商標異議申立
2025-900077
リックス、エルアイエックス
- 審判番号
- 2025-900077
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 商願2024-086497
- 登録番号
- 6904892
- 請求日
- 2025年04月10日
- 審決日
- 2026年04月16日
- 公報発行日
- 2026年09月25日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】株式会社じむや
- 【異議申立人】ユニリバー アイピー ホールディングス ビー ヴイ
- 【異議申立人代理人】達野 大輔
- 【異議申立人代理人】竹中 陽輔
- 【異議申立人代理人】松澤 由香
- 審判長/審判官
- 審判長 真鍋 伸行
- 審判官 小俣 克巳
- 審判官 白鳥 幹周
- 分類
- T1651.261-Y (W03) / T1651.262-Y (W03) / T1651.263-Y (W03) / T1651.271-Y (W03) / T1651.222-Y (W03)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項11号商標法4条1項15号商標法4条1項19号商標法43条の2商標法43条の3第4項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第15号、商標法第4条第1項第11号、商標法第4条第1項第19号、商標法第4条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
登録第6904892号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。
結論
結 論
登録第6904892号商標の商標登録を維持する。
理由
理 由
1 本件商標
本件登録第6904892号商標(以下「本件商標」という。)は、「Lix」の文字を標準文字で表してなり、第3類「香水,せっけん,香水類,ヘアーコンディショナー,つけづめ,バスソルト,シャンプー,ヘアートリートメント,薫料,美顔用パック,美容液,歯磨き,芳香剤,ヘアーリンス,香料,せっけん類,ヘアークリーム,バスオイル,つけまつ毛,ハンドクリーム,入浴剤(医療用のものを除く。),化粧品,化粧水」を指定商品として、令和6年8月8日に登録出願、同7年2月25日に登録査定、同年3月6日に設定登録されたものである。
2 登録異議申立人が引用する商標
(1)登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議申立ての理由において引用する登録第2128318号商標(以下「引用商標」という。)は、「LUX」の欧文字を横書きしてなり、昭和61年12月15日に登録出願、第4類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、平成元年4月28日に設定登録され、その後、平成21年10月7日に、第3類「せっけん類,歯磨き,化粧品,香料類」を指定商品とする書換登録がされ、現に有効に存続しているものである。
(2)申立人が、本件商標に係る登録異議申立ての理由において、商標法第4条第1項第15号及び同項第19号に該当するものとして引用する商標(以下「使用商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなる商標であって、申立人がヘアケア、ボディケア及びフレグランス等のパーソナルケア製品に使用し、我が国の取引者、需要者に広く認識されていると主張するものである。
以下、引用商標及び使用商標をまとめて「申立人商標」という。
3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同項第15号及び同項第19号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第70号証(枝番号を含む。以下、枝番号のすべてを示すときは、枝番号を省略する。また、甲第○号証を省略して表すときは、甲○のように表記する。)を提出した。
(1)申立人と「LUX」について
申立人であるユニリバー エヌ ヴイ(Unilever N.V.)は、1885年に設立され、オランダとイギリスに本拠を有する世界有数の多国籍企業であり、ヘアケア製品、化粧品、飲食料品、洗剤、トイレタリーなどの一般消費財を190各国で製造・販売する(甲4)。
そして、申立人の引用商標に係る「LUX」ブランドは、1899年にイギリスでギフト用高級化粧せっけんブランドとして誕生し(甲19)、1972年に日本に上陸。その後1989年にヘアケア用品を展開し、近年においてはボディケア用品やフレグランス等のパーソナルケア製品全般を取り扱うブランドに成長し現在に至っている(甲5~甲8)。
その「LUX」ブランドのヘアケア製品は、世界に先がけて日本で展開された経緯があった。その理由は、日本人女性の髪に対する意識が非常に高いこと、そして、四季の変化が大きい日本では、湿度や温度の変化により髪の状態が大きく変化し痛みやすいという悩みを多くの人が抱えていることに申立人が気づき、これに応えたいとの願いに基づく。
そして、申立人は、それまでのヘアケア商品の常識を覆す製品を開発する。
つまり、1980年代までは、「シャンプーで汚れを落として、リンスでしっとり(又はさらさら)した手触りにする」という使用方法が当たり前であった時代、「LUX」ブランドは、「「シャンプー」で髪を保湿することにより(枝毛等の)髪のダメージを防ぐ」という画期的なヘアケア製品「LUX SUPER RICH(ラックス スーパーリッチ)」を開発・展開して爆発的な人気を博した(甲8の2)。
そして、現在に至るまで、申立人は「LUX」ブランドを進化させ続け、現在においてもその人気は継続している。
(2)「LUX」の著名性について
引用商標は、特許庁のデータベースにおいて日本国周知・著名商標として掲載されている(甲2の2)。
そして、下記で詳述する事実に基づき、かかる著名性は今日でも維持されている。
ア 広告・マーケティング活動
申立人は、1980年代からのテレビコマーシャルを初め、多種多様な広告において、常にインパクトの強いビジュアルと内容で市場の話題性を獲得するマーケティングに力を入れてきた。
上記(1)の「LUX SUPER RICH(ラックス スーパーリッチ)」は、「シャンプーでダメージ補修」という新しいコンセプトに加え、テレビコマーシャルに映るハリウッド女優の美しい髪と、ハリのある艶やかな声で響く「ラックス スーパーリッチ」のキャッチコピーで、日本全国津々浦々のお茶の間に広まることとなった。
「LUX」ブランドのテレビコマーシャルは、2010年代半ばまではハリウッドの著名な女優を次々と起用し、現在でも当時の映像がYouTubeやSNSにおいてアップロードされ反響を呼んでいる(甲9~甲14)。
このように、「LUX」ブランドのテレビコマーシャルは、2010年代半ばまでは著名なハリウッド女優、近年では世界で活躍する日本・アジアの人気アーティスト等、旬の著名人や著名キャラクターを起用し、さらにミリオンセラーを記録したばかりの人気アーティストの新曲を流すなど、常に訴求効果の高い内容とビジュアルで、需要者・取引者の印象に残る広告を次々と展開してきた(甲15~甲25、甲32)。
また、「LUX」ブランドのイメージやメッセージを広く世間に伝える、いわゆる「ブランド・アンバサダー」には、これまで、アカデミー賞を受賞したハリウッド女優や世界的トップモデル等の著名人を起用し、その度に話題を呼んでいる(甲18~甲25)。
申立人は、テレビや刊行物等の伝統的メディアに加え、近年のマーケティングに欠かせないインターネットやSNSを用いた宣伝広告にも積極的に取り組んでいる。例えば、ストーリー性のある恋愛マンガを広告としたオンライン動画では200万回のアクセスを記録した。また、膨大なフォロワー数を有し社会的影響力が極めて強い「インフルエンサー」と呼ばれる著名人とのコラボレーション商品やイベントを開催、さらに、話題の人気ガールズグループとのコラボレーションによる豪華景品付きTIKTOKイベント、「LUX」ブランド・アンバサダーである世界的トップ・モデルと人気アーティストとの対談動画の公開等、その規模の大きさと内容の豪華さにより、「LUX」ブランドは、インターネットやSNSにおいても非常に高い注目を集めている(甲26~甲29、甲31)。
また、申立人は、都市部の繁華街における屋外広告も度々行っており、近年では、前記アジア系人気ガールズグループのデジタルサイネージ広告を大大的に展開した(甲23)。
申立人はもちろん、需要者との直接的な接点を作るためのリアルイベントも頻繁に行っている。例えば、幅広い年代に人気のディズニー最新映画の公開とのタイアップ企画では、ディズニー映画のビジュアルを用いた限定品の販売とディズニー映画のアンバサダーである人気女優を招いたトークイベントを開催した。また、月間発行部数9万部を超える人気美容雑誌「VOCE」とインフルエンサーとのコラボ企画、また、「LUX」テレビコマーシャルに登場するハリウッド女優とコマーシャルソングを歌うアーティストを招いてのイベント等、そのゲストの名前や企画内容を聞くだけで、集客力の高さが想像できるイベントを開催してきた(甲28、甲30~甲31、甲41)。
また、「LUX」ブランドは、人気が再燃焼したアニメの映画化やディズニー新作映画公開といった、その時々で話題性の高い「旬」のコンテンツとのコラボレーション商品を数多く展開し、コンテンツのファンも取り込む努力を重ねてきた(甲16、甲23、甲30)。
イ 継続的な品質改善
「LUX」ブランドのような50年もの長寿ブランドは、製品の確かな品質、そしてそれを使い続ける「リピーター」の存在なくしては成り立たない。
現に、申立人は、「LUX」ブランドの製品の質にこだわり続け、18か月に一度の頻度で製品改良を行うという絶え間ない努力を重ねている(甲7)。
そして、これまでに「LUX」ブランドのヘアケア製品開発のために行ったモニター調査やテストには、延べ8万人以上の日本人女性が参加している(甲4)。
このような品質へのこだわりと継続的な投資により、申立人は、「LUX」ブランドの製品の愛用者を増やしてきた。
ウ シェア
上述した事実及び提出した書類で理解されるとおり、申立人の継続的なマーケティング活動及び研究開発等の努力により、「LUX」ブランドは、次で示す資料に記載のとおり、1997年1月ないし2009年12月(13年連続)及び2017年1月ないし2024年12月(9年連続)において市場シェア1位(甲7、甲33、甲35)を記録し、10億ユーロを超える年間売上と、日本市場における1位又は2位という極めて高いシェアを獲得しており、各種新聞・オンライン記事において「メガブランド」「ブランド別シェアでトップ」と評されている。
・へアケア市場で10年連続年間売り上げシェア1位を獲得(甲17)
・日本でもヘアケア市場で8年連続、売上No.1(INTAGESRIシャンプー・コンディショナー市場2017年1月~2024年12月金額ベース)を達成(甲33)
・掲載表から、2014年及び2023年の日本シャンプー市場において「LUX」がシェア1位であること(金額ベース)(甲34)
・「年間売上高は10億ユーロを超えるブランド」(甲36)
・「市場シェアで上位の常連にある「ラックス」(ユニリーバ)」(甲37)
・2010年及び2020年のシャンプー上位10商品の比較表の2位に「ラックス」製品がランクイン(甲38)
・「総合ランキング1位はユニリーバ「ラックス」」「男女別総合ランキング1位 ユニリー バラックス」(甲39)
・「「ラックス」といったメガブランド」(甲40)
・「ブランド別シェアでトップのラックス」(甲41)
日本のヘアケア市場規模は、約5245億5000万円規模(2023年)と推定されており、そのうち51.3%がヘアケア剤であった(甲42)。
また、この分野におけるブランド数の正確な数字は公表されていないが、優に200は超えると考えられる。
そのような競合ひしめく膨大な市場において、常にシェア上位を獲得している申立人の「LUX」ブランドは、需要者の長年にわたる信頼が蓄積された非常に価値の高いブランドであることを示している。
エ 小括
このように、申立人が「50年以上」の長期にわたる研究開発と営業努力を尽くし大切に守り育ててきた「LUX」ブランドは、ヘアケア、ボディケア及びフレグランス等のパーソナルケア製品について、我が国の取引者・需要者において広く知られており、申立人の業務と密接不可分な著名な標識として確立されているといえる。
(3)商標法第4条第1項第11号該当性
ア 本件商標と引用商標について
本件商標は、令和6年8月8日に商標登録出願され、同7年3月6日に登録された(甲1)。
他方、引用商標は、昭和61年12月15日に出願され、平成元年4月28日に我が国で商標登録されていた(甲2)から、商標法第4条第1項第11号の「他人の登録商標」に当たる。
イ 商標法第4条第1項第11号の判断基準及び判断方法について
商標法第4条第1項第11号は、我が国の商標法が先願主義の商標登録制度のもとにおいて先願に係る他人の登録商標との抵触による商品の出所の混同のおそれのある商標の登録を防止する目的で「同一又は類似の商品についての同一又は類似の商標」を登録しない旨を定めたものである。
この点について、最高裁判所の示してきた判断基準及び判断手法は以下のとおりである。
商標法第4条第1項第11号の商標の類否は、対比される両商標が同一又は類似の商品・役務に使用された場合に、商品・役務の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきである。そして、それには、そのような商品・役務に使用された商標がその外観、観念、称呼等によって取引者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察する必要がある。さらに、その商品・役務の取引の実情を明らかにし得る限り、その具体的な取引状況に基づいて判断するのが相当である(最高裁昭和43年2月27日第三小法廷判決・民集22巻2号399頁)。
本件において、商標法第4条第1項第11号の該当性を判断するにあたって、上記の点を考慮する。
ウ 商標の類似性
(ア)各商標の外観・称呼・観念
本件商標は、外観において3文字の欧文字「Lix」の標準文字からなり、「リックス」との自然な称呼を生じる。
また、外観「Lix」及び称呼「リックス」は、辞書に記載のない語である。
引用商標は、外観において3文字の標準的な字体の欧文字「LUX」からなり、「ラックス」との自然な称呼を生じる。
また、外観「LUX」及び称呼「ラックス」は、辞書に記載のない語である。
(イ)両商標の類否
外観において、本件商標と引用商標は、いずれも3文字の標準的な字体の欧文字であり、類否判断において最も重要性の高い語頭の「L」と語尾の「x(X)」において同一の文字列からなるため、非常に近似した印象を与える。そのため、これらを時と場所を隔てて、記憶によって対比したとき誤認混同を生じるおそれがある程度に類似するものである。
称呼において、「リックス」と「ラックス」は、語頭音が「ラ行」である点において共通し、後に続く全ての音が「ックス」で同一であるから、互いに近似した語感を有する。
また、両称呼ともに、特段の音にアクセントを有さない平坦な音程である中、特徴的な促音「ッ」を伴うから、互いに非常に近似した語調を有する。
そうすると、4音中3音において同一の音であり、その語感及び語調において近似しているから、両称呼は相紛れるほど類似するものといえる。
観念において、引用商標は、既述のとおり、ヘアケア用品、ボディケア用品及びフレグランスに係る商品(以下「LUX取扱商品」という。)において、取引者・需要者に、申立人の著名な「LUX」ブランドに係る出所を連想・認識するものである。
そして、本件商標の指定商品は、LUX取扱商品と同一又は類似する商品である。
そうすると、引用商標に触れた本件商標の指定商品の取引者・需要者は、申立人の著名な「LUX」ブランドに係る出所を連想・認識するものであるから、引用商標は、「LUX」ブランドを観念するものである。
してみると、本件商標は、上記のとおり、外観と称呼において引用商標と類似するものであるから、本件商標に触れた本件商標の指定商品の取引者・需要者において、申立人の著名な「LUX」ブランドに係る出所を連想・認識する場合もあると考えられる。
したがって、両商標は、同一の観念を生じさせる場合があるといえる。
そして、本件商標の「Lix」部分及び引用商標「LUX」は、本件商標の指定商品の取引者・需要者において、申立人の著名な「LUX」ブランド及びその商品について、常に「LUX(ラックス)」又は「ラックス」と表示又は呼ばれている事実から、同一の「ラックス」の称呼を生じる。
(ウ)小括
以上のとおり、本件商標は、引用商標と類似する商標であることは明らかである。
エ 商品の同一・類似性
本件商標の指定商品は、上記1のとおりであり、引用商標に係る指定商品「せっけん類,歯磨き,化粧品,香料類」と同一又は類似の商品であることは明らかである。
なお、特許庁類似商品・商品審査基準においても、本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品と同一の類似群コードを含むものである。
オ 混同を生ずるおそれ
以上のとおり、本件商標は、引用商標と、外観・称呼・観念において類似するから、本件商標をその指定商品に使用した場合には、取引者・需要者の間で、引用商標に係る出所との誤認を生じさせるおそれがある。
さらに、以下に述べるとおり、本件商標の指定商品における取引の実情、及びオンライン消費時のキーボードの打ち間違いの実情に鑑みれば、その出所の誤認混同のおそれはさらに高いものと推認される。
(ア)本件商標の指定商品における取引の実情
近年、インターネットにおける商品の購買行為、すなわちオンライン消費は、業者のEC(電子商取引)への参入の高まりとともに年々伸びている。
また、消費者がインターネットで商品を購入する際に生じる買い間違え、いわゆる「誤購入」は、実店舗での購買行為における誤購入に比して高い頻度で発生していることは周知の事実である。
総務省の2021年(令和3年)の調べによれば、半数以上の世帯がオンライン消費をしており、また、東京証券取引所の2023年(令和5年)の調査によれば、インターネットで購入される商品のうち最も多い商品カテゴリーは「日用品、生活雑貨」(51.8%)という実態が明らかになっている(甲42~甲43)。
そして、消費者庁の2023年(令和5年)の調べによれば、オンライン消費における誤購入の一類型である「思っていたものと違う商品が届いた」経験をした人は、全体の45.7%であり、ほぼ半数いる実態が報告されている(甲44号)。
そうすると、本件商標の指定商品は、オンライン消費される傾向が最も高い「日用品、生活雑貨」に属する商品であるから、オンライン消費時に誤購入されてしまう頻度も高い商品であるということができる。
(イ)オンライン消費時のキーボードの打ち間違い
本件商標と引用商標は、その外観において、中間文字が「U」と「I」において差異があるのみであるが、オンライン消費する際に使用されるパソコンの「キーボード配列」において、JIS配列、US配列問わず、「U」と「I」が常に「隣同士」の位置関係にある(甲45)。
そうすると、インターネットにおいて最も購入され、最も誤購入されやすい本件商標の指定商品の需要者が、引用商標「LUX」に係る製品を購入しようとして誤って「U」を「I」とキーボードに打ちこみ、意図せず本件商標に係る商品を購入してしまう可能性が高いことが十分に考えられる。
カ 小括
以上より、本件商標は引用商標に類似し、本件商標の指定商品は引用商標に係る指定商品と同一又は類似であり、かつ、その商標構成上においても混同を生じさせるおそれがある。
さらに、本件指定商品における取引の実情等を考慮すればその混同のおそれが顕著に生じやすいものである。
(4)商標法第4条第1項第15号該当性
ア 商標法第4条第1項第15号の判断基準及び判断方法について
商標法第4条第1項第15号について、最高裁判所の示してきた判断基準及び判断手法は以下のとおりである。
(ア)商標法第4条第1項第15号にいう「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標」には、当該商標をその指定商品又は指定役務に使用したときに、当該商品等が他人の商品又は役務に係るものであると誤信されるおそれがある商標のみならず、当該商品等が右他人との間にいわゆる親子会社や系列会社等の緊密な営業上の関係又は同一の表示による商品化事業を営むグループに属する関係にある営業主の業務に係る商品等であると誤信されるおそれがある商標を含むものと解するのが相当である。(最高裁平成12年7月11日第三小法廷判決・民集54巻6号1848頁)
(イ)商標法第4条第1項第15号にいう「混同を生ずるおそれ」の有無は、当該商標と他人の表示との類似性の程度、他人の表示の周知著名性及び独創性の程度や、当該商標の指定商品・役務と他人の業務に係る商品・役務との間の関連性の程度、取引者及び需要者の共通性その他取引の実情などに照らし、上記指定商品・役務の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として、総合的に判断すべきである(同)。
本件において、商標法第4条第1項第15号の該当性を判断するにあたって、上記の点を考慮する。
イ 商標の類似性
(ア)申立人の使用商標
申立人の「LUX」ブランド及びその製品は、既述のとおり、50年もの長期間にわたり無数の新聞記事、広告、プレスリリース、オンライン記事等で、標準的な字体による欧文字「LUX」で使用されてきた。
よって、引用商標は申立人の使用に係る商標といえるものである(甲2)。
また、申立人は、「LUX」ブランドの製品パッケージ等に付す商標として、2006年から、以下に示すロゴ商標(又はこれの色違い商標)を使用している(甲3)。
(イ)本件商標と引用商標の類似性
上記(3)ウで述べたとおり、本件商標と引用商標は互いに類似する商標である。
(ウ)申立人の使用商標と引用商標の類似性
申立人の使用商標の外観は、欧文字3文字の「LUX」よりなり、語頭の「L」の文字の右に伸びる線が「U」の下を通って語尾の「X」の方へ伸長し、語尾の「X」の右上から左下へ流れる線が長く表され、「L」と「X」と繋がったデザインで表されている。
かかる外観は、欧文字「LUX」がデザイン化されたロゴであると容易に把握できる態様であるから、申立人の使用商標からは、「ラックス」の称呼が生じ、申立人の著名な「LUX」ブランドが想起・観念される。
そうすると、上記(3)ウで述べた本件商標の外観、称呼、観念と比較した場合、本件商標と申立人の使用商標は、称呼において類似し、観念において同一であるから、申立人の使用商標と類似する商標である。
以上より、本件商標と申立人の使用商標は互いに相紛れるおそれがある類似の商標である。
ウ 商品の同一・類似性
申立人の使用商標に係る「LUX」ブランドは、上記(3)ウで述べたとおり、ヘアケア製品(シャンプー、コンディショナー、トリートメント等)、ボディケア製品(ボディーソープ、ボディミルク、ボディスクラブ等)、芳香剤(リードディフューザー)を取扱っており、本件商標の指定商品と同一又は極めて近似した商品である。
したがって、本件商標の指定商品は、申立人の引用商標に係る商品と同一又は類似する商品を含む。
エ 引用商標の著名性
上記(2)で述べたとおり、申立人の使用商標の「LUX」ブランドを示すものとして、我が国の取引者・需要者の間で広く知られている著名な商標である。
オ 引用商標の独自性
申立人の使用商標は、上記(1)及び(2)で述べたとおり、申立人は、長年にわたり、多大な研究開発と広告活動等により「LUX」ブランドに莫大な投資をして申立人の使用商標を使用し、過去21年のヘアケア製品における市場シェア第1位を獲得している。
このように、申立人の使用商標は、本件商標の指定商品の分野において取引者・需要者の信頼を獲得してきた著名な商標であるから、申立人は、本ブランドを適切に保護するため、混同を生じさせるおそれのある第三者の使用をできる限り排除するよう努めてきた。
そのため、本件商標の指定商品の分野において、申立人の使用商標は極めて独自性の高い商標となっている。
カ 混同を生ずるおそれ
上述の商標及び商品の類似性、そして申立人の使用商標の独自性、及び本件商標の指定商品における著名性を総合的に勘案すれば、本件商標の指定商品の取引者・需要者に対し、申立人の使用商標が与える印象は非常に強い。
よって、そのために生じる連想作用等により、本件商標がその指定商品に使用された場合、これに触れた取引者・需要者は、これを申立人の業務に係る商品であると誤認し、その商品の取引者・需要者が商品の出所について混同するおそれがあるのみならず、申立人又は申立人と経済的・組織的に関連するものにより提供される商品であるかのような誤認を生じさせ、結果として商品の出所に混同を生じさせるおそれがあることは明白である。
キ 具体的取引の実情
さらに、上記アの最高裁の判断基準に照らし、本件における具体的取引の実情を考慮した場合、混同を生じるおそれがさらに高まるものであるため、その点において詳述する。
(ア)本件商標に係る本件使用商標と申立人の使用商標の類似性
本件商標の出願人は、ヘアケア商品、すなわち「シャンプー、コンディショナー、ヘアトニック」(以下「本件商品」という。)を販売しており、本件商品には、甲第47号証のロゴ(以下「本件使用商標」という。)を付している。
申立人がインターネットで確認した限り、本件商標の出願人は、本件使用商標を付した本件商品を、自己のECサイト上で販売し、また我が国最大規模のECサイト「Amazon.jp」において2022年から販売している事実が明らかとなった(甲49~甲54)。
そして、本件使用商標は、申立人の使用商標の特徴、すなわち、ロゴが金色である点、及び、欧文字3文字の語頭の「L」が、中間の文字の下を通って語尾の「X」の方へ伸長し、語尾の「X」の右上から左下へ流れる線が長く表される点の2点において同一であるから、申立人の使用商標(甲3)と外観において相紛れるほどに類似し、そのデザイン化の方法において酷似するものである。
(イ)両商標の使用態様
さらに、本件商標の出願人は、2022年頃から、申立人の使用商標に類似する金色の本件使用商標を、白地又は黒字のパッケージ(又は広告背景)に付して使用している(甲49~甲54、甲70)。この「白色×金色」又は「黒色×金色」の配色パターンは、申立人の「LUX」ブランドの使用態様とも酷似するので以下に説明する。
申立人は、2006年から、申立人の使用商標を我が国で使用している(甲55~甲56)。
そして、2012年までは、申立人の使用商標と組み合わせる背景色の多くは白色であり、「白色×金色」は定番の配色パターンとなっていた(甲55~甲56、甲5の1、甲6、甲8の1、甲18~甲22、甲30、甲32)。
これに加え、申立人は2012年に、「LUX」ブランドの「最高峰」ラインとして、「黒色×金色」の配色イメージが印象的な「LUX BIO FUSION(ラックス バイオフュージョン)」を展開し(以下「バイオフュージョンシリーズ」(甲57~甲60)という。)、さらに2018年に、「バイオフュージョン ブラックエディション」を展開している(甲61~甲68)。
本件使用商標の使用態様及びパッケージが、申立人のバイオフュージョンシリーズに酷似している様子を下記に示す。
(ウ)「LUX」ブランドにおける「白色×金色」及び「黒色×金色」の配色パターンの認知度の高さ
「LUX」ブランドは、ヘアケア用品の「年間シェア第1位」を少なくとも21回獲得している著名なブランドであり、2006年に申立人の使用商標に変更してからもその著名性は維持していることは上記(2)で述べたとおりである。
そして、「黒色×金色」の配色を主に用いるバイオフュージョンシリーズの製品は、日本最大のコスメ・美容情報サイト「アットコスメ」の2012年の「ベストコスメ大賞シャンプー・コンディショナー」部門で「第1位」と「第3位」を記録している(甲60)。
(エ)以上のとおり、本件商標は、その具体的取引の実情を考慮すれば、その使用態様において本件使用商標と申立人の使用商標は極めて近似した印象を有し、本件使用商標が付された本件商品の配色パターンが申立人の「LUX」ブランドが多く採用する配色パターンと酷似していることに鑑みれば、本件商標が、その指定商品について使用された場合、取引者・需要者が、出所について混同するおそれがあり、申立人又は申立人と経済的・組織的に関連するものにより提供される商品であるかのような誤認を生じさせ、結果として商品の出所に混同を生じさせるおそれがあることは明白である。
ク 小括
以上述べたとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に規定される「混同を生ずるおそれがある商標」であることが明らかである。
また、申立人は、前述の「LUX」ブランドに対する徹底した品質へのこだわりと広告戦略のみならず、パッケージによるブランド訴求力を高めるため、パッケージ開発において、例えば消費者へのインタビュー調査等も行った上でパッケージを吟味し時間をかけて選定する等、徹底的に追及してきた(甲69)。
したがって、本件商標の出願人が、申立人の使用商標に酷似する本件使用商標を、上記のように使用する行為は、申立人の絶え間ない努力により築き上げた「LUX」ブランドの著名性にただ乗りし、またその信用を損ない得る行為である。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当し、その登録は認められないものである。
(5)商標法第4条第1項第19号該当性
引用商標及び使用商標に係るLUXブランドは、1997年から13年連続でヘアケア用品について年間シェア1位を記録して著名となっていた。
そして、本件商標の指定商品は、申立人の主力商品であるヘアケア用品を含み、現に、本件使用商標はヘアケア商品について使用され、その使用態様は申立人の使用商標の使用態様と酷似していることは既述のとおりである。
してみると、本件使用商標が著名な申立人の使用商標と外観及びデザイン化の方法において類似し、かつ、その使用態様において酷似していることが単なる偶然の一致とは考え難く、申立人の使用商標が既に著名な商標となっていることを十分に知りながら、これと類似する本件商標を出願し、その後これを使用したものであるから、本件商標の出願人は、申立人の「LUX」ブランドの著名性にただ乗りする意図で、本件商標の出願をし、「LUX」ブランドの主力商品にこれを使用したものと認めざるを得ず、また、本件商標出願人が本件商標を使用する結果として、「LUX」ブランドの著名性が希釈化されるおそれが大きいと認めざるを得ない。
したがって、本件商標の出願人がヘアケア用品に本件商標を使用することには、商標法第4条第1項第19号にいう「不正な目的」があったと認められる。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当し、その登録は認められないものである。
(6)むすび
以上の理由により、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同項第15号及び同項第19号に該当する。
4 当審の判断
(1)申立人商標の周知・著名性
ア 申立人の主張及び同人が提出した証拠によれば、以下のとおりである。
(ア)「LUX」の文字を使用したブランドは、1899年にイギリスで誕生し(甲19)、我が国においては、1972年に「化粧石けん」の発売が開始された(甲7)。
その後、1989年に、シャンプー及びコンディショナー「LUX SUPER RICH」の販売が開始され、日本では、シャンプー、コンディショナー、トリートメント等が販売されており、1997年には、「LUX」ブランドがヘアケア製品の市場売上げシェア1位となった(甲7)。
そして、上記「LUX」ブランドの商品には、「LUX」の文字が包装容器に表示され、また、2006年からは、「LUX」の文字をデザイン化した別掲のとおりの構成からなる使用商標が上記商品の包装容器に表示されている(甲8)。
(イ)「LUX」ブランドの商品は、有名なハリウッド女優、アニメキャラクターとコラボレーション、日本を含むアジア系人気アーティスト「TWICE」、バーチャルキャラクターなどによって、1989年から現在に至るまで継続して、テレビCM、SNSを用いた広告がされ、また、雑誌「VOCE」とインフルエンサーのコラボ企画及びイベント等が行われた(甲9~甲32)。
(ウ)PRTIMESのウェブ記事(2025年5月26日)には、「昨年好評のUVダメージケア※1シリーズが再登場!トリートメントが2倍の300gに増量 夏限定商品「ラックス リペア&さっぱり シリーズ」2025年6月9日(月)より全国発売開始」の見出しの下、「ラックスは、日本において8年連続売上No.1(INTAGE SRIシャンプー・コンディショナー市場2017年1月~2024年12月金額)」の記載がある(甲33)。
(エ)日本経済新聞のウェブ記事(2024年5月9日)には、ユーロモニターによれば、ラックスは「国内シャンプー市場での金額ベースのシェア」において、2014年が10.4%、2023年が12.1%で1位である」旨の記載がある(甲34)。
(オ)日用品化粧品新聞のウェブ記事(2024年9月24日)には、「【ヘアケア市場の現状と今後】激しさを増すブランド間競合」の見出しの下、「市場シェアで上位の常連にある「ラックス」(ユニリーバ)」の記載がある(甲37)。
(カ)日本経済新聞の日経MJのウェブ記事(2021年1月24日)には、「シャンプーの上位10商品を比較すると単価は大きく上がっている」の見出しの下、2010年及び2020年において、「ラックス スーパーリッチ」が2位の記載がある(甲38)。
(キ)PRTIMESのウェブ記事(2023年4月19日)には、「【1歳刻み!約7,000万人の購買商品ランキング】「シャンプー」男女総合ランキング!1位はユニリーバ「ラックス」」の見出しの下、CCCMKホールディングス株式会社の調査によれば、2022年3月~2023年2月の期間に購買したシャンプーのランキングにおいて、「ラックス」は1位の記載がある(甲39)。
イ 上記アによれば、申立人は、申立人商標を、申立人の業務に係るヘアケア製品(シャンプー、コンディショナー、トリートメント等)について、長年にわたり使用し、市場シェアも高く、新聞、テレビCM、雑誌等各種メディアにおいて、申立人商標の下、商品を継続して広告・宣伝していることが認められる。
これらのことを総合勘案すれば、申立人商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係るヘアケア製品を表示するものとして我が国の取引者、需要者の間に広く認識されているということができる。
しかしながら、申立人商標は、申立人の業務に係るヘアケア製品(シャンプー、コンディショナー、トリートメント等)について使用される商標であって、原材料、用途及び品質が異なる商品にまで周知性が及ぶとすべき事情も見いだせないことから、申立人商標の上記周知著名性が及ぶ範囲は、本件商標の指定商品すべてに及ぶものとはいえず、本件商標の指定商品中「香水,せっけん,香水類,ヘアーコンディショナー,バスソルト,シャンプー,ヘアートリートメント,美顔用パック,芳香剤,ヘアーリンス,せっけん類,ヘアークリーム,バスオイル,つけまつ毛,ハンドクリーム,入浴剤(医療用のものを除く。),化粧品,化粧水」(以下、これらの商品をまとめて「せっけん類,化粧品」という。)の範囲に限られるというのが相当である。
(2)商標法第4条第1項第11号該当性
ア 本件商標
本件商標は、上記1のとおり、「Lix」の文字を標準文字で表してなり、該文字は、一般の辞書に掲載されていない語であることからすれば、特定の意味合いを有していない造語といえるものであるから、観念については特定の観念を生じないものである。
また、そのような欧文字からなる造語については、これを称呼する場合、我が国において親しまれている英語風の読み又はローマ字風の読みに倣って称呼するのが自然であることからすれば、該文字に相応し「リックス」の称呼生ずるとするのが相当である。
イ 引用商標
引用商標は、上記2(1)のとおり、「LUX」の欧文字を横書きしてなるところ、当該文字は、一般的に「ルクス、照度」の意味合いを有し、「ルクス」の称呼が生じるものの、上記(1)イのとおり、本件商標の指定商品中「せっけん類,化粧品」との関係においては、申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているといえる申立人商標であると理解されることから、引用商標からは、「ラックス」の称呼を生じ、「申立人のブランド」程の観念を生じるというのが相当である。
ウ 本件商標と引用商標の類否
本件商標と引用商標を比較すると、本件商標は上記アのとおり、引用商標は上記イのとおりの構成からなるところ、両者は、1文字目の「L」の文字を共通にしているとしても、2文字目の「i」と「U」の文字、3文字目の「x(X)」の文字の小文字と大文字の差異を有しており、全体で3文字という少ない文字数における比較において、その3文字中2文字の構成が異なることからすれば、外観上、相紛れるおそれはないものである。
次に、本件商標から生ずる「リックス」の称呼と引用商標から生ずる「ラックス」の称呼を比較すると、2音目以降の「ックス」音を共通にするとしても、称呼の識別上重要な要素である語頭の音において「リ」と「ラ」の差異を有しており、全体で4音という比較的短い称呼の比較においては、この差異が全体に与える影響は小さいものとはいえず、これらを一連に称呼しても、語調、語感が異なり、称呼上、明瞭に聴別できるものである。
さらに、本件商標は、特定の観念を生じないものであるのに対して、引用商標は、「申立人のブランド」程の観念を生じるものであるから、観念上、相紛れるおそれのないものである。
そうすると、本件商標と引用商標は、外観及び観念において、相紛れるおそれのないものであり、称呼において、明瞭に聴別できるものであるから、これらを総合勘案すれば互いに相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
エ 申立人の主張
申立人は、本件商標と引用商標が、混同を生ずるおそれとして、両商標が類似するほか、さらに、本件商標の指定商品における取引の実情、及びオンライン消費時のキーボードの打ち間違いの実情に鑑みれば、その出所の誤認混同のおそれはさらに高いものと推認されると主張する。
しかしながら、申立人が述べている取引の実情は、消費者が主にインターネットで商品を購入する際のものであるところ、本件商標の指定商品は、インターネットで取引される商品に限定される商品ではなく、実店舗でも広く取引される商品であること、また、インターネットと実店舗の商品の取引の割合も不明であるばかりでなく、キーボードの打ち間違いなどのインターネットでの取引の実情のみを考慮しなければならない理由は見いだせない。
また、申立人は、インターネットで購入される商品のうち最も多い商品カテゴリーは「日用品、生活雑貨」(51.8%)という実態が明らかになっていると主張するが、そのうち、「日用品、生活雑貨」のうち、本件商標の指定商品の割合は不明であるから、申立人が主張する商品カテゴリーの割合(51.8%)が本件指定商品に該当するものとして直ちに採用することはできない。
したがって、申立人の上記主張は採用することはできない。
オ 小括
以上のとおり、本件商標の指定商品には引用商標の指定商品と同一又は類似する商品を含むとしても、本件商標と引用商標は非類似の商標である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第15号該当性
ア 申立人商標の著名性
申立人商標は、上記(1)イのとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、「せっけん類,化粧品」の分野では、申立人の業務に係る商品(ヘヤケア製品)を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されているものである。
イ 本件商標と申立人商標の類似性の程度
(ア)本件商標と引用商標の類似性の程度
本件商標と引用商標とは、上記(2)ウのとおり、非類似の商標であって、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれがないものであるから、本件商標と引用商標との類似性の程度は低いものである。
(イ)本件商標と使用商標の類似性の程度
a 本件商標
本件商標は、上記1のとおり、「Lix」の文字を標準文字で表してなり、称呼については「リックス」の称呼生じ、観念については特定の観念を生じないものである。
b 使用商標
使用商標は、別掲のとおり、金色の色彩で「Lux」の欧文字をモチーフに「L」の文字の下部と「X」の文字の左下部分を「U」の文字の下をとおる曲線でつながったモノグラム風の態様からなるものである。
そして、使用商標は、上記(1)イのとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係るヘアケア製品を表示するものとして我が国の取引者、需要者の間に広く認識されているということができることからすれば、上記(2)イの引用商標と同様に「ラックス」の称呼を生じ、「申立人のブランド」の観念を生ずるものである。
c 本件商標と使用商標の類似性の程度
本件商標と使用商標を比較すると、本件商標は上記aのとおり、欧文字の「Lix」の文字よりなるものに対して、使用商標は別掲のとおり、金色で「Lux」の欧文字をモチーフにしたモノグラム風の態様からなるものであるから、両者は、外観上、明確に区別できるものである。
次に、本件商標と使用商標の称呼と観念を比較すると、上記(2)ウの本件商標と引用商標の類否と同様に、称呼において、明瞭に聴別できるものであり、観念において相紛れないものである。
そうすると、本件商標と使用商標は、外観において明確に区別できるものであり、称呼において明瞭に聴別できるものであり、観念において相紛れるおそれがないものであるから、これらを総合勘案すれば互いに相紛れるおそれのない非類似の商標というべきであって、本件商標と使用商標との類似性の程度は低いものである。
ウ 出所の混同について
申立人商標は、上記アのとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、「せっけん類,化粧品」の分野では、申立人の業務に係る商品(ヘアケア製品)を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されている商標であるとしても、本件商標と申立人商標は、上記イ(ア)及び(イ)cのとおり、その類似性の程度は低いものである。
そうすると、本件商標は、その商標権者がこれをその指定商品に使用しても、需要者等が申立人商標を連想又は想起することはなく、その商品が申立人あるいは同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないとするのが相当である。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情も見いだせない。
エ 申立人の主張
申立人は、具体的取引の実情として、本件使用商標と申立人の使用商標の類似性について述べているが、「Lix」の文字をロゴ化した標章(商標)である本件使用商標は、外観上、明らかに本件商標と別異の商標であるところ、本件異議申立において、申立人商標など他人の業務に係る商品との出所の混同を生じさせるおそれがあるかについて商標法第4条第1項第15号の該当性を検討すべき商標は、本件商標(出願商標)に限られるものである。
したがって、申立人の主張は、採用することはできない。
オ 小括
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(4)商標法第4項第1項第19号該当性
申立人商標は、上記(1)イのとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、日本国内における需要者等の間に広く認識されているとはいえるものである。しかしながら、本件商標と申立人商標は、上記(2)ウ及び(3)イ(イ)cのとおり、非類似の商標である。
なお、申立人は、申立人商標が著名であって、本件商標の指定商品は、申立人の主力商品であるヘアケア用品を含み、本件使用商標が著名な申立人商標と外観及びデザイン化の方法において類似し、かつ、その使用態様において酷似していることが単なる偶然の一致とは考え難く、申立人の使用商標が既に著名な商標となっていることを十分に知りながら、これと類似する本件商標を出願し、その後これを使用したものであるから、本件商標の出願人は、申立人の「LUX」ブランドの著名性にただ乗りする意図で、本件商標の出願をし、「LUX」ブランドの主力商品にこれを使用したものと認めざるを得ず、また、本件商標出願人が本件商標を使用する結果として、「LUX」ブランドの著名性が希釈化されるおそれが大きいと認めざるを得ないから、本件商標権者がヘアケア用品に本件商標を使用することは、商標法4条1項19号にいう「不正な目的」があったと認められる旨主張する。
しかしながら、本件使用商標は、本件商標とは、外観上、明らかに別異の商標であり、かつ、本件商標は、申立人商標と非類似のものであることから、上記の本件使用商標の使用態様等から、直ちに本件商標が不正の目的をもって使用するものであるとは認められない。
また、申立人が提出した証拠からは、本件商標が不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他不正の目的をもって使用するものと認めるに足る具体的な事実は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
(5)まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同項第15号及び同項第19号のいずれにも該当するとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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2025-900077