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商標異議申立

2025-900152

マッスルバーマッチョマッチョ、マッスルバー、マッスル、マッチョマッチョ、マッチョ

審判番号
2025-900152
法域
商標
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
商願2025-032187
登録番号
6933770
請求日
2025年07月11日
審決日
2026年02月12日
公報発行日
2026年03月27日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】大崎 達也
  • 【異議申立人】ジェイ・エンターテイメント 合同会社
  • 【異議申立人代理人】筒井 宣圭
審判長/審判官
  • 審判長 旦 克昌
  • 審判官 小林 裕子
  • 審判官 大島 康浩
分類
T1651.261-Y (W43) / T1651.262-Y (W43) / T1651.263-Y (W43) / T1651.271-Y (W43) / T1651.222-Y (W43)
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第4条第1項第11号、商標法第4条第1項第15号、商標法第4条第1項第19号、商標法第43条の2
データ出所
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登録第6933770号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。

結論

結 論 登録第6933770号商標の商標登録を維持する。

理由

理 由 第1 本件商標 本件登録第6933770号商標(以下「本件商標」という。)は、「マッスルバーマッチョマッチョ」の文字を標準文字で表してなり、令和7年3月26日に登録出願、第43類「飲食物の提供」を指定役務として、同年5月27日に登録査定され、同月30日に設定登録されたものである。 第2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第6725597号商標(以下「引用商標」という。)は、「マッスルバー」の文字を標準文字で表してなり、令和4年9月9日に登録出願、第43類「飲食物の提供,バーにおける飲食物の提供」を指定役務として、同5年8月10日に設定登録されたものであり、現に有効に存続しているものである。 第3 登録異議の申立ての理由 1 申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同項第15号及び同項第19号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第9号証(枝番号を含む。)を提出した。 2 商標法第4条第1項第11号について (1)本件商標 本件商標は、「マッスルバーマッチョマッチョ」を標準文字により書してなるものであり、第43類「飲食物の提供」を指定役務として、令和7年3月26日に商標登録出願(商願2025-32187号)がなされ、同年5月30日に登録第6933770号として、その登録がなされたものである(甲1)。(2)引用商標 引用商標は、申立人が所有する登録商標であり、「マッスルバー」を標準文字により書してなるもので、第43類「飲食物の提供,バーにおける飲食物の提供」を指定役務として、令和4年9月9日にその商標登録出願(商願2022-104885号)がなされ、令和5年8月10日に登録第6725597号として、その登録がなされたものである(甲2)。 引用商標は、店員が筋肉を強調した出で立ちでショーや接客を行うコンセプトバーの名称として、申立人が2016年から現在に至るまで10年近く継続的に使用するものである。 申立人は、2016年7月28日に国内第1号店を東京都港区赤坂に「マッスルバー赤坂」(甲3の1)を開店させ(なお、マッスルバー赤坂は、現在は「マッスルスナック」として営業中。)(甲3の2)、2025年6月時点において、「マッスルバー 横浜」(甲3の3)、「マッスルバー池袋」(甲3の4)、「マッスルバー大阪」(甲3の5)、「マッスルバー福岡」(甲3の6)、「マッスルバー熊本」(甲3の7)、「マッスルバー名古屋」(甲3の8)、「マッスルバー天神」(甲3の9)の全国に7店舗を運営している。 また、申立人は、動画配信サイト「YouTube」においてマッスルバーTVというチャンネル名のもとで自社店舗の情報を発信(甲3の10)、JR博多シティとKBC九州朝日放送が主催するグルメフェスタ(甲3の11)などのイベント出店をはじめ、「マッスルバー」の開店以来、継続的にその知名度の向上を図っている。さらに近年では、マッスルバーの系列店として「筋肉女子 マッスルガールズ」(甲3の12)も運営しており、同店舗については、2025年5月13日付の「Yahoo!ニュース」ウェブサイトにおいて、「マッスルバー」の見出しのもとで紹介されている(甲3の13)。 さらに、数多くの個人ブログ(甲4の1~甲4の4)、あるいはテレビ番組や動画配信サイト(甲4の5~甲4の8)において申立人が運営するマッスルバーが紹介されている。 また、引用商標は特許庁の審査で拒絶理由が通知されたものの(甲5の1)、これに対する申立人の反論により、「マッスルバー」は申立人が運営する飲食店の名称として理解・認識されていることを一つの理由として登録が認められたという経緯がある(甲5の2)。 以上のとおり、引用商標は、需要者及び取引者の間で遅くとも本件商標の登録出願日には、国内において申立人が運営する飲食店の名称として一定の知名度を有するに至っていたというべきであり、その知名度は、現在に至るまで維持されている。 (3)本件商標と引用商標との対比 ア はじめに まず、商標の類否に関する判例の基本的な考え方については、最高裁昭和43年2月27日判決(氷山印事件)に示されるとおり、「商標の類否は、対比される両商標が同一または類似の商品に使用された場合に、商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであるが、それには、そのような商品に使用された商標がその外観、観念、称呼等によって取引者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すべく、しかもその取引の実情を明らかにしうるかぎり、その具体的な取引状況に基づいて判断するのを相当とする。」というものである。 また、複数の構成部分を組み合わせた結合商標については、最高裁昭和38年12月5日判決(リラ宝塚事件)に示されるとおり、「簡易、迅速をたっとぶ取引の実際においては、各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められない商標は、常に必らずしもその構成部分全体の名称によって称呼、観念されず、しばしば、その一部だけによって簡略に称呼、観念され、一個の商標から二個以上の称呼、観念の生ずることがあるのは、経験則の教えるところであり、一つの称呼、観念が他人の商標の称呼、観念と同一又は類似であるといえないとしても、他の称呼、観念が他人の商標のそれと類似するときは、両商標はなお類似するものと解するのが相当である。」とされている。 そして、前掲のリラ宝塚事件の判例で判示されている結合商標の類否判断における分離観察が許容される具体的な類型が示された裁判例としては、例えば知財高裁令和5年11月30日判決(VENTURE事件)において、「その部分が取引者、需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合や、それ以外の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認められる場合、商標の外観等に照らし、商標全体としての構成上の一体性が希薄で、取引者、需要者がこれを分離して理解・把握し、その一部を略称等として認識する結果、当該構成部分が独立した出所識別標識としての機能を果たすと考えられる場合」と判示されている。 以上のことを前提として、本件商標と引用商標との類否について、以下検討する。 イ 本件商標と引用商標との類否判断 (ア)引用商標の周知性が認められる場合 本件商標の構成中「マッスルバー」の文字部分は、前記のとおり、我が国において申立人が運営する飲食店の名称として、取引者、需要者において広く認識された商標である。 一方、「マッチョマッチョ」の文字部分は、フリー百科事典「ウィキペディア」にも載録されているように「強靱さ、逞しさ、勇敢さ、好戦性、父性性、社会性といった性質を基礎とした思想や信条、行動、知性、外見等の男らしさ」(甲6)を示す既成語である「マッチョ」を繰り返し表記したものにすぎず識別力が弱く、また、「マッチョマッチョ」で一つの造語と捉えられる場合でも、前半部分の「マッスルバー」の周知性に鑑みれば、やはり識別力が弱く、本件商標に接した取引者、需要者に対しては「マッスルバー」が役務の識別標識として圧倒的に強く支配的な印象を与えるものであり、前記判例、及び裁判例で判示されている結合商標の類否判断の考え方に照らしてみても、本件商標は、「マッスルバー」の部分を要部抽出した分離観察が妥当である。 したがって、本件商標は、その要部である「マッスルバー」の文字を共通にするとともに、該文字に相応した「マッスルバー」の称呼が生じ、また「申立人が運営する飲食店の名称」ほどの観念が生じることは明らかであるから、両商標は出所混同のおそれのある類似の商標であり、かつその指定役務も同一、又は類似する。 よって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。 (イ)引用商標の周知性が認められない場合 前記(ア)のとおり、引用商標は申立人が運営する飲食店の名称として周知なものであるが、仮に引用商標の周知性が認められない場合であっても、以下のとおり、依然として本件商標と引用商標とは類似する商標である。 まず、本件商標の「マッスルバーマッチョマッチョ」は、外観上は全てカタカナで同書同大に表記されているとはいえ、「マッスルバー」と「マッチョマッチョ」とが格助詞等の連体修飾語で連結されたものでもなく、「マッスルバー」の文字と「マッチョマッチョ」の文字とが組み合わされた商標であることは外観上明らかであり、また称呼上も「マッスルバーマッチョマッチョ」と一連に発音する場合、「マッスルバー」と「マッチョマッチョ」との間には必ず一拍の間合いを設けたうえで2音節風に称呼され、よどみなく一連に称呼することは到底できるものではない。さらに、「マッスルバーマッチョマッチョ」は長音、及び促音を含めて全体として14音と冗長であることも相まって、本件商標の外観や称呼に照らしても、商標全体としての構成上の一体性が極めて希薄であり、明らかに不自然に結合された商標である。 そして、簡易、迅速をたっとぶ取引の実際においては、このように不自然に結合された商標について、取引者、需要者がこれを分離して理解・把握し、その一部を略称等として認識するものであるが、前記したとおり、「マッチョマッチョ」は既成語である「マッチョ」を繰り返し表記したものにすぎず、造語である「マッスルバー」に比してその識別力が希薄であるから、後半部分の「マッチョマッチョ」を捨象して、「マッスルバー」の文字部分をもって取引に資される場合が多分にあるといえる。 また、仮に「マッチョマッチョ」で一つの造語と捉えたうえで、「マッスルバー」と「マッチョマッチョ」との間に識別力としての軽重が無いと判断される場合でも、前記のとおり、本件商標の外観、及び称呼に照らせば、本件商標は「マッスルバー」という造語と「マッチョマッチョ」という造語が組み合わされて構成された商標であることは明らかである。そして、簡易、迅速をたっとぶ取引の実際において本件商標の一部を略称として認識する場合に、一般的には商標の構成として重要な要素である語頭を含む前半部分に着目をして「マッスルバー」を要部として抽出したうえで取引に資するものであり、敢えて後半部分の「マッチョマッチョ」を抽出して取引に資するという合理的な理由も見当たらない。 したがって、本件商標は、その要部である「マッスルバー」の文字を共通にするとともに、該文字に相応した「マッスルバー」の称呼が生じ、少なくとも外観、称呼が共通するため両商標は出所混同のおそれのある類似の商標であり、かつその指定役務も同一、又は類似する。 よって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。 3 商標法第4条第1項第15号について 前記2とおり、本件商標と引用商標とは類似する商標であり、引用商標は、本件商標の出願時において既に周知性を獲得している。そして、本件商標と引用商標との類似性を考慮すると、本件商標の権利者が本件商標を使用した場合には、取引者及び需要者において、本件商標の権利者が提供するサービスが、申立人が提供するサービスであるとの狭義の混同が生じるのみならず、本件商標の権利者が、申立人が運営する飲食店「マッスルバー」と何らかの経済的、又は組織的な関係があるとの広義の混同をも生じることになる。 よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。 4 商標法第4条第1項第19号について 前記2のとおり、本件商標と引用商標とは類似する商標であり、引用商標は、本件商標の出願時において既に周知性を獲得している。また、本件商標の権利者は、過去に「まっちょまっちょ」、「MACHO MACHO」の店名のもとで飲食店を運営していた事実があり(甲7)、これら店名については、それぞれ商標登録第6663222号(甲8の1)、商標登録第6722916号(甲8の2)として商標登録を行っている。 なお、甲第7号証には、本件商標の商標権者の氏名は記載されていないが、甲第7号証に記載の住所(広島県広島市中区所在)と商標登録第6663222号、及び商標登録第6722916号の登録公報に記載の権利者の住所は一致するため、甲第7号証で示すSNSのアカウント情報は本件商標の商標権者のものであることは明らかである。 以上の事実にも関わらず、本件商標の権利者が、本件商標について商標登録出願したのは、引用商標に化体した高い信用・名声・顧客吸引力にフリーライドする目的で出願したことは容易に推測できる。 このことは、本件商標の商標権者が、役務「飲食物の提供」について、「マッスルバーマッチョマッチョ」ではなく、「マッスルバー」と「マッチョマッチョ」との間に1文字分のスペースを設けた「マッスルバー マッチョマッチョ」として、「マッスルバー」をより強調した形態で使用している事実からも明らかである(甲9)。 以上より、本件商標は周知な商標である引用商標と類似する商標であって、かつその出願は引用商標に化体した高い信用・名声・顧客吸引力にフリーライドするという不正の目的のもと行われたものである。 よって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。 5 まとめ 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同項第15号及び同項第19号に該当するものであり、その登録は、同法第43の2第1号の規定により取り消されるべきものである。 第4 当審の判断 1 引用商標の周知性について (1)申立人の主張及び提出された証拠によれば、以下のとおりである。 ア 申立人は、2016年7月28日に国内第1号店「マッスルバー赤坂」(甲3の1)を開店させ(現在は「マッスルスナック」として営業中。)、その後、2025年6月時点において、「マッスルバー横浜」(甲3の3)、「マッスルバー池袋」(甲3の4)、「マッスルバー大阪」(甲3の5)、「マッスルバー福岡」(甲3の6)、「マッスルバー熊本」(甲3の7)、「マッスルバー名古屋」(甲3の8)及び「マッスルバー天神」(甲3の9)と全国に7店舗を運営している。 イ 申立人は、動画配信サイト「YouTube」において「マッスルバーTV」というチャンネル名のもとで自社店舗の情報を発信しているとされる(甲3の10)。また、Amebaの「マッスルバー福岡【公式】」というブログ(2019年2月28日付け)において、「ドォーモ春待ちグルメフェスタ2019に参戦決定」の見出しのもと、「3/1(金)~3(日)の11:00~21:00にJR博多駅前広場にてマッスルバーがしちゃいマッスル!!」の記載がある(甲3の11)。 さらに、「YAHOO!JAPANニュース」(2025年5月13日(火)配信)に、「「お待たせしマッスル!」外国人観光客9割超の人気マッスルバー「筋肉女子」キャンセル防止に効果絶大のオンライン予約システム「ジャパンチケット」とは」の見出しのもと、「東京・池袋のマッスルバー「筋肉女子」など、ユニークな体験型店舗が人気を集めている。」の記載がある(甲3の13)。 ウ 申立人が運営するマッスルバーについて、個人ブログにおいて、ブロガーが申立人の店舗に行ったこと等が記載され(甲4の1~甲4の4)、また、テレビ番組及び動画配信サイト(甲4の5~甲4の8)で紹介されている。 (2)上記(1)の事実によれば、申立人が運営する「マッスルバー」は、2016年7月に「マッスルバー赤坂」(現在は「マッスルスナック」へ名称変更。)を開店させ、その後、全国に7店舗を展開している事実(甲3の3~9)はうかがえるとしても、申立人店舗の売上高、広告宣伝費(宣伝規模、宣伝回数)等が証明されておらず、また、同様の業態において、申立人の事業がどれくらいのシェアを占めているかなども不明である。 また、申立人は、「YouTube」において「マッスルバーTV」というチャンネル名のもとで自社店舗の情報を発信している旨主張しているが(甲3の10)、その登録者数は約6,700名であり、その数も決して多いとはいえない。そして、「YAHOO!JAPANニュース」(2025年5月13日(火)配信)(甲3の13)に、申立人の運営する「マッスルバー「筋肉女子」」が人気を集めているといったネット記事があることがうかがわれるが、それ以外に、ネット記事・新聞記事及び雑誌等に掲載されているといった証拠の提出はない。 さらに、申立人が運営する「マッスルバー」について、個人ブログ(甲4の1~甲4の4)及びテレビ番組等(甲4の5~甲4の8)で紹介されているものの、個人のブログについては、ブロガーが申立人の「マッスルバー」に行った事実はうかがえるとしても、単発的であり、それがどの程度宣伝効果に影響したかなどは不明であり、テレビ番組も複数の店舗を紹介する中の1つとして、申立人の店舗が紹介されたのみであるから、それがどの程度の宣伝効果に影響したかなど不明である。 以上のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用商標が使用された申立人の業務に係る役務についての我が国及び外国における市場占有率(販売シェア等)、売上高及び宣伝広告の詳細など、使用の事実を量的に把握することができる資料は提出されておらず、客観的な使用事実に基づいて引用商標の使用状況を把握することができない。 そうすると、申立人提出の証拠によっては、引用商標が、申立人の業務に係る役務を表示するものとして、我が国及び外国の需要者の間に広く認識され、本件商標の登録出願時及び登録査定時に周知著名性を獲得していたとは認められない。 2 商標法第4条第1項第11号該当性について (1)本件商標 本件商標は、上記第1のとおり、「マッスルバーマッチョマッチョ」の文字を標準文字で表してなるところ、当該文字は辞書に掲載された語ではなく、特定の意味合いをもって親しまれた語でもないことから、特定の意味を有しない造語として理解される。 また、本件商標を構成する「マッスルバー」と「マッチョマッチョ」の文字部分については、いずれも辞書に掲載された語ではなく、いずれか一方が自他役務の識別標識としての機能を有さないといった実情も見当たらない。 そして、本件商標は、同じ大きさ、同じ書体で、間隔を設けることなく記載されているものであり、本件商標全体から生じる「マッスルバーマッチョマッチョ」の称呼も、やや冗長ではあるものの、よどみなく一連に称呼できるものである。 そうすると、本件商標は、構成全体として一体不可分の造語として認識、把握されるというのが相当であるから、その構成文字に相応して「マッスルバーマッチョマッチョ」の称呼を生じ、特定の観念を生じない。 なお、申立人は、本件商標の構成中の「マッチョマッチョ」は、既成語である「マッチョ」を繰り返し表記したものであって、造語である「マッスルバー」に比してその識別力が希薄であるから、本件商標は、当該部分を捨象し、「マッスルバー」の文字部分をもって取引に資される旨、また、仮に「マッスルバー」と「マッチョマッチョ」との間に識別力としての軽重が無いと判断される場合でも、一般的には商標の構成として重要な要素である語頭を含む前半部分に着目し、「マッスルバー」を要部として抽出したうえで取引に資されるから、本件商標は、その要部である「マッスルバー」の文字を引用商標と共通にする類似の商標である旨主張する。 しかしながら、上記1のとおり、「マッスルバー」の文字については、周知性は認められず、また、上記のとおり「マッチョマッチョ」の文字が、自他役務の識別標識としての機能を有さないといった実情も見当たらないことからすると、本件商標と引用商標は、それぞれ構成全体をもって、一種の造語として理解されるものであり、本件商標は、構成全体として一体不可分のものとして認識、把握されるというのが相当であって、構成中の「マッスルバー」の文字部分が需要者に対し強く支配的な印象を与えるとはいえないから、申立人の主張を採用することはできない。 (2)引用商標 引用商標は、上記第2のとおり、「マッスルバー」の文字を標準文字で表してなるところ、当該文字は辞書に掲載された語ではなく、特定の意味合いをもって親しまれた語でもないことから、特定の意味を有しない造語として理解される。 そして、当該文字より「マッスルバー」の称呼を生ずるというのが相当である。 そうすると、引用商標は、その構成文字に相応して「マッスルバー」の称呼を生じ、特定の観念を生じない。 (3)本件商標と引用商標との類否について 本件商標と引用商標を比較すると、両商標は、上記(1)及び(2)のとおりの構成からなるところ、外観においては、両商標の構成中、本件商標の前半部「マッスルバー」の文字部分と引用商標が共通するとしても、本件商標の後半部の「マッチョマッチョ」の文字部分が、自他役務の識別標識としての機能を有さないといった実情も見当たらないことからすると「マッスルバー」と「マッチョマッチョ」の文字部分に軽重の差はなく、同書同大かつ一連一体に把握されることから、両者の全体の構成態様は、視覚上、異なる印象を与えるものであり、外観上、相紛れるおそれはない。 次に、称呼においては、本件商標は「マッスルバーマッチョマッチョ」の称呼を生ずるのに対し、引用商標は、「マッスルバー」の称呼を生ずるところ、両者は構成する音数など、それぞれ一連に称呼しても語調語感が相違するから、相紛れるおそれはない。 そして、観念においては、本件商標と引用商標は、特定の観念は生じないから、観念において比較することはできない。 そうすると、本件商標と引用商標とは、観念において比較することはできないとしても、外観及び称呼において相紛れるおそれはなく、これらを総合的に勘案すると、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標といえる。 (4)小括 以上のとおり、本件商標と引用商標とは、非類似の商標であるから、本件商標の指定役務が、引用商標の指定役務と同一又は類似であるとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 3 商標法第4条第1項第15号該当性について 申立人は、本件商標と引用商標とは類似する商標であり、引用商標は、本件商標の出願時において既に周知性を獲得していること、また、本件商標と引用商標との類似性を考慮すると、本件商標権者が本件商標を使用した場合には、取引者及び需要者において、狭義の混同が生じるのみならず、本件商標権者が、申立人が運営する飲食店「マッスルバー」と何らかの経済的又は組織的な関係があるとの広義の混同をも生じることから、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する旨主張する。 しかしながら、上記2(3)のとおり、本件商標と引用商標は、相紛れるおそれのない非類似の商標であるから、類似性の程度は低い。 また、本件商標が、その構成中に「マッスルバー」の文字を有するとしても、引用商標は、上記1のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る役務を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていたとはいえないものである。 そうすると、本件商標は、商標権者がこれをその指定役務について使用しても、取引者、需要者をして引用商標を連想又は想起させることはなく、その役務が他人(申立人)又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その役務の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。 その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 4 商標法第4条第1項第19号該当性について 申立人は、本件商標と引用商標とは類似する商標であり、引用商標は、本件商標の出願時において既に周知性を獲得している旨、本件商標権者が、過去に「まっちょまっちょ」、「MACHO MACHO」の店名のもとで飲食店を運営し(甲7)、これら店名について商標登録を行っている(甲8の1及び2)旨、及び、それらの事実にもかかわらず、本件商標権者が、本件商標について商標登録出願したのは、引用商標に化体した高い信用・名声・顧客吸引力にフリーライドする目的で出願したことは容易に推測でき、不正の目的のもと商標登録出願したのであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する旨主張する。 しかしながら、上記2(3)のとおり、本件商標と引用商標は非類似の商標である。 また、上記1のとおり、引用商標は、申立人の業務に係る役務を表示するものとして、我が国及び外国における需要者の間に広く認識されているとは認められないものであって、かつ、本件商標が、不正の利益を得る目的、他人に損害を与える目的その他不正の目的をもって使用するものと認めるに足りる具体的証拠も見いだせないから、申立人の主張を採用することはできない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。 5 むすび 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同項第15号及び同項第19号のいずれにも該当するものではなく、その登録は、同項に違反してされたものとはいえない。 他に本件商標の登録が商標法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。

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2025-900152

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