特許訂正審判
2026-390029
改善された封じ込め堤防
- 審判番号
- 2026-390029
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2024-141057
- 登録番号
- 7610757
- 請求日
- 2026年02月19日
- 審決日
- 2026年05月14日
- 公報発行日
- 2026年08月28日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】ピーブイ フラッド コントロール コーポレイション
- 【請求人代理人】弁理士法人谷・阿部特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 小島 寛史
- 審判官 土屋 真理子
- 審判官 立澤 正樹
- 分類
- P141 .853-Y (E02B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条、特許法第126条第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7610757号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
特許第7610757号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本件訂正審判の請求に係る特許第7610757号(以下、「本件特許」という。)は、2016年(平成28年)4月28日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理 2015年4月30日 アメリカ合衆国(US))を国際出願日とした特願2017-540898号の一部を、平成30年7月5日に新たな特許出願とした特願2018-128373号の一部を、令和3年1月19日に新たな特許出願とした特願2021-6405号の一部を、同年4月7日に新たな特許出願とした特願2021-65390号の一部を、令和4年7月21日に新たな特許出願とした特願2022-116394号の一部を、令和5年7月28日に新たな特許出願とした特願2023-123329号の一部を、令和6年5月9日に新たな特許出願とした特願2024-76577号の一部を、令和6年8月22日に新たな特許出願としたものであって、同年12月24日に特許権の設定登録がなされた。
その後、令和8年2月19日に本件訂正審判の請求がされ、同年4月2日に手続補正書(方式)が提出されたものである。
第2 請求の趣旨
本件訂正審判の請求の趣旨は、特許第7610757号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める、との審決を求める、というものである。
第3 訂正事項
本件訂正審判の請求に係る訂正の内容は、以下の訂正事項1のとおりである(下線は訂正箇所を示す。)。
1 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1において、訂正前に、
「少なくとも前記第1の端部及び前記第2の端部を超えて延伸する防水性ベーパスリーブであって、前記防水性ベーパスリーブは、キャビティ内に水が浸入するのを防ぎ、前記キャビティは前記防水性ベーパスリーブ内のエリアであり、前記第1の端部と前記第2の端部との間のスペース、防水性ベーパスリーブと」
と記載されているのを、
「少なくとも前記第1の端部及び前記第2の端部を超えて延伸する防水性ベーパスリーブであって、前記防水性ベーパスリーブは、キャビティ内に水が浸入するのを防ぎ、前記キャビティは前記防水性ベーパスリーブ内のエリアであり、前記第1の端部と前記第2の端部との間のスペースを含む、防水性ベーパスリーブと」
に訂正する(請求項1の記載を直接または間接的に引用する請求項2~14も同様に訂正する)。
第4 当審の判断
1 訂正の目的について
請求人は、「訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。」(審判請求書2頁29~30行)と主張している。
そこで、まず、訂正事項1が、明瞭でない記載の釈明を目的としたものであるかについて検討を行う。
(1)明瞭でない記載の釈明について
ア 「明瞭でない記載の釈明」とは、設定登録時の明細書、特許請求の範囲又は図面中にそれ自体意味の不明瞭な記載、又は、設定登録時の明細書、特許請求の範囲又は図面中の他の記載との関係で不合理が生じているため不明瞭となっている記載等、明細書、特許請求の範囲又は図面に生じている記載上の不備を訂正し、その本来の意を明らかにすることをいう(審判便覧38-03「5.明瞭でない記載の釈明」(1))。
また、明瞭でない記載の釈明が認められるためには、設定登録時の明細書、特許請求の範囲又は図面に明瞭でない記載が存在することが必要である(審判便覧38-03「5.明瞭でない記載の釈明」(2))。
イ 設定登録時の請求項1には、「前記第1の端部と前記第2の端部との間のスペース、防水性ベーパスリーブ」との記載があるが、当該記載では、「前記第1の端部と前記第2の端部との間のスペース」と「防水性ベーパスリーブ」との関係が不明瞭であり、設定登録時の請求項1には、明瞭でない記載が存在している。
ウ 上記イのように、設定登録時の請求項1に明瞭でない記載が存在した際、当該訂正事項1により訂正された記載が明瞭となり、その本来の意を明らかにするものであるかについて検討する。
訂正前の請求項1には、「少なくとも前記第1の端部及び前記第2の端部を超えて延伸する防水性ベーパスリーブであって、前記防水性ベーパスリーブは、キャビティ内に水が侵入するのを防ぎ、前記キャビティは前記防水性ベーパスリーブ内のエリアであり、前記第1の端部と前記第2の端部との間のスペース、防水性ベーパスリーブ」と記載されているが、当該記載は、請求項1の「装置」が備える「防水性ベーパスリーブ」を説明する記載であると認められる。
そして、訂正前の請求項1の「前記第1の端部と前記第2の端部との間のスペース」と「防水性ベーパスリーブ」との関係について、明細書段落【0056】、【0057】、及び、【図4B】を参酌すると、「チューブ10aの端部41a」と「チューブ10bの端部41b」との間にスペースが形成され、当該スペースが、スリーブであり防水材料から構築されている「ベーパバリア400」(防水性ベーパスリーブ)内に含まれるものであると認められる(明細書の記載、図面の記載については、下記3(1)、(2)を参照のこと。)。
そうしてみると、訂正事項1により、「前記第1の端部と前記第2の端部との間のスペースを含む、防水性ベーパスリーブ」と訂正することは、関係が不明瞭であった「前記第1の端部と前記第2の端部との間のスペース」と「防水性ベーパスリーブ」との関係を明瞭にし、「防水性ベーパスリーブ」について、(第1の封じ込めチューブの)「第1の端部」と(第2の封じ込めチューブの)「第2の端部」との間にスペースが形成され、当該スペースが「防水性ベーパスリーブ」に含まれるものであるという、本来の意を明らかにするものであると認められる。
エ したがって、訂正事項1による訂正は、明瞭でない記載の釈明を目的としたものである。
(2)訂正の目的についてのまとめ
以上によれば、訂正事項1は、明瞭でない記載の釈明に該当するから、特許法126条1項ただし書3号に掲げる事項を目的とするものである。
2 実質上特許請求の範囲を拡張し、また変更する訂正ではないことについて
上記1で説示したとおり、訂正事項1は請求項1の明瞭でない記載を明瞭な記載にし、その本来の意を明らかにするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、また変更するものではないことから、特許法126条6項の規定に適合する。
3 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることについて
(1)願書に添付した明細書及び図面(設定登録時の明細書及び図面)に記載されている事項
設定登録時の明細書の段落【0055】~【0057】、及び、【図4B】には、以下の記載がある(下線は当審で付した。)。
ア「【0055】
1つの実施形態では、一体式のベーパバリア400は、その表面を通る流体の侵入を防止するために、ポリビスクイーン、ゴムなど防水材料から構築されており、または、チューブ10もしくはベーパバリア15を構築するために使用されているものと同様の他の材料から構築されている。したがって、たとえば、追加的なチューブが、図4Bに図示されているように開口部47の中へ挿入されるときに、当接しているチューブ端部41a、41bの間の流体侵入が軽減され得る。図1に示されているものなど、地面に対するチューブのシフトを防止するストラップ、ループ、および/またはアンカーを含むことは、一体式のベーパバリア400の中でのチューブの係合を維持することを支援し、シームレスな堤防が、複数の堤防セクションから任意の長さで構築され得るようになっている。追加的に、図2~図3を参照して説明されているものなどベーパバリアが、ピラミッド堤防セクション、および、特に、当接しているチューブが一体式のベーパバリア400を介して取り付けられている2つの堤防セクションの接合部に巻き付けられるために利用され、堤防を通る流体浸出をさらに軽減することが可能である。
【0056】
図4Bに示されているように、チューブ10aは、その可撓性の本体部の端部41aに近接して配設されている一体式のベーパバリア400を含む。一体式のベーパバリア400は、熱成形または他の貼り付け手段を介して、一方の端部42において、チューブ10aの本体部に取り付けられ得る。いくつかの実施形態では、一体式のベーパバリア400は、スリーブであり、スリーブは、チューブ10aの端部41aの上に所定の距離にわたって延在しており、チューブ10aが充填されるとき、圧縮を介して、端部42において取り付けを形成する。
【0057】
また、ベーパバリア400の反対側端部43の開口部47の中へ挿入されているチューブ10bの端部41bが、図4Bに示されている。1つの実施形態では、チューブ10bの端部41bは、チューブ10bの充填の前に、開口部47の中へ挿入される。そして、チューブ10bが充填されるときに、チューブ10bの本体部は膨張し、圧縮を介して、ベーパバリア400の端部43との取り付けを形成する。したがって、一体式のベーパバリア400が防水材料から構築されているとき、当接しているチューブ端部41a、41bの間の流体侵入が軽減され得る。」
イ【図4B】
「
[図:0001438243000001.jpg]
」
(2) 図面から看取される事項
上記(1)アをふまえ、上記(1)イの【図4B】から、次の事項が看取される。
・チューブ10aの端部41aとチューブ10bの端部41bとの間にスペースがあること
・スペースがベーパバリア400内に含まれること
(3)判断
上記(1)及び(2)から、設定登録時の明細書及び図面の記載において、「チューブ10aの端部41a」と「チューブ10bの端部41b」との間にスペースが形成され、当該スペースが「防水性ベーパスリーブ」内に含まれるものであると認められ、訂正事項1に係る「前記第1の端部と前記第2の端部との間のスペースを含む、防水性ベーパスリーブ」との訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものといえる。
よって、訂正事項1は、特許法126条5項の規定に適合する。
4 独立特許要件について
訂正事項1は、特許法126条1項ただし書3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものであるから、特許法126条7項の独立特許要件は課されない。
5 訂正事項1のまとめ
上記1~4のとおり、訂正事項1は、特許法126条1項ただし書3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、かつ、特許法126条5項及び6項の規定に適合する。
第5 むすび
以上のとおり、訂正事項1は、特許法126条1項ただし書3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、かつ、特許法126条5項及び6項の規定に適合する。
したがって、本件訂正は適法にされたものであるから、本件特許の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。
よって、結論のとおり審決する。
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