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商標異議申立

2025-900175

プロファイドケス、プロフィドケス、プロファイド、プロフィド、ケス、ケイイイエス

審判番号
2025-900175
法域
商標
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
商願2024-091066
登録番号
6937468
請求日
2025年08月18日
審決日
2026年05月28日
公報発行日
2026年08月28日
結論
請求成立(取消)
当事者
  • 【権利者】株式会社Profid
  • 【権利者代理人】赤澤 一博
  • 【権利者代理人】宮澤 岳志
  • 【異議申立人】カトーテック 株式会社
  • 【異議申立人代理人】城山 康文
  • 【異議申立人代理人】岩瀬 吉和
  • 【異議申立人代理人】横川 聡子
審判長/審判官
  • 審判長 山田 啓之
  • 審判官 小林 裕子
  • 審判官 石塚 文子
分類
T1651.261-Z (W09) / T1651.262-Z (W09) / T1651.263-Z (W09)
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第4条第1項第11号、商標法第4条第1項第19号、商標法第43条の2第1号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

登録第6937468号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。

結論

結 論 登録第6937468号商標の商標登録を取り消す。

理由

理 由 第1 本件商標 本件登録第6937468号商標(以下「本件商標」という。)は、「プロファイドケス」の片仮名及び「PROFID KES」の欧文字を2段に書してなり、令和6年8月23日に登録出願、第9類「風合い測定機械器具」を指定商品として、同7年5月30日に登録査定、同年6月12日に設定登録されたものである。 第2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議の申立ての理由に該当するとして引用する登録第6755693号商標(以下「引用商標」という。)は、「KES」の欧文字を標準文字で表してなり、令和5年6月14日に登録出願、第9類「測定機械器具,繊維材料試験機,圧縮試験機,材料試験機,張力試験機」を指定商品として、同年11月20日に設定登録され、その商標権は、現に有効に存続しているものである。 第3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同項第19号に違反して登録されたものであり、その登録は、同法第43条の2第1号により、取り消されるべきである旨申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第91号証(枝番号を含む。)を提出した。以下、証拠の記載については、「甲第○号証」を「甲○」のように省略して記載する場合もある。 1 商標法第4条第1項第11号について (1)本件商標について 本件商標は2段書きからなり、上段に片仮名の「プロファイドケス」を配し、下段に欧文字の「PROFID KES」を配してなる。 (2)引用商標について 引用商標は欧文字の「KES」を全て大文字で標準文字で表されている。 (3)本件商標と引用商標の対比 本件商標及び引用商標の構成は上述のとおりであるが、商標の類否判断においては最高裁昭和43年2月27日第三小法廷判決(昭和39年(行ツ)第110号)において、「商標の類否は、対比される両商標が同一または類似の商品に使用された場合に、商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによつて決すべきであるが、それには、そのような商品に使用された商標がその外観、観念、称呼等によつて取引者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すべく、しかもその商品の取引の実情を明らかにしうるかぎり、その具体的な取引状況に基づいて判断するのを相当とする。」と判じられている。 そこで本件商標及び引用商標が使用される商品の取引実情を明らかにすると、まず、本件商標はその指定商品にあるとおり、風合い測定機械器具に使用されるものである。そして引用商標が使用される商品も後述のとおり風合い試験機であり風合い測定機械器具と同じものである。つまり、両商標が使用される商品は全く同じ分野に属するものである。そして後述のように、引用商標を付した風合い試験機(以下「申立人商品」という。)は50年以上にわたって申立人が製造販売を行い、実質的な競合は存在せず、一部上場企業を始め全国の需要者に取引され、多くの特許文献や論文等においても言及されており、引用商標には高い業務上の信用が化体し全国的な周知性を獲得していることに疑いはない。また、引用商標の「KES」からは「ケイイイエス」のみならず「ケス」の称呼も自然と生じることは商標公報(甲2の2)に記載のとおりであり、実際に市場においてもそのように称呼されている事実がある(甲3~甲7)。 本件商標は上段に「プロファイドケス」の片仮名、下段に「PROFID KES」の欧文字を全て大文字で配しているが、「PROFID」と「KES」の間には少なくとも「PROFID」の各文字の間隔及び「KES」の各文字の間隔よりも広いスペースが設けられ、外観上分離し得ること、引用商標「KES」が周知性を獲得していること、いずれも風合い測定機械器具について使用する商標であることに鑑みれば、本件商標の構成中「KES」の文字が、取引者、需要者に対し商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものということができ、本件商標は「KES」のみでも出所識別機能を十分に発揮するものであり、本件商標の要部といえる。かつ、本件商標は周知な引用商標と結合したものであるから、商標法第4条第1項第11号の審査基準に記載の「指定商品又は指定役務について需要者の間に広く認識された他人の登録商標と他の文字又は図形等と結合した商標は、その外観構成がまとまりよく一体に表されているもの又は観念上の繋がりがあるものを含め、原則として、その他人の登録商標と類似するものとする。ただし、その他人の登録商標の部分が既成の語の一部となっているもの等を除く。」に則し、本件商標と引用商標は類似するものと判断されるべきものである。なお、引用商標は既成語の一部ではないことは明らかである。これらを総合的に判断すれば、本件商標は需要者・取引者をして引用商標と出所の混同を生ぜしめるものであり、本件商標は引用商標と類似するものである。 (4)指定商品について 本件商標の指定商品は第9類「風合い測定機械器具」であるところ、引用商標の指定商品は第9類「測定機械器具,繊維材料試験機,圧縮試験機,材料試験機,張力試験機」であり、本件商標の指定する「風合い測定機械器具」は少なくとも引用商標の指定する「測定機械器具」の下位概念に該当することは自明であり、本件商標と引用商標は指定商品において類似する。 (5)小括 以上から、本件商標は周知商標である引用商標を含み、互いに相紛れる商標であることから引用商標と類似し、指定商品においても類似することから、本件商標と引用商標は出所の混同を生ずるおそれのある商標である。また、引用商標は本件商標の査定時より以前に登録されていることから、本件商標に対して先願先登録商標である。したがって、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当する。 2 商標法第4条第1項第19号について (1)申立人及び引用商標が使用される製品について 申立人「カトーテック株式会社」は1961年に設立された法人であり、各種試験機等の設計、製造、販売、メンテナンスを主な事業としている(甲9)。1970年代には京都大学の川端季雄教授と共同で風合い試験機を開発し、その名称を「KAWABATA EVALUATION SYSTEM」(略称「KES」)としたものである。当該風合い試験には引用商標が付され、現在に至るまで継続して製造、販売されている。 風合い試験機とは、引張りせん断試験機、純曲げ試験機、圧縮試験機、表面試験機などの試験機、計測機器の総称(甲10)であり、これら試験機、計測機器から得られたデータを総合的に分析することで、布の風合いを詳細に評価できる点で他の試験機、測定器では実現できない分析を行うことを可能としている。申立人は各試験機に引用商標「KES」を冠し、「KESシリーズ」として製品展開を行っている(甲10)。市場には他の張力測定機やせん断試験機などの計測器が存在するが、これら計測器は素材の耐久力や引っ張る強さ等を測ることを目的とし、素材の強度を知るために測定するものである。一方風合い試験機は強度を知ること自体が目的ではなく、「人が物に触れた時の風合い」という主観的かつ人体が得る繊細な感触を数値化し、標準化することを目的としており、微細な数値を測ることを可能とするが、このような微細な数値は強度を測ることを目的とした測定器・試験機では計測することができない。つまり、風合い試験機と一般的な測定器・試験機とでは目的、利用分野、需要者が大きく異なるものである。そして風合い試験機という特殊な市場においては、実質的な競合他社は存在せず、事実上申立人がそのシェアを独占している状態である。インターネットの検索サイトであるGoogleにおいて「風合い試験機」、「風合い測定器」と検索しても検索結果に現れるのは引用商標の付された申立人の出所に係る製品のみであり競合製品が検索されなかったが(甲11、甲12)、測定器・試験機がBtoB商材であり検索されにくい商品であるとしても、これだけインターネットが日常的に利用されている現状において競合製品が検索されないことは事実上申立人がそのシェアを独占していることの証左である。 なお、後に言及する甲第89号証によれば、平成25年時点において申立人が35年間にわたって申立人商品を製造販売してきたこと、風合い試験機の市場規模は4億5千万円であるのに対し、申立人の市場シェアは4億円(約90%)であることが明記されている。甲第89号証については、商標権者の代表者によって作成されたものである。 (2)引用商標が日本における需要者の間に広く認識されている商標であることについて ア 需要者について 風合い試験機による測定結果は衣類やインテリア製品、医療用繊維、スポーツウェアなどの設計において、消費者が求める「着心地」や「触り心地」を実現するための指標として活用されることから、申立人商品の需要者は、素材としての繊維を開発する企業や研究者のみならず、製品を開発する企業や研究者となる。風合い計測は、1970年代に日本繊維機械学会の中に「布風合いの客観評価の標準化」を目的に「風合い計量と規格化研究委員会」が発足されたことを起源としていることから(甲13)、主に繊維を測定の対象とするものであるが、「風合い」に代表される触り心地を数値化することは他の分野においても需要があり、樹脂、不織布、紙、糸、塗料、木材、液体、粉、毛髪、皮革・合皮、フィルム、セパレータフィルム、クリーム、ゴム、肌、食品、ジェルに関する測定も可能としている(甲14)。そのため、申立人は、申立人ホームページに掲載されているだけでも多様な分野の取引先を有している(甲9)。 また、申立人商品は、多数の都道府県の技術研究施設に設置されており(甲15~甲41)、これら施設では申立人商品の貸出や、委託による測定・試験が行われている。そのため申立人商品の需要者は製品を購入した企業等に限られず、これら施設等で申立人商品を利用又は測定・試験の委託を行うものも含まれる。 さらに、以下に述べるように申立人の申立人商品は特許文献にも開示されているが、その出願人にはお茶の水女子大学、信州大学、近畿大学、九州大学、鳥取大学、愛媛大学、東北大学、富山大学なども存在することから分かるように、大学も需要者(甲42)となる。 このように、引用商標の需要者は様々な分野の企業、研究機関、大学、試験機を利用する者などであり、全国に存在し、さらに外国にも需要者が存在する。国内外の申立人商品の販売数量、取引社数について、数字の根拠として甲第43号証を提出する。 イ 引用商標が日本における需要者の間に広く認識されていることについて 申立人商品は製品の性質上、メンテナンスをしながら長期間使用するものであり、その製品寿命は平均して15年~20年と長く、一度購入すれば頻繁に再度購入するものではないことは言うまでもない。そのような製品において、直近10年間で平均20件強の取引が成立していることは、毎年それだけ取引先を増やしていることを意味するものである。また、メンテナンスの件数については既存の取引先を示すものであり、大量に販売されることが少ない特殊な分野においてこれだけの顧客がいることは、引用商標が需要者において広く知られていることの証左であり、かつ平成28年には申立人の所在地である京都府より申立人の「KES」シリーズについて「京都中小企業特別技術賞」を受賞しており(甲44)、引用商標が高い業務上の信用を得ていることを示している。さらに甲第89号証には風合い試験機の市場規模は4億5千万円であるのに対し、申立人の市場シェアは4億円(約90%)であることが商標権者の代表者によって明記されている。このデータは平成25年時点での数字であるが、現時点におけるインターネットの検索結果からも明らかなように実質的な競合は存在しないことから現在も状況に大きな変化はない。申立人商品はこのようにこれだけのシェアを誇っており、引用商標は需要者・取引者において全国的に広く知られているものである。 また、J-PlatPatの特許・実用新案検索により、検索キーワードを明細書:「KES」、「カトーテック」と検索する(除く検索により「出願人/権利者/著者所属:カトーテック」としている。)と、本件商標の出願日である2024年8月23日までに公開された文献については4,424件(甲45)もの検索結果が得られ、本件商標の出願日前10年間に絞っても1,999件もの特許文献が検索された(甲46)。これだけの数の特許文献において申立人商品が使用されていること、さらには出所として申立人が明記されていることは、需要者において申立人商品が広く利用され、かつ引用商標が申立人の出所に係る商標であると広く認識されていることにほかならない。 申立人商品は申立人と京都大学の川端季雄教授との共同研究によって開発されたが、この学術的な背景も、科学的な理論に基づいた試験機であるとして、繊維業界の研究者や技術者からも高い業務上の信用を得ている理由の一つである。そのため引用商標、申立人商品、そして出所としての申立人は特許文献のみならず多くの論文や雑誌記事等においても言及されており(甲47~甲81)、1989年に刊行された機能紙研究会誌における「紙の基本力学特性の測定とその風合い計測」には、「風合値を計算することが川端らによって試みられ、その計測法が提案され、計測器もKES試験機(カトーテック社製)として市販されている。またその成果は、繊維業界(特に紳士服業界)では品質管理、商品開発等に、既に広く応用されている。」(甲47)との記載があり、1989年の時点で申立人の出所に係る申立人商品が繊維業界において広く利用されていることが分かる。論文は自動車、繊維、毛髪等様々な分野において発表されており、この事実も引用商標が需要者において広く認識されていることを示している。 このように、上記の技術関連施設のウェブサイト、特許文献及び論文等には全て引用商標及び申立人商品の出所が申立人であることが明記されていること、申立人商品の長年にわたる販売、市場シェア、多数の需要者数、特許文献及び論文掲載量から、引用商標は全国的に広く認識されており、本件商標の出願時には周知・著名性を獲得しているものである。 なお、申立人は川端教授と共同で風合い試験機である「KES」を研究開発したものであり、その成果については特許権及び実用新案権を取得し、申立人が特許権者、実用新案権者となっている(甲82~甲84)。なお、株式会社加藤鉄工所は申立人の旧社名であり(甲13)、川端教授の特許を受ける権利及び実用新案登録を受ける権利については申立人に譲渡されている(甲85)。 (3)本件商標が引用商標「KES」に類似することについて 本件商標は需要者・取引者をして引用商標と出所の混同を生ぜしめるものであり、本件商標は引用商標と類似するものであり、上記1(4)で述べたように本件商標と引用商標における商品は類似関係にある。 (4)不正の目的があることについて 商標権者の代表者である柴田博史氏(以下「柴田氏」という。)(甲86)は、平成22年8月23日から平成24年10月31日まで申立人の代表取締役であったが(甲87)、柴田氏が平成24年10月の時点で、柴田氏の取締役重任に係る適切な株主総会を開催していなかったことから、平成25年3月、申立人は適式な株主総会を開催し、柴田氏を取締役として再任せずに、取締役から退任させることとなった。 その後、申立人は柴田氏と、平成25年3月1日から同年6月17日までの間有期雇用契約を締結し、柴田氏は、申立人の常務執行役員として職務遂行していた。しかしながら、当時、柴田氏は申立人の常務執行役員として職務遂行をしていたにもかかわらず、雇用契約期間中に申立人の競合会社(以下「新会社」という。)を設立するとともに、当該新会社に申立人の多くの社員を引き抜く計画等を行っていた。その柴田氏の競合会社設立、申立人からの社員大量引き抜き計画が、申立人の調査により発覚したことから、申立人は平成25年6月16日付けで解雇通知書を送付し、柴田氏を解雇したという事情がある(甲88)。 甲第89号証は柴田氏が新会社設立に際し他社に対して行ったプレゼン資料である。このプレゼン資料には申立人の3期にわたる損益計算書のデータ(甲89の4頁)や申立人の申立人商品に関する情報等が開示されており(甲89の5頁~7頁)、また、新会社の構想も開示されているが、計測機器製造販売の売上見込みの中心となるのは風合い試験機であることが一目瞭然である(甲89の10頁、11頁)。そもそも新会社設立に際し申立人の経済的状況等を明らかにすることが不自然であり、柴田氏が申立人の競合会社を設立しようとしていたことは明らかである。また、申立人の営業・開発に係る重要な人材の引き抜きを画策していた事実も合わせて、申立人に対して多大な損害を与える目的を有していたことが明らかである。 甲第89号証5頁によれば、平成25年当時の風合い試験機の市場規模が4億5千万円であること、申立人のシェアは90%であることが開示されているが、当該事実は現時点においても大きく変わるものではなく、風合い試験機に「KES」の名称を使用しているのは申立人のみである。その状況において、引用商標「KES」をそのまま含む本件商標「Profid KES」が登録されれば、需要者において出所の混同を生じることは容易に想定できることであり、引用商標の出所表示機能の希釈化を招くことは明らかである。また本件商標の審査や拒絶査定不服審判において引用商標には識別力がない旨の主張も行っており、このことからも引用商標の出所表示機能を希釈化させようとする明らかな意図が存在する。商標権者の代表者が申立人の代表取締役及び常務執行役であったこと、かつて申立人に損害を与える目的があったことに鑑みれば、需要者をして本件商標と引用商標をあえて出所の混同を生じせしめ申立人の顧客を奪う目的及び引用商標の業務上の信用にフリーライドする目的などの不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的、引用商標の出所表示機能を希釈化する目的をもって商標出願を行ったことは明らかである。 (5)小括 よって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当することは明らかである。 第4 当審における取消理由 当審において、商標権者に対して、「本件商標は、引用商標と類似する商標であり、本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品と同一又は類似する商品である。そうすると、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、その登録は、同項の規定に違反してされたものである。したがって、本件商標の登録は、商標法第43条の2第1号に該当する。」旨の取消理由を令和8年3月3日付けで通知した。 第5 商標権者の意見 上記第4の取消理由の通知に対し、商標権者は、何ら意見を述べていない。 第6 当審の判断 1 引用商標の周知著名性について (1)申立人の主張及び同人の提出に係る証拠によれば、以下のとおりである。 ア 申立人は、1970年代に京都大学の川端季雄教授と共同で布等の風合いを測定する機器である風合い試験機を開発し、その名称を「KAWABATA EVALUATION SYSTEM」(略称「KES」)とした(申立人の主張)。なお、風合い試験機とは、引張りせん断試験機、純曲げ試験機、圧縮試験機、表面試験機などの試験機、計測機器の総称である(申立人の主張)。 イ 申立人は、1970年代から「KES」の欧文字を冠した風合い試験機(申立人商品)の製造、販売を行っている(甲10、甲13、甲89)。そして、当該「KES」の欧文字は、「ケス」の読みが付されて使用されている(甲3~甲7)。 ウ 風合い試験機という特殊な市場において、実質的な競合他社は存在せず、申立人がシェアを独占している(申立人の主張)。検索サイト(Google)において「風合い試験機」、「風合い測定器」と検索した際に検索結果として現れるのは申立人商品のみであり競合製品は検索されない(甲11、甲12)。 エ 申立人商品の需要者は、素材や製品を開発する企業等であって、申立人は多様な分野の取引先を有している(甲9)。また、多数の都道府県の技術研究施設に申立人商品が設置されており、申立人商品の貸出しや、委託による申立人商品を用いた測定、試験が行われている(甲15~甲41)。 オ 申立人商品は、2014年(平成26年)頃から年間で、国内で20~30件程度、外国で毎年20件程度、継続して販売されており、当該商品のメンテナンスが、毎年80~100件程度行われている(甲43)。なお、その製品寿命は15年から20年程度と長く、頻繁に再度購入するものではない(申立人の主張)。 カ 平成25年時点で、風合い試験機の市場規模の4億5千万円に対し、申立人の市場シェアは4億円(約90%)であり(甲89)、現在も状況に大きな変化はない(申立人の主張)。 キ 申立人は、申立人商品である「KESシリーズ14種類」について、京都府により「京都中小企業特別技術賞」を受賞している(甲44)。 ク 1980年代から2023年(令和5年)7月9日までに公開されている約4千件の特許文献(甲45)や、論文や雑誌記事(甲47~甲81)において、申立人商品について言及されている。 ケ 1989年(平成元年)に刊行された機能紙研究会誌における「紙の基本力学特性の測定とその風合い計測」には、「風合値を計算することが川端らによって試みられ、その計測法が提案され、計測器もKES試験機(カトーテック社製)として市販されている。またその成果は、繊維業界(特に紳士服業界)では品質管理、商品開発等に、すでに広く応用されている。」と記載されている(甲47)。 (2)判断 上記(1)によれば、申立人は、1970年代から申立人商品を製造しており、様々な分野の企業等に販売されている。また、申立人商品は、多数の都道府県の技術研究施設に設置されており、申立人商品を用いて委託による測定、試験が行われている。申立人商品の製品寿命は約20年程度と長いため頻繁に購入されるものではないものの、2014年(平成26年)頃からの取扱い件数は、国内外併せて毎年50件程度ある。平成25年(2013年)時点で、風合い試験機の市場規模の4億5千万円に対し、申立人の市場シェアは4億円(約90%)あり、現時点において、その状況が大きく変わったと確認できるような実情は発見できない。 また、1980年代から多数の特許文献、論文や雑誌記事において、申立人商品が言及されており、風合いを測定するための機器として、申立人商品が広く使用されていることが確認できる。さらに、平成28年(2016年)には、京都府から「京都中小企業特別技術賞」を受賞している。 そして、申立人商品には、引用商標が使用されており、引用商標は、「ケス」の読みが付されて使用されている。 なお、職権による調査によっては、風合い試験機について、申立人商品以外に「KES」の文字が使用されている事実は発見できない。 そうすると、申立人商品に使用されている引用商標は、本件商標の登録査定時において、申立人の業務に係る風合い試験機を表示し、「ケス」と称呼されるものとして需要者の間に広く認識されており、その周知著名性の程度は高いと判断するのが相当である。 2 商標法第4条第1項第11号該当性について (1)本件商標 本件商標は、上記第1のとおり、「プロファイドケス」の片仮名及び「PROFID KES」の欧文字を2段に書してなるところ、上段の「プロファイドケス」の片仮名は、下段の読みを特定しているものと容易に認識されるものである。 そして、本願商標の構成中下段の「PROFID」及び「KES」の欧文字の間にスペースを有することから、本件商標は、「Profid」及び「プロファイド」並びに「KES」及び「ケス」の文字からなるものと理解されるものである。 また、本件商標の構成中「KES」の欧文字部分は、上記1のとおり、申立人の業務に係る風合い試験機(風合いを測定するための機器)を表示し、「ケス」と称呼されるものとして、取引者、需要者の間に広く認識されているものである。 そうすると、本件商標の構成中「KES」及び「ケス」の文字部分は、その指定商品である「風合い測定機械器具」との関係からして、取引者、需要者に対し、出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものといえる。 以上よりすると、本件商標は、その構成中「KES」及び「ケス」の文字部分を抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することが許されるというべきである。 してみると、本件商標は、その構成中「KES」及び「ケス」の文字部分から「ケス」の称呼を生じ、「申立人の風合い試験機」との観念を生じるものである。 (2)引用商標 引用商標は、上記第2のとおり、「KES」の欧文字を標準文字で表してなるものである。 そして、引用商標は、上記1のとおり、申立人の業務に係る風合い試験機を表示し、「ケス」と称呼されるものとして、取引者、需要者の間に広く認識されているものであるから、「ケス」の称呼を生じ、「申立人の風合い試験機」としての観念を生じるものである。 (3)本件商標と引用商標の類否 本件商標の構成中「KES」及び「ケス」の文字部分と引用商標とを比較すると、両者は、「KES」の構成文字を共通にするものであるから、外観において、相紛らわしいものである。 また、本件商標の構成中「KES」及び「ケス」の文字部分と引用商標とは、いずれも「ケス」の称呼を生じ、「申立人の風合い試験機」としての観念を生じるものであるから、称呼及び観念を共通にするものである。 そうすると、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれのある類似の商標というべきである。 (4)本件商標の指定商品と引用商標の指定商品の類否 本件商標の指定商品は、「風合い測定機械器具」であり、他方、引用商標の指定商品は、「測定機械器具,繊維材料試験機,圧縮試験機,材料試験機,張力試験機」であって、いずれも測定用の機械器具であり、その生産部門、販売部門、用途、需要者の範囲を共通にするものであるから、同一又は類似の商品というべきである。 (5)小括 以上のとおり、本件商標は、引用商標と類似する商標であり、本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品と同一又は類似する商品である。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。 3 商標法第4条第1項第19号該当性について 申立人の提出に係る証拠によっては、本件商標が不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をもって使用をするものであると認めるに足りる事実は見いだせない。 そうすると、上記1のとおり、引用商標が申立人の業務に係る「風合い試験機」を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものであって、上記2(3)のとおり、本件商標と引用商標とが同一又は類似の商標であるとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。 4 まとめ 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第19号には該当しないものの、同項第11号に該当するものであるから、その登録は、同項の規定に違反してされたものである。 したがって、本件商標の登録は、商標法第43条の2第1号に該当するものであるから、同法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。

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2025-900175

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