商標異議申立
2025-900128
シロフ
- 審判番号
- 2025-900128
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 商願2024-107885
- 登録番号
- 6920611
- 請求日
- 2025年06月16日
- 審決日
- 2025年10月23日
- 公報発行日
- 2025年11月28日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】Floren株式会社
- 【権利者代理人】大森 孝参
- 【異議申立人】株式会社 シロ
- 【異議申立人代理人】奥谷 雅子
- 審判長/審判官
- 審判長 大島 勉
- 審判官 小林 裕子
- 審判官 浜岸 愛
- 分類
- T1651.22 -Y (W44) / T1651.261-Y (W44) / T1651.262-Y (W44) / T1651.263-Y (W44)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項7号商標法4条1項11号商標法43条の2商標法43条の3第4項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第7号、商標法第4条第1項第11号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
登録第6920611号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。
結論
結 論
登録第6920611号商標の商標登録を維持する。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第6920611号商標(以下「本件商標」という。)は、「shirof」の文字を標準文字で表してなり、令和6年10月8日に登録出願、第44類「美容,理容」を指定役務として、令和7年3月21日に登録査定、同年4月17日に設定登録されたものである。
第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議申立ての理由において、引用する登録第6467129号商標(以下「引用商標」という。)は,「SHIRO」の欧文字を書してなり、令和3年8月5日に登録出願、第44類「美容,理容,エステティックサロンにおける美容,美容に関する相談・助言・指導,あん摩・マッサージ及び指圧,美容施設の提供,健康管理に関する助言・指導及び情報の提供,栄養の指導」を指定役務として、同年11月5日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第7号及び同項第11号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第7号証(証拠の表記に当たっては、「甲第1号証」を「甲1」のように記載する。)を提出した。
1 商標法第4条第1項第11号について
本件商標「shirof」の文字は、アルファベット小文字6文字で構成されているところ、引用商標と先頭から5文字までを同一にする。それゆえ、本件商標における末尾の小文字「f」は全体として外観に大きく影響を及ぼすものではない。
また、両商標の違いである末尾の「f」は、引用商標との比較において、末尾に弱音を付すにとどまり、全体の発音に大きく影響を与えるものではない。また、商標の外観において大文字と小文字の差があったとしても同じ発音を生じる限り両商標は類似であると判断される(甲4及び甲5)。
しかして、外観及び称呼の類否判断からも明らかなように、本件商標と引用商標において「シロ」(shiro/SHIRO)を共通にすることが明確であり、両商標は「白」を連想させる点において共通するものである。
以上のとおり、本件商標と引用商標の外観、称呼及び観念のそれぞれの判断要素を総合的に考察すれば、本件商標は引用商標と類似するものである。
また、引用商標において、本件商標と同一の指定役務が含まれることは明らかである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号の規定に違反して登録されたものである。
2 商標法第4条第1項第7号について
(1)本件商標の出願経緯について
上述のとおり、本件商標の出願日は令和6年10月8日である。この日付に先立つ令和6年9月6日に申立人は、本件商標の出願人(以下「商標権者」という。)が、「shiro」の表記を自らが経営する美容院に使用している事実を確認し、これを申立人の商標権を侵害するものであると通知している(甲6)。
そして、本件商標の出願日である令和6年10月8日付の商標権者からの回答によれば、商標権者は、申立人の要求を了承し、店舗名の変更を行う旨を明言している(甲7)。なお、この時点では、商標権者は、上記のとおり極めて類似性の高い商標登録出願を行っておきながら、新しい店舗名については言及していない。
申立人は引用商標及びその他引用商標に類似する商標の使用の停止等を要求しており(甲6)、これに対して商標権者は特段の反論及び新たに使用する予定の商標についての説明を行うことなく、引用商標とほぼ同一である従前の店舗名とアルファベットにして一文字しか異ならない本件商標を出願している。
(2)出願行為の不誠実性と社会的相当性の欠如について
本件商標は、申立人から明確に使用中止の通知を受けた後、その要求を表向きには受け入れると回答しながらも、実質的にはその商標と極めて類似する内容にて出願されたものである。
このような出願行為は、商標制度が予定する公正な取引秩序の維持という根本理念を著しく損なうものであり、社会通念上到底容認されるべきものではない。とりわけ、申立人からの明示的な警告を受け、かつその要求を受諾したと自ら述べた当事者が、その直後に本件のような紛らわしい出願をする行為は、誠実さを欠き、権利取得の正当性に重大な疑義を生じさせるものである。
したがって、本件商標は、まさに他人の商標を不正に冒用しようとする意図に基づき出願されたものであり、その出願経緯において社会的相当性を欠くことが明白である。ゆえに、本件商標は商標法第4条第1項第7号に該当し、登録を容認すべきではない。
第4 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標について
本件商標は、上記第1のとおり「shirof」の文字を標準文字で表してなるところ、当該文字は、既成の語として辞書等に載録されておらず、一般に親しまれた語ではないから、本件商標は、全体として特定の観念を有しない一種の造語と理解されるものである。
そして、特定の意味を有しない欧文字については、一般に、我が国において親しまれているローマ字読み又は英語の読みに倣って称呼されるところ、当該文字は、「shelf」や「self」等、語尾が「f」の英語の読みに倣って「シロフ」と称呼されるというのが自然である。
したがって、本件商標からは、「シロフ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
(2)引用商標について
引用商標は、上記第2のとおり、「SHIRO」の欧文字を書してなるところ、当該文字は、既成の語として辞書等に載録されておらず、一般に親しまれた語ではないから、引用商標は、全体として特定の観念を有しない一種の造語と理解されるものである。
そして、特定の意味を有しない欧文字については、一般に、我が国において親しまれているローマ字読み又は英語の読みに倣って称呼されるところ、当該文字はローマ字読みに倣って「シロ」と称呼されるというのが自然である。
したがって、引用商標からは、「シロ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
(3)本件商標と引用商標の類否について
本件商標と引用商標の類否を検討すると、本件商標と引用商標は、外観において、欧文字の大文字か小文字の差異及び「f」の有無の差異があり、構成文字及び文字数が相違するから、外観において判別は容易である。
次に、本件商標から生じる「シロフ」の称呼と引用商標から生じる「シロ」の称呼を比較すると、両者は、語尾の「フ」の音の有無に差異を有するところ、2音と3音という比較的短い両称呼にあって、該差異が称呼全体に与える影響は決して小さいものということはできず、明瞭に聴別し得るものである。
また、観念においては、いずれも特定の観念を生じないから、比較できないものである。
したがって、本件商標と引用商標とは、観念において比較できないとしても、外観及び称呼において相紛れるおそれのないものであるから、それらによって、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考慮すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標というのが相当である。
以上のとおり、本件商標の指定役務と引用商標の指定役務とは同一又は類似する役務であるとしても、本件商標と引用商標は非類似の商標であるから、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当しない。
2 商標法第4条第1項第7号該当性について
本件商標は、上記第1のとおりの構成よりなるところ、その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、きょう激又は他人に不快な印象を与えるものではないことは明らかである。
ところで、申立人が商標権者に送付した通知書には、「申立人は、平成28年3月から継続して「shiro」及び「SHIRO」ブランドで美容・理容関連業務を行っているから、「shiro」及び「SHIRO」ブランドは周知性を獲得している」旨の記載がある(甲6)。しかしながら、本件商標の構成中、語尾の「f」を除いた「shiro」の文字が、申立人の業務に係る役務を表示するものとして我が国又は外国における需要者の間に広く認識されているものと認められる証拠は見いだせないものであり、上記1のとおり本件商標と引用商標は、相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
また、申立人が、商標権者に、申立人の商標権を侵害する旨の通知をしたところ、商標権者が、申立人の要求を了承し、店舗名の変更を行う旨の回答をした日に、本件商標を出願したという事実関係は把握できるとしても、それだけでは本件商標の出願の目的は明らかではなく、その出願経緯に不正があったと直ちに認めることはできない。
そして、上記のほかに、商標権者が、本件商標を利用して、申立人の事業活動を阻害したり、何らかの金銭的な利益を要求したりするなど、具体的な行為に及んだことを示す証拠もない。
そうすると、申立人が提出した全証拠を勘案しても、本件商標が、社会の一般的道徳観念に反するものなど、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標というべき事実は見当たらず、本件商標をその指定役務について使用することが、社会の一般的道徳観念に反し、商取引の秩序を乱すものともいえない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。
3 むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号及び同項第11号に該当するものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
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