商標異議申立
2025-900040
ブラックホース、ホース
- 審判番号
- 2025-900040
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 商願2024-111503
- 登録番号
- 6878537
- 請求日
- 2025年02月12日
- 審決日
- 2025年09月02日
- 公報発行日
- 2025年10月31日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】株式会社レベルステップ
- 【異議申立人】新谷 春江
- 審判長/審判官
- 審判長 高橋 幸志
- 審判官 小俣 克巳
- 審判官 白鳥 幹周
- 分類
- T1651.22 -Y (W05)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項7号商標法43条の2商標法43条の3第4項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第7号、商標法第4条第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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登録第6878537号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。
結論
結 論
登録第6878537号商標の商標登録を維持する。
理由
理 由
1 本件商標
本件登録第6878537号商標(以下「本件商標」という。)は、「BLACKHORSE」の文字を標準文字で表してなり、令和6年10月17日に登録出願、第5類「栄養補助食品,サプリメント」を指定商品として、同年12月12日に登録査定され、同月19日に設定登録されたものである。
2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件異議申立てにおいて引用する商標(以下「引用商標」という。)は、ロイヤルハニージャパンが商品「サプリメント」に使用すると主張する「Black Horse」(筆記体)の欧文字からなるものである。
3 申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当するものであるから、その登録は取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第3号証を提出した。
(1)甲第1号証によれば、本件商標の権利者(以下「本件商標権者」という。)は、神奈川県相模原市に所在する株式会社レベルステップである。
本件商標は、「BLACKHORSE」の欧文字を筆記体風(決定注:「筆記体風」は誤記と認める。)に表記した標準文字商標であり、その指定商品は第5類「栄養補助食品、サプリメント」である。
(2)甲第2号証によれば、「Black Horse」の欧文字が視認できる商標を付したサプリメントは、本件商標権者とは異なる者が運営するロイヤルハニージャパンによって「Royal Honey」の関連商品として、2020年から販売されている。
「Royal Honey」は当該会社により2012年から継続的に販売されており、関連商品は累計で450万箱(決定注:申立書中「4,500,00」の記載は「4,500,000」の誤記と判断した。)あまり販売する実績がある。
(3)甲第3号証によれば、本件商標権者の設立は2021年であることが確認される。
(4)本件商標と引用商標を比較すると、両者は「ブラックホース」と発音し、「黒い馬」を想定する点において共通することから、商標は類似である。
また、両者が類似する商標を付して販売している商品はいずれもサプリメントであることは明らかである。
この事実を踏まえると、2012年に開設したロイヤルハニージャパンが展開する商品ブランド及びその名称を、本件商標権者が登録出願した可能性が高いと考えられる。
さらに、本件商標の登録出願は、ロイヤルハニージャパンが販売する商品の周知性を認識した上で行われたものと推認される。
(5)上記の事実を踏まえると、本件商標のような登録出願が登録され、後発的に参入した本件商標権者に独占的な権利が生じることは、公正な商取引秩序を害するものであり、商標法第4条第1項第7号(公序良俗違反)に該当すると考える。
4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第7号の裁判例
商標法第4条第1項第7号に該当する商標とは、「商標法第4条第1項第7号でいう「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」には、(ア)その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、矯激若しくは他人に不快な印象を与えるような文字又は図形である場合、(イ)当該商標の構成自体がそのようなものでなくとも、指定商品又は指定役務について使用することが社会的公共の利益に反し、社会の一般的道徳観念に反する場合、(ウ)他の法律によって、当該商標の使用等が禁止されている場合、(エ)特定の国若しくはその国民を侮辱し、又は一般に国際信義に反する場合、(オ)当該商標の登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合、などが含まれるというべきである。」(平成17年(行ケ)第10349号判決。)とされている。
そして、当事者間における権利取得が争点である商標の商標法第4条第1項第7号の適用について、「商標法は、出願人からされた商標登録出願について、当該商標について特定の権利利益を有する者との関係ごとに、類型を分けて、商標登録を受けることができない要件を、法4条各号で個別的具体的に定めているから、このことに照らすならば、当該出願が商標登録を受けるべきでない者からされたか否かについては、特段の事情がない限り当該各号の該当性の有無によって判断されるべきであるといえる。」(平成19年(行ケ)第10391号判決)とされている。
さらに、「当該出願人が本来商標登録を受けるべき者であるか否かを判断するに際して、先願主義を採用している日本の商標法の制度趣旨などからすれば、商標法第4条第1項第7号の「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれ」を私的領域にまで拡大解釈することによって商標登録出願を排除することは、商標登録の適格性に関する予測可能性及び法的安定性を著しく損なうことになるので、特段の事情のある例外的な場合を除くほか、許されないというべきである。そして、特段の事情があるか否かの判断に当たっては、出願人と、本来商標登録を受けるべきと主張する者との関係を検討して、例えば、本来商標登録を受けるべきであると主張する者が、自らすみやかに出することが可能であったにもかかわらず、出願を怠っていたような場合や、契約等によって他者からの登録出願について適切な措置を採ることができたにもかかわらず、適切な措置を怠っていたような場合は、出願人と本来商標登録を受けるべきと主張する者との間の商標権の帰属等をめぐる問題は、あくまでも、当事者同士の私的な問題として解決すべきであるから、そのような場合にまで「公の秩序や善良な風俗を害する」特段の事情がある例外的な場合と解するのは妥当でない。」(平成19年(行ケ)第10391号判決)とされている。
(2)商標法第4条第1項第7号該当性
上記(1)の裁判例に基づき、申立人の主張及び同人の提出した証拠を以下検討する。
本件商標は、上記1のとおり、「BLACKHORSE」の欧文字を横書きした構成からなるものである。
そして、申立人は、ロイヤルハニージャパンが「Black Horse」の文字を使用していること(甲2)を踏まえ、ロイヤルハニージャパンが展開する商品ブランド及びその名称を、本件商標権者が出願した可能性が高いと考えられ、このような事実に基づけば、本件商標のような出願が登録され、後発的に参入した本件商標権者に独占的な権利が生じることは、公正な商取引秩序を害する旨主張する。
しかしながら、上記(1)のとおり、先願主義を採用している日本の商標法の制度趣旨などからすれば、商標法第4条第1項第7号の「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれ」を私的領域にまで拡大解釈することによって商標登録出願を排除することは、特段の事情のある例外的な場合を除くほか、許されないというべきであるから、単に他人が使用している商標と同一又は類似する商標を出願したという事実のみをもって、本件商標の出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合に該当するということはできない。
また、本件商標は、その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、きょう激又は他人に不快な印象を与えるような文字ではなく、本件商標権者が本件商標をその指定商品に使用することが社会公共の利益に反し、社会の一般的道徳観念に反する場合に該当するとはいえないものであり、さらには、他の法律によって当該商標の使用等が禁止されているものではないし、他国の国民感情を害することや国家間の信用を毀損することなど国際信義に反するような事情を見いだすこともできない。
したがって、本件商標は、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標とはいえないことから、商標法第4条第1項第7号に該当しない。
なお、申立人は、ロイヤルハニージャパンが販売する商品の周知性を認識した上で本件商標が出願されたこと併せて主張するが、申立人が提出した証拠のうち、ロイヤルハニージャパンによる商標の使用に係るもの(甲2)は、その印刷日及びURLや、「Black Horse」の文字が使用されている商品が具体的に何であるか等が不明であるから、当該証拠をもってしては、引用商標が、本件商標の出願前から商品「サプリメント」に使用されていたことや、それが需要者の間に広く知られていたということを、客観的に認めることもできないことから、当事者間の権利取得に関することを規定した他の商標法第4条第1項各号に該当するということもできない。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当するとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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