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商標異議申立

2025-900014

アルファバー、アルファバル

審判番号
2025-900014
法域
商標
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
商願2023-114677
登録番号
6862048
請求日
2025年01月15日
審決日
2025年08月15日
公報発行日
2025年10月31日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】サイラス インターナショナル リミテッド
  • 【異議申立人】愛奇跡(深セン)技術有限公司
  • 【異議申立人代理人】弁理士法人三枝国際特許事務所
審判長/審判官
  • 審判長 大橋 良成
  • 審判官 小田 昌子
  • 審判官 馬場 秀敏
分類
T1651.261-Y (W34) / T1651.262-Y (W34) / T1651.263-Y (W34) / T1651.271-Y (W34)
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第4条第1項第11号、商標法第4条第1項第15号
データ出所
審決公報(XML)

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登録第6862048号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。

結論

結 論 登録第6862048号商標の商標登録を維持する。

理由

理 由 第1 本件商標 本件登録第6862048号商標(以下「本件商標」という。)は、「ALFABAR」の欧文字を標準文字で表してなり、令和5年10月16日に登録出願、第34類「電子たばこ,電子たばこ用リキッド,たばこ用香味料(精油のみから成るものを除く。),電子たばこ用香味料(精油のみから成るものを除く。),たばこ,葉巻たばこ,代用たばこを含む紙巻きたばこ(医療用のものを除く。),紙巻たばこ,シガリロ,喫煙用薬草」を指定商品として、同6年6月3日に登録査定され、同年11月7日に設定登録されたものである。 第2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議申立ての理由において引用する国際登録第1680758号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、2022年(令和4年)6月22日に国際商標登録出願、第34類「Cigarette tips; cigarette cases; cigarette holders; oral vaporizers for smokers; matches; lighters for smokers; cigarette filters; flavourings, other than essential oils, for tobacco; flavourings, other than essential oils, for use in electronic cigarettes; electronic cigarettes; cigarettes containing tobacco substitutes, not for medical purposes; cigarettes; tobacco pouches; liquid solutions for use in electronic cigarettes.」を指定商品として、令和5年8月10日に設定登録され、この商標権は、現に有効に存続しているものである。 第3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第5号証(枝番号を含む。)を提出した。 以下、証拠の表記に当たっては、「甲第○号証」を「甲○」のように省略し、枝番号の全てを表記するときは、枝番号を省略して記載する。 1 引用商標の周知著名性 引用商標は、アメリカで最も人気な電子たばこブランド「ELFBAR」(エルフバー)の周知商標であり(甲3の1)、ELFBARは、50種類以上の多彩なフレーバーの電子たばこを提供しており、そのポップなデザイン、コストパフォーマンスの高さ、使いやすさ等からアメリカの若者を中心に爆発的な人気を誇っている。 また、ELFBARの電子たばこ(以下「申立人商品」という。)は、通常の紙タバコに含まれるタールなどの有害物質の一部を含んでいないため、健康への影響が比較的少ないと考えられており、減煙を志向する喫煙者からも人気がある。 日本では、遅くとも2023年3月頃にはアメリカで人気の電子たばこブランドとして愛煙家の間で注目を集めており(甲3の2)、遅くとも2023年5月からも申立人商品が流通している(甲3の3)。現在では、「ELFBAR Japan」や「VapePenZone Japan」といったオンラインショップでも申立人商品は販売されている(甲4)。なお、本件商標の権利者である「サイラス インターナショナル リミテッド」は、ELFBARとは何ら関係がない。 2 引用商標の構成 引用商標は、上段の図形部分と下段の文字部分に構成が分かれており、引用商標に接した取引者、需要者は、称呼可能な「ELFBAR」の文字部分のみに着目することがあるため、当該「ELFBAR」が要部として機能し、「ELFBAR」は辞書等に掲載されていない造語であり、高い独創性を有する。 3 異議申立ての理由の根処法条への該当性 (1)商標法第4条第1項第15号について 商標法第4条第1項第15号は、他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標は、商標登録を受けることができない旨を規定する。 ここで、客観的事情に基づき同号該当性を判断する特許庁商標審査基準の趣旨は本件異議申立てにおいても妥当するため、同審査基準が掲げる考慮事由を基に同号該当性を説明する。 ア 本件商標と引用商標の類似性 本件商標は、「ALFABAR」の欧文字からなり、その構成中「ALF」の欧文字は我が国で「エルフ」と発音されることがある(甲5)から、本件商標からはその構成文字に相応して「エルファバー」の自然称呼が生じる。これに対して、引用商標の要部である「ELFBAR」の欧文字からは、その構成文字に相応して「エルフバー」の称呼が生じる。 そうすると、両者の称呼は、聴取しづらい中間音の「ファ」と「フ」の違いにすぎず、当該差異音は子音「f」を共通にする近似音であり、「ファ」と「フ」の摩擦音は、後続の「バ」の破裂音よりも音が響かず、これに吸収されやすいから、両称呼をそれぞれ一連に称呼するときは、両者の語調語感は相似たものとなり、聴き誤るおそれがある。この点、昭和56年審判第17826号及び昭和63年審判第11016号においても、「ファ」と「フ」の1音相違の称呼は互いに類似と判断されている。 そして、「ALFABAR」と「ELFBAR」は、その構成文字の6文字又は7文字のうち5文字が共通しており、外観上似通った印象がある。また、両者は互いに辞書等に掲載されていない造語であって、特定の観念が生じないため、観念上区別することができない。 以上より、本件商標と引用商標の要部は、称呼上類似しており、外観及び観念に称呼の共通性を凌駕するほどの差異は認められない。 イ 引用商標の周知度 上述のとおり、引用商標は、本件商標の出願前から、我が国において、アメリカで人気の電子たばこブランド「ELFBAR」の商標として愛煙家の注目を集め、広く知られていた。 ウ 引用商標の独創性 引用商標の要部「ELFBAR」は、辞書等に掲載されていない造語であり、高い独創性が認められる。 エ ハウスマーク 引用商標の要部「ELFBAR」は、商号でもあり、ハウスマークとして広く用いられている。 オ 多角経営の可能性 著名なたばこブランドの「マルボロ」や「メビウス」が紙たばこと電子たばこを展開するなど、昨今の電子たばこの普及に伴い、たばこ業界では、従来の紙たばこに加え、電子たばこを展開するブランドが増えている。 カ 商品間の関連性 引用商標のELFBARは、電子たばこのブランドであるところ、本件商標に係る指定商品は、電子たばこ及びたばこ関連の商品である。 キ 需要者の共通性その他取引の実情 本件商標の指定商品は、電子たばこ及びたばこ関連の商品であり、申立人商品と取引者、需要者が共通し、本件商標の指定商品の需要者は、広く一般大衆を含み、それらの需要者が取引上払う注意力は必ずしも高くない。 以上のアないしキを総合勘案すれば、本件商標の出願時において、被異議申立人によって本件商標が使用された場合には、その商品に接する取引者、需要者は、取引上要求される一般的な注意力をもってしても、その商品が申立人商品であるとか、ELFBARブランドと経済的又は組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であると誤認し、商品の出所について混同を生じるおそれがあることは明らかである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号の規定に該当する。 (2)商標法第4条第1項第11号について 商標法第4条第1項第11号は、他人の先願登録商標と同一又は類似する商標であって、その指定商品等又はこれらに類似する商品等について使用をする商標は登録しない旨を規定する。 引用商標は、本件商標との関係において、他人の先願登録商標であるところ、上述のとおり、本件商標と引用商標は称呼上類似し、本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品と同一又は類似である。 よって、本件商標は、他人の先願登録商標である引用商標と類似の関係にあるため、商標法第4条第1項第11号に該当する。 第4 当審の判断 1 引用商標の周知性について 申立人の主張及び同人の提出した証拠によれば、次のとおりである。 (1)我が国の2023年3月20日付けのインターネット記事において、申立人商品に関する記事が掲載されたことはうかがえる(甲3の2)。 また、我が国において、少なくとも2023年5月24日以前から2025年春頃に申立人商品が流通していたこと、複数のたばこ関連の販売サイトにおいて、申立人商品が販売されたことはうかがえる(甲3の3、甲4の2)。 (2)上記(1)からすれば、申立人商品は、我が国において、2023年頃のインターネット記事に申立人商品に関する記事が掲載され、複数のたばこ関連の販売サイトにおいて、申立人商品が販売されたことはうかがえるが、申立人商品の販売実績、市場シェア、広告宣伝の規模等の申立人商品に対する需要者の認識の程度を判断するための証拠は提出されていない。 その他、引用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして我が国の需要者の間に広く認識されていたものと認めるに足りる事実は見いだせない。 そうすると、申立人提出に係る証拠によっては、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用商標が申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていたと認めることはできない。 2 商標法第4条第1項第11号該当性について (1)本件商標について 本件商標は、前記第1のとおり、「ALFABAR」の欧文字を標準文字で表してなるところ、当該文字は、一般の辞書等に載録のないものであり、特定の意味を有するものとして認識されている事情も見いだせないから、特定の観念を生じない一種の造語として看取されるものである。 そして、特定の意味を有しない造語にあっては、一般に親しまれた英語読み又はローマ字読みに倣って称呼するところ、本件商標は、その構成文字に相応して「アルファバー」の称呼を生じるものである。 してみれば、本件商標は、「アルファバー」の称呼を生じ、特定の観念は生じないというのが相当である。 なお、申立人は、インターネットに掲載されている店名について、「ALF」に「エルフ」の片仮名が付されていることを根拠に、本件商標の構成中「ALF」の部分は我が国で「エルフ」と発音されることがある旨主張している(甲5)が、当該事例のみをもって、本件商標の称呼の根拠とすることはできず、むしろ、語頭の「A」は、一般に親しまれた英語読み又はローマ字読みに倣って、「ア」と発音され、本件商標からは、「アルファバー」の称呼が生じるというのが自然であるから、申立人の主張は採用できない。 (2)引用商標について 引用商標は、別掲のとおり、上段に図形及び下段に「ELFBAR」の欧文字を横書きした構成よりなるところ、図形部分と文字部分とは重なることなく配置されており、両者は、分離して看取し得るものであるから、引用商標から「ELFBAR」の文字部分を要部として抽出することが許されるものである(以下、「ELFBAR」の文字部分を「引用商標の要部」という。)。 また、引用商標の要部は、一般の辞書等に載録のないものであり、特定の意味を有するものとして認識されている事情も見いだせないから、 特定の観念を生じない一種の造語として看取されるものである。 そして、特定の意味を有しない造語にあっては、一般に親しまれた英語読み又はローマ字読みに倣って称呼するところ、引用商標の要部の構成文字に相応して「エルフバー」の称呼を生じるものである。 してみれば、引用商標は、「エルフバー」の称呼を生じ、特定の観念は生じないというのが相当である。 (3)本件商標と引用商標の類否について ア 外観について 本件商標と引用商標の要部とは、7文字又は6文字と短い構成中、語頭の「A」と「E」の文字の差異及び中間の「A」の文字の有無の差異により、外観上、明確に区別できるものである。 イ 称呼について 本件商標から生じる「アルファバー」の称呼と引用商標の要部から生じる「エルフバー」の称呼とは、いずれも5音と短い音数において、語頭の「ア」と「エ」の音及び3音目の「ファ」と「フ」の音の差異が称呼全体に与える影響は少なくないから、称呼上、明瞭に聴別できるものである。 ウ 観念について 本件商標及び引用商標は、特定の観念を生じないから、両者は、観念において比較できない。 エ 小括 そうすると、本件商標と引用商標は、観念において比較できないとしても、外観及び称呼において相紛れるおそれのないものであるから、両者の外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。 その他、本件商標と引用商標が類似するというべき事情は見いだせない。 以上のとおり、本件商標と引用商標は非類似の商標であるから、両商標の指定商品が同一又は類似する商品であるとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 3 商標法第4条第1項第15号該当性について (1)引用商標の周知性について 引用商標は、上記1のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして我が国の需要者の間に広く知られていたとはいえないものである。 (2)本件商標と引用商標の類似性の程度について 本件商標と引用商標は、上記2(3)のとおり、非類似の商標であるから、本件商標と引用商標との類似性の程度は低いといえる。 (3)出所の混同のおそれについて 上記(1)及び(2)からすると、引用商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の需要者の間に広く認識されていたと認めることができず、本件商標と引用商標とは、類似性の程度は低いものである。 そうすると、本件商標の指定商品と申立人商品との関連性が高く、その需要者を共通にするとしても、本件商標権者が本件商標をその指定商品について使用した場合、これに接する需要者が、引用商標を連想、想起し、申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係のある者の業務に係る商品であると誤認し、その商品の出所について混同を生じさせるおそれはないものである。 その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。 (4)小括 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 4 むすび 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも該当するものとはいえず、他にその登録が同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、その登録は、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。 よって、結論のとおり決定する。

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