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商標異議申立

2025-900144

リファット、レファット

審判番号
2025-900144
法域
商標
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
商願2024-085416
登録番号
6922267
請求日
2025年07月01日
審決日
2025年11月13日
公報発行日
2026年08月28日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】佛山市▲ふん▼▲な▼商▲貿▼有限公司
  • 【異議申立人】株式会社 MTG
  • 【異議申立人代理人】中村 知公
  • 【異議申立人代理人】前田 大輔
  • 【異議申立人代理人】伊藤 孝太郎
  • 【異議申立人代理人】本田 彩香
審判長/審判官
  • 審判長 大橋 良成
  • 審判官 馬場 秀敏
  • 審判官 小田 昌子
分類
T1651.25 -Y (W21) / T1651.261-Y (W21) / T1651.262-Y (W21) / T1651.263-Y (W21) / T1651.271-Y (W21) / T1651.222-Y (W21)
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第4条第1項第19号、商標法第4条第1項第11号、商標法第4条第1項第10号、商標法第4条第1項第15号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

登録第6922267号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。

結論

結 論 登録第6922267号商標の商標登録を維持する。

理由

理 由 第1 本件商標 本件登録第6922267号商標(以下「本件商標」という。)は、「Refatt」の欧文字を横書きしてなり、令和6年8月6日に登録出願、第21類「くし,髪用の目の粗いくし,くし用容器,電気式くし,逆毛を立てるためのくし,ヘアブラシ,せっけん箱,ティーセット,磁器製装飾品,台所用具及び清掃用具」を指定商品として、同7年4月1日に登録査定され、同月23日に設定登録されたものである。 第2 引用商標 1 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議申立ての理由において引用する商標は、以下の(1)ないし(12)及び2のとおりであり、(1)ないし(12)の商標権は、いずれも現に有効に存続しているものである。 (1)登録第5231142号商標(以下「引用商標1」という。) 商標の構成:別掲1のとおり 登録出願日:平成20年10月22日 設定登録日:平成21年5月15日 指定商品:第21類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品 (2)登録第5377827号商標(以下「引用商標2」という。) 商標の構成:別掲2のとおり 登録出願日:平成22年8月24日 設定登録日:平成22年12月17日 指定商品:第21類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品 (3)登録第5560503号商標(以下「引用商標3」という。) 商標の構成:別掲2のとおり 登録出願日:平成24年9月12日 設定登録日:平成25年2月22日 指定商品・役務:第3類、第35類及び第44類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務 (4)登録第5576272号商標(以下「引用商標4」という。) 商標の構成:別掲2のとおり 登録出願日:平成24年9月12日 設定登録日:平成25年4月19日 指定商品・役務:第11類及び第35類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務 (5)登録第6229733号商標(以下「引用商標5」という。) 商標の構成:別掲2のとおり 登録出願日:平成31年3月25日 設定登録日:令和2年2月26日 指定商品・役務:第5類、第8類ないし第11類、第30類及び第44類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務 (6)登録第6284536号-1商標(以下「引用商標6」という。) 商標の構成:別掲3のとおり 登録出願日:令和元年9月27日 設定登録日:令和2年8月26日 指定商品・役務:第3類、第5類、第8類ないし第11類、第14類、第20類、第21類、第24類、第28類、第30類、第32類、第35類及び第44類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務 (7)登録第6284536号-2商標(以下「引用商標7」という。) 商標の構成:別掲3のとおり 登録出願日:令和元年9月27日 設定登録日:令和2年8月26日 指定商品:第8類、第10類、第11類及び第21類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品 (8)登録第6312473号商標(以下「引用商標8」という。) 商標の構成:別掲3のとおり 登録出願日:令和元年9月27日 設定登録日:令和2年11月5日 指定役務:第35類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務 (9)登録第6312656号商標(以下「引用商標9」という。) 商標の構成:別掲3のとおり 登録出願日:令和元年12月25日 設定登録日:令和2年11月5日 指定商品:第18類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品 (10)登録第6717667号商標(以下「引用商標10」という。) 商標の構成:別掲3のとおり 登録出願日:令和5年1月19日 設定登録日:令和5年7月14日 指定商品:第21類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品 (11)登録第6871879号商標(以下「引用商標11」という。) 商標の構成:別掲4のとおり(立体商標) 登録出願日:令和5年11月29日 設定登録日:令和6年12月4日 指定商品:第21類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品 (12)登録第6893707号商標(以下「引用商標12」という。) 商標の構成:ReFa(標準文字) 登録出願日:令和6年5月28日 設定登録日:令和7年2月6日 指定商品:第25類、第27類及び第28類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品 以下、引用商標1ないし引用商標12をまとめていう場合は、「引用商標」という。 2 上記1の引用商標中、引用商標1、引用商標2、引用商標6、引用商標7、引用商標10及び引用商標11並びに申立書中の「使用登録商標」及び「Refa商標」は、申立人が、申立人の業務に係る「くし」及び「ヘアブラシ」(以下「申立人商品」という。)を表示するものとして、需要者・取引者の間で周知であると主張する「Refa(Refa)」の欧文字よりなるもの、又はその構成中に「Refa」の欧文字を含む商標(以下、これらをまとめていう場合は、「申立人商標」という。)である。 第3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第10号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申し立て、その理由を申立書及び令和7年9月8日付けの上申書(以下「上申書」という。)において、要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第8号証(枝番号を含む。なお、甲第3号証及び甲第4号証は欠番となっている。)及び資料1ないし資料4(枝番号を含む。)を提出した。 以下、証拠の表記に当たっては、「甲第○号証」を「甲○」のように省略して記載し、枝番号の全てを表記するときは、枝番号を省略する。 1 申立書における主張 (1)商標法第4条第1項第11号について ア 引用商標の使用実態を考慮しない本条該当性の検討 (ア)標章の外観について 本件商標の冒頭四文字は、引用商標1のローマ字表示と共通であり、文字のフォントデザインも共通する。 したがって、本件商標は、引用商標1と標章の識別において重要な位置を示す冒頭四文字が明らかに共通することから、本件商標は引用商標1の申立人の所有商標に外観が類似する。 すなわち、本件商標は、「tt」の存在が引用商標との差異点であるが、かかる差異点は本件商標の「後半部分」に位置する相違であるから、このかかる相違点が標章の類否判断に影響を与えることはない。 また、本件商標と申立人が所有する引用商標中、別掲2及び別掲3の商標との関係においても、本件商標の前半部分を構成する文字と、引用商標のうち、別掲2及び別掲3の商標は標章を構成するローマ字「R」「e」「F」「a」は本件商標の「R」「e」「f」「a」と共通する。 よって、本件商標は引用商標とその外観構成が共通する。 (イ)標章の称呼について 本件商標はその構成態様から、「リファット」の称呼が生じるが、通常の英語における発音においては、「リファット」を一気呵成に平坦なアクセントにより呼称するのではなく、「リ」、「ファ」及び「ット」の三音節に分けて発音することが一般的である。 そして、第一音節の「リ」、第二音節の「ファ」の部分にアクセント(発音の強調)が置かれるため、需要者・取引者は本件商標から「リファット」と明瞭に平坦なアクセントをもって発音するのではなく、第一音節及び第二音節「リ」と「ファ」の部分を明瞭に発音し、第三音節の「ット」は音を弱め、第一音節及び第二音節と比較して、「弱い音」若しくは「聞き取りにくい音」として発音される。 一方、引用商標はその外観から、「リファ」として第一音節及び第二音節ともに同一の発声の強度で「リファ」と一気呵成に呼称される標章である。 また、本件商標の語尾であるローマ字表記「tt」の部分は、本件商標の呼称方法によっては、「tt」と発生することなく「サイレント(無音)」な表示として扱うことが自然な場合がある。 例えば、本件商標をフランス語の語法により発音した場合は、語尾の「tt」は発音されず本件商標の称呼は「リファ」と呼称される。特に、本件商標の指定商品・役務は第21類「くし,髪用の目の粗いくし,くし用容器,電気式くし,逆毛を立てるためのくし,ヘアブラシ」であり美容に関連する商標であるため、これらの商品に接した需要者・取引者は本件商標をフランス語式に発音することは十分に想定でき、その結果、本件商標を「リファット」ではなく「リファ」と発音することが予測できる。 また、本件商標と引用商標の称呼の類否判断に関する検討要素として、相違する音がともに弱音の有無にすぎないかを考慮すべきことが重要であることは、商標審査基準においても明記されている。 例えば、相違する一音が共に弱音である場合、若しくは、弱音の有無にすぎない場合は、かかる相違を標章の称呼評価において重視すべきことが、例示と共に示されている。 本件商標と引用商標の称呼に関する分析の結果、本件商標からは「リファット」及び「リファ」の自然称呼が生じる。一方、引用商標からは「リファ」の自然称呼が生じる。 その結果、本件商標に接した需要者・取引者が、本件商標から「リファ」の称呼を自然称呼として呼称する場合は、本件商標の当該自然称呼は引用商標の自然称呼「リファ」と一致する。その結果、本件商標と引用商標の称呼は類似し、さらに、本件商標の指定商品・役務である「くし,髪用の目の粗いくし,くし用容器,電気式くし,逆毛を立てるためのくし,ヘアブラシ」(類似群:21F01)、並びに「せっけん箱」(類似群:21F01)は、引用商標の指定商品・役務と同一若しくは類似であるから、本件商標は引用商標に類似する商標であることは明らかである。 イ 引用商標の使用実態を考慮する本条該当性の検討 (ア)申立人は、本件商標の指定商品・役務のうち、商標登録を所有するのみではなく、実際に申立人商標を使用している。 本件商標の指定商品・役務:「くし,髪用の目の粗いくし,くし用容器,電気式くし,逆毛を立てるためのくし,ヘアブラシ,せっけん箱,ティーセット,磁器製装飾品,台所用具及び清掃用具」 本件商標の指定商品・役務のうち、申立人商標を実際に使用している商品:「くし,ヘアブラシ」 (イ)本件商標が、需要者の間に広く認識された商標を構成中に含む場合の考え方 本件商標が、需要者の間に広く認識された商標を構成中に含む場合は、本件商標の指定商品又は指定役務について、需要者の間に広く認識された他人の登録商標と他の文字又は図形等と結合した商標は、その外観構成がまとまりよく一体に表されているもの又は観念上の繋がりがあるものを含め、原則として、その他人の登録商標と類似するものとすることが妥当である(商標審査基準4-1-11、P11)。 以下、本件商標にかかる説示を当てはめ、本件商標が引用商標と類似する商標に該当するか検討する。 (ウ)本件商標が含む一部の商標、すなわち、申立人商標が、本件商標の需要者の間に広く認識された商標であるか 本件商標は、需要者の間に広く認識された申立人商標若しくは申立人商標に類似する商標を含むところ、需要者は本件商標を申立人商標であると認識するため、本件商標は申立人商標に類似する商標として理解することは明らかである。 申立人は、申立人商標を申立人商品に使用している(甲5-1)。また、申立人は申立人商標について2021年4月15日から使用を開始し(甲5-2)、現在に至るまで、申立人商標の使用を継続している。 また、申立人商標を使用した申立人商品はその品質・デザイン及び価格において需要者間の好評を博し、現在に至るまで、後掲の売上額及び販売個数等の情報が示すとおり、商業的成功をおさめている。 株式会社富士経済が発行した「美容&健康家電市場・関連サービストレンドデータ2023-2024」(以下「富士経済」という。甲7)によれば、申立人が製造販売する「ヘアブラシ」の「市場動向」に関する調査において、次のような調査結果に関する所感を表明している。 2022年は「タングルティーザー」(プリアップ)が伸び悩んだものの、その他のセルフブランドにおいてマッサージ機能を付加した製品を中心とした高単価製品が好調に推移したほか、MTGが3段構造の設計でハート型の「ReFa HEART BRUSH」を発売し、機能/デザイン両面で話題となり、パーソナルギフト需要を掘り起こし好調に推移したことや、それによる単価アップも進んだことから市場は大幅に拡大した(甲7、富士経済、P93)。 2023年はシャンティやプリアップなどの主力メーカーにおける高単価製品が好調に推移していることで実績増が見込まれるほか、2021年の参入以来実績を急速に伸ばしている「ReFa」(MTG)が新製品の追加により引き続き高伸長となる見通しであり、それによる単価のさらなるアップが見込まれることから、市場は前年に引き続き大幅な拡大が見込まれる。 このように、申立人商標を使用した申立人の商品、すなわち、ハート型の「ReFa HEART BRUSH」が機能・デザイン両面で話題となり、パーソナルギフト需要の掘り起こしと商品の単価アップに寄与したことが報告されている。 そして、申立人が申立人商標を表示した「ヘアブラシ:ReFa」は、2021年の参入以来実績を急速に伸ばしていること、また、申立人が申立人商標を付した新商品を追加投入することにより、市場自体が高伸長となる見込みが記されている。 次に、申立人商標における指定商品・役務である「ヘアブラシ」に関するメーカー別シェアの統計情報からも、申立人商標を表示した指定商品「ヘアブラシ」の商業的成功を客観的に確認することができる。 まず、「ヘアブラシ」の分野における「メーカーシェア」は次のとおりである(甲7、富士経済、P93)。 申立人が製造販売する申立人商標を表示する商品(申立人が製造販売する「ヘアブラシ」はすべて申立人商標を表示している)は、2020年度は販売金額20,000,000円(2千万円)、シェア0.4%、2021年度は販売金額80,000,000円(8千万円)、シェア1.5%であったものが、2022年度は「ReFa HEART BRUSH」の市場投入の成果があり、販売金額1,300,000,000円(13億円)、シェア19.7%にまで上昇し、2023年度の見込みでは、販売金額が3,250,000,000円(32億円)、シェア36.9%までに到達する予測であった(甲7、富士経済、P93表)。 2023年度の予測シェアである36.9%は、「ヘアブラシ」の購入者の3.7人に一人は申立人商標を表示した商品を購入することになる、極めて高いシェアである。 そして、申立人商標を表示した商品「ヘアブラシ」について、富士経済は、次のとおり概観を述べている。 MTGは2022年発売の「ReFa HEART BRUSH」がデザイン性と髪が艶やかになる機能性がSNSで話題となったことで、百貨店などを中心に好調な売れ行きとなり、8月には新たに新5色を追加したことも奏功し、メーカー実績は大幅な拡大を遂げた。2023年は「ReFa HEART BRUSH」の定番カラー全色をセットにしたコレクションを発売しギフト需要の獲得が進んでいるほか、10月には猪毛のみを使用した「同BRISTLE」、ワンストロークで髪に艶のあるスタイリングを施せる「同AILE BRUSH」を発売したこともあって、メーカー実績はさらなる拡大が見込まれる(甲7、富士経済、P93)。 このように、申立人が市場に投入した申立人商標を表示した商品は、2022年発売の「ReFa HEART BRUSH」がSNSで大きな話題となったことを契機に、その後も「ReFa HEART BRUSH BRISTLE」及び「ReFa HEART BRUSH AILE BRUSH」を連続して発売したことにより、商業的な成功を収めるに至った。 また、富士経済は「ヘアブラシ」を「機能別」に分類し、申立人商標を表示する「ヘアブラシ」の市場における現状と動向を、次のとおり分析する(甲7、富士経済、P95)。 「ヘアブラシ」の機能:からまりケアブラシ からまりケアブラシは2013年発売の「タングルティーザー」(メーカー:プリアップ)が、2層構造による機能性の高さとハンドルレスでコンパクトな設計により2010年代半ばから急速に実績を伸ばしたことで市場に定着した。 その後はシャンティなどの既存メーカーの参入も増加し、2022年はMTGが発売した「ReFa HEART BRUSH」がハート型のデザインや、3層構造の設計による機能性の高さが話題となり、活況を呈している。 「ヘアブラシ」の機能:その他のスタイリング/ブローブラシ・樹脂素材の製品が主力であり、静電気の除去を訴求した製品や、形状を工夫し、頭皮への負担軽減を訴求した製品が増加している。 2021年にはMTGがシャンプー時に使用し、頭皮の毛穴のブラッシングによる毛穴汚れの除去を訴求した「ReFa ION CARE BRUSH」を発売し、発売開始から順調に需要を獲得したことで同年の市場拡大に寄与している。 近年は天然毛の製品が注目されており、人気製品であった「MUJI」(良品計画)の販売終了などにより他メーカーヘの需要分散が進んだことに加え、静電気が起きにくい点や、髪にツヤを与えるといった点がコロナ禍以降注目を集めている。 このように、申立人商標を表示した「ヘアブラシ」は、「ヘアブラシ市場」の拡大に多大な貢献をしていることは明らかであり、かかる市場の牽引役となっている申立人商標を付した「ヘアブラシ」は商業的成功を納めていることが明白である。 さらに、富士経済はチャネル別動向として、ドラッグストア、バラエティショップ、百貨店、通信販売等販売方法に応じた動向を次のとおり分析した(甲7、富士経済、P96)。 ドラッグストアはシャンティや池本刷子工業、貝印などの上位メーカーの主力販路であり、2022年は来店客数の増加に加え、店頭でのエンド展開強化などの販促強化を進めたことでこれらのメーカーの実績が好調に推移し、チャネル実績は拡大推移となった。 バラエティショップは「タングルティーザー」(プリアップ)のほか、「ReFa」(MTG)などの比較的高価格帯の製品を中心に販売されている。2022年は「タングルティーザー」(プリアップ)が実績を落としたものの、「ReFa HEART BRUSH」(MTG)の配荷が進んだことで単価のアップが進んだことから、チャネル実績は拡大した。 百貨店は2020年まではクッションブラシで認知度の高い「アヴェダ」(ELC ジャパン アヴェダ事業部)が主力であったが、2022年は「ReFa」(MTG)の配荷が進み、「アヴェダ」(ELC ジャパン アヴェダ事業部)も引き続き需要を獲得していることから、チャネル実績は大幅増となった。 通信販売は「ReFa ION CARE BRUSH」(MTG)が、自社通販を主要販路の一つとしていることで、2022年は同ブランド自体の急成長によりチャネル実績は大幅増となった。 その他はAmazon.co.jpなどの通販企業卸売り実績やコスメセレクトショップが主力である。通販企業卸売り実績は販売価格2,000円台以上の高単価製品のリピート需要を獲得しており、低価格製品においてもついで買い需要を獲得し好調に推移している。2022年は「ReFa」(MTG)の直営店実績の上乗せによりチャネル実績は拡大した。 申立人商標を表示した「ヘアブラシ」は、バラエティショップにおいては当該商標を表示した「ヘアブラシ」の配荷が進んだことから、同チャネルにおける「ヘアブラシ」の販売実績の拡大に貢献している。また、百貨店においては、申立人商標を付した商品の配荷が進んだことから、百貨店というチャネルにおける実績も大幅に増加した。 さらに、通信販売のチャネルにおいては、申立人商標を付した「ReFa ION CARE BRUSH」を投入し、かつ、申立人が通信販売を主要販路の一つとしていることから、「ヘアブラシ」のチャネルとしての通信販売は、大幅増となった。 そして、Amazon.co.jpなどの通販企業卸売り実績やコスメセレクトショップにおいて申立人の申立人商標を付した「ヘアブラシ」が、申立人の直営店での実績が功を奏した結果、チャネル実績は拡大していると評価している。 また、「ヘアブラシ」の分野における「注目新製品動向」として、富士経済は申立人が申立人商標を付している次の商品を注目商品として、紹介情報を掲載する(甲7、富士経済、P97)。 まず、からまりケアブラシのデザインによる差別化の注目トレンドについては、申立人の申立人商標を付した「ReFa HEART BRUSH」を注目製品として掲載する。また、天然毛を使用した高付加価値製品の投入として、申立人の申立人商標を付した「ReFa BRISTLE」を注目製品として指摘する。 また、申立人がこれまで販売を行ってきた申立人商標を付した「ヘアブラシ」については、やはり注目すべき商品として紹介記事を掲載している。 ウ これまで詳述のとおり、申立人商標は、少なくとも、本件商標の指定商品「ヘアブラシ」について、需要者の間で広く認識されている商標であることは明らかである。 よって、本件商標が、需要者の間に広く認識された申立人商標を構成中に含むため、本件商標の指定商品又は指定役務について、需要者の間に広く認識された他人の登録商標、すなわち、申立人商標と「他の文字」と結合した商標は、その外観構成がまとまりよく一体に表されているもの、又は、観念上の繋がりがあるものを含め、原則として、申立人商標と類似するものである。 よって、本件商標は、需要者の間に広く認識された申立人商標若しくは申立人商標に類似する商標を含むところ、需要者は本件商標を申立人商標であると認識するため、本件商標は申立人商標に類似する商標として認識することは明らかである。 このように本件商標は、その指定商品・役務「くし」及び「ヘアブラシ」について日本国内で著名な商標である申立人商標を含むから、本件商標は引用商標のうち、申立人商標に類似する商標であり、商標法第4条第1項第11号違反を理由に本件商標は取り消されるべきである。 すなわち、本件商標の指定商品・役務である「くし,髪用の目の粗いくし,くし用容器,電気式くし,逆毛を立てるためのくし,ヘアブラシ」について本件商標を使用した場合、需要者・取引者は引用商標は申立人商品について周知な商標であるため、本件商標から周知な申立人商標を容易に認識し、申立人商標は差し示す出所の商標であると誤認することは、十分に想定できることである。 かかる理由からも、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当する。 (2)商標法第4条第1項第10号について 本件商標は、申立人の業務に係る商品である申立人商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標である引用商標又はこれに類似する商標であって、申立人商品、又は、これらに類似する商品について使用をするものである。 ここで、本件商標が引用商標に類似することは、前掲(1)で詳述したとおりである。また、引用商標が、申立人の業務に係る申立人商品について、需要者の間に広く認識されている商標であることも、上記(1)にて書証とともに詳述したとおりである。 (3)商標法第4条第1項第15号について ア 本件商標は、その指定商品・役務、第21類「くし,髪用の目の粗いくし,くし用容器,電気式くし,逆毛を立てるためのくし,ヘアブラシ」に使用した場合、申立人の業務に係る商品と混同を生じるおそれのあるものである。 申立人は、前述にて客観的事実とともに申立人商品の製造販売事業を実施し、かかる製造販売事業に係る申立人商品について、申立人商標を、2021年4月15日から使用し、その使用は今日に至るまで継続している。 その結果、甲第7号証が示すとおり、申立人商標を付した申立人商品は商業的成功をおさめ、その結果、申立人の業務に係る申立人商品の商標として、需要者・取引者間で周知な商標である厳然たる事実がある。 かかる申立人商標は申立人商品の周知な商標である厳然たる事実が形成されている事情の下、本件商標を「くし」若しくは「ヘアブラシ」に使用した場合は、本件商標は申立人商品の周知な申立人商標を冒頭に含むため、「くし」若しくは「ヘアブラシ」に関して申立人商標を認知している需要者は、本件商標に接した場合、申立人商標を付した申立人商品のシリーズ商品であるとか、ReFaブランドの兄弟ブランドであるとかなど、本件商標を付した「くし」若しくは「ヘアブラシ」を申立人の業務に係る申立人商品であると認識し混同する。 イ 本件商標は、その指定商品・役務「せっけん箱,ティーセット,磁器製装飾品,台所用具及び清掃用具」に使用した場合、申立人の業務に係る商品と混同を生じるおそれのあるものである。 ここで、申立人は、申立人商品を自己の業務に係る商品として製造販売を実施し、その業務に係る商品について申立人商標を実際に使用している。 一方、本件商標の指定商品・役務である「せっけん箱,ティーセット,磁器製装飾品,台所用具及び清掃用具」は申立人商品とは異なる商品であるが、引用商標が申立人商品のみならず、「ヘアケア商品群」(甲8-1)、「シャワー商品群」(甲8-2)、「ムダ毛ケア商品群」(甲8-3)「美容機器商品群」(甲8-4)、「コスメ・インナーケア商品群」(甲8-5)の商品について使用されている事実から、本件商標の指定商品・役務である「せっけん箱」は、申立人の実施業務である「シャワー商品群」に関連する指定商品・役務である。 また、本件商標の指定商品・役務である「ティーセット,磁器製装飾品,台所用具及び清掃用具」は、「ヘアケア商品群」、「シャワー商品群」、「ムダ毛ケア商品群」、「美容機器商品群」、「コスメ・インナーケア商品群」において認知され名声を構築した申立人商標の「ブランドの拡張」の対象領域として、十分に想定できる事業領域である。そのため、本件商標を「せっけん箱,ティーセット,磁器製装飾品,台所用具及び清掃用具」の使用した場合は、申立人の申立人商標を使用する申立人の業務と混同を生じるおそれがある。 また、本件商標を「せっけん箱,ティーセット,磁器製装飾品,台所用具及び清掃用具」に使用した場合は、本件商標の商標権者と申立人との間にいわゆる親子会社や系列会社等の緊密な営業上の関係(狭義の混同)、又は、同一の表示による商品化事業を営むグループに属する関係にある営業主の業務に係る商品等であると誤信されるおそれ、すなわち、いわゆる広義の混同を生ずるおそれがある商標でもある。 また、本件商標をその指定商品・役務である「せっけん箱,ティーセット,磁器製装飾品,台所用具及び清掃用具」に使用した場合は、申立人の業務と混同を生じるおそれのみならず、申立人が所有し使用する申立人商標のアイデンテイティ(「申立人商標」は申立人の「リファ」ブランドとして周知な商品である、という牽連性や結びつき)を稀釈化(ダイリューティング)する結果となる。 なお、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する商標の射程範囲として、同上の「混同」とは、本件商標の商標権者と申立人との間にいわゆる親子会社や系列会社等の緊密な営業上の関係(狭義の混同)、又は、同一の表示による商品化事業を営むグループに属する関係にあると認識されるおそれがあること、また、他人の業務に係る商品に使用する周知な商標の「稀釈化」を招く商標を含むことは、最高裁判所第三小法廷(上告審)、平成12年7月11日判決、平成10年(行ヒ)第85号、「レール・デュタン/L’AIR DU TEMPS」事件が判示するとおりである。 (4)商標法第4条第1項第19号について 本件商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして日本国内における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であって、不正の目的をもって使用をするものである。 申立人が所有する申立人商標は、甲第7号証等が示すとおり、本件商標の指定商品・役務である申立人商品について、周知な商標である。 一方、本件商標の出願人は申立人商標の周知性を知りながら申立人商標に「tt」を付記し、あたかも申立人商標に接近するごとき標章の外観態様を構成し、申立人商標の周知性に基づく顧客吸引力をひょう窃した上、かつ、その名声に只乗りするものである。 また、本件商標の出願時である2024年8月6日当時、並びに、登録時である2025年4月23日当時においては、申立人の申立人商標は申立人商品について周知であるため、2021年4月から使用している申立人商標の周知性に基づく顧客吸引力をひょう窃した上、かつ、その名声に只乗りする行為は、「不正の目的」であることが明らかである。 なお、商標法第4条第1項第19号は「商品・役務間の混同」を適用理由としないため、本件商標のすべての指定商品・役務、すなわち、第21類「くし,髪用の目の粗いくし,くし用容器,電気式くし,逆毛を立てるためのくし,ヘアブラシ,せっけん箱,ティーセット,磁器製装飾品,台所用具及び清掃用具」について適用されるべきである。なお、本条に該当することを示す書証等は、追って上申書により提出予定である。 (5)結語 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同項第10号、同項第15号及び、同項第19号に該当し、本件商標の指定商品・役務のうち、少なくとも「くし,髪用の目の粗いくし,くし用容器,電気式くし,逆毛を立てるためのくし,ヘアブラシ」について登録を取り消されるべきである。 また、本件商標は、指定商品・役務「せっけん箱,ティーセット,磁器製装飾品,台所用具及び清掃用具」については、商標法第4条第1項第15号及び同項第19号に該当する。 2 上申書における主張 (1)課題:本件商標が含む一部の商標、すなわち、申立人商標が、本件商標の需要者の間に広く認識された商標であるか。 ア 申立人は、手続補正書(登録異議申立理由補充書)において前記課題に関する主張を行い、申立人商標が需要者・取引者間において広く認識されていることを具体的な情報とともに縷々検証した。 そこで、申立人は申立人商標を使用する「ヘアブラシ」に関する具体的な販売個数及び販売額等を掲げ、申立人商標が需要者・取引者間において指定商品「ヘアブラシ」について、広く認識されていることを具体的な販売情報とともに検証する。 申立人商標を使用し製造販売する商品は複数の種類が存在するが、特に販売個数及び売上高の大きい、品名「ReFa HEART BRUSH」について検討する。 イ 品名「ReFa HEART BRUSH」 この商品については、標準的な価格で定常的な販売を継続する定番シリーズ(以下「定番シリーズ」という)と、定番シリーズには存在しない背景模様や塗色を特別に施した、定番シリーズより価格を高めに設定した「非定番シリーズ」が存在する。 ウ 定番シリーズの販売個数及び販売額等(資料3 定番シリーズ 売上情報1及び売上情報2) 定番シリーズは2022年3月9日から販売を開始し(異議申立理由補充書)、いずれの商品も申立人商標が商品本体に表示されている。 資料3が対象とする定番シリーズは、2022年3月9日から2025年6月25日までの間、定番シリーズの取引先(納品先)、売上数量、並びに、明細金額は売上金額の総額を示す。 その結果、2022年3月9日から2025年6月25日まで総売上高は、3年4か月で、8,284,350,236円(82億8,435万236円)に及んでいる(資料3 定番シリーズ 売上情報1及び売上情報2参照)。 エ 非定番シリーズの販売個数及び販売額等(資料1-2:非定番シリーズ) 非定番シリーズの最初の販売は品名「ReFa HEART BRUSH Blue Emerald」であり、以降、「ReFa HEART BRUSH(ユニコーン)」、「ReFa HEART BRUSH(ブライダル)」、「ReFa ハート 京都 漆 五重塔」、「ReFaハート 京都 漆 鴨川」、「ReFa ハート 富山 螺鈿」、「ReFa HEART BRUSH COLLECTION」と商品の販売を継続してきた。 併せて、実際に販売されている非定番シリーズの商品写真を示すが、いずれの商品も申立人商標が商品本体に表示されている。 次に、品名毎に販売個数及び売上高等を確認する。 品名「ReFa HEART BRUSH Blue Emerald」(資料1-2:非定番シリーズ Blue Emerald参照) この品名の商品は、2023年4月28日からその販売を開始し、2025年5月29日までの時点まで合計9,875個を売上げ、売上高の総額は22,566,246円(2千2百56万6246円)に及んでいる。 品名「「ReFa HEART BRUSH(ユニコーン)」(資料1-2:非定番シリーズ ユニコーン参照) この品名の商品は、2024年3月1日からその販売を開始し、2025年4月14日までの時点まで合計68,559個を売上げ、売上高の総額は、123,408,330円(1億2340万8330円)に及んでいる。 品名「ReFa HEART BRUSH(ブライダル)」(資料1-2:非定番シリーズ ブライダル参照) この品名の商品は、2023年11月22日からその販売を開始し、2025年6月20日までの時点まで合計107,736個を売上げ、売上高の総額は、156,662,083円(1億5666万2330円)に及んでいる。 品名「ReFa ハート 京都 漆 五重塔」(資料1-2:非定番シリーズ 五重塔参照) この品名の商品は、2023年12月18日からその販売を開始し、2025年4月3日までの時点まで合計17個を売上げ、売上高の総額は、462,000円(46万2000円)に及んでいる。 品名「ReFa ハート 京都 漆 鴨川」(資料1-2:非定番シリーズ 鴨川参照) この品名の商品は、2024年1月9日からその販売を開始し、2025年5月18日までの時点まで合計32個を売上げ、売上高の総額は、1,144,500円(114万4500円)に及んでいる。 品名「ReFa ハート 富山 螺鈿」(資料1-2:非定番シリーズ 富山参照) この品名の商品は、2023年12月30日からその販売を開始し、2025年6月17日までの時点まで合計33個を売上げ、売上高の総額は、1,184,700円(118万4700円)に及んでいる。 品名「ReFa HEART BRUSH COLLECTION」(資料1-2:非定番シリーズ COLLECTION参照) この品名の商品は、2023年8月12日からその販売を開始し、2025年6月24日までの時点まで合計284個を売上げ、売上高の総額は、4,699,688円(469万9688円)に及んでいる。 そして、これら非定番シリーズのすべての商品について、今日までの販売個数及び売上高をまとめると次のとおりである。 合計 186,536個 3億1012万7547円 オ 上記詳述のとおり、申立人商標を付した「ヘアブラシ」は、定番シリーズ及び非定番リーズの合計で、その売上高は2022年3月9日から今日に至るまで、合計8,594,477,783円(85億9447万7783円)に及び、商業的成功を収め、その結果、申立人商標は商品「ヘアブラシ」において、需要者・取引者が広く認識している商標であることは明らかである。 カ よって、申立人商標の「ヘアブラシ」における周知性から、本件商標「ReFatt」をその指定商品である「くし,髪用の目の粗いくし,くし用容器,電気式くし,逆毛を立てるためのくし,ヘアブラシ」に使用した場合は、需要者・取引者が登録商標「ReFatt」を付した商品が、申立人商標と誤認・混同することは明らかである。 (2)申立の根拠条文である商標法第4条第1項第19号について 申立人は、本件商標の商標権者は本件商標を「不正な目的をもって使用するものである」と手続補正書(登録異議申立理由補充書)にて主張した。 かかる「不正な目的をもって使用する」との判断が合理的である理由は、商標権者が中国において他者の著名商標を次のとおり無断で登録している事実から推測することができる。 商標権者は、資料2が示すとおり、第三者が所有する著名な商標を中国にて商標登録している事実がある。これらの商標は大多数の需要者・取引者が認知している第三者商標であり、かかる第三者商標を登録することは「不正な目的をもって使用する」ことに他ならない。 かかる商標権者の行動から商標権者は申立人の商標として周知な申立人商標を、語尾に単に「tt」を付記し申立人商標と紛らわしい商標「ReFatt」を創作し、「不正な目的をもって使用する」と判断するには理由がある。 よって、本願商標は商標法第4条第1項第19号に該当する。 第4 当審の判断 1 申立人商標の周知性について (1)申立人の主張及び同人の提出した証拠によれば、次のとおりである。 ア 申立人商標を使用した申立人商品は2021年4月15日時点で販売されていたことがうかがえる(甲5-2)。 イ 申立人商品は、バラエティショップ、百貨店、通信販売などを通じて販売されている(甲7)。 ウ 「美容&家電市場・関連サービストレンドデータ2023-2024」によれば、「ヘアブラシ」の分野において、申立人商品のシェアが2020年は0.4%、2021年は1.5%、2022年は19.7%、2023年は36.9%となっており、申立人商品が注目商品として紹介されている記載が見受けられる(甲7)。 エ 申立人商標が使用された「ReFa HEART BRUSH」を始めとする、「ReFa HEART BRUSH Blue Emerald」、「ReFa HEART BRUSH(ユニコーン)」、「ReFa HEART BRUSH(ブライダル)」、「ReFa ハート 京都 漆 五重塔」、「ReFaハート 京都 漆 鴨川」、「ReFa ハート 富山 螺鈿」、「ReFa HEART BRUSH COLLECTION」などの申立人商品が販売され、これらの申立人商標が使用された申立人商品の2022年2月25日ないし2025年6月25日の販売実績の合計は、約85億円である(資料1-2、資料3及び資料4)。 (2)上記(1)からすれば、申立人商標を使用した申立人商品は少なくとも2021年4月15日時点で販売されていたこと、申立人商品は、バラエティショップ、百貨店、通信販売などを通じて販売されていること、申立人商品の分野における2020年ないし2023年にかけて申立人商品のシェアが年々上昇していること、2022年ないし2025年にかけて申立人商標が使用された申立人商品が一定程度の販売実績があることがうかがえる。 しかしながら、申立人商標の使用期間は4年程度とさほど長い期間とはいえず、申立人商標が使用された申立人商品が一定程度の販売実績があるとしても、申立人商品の分野においては様々な価格帯の商品が存在するところ、提出されたシェアに係る証拠については、販売個数ではなく販売金額をベースにしたものである上、申立人商標が使用された申立人商品のみのシェアであるか明らかでなく、申立人商標が使用された申立人商品の販売実績についても、該当年における申立人商品の分野のシェアが明らかでないことから、その多寡を判断できず、当該販売実績及びシェアをもって、申立人商標の周知性の程度を判断することはできない。 また、申立人商標に対する需要者の認識を判断するための申立人商品の広告宣伝の方法、期間、規模等や広告宣伝費等についての客観的な証拠もないため、申立人商標の周知性の程度を推し量ることができない。 その他、申立人商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の需要者の間において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして広く認識されていたものと認めるに足りる事実は見いだせない。 そうすると、申立人提出に係る全証拠によっては、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人商標が申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国及び外国の需要者の間に広く認識されていたとは認めることはできない。 2 本件商標と引用商標及び申立人商標の類似性について (1)本件商標について 本件商標は、上記第1のとおり、「Refatt」の欧文字を横書きしてなるところ、当該文字は、一般的な辞書に載録がない語であり、特定の意味を有するものとして認識されている事情も見いだせないから、特定の意味を有しない一種の造語として看取されるものである。 そして、特定の意味を有しない造語にあっては、親しまれたローマ字読み又は英語読み風に称呼するのが一般的であるところ、例えば、「matt」の語を「マット」、「witt」の語を「ウィット」と発音することからすれば、本件商標の構成中の「fatt」の部分は、「ファット」と称呼するのが自然といえる。 してみれば、本件商標は、その構成文字に相応して「リファット」の称呼を生じ、特定の観念は生じない。 (2)引用商標及び申立人商標について 引用商標及び申立人商標は、「Refa(ReFa)」の欧文字よりなるもの、又はその構成中に「ReFa」の欧文字を含むところ、当該文字は、一般的な辞書に載録のない語であり、特定の意味を有するものとして認識されている事情も見いだせないから、特定の観念を生じない一種の造語として看取されるものである。 してみれば、引用商標及び申立人商標は、その構成文字に相応して「リファ」の称呼を生じ、特定の観念は生じない。 (3)本件商標と引用商標及び申立人商標の類否について 本件商標と引用商標及び申立人商標を比較するに、両商標は、それぞれ上記(1)及び(2)のとおりであるところ、外観においては、語頭の「Refa(ReFa)」の文字部分が共通するとしても、6文字又は4文字と短い構成文字における語尾の「tt」の欧文字の有無の差異により明確に区別できるものである。 また、称呼においては、語頭の「リファ」の音を共通にするとしても、4音又は2音と短い音構成における語尾の「ット」の音の差異により明瞭に聴別できるものである。 さらに、観念については、いずれも特定の観念は生じないものであるから観念において比較できないものである。 したがって、本件商標と引用商標及び申立人商標とは、観念において比較できないとしても、外観及び称呼において相紛れない非類似の商標である。 3 商標法第4条第1項第10号該当性について 上記1のとおり、申立人商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていたとは認めることはできないものであり、上記2のとおり、本件商標と申立人商標は非類似の商標である。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。 4 商標法第4条第1項第11号該当性について 上記2のとおり、本件商標と引用商標は、観念において比較できないとしても、外観及び称呼において相紛れるおそれのないものであるから、両者の外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。 その他、本件商標と引用商標が類似するというべき事情は見いだせない。 以上のとおり、本件商標と引用商標は非類似の商標であるから、両商標の指定商品が同一又は類似する商品であるとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 5 商標法第4条第1項第15号該当性について (1)申立人商標の周知性について 上記1のとおり、申立人商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていたとは認めることはできないものである。 (2)本件商標と申立人商標の類似性の程度について 上記2のとおり、本件商標と申立人商標は非類似の商標であるから、本件商標と申立人商標の類似性の程度は低いといえる。 (3)出所の混同のおそれについて 上記(1)及び(2)のとおり、申立人商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていたとは認めることはできないものであり、本件商標と申立人商標の類似性の程度は低いものである。 そうすると、本件商標の指定商品と申立人商品の関連性の程度や需要者の共通性などを考慮しても、本件商標権者が本件商標をその指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者が、申立人商標を連想又は想起させることはなく、その商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係のある者の業務に係るものであるかのように、商品の出所について混同を生じさせるおそれはないものである。 その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 6 商標法第4条第1項第19号該当性について 商標法第4条第1項第19号は、「他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であつて、不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をいう。以下同じ。)をもつて使用をするもの(前各号に掲げるものを除く。)」と規定されているところ、上記1のとおり、申立人商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国及び外国の需要者の間に広く認識されていたとは認めることはできないものである。 そうすると、申立人商標が需要者の間に広く認識されていることを前提に、本件商標は、不正の目的をもって使用をするものであるとする申立人の主張は、その前提を欠くものである。 なお、申立人は、商標権者が中国において他者の著名商標を無断で登録しており、かかる第三者商標を登録することは、「不正な目的をもって使用する」ことに他ならない旨主張するが、当該事実を踏まえても、本件商標権者が申立人の事業の遂行を妨害や阻止しようとしているとか、本件商標の登録出願がひょう窃に当たることなどを裏付ける具体的な証拠を挙げているとはいえず、これをもって、直ちに不正の目的をもって使用するものとはいえない。 また、申立人が提出した甲各号証からは、本件商標権者が不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をもって使用をするものと認めるに足りる具体的事実を見いだすことはできない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。 7 むすび 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号のいずれにも該当するものとはいえず、他にその登録が同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、その登録は、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。 よって、結論のとおり決定する。

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2025-900144

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