商標異議申立
2025-900234
モミジテー、モミジ
- 審判番号
- 2025-900234
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 商願2025-004561
- 登録番号
- 6963667
- 請求日
- 2025年11月04日
- 審決日
- 2026年06月16日
- 公報発行日
- 2026年08月28日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】株式会社Sakura
- 【異議申立人】藤原 良太
- 【異議申立人代理人】久保 雅裕
- 審判長/審判官
- 審判長 真鍋 伸行
- 審判官 駒井 芳子
- 審判官 田中 瑠美
- 分類
- T1652.13 -Y (W30) / T1652.272-Y (W30) / T1652.16 -Y (W30) / T1652.255-Y (W30)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項3号商標法3条1項6号商標法4条1項10号商標法4条1項16号商標法43条の3第4項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号、商標法第4条第1項第10号、商標法第3条第1項第6号、商標法第4条第1項第16号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
登録第6963667号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。
結論
結 論
登録第6963667号商標の商標登録を維持する。
理由
理 由
1 本件商標
本件登録第6963667号商標(以下「本件商標」という。)は、「もみじ亭」の文字を標準文字で表してなり、令和7年1月17日に登録出願、「お好み焼」を含む第30類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、同年7月17日に登録査定、同年9月2日に設定登録されたものである。
2 登録異議申立人が引用する商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件登録異議申立ての理由において引用する商標は、「もみじ亭」の文字からなり、申立人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして需要者に広く知られていると主張するものである(以下「申立人商標」という。)。
3 登録異議申立ての理由
申立人は、本件商標はその指定商品中、第30類「お好み焼」について、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであり、仮に、同法第3条第1項第3号に該当しないとしても、同項第6号に該当し、その他、同法第4条第1項第10号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号の規定により登録を取り消されるべきである旨、要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第27号証(枝番号を含む。)を提出した(以下、証拠の表記にあたっては、「甲第○号証」を「甲○」のように省略して表記する場合がある。)。
(1)もみじといえば広島、広島といえばもみじ
広島を訪問先とする旅行者にとって、「もみじ」の文句は、「広島」を想起させ、もみじといえば広島、広島といえばもみじという連想性があるという事実がある。
「もみじ」は、広島の県花・県木であり、広島にゆかりのある木である(甲2)。
このように、地方行政の政策面のみならず、「もみじ」が県木に指定された昭和41年までにも、例えば、広島の代表的な土産物であるもみじ饅頭(その見た目に特徴を持つもみじの葉形をした和菓子)が1906年明治時代に宮島の地に生まれ百年の歴史を持つ。伊藤博文が宮島の名所・紅葉谷の老舗旅館「岩惣」の茶屋で休憩していたとき、給仕した娘の手を見て「なんと可愛らしい、もみじのような手であろう。食うたらさぞ美味しかろう」と冗談を言ったのを岩惣の女将が聞きとめ、高津堂という地元の和菓子屋がこの話をヒントにもみじ饅頭を考案したという(甲3)。そのユニークさは、もみじ饅頭の型が特許庁に特許されたことでもうかがえる。現在でも、もみじ饅頭は、地元の複数の菓子業者によって洋風のクリーム餡・チーズ餡等のバリエーションも考案され、若者の間にも人気を博し、全国にも広く知れ渡っている。
もみじ饅頭を通じても、もみじといえば広島、広島といえばもみじと、もみじは広島を連想させる存在となっているものと思料される。
伊藤博文が訪れたという宮島の紅葉谷公園は、江戸時代よりもみじが多数植えられ名所となっている公園であり、広島市に隣接する廿日市市にある宮島では、鹿が「神の使い」とあがめられ、保護されてきた。鹿は古来よりもみじと絵になるところから、鹿ともみじと宮島はセットで捉えられている。宮島は日本三景で名高く、この地を訪れる観光客によっても、紅葉(もみじ)は広島に因むものとなっていった。そして、広島市と廿日市市を通る広島電鉄の宮島線によって両市は結ばれ、宮島の対岸まで広島市を訪れる観光客は乗車するのである。
(2)広島市観光統計
広島市の観光統計が示すところ、広島市を訪れる観光客数は2013年の1200万人から増加を続け、コロナ禍の影響で一時的な落ち込みを見せたものの、2024年には1400万人を数えるほどとさらに成長している(甲4の1)。
広島市の統計には、2024年1400万人の観光客の発地別の統計データも公開されており、発地別の内訳は、広島市及び広島県から250万人、外国から250万、残りの900万人が県外からの観光客である。隣接県である山陽・山陰からの観光客は50万人程度に止まり、関東350万人・中部200万人をはじめ、その他の日本国内地域から300万人が訪れているように、広島市を訪れる観光客の出発地は日本国内の全国に広がり、全1400万人のうち広島県からの250万人を除く1150万人は、全観光客1400万人に対する県外日本人と外国人の割合として82%と高い割合を示す(甲4の2)。
広島県内の250万人と外国からの250万人を除く1150万人、年間900万人のうち78%、国内観光客の約8割を占める多くの県外観光客が広島市を訪れ、13年間では1億人を超える人々が、例えば、観光名所の宮島の「紅葉谷公園」での散策をとおして、例えば、もみじ饅頭を目にして手にして口にしてひとときを楽しむものと理解するのが自然であり、こうして、宮島の紅葉やもみじ饅頭を通じて、「もみじ」といえば広島、広島といえば「もみじ」と、もみじは広島を連想させる存在となったと思料される。
遠距離観光旅行を楽しむ人々の集合として、日本の総人口1億2千万人のうち高齢者65歳以上の3600万人を除く9000万人を思えば、ここ13年の間の宮島訪問観光客数の累計1億人は、日本の居住者のうち遠距離観光旅行を楽しむ人々のほぼすべてが広島を訪問しているものと想定でき、この人々を通じて、「もみじ」といえば広島、広島といえば「もみじ」と、もみじから広島を連想させる存在となっていると推定してよいものと思われる。
ビジネスの世界に目を転じれば、広島無尽、呉無尽という地域無尽から生まれ広島市地区・呉地区土着の金融機関であって広島相互銀行・呉相互銀行の合併によって生まれた普通銀行は、山口銀行系列に経営移行しながらも、広島県及び広島県に隣接する山口県地方を地盤とする銀行として「もみじ銀行」の名称が選ばれ、現在も山口県・広島県で「もみじ銀行」の看板を掲げて営業されている(甲5)。同銀行の名称「もみじ銀行」が、広島の県花・県木の「もみじ」によって広島をルーツとする銀行であるとのアイデンティティを表明していることは一般にもよく知られた話である。
このようにビジネスの世界においても、「もみじ」といえば広島、広島といえば「もみじ」と、もみじは広島を連想させる存在となっており、さらに「もみじ銀行」の経済活動を通じても、現在でも「もみじ」といえば広島、広島といえば「もみじ」と、ますます「もみじ」は広島を連想させる存在であり続けていることが容易に理解される。
さらに、十代・二十代の象徴ともいえる広島大学のポータルサイトも「もみじ広島大学学生情報の森」と名付けられており(甲6)、十代・二十代の若者世代にも「もみじ」といえば広島、広島といえば「もみじ」と、もみじは広島を連想させる存在となっていると強く推定される。
また、さらに若い世代の中学生にも修学旅行の訪問先としても広島市はよく知られ、毎年、数多くの生徒が広島市内から廿日市市宮島を訪れ、もみじが心に刻まれていることと思慮される。
広島への修学旅行による訪問者数は、令和6年度が33万2千人であり(甲7)、中学生人口はおよそ100万人であるから、全国の中学生の約3分の1が広島を訪れていることになる。地域別の訪問割合は、中国地方100%、四国地方76%、近畿地方49%、関東地方22%などとなっており、西日本を中心とする分布であるが、中国地方・四国地方・近畿地方からは数多くの若者たちが関東地方に就労することを思えば、その関東地方は日本全国からの人が交わる地域であり、その人的交流を思えば、ほぼ全国に万遍なく広島への来訪者が分布するものと思料される。
こうして、広島市の観光統計をみれば、全国のほとんどの人たちが広島を訪れた経験を持ち、宮島・もみじ饅頭等を通じて、「もみじ」といえば広島、広島といえば「もみじ」と、日本全国の人々の間で、「もみじ」は、広島を連想させる存在となっているものと考えるのが相当である。
(3)大阪・広島の2つのお好み焼きスタイル
お好み焼きは、何といっても大阪発祥のお好み焼き(以下、単に「大阪スタイルのお好み焼き」という。)が全国市場への浸透という点で先んじている。大阪スタイルのお好み焼きは、材料としてキャベツ・水で溶いた小麦粉・豚肉・卵・天かすを使用する点は、ほぼ広島スタイルのお好み焼きと変わらないが、最初にボールに豚肉以外のすべての材料を水溶きした小麦粉つなぎの中へ投入し、全体を攪拌し、ドロドロになったお好み焼きベースとしてこれを一度に鉄板上へ注ぎじっくりと焼き上げ、豚肉を載せて厚さ2~3cmのパンケーキのように裏返し焼き上げるのが特徴であり、最後に再び裏返し、上面に甘みの強いとんかつソースに似たお好み焼き用ソースをかけて仕上げる。全体的にパンケーキのようにふんわりとした食感となり、はじめから豚肉を混ぜ合わせる調理法もあるが、ドロドロとなったお好み焼きベースをふんわりと焼き上げる点、見栄えも変わらない。
これに対して、広島スタイルのお好み焼きは、心持ち粘度を高く水に溶いた小麦粉を薄くクレープのように広げて鉄板焼きし、円盤状に広げた小麦粉ベースの下地に調味料で下味を付け、その上にキャベツ・もやしの野菜を山のように積み上げて、天かす・イカ天・豚肉を乗せた後に裏返して、焼き上がった小麦粉の下地を押さえつけて薄い円盤状に仕上げ、お好み焼きの半製品が仕上がる(甲8)。
別途、鉄板上に炒めておいた中華そば麺の上に、野菜面が中華そば麺に面するようにこの円盤状の半製品を乗せ、次に卵を鉄板上で割り、その上にさらに中華そば麺が卵に面するように先の円盤状の半製品を重ね、最後にこれを裏返し、上面に甘みの強いとんかつソースに似たお好み焼き用ソースをかけて仕上がる。
広島スタイルのお好み焼きは、小麦粉ベース・野菜・イカ天・肉・そば・卵が積層された形態をとるのが特徴であり、通常、そば麺(好みによりうどん)はオプションとはいえセットで注文され、層別にそれぞれの味を楽しむ食感となる。
なお、大阪スタイルのお好み焼きにおいては、そば麺のオプションが付されることもあるが、それは、「モダン焼き」という別の料理の呼称をもつ別物の名称に変ずることになり、この点でも大阪スタイルのお好み焼きと、広島スタイルのお好み焼きとの違いがよく理解される。
このように、広島スタイルのお好み焼きは、よく知られた大阪発祥のお好み焼きとは、調理法・見た目・構造・そば麺の有無の点で著しく異なり、味も食感もボリュームも全く異なるものである。
(4)キッチンカーもみじ亭
本件商標の権利者の営業ホームページのトップページに、愛知県でキッチンカーでのお好み焼きの提供が「もみじ亭」の標章を掲げて提供されていることが宣伝広告されており(甲9)、当該キッチンカーにも、同ページのメニュー部にも「広島焼き」との表示が見られ、ここでも「もみじ」は広島を連想させるべき文句として使用されていると理解すべきである。
こうして、「もみじ」の文字は、食品店においては、「広島産の食品を販売すること」を、お好み焼きを販売する店舗においては、「広島スタイルのお好み焼き」を観念させるものとして、使用されている事実があり、「亭」は料理屋をあらわす普通名称であるから、「もみじ亭」の文字列においては、「もみじ」は広島を表すものとして、「亭」は提供する店舗を表すものとして作用し、「もみじ亭」は「何らかの広島にゆかりのある料理店」を観念させるものであって、「もみじ亭」の「お好み焼き」は、「広島の料理店によるお好み焼き」又は「広島スタイルのお好み焼き」の販売及びその宣伝広告を観念するものとして表されているという事実があるというべきである。
(5)お好み焼きソース
お好み焼き用のソースは、広島スタイルのお好み焼きの味・食感を左右する重要な要素であり、このことは、広島を地場とする「おたふくソース」(甲10)ブランドで名をはせたオタフクソース株式会社が今や年間売上200億円を超える大会社に成長していることからもうかがえる。
このように、お好み焼きとセットで用いられる「お好み焼きソース」・広島発のオタフクソースの成長をみてもわかるよう、広島発のブランド力は強く、オタフクソース株式会社は、年間国内売上高260億円、海外売上高56億円と商法上の大会社となり、オタフクソースの国内におけるブランド力もまた、広島という地域名称を観念させるものとして、広島ブランドを国内海外へも浸透する様子が企業業績からも推認される。
そして、オタフクソースから広島を連想する人々は、「広島」といえば「もみじ」、「もみじ」といえば「広島」であるから、オタフクソースのブランドからも、全国において、「もみじ」と「広島」とをセットで連想させる存在となっているものとも思料され、同時に海外売上高56億円という少なからぬ海外売上を思えば、日本食に関心のある外国人にもオタフクソースから広島への関心が呼び出され、ひいては、広島の情報を辿れば、「広島」といえば「もみじ」、「もみじ」といえば広島という観念が外国人にも浸透しているものと思料される。
(6)本件商標の商標法第3条第1項第3号違反について
本件商標は、「もみじ亭」の文字を普通に用いられる方法で横書きしてなるところ、「もみじ亭」の「亭」は料理店を表す一般名称であり、「もみじ亭」の「もみじ」は、「もみじ」といえば広島、広島といえば「もみじ」というほどに、「広島」と「もみじ」は互いに関連性の深い文字同士であるから、指定商品中、広島地域において料理店より提供される商品としてよく知られる「お好み焼き」に、「もみじ」と「亭」とが結合された本件商標が使用された場合、これに接する取引者・需要者は、当該商品は「広島の料理店によるお好み焼き」又は「広島スタイルのお好み焼き」といった商品・役務の産地・品質等の特徴を表す文字として理解し把握するに止まり、自他商品識別の標識としては認識し得ないと判断するのが相当である。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(7)本件商標の商標法第4条第1項第16号違反について
上記のとおり、日本中でよく知られている大阪スタイルの元祖お好み焼きと、広島スタイルのお好み焼きとは調理法・見た目が著しく異なり、味も食感も異なることから品質の誤認を生じさせるおそれがあるというべきである。
本件商標を指定商品中の「お好み焼」に使用する場合、「広島の料理店によるお好み焼き」又は「広島スタイルのお好み焼き」を連想するにもかかわらず、「他地区由来の料理店によるお好み焼き」又は「広島スタイルのお好み焼きとは異なる大阪スタイルのお好み焼き」が提供されるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第16号に該当する。
(8)本件商標の商標法第3条第1項第6号違反について
本件商標は、「もみじ亭」の文字を普通に用いられる方法で横書きしてなるところ、「もみじ亭」の「亭」は料理店をあらわす一般名称であり、「もみじ亭」の「もみじ」は、「もみじ」といえば広島、広島といえば「もみじ」というほどに、「広島」と「もみじ」は互いに関連性の深い文字同士であるから、「もみじ」と「亭」が結合された本件商標が指定商品中、広島地域において料理店より提供される商品としてよく知られる「お好み焼」に使用された場合、これに接する取引者・需要者は、当該商品は「広島の料理店によるお好み焼き」又は「広島スタイルのお好み焼き」といった商品・役務の何らかの特性か優位性を表した宣伝広告の文句の一種として理解し把握するにとどまり、本件商標は、需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標である。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。
(9)本件商標の商標法第3条第1項第3号、同法第4条第1項第16号違反、同法第3条第1項第6号違反のまとめ
本件商標をその指定商品中の「お好み焼」に使用しても、これに接する取引者、需要者は、単に商品の産地・品質を表示した語と認識するにとどまるから、当該文字「もみじ亭」は、自他商品識別標識としての機能を果たし得ないものというべきであり、商標法第3条第1項第3号に該当し、かつ、上記以外の商品に使用するときは、商品の産地・品質について誤認を生ずるおそれがあるから商標法第4条第1項第16号違反に該当する。
また、商標法第3条第1項第3号に該当しなくても、本件商標をその指定商品中の「お好み焼」に使用しても、これに接する取引者、需要者は、商品・役務の何らかの特性か優位性を表した宣伝広告の文句の一種として理解し把握するにとどまり、本件商標は、需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標であって、商標法第3条第1項第6号に該当する。
(10)本件登録商標の商標法第4条第1項第10号違反について
上記商標法第3条第1項第3号、同法第4条第1項第16号、同法第3条第1項第6号の異議申立て理由とは別に、商標「もみじ亭」は、2013年以来、申立人が13年に亘り宣伝広告に努めつつ使用してきた未登録商標であり、本件商標は、他人の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている申立人商標と同一の商標であって、その商品若しくは役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用をするものであるから、商標法第4条第1項第10号に該当する。
ア 申立人商標「もみじ亭」について
申立人商標「もみじ亭」は、申立人が2013年から十数年にわたり広島市中区紙屋町において、お好み焼き・鉄板焼き料理を提供する商品・役務に屋号として用いてきたものである。
申立人は、店頭の看板、2013年9月4日にはじめて公開されたウェブサイト広告に申立人商標「もみじ亭」を掲げ(甲11、甲12)、これ以降、申立人が経営するお好み焼き屋「もみじ亭」の営業活動が推認され、現在に至るまで、申立人商標「もみじ亭」を掲げて宣伝広告をしてきたことが推認される。
イ 申立人商標「もみじ亭」を表した広島電鉄電車車両の看板広告について
2013年から現在に至るまで申立人商標を描いた看板を付した広島電鉄路面軌道電車を広島市内に走らせ、申立人商標「もみじ亭」の宣伝広告に努めてきた(甲13)。路面軌道電車のみならず、西広島駅から宮島対岸の宮島口までの広島電鉄宮島線(鉄道)にも、連接電車車両に申立人商標「もみじ亭」を描いた連接電車編成を走らせ(甲14)、広島―宮島間を旅する旅行者に向けても申立人商標「もみじ亭」を浸透させることに努めてきた。
申立人商標「もみじ亭」の広告を付した電車編成は、軌道(市内路面電車)専用単車編成と軌道・鉄道乗り入れの連接編成(市内・宮島線直通電車)であり、2013年から毎年のように増車され、2025年には都合11編成に広告が付されている(甲15)。広島電鉄の軌道電車・鉄道電車合わせた電車総保有編成数2021年136両(甲16)のうち、申立人商標「もみじ亭」を付した広告電車11編成の占有率は8.1%にのぼり、広島電鉄の年間の総利用者数は、市内線(軌道)と宮島線(鉄道)とを併せて2013年以降ほぼ5700万人で推移し、コロナ禍の2020年2021年に一時的な落ち込みを記録したものの、2023年に4700万人に回復(甲17)、その後4600万人と推移している。
したがって、直近でみると、延べ4500万人×0.081の延べ360万人が広告電車に乗車したものと推定され、そのうち10%に申立人の「もみじ亭」が浸透したとみても、毎年およそ30万人に申立人の「もみじ亭」の気づきを与えたものと推定される。
広告電車は、2013年から2016年に1編成ずつ、2016年に3編成、2019年に2編成、2022年に2編成、2024年に1編成を毎年のように追加し、現在の11編成に至っている(甲15)。
2019年の電車総保有編成数は124編成であり(甲18)、電車総保有編成数の各年推移は不明のため、簡単化のため2020年から2024年の電車総保有編成数を136編成、2019年以前の電車総保有編成数を124編成とし、乗車人員は13年間ならして年間4500万人とすれば、13年間累計で延べおよそ3080万人が申立人の「もみじ亭」の広告電車に乗車し、その広告を目にしたものと推定される(甲19)。
ウ テレビ新広島の申立人の「もみじ亭」取材放送について
2024年には、テレビ新広島(略称TSS)の取材から地元のTV放送がキー局を通じた全国ネットの放送番組で取り上げられ、外国人観光客で満席の店内と日本人馴染み客のために日本人ファーストの専用時間帯を設けたことが話題を呼び、広島の現在のインバウンド観光ビジネスの状況と、申立人の店舗経営方針が取材され,「お好み焼き店に常連客が入れない!外国人観光客急増で苦渋の決断ついに県民限定の入店規制」のセンセーショナルなテーマは、オールドメディア視聴者に反響を呼んだ。
エ テレビ新広島の同取材放送の同社YouTubeチャンネル再放映について
上記の番組は、YouTube広島ニュースTSSチャンネル「お好み焼き店に常連客が入れない!外国人観光客急増で苦渋の決断 ついに県民限定の入店規制」に常時一般視聴可能に掲載されている(甲20の1)。
このように、テレビ新広島(略称TSS)を通じて、YouTubeを通じても、もみじ亭の浸透の機会を得ており、当該番組は5万7千のチャンネル登録を誇り、この回は14万近くのビューを記録し、YouTubeチャンネル視聴だけでも約14万人の視聴者へ申立人商標「もみじ亭」が浸透している。
この取材の中の来店客へのインタビューで、特にグーグル検索(甲20の2)やオンラインで(甲20の3)検索されたことがうかがえ、申立人商標「もみじ亭」が宣伝広告の媒体として機能していることが理解される。
オ Xを通じた申立人の「もみじ亭」宣伝広告について
Xで公式ページを提供し、SNSを通じての宣伝広告も実施している(甲21)。
カ 申立人の「もみじ亭」モータースポーツのスポンサーについて
2024年から2025年にかけて、申立人商標「もみじ亭」をレーシングカーに付してモーターレースで走らせるなど、若者の嗜好に沿った宣伝広告にも対象を広げている(甲22)。
キ 申立人の「もみじ亭」各宣伝広告チャネルのまとめについて
このように、店頭看板・ウェブホームページ・市内路面電車広告・宮島線鉄道電車広告・テレビ取材放映・YouTube広島ニュースTSSチャンネル掲載・Xによる宣伝広告・モータースポーツスポンサー等、オールドメディア・ニューメディアの双方を通じた数々の多様な媒体チャンネルを利用し、特に広島を訪れる観光客への認知度を高め、広く全国・全世界からの集客に努め、広島を訪れる観光客の間では、広く知れ渡る存在となっている。
ク 申立人の「もみじ亭」店舗訪問者統計分析について
申立人の店舗の来店客に対して、2025年8月30日から10月17日までの集計期間49日において、店長により任意のインタビューが実施され(甲23の1、2)。日本人からは、1172人から回答が得られ、中国地方340人(広島県250人・その他90人)、関東地方250人、近畿地方130人、九州沖縄・四国地方160人、北海道東北地方20人と全国からの集客に成功しており、広島県に偏ることなく、来店者の80%が他県からの来店で占められている(甲23の1)。
店舗、X経由のグーグルフォームの詳細アンケートでは、来店のきっかけが通りすがりの客は1%以下であり、SNS・インターネット・Googleマップ・電車鉄道広告・人からの伝聞(直接の伝聞)・公式ホームページが8割を占めている(甲24)。
したがって、他県からは、申立人の直接の勧誘でなく、SNS・インターネット・Googleマップ・電車鉄道広告・人からの伝聞(直接の伝聞)・公式ホームページが8割を占め、通りすがりは極めてわずかであるから、全国的に周知となっていると解すべきである。
49日間の来店客数累計1172人から年間来店客をプロジェクションして推定すると年間8500人と推定され、13年間で約10万人へ「もみじ亭」が浸透しているものと推定される。
外国人来店者にも、2025年8月30日から10月17日までの集計期間49日において、店長により任意のインタビューを実施した1990人から得た回答(甲23の2)を見れば、外国からの来店数の国別内訳は、欧州1000人・北米350人・アジアオセアニア400人・南米50人・中東アフリカ40人と全世界に跨っており、100人以上を集めたのは、アメリカ・イギリス・フランス・ドイツ・スペイン・韓国であった。
インバウンドという言葉の響きに反し、中国からの来訪は30人を欠けていた。このように、特定の国に限定されるのではなく、来訪客が全世界に広がるという均等な分布は、特定の宣伝広告チャネルに限らず、むしろ、訪問前からSNS・ウェブ検索によって、来訪を予め決めていたり、広島に訪問後、何らかのネット上での検索手段によって、もみじ亭を探し当てて、訪問したものと推定される。
49日間の来店客数累計1990人から年間来店客をプロジェクションして推定すると年間1.5万人と推定され、13年間で約20万人へ「もみじ亭」が浸透しているものと推定される。
ケ 申立人商標「もみじ亭」の周知性について
このように、数々の媒体を通じて、数十万人に申立人商標が浸透しているものと推定され、さらに、甲第24号証をみれば、これら媒体をきっかけとする来店者は、直接の口コミをきっかけとする来店者とほぼ同程度であると推認されるから、同程度の口コミによる浸透が期待され、合わせると百万人を超えて申立人商標「もみじ亭」は浸透しているものと推定される。その結果、連日店内はフル稼働であり、十分周知性を獲得していることが推察される。
コ 広島市観光統計からみた申立人商標「もみじ亭」の周知性獲得について
広島市の観光客数は、2013年の1200万人から増加を続け、一時コロナ禍の影響で一時的な落ち込みを見せたものの、2024年には、1400万人を数えるほどとなっている(甲4の1)。
お好み焼き・鉄板焼きのもみじ亭は、「もみじ亭」の看板を掲げ、広島市・広島平和記念資料館から徒歩10分、原爆ドームから徒歩5分の繁華街の地において、飲食店を営むというインバウンド観光客に好適な立地を生かし、外国人観光客が予めもみじ亭を目指して訪問者が来訪するという営業成績を記録し続けている。
広島市の統計によれば、2024年1400万人の観光客の発地の内訳は、広島市及び広島県から250万人、外国人が250万人、残りは、国内日本人観光客であり、隣接県である山陽・山陰からの観光客は50万人程度に止まるが、関東350万人・中部200万人をはじめ、全国のその他の地域からも300万人が訪れているように、観光客の出発地は日本国内全国的な広がりを見せ、広島県からの250万人を除く1150万人の全観光客1400万人に対する割合は82%、県外観光客900万人をみても、国内観光客1150万人の78%である(甲4の2)。
いずれにしても、約8割の人々が県外からの観光客となり、この13年間では1億人以上の人々が広島市を訪問したこととなる。
甲第19号証の推定から、電車広告によって13年では累計で3080万人へ浸透したものと推定され、甲第4号証の2によれば、そのうち80%が他県からの観光客、他県及び海外からの観光客と推定され、累計で控えめにみても、全3080万人と推定される広告電車乗客人員のうち2400万人の観光客に申立人商標「もみじ亭」が浸透する機会があったものと推定される。
広島市観光客数は2025年も2024年とほぼ同じ傾向を示していることから、本件商標の出願時においても、同様の傾向を示したものと強く推定され、来店客のアンケートは、2025年8月以降に実施した出願日以降のものであるが、アンケート結果を支える事実は、すべて出願日以前に発生したものである。
以上の事実関係に照らすと、申立人商標「もみじ亭」は、本件商標の商標登録出願の日前に申立人のお好み焼き料理等の鉄板焼き料理を主とする飲食物の提供を表示するものとして、広島県及び隣接する山口・岡山・島根県の中国地方及び関東・中部・近畿地方において、13年間で2400万人以上の需要者の間に広く認識されるに至っていたものと認められる。
そして、電車広告で見つけた「もみじ亭 広島」でグーグル、ハッシュタグでX、及びグーグルマップ検索すれば、もみじ亭の位置情報・連絡先や評判はニューメディアから容易に入手できるから、通りがかった人たちとの偶然の遭遇から申立人のお好み焼き店舗「もみじ亭」の繁忙が生じたのではなく、事前の計画的な旅の調査と、旅仲間の評判から選択されて客が訪れた結果としての連日のフルタイムの満席は、申立人商標「もみじ亭」が広島を観光地として訪れるお好み焼き需要者の間に広く認識されているという周知性を獲得しているものと認められるのが妥当である。
サ 申立人商標の周知性検証:複数の新聞社からの取材・オタフクソース表彰状について
このように、申立人商標「もみじ亭」が需要者の間に広く認識されているという事実は、以下の事実から検証することができる。
オールドメディアの代表格である新聞社から複数の取材を受けており、全国紙の毎日新聞(甲25)及び中国地方地盤の中国新聞の記事(甲26)に申立人の「もみじ亭」が掲載され、写真付きで詳細に紙面化されている。
次に、お好み焼き業界においてトップレベルの大会社となったオタフクソース株式会社(本社・広島市西区)から永年のお好み焼き店舗営業に関し表彰を受けている(甲27)。
このように保守的な(抑制的な)オールドメディアの代表格である新聞社・お好み焼き関連業界のトップレベルの事業会社から認知されていることから、申立人の需要者間の、また、業界間の周知性を検証できるものと思料する。
シ 本件商標の商標法第4条第1項第10号違反について
普通に用いられる方法で表示された本件商標「もみじ亭」の文字の指定商品中の「お好み焼」への使用は、申立人の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして、遠方から広島を訪れる需要者の間に広く認識されている申立人商標「もみじ亭」と同一であって、その商品若しくは役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用をするものであるから、他人の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標であって、その商品若しくは役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用をするものにあたる。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。
4 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について
本件商標は、「もみじ亭」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「もみじ」の文字は、「秋に、木の葉が赤や黄色に色づくこと。また、その葉。」の意味を、「亭」の文字は、「寄席・料理屋などの屋号につける語。」の意味をそれぞれ有する語(いずれも出典は、株式会社岩波書店「広辞苑 第七版」)であるが、その構成全体は、一般的な辞書類に載録がなく、これに接する取引者、需要者をして、特定の意味合いを想起させるとはいい難いものである。
ここで、申立人は、本件商標の構成中の「もみじ」の文字は、「もみじ」といえば広島、広島といえば「もみじ」というほどに「広島」と「もみじ」は互いに関連性の深い文字同士であるから、指定商品中、広島地域において料理店で提供される商品としてよく知られる「お好み焼」について、「もみじ」と料理店を表す一般名称である「亭」を結合した本件商標を使用した場合、これに接する取引者、需要者は、当該商品を「広島の料理店によるお好み焼き」又は「広島スタイルのお好み焼き」といった商品及び役務の産地・品質等の特徴を表示する文字として理解し把握するにとどまり、自他商品の識別標識としては認識し得ない旨主張する。
しかしながら、申立人の提出に係る証拠によれば、広島県の「県の木」が「もみじ」であることや「もみじ饅頭」が広島県の名物であること、広島県には、「もみじ銀行」の名称を使用した銀行が存在し、「紅葉谷公園」と称する観光名所を有する観光地であるなど、「もみじ」と「広島県」の関連性が深いことはうかがえても、「もみじ亭」の文字が、本件商標の指定商品中の申立てに係る商品「お好み焼」(以下「申立商品」という。)の産地、販売地、品質等を表すものとして、取引上、普通に使用されているといった実情は見いだせず、また、これに接する取引者、需要者が、商品の品質等を表すものと認識し得るという特段の事情も見いだせない。
そうすると、本件商標を申立商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者をして、当該商品の具体的な品質等を表すものと認識させるとはいえず、本件商標は、申立商品について、自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものというのが相当である。
してみれば、本件商標は、申立商品との関係において、商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものとはいえず、かつ、商品の品質について誤認を生ずるおそれもないものである。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当しない。
(2)商標法第3条第1項第6号該当性について
本件商標は、「もみじ亭」の文字を標準文字で表してなるところ、上記(1)のとおり、その構成全体は、一般的な辞書類に載録がないものであり、特定の意味合いを想起させるとはいい難いものである。
また、申立人の提出に係る証拠によっても、本件商標が、申立商品との関係において、商品の特性又は優位性を表した宣伝広告の文句の一種を表示したものと理解、認識させるものとして、取引上一般に使用されている実情は見いだせず、その他、本件商標に接する取引者、需要者が、当該文字を商品の宣伝広告を表示したものと認識するというべき特段の事情も見いだせない。
そうすると、本件商標は、特定の意味合いを想起させるとはいい難いものであって、申立商品との関係において、商品の宣伝広告の文句の一種を表示したものであるなど一般に使用され得る標章であるとはいえず、本件商標を申立商品に使用した場合、自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものというのが相当であるから、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができないものとはいえない。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第6号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第10号該当性について
ア 商標法第4条第1項第10号は、先使用未登録商標に他の商標登録出願を排除する効力を認めるものであるから、同号にいう「広く認識されている」に該当するといえるための地理的範囲としては、必ずしも全国的に知られている必要まではないが、1都道府県内で知られているだけでは足りず、少なくとも、例えば、関西一円などの数県にわたる相当広い範囲で、取引者・需要者に知られていることを要するというべきである。また、「広く認識されている」といえるための取引者・需要者の範囲としても、同様の趣旨から、すべての取引者・需要者に知られている必要まではないが、相当程度の取引者・需要者に知られていることを要すると解すべきである(平成26年(行ケ)第10118号参照)。
イ 申立人の主張及び同人の提出に係る証拠によれば、申立人は、2013年から広島市において、お好み焼きを提供する店舗の屋号に申立人商標「もみじ亭」の文字を使用しており、店舗においてお好み焼きの提供を行っていることから、申立人商標は、「お好み焼きの提供」の役務(以下「申立人の業務に係る役務」という。)に使用されているものである。
そして、申立人は、申立人商標について、広島電鉄の鉄道車両に継続して看板広告を掲載し、テレビ取材、新聞記事、SNSを通じた宣伝広告等を行っているほか、観光地に近接した店舗への来店者数が一定数あることはうかがえるものの、広島電鉄の看板広告については、その地理的範囲が広島県内にとどまるものであり、かつ、編成された一部の車両にプリントされたものであることから、需要者の多くが「もみじ亭」の文字を申立人の業務に係る役務を表すものと認識し、目にとめたとまではいえない。また、他の媒体への掲載についても、広島地域のメディアによる紹介が中心である上、テレビ放送も1回、新聞記事も2回程度であって、長年にわたり継続して行っているものであるとはいえず、SNSを通じた宣伝広告等の記事も閲覧できるウェブサイトの閲覧者数、掲載期間等が不明であることから、その宣伝広告の効果を客観的に評価することができない。
また、申立人商標の周知性を考慮するうえで、比較の対象とする同業他社の数値等を客観的に把握する証拠は提出されていないことから、申立人商標を使用した申立人の業務に係る役務が、どの程度の需要者に知られているかについても客観的に評価することができない。
以上の実情とともに、申立人の業務に係る役務に関する需要者は、一般の消費者であって、広島県を中心とする隣接都道府県における一般の消費者は相当な数に及ぶことも併せて考慮すると、申立人商標が相当程度の需要者の目に触れ、申立人の業務に係る役務であることを表すものとして記憶されていたと認めることはできないことから、上記の申立人の主張及び提出された証拠からは、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人商標が申立人の業務に係る役務を表示するものであると広島県を中心とする隣接都道府県において相当程度の需要者に知られているとは認められない。
そうすると、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人商標が申立人の業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。
ウ 上記に加え、本件商標の指定商品は、申立商品「お好み焼」をはじめとする商品であるのに対し、申立人の業務に係る役務は、「お好み焼きの提供」の役務である。そして、申立商品を提供する事業者は、主に当該商品の製造業者で、持ち帰りの商品を製造する事業者である一方、申立人の業務に係る役務の事業者は、店舗において料理(お好み焼き)を飲食させることを行う事業者であるから、両者は、一般に同一事業者によって行われるものとはいい難いものであり、両者の需要者の範囲が一致する場合があるとしても、その事業者、用途、商品の販売場所及び役務の提供場所等が異なるものである。
そうすると、申立商品と申立人の業務に係る役務とは、類似するものではないというのが相当である。
エ よって、上記のとおり、申立人商標は、申立人の業務に係る役務を表示するものとして、需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできず、また、申立商品と申立人の業務に係る役務とは類似するものではないことから、本件商標と申立人商標が「もみじ亭」の文字を共通にする同一又は類似の商標であるとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第10号を適用するための要件を欠くものといわざるを得ない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。
(4)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第3条第1項第3号、同項第6号、同法第4条第1項第10号及び同項第16号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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2025-900234