意匠拒絶査定不服審判
2026-001211
フィルム小出し用カセット
- 審判番号
- 2026-001211
- 法域
- 意匠
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 意願2024-024718
- 登録番号
- 1828011
- 請求日
- 2026年01月27日
- 審決日
- 2026年04月20日
- 公報発行日
- 2026年05月29日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】エンジェルケア カナダ インコーポレイテッド
- 【請求人代理人】古谷 栄男
- 【請求人代理人】松下 正
- 審判長/審判官
- 審判長 前畑 さおり
- 審判官 高野 洋
- 審判官 清野 貴雄
- 分類
- D18 .113-WY (C3-3)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 意匠法第4条第2項、意匠法第3条第1項第3号、意匠法第3条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
意願2024- 24718「フィルム小出し用カセット」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、意匠法第4条第2項の規定(新規性の喪失の例外)の適用を受けようとし、パリ条約による優先権主張を伴う(優先日:2024年1月30日、(EM)欧州連合知的財産庁)、令和6年(2024年)2月28日を出願日とする意願2024-4037の一部を、同法第10条の2第1項の規定により、令和6年11月28日に新たな出願としたものであって、物品の部分について意匠登録を受けようとする、意願2024-4037を本意匠とする、関連意匠の意匠登録出願であり、その後の主な手続の経緯は、以下のとおりである。
令和 7年(2025年) 4月10日付け 拒絶理由通知
同年 7月 4日 意見書の提出
同年 10月10日付け 拒絶査定
令和 8年(2026年) 1月27日 審判請求書の提出
第2 本願の意匠
本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は、意匠に係る物品を「フィルム小出し用カセット」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状等」という。)を、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり、「上面斜視図、下面斜視図、平面図、底面図、左側面図、背面図、正面図により、意匠が表されている。右側面図は、左側面図と対称に現れる。実線で表した部分が、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」としたものである(別紙第1参照)。
第3 原査定の拒絶の理由及び引用の意匠
原査定の拒絶の理由は、本願意匠が、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった意匠(以下「引用意匠」という。)に類似するものであるから、意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠(先行の公知意匠に類似するため、意匠登録を受けることのできない意匠)に該当する、というものである。
引用意匠(別紙第2参照)
著者の氏名 Litter Genie
表題 Amazon.com: Litter Genie R
efill Bags (1-Pack) | Mult
i-Layers of Odor-Barrier
Technology | 1 Square Refi
ll Cartridge Lasts Up to 2
Months Per Cat : PetSuppli
es
掲載箇所 製品写真欄左から4枚目の写真
媒体のタイプ [online]
掲載年月日 2012年1月1日
検索日 [2025年3月21日 検索]
情報の情報源 インターネット
情報のアドレス URL:https://www.amazon.com/dp/B0085TVBRO?th=1
に掲載された詰め替え用カートリッジ(仮訳)のうち、本願意匠の意匠登録を受けようとする部分に対応する部分の意匠
第4 当審の判断
1 本願意匠と引用意匠の対比
(1)意匠に係る物品
本願意匠に係る物品は「フィルム小出し用カセット」であり、引用意匠が記載されているウェブサイトには英語で「詰め替え用カートリッジ」を意味する「Refill Cartridge」と記載されているが、いずれもフィルムを小出しするカセットであるから、本願意匠と引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は、いずれも「フィルム小出し用カセット」で一致する。
(2)両部分の用途及び機能並びに位置、大きさ及び範囲
本願意匠の意匠登録を受けようとする部分(以下「本願部分」という。)と、引用意匠の本願部分に相当する部分(以下「引用部分」といい、本願部分と引用部分をあわせて「両部分」という。)は、いずれも、全体がフィルム小出し用カセットにおける内外周面および底面であるから、用途及び機能、並びに、位置、大きさ及び範囲が一致する。
(3)両部分の形状等
両部分の形状等の対比に際し、上記引用意匠のURLにおいて、商品画像下部にある「8 VIDEOS」を選択することで表示される「Video for this product」に掲載された3つの動画のうち、上から1つ目に掲載された「Litter Genie Genuine Refills」(36秒間の動画。以下「参照動画」という。)を再生すると、動画再生開始後19秒から24秒(残り時間表示で17秒から12秒)にかけて、引用意匠と同一の意匠に係るカセットを裏返して底面を上方に向け、フィルムを準備する様子が撮影されている。
この様子を確認すると、引用意匠の底面の形状が把握でき、その底面の形状は、外周面寄りの約半分幅は平面である一方、内周面寄りの約半分幅は底面側端部から内周面側を中心へ向けて凹む方向に傾斜した斜面の形状であることを把握できる。
したがって、両部分の形状等については、主として、以下のとおりの共通点及び相違点がある。
ア 共通点
全体が平面視を隅角丸正方形とするほぼ直方体の中央をドーナツ状にくり抜いた形状の内外周面および底面であって、側面視において外周面が下に向かってややすぼまっている構成態様において、共通する。
イ 相違点
(相違点1)本願意匠は、底面の形状が、全体として、内外周面に対して垂直方向に延びる平面であるのに対し、引用意匠は、外周面寄りの約半分幅は平面である一方、内周面寄りの約半分幅は底面側端部から内周面側を中心へ向けて凹む方向に傾斜した斜面である点において、相違する。
(相違点2)本願意匠は、正面視の横方向の長さと高さとの比が、約1:0.4であるのに対して、引用意匠は、約1:0.3である点において、相違する。
(相違点3)外周面上端縁に形成したフランジ状の張り出し形状について、本願意匠は、四隅部においてやや幅広状(舌片状)に突出しているのに対し、引用意匠は、全周が均等幅の張り出し形状としている点において、相違する。
(相違点4)本願意匠は、側面視において、底面が僅かに持ち上がるように、底面に面取りされた段部を設けているのに対して、引用意匠は、このような段差が設けられない点において、相違する。
2 両部分の類否判断
この種の物品の分野においては、前記参照動画におけるフィルムを準備する様子から明らかなように、準備中に底面側をみて作業を行うものであるから、需要者が注意を払う部位である底面の態様について両部分の類否判断に与える影響を評価し、その評価を踏まえ、部分全体として両部分の類否を判断する。
(1)意匠に係る物品の類否判断
両意匠の意匠に係る物品は、一致するから、同一である。
(2)両部分の形状等の共通点及び相違点の評価
ア 共通点の評価
この種の物品の分野において、全体が平面視を隅角丸正方形とするほぼ直方体の中央をドーナツ状にくり抜いた形状の内外周面および底面であって、側面視において外周面が下に向かってややすぼまっているものは、下記の参考意匠に見られるとおり、本願の出願前から公然知られており、両部分にのみ見られる特有の態様とはいえず、格別、需要者の注意を惹かないから、共通点が全体の美感に与える影響は小さい。
参考意匠(別紙第3参照)
意匠登録第1452145号(公報発行日:2012年10月1日)の「
廃棄物収容容器取付け用フィルム供給容器」の意匠
イ 相違点の評価
需要者が注意を払う部位である底面の態様について両部分の類否判断に与える影響を評価すると、この種の物品の分野においては、準備中に底面側をみて作業を行うものであることに加え、前記アで示したように、共通点全体が公然知られた構成態様であることも考慮すると、両部分の対比において、底面の形状が本願意匠独自の特徴を強く需要者に印象づけるものとなるから、(相違点1)が両部分の類否判断に与える影響は大きい。
(3)形状等の類否判断
前記(2)によれば、部分全体として共通点が両部分の類否判断に与える影響は小さいのに対し、底面の形状が本願意匠独自の特徴を強く需要者に印象づけるものとなり、(相違点1)が両意匠の類否判断に与える影響は大きいから、(相違点2)~(相違点4)が両部分の類否判断に与える影響の大小にかかわらず、両部分の形状等は類似しない。
(4)小括
以上のとおり、両意匠は、意匠に係る物品は同一であり、両部分の用途及び機能並びに位置、大きさ及び範囲は共通するが、両部分の形状等においては類似しないから、本願意匠は引用意匠に類似しない。
第5 むすび
以上のとおりであって、原査定の引用意匠をもって、本願意匠は、意匠法3条1項3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから、原査定の拒絶の理由によって、本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。
また、当審において、さらに審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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審決本文(J-PlatPat)
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