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商標異議申立

2025-900021

アッパーボイド、アッパー、ボイド

審判番号
2025-900021
法域
商標
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
商願2024-051990
登録番号
6864125
請求日
2025年01月17日
審決日
2026年02月10日
公報発行日
2026年04月24日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】劉 成龍
  • 【異議申立人】シャンハイ アッパーボイド テクノロジー カンパニー リミテッド
  • 【異議申立人代理人】弁理士法人三枝国際特許事務所
審判長/審判官
  • 審判長 板谷 玲子
  • 審判官 小田 昌子
  • 審判官 馬場 秀敏
分類
T1651.18 -Y (W25) / T1651.22 -Y (W25) / T1651.25 -Y (W25) / T1651.222-Y (W25) / T1651.271-Y (W25)
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第3条第1項、商標法第4条第1項第19号、商標法第4条第1項第7号、商標法第4条第1項第10号、商標法第4条第1項第15号、商標法第43条の3第4項
データ出所
審決公報(XML)

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登録第6864125号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。

結論

結 論 登録第6864125号商標の商標登録を維持する。

理由

理 由 1 本件商標 本件登録第6864125号商標(以下「本件商標」という。)は、「UPPERVOID」の欧文字を標準文字で表してなり、令和6年5月16日に登録出願、第25類「被服,外衣,ジャージー製運動用衣服及びジャージー製運動用特殊衣服(「水上スポーツ用特殊衣服」を除く。),新生児用被服,水泳着,水泳帽,防水加工を施した被服,スキー靴,運動靴及び運動用特殊靴,帽子,メリヤス下着、メリヤス靴下,スキー用手袋,スカーフ,ガードル,アイマスク」を指定商品として、同年10月29日に登録査定、同年11月12日に設定登録されたものである。 2 登録異議申立人が引用する商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が本件商標について引用する中国登録第67002429号商標(以下「引用商標1」という。)及び中国登録第49442118号商標(以下「引用商標2」という。)は、「UPPERVOID」の欧文字を書してなり、中国登録第62387495号商標(以下「引用商標3」という。)は、別掲のとおりの構成からなるものであり、申立人が商品「被服」を表示するものとして周知性を有していると主張するものである。以下、これらをまとめていうときは、「引用商標」という。 3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は、商標法第3条第1項柱書に違反し、同法第4条第1項第7号、同項第10号、同項第15号及び同項第19号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第12号証(枝番号を含む。以下、枝番号の全てを示すときは、枝番号を省略する。)を提出した。 (1)申立人及び引用商標について 申立人は、2020年に上海で設立された企業である(甲3)。 そして、引用商標は、同社が展開するアウトドア系ファッションブランドに係る商標であり、申立人により、中国、及び、関連会社により、欧州、英国においても複数の商標登録がされており、本件商標の指定区分である第25類においても、同一又は類似の商品を含む複数の商標が登録されている(甲2、甲9)。 中国の登録商標は、全て本件商標の登録出願日よりも前に登録されている(甲2)。同ブランドは、2020年の設立以来、認知度を拡大し、2021年1月に数百万ドル、同年8月には数千万人民元規模の資金調達を実施したほか、2024年8月にも数千万人民元規模の資金調達を実施するなど、投資家からの継続的かつ強い支持を受けている(甲4)。 中国の大手ECショッピングモールであるTMALLでは、同ブランドのオンラインショップが20万人以上のフォロワーに登録されていることも確認できる(甲5の1)。また、本件商標の登録出願前から「被服」に使用される申立人のブランド名として、引用商標が継続的に紹介されている(甲4の1、甲5の2~甲5の7)。 指定商品の分野に関する受賞歴等についても、2020年には中国メディア「浪潮新消費」により、「中国で最も有望な新ブランドトップ100」に選出されている(甲6の1、甲6の2)。 また、2021年には、JETROのレポートの情報源としても依拠される世界的な有名な分析機関である「iiMedeia Research」により、「2021年全国トレンド新消費者ブランドパワーリスト」に選出され、その選出された企業の中から「最優秀中国新ブランド賞」を受賞している(甲6の3~甲6の6)。さらに、2022年には、同分析機関により、「2022年中国新興衣料品・靴・帽子ブランド15」にも選出され、中国国内での評価を確立している(甲6の7、甲6の8)。 同ブランドは、製品に素材を提供する様々なサプライヤーが関与しており、アウトドアシーンで活躍する高い機能性及びデザイン性を有した製品を製造している(甲4の1、甲7)。これらの点が評価され、2022年には世界的に権威ある国際デザイン賞であるレッドドット・デザイン賞及びジャーマン・デザイン賞を受賞しており、国際的にも高く評価されている(甲8、甲10の2)。 このような国際的な賞の受賞によって、海外メディアやバイヤーからの注目度も高まり、欧州、米国、日本等にも市場を広げている(甲4の2、甲4の5)。そして、欧州、英国、米国において、関連企業である「Gloriant Consultig Limited」名義で「UPPERVOID」が出願又は登録されており(甲9)、英国を除いて、本件商標の登録出願日よりも前にこれらの商標は、出願されている。 日本市場においては、上述した受賞製品を含む製品の販売について、クラウドファンディングサービスで2件のプロジェクトが本件商標の登録出願日より前に開始され、合計で1,000万円以上の応募購入額を記録している(甲10)。 これらの具体的な事実を総合的に考慮すると、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、少なくとも中国、日本において引用商標は、申立人の業務に係る商品「被服」を表示するものとして、高い周知性を有していた。 (2)本件商標権者について 本件商標権者は、申立人とは全く無関係の第三者であって、申立人が調査したところ、本件商標権者は、2024年5月16日から同年9月19日までの短期間に、本件商標のほかに少なくとも3件の商標について出願していることが、J-PlatPat上で確認され(甲11の1~甲11の4)、これらの各商標は、その登録出願日より前に中国において、他人により同一又は類似の商標が出願又は登録されており、かつ、これらの商標は、他人の商標として中国国内で広く知られているものである(甲11の5~甲11の12)。さらに、本件商標権者が日本国内において、商品の製造・販売や役務の提供等の商取引を行っていることを示す証拠は、一切確認されていない。 特筆すべきは、そのうちの「powster」(商願2024-45812)について、商標法第4条第1項第19号の拒絶理由が通知されていることである。本件においても本件商標権者が不正の利益を得る等の目的をもって出願したことは明らかである(甲12)。 (3)商標法第3条第1項柱書について 本件商標権者は、短期間に、「第三者商標」と同一又は類似の商標を本件商標以外に3件、登録出願しているところ、現在に至るまで、当該商標をその指定商品やその他の業務に使用した事実はうかがわれない。 そうすると、本件商標権者は、申立人の使用する引用商標について出願し、登録された商標を収集しているにすぎないというべきであって、本件商標は、登録査定時において、現に自己の業務に係る商品又は役務に使用をしている商標に当たらない上、本件商標権者には、その使用意思も認められない。 したがって、本件商標は商標法第3条第1項柱書に違反している。 (4)商標法第4条第1項第7号について 本件商標は、辞書等に載録が認められない造語であり、申立人のブランド名称と同一又は類似である。また、本件商標の指定商品は、使用商品「被服」を含むものである。これが偶然に一致したと考えることは相当でない。 さらに、上述したとおり、本件商標権者は、本件商標以外にも、他人の使用する同一又は類似の商標を3件出願しており、本件商標権者が我が国において商取引を行っている事実をうかがわせる証拠を何ら発見することはできない。 そして、本件商標権者は、中国人であり、中国で周知な引用商標を当然知っていたと考えられる。 そうすると、本登録行為は、申立人に承諾を得ずに先取り的に登録出願をし、登録を得たものであって、商標権者の行為は、申立人の我が国における事業の遂行を阻止し、引用商標による利益の独占を図る意図でしたものであって、剽窃的なものといわなければならない。 したがって、本件商標の登録出願の経緯には、著しく社会的妥当性を欠くものがあり、その商標登録を認めることは、公正な競業秩序を害するものであって、公序良俗を害するおそれがある商標というべきである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。 (5)商標法第4条第1項第19号について 上述のとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時において、中国及び日本の取引需要者の間で、申立人の業務に係る商品「被服」を表示するものとして広く知られていた。そして、その周知性は、本件商標の登録査定時においても継続していたものといえる。 また、本件商標と引用商標は、同一又は類似であり、本件商標の指定商品に含まれる「被服」は、申立人の業務に係る商品と同一である。 そして、引用商標は、造語であり、これが偶然に一致するとは到底考えられない。また、本件商標権者が日本において、他人に使用されている商標を複数冒認出願していることが確認できる。 さらに、本件商標を使用した製品にかかるクラウドファンディングは、本件商標の登録出願前にスタートしており、申立人が引用商標を商品「被服」等に用いて日本進出を図っていたことは明らかである。 これらの事情を考慮すると、引用商標が我が国において未だ登録されていないことを奇貨として外国権利者の国内参入を阻止し、又は国内代理店契約を強制する目的、又は引用商標の顧客吸引力を希釈化若しくは便乗し、不当な利益を得る等の目的のもとに出願し、権利を取得したものと推認せざるを得ない。 したがって、本件商標は商標法第4条第1項第19号に該当する。 (6)商標法第4条第1項第10号について 上述のとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国における取引需要者の間で、少なくとも「被服」についての申立人の商標として広く知られていたと推認される。本件商標は、引用商標と同一又は類似である。また、本件商標の指定商品「被服」は、申立人の使用商品「被服」と同一である。 したがって、本件商標は商標法第4条第1項第10号に該当する。 (7)商標法第4条第1項第15号について 上述のとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国における取引需要者の間で、「被服」について、申立人の業務に係る商標として広く知られていたと推認される。また、本件商標は、引用商標とは実質的に同一の商標であるから、類似性の程度は非常に高い。 また、引用商標を構成する文字は、申立人が独自に考案した造語であり、独創性の程度は非常に高く、かつ、申立人のハウスマークである(英語名)。さらに、本件商標の指定商品「被服」は、申立人の使用商品「被服」と同一であり、商品の需要者が一致する。 そうすると、本件商標権者によって、本件商標が使用された場合には、その商品に接する取引需要者は、取引上要求される一般的な注意をもってしても、その商品が申立人の商品であるとか、申立人と経済的又は組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であると誤認し、商品の出所について混同を生ずる可能性は十分に予想され、需要者がその出所について混同を生じることは明らかである。 したがって、本件商標はその登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがあり、商標法第4条第1項第15号に該当する。 4 当審の判断 (1)引用商標の周知性について ア 申立人の提出に係る証拠及び同人の主張によれば、以下のとおりである。 (ア)申立人は、衣類・アパレル卸売のほか、技術開発等を事業内容とする企業であって、2020年に上海で設立された(甲3の1)。そして、「中国ブランドマネージャーとの対談」(2022年4月12日)のウェブサイト(甲4の1)には、申立人の創業者の紹介とともに引用商標が表示され、「2020年にアウトドア衣料ブランドUPPERVOIDを設立しました。同ブランドは設立以来、2回の資金調達を完了し、順調に成長を続けています。」の記載がある。 (イ)「中国のファッション消費企業16社が資金調達を達成」(2021年1月22日)を見出しとするウェブサイト(甲4の3)には、「インターネット従事者向けのライフスタイル消費者ブランドであるUPPERVOIDは・・・エンジェルラウンドの資金調達で数百万ドルを調達したと発表した。今回の資金調達は、チーム構築、製品開発、マーケティングに使用されます。UPPERVOIDはインターネット専門家(主に男性プログラマー)をターゲットにしており、ジャケットからスタートし、このグループの人々のニーズに基づいて、バックパックやスポーツシューズなどのSKUを徐々に拡大しています。」の記載がある。 (ウ)「自然に触れる機能的な衣料ブランドUPPERVOIDがオフラインストアをオープン」(2023年12月28日)を見出しとするウェブサイト(甲5の6)には、「2023年12月22日、UPPERVOIDのオフライン実店舗が南京MixCにオープンしました。同時に12月30日に成都に初のコミュニティストアもオープンします。」の記載がある。 (エ)2020年には中国メディア「浪潮新消費」により、「UPPERVOID」が「中国で最も有望な新ブランドトップ100」に選出されている(甲6の1、甲6の2)。 また、2021年には、JETROのレポートの情報源としての分析機関である「iiMedia Research」により、「2021年全国トレンド新消費者ブランドパワーリスト」に選出され、その選出された企業の中から「最優秀新中国ブランド賞」を受賞している(甲6の3~甲6の6)。さらに、2022年には、同分析機関により、「2022年中国新興衣料品・靴・帽子ブランドトップ15」にも選出されている(甲6の7、甲6の8)。 (オ)申立人のウェブサイト(甲7)には、「マテリアルパートナー」として、「3M」、「TEIJIN」、「YKK」等が示されているが、当該ウェブサイトの掲載日は不明である。 (カ)「Makuake」のウェブサイト(甲10の1)には、「UPPERVOID_JAPAN」の表示の下、応援購入総額が、1,000万円以上、プロジェクト数が2件とされているが、掲載日が不明である。 「PRTImES」のウェブサイト(甲10の4)には、「権威ある世界のデザイン賞をダブル受賞。一生モノの品質。次世代テックウェア:UPPERVOID「C++2.0」が“Makuake”にて日本初上陸。」(2024年2月22日)の見出しの下、引用商標3の表示、「こだわりの日本素材を採用 多機能アウトドアウェア」の記載とともに、世界的なデザイン賞をダブル受賞していることが紹介されている。また、当該ウェブサイトには、「TOTAL TRADE JAPAN合同会社・・・と株式会社Reen・・・は、アウトドアウェアブランド「UPPERVOID」の日本総代理店として、同ブランドの代表作「C++2.0」の日本国内における先行販売を、2024年2月20日(火)から応援購入サービス“Makuake”にて開始いたしました。」の記載がある。 イ 上記ア(ア)ないし(カ)からすると、申立人は、2020年にアウトドア衣料ブランド「UPPERVOID」を設立し、インターネット専門家(主に男性プログラマー)をターゲットにしたジャケット、バックパックやスポーツシューズを販売していることが認められる。 そして、中国メディア「浪潮新消費」により、「中国で最も有望な新ブランドトップ100」に選出、「iiMedia Research」により、「2021年全国トレンド新消費者ブランドパワーリスト」に選出され、その選出された企業の中から、「最優秀新中国ブランド賞」を受賞し、また、「2022年中国新興衣料品・靴・帽子ブランドトップ15」にも選出されているが、中国における受賞歴であり、その選出方法や範囲がどういったもので行われたのかは不明である。 また、日本素材を使用したUPPERVOID「C++2.0」が世界的なデザイン賞をダブル受賞した報道は、2024年2月22日のものであり、また、我が国における先行販売は、2024年2月20日から開始しており、これらは、本件商標の登録出願のわずかに約3か月前のことである。 その他、引用商標を使用した申立人の業務に係る商品についての我が国及び中国をはじめとする外国における市場シェア、売上高などの販売実績、広告宣伝の方法や回数、費用規模など、その周知性を具体的、かつ、客観的に把握することができる証拠は提出されていない。 したがって、提出された証拠からは、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用商標が、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国及び外国における取引者、需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。 (2)商標法第4条第1項第10号該当性について 本件商標と引用商標は、上記1及び2のとおり、「UPPERVOID」(同文字をデザイン化したものを含む。)の欧文字からなるものであるから、両者は、文字綴りを同一にし、同一又は類似の商標といえる。 しかしながら、引用商標は、上記(1)のとおり、提出された証拠からは、申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているとはいえない。 そうすると、本件商標は、商標法第4条第1項第10号を適用するための要件を欠くものであるから、同号に該当しない。 (3)商標法第4条第1項第15号該当性について 本件商標と引用商標とは、類似性の程度が高いとしても、引用商標は、上記(1)のとおり、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の取引者、需要者の間において広く認識されているとはいえない。 そうすると、本件商標に接する取引者、需要者が引用商標を連想又は想起することはなく、本件商標は、本件商標権者がその指定商品について使用しても、取引者、需要者が、その商品が申立人あるいは同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないとするのが相当である。 その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情も見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 (4)商標法第4条第1項第19号該当性について 本件商標と引用商標は、同一又は類似の商標であるとしても、引用商標は、上記(1)のとおり、日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されていると認められないものである。 そして、申立人が提出した証拠からは、本件商標が、不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他不正の目的をもって使用をするものと認めるに足りる具体的事実は見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。 (5)商標法第4条第1項第7号該当性について 本件商標と引用商標は、同一又は類似の商標であるとしても、引用商標は、上記(1)のとおり、我が国及び外国における需要者の間に広く認識されていると認められないものであって、上記(3)のとおり、本件商標は、引用商標を連想又は想起させることのないものである。 申立人は、本件商標権者は、本件商標以外にも、他人の使用する同一又は類似の商標を3件出願しており、中国で周知な引用商標を当然知っていたと考えられるから、本件商標権者の行為は、申立人の我が国における事業の遂行を阻止し、引用商標による利益の独占を図る意図でしたものであって、剽窃的なものである旨主張しているが、申立人の提出した証拠からは、申立人のかかる主張を認めるに足りる証拠は見いだせない。 そして、本件商標が、その登録出願の経緯に著しく社会的相当性を欠くものがあり、その登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないというべき事情は見いだせない。 また、本件商標は、その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、きょう激又は他人に不快な印象を与えるものでもなく、その他、本件商標が公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標と認めるに足りる証拠も見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。 (6)商標法第3条第1項柱書について 申立人は、本件商標権者が「第三者商標」と同一又は類似の商標を本件商標以外に3件登録出願していること、それらについて、現在に至るまで、その指定商品に使用した事実はうかがわれないことを挙げ、本件商標権者は、申立人の使用する引用商標について出願し、登録された商標を収集しているにすぎないというべきであって、現に自己の業務に係る商品に使用をしている商標に当たらない上、その使用意思も認められない旨主張している。 しかしながら、商標法第3条第1項柱書の「自己の業務に係る商品又は役務について使用する商標」とは、少なくとも登録査定時において、現に自己の業務に係る商品又は役務に使用している商標、あるいは、将来、自己の業務に係る商品又は役務に使用する意思のある商標と解される(平成24年5月31日知的財産高等裁判所、平成24年(行ケ)第10019号)と判示されている。そして、本件商標権者が本件商標の指定商品について、本件商標を使用しているか又は使用する予定があるかについて、格別に合理的疑義があったものとは認められず、他に、本件商標権者が本件商標をその指定商品について使用する意思が無いことについて、具体的な証拠があるとはいえないから、申立人の上記主張をもって、本件商標の使用意思までを否定することはできない。 したがって、本件商標は、商標法第3条第1項柱書の要件を具備しないものとはいえない。 (7)むすび 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号、同項第10号、同項第15号、同項第19号及び同法第3条第1項柱書のいずれにも違反してされたものではなく、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、商標法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。

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