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商標異議申立

2025-900049

エス、ショーワインダストリーズ、ショーワ

審判番号
2025-900049
法域
商標
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
商願2024-004843
登録番号
6876405
請求日
2025年02月25日
審決日
2025年07月03日
公報発行日
2025年08月29日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】株式会社昭和インダストリーズ
  • 【異議申立人】日立Astemo 株式会社
  • 【異議申立人代理人】島田 敏史
審判長/審判官
  • 審判長 小林 正和
  • 審判官 渡邉 あおい
  • 審判官 吉岡 めぐみ
分類
T1651.255-Y (W12) / T1651.261-Y (W12) / T1651.262-Y (W12) / T1651.263-Y (W12) / T1651.271-Y (W12)
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第4条第1項第10号、商標法第4条第1項第11号、商標法第4条第1項第15号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

登録第6876405号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。

結論

結 論 登録第6876405号商標の商標登録を維持する。

理由

理 由 第1 本件商標 本件登録第6876405号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、令和6年1月19日に登録出願、第12類に属する別掲2の商品を指定商品として、同年12月2日に登録査定、同月16日に設定登録されたものである。 第2 登録異議申立人が引用する商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標は、次の(1)ないし(3)のとおりであり、いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。 以下、これらをまとめて「引用商標」という。 (1)登録第2716988号商標(以下「引用商標1」という。) 商標の構成:別掲3のとおり 登録出願日:平成3年12月19日 設定登録日:平成8年10月31日 書換登録日:平成18年9月20日 指定商品 :第12類「自動車用ショックアブソーバー,その他の緩衝器,ばね」 (2)登録第5410103号商標(以下「引用商標2」という。) 商標の構成:別掲4のとおり 登録出願日:平成22年11月4日 設定登録日:平成23年4月28日 指定商品 :第12類「自動車及び二輪自動車用緩衝器,二輪自動車用フロントフォーク,自動車用ガススプリング,自動車用パワーステアリング装置及びその部品,自動車用アキュムレーター,自動車用プロペラシャフト,自動車及び二輪自動車用差動装置,自動車の差動装置用シャフト,自動車及び二輪自動車用サスペンション」を含む第12類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品 (3)登録第6099429号商標(以下「引用商標3」という。) 商標の構成:別掲5のとおり 登録出願日:平成29年11月2日 設定登録日:平成30年11月16日 指定商品 :第12類「二輪自動車,二輪自動車の部品及び附属品,自動車,自動車の部品及び附属品,二輪自動車用緩衝器,自動車用緩衝器,自動車用及び二輪自動車用の電子制御式の緩衝器,二輪自動車用のフロントフォーク」を含む第12類及び第16類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品 第3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は、その指定商品中、第12類「タイヤ又はチューブの修繕用ゴム貼り付け片,チューブ修理用具,チューブ修理用粘着性ゴムパッチ牽引車,荷役用索道,乗物用盗難警報器,乗物用盗難防止警報器,乗物用盗難防止装置」以外の商品について、商標法第4条第1項第10号及び同項第11号に違反して登録されたものであり、また、第12類の全指定商品について、同項第15号に違反して登録されたものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第14号証(枝番を含む)を提出した。 以下、証拠の表記にあたっては、「甲第○号証」を「甲○」のように省略して記載し、枝番号の全てを示すときは、枝番号を省略して記載する。 1 申立人及び申立人の使用する商標について 申立人は、1938年に設立された昭和航空精機株式会社を前身とする、株式会社ショーワが、日立オートモティブシステムズ株式会社等とともに、2021年に経営統合して設立された。 そして、前々身である昭和航空精機株式会社の頃から、二輪車用製品や四輪車用製品の製造を継続的に現在に至るまで80年以上行っており、当該製品には引用商標を使用していた(甲5)。 申立人の「SHOWA」製品の自動車用ショックアブソーバー(緩衝器)業界での市場シェアは、日本市場では第3位であり(甲6)、二輪車用サスペンション業界での市場シェアは1位であって(甲7)、シェアの規模は大きいといえる(甲8)。 「SHOWA」製品は、二輪車の主要メーカーで取り扱われており(甲9及び甲10)、二輪車専門誌で特集が行われ(甲11)、著名オートレーサーのユニフォームや二輪車本体に、引用商標の表示が行われていることから、二輪車業界で高い関心を集めている(甲11)。 以上より、引用商標は、需要者の間に広く認識されている商標といえる。 2 本件商標と引用商標の類似について 引用商標の「SHOWA」の文字は、周知性を有していることから、当該文字部分は、取引者や需要者に対し商品の出所識別機能として強く支配的な印象を与えるといえるので、本件商標と引用商標の類似の判断は、「SHOWA」部分の比較により行うべきである。 本件商標と引用商標の「SHOWA」部分について比較すると、称呼はどちらも「ショーワ」で同一であり、どちらもすべてアルファベットの大文字で構成されていることから、両者の「SHOWA」部分は類似しており、本件商標と引用商標は類似するものといえる。 本件商標の指定商品中、「タイヤ又はチューブの修繕用ゴム貼り付け片、チューブ修理用具、チューブ修理用粘着性ゴムパッチ牽引車、荷役用索道、乗物用盗難警報器、乗物用盗難防止警報器、乗物用盗難防止装置」以外の商品は、引用商標の指定商品と類似している。 3 商標法第4条第1項第10号該当性について 本件商標は、長年に渡り特に二輪車、四輪車の業界において日本国内外においてその取引者、需要者の間で周知性を獲得し、広く一般に知られている引用商標と類似のものであり、引用商標と類似の指定商品で使用をするものであるから、商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものである。 4 商標法第4条第1項第11号該当性について 本件商標は、「SHOWA」と「INDUSTRIES」の2つの英単語で構成されており、両者の間には空白があることから、これを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分に結合しているとはいえない。 そして、「SHOWA」の文字は、申立人の商標として周知性を有しているから、当該文字部分は、取引者や需要者に対し商品の出所識別機能として強く支配的な印象を与えるといえ、本件商標からは、「SHOWAINDUSTRIES」の一連の呼称や観念のほか、「SHOWA」の呼称及び観念をも生じる。 本件商標と引用商標の「SHOWA」部分について比較すると、称呼はいずれも「ショーワ」で同一であり、どちらもすべてアルファベットの大文字で構成されていることから、両者の「SHOWA」部分は類似しており、本件商標と引用商標は類似するものといえる。 本件商標の指定商品中「タイヤ又はチューブの修繕用ゴム貼り付け片,チューブ修理用具,チューブ修理用粘着性ゴムパッチ牽引車,荷役用索道,乗物用盗難警報器,乗物用盗難防止警報器,乗物用盗難防止装置」以外の指定商品と、引用商標の指定商品は類似している。 以上より、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。 5 商標法第4条第1項第15号該当性について 申立人の前身である株式会社ショーワは、1992年から1997年の間、自転車用緩衝器を販売しており(甲12)、2004年には、自転車用のサスペンションの試作品を提供したこともある。 そして、「SHOWA」製品は、自転車競技の専門誌にも掲載された(甲13)ことから、「SHOWA」は自転車業界に関連がある商標である。 また、二輪車と自転車は、同じメーカーが製品の製造、販売を行うことがあり(甲14)、さらに、本件商標の指定商品中、「タイヤ又はチューブの修繕用ゴム貼り付け片、チューブ修理用具、チューブ修理用粘着性ゴムパッチ、牽引車、荷役用索道、乗物用盗難警報器、乗物用盗難防止警報器、乗物用盗難防止装置」は、いずれも自転車の修理に使用し、自転車に取り付けが可能な商品であり、自転車関係製品と関連を有し、類似するものである。 以上より、引用商標は、自動車業界、二輪車業界で著名な商標であり、過去には、引用商標は自転車業界でも使用されていたことがあり、二輪車と自転車は同一メーカーが取り扱うことも実際にあることから、引用商標と類似する本件商標が二輪車製品のみならず、自転車製品に使用をされると、引用商標に関する製品であると誤信され、広義の混同を生ずる恐れがあり、引用商標と類似の本件商標がその指定商品に使用された場合、商品の出所について混同を生ずるおそれがある。 仮に、本件商標と引用商標との類似性、又は、指定商品の類似性が認められない場合であっても、本件商標は、「SHOWA」の文字を使用するものであり、著名な商標である引用商標を連想させるものであるから、本件商標が自転車製品に使用されると、引用商標に関する製品であると誤信され、広義の混同を生じ、商品の出所について混同を生ずる恐れがある。 よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。 6 むすび 本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同項第11号又は同項第15号に違反して登録されたものであるから、取り消されるべきである。 第4 当審の判断 1 引用商標の周知性について (1)申立人の主張及び同人の提出した証拠によれば、次のとおりである。 (ア)申立人は、1938年に設立された昭和航空精機株式会社を前身とする株式会社ショーワが、日立オートモティブシステムズ株式会社等とともに、2021年に経営統合したことによって設立されたものであり、昭和航空精機株式会社であった1946年から自動車用部品の製造を開始した(甲5及び申立人の主張)。 (イ)申立人の自動車用ショックアブソーバー(緩衝器)業界での市場シェアは、日本市場では第3位であり(甲6及び申立人の主張)、自動二輪車用サスペンション業界での市場シェアは1位である(甲7及び申立人の主張)。 (ウ)申立人の引用商標である「SHOWA」を付した商品が、自動二輪車の主要メーカーで取り扱われ(甲10)、自動二輪車専門誌に特集の掲載(甲11)、著名オートレーサーのユニフォームや自動二輪車本体に、引用商標の表示が行われている(甲11)。 (エ)申立人は、1992年から1997年の間、自転車用緩衝器に、申立人の引用商標である「SHOWA」を付した商品を販売していた(甲12)。 (2)上記(1)によれば、甲6の「(自動車用)ショックアブソーバー」の市場シェアグラフにおいて、申立人(旧株式会社ショーワ)の市場シェアが20%である記載があり、甲7には、申立人の商品である「二輪自動車用サスペンション」の市場シェアが1位である旨の記載があり、申立人の商品に係る二輪自動車の専門誌への掲載(甲11)を考慮すれば、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品である「自動車用ショックアブソーバー」及び「二輪自動車用サスペンション」を表す商標として、自動車用の部品又は二輪自動車の部品に関心の高い需要者の間では、ある程度知られていることをうかがい知ることができる。 しかしながら、甲5の「ショーワ・沿革」によれば、申立人が、「1946年 自動車用部品の製造を開始」、「1960年 二輪車用ショックアブソーバー(フロントフォーク、リヤクッション)を製造」、「1965年 四輪車用ショックアブソーバを製造」との記載はあるものの(甲5)、引用商標の使用開始時期や使用状況については記載がなく、ほかに客観的な資料は見いだせない。 また、甲7は、申立人自身が作成した事業戦略資料であるところ、申立人の業務に係る当該商品の市場シェアを客観的に裏付ける他の証拠の提出はない。 そして、申立人商標の使用態様、当該商標が使用された商品の販売状況(販売数、売上高等)や宣伝広告状況(費用、範囲等)を定量的に確認できる客観的な資料の提出もないことから、引用商標の周知性を認めるには不十分といわざるを得ないものである。 その他に、申立人の業務に係る商品が広く知られていると認め得る事情は見当たらない。 したがって、申立人の提出に係る証拠によっては、引用商標の周知性の程度を推し量ることはできないから、引用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されているものとは認めることはできない。 2 商標法第4条第1項第11号該当性について (1)本件商標 本件商標は、別掲1のとおり、赤色の楕円中に、橙色の楕円を配してなる図形(橙色の楕円は、赤色のS字状の波線で分断されている)と、その右側に、赤色で「SHOWA INDUSTRIES」の欧文字を普通に用いられる方法で横書きしてなるところ、当該図形は、特定の事柄を表したものとは理解できないものであるから、ここから特定の称呼及び観念は生じない。 また、本件商標の構成中の「SHOWA」の文字は、例えば「しょうわのひ(昭和の日)」の説明として、「the Day of Showa(4月29日)」が辞書に掲載されていることから(プログレッシブ和英中辞典 第4版 小学館)、元号である「昭和」のローマ字表記であることを認識させるものであり、「INDUSTRIES」の文字は、「産業」等を意味する「INDUSTRY」の複数形を認識させるものである(プログレッシブ英和中辞典 第5版 小学館)ところ、両文字部分は、スペースを介して、同書、同大、同色、等間隔でまとまりよく一体に表されており、これより生じる「ショーワインダストリーズ」の称呼もよどみなく一連に称呼し得るものであるため、全体として、「昭和の産業」程の意味合いが生じ得るものである。 そうすると、本件商標の文字部分の構成、称呼及び観念からすれば、取引者、需要者は、本件商標の文字部分の構成全体をもって、一体不可分のものとして認識し、把握するとみるのが相当である。 さらに、前記1のとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されているものとは認めることはできないものであるから、本件商標中の「SHOWA」の文字部分から、引用商標を想起するとはいえないものである。 してみれば、本件商標は、その文字部分について、一体不可分のものであるといわなければならない。 したがって、本件商標は、その構成全体から「ショーワインダストリーズ」の称呼を生じ、「昭和の産業」程の観念が生じるものである。 (2)引用商標 引用商標は、別掲3ないし別掲5のとおり、「SHOWA」の欧文字を図案化してなるものである(引用商標3については、図案化された「SHOWA」の欧文字に加えて、変形した2つの三角形の図形も付されている。)。 そして、「SHOWA」の文字は、前記(1)のとおり、元号である「昭和」を認識させるものである。 よって、引用商標からは、「ショーワ」の称呼を生じ、元号である「昭和」の観念を生じる。 (3)本件商標と引用商標の類否 本件商標と引用商標とを比較すると、両者は、外観については、特徴のある図形及び色彩の有無のほか、後半部における「INDUSTRIES」の語の有無の差異を有し、それらの差異が全体の視覚に与える影響は大きく、別異の印象を与えるというべきであるから、外観において、相紛れるおそれはない。 また、称呼については、本件商標から生じる「ショーワインダストリーズ」の称呼と引用商標から生じる「ショーワ」の称呼とは、後半部における「インダストリーズ」の音の有無において差異があり、その差異が称呼全体に与える影響は大きく、全体の音調、音感が明らかに異なるものであり、明瞭に聴別し得るものであるから、称呼において相紛れるおそれはない。 さらに、観念については、本件商標からは、「昭和の産業」程の観念を生じるのに対し、引用商標からは、「昭和」の観念を生じるものであるから、観念において相紛れるおそれはない。 そうすると、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれはないから、非類似の商標というべきである。 (4)小括 以上のとおり、本件商標は、引用商標と非類似の商標であるから、たとえ、本件商標の指定商品中、申立てに係る商品と引用商標の指定商品が同一又は類似するものであるとしても、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 3 商標法第4条第1項第10号該当性について 引用商標は、上記1のとおり、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の需要者の間に広く認識されているとはいえないものである。 また、前記2のとおり、本件商標と引用商標とは非類似の商標である。 以上よりすれば、本件商標は、他人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標であって、その商品又はこれに類似する商品について使用をするものということはできない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。 4 商標法第4条第1項第15号該当性について 引用商標は、上記1のとおり、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の需要者の間に広く認識されているとはいえないものである。 そして、本件商標と引用商標とは、前記2のとおり、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれはない非類似の商標であるから、たとえ、「SHOWA」の構成文字を共通にするとしても、その類似性の程度は低いといわなければならず、また、「SHOWA」の文字(語)は、元号である「昭和」を認識させる既存の語といえるから、当該文字を図案化してなる引用商標の文字部分についての独創性の程度は低いといわなければならない。 そうすると、たとえ、本件商標の指定商品と申立人の業務に係る商品との関連性及び需要者の共通性があるとしても、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品について使用しても、取引者、需要者をして引用商標を連想又は想起させることはなく、その商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。 その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 5 むすび 以上のとおり、本件商標の指定商品についての登録は、商標法第4条第1項第10号、同項第11号及び同項第15号のいずれにも違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。 よって、結論のとおり決定する。

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