商標異議申立
2025-900277
ウィセラ、ウイセラ、ダブリュウ
- 審判番号
- 2025-900277
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 商願2024-115205
- 登録番号
- 6975435
- 請求日
- 2025年12月19日
- 審決日
- 2026年07月08日
- 公報発行日
- 2026年08月28日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】株式会社WISERA
- 【異議申立人】ワイゼラ テクノロジ ヴェ ビリシム ヒズメトレリ アノニム シルケティ
- 【異議申立人代理人】弁理士法人東海特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 大井手 正雄
- 審判官 小林 裕子
- 審判官 山根 まり子
- 分類
- T1652.22 -Y (W0942) / T1652.25 -Y (W0942) / T1652.271-Y (W0942) / T1652.222-Y (W0942)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項7号商標法4条1項10号商標法4条1項15号商標法4条1項19号商標法43条の2商標法43条の3第4項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第7号、商標法第4条第1項第19号、商標法第4条第1項第10号、商標法第4条第1項第15号、商標法第43条の3第4項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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登録第6975435号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。
結論
結 論
登録第6975435号商標の商標登録を維持する。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第6975435号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、令和6年10月28日に登録出願、第9類、第35類、第42類及び第45類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同7年8月5日に登録査定、同年10月9日に設定登録された。
第2 申立人が引用する商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議申立ての理由において、商標法第4条第1項第7号、同項第10号、同項第15号及び同項第19号に該当するとして引用する商標は、「Wisera」の文字(以下「引用商標1」という。)及び別掲2(以下「引用商標2」という。)のとおりの構成からなり、申立人により、商品「電子計算機用プログラム」(以下「使用商品」という。)及び役務「電子計算機用プログラムの提供」(以下「使用役務」という。)に使用され、トルコ共和国の需要者において広く認識されていると主張するものである。
そして、以下、引用商標1と引用商標2とをまとめて「引用商標」という場合がある。
第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標はその指定商品及び指定役務中、第9類「デジタルフォトフレーム,電気通信機械器具,デジタルサイネージ,映像表示装置,携帯情報端末,スマートフォン,携帯情報端末の部品及び附属品,電子計算機用プログラム,電子応用機械器具及びその部品,レコード,インターネットを利用して受信し及び保存することができる音楽ファイル,インターネットを利用して受信し及び保存することができる画像ファイル,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,電子出版物」及び第42類「機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらの機械等により構成される設備の設計,広告物のグラフィックデザインの考案,デザインの考案,アナログ写真のデジタル化,故人を追悼する内容のコンピュータサイトの作成,データ又は文書の電子媒体への変換,データ蓄積システムの設計及び開発,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明,ユーザーが自ら所有するコンテンツ及び映像をオンラインで制作及び共有できる双方向のホスティングサービスの提供,インターネット上の電子記憶領域の提供,コンピュータサイトのホスティング,コンピュータによる電子データの電子的保管,電子計算機の貸与,墓地又は納骨堂での供養を疑似体験できるオンラインによるコンピュータプログラムの提供,電子計算機用プログラムの提供」(以下「申立てに係る指定商品又は指定役務」という。)について、商標法第4条第1項第7号、同項第10号、同項第15号及び同項第19号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証から甲第11号証(以下、証拠の記載に当たっては「甲○」と記載する。)を提出した。
1 第4条第1項第19号について
(1)申立人及びその商標権について
申立人はトルコ共和国の法人であり(甲4)、欧文字「Wisera」と、その上部に角が丸い小さな正方形を複数並べた図形を配する商標に係る商標権をトルコ共和国及びイギリス、ベネルクス知的財産庁において所有している(甲2及び甲3)。
(2)商標の使用態様
申立人は、2023年に「Wisera」を発表し、トルコ共和国を中心にそのサービスを提供している(甲4)。また、業務管理アプリケーションソフトウェアをGoogle Play Store(甲5)及びApp Store(甲6)において提供しており、日本においてもApp Storeを通じてインストールが可能であり、Google Playにおけるダウンロード数は少なくとも1,000件以上に達している(甲5)。
(3)トルコ共和国における需要者の間に広く認識されている事実について
申立人は、本件商標の出願日以前の2023年から引用商標1及び引用商標2を使用して主としてトルコ共和国において商品・役務を提供している。
申立人のワークマネジメント及びファシリティマネジメントに関するプラットフォーム並びにそれに関連するアプリケーションソフトウェアは、医療機関や企業等に導入されており、甲7に示す導入実績のとおり、トルコ共和国最大規模の病院として知られるアンカラ市立病院(甲8)やメルスィン市立病院(甲9)等において導入されている。
そして、トルコ共和国の大手自動車ディーラーであるVosmer Otomotiv(甲10)においても、申立人のプラットフォームが採用されている。
以上から、引用商標1及び引用商標2は、本件商標の出願時においてトルコ共和国における需要者の間で広く知られている商標であるといえる。
(4)第4条第1項第19号の妥当性
ア 引用商標は、上記(3)のとおり、トルコ共和国において、大規模医療機関及び著名企業においての導入実績を有する周知商標である。
そして、仮に日本国やトルコ共和国以外の諸外国において周知性を獲得していないとしても、引用商標1及び引用商標2は「他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標」に該当する。
イ 本件商標と、引用商標1及び引用商標2の類否について
(ア)商標について
本件商標は、欧文字「W」をモチーフとするオレンジ色の図形と、その右側に記された欧文字「wisera」からなる商標である。引用商標1は欧文字「Wisera」のみからなる商標であり、引用商標2は、左上に配された紫色のドット状の図形と、その下に記された欧文字「Wisera」からなる商標である。
本件商標の欧文字部分と、引用商標1及び引用商標2の欧文字部分は、いずれも同一のつづり「wisera」からなるものであり、いずれの商標からも同じ「ウィセラ」又は「ワイゼラ」の称呼が生じる。
また、外観についても、いずれの商標も欧文字「wisera」を含むから、類似する。
観念については、「wisera」は英和辞典に掲載されていない造語である(甲11)ため、いずれの商標からも特定の観念は生じない。
以上のとおり、本件商標は引用商標1及び引用商標2と称呼が同一であり、外観も類似するから、観念において比較できないとしても、全体として引用商標1及び引用商標2と類似する商標である。
(イ)商品・役務の類否について
申立人は、引用商標1及び引用商標2を使用し、本件商標の指定商品である、第9類の「電子計算機用プログラム」に該当する、タスク・ワークオーダー管理アプリケーションソフトウェアや、エリア管理・会員管理・来訪者管理・決済管理に係る施設管理アプリケーションソフトウェアを提供している。
また、本件商標の指定役務である第42類の「電子計算機用プログラムの提供」に該当する、ワークオーダー管理や施設管理に関するプラットフォームをインターネット経由で提供するサービスも提供している。
さらに、本件商標のその他の指定商品・指定役務についても、申立人の業務に係る商品・役務と関連性の高い商品・役務について使用されることから、本件商標の指定商品・指定役務は、申立人に係る指定商品・役務と類似する。
(ウ)不正の目的について
本件商標は、上記のとおり、外国において周知な引用商標1及び引用商標2と極めて類似する。
また、本件商標と引用商標1及び引用商標2に共通する「wisera」の文字は、英和辞典に採録されていない造語であることから、本件商標の出願には「不正の目的」が推認される。
したがって、本件商標は、申立人の業務に係る商品・役務を表示するものとして外国における需要者の間に広く認識されている商標と類似の商標であって、不正の目的をもって使用をするから、商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものである。
2 第4条第1項第10号について
(1)本件商標と引用商標1及び引用商標2との類似性
本件商標は、上記のとおり、引用商標1及び引用商標2と類似する商標である。
(2)引用商標1及び引用商標2が需要者の間に広く認識されている商標であることについて
引用商標1及び引用商標2は、上記のとおり、トルコ共和国において周知な商標である。
また、Google Play Store(甲5)及びApp Store(甲6)を通じて世界各国に提供されており、日本においてもApp Storeを通じてインストールが可能である。
(3)本件商標の指定商品・役務と引用商標1及び引用商標2に係る商品・役務の類似性
上記のとおり、本件商標の指定商品・指定役務は、申立人の業務に係る商品・役務と類似する。
したがって、本件商標は、「他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標であって、その商品若しくは役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用をするもの」であり、商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものである。
3 第4条第1項第15号について
(1)商標と引用商標1及び引用商標2との類似性
本件商標は引用商標1及び引用商標2と類似する商標である。
(2)引用商標1及び引用商標2の周知性
引用商標1及び引用商標2は、上記のとおり、トルコ共和国において周知な商標である。
そして、上記のとおり、本件商標の指定商品・指定役務と、申立人の業務に係る商品・役務との関連性は非常に高い。
そのため、本件商標がその指定商品・指定役務に使用された場合、商品・役務の出所について混同を生ずるおそれがあるといえるものであるから、本件商標は商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。
4 第4条第1項第7号について
本件商標が引用商標1及び引用商標2と同一又は類似であること、また、引用商標1及び引用商標2がトルコ共和国において周知な商標であることは既に述べたとおりである。
よって、本件商標の商標権者は、引用商標1及び引用商標2がその商品・役務につき我が国において商標登録されていないことを奇貨として、先取り的に商標登録出願し、商標権を取得したものとみるのが相当である。
してみれば、本件商標の商標権者が、本件商標を商標登録出願し商標権を取得した行為は、公正な商取引の秩序を乱すおそれがあり、ひいては公の秩序を害するおそれがあるものといわなければならない。
したがって、本件商標は、「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」であり、商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものである。
第4 当審の判断
1 引用商標の周知性について
(1)申立人が提出した証拠及び同人の主張によれば、以下のとおりである。
ア 申立人は、2023年に業務管理アプリケーションソフトウェアの「Wisera」を発表し、トルコ共和国を中心にそのサービスを提供している、トルコ共和国の法人である(甲4、申立人の主張)。
イ 申立人に係るソフトウェアは、Google Play Store及びApp Storeにおいて提供され、Google Playにおけるダウンロード数は1,000件以上であり、日本においてもApp Storeを通じてインストールが可能である(甲5、甲6、申立人の主張)。
ウ 申立人に係るソフトウェアのインストール用の画面において、そのアイコンには引用商標2が、その名称には引用商標1が表示されている(甲5、甲6)。
エ 申立人に係るワークマネジメント及びファシリティマネジメントに関するプラットフォーム又はそれに関連するアプリケーションソフトウェアは、トルコ共和国のアンカラ市立病院(甲8)やメルスィン市立病院(甲9)、自動車ディーラーであるVosmer Otomotiv(甲10)など、トルコ共和国の大規模な医療機関や企業等に導入されている(申立人の主張)。
オ 申立人は、引用商標2に係る商標権をトルコ共和国及びイギリス、ベネルクス知的財産庁において所有している(甲2、甲3)。
(2)判断
上記(1)によれば、申立人は、本件商標の登録出願時及び登録査定時よりも前の2023年から、引用商標2に係る商標権をトルコ共和国及びイギリス、ベネルクス知的財産庁において所有し、引用商標1及び引用商標2を用いた使用商品又は使用役務をトルコ共和国で販売又は提供してきたことが認められる。
しかしながら、申立人の提出に係る証拠によっては、使用商品又は使用役務の販売実績は、Google Playにおけるダウンロード数が1,000件以上であることが分かるのみであり、それがさほど多いものと評価することはできない。その他、トルコ共和国の病院(甲8、甲9)や自動車ディーラー(甲10)への導入実績があることも主張されているものの、それを裏付ける証拠の提出はなく、その販売実績や広告実績を具体的かつ客観的に把握できない。そのため、引用商標が、取引者、需要者に対し、どの程度知られているかを把握し、評価することができない。
したがって、提出された証拠からは、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用商標が、使用商品又は使用役務を表示するものとして、我が国又は外国における需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。
2 商標法第4条第1項第10号該当性について
本件商標は、別掲1のとおり、「W」をモチーフとするオレンジ色の図形と欧文字「wisera」とを組み合わせた商標である一方、引用商標1は、欧文字「Wisera」のみからなる商標、引用商標2は、別掲2のとおり、紫色のドット状の図形と欧文字「Wisera」とを組み合わせた商標であるから、本件商標と引用商標とは、構成文字を同じくするものであり、類似の商標である。
しかしながら、引用商標は、上記1のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国又は外国の需要者の間に広く認識されていたものとはいえない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。
3 商標法第4条第1項第15号該当性について
上記2のとおり、本件商標と引用商標は類似の商標であって、本件商標の申立てに係る指定商品又は指定役務には、引用商標の使用商品又は使用役務である「電子計算機用プログラム,電子計算機用プログラムの提供」が含まれるから、両者の関連性及び需要者の共通性は高いといえる。
しかしながら、上記1のとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして、需要者の間に広く認識されていたものではない。
そうすると、本件商標は、本件商標権者がこれを申立てに係る指定商品又は指定役務について使用しても、これに接する取引者、需要者が、引用商標を連想又は想起することはなく、その商品又は役務が他人(申立人)又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品又は役務であると誤認し、その商品又は役務の出所について混同を生じさせるおそれはないものというべきである。
その他、本件商標について、出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情も見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
4 商標法第4条第1項第19号及び同項第7号該当性について
上記2のとおり、本件商標と引用商標は類似の商標であるとしても、引用商標は、上記1のとおり、申立人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして、我が国又は外国における需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。
そして、申立人は、商標法第4条第1項第19号及び同項第7号該当性について、(ア)引用商標が本件商標の登録出願時においてトルコ共和国における需要者の間に広く認識されていた商標に該当すること、両商標に共通する「wisera」の文字は英和辞典に採録されていない造語であることから、本件商標の登録出願には「不正の目的」が推認される旨、また、(イ)引用商標が我が国において商標登録されていないことを奇貨として、本件商標を先取り的に登録出願し、商標権を取得したものとみるのが相当であり、当該行為は、公正な商取引の秩序を乱すおそれがあり、ひいては公の秩序を害するおそれがある旨主張する。
しかしながら、申立人が提出した全証拠を確認しても、本件商標が、不正の目的をもって使用されるものであること、また、本件商標の登録出願及びその経緯について、公の秩序を害するおそれがあることを裏付ける具体的かつ客観的な証拠の提出はなく、申立人の主張はいずれも引用商標が周知性を有していたことを前提とするものであり、申立人の提出に係る証拠からは、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、本件商標が、不正の目的をもって使用するもの、また、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標であると認めるに足りる事実は見いだせないから、申立人の主張を採用することはできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号及び同項第7号のいずれにも該当しない。
5 まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同項第10号、同項第15号及び同項第19号に該当しないから、申立てに係る指定商品又は指定役務についての登録は同法第4条第1項の規定に違反してされたものとはいえず、他にその登録が同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせない。
したがって、本件商標の申立てに係る指定商品又は指定役務についての登録は、商標法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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