審決検索MVP
← 検索一覧に戻る
商標異議申立

2025-900090

ライドシェアローン、ライドシェア

審判番号
2025-900090
法域
商標
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
商願2024-039198
登録番号
6900164
請求日
2025年04月28日
審決日
2025年12月11日
公報発行日
2026年01月30日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】newmo株式会社
  • 【権利者代理人】桐山 大
  • 【異議申立人】山田 朋彦
審判長/審判官
  • 審判長 大島 康浩
  • 審判官 浜岸 愛
  • 審判官 大島 勉
分類
T1651.13 -Y (W3639) / T1651.16 -Y (W3639) / T1651.272-Y (W3639)
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第3条第1項第3号、商標法第3条第1項第6号、商標法第4条第1項第16号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

登録第6900164号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。

結論

結 論 登録第6900164号商標の商標登録を維持する。

理由

理 由 1 本件商標 本件登録第6900164号商標(以下「本件商標」という。)は、「ライドシェアローン」の文字を普通に用いられる方法で表してなり、令和6年4月11日に登録出願、第36類及び第39類に属する別掲のとおりの役務を指定役務として、同7年1月31日に登録査定され、同年2月25日に設定登録されたものである。 2 登録異議の申立ての理由 登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標はその指定役務中、第36類「自動車ローンの貸付け及びその媒介」等(以下「申立役務」という。)について、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであり、また、本件商標はその指定役務について、同法第3条第1項第6号に該当するものであるから、本件商標は、同法第43条の2第1号の規定により、取り消されるべきである旨申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第7号証(枝番号を含む。以下「甲○」と表記する。)を提出した。 (1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号違反について ア 本件商標から生じる意味合いについて 本件商標は、「ライドシェアローン」の文字を普通に用いられる方法で表してなり、その構成中の「ライドシェア」の文字は「自動車に相乗りすること」を意味し、最近では国土交通省が推進するライドシェアサービスの意味で広く認識されている。また、「ローン」の文字は「貸付け」等を意味し、自動車業界において銀行などからお金を借りて自動車を購入するサービス(自動車ローン)は広く一般的に利用されている実情がある。 そのため、本件商標は全体として、「ライドシェアサービスに係る貸付け(自動車ローン)」程の意味合いを認識させるものである。 イ 「ライドシェア」及び「リース」の語の実際の使用状況について (ア)「ライドシェア」の語の実際の使用状況 我が国におけるライドシェアサービスは、国土交通省により、特に公共交通空白地や高齢化地域での移動手段の確保を目的とし、現在は、省令により「交通空白地有償運送」及び「福祉有償運送」のみが認められている地方自治体や公共交通機関が関わる「公共ライドシェア(自家用車活用事業)」と、法人タクシー会社(及び国土交通省が認可した企業)のみが運営に参加できる「日本版ライドシェア(自家用車活用事業)」との2種類が存在する(甲3)。 「自家用車活用事業」に関しては、2024年4月から限定的に解禁されており、「日本版ライドシェア」の名称で一般に認識されている。また、「自家用車活用事業」に関しては従前より存在していたものの、ライドシェアサービスの普及により昨今では「公共ライドシェア」の名称で一般に認識されている。これらはそれぞれ道路運送法第78条第2号及び同条第3号において規定されており、公益性の高い事業といえる。 このように「ライドシェア」の語は国土交通省が推進するライドシェアサービスの意味として広く認識されている。 (イ)「ローン」の語の実際の使用状況 「ローン」の語は「貸付け」等を意味し、自動車業界において銀行などからお金を借りて自動車を購入するサービス(自動車ローン)は広く一般的に利用されている実情がある(甲4)。 (ウ)小括 以上より、本件商標を構成する「ライドシェア」及び「ローン」の語の実際の使用状況等から、両語は「ライドシェアサービス」及び「貸付け(自動車ローン)」程の意味合いで需要者に広く認識されており、本件商標からは全体として「ライドシェアサービスに係る貸付け(自動車ローン)」程の意味合いが想起される。 ウ 「ライドシェアサービスに係る貸付け(自動車ローン)」の意味合いが広く一般に認識されていることについて 本件商標から「ライドシェアサービスに係る貸付け(自動車ローン)」程の意味合いが想起されるとしても、これが本件の申立役務との関係において、直接的ではなく、抽象的な意味合いしか生じない場合は、自他役務識別機能を発揮することになる。 しかしながら、最近のライドシェアサービスの普及とともに、「ライドシェアサービスに係る貸付け(自動車ローン)」に関しても事業展開が進んでいる実情がある。 甲5は、ライドシェアサービスに係る貸付け(自動車ローン)に関するウェブサイトの写しである。これらには海外での例も含まれるが、日本版ライドシェア(自家用車活用事業)が解禁されたのは約1年前からであり、今後は「ライドシェアサービスに係る貸付け(自動車ローン)」が普及している諸外国と同様、国内での展開も増大していくことが予想される。 エ 過去の審査例について 特許庁においても、「ライドシェア」の語を含む商標登録出願に対して、商標法第3条第1項第3号や同項第6号に該当する旨の拒絶理由通知が発送されており、「ライドシェア」の語を含む商標の識別性について昨今の実情に即した審査が行われているものと思料する(甲6)。 さらに、第36類や第39類の指定役務との関係において、いわゆる自動車ローンに関するサービスを想起させる商標登録出願が商標法第3条第1項第3号に該当することを理由に拒絶査定となっている(甲7)。 以上のことを勘案すると、本件商標をその指定役務中、申立役務に使用した場合、これに接する需要者は、「ライドシェアサービスに係る自動車ローンの貸付け及びその媒介」等、「ライドシェアサービスに係る貸付け(自動車ローン)に関する役務」であること、すなわち、役務の質を表示したものとして認識するものとみるのが相当である。 オ 商標法第3条第1項第3号についてのまとめ 以上のとおり、本件商標は、「ライドシェアサービスに係る貸付け(自動車ローン)」程の意味合いを容易に想起させ、需要者が申立役務の内容を直接的、かつ、具体的に認識することは明らかである。加えて、本件の申立役務を取り扱う業界において、「ライドシェアサービスに係る貸付け(自動車ローン)」によって提供される役務は普通に行われており、本件商標が登録を認められる合理的な理由は存在しない。 なお、現在において、「ライドシェアローン」の語そのものが需要者の間で普通に使用されているとはいえないことは申立人も承知している。 しかしながら、商標法第3条第1項第3号は、審査基準において「一般に認識する場合とは、商標が商品又は役務の特徴等を表示するものとして、現実に用いられていることを要するものではない。」ことが規定されている。また、工業所有権法(産業財産権法)逐条解説〔第22版〕において、「これら本号に列挙したものを不登録とするのは、これらは通常、商品又は役務を流通過程又は取引過程におく場合に必要な表示であるから何人も使用をする必要があり、かつ、何人もその使用を欲するものであるから一私人に独占を認めるのは妥当ではなく、また、多くの場合に既に一般的に使用がされ、あるいは将来的に必ず一般的に使用がされるものであるから、これらのものに自他商品又は自他役務の識別力を認めることはできないという理由によるものである。」旨が規定されている。 公益性の保護を目的とする商標法第3条第1項第3号の趣旨に鑑みれば、国土交通省により推し進められるライドシェアサービスを想起させる本件商標に関しては現実的な面よりも将来的な面を考慮して厳格な識別力の判断が求められるものと思料する。 カ 商標法第4条第1項第16号について 本件商標からは、「ライドシェアサービスに係る貸付け(自動車ローン)」という意味合いが生じることは上記のとおりであり、本件商標を申立役務中、「ライドシェアサービスに係る貸付け(自動車ローン)に関する役務」以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生ずるおそれがあるから、本件商標は、商標法第4条第1項第16号に該当する。 キ 小括 以上より、本件商標から「ライドシェアサービスに係る貸付け(自動車ローン)」の意味合いを認識できるのであれば、本件指定役務のうち、申立役務との関係において、本件商標は役務の用途、質を表示するにすぎない。 したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、「ライドシェアサービスに係る貸付け(自動車ローン)に関する役務」以外の申立役務に使用するときは、役務の質の誤認を生ずるおそれがあるため、同法第4条第1項第16号に該当する。 (2)商標法第3条第1項第6号違反について 本件商標は、「ライドシェアローン」の文字を普通に用いられる方法で表してなり、これは、上記(1)で説明したとおり、「ライドシェアサービスに係る貸付け(自動車ローン)」程の意味合いを認識させるものである。 そして、上記(1)で述べたとおり、我が国におけるライドシェアサービスとして自家用車活用事業が創設され、世間の注目を集めているところ、ライドシェアサービスが普及するとともに、「ライドシェアサービスに係る貸付け(自動車ローン)」に関する事業も今後拡大していくことが予想される。 そのため、本件商標を構成する標章が実際に使用されていないとしても、使用される蓋然性が高い標章に該当するものといえる。 以上より、本件商標を、その指定役務に使用した場合、これに接する需要者は、「ライドシェアサービスに係る貸付け(自動車ローン)」を表した語句であることや、世界で広く提供されている「ライドシェアサービスに係る貸付け(自動車ローン)」と何らかの関連性がある役務であることを理解するにとどまり、それを超えて、自他役務の識別標識であると認識することができないというのが相当である。 さらに、上記のように「ライドシェアサービスに係る貸付け(自動車ローン)」が広く一般に認知されていくことが想定される現状において、本件商標を特定人に独占させてしまえば、輸送・金融分野の事業者の使用を不当に阻害することにつながり、公益上適切ではないことは明らかであり、独占適応性の観点からしても商標登録は認められるべきものではない。 したがって、本件商標は、「需要者が何人かの業務に係る役務であるかを認識することができない商標」にあたるため、商標法第3条第1項第6号に該当する。 (3)まとめ 上記のとおり、本件商標は、商標法第3条第1項第3号、同項第6号、同法第4条第1項第16号に該当する商標であって、これらの規定に違反して登録されたものであるから、同法第43条の2第1号の規定によりその登録は取り消されるべきものである。 3 当審の判断 (1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について 本件商標は、上記1のとおり「ライドシェアローン」の文字を普通に用いられる方法で表してなるところ、その構成中の「ライドシェア」及び「ローン」の各文字は、同じ書体及び同じ大きさをもって、横一連に表されており、視覚上、全体としてまとまりよく一体的に看取されるものである。 また、その構成文字全体から生じる「ライドシェアローン」の称呼は、無理なく一連に称呼し得るものである。 そして、本件商標の構成中「ライドシェア」の文字は、「自動車の運転者とそれに相乗りする人、または相乗りする人同士を引き合わせるサービス。」の意味を有し、また、「ローン」の文字は、「貸付。」を意味する語(いずれも「デジタル大辞泉」小学館)であるとしても、両語を結合して具体的な意味を有する成語となるものではなく、また、各語の語義を結合した意味合いからは、具体的な意味合いを認識させるとはいい難いことから、その構成文字全体として一種の造語として把握されるというのが相当である。 また、申立人の提出した証拠によれば、国土交通省により、自家用車・一般ドライバーを活用した運送サービスの提供を可能とする自家用車活用事業が創設されており、「日本版ライドシェア」や「公共ライドシェア」の文字が使用されていることが確認できる(甲3)。 さらに、「ローン」の文字は、単独での使用のほか、「自動車ローン」及び「オートローン」等のように使用(甲4の1、甲5の1及び甲5の2)されていることは確認できる。 しかしながら、たとえ、「ライドシェア」の文字から、国土交通省による「自家用車活用事業」を認識し、「ローン」の文字から「銀行などからお金を借りて自動車を購入するサービス(自動車ローン)」を認識させるとしても、申立人の提出した証拠からは、「ライドシェアローン」の文字が、申立役務に係る役務の質を直接的に表示するものとして、その役務を取り扱う業界において取引上普通に使用されている事実及び取引者、需要者が、役務の質を表すものと認識し得るという特段の事情も見いだせない。 そうすると、本件商標を申立役務について使用した場合、これに接する取引者、需要者が申立役務の具体的な質等を表すものとして認識するとはいえず、本件商標は、申立役務について、自他役務の識別標識として機能し得るとみるのが相当である。 してみると、本件商標は、申立役務との関係において、役務の質等を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものとはいえず、かつ、役務の質について誤認を生ずるおそれもないものである。 したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当しない。 (2)商標法第3条第1項第6号該当性について 本件商標は、上記1のとおり、「ライドシェアローン」の文字を普通に用いられる方法で表してなるところ、申立人は、当該文字は「ライドシェアサービスに係る貸付け(自動車ローン)」程の意味合いを認識させるものであり、本件商標をその指定役務に使用しても、これに接する取引者、需要者は、「ライドシェアサービスに係る貸付け(自動車ローン)」と何らかの関連性がある役務であることを理解するにとどまり、それを超えて、自他役務の識別標識であると認識することができない旨主張する。 しかしながら、申立人の提出した証拠によれば、上記(1)のとおり「ライドシェア」及び「ローン」の文字がそれぞれ使用されていることはうかがえるとしても、上記(1)のとおり、本件商標は、具体的な意味合いを認識させるとはいい難いことから、その構成文字全体として一種の造語として把握されるとみるのが相当である。 そうすると、本件商標は、その指定役務との関係において、自他役務の出所識別標識としての機能を有しないものとはいえず、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標とは認められない。 したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第6号に該当しない。 (3)まとめ 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第3条第1項第3号、同項第6号及び同法第4条第1項第16号のいずれにも該当するとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。

審決本文(J-PlatPat)

J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。

J-PlatPat 審決検索を開く
2025-900090

メモ・タグ(非公開)

あなただけに表示されます。審決本文の公開範囲は変わりません。

メモとタグは Pro の機能です。ログイン/Proでメモを保存