づけがないとした。
相違点3-7についても、前記1(5)の相違点1-7に関する判断と同様のことがいえるため、甲5発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に想到し得たこととは認められない。
(6)小括
前記(5)のとおりであるから、その余の相違点について判断するまでもなく、本件発明1は、甲5発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
また、本件発明1を直接引用する本件発明4~7及び本件発明9、並びに本件発明1とカテゴリーのみが異なる本件発明14及び15についても、同様である。
4 申立理由4について
(1)甲7の記載事項、甲7の発明
ア 甲7は、申立人によれば、「出願前の2015年4月4日にリリースされた(甲6)「VIPJoinMessage.jar」を逆コンパイルし,パッケージme.FelipeFonseca.Plugins内のMain.javaファイルを得た」ものによる(異議申立書11頁下から13~10行)。
イ 甲7は、申立人によれば、異議申立書において、下記のとおり発明が認定できるとされた(異議申立書11頁下から9~4行)。
<甲7発明>
プレイヤがMinecraftサーバに参加したときに,(L26)
デフォルトの参加メッセージを無効化し,(L28)
前記プレイヤがVIPJM.Message権限を有している場合,(L29)
プラグイン設定のVIPMessageの,%player%をプレイヤ名で置き換えたものをプレイヤ全員に送信する,(L30)
プログラム.
ウ 甲7発明は、前記アのとおり、.javaファイル(以下「甲7のjava」という。)である。
そして、申立人は、「・・・(略)・・・Main.javaファイルを得た(甲7).ここから,次の甲7発明を認定できる.」(異議申立書11頁下から11~10行)とし、甲7のjavaから甲7発明を認定している。
しかしながら、前記2(1)ウで説示したことと同様に、甲7のjavaで使われているメソッドについては、甲30及び甲35でメソッドの説明がなされているものの、一部の説明にとどまり、それ以外のメソッドについては証拠に基づいた説明が何ら示されていない。そのため、甲7のjavaに記載されている内容を正確に理解できない。
また、甲7のjavaは、設定ファイル又は権限ファイルを参照していると考えられるメソッドがあるものの、その設定ファイル又は権限ファイルを証拠として示していないため、それらメソッドの処理が正確に理解できない。
さらに、甲7のjavaは、マインクラフトのSpigotのプラグインであるものの、Spigotのソフトウェアの処理に関して証拠として示されていないため、Spigotのソフトウェアとそのプラグインとの対応関係が不明であり、プラグインとしての処理そのものが正確に理解できない。
そのため、甲7のjavaに記載されている内容を正確に理解できない。
エ よって、申立人が主張する甲7発明は、甲7、甲6、甲30及び甲35により立証されているとはいえない。また、他の甲号証を参照しても甲7発明は立証されていない。
(2)前記(1)のとおりであるから、本件発明1は、甲7及び甲6に基づいて、当業者が容易に想到し得るものではない。
また、本件発明1を直接引用する本件発明4~7及び本件発明9並びに本件発明1とカテゴリーのみが異なる本件発明14及び15についても、同様である。
5 申立理由5について
(1)甲8の記載事項
甲8には、次の記載がある。なお、訳は、申立人が提出したものを参考に当審で作成したものである。
ア 1頁
Webページの最上段及びその右側の文章1~2行に次の記載がある。
「
[図:0001438306000005.jpg]
」
(当審訳(右側の文章):より良いマインクラフトサーバーを探してますか?
SpigotMCについてはこちらをご覧ください。)
WebページはマインクラフトのSpigotに関するページと解される。
イ 1頁
タブ「Overview」などの直上4行及び直上1行に次の記載がある。
「LoginMessages | 1.8.X - 1.12.X |」
「A message for each group created | First Join, Join, Quit, Motd, ServerList, Tab and many more!」(タイトルの直下1行)
(当審訳:「LoginMessages|1.8.X - 1.12.X |」
作成されたグループ毎へのメッセージ | 初回参加、参加、退出、本日のメッセージ、サーバリスト、タブ、その他たくさん!)
なお、「Motd」は、Message Of The Dayの頭文字からなる用語であることは明らかであり、「本日のメッセージ」と訳すことができる。
ウ 1頁
タブ「Overview」などの直下1行に次の記載がある。
「Tested Minecraft Versions:1.8, 1.9, 1.10, 1.11, 1.12」
(当審訳:テスト済みのマインクラフトのバージョン:1.8、1.9、1.10、1.11、1.12)
エ 2頁
「FEATURES」の画像の直下1~2行に次の記載がある。
「・Change the first join/join/quit message per group;
・Disable the default join/quit message;」
(当審訳:・グループ毎の初回参加/参加/退出メッセージを変更
・デフォルトの参加/退出メッセージを無効化)
オ 2頁
「FEATURES」の画像の直下18~19行に次の記載がある。「loginmessages.join.message.GROUPNAME:
Permission for announces that the player entered the server per group」
(当審訳:loginmessages.join.message.GROUPNAME:
グループ毎に、プレイヤがサーバに参加したことを通知するための権限)
(2)甲8発明
前記(1)の記載事項によれば、甲8には、以下の発明(以下「甲8発明」という。)が記載されている。なお、後の参照の便宜のため、甲8発明を以下のように分説し、「構成8a」のようにして参照する。
<甲8発明>
8a マインクラフトのSpigotに関するLoginMessagesであって、(前記(1)ア及びイ)
8b 作成されたグループ毎へのメッセージであり、(前記(1)イ)
8c テスト済みのマインクラフトのバージョン:1.8、1.9、1.10、1.11、1.12であり、(前記(1)ウ)
8d グループ毎の参加メッセージを変更し、(前記(1)エ)
8e デフォルトの参加メッセージを無効化し、(前記(1)エ)
8f グループ毎に、プレイヤがサーバに参加したことを通知するための権限がある、(前記(1)オ)
8g LoginMessages。(前記(1)イ)
(3)本件発明1と甲8発明の対比
本件発明1と甲8発明とを対比する。
ア 発明特定事項1Aについて
発明特定事項1Aは「仮想空間へのユーザの入室状況に基づいた処理をコンピュータに行わせるためのプログラムであって、」というものである。
(ア)甲8発明「LoginMessages」(構成8a)は、「マインクラフトのSpigotに関」(構成8a)するものであって、「各グループへのメッセージ」を「作成」(構成8b)するためのものであることから、マインクラフトのSpigotに新しい機能を追加するものであると解することができる。
(イ)「マインクラフト」とは、ブロックでできたワールドと呼ばれる仮想空間で、プレイヤが建物などを作ることができるゲームであり、一般的に知られているものである。
そうすると、甲8発明の「マインクラフト」(構成8a)のプレイヤ及び仮想空間は、本件発明1の「ユーザ」及び「仮想空間」に相当するといえる。
(ウ)「マインクラフトのSpigot」がマルチプレイ用サーバを構築するためのソフトウェアであることも一般的に知られていることである。
そして、甲8発明の「マインクラフトのSpigot」(構成8a)が、ソフトウェアであり、特定の機能を実現するための処理をコンピュータに行わせていることを踏まえると、甲8発明の「マインクラフトのSpigot」(構成8a)が「プログラム」であることは明らかであり、そのプログラムの処理をコンピュータに行わせていることも明らかである。
一方、甲8発明の「LoginMessages」は「マインクラフトのSpigot」に新しい機能を追加するものであることから(前記(ア))、「LoginMessages」についても、「Spigot」と同様に「プログラム」であるとともに、特定の機能を実現するための処理をコンピュータに行わせているといえる。
よって、本件発明1と甲8発明は「処理をコンピュータに行わせるためのプログラム」である点で一致する。
(エ)甲8発明は、「プレイヤがサーバに参加したことを通知する」(構成8f)ものである。
ここで、マインクラフトにおいて、プレイヤがサーバに入ったときとは、例えば、「ecolight、”マインクラフトでマルチサーバーを建てよう!”、32頁下から4行~34頁8行、図9、受入日:平成30年7月26日」を参照すると、プレイヤが「サーバーに接続」のボタンを押し、ログインした後、図9で示すようにプレイヤが仮想空間に入室したときのことである。
よって、甲8発明の「プレイヤがサーバに参加した」ときは、本件発明1の「仮想空間へのユーザの入室」したときに相当するといえる。
(オ)前記(ア)~(エ)のとおり、本件発明1と甲8発明は、「仮想空間へのユーザの入室状況に基づいた処理をコンピュータに行わせるためのプログラムであって、」という点で一致する。
イ 発明特定事項1B及び1Cについて
発明特定事項1Bは「前記コンピュータを、」というものであり、発明特定事項1Cは「特定ユーザに関する情報を複数のユーザに閲覧可能とするための処理を行う閲覧可能化手段として機能させ、」というものである。
(ア)甲8発明の「マインクラフトのSpigot」の「LoginMessages」(構成8a)は、前記ア(ウ)で説示したとおり、本件発明1のように「コンピュータ」を、各種「手段として機能」させている「プログラム」であることは明らかである。
(イ)甲8発明の「プレイヤ」は、本件発明1の「ユーザ」に相当する。
また、甲8発明は、「グループ毎に、プレイヤがサーバに参加したことを通知するための権限」(構成8f)」を有するものであることから、権限を有するグループに属するプレイヤは、本件発明1の「特定ユーザ」に相当するといえる。
(ウ)甲8発明における「参加メッセージ」(構成8d)は、「プレイヤがサーバに参加したことを通知」(構成8f)していることを踏まえると、プレイヤがサーバに参加したことを通知するメッセージであると解せる。そうすると、前記(イ)を踏まえると、甲8発明の「メッセージ」は、権限を有するグループのプレイヤに関する情報であり、本件発明1の「特定ユーザに関する情報」に相当する。
また、甲8発明において、「プレイヤがサーバに参加」(構成8f)したことの「通知」(構成8f)を受けるプレイヤにとっては、「メッセージ」を「閲覧」「可能」といえる。そうすると、甲8発明は、「閲覧可能とするための処理を行」っているものであり、その「処理」を行う「閲覧可能化手段として機能」させているといえる。
よって、本件発明1と甲8発明は、「特定ユーザに関する情報」を「閲覧可能とするための処理を行う閲覧可能化手段として機能させ」ている点で共通する。
一方、甲8発明は「閲覧可能」とする対象者を特定していない。そうすると、本件発明1は、「複数のユーザ」に閲覧可能とするための処理を行っているのに対し、甲8発明は、どのような対象者に閲覧可能とするための処理を行っているのかが特定されていない点で相違する。
(エ)前記(ア)~(ウ)をまとめると、本件発明1と甲8発明は、「前記コンピュータを」、「特定ユーザに関する情報」を「閲覧可能とするための処理を行う閲覧可能化手段として機能させ」ている点で共通する。
ただし、本件発明1は、「複数のユーザ」に閲覧可能とするための処理を行っているのに対し、甲8発明は、どのような対象者に閲覧可能とするための処理を行っているのかが特定されていない点で相違する。
ウ 発明特定事項1Dについて
発明特定事項1Dは「前記閲覧可能化手段は、前記特定ユーザが前記仮想空間に入室したときに、前記特定ユーザに関する情報として当該特定ユーザが前記仮想空間に入室したことが特定可能となる情報を、複数のユーザのうちいずれのユーザであるかにかかわらず閲覧可能となるようにするための処理を行い、」というものである。
(ア)前記ア(エ)で示したとおり、甲8発明の「プレイヤがサーバに参加」(構成8f)したときとは、本件発明1の「ユーザが仮想空間に入室」したときに相当し、前記イ(ウ)で示した共通点も踏まえると、本件発明1の「閲覧可能化手段」と甲8発明の「閲覧可能化手段」は、「特定ユーザが前記仮想空間に入室したときに」、「ユーザに関する情報」を「閲覧可能となるようにするための処理を行」っている点で共通する。
また、本件発明1は、「複数のユーザのうちいずれのユーザであるかにかかわらず」「閲覧可能となるようにするための処理を行」っているのに対し、甲8発明は、どのような対象者に「閲覧可能となるようにするための処理を行」っているのかが特定されていない点で相違する。
(イ)前記イ(ウ)で示したとおり、甲8発明の「メッセージ」は、権限を有するグループのプレイヤに関する情報であり、本件発明1の「特定ユーザに関する情報」に相当する。また、甲8発明において、権限を有するグループのプレイヤに関する情報とは、「プレイヤがサーバに参加したことを通知」(構成8f)していることを踏まえると、「プレイヤがサーバに参加したこと」が「特定可能となる情報」といえる。
よって、本件発明1と甲8発明は、「特定ユーザに関する情報」について、「当該特定ユーザが前記仮想空間に入室したことが特定可能となる情報」である点で共通する。
(ウ)前記(ア)及び(イ)をまとめると、本件発明1の「閲覧可能化手段」と甲8発明の「閲覧可能化手段」は、「前記特定ユーザが前記仮想空間に入室したときに、前記特定ユーザに関する情報として当該特定ユーザが前記仮想空間に入室したことが特定可能となる情報を」、「閲覧可能となるようにするための処理を行」っている点で共通する。
一方で、本件発明1は、「複数のユーザのうちいずれのユーザであるかにかかわらず」「閲覧可能となるようにするための処理を行」っているのに対し、甲8発明は、どのような対象者に「閲覧可能となるようにするための処理を行」っているのかが特定されていない点で相違する。
エ 発明特定事項1Eについて
発明特定事項1Eは「前記いずれのユーザであるかにかかわらず閲覧可能となるようにするための処理は、前記特定ユーザ以外のユーザが前記仮想空間に入室することによっては行われない処理であり、」というものである。
(ア)前記ウ(ア)で示したとおり、本件発明1と甲8発明は「閲覧可能となるようにするための処理」を有する点で共通するものの、本件発明1は、「前記いずれのユーザであるかにかかわらず」「閲覧可能となるようにするための処理」を行っているのに対し、甲8発明は、どのような対象者に対して「閲覧可能となるようにするための処理」を行っているのかが特定されていない点で相違する。
(イ)甲8発明は、「デフォルトの参加メッセージを無効化」(構成8e)するものであり、前記ア(エ)を参酌すると、プレイヤがサーバに参加したときのメッセージを無効化するものと解することができる。
また、甲8発明において、「プレイヤがサーバに参加」(構成8f)したことの「通知」(構成8f)を受けるプレイヤにとっては、「メッセージ」を「閲覧」「可能」といえるので(前記イ(ウ))、「メッセージ」を「無効化」することについては、「閲覧可能となるようにするための処理」を「行わない処理」(「閲覧非実行処理」(前記1(3)エ(ウ)参照))であるといえる。
一方、甲8発明は、「デフォルトの参加メッセージを無効化」(構成8e)するものであるが、「無効化」をどのような対象者の「サーバ」への「参加」に対する処理としているのかが特定されていない。
よって、「サーバ」への「参加」とは、「仮想空間への」「入室」であることを踏まえると(前記ア(エ))、本件発明1と甲8発明は、「閲覧可能となるようにするための処理」は、特定の対象者の仮想空間に入室することによっては「行われない処理」である点で共通する。
また、「閲覧非実行処理」について、本件発明1は、「特定ユーザ以外のユーザ」が「仮想空間に入室すること」による処理としているのに対し、甲8発明はどのような対象者が「仮想空間に入室すること」による処理としているのかが特定されていない点で相違する。
(ウ)前記(ア)及び(イ)をまとめると、本件発明1と甲8発明は「閲覧可能となるようにするための処理」は、特定の対象者が仮想空間に入室することによっては「行われない処理」である点で共通する。
一方、本件発明1は、「前記いずれのユーザであるかにかかわらず」「閲覧可能となるようにするための処理」を行っているのに対し、甲8発明は、どのような対象者に対して「閲覧可能となるようにするための処理」を行っているのかが特定されていない点で相違する。(前記ウ(ウ)と同様の相違点)
また、「閲覧非実行処理」について、本件発明1は、「特定ユーザ以外のユーザ」が「仮想空間に入室すること」による処理としているのに対し、甲8発明はどのような対象者が「仮想空間に入室すること」による処理としているのかが特定されていない点で相違する。
オ 発明特定事項1Fについて
発明特定事項1Fは「複数のユーザ各々が入室可能な仮想空間として、提供されるコンテンツが異なる複数種類の仮想空間が設けられており、」というものである。
(ア)甲8発明の「マインクラフトのSpigot」(構成8a)は、マルチプレイ用サーバを構築するためのソフトウェアである(前記ア(ウ))ことから、Spigotは、複数のプレイヤが入室可能な仮想空間が設けられて、その仮想空間で同時にプレイするゲーム用のソフトウェアであるといえる。
そのため、甲8発明の「マインクラフトのSpigot」は、複数のユーザ各々が入室可能な仮想空間が設けられているといえる。一方で、仮想空間として、提供されるコンテンツが異なる複数種類の仮想空間が設けられることまでは特定されていない。
(イ)よって、本件発明1と甲8発明は「複数のユーザ各々が入室可能な仮想空間」が「設けられ」ている点で共通する。
ただし、「仮想空間」として、本件発明1は「提供されるコンテンツが異なる複数種類の仮想空間が設けられ」ているのに対し、甲8発明はそのような仮想空間が設けられていることが特定されていない点で相違する。
カ 発明特定事項1Ga及び1Gbについて
発明特定事項1Gaは「前記特定ユーザは、予め定められたユーザであって、」というものであり、発明特定事項1Gbは、「当該特定ユーザであるか否かは、前記特定ユーザに関する情報が閲覧可能となる複数のユーザ各々が入室する仮想空間の種類にかかわらず予め定められている、」というものである。
(ア)甲8発明には、「グループ毎に、プレイヤがサーバに参加したことを通知するための権限」(構成8f)」を有するものであることから、前記イ(イ)で示した権限を有するグループに属するプレイヤは、権限を予め定められたプレイヤといえる。
よって、本件発明1と甲8発明では、「特定ユーザ」が「予め定められたユーザ」である点で共通する。
(イ)前記オ(ア)で示したとおり、甲8発明は、仮想空間として、提供されるコンテンツが異なる複数種類の仮想空間が設けられることまでは特定されていない。
そのため、特定ユーザについて、本件発明1は、該「ユーザであるか否か」は、「前記特定ユーザに関する情報が閲覧可能となる複数のユーザ各々が入室する仮想空間の種類にかかわらず予め定められている」のに対し、甲8発明について、そのように予め定められていない点で相違する。
(ウ)前記(ア)及び(イ)をまとめると、本件発明1と甲8発明は、「特定ユーザ」について「予め定められたユーザ」である点で共通する。
一方、特定ユーザについて、本件発明1は、該「ユーザであるか否か」は、「前記特定ユーザに関する情報が閲覧可能となる複数のユーザ各々が入室する仮想空間の種類にかかわらず予め定められている」のに対し、甲8発明について、そのように予め定められていない点で相違する。
キ 発明特定事項1Hについて
発明特定事項1Hは、「プログラム。」というものである。
(ア)前記アで示したとおりであり、甲8発明の「LoginMessages」(構成8a)は「プログラム」であるから、本件発明1の「プログラム」に相当する。
よって、本件発明1と甲8発明は「プログラム。」という点で一致する。
(4)一致点及び相違点
前記(3)によれば、本件発明1と甲8発明の一致点と相違点は以下のとおりである。
[一致点]
仮想空間へのユーザの入室状況に基づいた処理をコンピュータに行わせるためのプログラムであって、
前記コンピュータを、
特定ユーザに関する情報を閲覧可能とするための処理を行う閲覧可能化手段として機能させ、
前記閲覧可能化手段は、前記特定ユーザが前記仮想空間に入室したときに、前記特定ユーザに関する情報として当該特定ユーザが前記仮想空間に入室したことが特定可能となる情報を、閲覧可能となるようにするための処理を行い、
閲覧可能となるようにするための処理は、特定の対象者が前記仮想空間に入室することによっては行われない処理であり、
複数のユーザ各々が入室可能な仮想空間が設けられており、
前記特定ユーザは、予め定められたユーザである、
プログラム。
[相違点5-1]
本件発明1は、「複数のユーザ」に閲覧可能とするための処理を行っているのに対し、甲8発明は、どのような対象者に閲覧可能とするための処理を行っているのかが特定されていない点
[相違点5-2]
本件発明1は、「複数のユーザのうちいずれのユーザであるかにかかわらず」「閲覧可能となるようにするための処理を行」っているのに対し、甲8発明は、どのような対象者に「閲覧可能となるようにするための処理を行」っているのかが特定されていない点
[相違点5-3]
「閲覧非実行処理」について、本件発明1は、「特定ユーザ以外のユーザ」が「仮想空間に入室すること」による処理としているのに対し、甲8発明はどのような対象者が「仮想空間に入室すること」による処理としているのかが特定されていない点
[相違点5-4]
「仮想空間」として、本件発明1は「提供されるコンテンツが異なる複数種類の仮想空間が設けられ」ているのに対し、甲8発明はそのような仮想空間が設けられていることが特定されていない点
[相違点5-5]
「特定ユーザ」について、本件発明1は、該「ユーザであるか否か」は、「前記特定ユーザに関する情報が閲覧可能となる複数のユーザ各々が入室する仮想空間の種類にかかわらず予め定められている」のに対し、甲8発明について、そのように予め定められていない点
(5)相違点についての判断
ア 事案に鑑み、申立人が異議申立書で相違点として挙げている相違点5-5について検討する。
イ 相違点5-5については、相違点5-4で示した仮想空間の態様における特定ユーザの設定に関することである。相違点5-4及び相違点5-5は、それぞれ、申立理由1の相違点1-6及び相違点1-7と同様の相違点である(前記1(4))。
それに加えて、相違点5-1及び相違点5-2については、いずれも閲覧可能とした対象者に関することであるが、相違点5-1及び相違点5-2は、それぞれ、申立理由1の相違点1-2及び相違点1-4と同様の相違点である(前記1(4))。
そして、前記1(5)の判断では、相違点1-7については、相違点1-6に関する周知技術があったとしても当業者が容易に想到し得るものではなく、さらに、仮に、解決すべき課題等があったとしても、相違点1-2、1-4があるため、相違点1-7にする動機づけがないとした。
相違点5-5についても、前記1(5)の相違点1-7に関する判断と同様のことがいえるため、甲8発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に想到し得たこととは認められない。
ウ なお、異議申立書(11頁下から2行~13頁25行)において、甲8発明を、甲8の記載事項に甲8の2の記載事項も含めて認定している。ここで、甲8の2については、甲8のWebページ画面中の「Spoiler:config.yml」ボタンを押下することで開いたり、畳んだりする画面であって、その画面には設定ファイルが記載されている。
異議申立書では、甲8の2の設定ファイルを引用するとともに、
「TRUE: ENABLE | FALSE: DISABLE
DefaultJoinMessage: false」
に下線を付して特に強調している。しかしながら、この強調事項を含めて設定ファイルで用いられている用語等がどのような意味を有しているのかが説明されておらず、さらに、その用語等を補足するような証拠も提示されていない。そのため、甲8の2の設定ファイルを正確に理解できない。
よって、甲8発明の認定においては、甲8の2の記載事項を含めないこととした。
(6)小括
前記(5)のとおりであるから、その余の相違点について判断するまでもなく、本件発明1は、甲8発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
また、本件発明1を直接引用する本件発明4~7及び本件発明9、並びに本件発明1とカテゴリーのみが異なる本件発明14及び15についても、同様である。
6 申立理由6について
(1)甲10の記載事項、甲10の発明
ア 甲10は、申立人によれば、「出願前の2018年6月2日にリリースされた(甲9)「LoginMessages-2.0.0.jar」を逆コンパイルし,パッケージziixs.loginmessages.listeners内のJoinListener.javaファイルを得た」ものによる(異議申立書13頁下から14行~12行)。
イ 甲10は、申立人によれば、異議申立書において、下記のとおり発明が認定できるとされた(異議申立書13頁下から10~14頁1行)。
<甲10発明>
プレイヤがMinecraftサーバに参加したときに,(L20)
デフォルトの参加メッセージを無効化し,(L21)
前記プレイヤが過去に前記サーバでプレイしたことがあり,かつloginmessages.join.message.で始まる権限を有する場合,(L21,L109,PlayerManager.java L35-L46)
前記プレイヤが有する前記loginmessages.join.message.で始まる権限に対し参加メッセージのブロードキャストが有効化されている場合(L114)
全プレイヤ(ただし,Options.SeeOwnJoinMessageBroadcastが無効設定となっている場合,自プレイヤ除く)に対し参加メッセージを送信する(L125,L132,JoinBroadcastMessagesManager.java L59),
プログラム
ウ 甲10発明は、前記アのとおり、.javaファイル(以下「甲10のjava」という。)である。
そして、申立人は、「・・・(略)・・・JoinListener.javaファイルを得た(甲10).ここから,次の甲10発明を認定できる.」(異議申立書13頁下から12~11行)とし、甲10のjava(JoinListener.javaファイル)から甲10発明を認定している。
しかしながら、甲10には、JoinListener.javaファイルに加えて、JoinBroadcastMessagesManager.javaファイルや、7~9葉にはファイル名が不明のファイルがあるため、申立人が認定した甲10発明が、どのファイルに基づいて認定したかを正確に理解できない。
また、申立人が認定した甲10発明には、L20,L21等の行番号が付されているものの、ファイル名が示されていない行番号が示されているため、どのファイルの行を表しているのかが不明であり、甲10発明が正確に理解できない。
他方で、前記2(1)ウで説示したことと同様に、甲10のjavaで使われているメソッドについては、甲30及び甲35でメソッドの説明がなされているものの、一部の説明にとどまり、それ以外のメソッドについて証拠に基づいた説明が何ら示されていない。そのため、甲10のjavaに記載されている内容を正確に理解できない。
また、甲10のjavaは、設定ファイル又は権限ファイルを参照していると考えられるメソッドがあるものの、その設定ファイル又は権限ファイルを証拠として示していないため、それらメソッドの処理が正確に理解できない。
さらに、甲10のjavaは、マインクラフトのSpigotのプラグインであるものの、Spigotのソフトウェアの処理に関して証拠として示されていないため、Spigotのソフトウェアとそのプラグインとの対応関係が不明であり、プラグインとしての処理そのものが正確に理解できない。
そのため、甲10のjavaに記載されている内容を正確に理解できない。
エ よって、申立人が主張する甲10発明は、甲10、甲9、甲30及び甲35により立証されているとはいえない。また、他の甲号証を参照しても甲10発明は立証されていない。
(2)前記(1)のとおりであるから、本件発明1は、甲10及び甲9に基づいて、当業者が容易に想到し得るものではない。
また、本件発明1を直接引用する本件発明4~7及び本件発明9、並びに本件発明1とカテゴリーのみが異なる本件発明14及び15についても、同様である。
7 申立理由7について
(1)甲11の記載事項
甲11には、次の記載がある。なお、訳は、申立人が提出したものを参考に当審で作成したものである。
ア 1頁
Webページの最上段及びその右側の文章1~2行に次の記載がある。
「
[図:0001438306000006.jpg]
」
(当審訳(右側の文章):より良いマインクラフトサーバーを探してますか?
SpigotMCについてはこちらをご覧ください。)
WebページはマインクラフトのSpigotに関するページと解される。
イ 1頁
下から6~5行に次の記載がある。
「RocketJoin is a CustomJoinMessage plugin!
With this plugin you can change the join and leave message・・・(後略)・・・」
(当審訳:RocketJoinは、CustomJoinMessageのプラグインです!
このプラグインを使って、参加及び退出メッセージを変更できます・・・(後略)・・・)
ウ 3頁
投稿番号♯5の中のさらに枠内の2行に次の記載がある。
「Added an option in the config to disable the join and leave message.」
(当審訳:設定に、参加及び退出メッセージを無効にするオプションを追加しました。)
エ 3頁
投稿番号♯6の中のさらに枠内の2行に次の記載がある。
「Added vip features!」
(当審訳:VIP機能が追加されました!)
オ 3頁
投稿番号♯7の中のさらに枠内の2~3行に次の記載がある。
「Fixed vip features! Now you can disable join messages and keep enabled vip join messages!」
(当審訳:VIP機能が修正されました!これで、参加メッセージを無効にしたり、VIP参加メッセージを有効にしたりできるようになりました!)
カ 8頁
投稿番号♯20の中の2~4行に次の記載がある。
「Hey, the plugin is exactly what i need but could you add bungeecord support so thati can make it if someone joins the bungeecord it sends a msg, or first join msg, etc..?
Done!」
上述の「what i need」は、「what I need」の誤記であること、「so thati can」は「so that I can」の誤記であることは明らかであり、当審訳は、誤記を正した訳とした。
(当審訳:やあ、このプラグインはまさに私が求めていたものですが、Bungeecordのサポートを追加してもらえますか?そうすれば、もし、誰かがBungeecordに参加したら、それは参加メッセージ又は初回参加メッセージなどを送れるようになりますが・・・?
完了!)
なお、投稿番号♯20は、Lorenzo0111の投稿である。ここで、Lorenzo0111は、1~8頁に、投稿番号♯16以外の投稿を行っており、それらを参照すると、Lorenzo0111が、甲11に記載される「RocketJoin」に関する情報を提供していると認められる(例えば、前記イ~オを参照)。
そして、投稿番号♯20は、投稿番号♯16(Super284の投稿(当審訳の「やあ、・・・(略)・・・送れるようになりますが・・・。」))を受けて、Lorenzo0111が「完了!」と投稿しているので、投稿番号♯20が、「RocketJoin」に投稿番号♯16に記載の機能を追加した旨の投稿であることは明らかである。
下線部分の「誰かがBungeecordに参加したら、それは参加メッセージ又は初回参加メッセージを送れるようになります」は、「このプラグインはまさに私が求めていたものです」の文章を受けた内容であることを踏まえると、「それ」は「プラグイン」のことである。そうすると、「誰かがBungeecordに参加したら、プラグインは参加メッセージ又は初回参加メッセージを送れるようになります」と解される。
なお、「Bungeecord」は、マインクラフトで用いられる「BungeeCord」の誤記であると認める(「ecolight、”マインクラフトでマルチサーバーを建てよう!”、105頁、9~15行、図7(下図)、受入日:平成30年7月26日」を参照。)。
(2)甲11発明
前記(1)の記載事項によれば、甲11には、以下の発明(以下「甲11発明」という。)が記載されている。なお、後の参照の便宜のため、甲11発明を以下のように分説し、「構成11a」のようにして参照する。
<甲11発明>
11a マインクラフトのSpigotに関するプラグインであって、(前記(1)ア及びイ)
11b プラグインを使って、参加メッセージを変更でき、(前記(1)イ)
11c 設定に、参加メッセージを無効にするオプションを追加し、(前記(1)ウ)
11d VIP機能が追加され、(前記(1)エ)
11e 参加メッセージを無効にしたり、VIP参加メッセージを有効にしたりできるようになり、(前記(1)オ)
11f 誰かがBungeeCordに参加したら、プラグインは参加メッセージを送れるようになる、(前記(1)カ)
11g プラグイン。(前記(1)イ)
(3)本件発明1と甲11発明の対比
本件発明1と甲11発明とを対比する。
ア 発明特定事項1Aについて
発明特定事項1Aは「仮想空間へのユーザの入室状況に基づいた処理をコンピュータに行わせるためのプログラムであって、」というものである。
(ア)甲11発明の「プラグイン」(構成11a)は、「マインクラフトのSpigotに関」(構成11a)して、「参加メッセージを変更でき」る「プラグイン」(構成11b)であるので、「プラグイン」は「Spigot」にインストールするプラグインであることは明らかである。そうすると、甲11発明は「マインクラフトのSpigot」の「プラグイン」であるといえる。
また、「プラグイン」が既存のソフトウェアに新しい機能を追加するための拡張プログラムであることは技術常識であることから、甲11発明の「プラグイン」(構成11b)は、本件発明1の「プログラム」に相当する。
(イ)「マインクラフト」とは、ブロックでできたワールドと呼ばれる仮想空間で、プレイヤが建物などを作ることができるゲームであり、一般的に知られているものである。
そうすると、甲11発明の「マインクラフト」(構成11a)のプレイヤ及び仮想空間は、本件発明1の「ユーザ」及び「仮想空間」に相当するといえる。
(ウ)「マインクラフトのSpigot」がマルチプレイ用サーバを構築するためのソフトウェアであることも一般的に知られていることである。
また、甲11発明の「マインクラフトのSpigot」(構成11a)が、ソフトウェアであり、特定の機能を実現するための処理をコンピュータに行わせていることを踏まえると、甲11発明の「マインクラフトのSpigot」のプラグインについても、その処理をコンピュータに行わせることは明らかである。
(エ)甲11発明は、「誰かがBungeeCordに参加したら、プラグインは参加メッセージを送れるようにな」(構成11f)るものであることから、プラグインは、プレイヤがBungeeCordに参加したら、参加メッセージを送る「処理」をしているといえる。
ここで、「BungeeCord」とは、プロキシサーバとしてプレイヤの接続を仲介し、代理で各Spigotサーバへのログインを代行してアクセスするとともに、複数のサーバ間、すなわち、ワールド間を往来できるようにしたものである(例えば、「ecolight、”マインクラフトでマルチサーバーを建てよう!”、105頁、9~15行、図7(下図)、受入日:平成30年7月26日」を参照。(図7において、「PvP」、「ロビー」、「ミニゲーム」は「ワールド」のこと、すなわち「仮想空間」のことである。))。
[図:0001438306000007.jpg]
そうすると、甲11発明において、「誰かがBungeeCordに参加したら」とは、Spigotサーバのいずれかのサーバにログインをすることである。
ここで、サーバにログインをするとは、例えば、「ecolight、”マインクラフトでマルチサーバーを建てよう!”、32頁下から4行~34頁9行、図9、受入日:平成30年7月26日」を参照すると、プレイヤが「サーバーに接続」のボタンを押し、ログインした後、図9で示すようにプレイヤが仮想空間に入室することである。
よって、甲11発明において、「誰かがBungeeCordに参加」するとは、本件発明1のように、「ユーザが仮想空間に入室」することに相当する。
(オ)前記(ア)~(エ)をまとめると、本件発明1と甲11発明は、「仮想空間へのユーザの入室状況に基づいた処理をコンピュータに行わせるためのプログラム」である点で共通する。
イ 発明特定事項1B及び1Cについて
発明特定事項1Bは「前記コンピュータを、」というものであり、発明特定事項1Cは「特定ユーザに関する情報を複数のユーザに閲覧可能とするための処理を行う閲覧可能化手段として機能させ、」というものである。
(ア)甲11発明の「マインクラフトのSpigot」の「プラグイン」は、前記ア(ウ)で説示したとおりであるから、本件発明1のように「コンピュータ」を、各種「手段として機能」させている「プログラム」であることは明らかである。
(イ)甲11発明の「VIP」(構成11e)は、本件発明1の「特定ユーザ」に相当する。
そして、甲11発明の「VIP参加メッセージ」(構成11e)は、VIPの参加に関するメッセージであると解すことができるから、本件発明1の「特定ユーザに関する情報」に相当する。
(ウ)一方、甲11発明は「メッセージを送」(構成11f)ることは特定されているものの、メッセージを受信する対象者が特定されていないし、メッセージを「閲覧」することも特定されていない。そのため、「特定ユーザに関する情報を複数のユーザに閲覧可能」とさせることが特定されていない。
よって、本件発明1は「特定ユーザに関する情報を複数のユーザに閲覧可能とするための処理を行う閲覧可能化手段」を有しているのに対し、甲11発明は、そのような閲覧可能化手段が特定されていない点で相違する。
(エ)前記(ア)~(ウ)をまとめると、本件発明1と甲11発明は、「コンピュータ」を、各種「手段として機能」させている点で共通する。
一方、本件発明1は「特定ユーザに関する情報を複数のユーザに閲覧可能とするための処理を行う閲覧可能化手段」を有しているのに対し、甲11発明は、そのような閲覧可能化手段が特定されていない点で相違する。
ウ 発明特定事項1D及び1Eについて
発明特定事項1Dは「前記閲覧可能化手段は、前記特定ユーザが前記仮想空間に入室したときに、前記特定ユーザに関する情報として当該特定ユーザが前記仮想空間に入室したことが特定可能となる情報を、複数のユーザのうちいずれのユーザであるかにかかわらず閲覧可能となるようにするための処理を行い、」というものであり、発明特定事項1Eは「前記いずれのユーザであるかにかかわらず閲覧可能となるようにするための処理は、前記特定ユーザ以外のユーザが前記仮想空間に入室することによっては行われない処理であり、」というものである。
(ア)前記イ(ウ)で示したとおり、甲11発明は「メッセージを送」(構成11f)ることは特定されているものの、メッセージを「閲覧」することについては特定されていないので、甲11発明には、閲覧可能化手段が特定されていない。
(イ)よって、「閲覧可能化手段」について、本件発明1は、「前記特定ユーザが前記仮想空間に入室したときに、前記特定ユーザに関する情報として当該特定ユーザが前記仮想空間に入室したことが特定可能となる情報を、複数のユーザのうちいずれのユーザであるかにかかわらず閲覧可能となるようにするための処理を行い、前記いずれのユーザであるかにかかわらず閲覧可能となるようにするための処理は、前記特定ユーザ以外のユーザが前記仮想空間に入室することによっては行われない処理」であるのに対し、甲11発明は、その旨特定されていない点で相違する。
エ 発明特定事項1Fについて
発明特定事項1Fは「複数のユーザ各々が入室可能な仮想空間として、提供されるコンテンツが異なる複数種類の仮想空間が設けられており、」というものである。
(ア)甲11発明の「マインクラフトのSpigot」(構成11a)は、マルチプレイ用サーバを構築するためのソフトウェアである(前記ア(ウ))ことから、Spigotは、複数のプレイヤが入室可能な仮想空間が設けられて、その仮想空間で同時にプレイするゲーム用のソフトウェアであるといえる。
そのため、甲11発明の「マインクラフトのSpigot」は、複数のユーザ各々が入室可能な仮想空間が設けられているといえる。
(イ)前記ア(エ)で示したように、甲11発明の「BungeeCord」(構成11f)は、サーバ間(ワールド間)を往来できるようするものであることから、「入室可能な仮想空間」として、「提供されるコンテンツが異なる複数種類の仮想空間」が設けられているといえる。
(ウ)よって、本件発明1と甲11発明は、「複数のユーザ各々が入室可能な仮想空間として、提供されるコンテンツが異なる複数種類の仮想空間が設けられて」いる点で一致する。
オ 発明特定事項1Ga及び1Gbについて
発明特定事項1Gaは「前記特定ユーザは、予め定められたユーザであって、」というものであり、発明特定事項1Gbは、「当該特定ユーザであるか否かは、前記特定ユーザに関する情報が閲覧可能となる複数のユーザ各々が入室する仮想空間の種類にかかわらず予め定められている、」というものである。
(ア)前記イ(イ)で示したように、甲11発明の「VIP」は、本件発明1の「特定ユーザ」に相当する。そして、甲11発明の「VIP参加メッセージ」(構成11e)は、VIPが参加したときのメッセージと解せることから、VIPは一般プレイヤとは異なる予め定められたプレイヤであるといえる。
よって、本件発明1と甲11発明は、特定ユーザについて、「予め定められたユーザ」である点で共通する。
(イ)前記エ(イ)で示したとおり、甲11発明は、仮想空間として、提供されるコンテンツが異なる複数種類の仮想空間が設けられることが特定されているものの、「特定ユーザ」について、本件発明は、該ユーザ「であるか否かは、前記特定ユーザに関する情報が閲覧可能となる複数のユーザ各々が入室する仮想空間の種類にかかわらず予め定められている」のに対し、甲11発明は、そのように予め定めることについては特定されていない点で相違する。
カ 発明特定事項1Hについて
発明特定事項1Hは、「プログラム。」というものである。
(ア)前記アで示したとおりであり、甲11発明の「プラグイン」(構成11a)は本件発明1の「プログラム」に相当する。
よって、本件発明1と甲11発明は「プログラム。」という点で一致する。
(4)一致点及び相違点
前記(3)によれば、本件発明1と甲11発明の一致点と相違点は以下のとおりである。
[一致点]
仮想空間へのユーザの入室状況に基づいた処理をコンピュータに行わせるためのプログラムであって、
前記コンピュータを、
手段として機能させ、
複数のユーザ各々が入室可能な仮想空間として、提供されるコンテンツが異なる複数種類の仮想空間が設けられており、
前記特定ユーザは、予め定められたユーザである、
プログラム。
[相違点7-1]
本件発明1は「特定ユーザに関する情報を複数のユーザに閲覧可能とするための処理を行う閲覧可能化手段」を有しているのに対し、甲11発明は、そのような閲覧可能化手段が特定されていない点
[相違点7-2]
「閲覧可能化手段」について、本件発明1は、「前記特定ユーザが前記仮想空間に入室したときに、前記特定ユーザに関する情報として当該特定ユーザが前記仮想空間に入室したことが特定可能となる情報を、複数のユーザのうちいずれのユーザであるかにかかわらず閲覧可能となるようにするための処理を行い、前記いずれのユーザであるかにかかわらず閲覧可能となるようにするための処理は、前記特定ユーザ以外のユーザが前記仮想空間に入室することによっては行われない処理」であるのに対し、甲11発明は、その旨特定されていない点
[相違点7-3]
「特定ユーザ」について、本件発明は、該ユーザ「であるか否かは、前記特定ユーザに関する情報が閲覧可能となる複数のユーザ各々が入室する仮想空間の種類にかかわらず予め定められている」のに対し、甲11発明は、そのように予め定めることについては特定されていない点
(5)相違点についての判断
ア 事案に鑑み、申立人が異議申立書で相違点として挙げている相違点7-3について検討する。
イ 相違点7-3については、特定ユーザの設定に関することであり、申立理由1の相違点1-7と同様の相違点である(前記1(4))。
それに加えて、相違点7-1及び相違点7-2のうち閲覧可能とする対象者に関することについては、申立理由1の相違点1-2及び相違点1-4と同様の相違点である(前記1(4))。
そして、前記1(5)の判断では、相違点1-7については、周知技術などを踏まえても当業者が容易に想到し得るものではなく、さらに、仮に、解決すべき課題等があったとしても、相違点1-2、1-4があるため、相違点1-7にする動機づけがないとした。
相違点7-3についても、前記1(5)の相違点1-7に関する判断と同様のことがいえるため、甲11発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に想到し得たこととは認められない。
(6)小括
前記(5)のとおりであるから、その余の相違点について判断するまでもなく、本件発明1は、甲11発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
また、本件発明1を直接引用する本件発明4~7及び本件発明9、並びに本件発明1とカテゴリーのみが異なる本件発明14及び15についても、同様である。
8 申立理由8について
(1)甲13の記載事項
ア 甲13は、申立人によれば、「出願前の2021年7月1日にリリースされたRocketJoin バージョン1.9.3のソースコードの,パッケージme.lorenzo0111.rocketjoin.bungeecord.listener クラスJoinListener.java」である(異議申立書15頁5~8行)。
なお、甲13の2は、甲13の「Code」画面であって、ソースコードが途切れている部分を別途出力されたものである。
イ 甲13は、申立人によれば、異議申立書において、下記のとおり発明が認定できるとされた(異議申立書15頁9~15行)。
<甲13発明>
プレイヤがBungeeCordに参加したとき,(L50)
プレイヤがrocketjoin.vip権限を有し,プラグインのenable_vip_features設定及びvip_join設定が有効化されている場合(L77),VIP参加メッセージを送信し,処理を終了し(L78-79),
プラグインのenable_join_message設定が有効化されている場合(L82),参加メッセージを送信する(L83),
プログラム.
ウ 甲13発明は、前記アのとおり、.javaファイル(以下「甲13のjava」という。)である。
そして、申立人は、「・・・(略)・・・JoinListener.java (甲13,甲13の2)から,次の甲13発明を認定できる.」(異議申立書15頁8行)とし、甲13のjavaから甲13発明を認定している。
しかしながら、甲13のjavaで使われているメソッドについては、甲30及び甲35を含めて証拠に基づいた説明が何ら示されていない。そのため、甲13のjavaに記載されている内容を正確に理解できない。
また、甲13のjavaは、設定ファイル又は権限ファイルを参照していると考えられるメソッドがあるものの、その設定ファイル又は権限ファイルを証拠として示していないため、それらメソッドの処理が正確に理解できない。
さらに、甲13のjavaは、マインクラフトのSpigotのプラグインであるものの、Spigotのソフトウェアの処理に関して証拠として示されていないため、Spigotのソフトウェアとそのプラグインとの対応関係が不明であり、プラグインとしての処理そのものが正確に理解できない。
そのため、甲13のjavaに記載されている内容を正確に理解できない。
エ よって、申立人が主張する甲13発明は、甲13、甲13の2により立証されているとはいえない。また、他の甲号証を参照しても甲13発明は立証されていない。
(2)前記(1)のとおりであるから、本件発明1は、甲13及び甲13の2に基づいて、当業者が容易に想到し得るものではない。
また、本件発明1を直接引用する本件発明4~7及び本件発明9、並びに本件発明1とカテゴリーのみが異なる本件発明14及び15についても、同様である。
9 申立理由9について
(1)甲26の記載事項
甲26には、次の記載がある。なお、訳は、申立人が提出したものを参考に当審で作成したものである。
ア 1頁
Webページの最上段およびその右側の文章1~2行に次の記載がある。
「
[図:0001438306000008.jpg]
」
(当審訳(右側の文章):より良いマインクラフトサーバを探してますか?
SpigotMCについてはこちらをご覧ください。)
WebページはマインクラフトのSpigotに関するページと解される。
イ 1頁
「Per World Join Leave Messages 0.1.7」の「Overview」のタブ内(以下「0.1.7画面内」という。)の4~8行に次の記載がある。
「Introduction
You know, you want to make a Minecraft server. Bungeecord? Naah, too complicated, I will use Multiverse instead. Then you configure some worlds, add chat plugins... And then you are like hmm, I have chats separate for survival, lobby, minigames, so I want to get messages when players join them. And that is when this plugin comes in!」
(当審訳:はじめに
当たり前ですが、あなたはマインクラフトサーバを作りたい。Bungeecord?いや、複雑すぎる。私はMultiverseを代わりに使うでしょう。そして、いくつかのワールドを設定し、チャットプラグインを追加します・・・そして、あなたは多分、うーむ、私はサバイバル、ロビー、ミニゲーム用に別々のチャットを持っているから、プレイヤがそれらに参加したときに通知を受け取りたいと思うはずです。そこで、このプラグインの出番です!)
上述の「サバイバル、ロビー、ミニゲーム」は、その前の記載を踏まえると、「ワールド」であることは明らかである。また、「それらに参加」とは、その前の記載を踏まえると、「サバイバル、ロビー、ミニゲーム」に「参加」のことである。さらに、「このプラグイン」とは、その前の記載を踏まえると、「プレイヤがそれらに参加したときに通知を受け取」るための「プラグイン」のことである。
そうすると、「このプラグイン」とは、「プレイヤがサバイバル、ロビー、ミニゲームのワールドに参加したときに通知を受け取るためのプラグイン」のことである。
ウ 1頁
「0.1.7画面内」の9~11行に次の記載がある。
「Features
・Customizable server join/leave messages
・Customizable messages when joining/leaving specified world group」
(当審訳:機能
・カスタマイズ可能なサーバ参加/退出メッセージ
・特定のワールドグループへ参加/退出するときのカスタマイズ可能なメッセージ)
エ 1頁
「0.1.7画面内」の15~16行に次の記載がある。
「・Option to remove vanilla join/leave message
・Send messages only when player has a permission」
(当審訳:・バニラの参加/退出メッセージを無効化するオプション
・プレイヤが権限を持つときのみメッセージを送信)
(2)甲26発明
前記(1)の記載事項によれば、甲26には、以下の発明(以下「甲26発明」という。)が記載されている。なお、後の参照の便宜のため、甲26発明を以下のように分説し、「構成26a」のようにして参照する。
<甲26発明>
26a マインクラフトのSpigotに関するプラグインであって、(前記(1)ア及びイ)
26b プレイヤがサバイバル、ロビー、ミニゲームのワールドに参加したときに通知を受け取るためのプラグインであり、(前記(1)イ)
26c ・カスタマイズ可能なサーバ参加メッセージという機能、(前記(1)ウ)
26d ・特定のワールドグループへ参加するときのカスタマイズ可能なメッセージという機能、(前記(1)ウ)
26e ・バニラの参加メッセージを無効化するオプションという機能、(前記(1)エ)
26f ・プレイヤが権限を持つときのみメッセージを送信するという機能がある、(前記(1)エ)
26g プラグイン。(前記(1)イ)
(3)本件発明1と甲26発明の対比
本件発明1と甲26発明とを対比する。
ア 発明特定事項1Aについて
発明特定事項1Aは「仮想空間へのユーザの入室状況に基づいた処理をコンピュータに行わせるためのプログラムであって、」というものである。
(ア)甲26発明は「マインクラフトのSpigotに関し」(構成26a)、「プレイヤがサバイバル、ロビー、ミニゲームのワールドに参加したときに通知を受け取るためのプラグイン」(構成26b)であるので、「プラグイン」は「Spigot」にインストールするためのプラグインであると解することができる。そうすると、甲26発明は「マインクラフトのSpigot」の「プラグイン」である。
また、「プラグイン」が既存のソフトウェアに新しい機能を追加するための拡張プログラムであることは技術常識であることから、甲26発明の「プラグイン」(構成26b)は、本件発明1の「プログラム」に相当する。
(イ)「マインクラフト」とは、ブロックでできたワールドと呼ばれる仮想空間でプレイヤが建物などを作ることができるゲームであり、一般的に知られているものである。
そうすると、甲26発明の「マインクラフト」の「プレイヤ」(構成26b)及び「サバイバル、ロビー、ミニゲームのワールド」(構成26b)は、本件発明1の「ユーザ」及び「仮想空間」に相当するといえる。
(ウ)「マインクラフトのSpigot」がJava版マルチプレイサーバ向けソフトウェアであることは一般的に知られていることである。
そして、甲26発明の「マインクラフトのSpigot」(構成26a)が、ソフトウェアであり、特定の機能を実現するための処理をコンピュータに行わせていることを踏まえると、甲26発明の「マインクラフトのSpigot」のプラグインについても、その処理をコンピュータに行わせることは明らかである。
(エ)甲26発明の「プレイヤがサバイバル、ロビー、ミニゲームのワールドに参加したとき」(構成26b)とは、「ワールド」へ「プレイヤ」が入室したときに他ならないので、甲26発明の「参加」は本件発明1の「入室」に相当し、甲26発明の「プレイヤ」が「ワールドに参加したときに通知を受け取る」ための処理は、本件発明1の「仮想空間へのユーザの入室状況に基づいた処理」に相当する。
(オ)前記(ア)~(エ)をまとめると、本件発明1と甲26発明は、「仮想空間へのユーザの入室状況に基づいた処理をコンピュータに行わせるためのプログラムであって、」という点で一致する。
イ 発明特定事項1B及び1Cについて
発明特定事項1Bは「前記コンピュータを、」というものであり、発明特定事項1Cは「特定ユーザに関する情報を複数のユーザに閲覧可能とするための処理を行う閲覧可能化手段として機能させ、」というものである。
(ア)甲26発明の「マインクラフトのSpigot」(構成26a)の「プラグイン」(構成26b)は、前記ア(ウ)で説示したとおり、本件発明1のように「コンピュータ」を、各種「手段として機能」させている「プログラム」であることは明らかである。
(イ)甲26発明では「プレイヤが権限を持つときのみメッセージを送信する」(構成26f)ことから、「権限を持った」プレイヤが、本件発明1の「特定ユーザ」に相当する。
(ウ)甲26発明には「プレイヤが権限を持つときのみメッセージを送信するという機能」(構成26f)があり、その機能は、「権限を持った」プレイヤであればメッセージが送信され、それ以外のプレイヤであればメッセージが送信されないと解することができる。
そうすると、甲26発明の「メッセージ」は、本件発明1の「特定ユーザに関する情報」に相当するといえる。
(エ)甲26発明には、「カスタマイズ可能なサーバ参加メッセージという機能」(構成26c)や「特定のワールドグループへ参加するときのカスタマイズ可能なメッセージという機能」(構成26d)があり、「参加」とは「プレイヤ」の「参加」のことであると解せるので、「メッセージ」はプレイヤが「参加」したときに送信されるものである。
また、甲26発明は、「プレイヤがサバイバル、ロビー、ミニゲームのワールドに参加したときに通知を受け取る」(構成26b)ものであることから、上述を踏まえると、「通知」とはプレイヤがワールドに参加したときに、メッセージを受ける取ることである。一方で、通知を受け取るプレイヤにとっては、メッセージを受け取ることで「閲覧可能」になるといえる。
そうすると、甲26発明において、プレイヤが参加したときにメッセージから送信され、そのメッセージを「受け取る」(構成26b)ための処理が、本件発明1における「閲覧可能とするための処理」であり、甲26発明は、その「処理を行う閲覧可能化手段」を有しているといえる。
ただし、本件発明1は、「複数のユーザに閲覧可能とするための処理」を行っているのに対し、甲26発明は、どのような対象者に「閲覧可能とするための処理」を行っているのかが特定されていない点で相違する。
(オ)前記(ア)~(エ)をまとめると、本件発明1と甲26発明は「前記コンピュータを」、「特定ユーザに関する情報」を「閲覧可能とするための処理を行う閲覧可能化手段として機能させ」ている点で共通する。
一方、本件発明1は「複数のユーザに閲覧可能とするための処理」を行っているのに対し、甲26発明はどのような対象者に「閲覧可能とするための処理」を行っているのかが特定されていない点で相違する。
ウ 発明特定事項1Dについて
発明特定事項1Dは「前記閲覧可能化手段は、前記特定ユーザが前記仮想空間に入室したときに、前記特定ユーザに関する情報として当該特定ユーザが前記仮想空間に入室したことが特定可能となる情報を、複数のユーザのうちいずれのユーザであるかにかかわらず閲覧可能となるようにするための処理を行い、」というものである。
(ア)甲26発明において、「プレイヤがワールドに参加したとき」(構成26b)とは、本件発明1において、ユーザが「仮想空間に入室したとき」に相当する。(前記ア(エ))。また、その際に、「権限を持つ」「プレイヤ」(構成26f)であれば、特定「ユーザ」が「仮想空間に入室した」ときである。
前記イ(オ)を踏まえると、本件発明1と甲26発明では、「前記閲覧可能化手段は、前記特定ユーザが前記仮想空間に入室したときに、」「特定ユーザに関する情報」を、「閲覧可能となるようにするための処理を行」っているという点で共通する。
ただし、「閲覧可能となるようにするための処理」を、本件発明1は、「複数のユーザのうちいずれのユーザであるかにかかわらず」行っているのに対し、甲26発明は、どのような対象者に行っているのかが特定されていない点で相違する。
(イ)甲26発明において「プレイヤ」が「ワールドに参加したときに」受け取る「通知」(構成26b)は、「メッセージ」のことであるから(前記イ(エ))、「メッセージ」は、プレイヤがワールドに入室したことを特定可能にしているといえる。
そして、甲26発明において、「プレイヤが権限を持つときのみメッセージを送信するという機能」(構成26f)をもつから、権限を持つプレイヤがワールドに入室したことを特定可能にする機能をもつといえる。
よって、甲26発明の「メッセージ」が本件発明1の「特定ユーザに関する情報」に相当する(前記イ(ウ))ことを踏まえると、本件発明1の「特定ユーザに関する情報」と甲26発明「メッセージ」は、「当該特定ユーザが前記仮想空間に入室したことが特定可能となる情報」である点で共通する。
(ウ)前記(ア)及び(イ)をまとめると、本件発明1と甲26発明は、「前記閲覧可能化手段は、前記特定ユーザが前記仮想空間に入室したときに、特定ユーザに関する情報として当該特定ユーザが前記仮想空間に入室したことが特定可能となる情報」を、「閲覧可能となるようにするための処理を行」っているという点で共通する。
一方、本件発明1では「複数のユーザのうちいずれのユーザであるかにかかわらず」「閲覧可能となるようにするための処理」を行っているのに対し、甲26発明ではどのような対象者に「閲覧可能となるようにするための処理」を行っているのかが特定されていない点で相違する。
エ 発明特定事項1Eについて
発明特定事項1Eは「前記いずれのユーザであるかにかかわらず閲覧可能となるようにするための処理は、前記特定ユーザ以外のユーザが前記仮想空間に入室することによっては行われない処理であり、」というものである。
(ア)前記ウ(ウ)で示した相違点と同様に、本件発明1では「いずれのユーザであるかにかかわらず」、「閲覧可能となるようにするための処理」を行っているのに対し、甲26発明は、どのような対象者に「閲覧可能となるようにするための処理」を行っているのかが特定されていない点で相違する。
(イ)甲26発明には、「プレイヤが権限を持つときのみメッセージを送信するという機能」(構成26f)があり、その機能は、「権限を持った」プレイヤであればメッセージが送信され、それ以外のプレイヤ、すなわち、権限を持たないプレイヤであればメッセージが送信されないと解することができる(前記イ(ウ))。そして、権限を持たないプレイヤとは、本件発明1の「特定ユーザ以外のユーザ」に他ならない。
また、メッセージを送信しないとは、メッセージを受け取るプレイヤにとっては、「閲覧」ができないことであり、「閲覧可能となるようにするための処理」が「行われない処理」(「閲覧非実行処理」(前記1(3)エ(ウ)参照))がされているといえる。
さらに、甲26発明の「メッセージ」は、「ワールドに参加したときに通知」(構成26b)されることから、上述の「メッセージを送信しない処理」は、「仮想空間に入室」したときであっても送信しない処理であるといえる。
そうすると、本件発明1と甲26発明における「閲覧可能となるようにするための処理は、前記特定ユーザ以外のユーザが前記仮想空間に入室することによっては行われない処理」である点で共通する。
(ウ)前記(ア)及び(イ)をまとめると、本件発明1と甲26発明における「閲覧可能となるようにするための処理は、前記特定ユーザ以外のユーザが前記仮想空間に入室することによっては行われない処理」である点で共通する。
一方、本件発明1では「いずれのユーザであるかにかかわらず」「閲覧可能となるようにするための処理」を行っているのに対し、甲26発明は、どのような対象者に「閲覧可能となるようにするための処理」を行っているのかが特定されていない点で相違する。(前記ウ(ウ))と同様)
オ 発明特定事項1Fについて
発明特定事項1Fは「複数のユーザ各々が入室可能な仮想空間として、提供されるコンテンツが異なる複数種類の仮想空間が設けられており、」というものである。
(ア)甲26発明は「マインクラフトのSpigotに関するもの」(構成26a)であり、Spigotは前記ア(ウ)で示したように、マルチプレイ用サーバを構築するためのソフトウェアであることから、甲26発明の「マインクラフトのSpigot」は、本件発明1と同様に「複数のユーザ各々が入室可能な仮想空間」でプレイするゲームのソフトウェアであることは明らかである。
(イ)甲26発明は、「プレイヤがサバイバル、ロビー、ミニゲームのワールドに参加したときに通知を受け取るためのプラグイン」であることから、「ワールド」として設けられた「サバイバル、ロビー、ミニゲーム」は、「提供されるコンテンツが異なる複数種類の仮想空間」といえる。
(ウ)前記(ア)及び(イ)をまとめると、本件発明1と甲26発明は、「複数のユーザ各々が入室可能な仮想空間として、提供されるコンテンツが異なる複数種類の仮想空間が設けられ」ている点で一致する。
カ 発明特定事項1Ga及び1Gbについて
発明特定事項1Gaは「前記特定ユーザは、予め定められたユーザであって、」というものであり、発明特定事項1Gbは、「当該特定ユーザであるか否かは、前記特定ユーザに関する情報が閲覧可能となる複数のユーザ各々が入室する仮想空間の種類にかかわらず予め定められている、」というものである。
(ア)甲26発明では、「プレイヤが権限を持つとき」(構成26f)の機能が示されているので、甲26発明の「権限を持」つ「プレイヤ」は、予め定められたプレイヤといえる。
よって、本件発明1と甲26発明は、「特定ユーザ」が「予め定められたユーザ」であるという点で共通する。
(イ)一方、甲26発明には、「サバイバル、ロビー、ミニゲームのワールド」(構成26b)があるが、「プレイヤ」と「権限」の関係について、これらのワールドでどのように定めるのかが特定されていない。
よって、「特定ユーザ」について、本件発明1では、該「ユーザであるか否かは、前記特定ユーザに関する情報が閲覧可能となる複数のユーザ各々が入室する仮想空間の種類にかかわらず予め定められている」のに対し、甲26発明では、該ユーザであるか否かは、そのように予め定められているのかが特定されていない点で相違する。
(ウ)前記(ア)及び(イ)をまとめると、本件発明1と甲26発明は、「特定ユーザ」が「予め定められたユーザ」であるという点で共通する。
ただし、「特定ユーザ」について、本件発明1では、該ユーザであるか否かは「前記特定ユーザに関する情報が閲覧可能となる複数のユーザ各々が入室する仮想空間の種類にかかわらず予め定められている」のに対し、甲26発明では、該ユーザであるか否かは、そのように予め定められているのかが特定されていない点で相違する。
キ 発明特定事項1Hについて
発明特定事項1Hは、「プログラム。」というものである。
(ア)前記アで示したとおりであり、甲26発明の「プラグイン」は本件発明1の「プログラム」に相当する。
よって、本件発明1と甲26発明は「プログラム。」という点で一致する。
(4)一致点及び相違点
前記(3)によれば、本件発明1と甲26発明の一致点と相違点は以下のとおりである。
[一致点]
仮想空間へのユーザの入室状況に基づいた処理をコンピュータに行わせるためのプログラムであって、
前記コンピュータを、
特定ユーザに関する情報を閲覧可能とするための処理を行う閲覧可能化手段として機能させ、
前記閲覧可能化手段は、前記特定ユーザが前記仮想空間に入室したときに、前記特定ユーザに関する情報を、閲覧可能となるようにするための処理を行い、
閲覧可能となるようにするための処理は、前記特定ユーザ以外のユーザが前記仮想空間に入室することによっては行われない処理であり、
複数のユーザ各々が入室可能な仮想空間として、提供されるコンテンツが異なる複数種類の仮想空間が設けられており、
前記特定ユーザは、予め定められたユーザであり、
プログラム。
[相違点9-1]
本件発明1は「複数のユーザに閲覧可能とするための処理」を行っているのに対し、甲26発明はどのような対象者に「閲覧可能とするための処理」を行っているのかが特定されていない点
[相違点9-2]
本件発明1では「複数のユーザのうちいずれのユーザであるかにかかわらず」「閲覧可能となるようにするための処理」を行っているのに対し、甲26発明ではどのような対象者に「閲覧可能となるようにするための処理」を行っているのかが特定されていない点
[相違点9-3]
「特定ユーザ」について、本件発明1では、該「ユーザであるか否かは、前記特定ユーザに関する情報が閲覧可能となる複数のユーザ各々が入室する仮想空間の種類にかかわらず予め定められている」のに対し、甲26発明では、該ユーザであるか否かは、そのように予め定められているのかが特定されていない点
(5)相違点についての判断
ア 事案に鑑み、申立人が異議申立書で相違点として挙げている相違点9-3について検討する。
イ 相違点9-3については、特定ユーザの設定に関することであり、申立理由1の相違点1-7と同様の相違点である(前記1(4))。
それに加えて、相違点9-1及び相違点9-2は、いずれも閲覧可能とした対象者に関することであるが、相違点9-1及び相違点9-2は、それぞれ申立理由1の相違点1-2及び相違点1-4と同様の相違点である(前記1(4))。
そして、前記1(5)の判断では、相違点1-7については、周知技術などを踏まえても当業者が容易に想到し得るものではなく、さらに、仮に、解決すべき課題等があったとしても、相違点1-2、1-4があるため、相違点1-7にする動機づけがないとした。
相違点9-3についても、前記1(5)の相違点1-7に関する判断と同様のことがいえるため、甲26発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に想到し得たこととは認められない。
(6)小括
前記(5)のとおりであるから、その余の相違点について判断するまでもなく、本件発明1は、甲26発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
また、本件発明1を直接引用する本件発明4~7及び本件発明9、並びに本件発明1とカテゴリーのみが異なる本件発明14及び15についても、同様である。
10 申立理由10について
(1)甲28の記載事項、甲28の発明
ア 甲28は、申立人によれば、「出願前の2022年12月11日にリリースされた(甲27)「pwjlm-0.1.7.jar」を逆コンパイルし,パッケージio.github.maximmaxims.pwjlm.listeners内のPlayerJoinListener.java及びPlayerChangedWorldListener.javaファイルを得た」ものである(異議申立書16頁9~12行)。
イ 甲28は、申立人によれば、異議申立書において、下記のとおり発明が認定できるとされた(異議申立書16頁14~34行)。
<甲28発明>
プレイヤがMinecraftサーバに参加したときに,(PlayerJoinListener.java L26)
プラグインのremoveDefaultJoin設定が有効である場合,デフォルトの参加メッセージを無効化し,(L37-38)
プラグインのignoreVanished設定が無効またはプレイヤがvanish状態でなく,かつプラグインのignoreNoPermissionが無効またはプレイヤがpwjlm.notify権限を有する場合,(L41-42)
参加したワールド群にて参加メッセージが有効の場合,(L44,WorldGroup.java L81-82)
参加したワールド群の全プレイヤに参加メッセージを送信し,(L46, MessageSenderUtil.java L14-39)
プレイヤがワールドを切り替えたときに,(PlayerChangedWorldListener.java L25)
プラグインのignoreVanished設定が無効またはプレイヤがvanish状態でなく,かつプラグインのignoreNoPermissionが無効またはプレイヤがpwjlm.notify権限を有する場合,(L27-28)
参加したワールド群にて参加メッセージが有効の場合,(L48,WorldGroup.java L97-98)
参加したワールド群の全プレイヤに参加メッセージを送信する,(L61, MessageSenderUtil.java L14-39)
プログラム.
ウ 甲28は、前記アのとおり、PlayerJoinListener.java及びPlayerChangedWorldListener.javaの2つの.javaファイル(以下「甲28のjava」という。)である。
そして、申立人は、「・・・(略)・・・PlayerJoinListener.java及びPlayerChangedWorldListener.javaファイルを得た(甲28).ここから,次の甲28発明を認定できる.」(異議申立書16頁11~13行)とし、甲28のjavaから甲28発明を認定している。
しかしながら、前記2(1)ウで説示したことと同様に、甲28のjavaで使われているメソッドについては、甲30及び甲35でメソッドの説明がなされているものの、一部の説明にとどまり、それ以外のメソッドについて証拠に基づいた説明が何ら示されていない。
また、甲28のjavaは、設定ファイル又は権限ファイルを参照していると考えられるメソッドがあるものの、その設定ファイル又は権限ファイルを証拠として示していないため、それらのメソッドが正確に理解できない。
さらに、甲28のjavaは、マインクラフトのSpigotのプラグインであるものの、Spigotのソフトウェアの処理に関して証拠として示されていないため、Spigotのソフトウェアとそのプラグインとの対応関係が不明であり、プラグインとしての処理そのものが正確に理解できない。
そのため、甲28のjavaに記載されている内容を正確に理解できない。
加えて、申立人が発明として認定した「甲28発明」(前記(イ))には、「WorldGroup.java」、「MessageSenderUtil.java」から認定したと思われる発明特定事項があるが、「WorldGroup.java」、「MessageSenderUtil.java」が証拠として示されていないため、甲28発明を証拠に基づいて認定することができない。
エ よって、申立人が主張する甲28発明は、甲28、甲27、甲30及び甲35により立証されているとはいえない。また、他の甲号証を参照しても甲28発明は立証されていない。
(2)前記(1)のとおりであるから、本件発明1は、甲28及び甲27に基づいて、当業者が容易に想到し得るものではない。
また、本件発明1を直接引用する本件発明4~7及び本件発明9、並びに本件発明1とカテゴリーのみが異なる本件発明14及び15についても、同様である。
第5 むすび
したがって、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1、4~7、9、14、15に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に上記請求項に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2026-700138