意匠拒絶査定不服審判
2026-002416
昇降具
- 審判番号
- 2026-002416
- 法域
- 意匠
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 意願2024-013480
- 登録番号
- 1829178
- 請求日
- 2026年02月18日
- 審決日
- 2026年05月12日
- 公報発行日
- 2026年06月26日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】株式会社ナカオ
- 【請求人代理人】今中 崇之
- 審判長/審判官
- 審判長 綿貫 浩一
- 審判官 宗 裕一郎
- 審判官 清野 貴雄
- 分類
- D18 .113-WY (D0-2)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 意匠法第3条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
意願2024- 13480「昇降具」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由
理 由
第1 主な手続の経緯
令和6年(2024年) 7月 1日 意匠登録出願
令和7年(2025年) 4月28日付け 拒絶理由通知書
同年 8月 6日 意見書の提出
同年 11月25日付け 拒絶査定
令和8年(2026年) 2月18日 審判請求書の提出
第2 本願の意匠
本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は、意匠に係る物品を「昇降
具」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状等」という。)を、願書の記載及び願書に添付した図面に記載したとおりとしたものである。(別紙第1参照)
第3 原査定における拒絶の理由及び引用の意匠
原査定の拒絶の理由は、本願意匠は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の意匠(以下「引用意匠」という。)に類似するものであるから、意匠法3条1項3号に掲げる意匠(先行の公知意匠に類似するため、意匠登録を受けることのできない意匠)に該当する、というものであ
る。
引用意匠(別紙第2参照)
特許庁発行の公開特許公報記載
特開2003-239526
の図面のうち図1及び図3に表された手摺付作業台の意匠
第4 当審の判断
1 本願意匠と引用意匠の対比
(1)意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は、願書及び願書の添付図面の記載によれば、昇降をすることによって、フェンス等の障害物を乗り越えるための「昇降
具」である。
一方、引用意匠の意匠に係る物品は、明細書の記載によれば、手摺枠に囲まれた空間内において、建築物の内外装作業等の高所作業を安全に行うための「手摺付作業台」である。
そうすると、本願意匠と引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は、具体的な使用目的が異なるものであるから、両意匠に係る物品
は、一致しない。
(2)両意匠の形状等
両意匠の形状等については、主として、以下のとおりの共通点及び相違点がある。
なお、両意匠の対比のため、本願意匠の図の向きに合わせて、引用意匠の図の向きを認定する。
ア 共通点
(ア)全体
全体は、2台の梯子の上端を折り畳み可能に側面視略逆V字状に接合したものであって、梯子の真ん中から下側をやや裾広がりに拡開し、上端からやや下がった位置に略矩形板状の踏み板を水平に取り付けている点、
各部の態様として、
(イ)梯子
2台の梯子は、それぞれ略角筒状の支柱と踏み桟からなる7段梯子で、支柱の真ん中に折り畳み用のヒンジを設け、支柱の下端に延長脚を伸縮自在に取り付け、踏み桟の6段目と7段目(一番下)の中間に略細長板状の連結部材を縦に取り付けている点、
において共通する。
イ 相違点
(ア)手摺枠の有無
引用意匠は、側面視において、梯子の上端付近から左右外方に向かって、平面視略倒「コ」字状の手摺枠を設けているのに対し、本願意匠は、手摺枠を設けていない点、
(イ)各部の長さの比率
正背面視における梯子上端の横幅、梯子下端の横幅及び梯子全体の縦幅の比率は、本願意匠は、約1:2:6.8であるのに対し、引用意匠は、約1:1.6:5.2である点、
(ウ)踏み板
本願意匠は、梯子の下端から約8割の高さに踏み板を取り付け、踏み板の平面全体に円形の線模様を約44個、略千鳥状に配置しているのに対し、引用意匠は、梯子の下端から約7割の高さに踏み板を取り付け、踏み板の平面の態様が明らかでない点、及び、引用意匠は、側面視において、踏み板の直上に略横長板状の幅木を設けているのに対し、本願意匠は、幅木を設けていない点、
(エ)連結部材
本願意匠は、踏み桟の6段目と7段目の中間に連結部材を取り付けているのに対し、引用意匠は、踏み桟の4段目から7段目の中間にかけて連結部材を取り付けている点、
において相違する。
2 両意匠の類否判断
以上の共通点及び相違点が両意匠の類否判断に与える影響を評価・総合して、両意匠の類否を意匠全体として検討し、判断する。
(1)意匠に係る物品
両意匠の意匠に係る物品は一致しないから、相違する。
(2)両意匠の形状等の共通点及び相違点の評価
ア 共通点の評価
この種物品の分野において、共通点(ア)及び共通点(イ)は、例えば下記の参考意匠に見られるとおり、本願の出願前から公然知られており、両意匠のみに共通する態様とはいえないことから、格別、需要者の注意を引くものではなく、これらの共通点が、両意匠の類否判断に与える影響は小さい。
参考意匠(別紙第3参照)
電気通信回線の種類 インターネット
掲載確認日(公知日) 2023年 9月13日
受入日 特許庁意匠課受入2023年10月26日
掲載者 ジーオーピー株式会社
表題 アンドロメダ500|ジー・オー・ピー株式会社
掲載ページのアドレス
https://gop.co.jp/products/scaffold/andromeda500.php
に掲載された「作業台」の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第RJ05041878号)
イ 相違点の評価
相違点(ア)については、本願意匠の意匠に係る物品である「昇降具」の需要者に該当し、これを使用する建設工事等の作業者は、フェンス等の障害物を乗り越える動作、すなわち、一方の梯子を登り、頂上の踏み板上を経由して他方の梯子を降りるという一連の動作を、安全かつ素早く行えるか否かに大きな関心を抱くものといえ、当該動作の支障となり得る手摺枠を進路上に設けた引用意匠と、手摺枠を設けていない本願意匠は、需要者に別異の印象をもたらすものであるから、相違点(ア)が、両意匠の類否判断に与える影響は大きい。
相違点(イ)から相違点(エ)については、いずれも、各部において共通する態様の中における部分的な相違又は僅かな変更であって、さほど需要者の注意を引くものとはいえず、両意匠の類否判断に与える影響は小さい。
ウ 両意匠の形状等の類否判断
両意匠の形状等における共通点及び相違点の評価に基づき、意匠全体として総合的に観察し判断した場合、共通点(ア)及び共通点(イ)は、両意匠の類否判断に与える影響は小さいものであるのに対し、相違点(イ)から相違点(エ)は、両意匠の類否判断に与える影響は小さいものの、相違点
(ア)が両意匠の類否判断に与える影響は大きいものである。
したがって、両意匠の形状等を全体として総合的に観察した場合、共通点に比べて、相違点が両意匠の類否判断に与える影響の方が大きいものであるから、両意匠の形状等は類似しない。
(3)小括
以上のとおり、両意匠は、意匠に係る物品が相違し、形状等においては、相違点が両意匠の類否判断に与える影響は共通点のそれを凌駕しており、意匠全体として見た場合、両意匠は、需要者に異なる美感を与えているというべきであるから、本願意匠は、引用意匠に類似するということはできない。
第5 むすび
以上のとおりであって、原査定の引用意匠をもって、本願意匠は、意匠法3条1項3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから、原査定の拒絶の理由によって、本願意匠を拒絶すべきものとすることはできな
い。
また、当審において、更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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