商標異議申立
2025-900012
エイチエムエスツー、エッチエムエスツー、エイチエムエスニ、エッチエムエスニ、エイチエムエス、エッチエムエス
- 審判番号
- 2025-900012
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 商願2023-120316
- 登録番号
- 6861097
- 請求日
- 2025年01月14日
- 審決日
- 2025年09月03日
- 公報発行日
- 2025年10月31日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】森永乳業株式会社
- 【異議申立人】ディーエフイー・ファーマ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト
- 【異議申立人代理人】山尾 憲人
- 【異議申立人代理人】田中 陽介
- 審判長/審判官
- 審判長 高野 和行
- 審判官 豊瀬 京太郎
- 審判官 清川 恵子
- 分類
- T1651.261-Y (W05) / T1651.262-Y (W05) / T1651.263-Y (W05) / T1651.264-Y (W05) / T1651.271-Y (W05) / T1651.222-Y (W05)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項11号商標法4条1項15号商標法4条1項19号商標法43条の2商標法43条の3第4項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第11号、商標法第4条第1項第15号、商標法第4条第1項第19号、商標法第4条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
登録第6861097号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。
結論
結 論
登録第6861097号商標の商標登録を維持する。
理由
理 由
1 本件商標
本件登録第6861097号商標(以下「本件商標」という。)は、「HMS-2」の文字を標準文字で表してなり、令和5年10月27日に登録出願、第5類「乳幼児用粉乳,未熟児用に調製した粉乳,母乳添加用粉末,サプリメント,食餌療法用飲料,食餌療法用食品,乳幼児用飲料,乳幼児用食品,薬剤」を指定商品として、同6年9月27日に登録査定され、同年11月5日に設定登録されたものである。
2 引用商標
登録異議申立人(以下、「申立人」という。)が、本件登録異議の申立において引用する登録第112182号商標は、別掲のとおりの構成からなり、大正8年11月15日に登録出願、第46類「乳糖(ミルクシュガー)」を指定商品として、同9年2月7日に設定登録され、その後、平成14年2月13日に、指定商品を第5類「乳糖」とする書換登録がされ、その商標権は、現に有効に存続しているものである。
3 申立の理由
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同項第15号及び同項第19号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、取り消されるべきものであるとして、要旨以下のように述べ、証拠として甲第1号証ないし甲第14号証を提出した。
(1)申立人について
申立人は1900年にオランダで設立された「HMS(Dutch Milk Sugar)」をルーツとしており、乳糖添加剤をはじめとする添加剤を長年にわたり製造しており、2020年以降は世界最大級の酪農共同組合である「フリースランド・カンピーナ」と欧州を本拠とする投資ファンド「CVC キャピタル・パートナーズ」によって共同保有されている(甲3)。
引用商標は1920年という相当昔に登録されて以降、長きにわたって我が国において権利が維持されている。
(2)商標法第4条1項第11号の該当性
ア 本件商標について
本件商標は「HMS-2」の標準文字からなるところ、その後半部に位置するハイフン及び数字の「2」は単なる型番として捉えられるのが自然であって、識別力を有していない、若しくは極めて弱いものであることは明らかであり、本件商標は前半部の「HMS」部分を要部として取引に資され、当該要部からはその構成文字に応じて「エイチエムエス」の称呼が容易に生じる。
イ 引用商標について
引用商標は、黒色のひし形、及び「HMS」の英文字が書されてある白色の矩形が重なり合って組み合わされた商標であるところ、その「HMS」の英文字より「エイチエムエス」のみの称呼が容易に生じる。
ウ 両商標の類否について
本件商標の要部と引用商標とは、ともに「HMS」の英文字、及び「エイチエムエス」の称呼を共通とする、需要者・取引者が出所の混同を生じ得る類似の商標である。
なお、両商標からは特定の意味合いは生じず、観念上は比較できない。
エ 本件商標の指定商品と引用商標の指定商品の類否について
(ア)引用商標の指定商品「乳糖」について
引用商標の指定商品である「乳糖」は「ラクトース」とも呼ばれ、牛乳や人乳を問わず哺乳類の乳汁に含まれている成分であり(甲4)、一般的に医薬品の賦形剤・倍散剤として使われている(甲5)。
(イ)本件商標の指定商品「乳幼児用粉乳,未熟児用に調製した粉乳,母乳添加用粉末,乳幼児用飲料,乳幼児用食品」について
本件指定商品のようないわゆる「乳児用調製粉乳(粉ミルク)」は「母乳代替食品」とも呼ばれ、牛乳を原料として製造した食品を主要原料とし、成分組成の基準に適合するように栄養素を強化し粉末状にしたものである(甲6)。また、商品に「特別用途食品(乳児用調製粉乳)」と表示するためには厚生労働省の認可を得る必要があるところ、同省では調製粉乳の成分の特徴として「乳糖、オリゴ糖が加えられている」が認められている(甲7)。
両商品は、体の成長を促進させるために食される物という点において用途が一致し、体の成長を望む又は望まれる者がその需要者である点においても一致し、さらに、乳糖はサプリメントなどの原材料であることから、いわゆる完成品と部品の関係にあると解されることをも総合的に踏まえると、両商品は需要者などが出所混同を生じる相紛らわしい類似の商品である。
なお、仮に両商品が混同を生じない商品であったとしても、最高裁では「商品自体が取引上互いに誤認混同を生ずるおそれがないものであっても、それらの商品に同一又は類似の商標を使用するときは、同一営業主の製造又は販売にかかる商品と誤認混同されるおそれがある場合」には、「類似の商品」に当たると解すべきである(最高裁昭和43年11月15日第二小法廷判決・民集22巻12号2559頁)と示されているところ、本件商標権者である「森永乳業株式会社」は引用商標をその構成に用いた商標「HMS-1」及び「HMS-2」を「母乳添加用粉末」に用いている点(甲8)、及び申立人は長年にわたり「母乳添加用粉末」の原材料の一つである「乳糖添加剤」を継続して製造・販売していることを踏まえると、商標「HMS-1」又は「HMS-2」に接した需要者などが、申立人と同一営業主が販売する「母乳添加用粉末」であると誤認混同するおそれは十分ある。
よって、本件指定商品中「乳幼児用粉乳,未熟児用に調製した粉乳,母乳添加用粉末,乳幼児用飲料,乳幼児用食品」と引用商標の指定商品は、需要者などが出所混同を生じ得る類似の商品である。
(ウ)本件商標の指定商品「サプリメント,食餌療法用飲料,食餌療法用食品」について
我が国の市場においては、乳糖を原料や主成分としたサプリメント等が既に販売されている(甲9、甲10)。両商品は、栄養の摂取や病気改善のために食される物であり、それら効果を望む者が食する点において用途及び需要者が一致することの他、乳糖はサプリメントの原材料であることから、いわゆる完成品と部品の関係にあると解され、加えて、両当事者の商標の使用状況を踏まえると同一営業主が出所であると需要者などが出所混同を生じ得ることから、両商標は相紛らわしい類似の商品である。
(エ)本件商標の指定商品「乳幼児用飲料,乳幼児用食品」について
我が国の市場においては、「乳糖(ラクトース)」を成分に含む乳幼児用飲料(液体ミルク)が製品として存在している(甲11、甲12)。また、上述の「乳児用調製粉乳(粉ミルク)」も乳幼児用食品の一種である(甲13)。よって、両商品は、体の成長を促進させるために食される物であり、体の成長を望む又は望まれる者がその需要者である点において用途及び需要者が一致することの他、乳糖は乳幼児用飲料の原材料であることから、いわゆる完成品と部品の関係にあると解され、加えて、前述の両当事者の商標の使用状況を踏まえると同一営業主が出所であると需要者などが出所混同を生じ得ることから、両商標は相紛らわしい類似の商品である。
(オ)本件商標の指定商品「薬剤」について
我が国の実際の取引においては、引用商標の指定商品である「乳糖」は薬剤の有効成分が少ない場合に一定の大きさや濃度にするための賦形剤・倍散剤として一般的に使われている(甲5、甲14)。よって、両商品は、病気冶癒を目的として摂取される物であり、それら効果を望む者(患者)がその需要者である点において用途及び需要者が一致する。加えて、乳糖は薬剤の原材料であることから、いわゆる完成品と部品の関係にあると解されること、加えて、前述の両当事者の商標の使用状況を踏まえると同一営業主が出所であると需要者などが出所混同を生じ得ることから、両商標は相紛らわしい類似の商品である。
オ 小括
したがって、本件商標と引用商標とは、外観及び称呼において互いに類似する商標であり、両商標の指定商品は特許庁の審査基準及び判決に照らしても類似関係にあたる商品であることから、両商標に接した需要者及び取引者が出所混同を生じるおそれがあることは明らかであり、本件商標は商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
(3)商標法第4条第1項第15号の該当性
上述のとおり、引用商標は1920年に我が国において登録されて以降、100年以上という長きにわたり存続している登録商標であり、引用商標の指定商品が属する分野の需要者・取引者の間で本件商標は十分に周知・著名になっている。
本件商標が商標及び指定商品が引用商標と類似する点は前述のとおり明白であるから、引用商標と類似する本件商標がその指定商品に使用された場合、需要者が申立人の業務に係る商品と混同するおそれは十分に有している。
よって、本件商標は商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。
(4)商標法第4条第1項第19号の該当性
上述のとおり、申立人は100年以上もの長期にわたり乳糖添加剤を世界中で製造・販売してきたことから、我が国のみならず、海外でも相当程度周知・著名であり、その周知性は本件商標の登録査定時において継続している。
本件商標権者である「森永乳業株式会社」も乳製品を取扱う大手メーカーであり、甲第9号証及び甲第12号証のように、申立人の業務に係る商品と関連性のある商品を製造・販売していることから、同業者として日本・海外における申立人の周知性を当然認識し得る立場であり、認識していたといえる。かかる状況において、本件商標権者は引用商標の要部である「HMS」の文字をそっくりそのまま含んだ紛らわしい商標を採択し、出願するだけでなく、引用商標の指定商品を原材料に含んだ同一名の関連商品をも発売していることから、本件商標権者が偶然の一致をもって引用商標を含む商標を関連商品の商品名として採択し、出願したとは到底考え難く、本件商標権者には引用商標の有する周知、著名性へのフリーライドの意図、出所表示機能の稀釈化の意図という不正の意図があったといわざるを得ない。
よって、本件商標は商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものである。
4 当審の判断
(1)引用商標の周知性について
申立人の主張及び提出に係る証拠によれば、申立人は、1900年にオランダで設立された「HMS(Dutch Milk Sugar)」をルーツとしており、2020年以降は、多国籍乳業企業である「ロイヤル・フリースランド・カンピナ」と欧州を本拠とする投資ファンド「CVC キャピタル・パートナーズ」によって共同保有されている(甲3)ことが認められる。
そして、申立人は、引用商標がその指定商品「乳糖」に使用されて、需要者に広く認識されている旨主張しているが、その周知性を裏付ける、引用商標を付した商品の販売実績、宣伝広告の時期、規模、地域、広告宣伝費など、引用商標の周知性を判断するための証拠が提出されていない。
よって、申立人提出の証拠からは、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用商標が申立人に係る商品「乳糖」を表示するものとして、我が国の需要者にどの程度認識されているのか把握、評価することができない。
したがって、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用商標が、申立人商品を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。
なお、申立人は、令和7年4月14日付け手続補正書において引用商標の周知性の証拠を収集中である旨述べているが、異議申立てから相当の期間が経った現在においても、何らの書面の提出もないから、審理を進めることとした。
(2) 商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標と引用商標の類否について
(ア)本件商標
本件商標は、上記1のとおり「HMS」の文字と数字の「2」を「-」(ハイフン)で連結してなるものであるから、両文字は視覚上分離して看取され得るものである。
また、本件商標は、構成文字全体として特定の熟語的意味合いを有するものでもなく、他にこれを常に一連一体のものとして把握しなければならないとする格別の事情も見出せないものである。
さらに、末尾の「2」の数字は、商品の型式・規格・品番等を表示するための記号・符号として取引上普通に使用されている数字一字の一類型とみることができることから、引用商標に接する取引者・需要者は、構成中の「HMS」の文字部分に着目し、当該文字部分をもって取引に資する場合も決して少なくないとみるのが相当であり、本件商標との類否を判断するに当たって、当該文字を要部として抽出し、この部分のみを他人の商標と比較して商標の類否を判断することも許されるというべきである。
そして、「HMS」の文字は、様々な意味を有する略語として辞書への掲載が認められるものの、特定の意味合いを有する語として広く認識されているともいい難いものであるから、一種の造語と認識されるというのが相当であり、特定の観念を生じないものである。
したがって、本件商標は、その構成文字全体から生じる「エイチエムエスツー」の称呼が生じるほか、その構成中「HMS」の欧文字に相応して「エイチエムエス」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
(イ)引用商標
引用商標は、黒地の菱形図形に、「HMS」の文字を有する横長四角形を重ねた別掲のとおりの構成からなるものであり、「HMS」の文字部分に相応し、「エイチエムエス」の称呼を生じ、当該文字は特定の意味合いを持って親しまれている語ではないから、特定の観念を生じないものである。
(ウ)本件商標と引用商標の類否
本件商標と引用商標は、全体の外観においては図形及び「-2」の有無の差異を有するものの、本件商標の要部と引用商標は、同一の欧文字3字「HMS」をいずれも大文字で表してなるものであるから、両者は外観において近似した印象を与えるものである。
また、両商標は「エイチエムエス」の称呼を共通にし、両商標は、いずれも観念を生じないものであるから、観念において比較することはできない。
そうすると、本件商標と引用商標とは、観念は比較し得ないとしても、外観において近似した印象を与え、称呼を共通にするものであるから、両商標について、上記の外観、称呼、観念によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察してみれば、本件商標と引用商標とを類似する商品に使用したときは、取引者、需要者をして、商品の出所について混同を生ずるおそれがある類似の商標というのが相当である。
イ 本件商標の指定商品と引用商標の指定商品の類否について
(ア)商標法施行規則別表において定められた商品又は役務の意義は、商標法施行令別表の区分に付された名称、商標法施行規則別表において当該区分に属するものとされた商品又は役務の内容や性質、国際分類を構成する類別表注釈において示された商品又は役務についての説明、類似商品・役務審査基準における類似群の同一性などを参酌して解釈するのが相当である(最高裁平成21年(行ヒ)第217号同23年12月20日第三小法廷判決・民集65巻9号3568頁参照)。
(イ)引用商標の指定商品は「乳糖」であるところ、引用商標について書換登録申請がされた日に施行されていた商標法施行規則別表第5類に定める「乳糖」により検討されるべきものである。
また、引用商標の書換登録申請時における類似商品・役務審査基準改訂第8版(平成14年1月1日から同18年12月31日までの出願に適用)では、第5類「乳糖」の類似群は「31A03」が付与されており、同じ類似群の商品は、第1類「人工甘味料」及び第30類「調味料」(31A01~31A05)に属する商品「角砂糖 果糖 氷砂糖 砂糖 麦芽糖 はちみつ ぶどう糖 粉末あめ 水あめ」(31A03)がある。
そして、類似商品・役務審査基準(例えば、「類似商品・役務審査基準10-2015版」の「類似商品・役務審査基準とは」)には、「互いに類似すると推定される商品及び役務をグルーピング化したもので、 同じグループの商品又は役務には、数字とアルファベッドの組合せからなる共通のコードである類似群コードが付され、同じ類似群コードが付された商品及び役務については、審査において類似と推定されます。」と記載されている。
ところで、我が国おいて、平成4年4月1日から「商品及びサービスの国際分類に関するニース協定に基づく国際分類」を主たる体系として採用する前に適用されていた、昭和34年商標法に基づく商標法施行規則別表に定める商品区分の第31類には、「調味料」の記載の下、「みそ しょうゆ 食酢 食塩 ごま塩 すりごま ウースターソース ケチャップ マヨネーズソース ドレッシング 化学調味料 砂糖 氷砂糖 ぶどう糖 果糖 はち蜜 乳糖 麦芽糖 水あめ 人工甘味料 ホップ 粉末あめ」があり、「乳糖」は調味料に属する商品の一つとされていた。
そうすると、引用商標の指定商品「乳糖」は、上記事情からすれば、「人工甘味料 角砂糖 果糖 氷砂糖 砂糖 麦芽糖 はちみつ ぶどう糖 粉末あめ 水あめ」と同様に「調味料」の範疇に属する商品と解するのが相当である。
そこで、本件の指定商品である第5類「乳幼児用粉乳,未熟児用に調製した粉乳,母乳添加用粉末,サプリメント,食餌療法用飲料,食餌療法用食品,乳幼児用飲料,乳幼児用食品,薬剤」と引用商標の指定商品「乳糖」を比較してみれば、「乳糖」が本件商標の指定商品の原材料の一部となる場合があるとしても、両商品は、その製造者、流通経路、販売場所、目的が異なるものであるから、非類似の商品というべきものである。
ウ 小括
上記アのとおり、本件商標と引用商標とは、類似の商標であるとしても、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品とは、上記イのとおり、非類似の商品であるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第15号該当性について
上記(2)のとおり、本件商標と引用商標が類似するとしても、上記(1)のとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表すものとして、我が国又は外国の取引者、需要者の間で、広く認識されていたとは認められないものである。
また、引用商標は「HMS」の文字と図形からなるところ、「HMS」の文字は、上記(2)のとおり、複数の意味合いを有する語であり、特定の意味合いを持って親しまれているとはいえないものの、単に欧文字3字を連ねた構成からなるものであり、図形はひし形に長方形を重ねた構成よりなるにすぎないものであるから、格別独創性の程度が高いとまではいい難いものである。加えて、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品とは非類似の商品であって、その関連性が高いとはいえない。
以上のことを総合勘案すれば、本件商標をその指定商品について使用した場合、これに接する取引者、需要者が引用商標ないしは申立人を連想、想起するようなことはないというべきであり、その商品が申立人又は申立人と経済的、組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのごとく、その出所について混同を生ずるおそれはないものと判断するのが相当である。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(4)商標法第4条第1項第19号該当性について
上記(2)のとおり、本件商標と引用商標は、相紛れるおそれのある類似の商標であるとしても、上記(1)のとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国又は外国の需要者の間で広く認識されていたものとは認めることができないものである。
そして、申立人提出の証拠からは、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、本件商標権者が不正の利益を得る目的など不正の目的をもって本件商標を使用するものであると認めるに足りる証拠は見いだせない。
そうすると、本件商標権者が引用商標の名声を毀損させることを認識し、本件商標を不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をもって使用するものとはいえない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
(5)むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同項第15号及び同項第19号に該当するとはいえず、他に本件商標の登録が同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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2025-900012