商標異議申立
2025-900224
ディープシーク
- 審判番号
- 2025-900224
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 商願2025-021716
- 登録番号
- 6959836
- 請求日
- 2025年10月23日
- 審決日
- 2026年06月01日
- 公報発行日
- 2026年07月31日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】杭州深度求索人工智能基礎技術研究有限公司
- 【権利者代理人】弁理士法人三枝国際特許事務所
- 【異議申立人】ロレツクス ソシエテ アノニム
- 【異議申立人代理人】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
- 【異議申立人代理人】前川 純一
- 【異議申立人代理人】山崎 和香子
- 【異議申立人代理人】前川 砂織
- 審判長/審判官
- 審判長 大井手 正雄
- 審判官 小林 裕子
- 審判官 石塚 文子
- 分類
- T1652.261-Y (W09) / T1652.262-Y (W09) / T1652.263-Y (W09)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項11号商標法43条の2商標法43条の3第4項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第11号、商標法第9条の2、商標法第43条の2第1号
- データ出所
- 審決公報(XML)
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登録第6959836号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。
結論
結 論
登録第6959836号商標の商標登録を維持する。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第6959836号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、2025年(令和7年)1月17日に欧州連合知的財産庁においてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条(商標法第9条の2)による優先権を主張して、令和7年3月3日に登録出願、第9類、第35類及び第42類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同年8月12日に登録査定、同月21日に設定登録されたものである。
第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議の申立ての理由に該当するとして引用する商標は次のとおりであり、その商標権は現に有効に存続しているものである。
登録第4146855号商標(以下「引用商標」という。)
商標の構成:DEEP SEA
登録出願日:平成8年9月10日
設定登録日:平成10年5月22日
指定商品 :第14類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、その指定商品及び指定役務中、第9類「時計の形をしたスマートフォン,身体装着式携帯情報端末,時間記録用装置,着用可能なアクティビティトラッカー」(以下「本件申立商品」という。)について、商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきであると申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第4号証を提出した。以下、証拠の記載については、「甲第○号証」を「甲○」のように省略して記載する。
1 引用商標「DEEP SEA」を使用した申立人商品
(1)申立人は約100年の歴史を誇る世界的に著名な時計会社である。その歴史は、1905年、申立人の創始者ハンス・ウィルスドルフがイギリスのロンドンに時計会社を設立したことに始まり、「ROLEX」の商標は我が国で周知、著名となっている(第125919号防護第01号)。
(2)申立人は、それまでの腕時計にはなかった、腕時計の性能を高める各種機構を開発している。その一つが防水性の極めて高い腕時計である。1950年代に「ディープシースペシャル」と呼ばれる試作モデルを製造し、これに対して厳しい条件下でのテストを繰り返した。そして完成した3作目の「ディープシー スペシャル」は、10,916m(37,800フィート)の海底まで潜水した深海潜水艇トリエステ号の外側に取り付けられていたが、潜航中そして潜航後も完全に動作しており、このことは申立人の腕時計の高い防水性能を裏付けている(甲3)。
(3)2008年にはダイバーズウォッチとして「ロレックス ディープシー」が、2022年には「ロレックス ディープシー チャレンジ」が発売された。前者は水深3,900メートルまで、後者は水深11,000メートルまでの防水性能を有している(甲4)。
2 本件商標と引用商標の構成
(1)本件商標の構成
本件商標はやや丸みを帯びた書体で「deepseek」の英文字を横書きに書してなり、その構成に呼応して「ディープシーク」の称呼を生じる。
「deep」は「深い」、「seek」は「探求する、探す」といった意味の英単語であるが、商標全体として特段の観念を生じない造語として理解されるものである。
(2)引用商標の構成
引用商標は「DEEP SEA」の英文字を横書きに書してなり、その構成に呼応して「ディープシー」の称呼を生じ、「深海」の観念を生ずる。
3 本件商標と引用商標の類否
(1)本件商標から生じる称呼「ディープシーク」と、引用商標から生じる称呼「ディープシー」を対比すると、冒頭から第3音節まで「ディー・プ・シー」の音構成が完全に一致しており、聴取しづらい語尾における「ク」の有無の相違にすぎない。
そして、本件商標から生じる「ディープシーク」の語尾の「ク」は、その前に位置する「シー」が長音を伴って強く発音・発声され、かつ無声破裂音「K」は、特に後に続く音が存在しない場合、その破裂が不完全となり聴覚的な際立ちが弱まる現象(不完全破裂)が生じ得る。
よって、本件商標から生じる称呼「ディープシーク」と、引用商標から生じる称呼「ディープシー」は、実際に発音した場合に聴別が困難となる。
(2)本件商標「deepseek」と引用商標「DEEP SEA」の外観を比較すると、語頭の6文字を共通にしている。また語尾の相違点については、看者の記憶に残りにくいことから、時と場所を異にする離隔観察を行った場合には外観上相紛れるおそれがある。
よって、本件商標と引用商標は外観において類似する商標である。
(3)本件商標からは特段の観念を生じないから、両者は観念において対比することのできない商標である。
(4)本件商標の指定商品と引用商標の指定商品
本件商標の指定商品中、「時計の形をしたスマートフォン」は類似商品・役務審査基準において、引用商標の指定商品中の「時計」に包含される「腕時計」と類似と推定されるものである。「身体装着式携帯情報端末,着用可能なアクティビティトラッカー」は、いずれも体に装着して使用されるものであり、その多くが時刻表示という機能を備えている点で腕時計と使用方法・使用目的が共通するものであり、「時間記録用装置」は時間を表示・計測するという点で時計と用途や需要者が共通する類似の商品である。
(5)上記より、本件商標と引用商標は称呼及び外観において類似し観念において対比できない商標であり、指定商品も類似するから、本件商標は引用商標との関係で商標法第4条第1項第11号に該当するものである。
4 以上より、本件商標は、商標法第4条第1項第11号の規定に該当するにもかかわらず商標登録されたものであるから、その登録は、商標法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきである。
第4 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号について
(1)本件商標
本件商標は、別掲のとおり、ややデザイン化された「deepseek」の欧文字を横書きしてなるところ、当該文字は一般的な辞書等に載録された語ではなく、特定の意味合いを想起させる語として知られているというような事情も見いだせないことから、特定の観念を生じることのない造語として認識されるというのが相当である。
そして、造語からなる欧文字については、ローマ字読み又は英語読みに倣って発音されるのが自然であることからすると、本件商標は、その構成文字に相応して、「ディープシーク」の称呼が生じる。
したがって、本件商標は、その構成文字に相応して、「ディープシーク」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
(2)引用商標
引用商標は、上記第2のとおり、「DEEP SEA」の欧文字を横書きしてなるところ、当該文字は、「深い」を意味する「DEEP」及び「海」を意味する「SEA」の2語からなるものであり、全体として「深海」の意味合いを認識させる。
したがって、引用商標は、その構成文字に相応して、「ディープシー」の称呼及び「深海」の観念を生じるものである。
(3)本件商標と引用商標の類否
本件商標と引用商標とを比較すると、外観において、両者は、書体の相違、スペースの有無、構成文字数の差異、大文字と小文字の差異、及び語尾における「ek」と「A」の文字の差異を有することから、両者は外観において判然と区別し得るものである。
また、本件商標から生じる「ディープシーク」の称呼と引用商標から生じる「ディープシー」の称呼とを比較すると、両者は、全体の音数及び語尾における「ク」の音の有無が相違するため、それぞれ一連に称呼しても、全体の語調、語感が異なったものとなり、互いに聞き誤るおそれはなく、称呼上、聴別し得るものである。
さらに、観念については、本件商標は特定の観念が生じないのに対し、引用商標は「深海」の観念が生じることから、両者は、観念上、相紛れるおそれはない。
そうすると、本件商標と引用商標とは、外観及び称呼において区別し得るものであって、観念において相紛れるおそれはないものであるから、外観、称呼及び観念によって、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
その他、本件商標と引用商標が類似するというべき事情は見いだせない。
(4)小括
以上のとおり、本件商標と引用商標は非類似の商標というべきものであるから、本件商標は、本件申立商品と引用商標の指定商品との類否について言及するまでもなく、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
2 まとめ
以上のとおり、本件商標は、その指定商品及び指定役務中、本件申立商品について、商標法第4条第1項第11号に該当するとはいえず、他にその登録が同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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