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商標異議申立

2025-900011

ハインツール、ハイントール、ハイントーア、ヒンツール、ヒントール、ヒントーア

審判番号
2025-900011
法域
商標
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
商願2024-033571
登録番号
6862455
請求日
2025年01月14日
審決日
2025年09月24日
公報発行日
2025年10月31日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】宋 艶艶
  • 【権利者代理人】Authense弁理士法人
  • 【異議申立人】安徽黒兔化妝品有限公司
  • 【異議申立人代理人】岡村 太一
審判長/審判官
  • 審判長 豊瀬 京太郎
  • 審判官 清川 恵子
  • 審判官 鯉沼 里果
分類
T1651.22 -Y (W03) / T1651.222-Y (W03) / T1651.271-Y (W03)
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第4条第1項第15号、商標法第4条第1項第7号、商標法第4条第1項第19号、商標法第43条の2第1号、商標法第4条第1項第10号
データ出所
審決公報(XML)

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登録第6862455号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。

結論

結 論 登録第6862455号商標の商標登録を維持する。

理由

理 由 1 本件商標 本件登録第6862455号商標(以下「本件商標」という。)は、「HYNTOOR」の文字を標準文字で表してなり、令和6年3月29日に登録出願、第3類「化粧品」を指定商品として、同年10月29日に登録査定され、同年11月7日に設定登録されたものである。 2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件異議申立てにおいて引用する商標は、申立人が「メイクアップ用化粧品」に使用して中国において知られているとする「HYNTOOR」(以下「引用商標1」という。)の文字からなるもの及び別掲のとおりの構成からなるもの(以下「引用商標2」という。)である。 以下、「引用商標1」及び「引用商標2」をまとめて、「引用商標」という。 3 申立ての根拠 申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第15号、同項第7号又は同項第19号に該当するものであるから、本件商標は商標法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第38号証(枝番号を含む。)を提出した。 (1)商標法第4条第1項第15号 ア 判断基準 商標法第4条第1項第15号の判断基準について、最小判平成12・7・11民集 54巻6号1848頁(平10年(行ヒ)第85号)、及び知財高判平成23年10月24日、平成23年(行ケ)第10005号の裁判例が存在する。 イ 類似性 本件商標は、「HYNTOOR」の標準文字からなるものである。 引用商標1は「HYNTOOR」の文字からなり、引用商標2は「HYNTOOR」の文字のうち「N」の斜線が左右反転しており、「R」の左上部を切り欠いた装飾的な文字からなるものであるが、「N」又は「R」と容易に認識できる。 本件商標と引用商標1とは同一であり、また、本件商標と引用商標2とは、綴りが同一であるため外観上紛らわしい印象を与え、「HYNTOOR」は辞書に掲載されていない語であり(甲4)、特定の意味を生じさせない造語であるため、両商標は、観念上比較できないが、綴りが同一である以上、同一の称呼が生じる。 したがって、両商標は、外観上紛らわしい印象を与え、称呼が同一であり、観念上比較できないため、類似し、また、非類似を肯定する要素がないため、酷似するといえる。 ウ 引用商標の独創性 引用商標は、「黒うさぎ」を意味する「黒兔」(決定注:「黒」は旧字体。以下同じ。)に基づいているが、「黒兔」を英語に変換しても「HYNTOOR」にはならず、意訳すれば「BLACK RABBIT」になる上に、音訳してもこのようにはならない。 「黒兔」を中国語の発音であるピンインに変換し(甲5)、この発音を英語に変換したとしても、「HYNTOOR」にはならない。 一般的な日本人にとっては「HEITOO」や「HEYTO」等が考えられ、一般的な中国人にとっても同様である。引用商標は、申立人が中国語の発音「ヘイトゥ」に基づきアレンジしたものである。 そして、「HYNTOOR」をJ-PlatPatで検索すると、本件商標と引用商標2と同一の商標(申立人による出願)しか見つからないため(甲6)、「HYNTOOR」という綴りは、日本における需要者(「取引者」を含む。以下同じ。)にとって独創性が高いといえる。2023年時点で現存する商標権が2,224,365件あり(甲7)、毎年約16万件(2021年~2023年の平均)の新規出願がある中で(甲8)、この数字は極めて少ないといえ、商標制度140年以上の歴史で2件しかなく、その2件も1年以内に2件である。 そもそも、「HYN」で始まる英単語も「TOOR」で終わる英単語も、英和辞典において数件しか掲載がなく(甲9、甲10)、いずれも人名や地名、学名などであり、日本人一般に馴染みのある語ともいえない。 したがって、引用商標は独創性が極めて高いといえる。 エ 引用商標の周知性 引用商標は申立人によって「メイクアップ用化粧品」(以下「申立人商品」という場合がある。)に使用されてきた商標である。現在収集できる証拠上、以下の事実がある。 申立人が引用商標の使用を開始したのは2018年11月7日にSNS「小紅書(RED)」においてである(甲11)。その後、プラットフォーム「并多多(ピンドゥオドゥオ)」(決定注:プラットフォーム名の「并」の文字は正しくは「手へん」を伴う中国の漢字であるが我が国の漢字で代用した。以下同じ。)の販売開始が2019年12月10日である(甲12)。プラットフォーム「天猫(Tmall)」では2019年12月10日(甲13)、プラットフォーム「抖音(Douyin)」では2020年8月31日である(甲14)。「小紅書(RED)」は、中国版インスタグラムと呼ばれるSNSであり(甲15)、「并多多(ピンドゥオドゥオ)」は、電子商取引(EC)の利用者数でアリババ集団と首位争いをするプラットフォームである(甲16)。「天猫(Tmall)」はアリババ傘下、「抖音(Douyin)」はTikTokの中国国内版とされており、いずれも中国の三大ECモールの一つである(甲17)。 引用商標の使用態様は、申立人商品、それを広告するための店舗看板、陳列棚、パンフレットに表示するほか(甲18、甲19)、店舗名や店舗ロゴ(甲11~甲13)を申立人商品の販売又は広告用ウェブサイト(アプリを含む。以下同じ。)画面に表示している。後者について具体的には、小紅書(甲20)、并多多(甲21)、天猫(甲22)及び抖音(甲23)がある。このうち、小紅書はSNSであるものの、SNS型のeコマースサービスとも称され、情報発信とオンラインショッピングを可能にさせるサービスである。これら各サイトにおける申立人商品の販売額は以下のとおりである(いずれも1元=20円で計算、以下同じ。)。 小紅書:約530万円(264,992.68元)(甲24) 并多多:約5,678万円(2,838,960.13元)(甲25) 天猫:約10億9,360万円(54,679,801.63元)(甲26) 抖音:約2億8,329万円(14,164,253.64元)(甲27) 上記のうち、天猫については、データの集計上やむを得ず2024年4月~12月までの売上も含んでいるが、それ以外は本件商標の出願時の月の2024年3月までの売上である。これらを合計すると、約14億3,896万円となる。また、実店舗も存在し、現在のところ52店舗存在する(甲28)。 広告宣伝費については以下のとおりである。 小紅書:約290万円(145,216.00元)(甲29) 天猫:約2,810万円(1,405,002.93元)(甲30) 抖音:約574万円(287,403.80元)(甲31) ちなみに、「増値税専用発票」(甲29の2)とは、年間の課税売上高が100万元以上の一般納税人が発行できる発票を意味し、「発票」とは中国の税務局が増値税(日本の消費税に相当)を漏れなく徴収するために利用する書類であり、商取引行為の実在を証明するものである。 これらを合計すると、約3,674万円となる。上記広告にはインフルエンサーが動画で宣伝する形態の広告が含まれており、各プラットフォームを介して費用が支払われている。当該インフルエンサーの名称や広告掲載日時等の具体的な情報(甲29の1)のほか、一覧できるようまとめた資料(甲32)を提出する。 このような販売実績や広告宣伝、申立人商品の特徴、申立人の営業努力等の結果、抖音のウェブサイトの閲覧数は2022年に約400万だったのが、2023年には約1,890万になり、2024年には8,245万になっている(甲33)。つまり、2年で閲覧数が約20倍も増加したことになる。また、申立人商品に関する小紅書のウェブサイトにおいては、2023年及び2024年の2年間で推定閲覧数は約2.3億であり、ユーザーからの「いいね数」は約1,470万であり、コメント数は約73万にも上る(甲34)。さらに、申立人商品は、抖音のウェブサイト上での部門別人気商品ランキングで1位を獲得している(甲35)。これは毎日更新される過去30日間の売上額や購入人数に基づくランキングであり、保湿リップグロス部門(甲35の1、甲35の3)、リップグロス部門(甲35の2)に関するものである。このランキングは、本件商標の出願時より後の時点の2025年2月20日のものであるが、この結果は、本件商標の出願時より前に継続的に行われてきた上記の販売実績や広告宣伝がもたらしたものである。そして既に述べたとおり、上記ウェブサイトの閲覧数が急増した事実がある。 したがって、引用商標は、本件商標の出願時及び登録査定時の中国における需要者の間で周知であったといえる。 なお、申立人は2023年10月16日~同18日に日本最大級の国際展示場「インテックス大阪」の「bearutyworld」(決定注:「beautyworld」の誤記と認める。)に出展し、申立人商品を広告宣伝した(甲36、甲37)。甲第36号証は、この展示会に関する位置確認の資料であり、甲第37号証は展示ブースの様子を写した写真である。これらに記載の「合肥沐而化▲品有限公司」は申立人の旧名称であり、「Hefei Muer Cosmetics Co.,Ltd」はその英語表記である。このように、申立人は、本件商標の出願日直前に、中国で人気を博した申立人商品を日本でも販売する準備を開始していた。 オ 商品の関連性 本件商標の指定商品「化粧品」は申立人商品「メイクアップ用化粧品」を含んでいるため、「メイクアップ用化粧品」の部分において同一である。それ以外の化粧品と「メイクアップ用化粧品」とは類似と推定されており、密接な関連性がある。 カ 取引の実情 外国で人気の商品については、インターネット記事や雑誌等で紹介されることがあり(甲38)、日本の需要者も注目するといえる。この点は、商標法第4条第1項第10号に係る商標審査基準において、主として外国で使用されている商標については、外国において周知であることを考慮するとされていることからも肯定できる。 キ 判断 引用商標は日本においては周知とはいえないが、周知性は商標法第4条第1項第15号の条文上要件でなく、最高裁も周知性を一考慮要素とし「総合判断」を判断基準として示している。 そこで本件について検討すると、本件商標は引用商標と同一又は酷似し、独創性が極めて高く、両商品は同一又は密接な関連性がある。また、申立人商品に係る引用商標は、外国で商品ランキング1位の結果をもたらす程の販売実績や広告規模がある。つまり、申立人商品は一定程度の業務上の信用を獲得しており、外国で人気のある商品について需要者は注目する。そうすると、申立人商品に接したことのある需要者が、指定商品に使用された本件商標に接した場合、両商品の出所の混同を生ずるおそれがあるというべきである。 したがって、本件商標は申立人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがある商標であり、商標法第4条第1項第15号に該当する。 (2)商標法第4条第1項第7号 ア 判断基準 商標法第4条第1項第7号でいう「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」について、平成18年9月20日知的財産高等裁判所、平成17年(行ケ)第10349号がある。 イ 判断 上記(1)エによれば、申立人商品が本件商標の登録出願時及び登録査定時において、中国で周知又は少なくともある程度知られていたといえる。 そして、本件商標は、上記(1)イ、ウ及びオのとおり、極めて独創的な引用商標と同一又は酷似するといえるものであり、両商標の商品も同一又は類似である。 そうすると、商標権者が引用商標を知り得ることなく、両者が偶然に一致したとは想定し難く、むしろ、商標権者は、中国在住の者であり、中国で周知又はある程度知られた引用商標を容易に知り得る状況にあったものといえ、また、本件商標の出願は、引用商品が「インテックス大阪」の展示会に出展された直後になされたものである。 したがって、商標権者は、引用商標の存在を知った上で、これが商標登録出願及び商標登録されていないことを奇貨として、不正な目的をもってひょう窃的に出願したものと優に推認できるものである。 このような行為に係る本件商標は、「当該商標の登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合」に該当するというべきである。 したがって、本件商標は公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標であるから、商標法第4条第1項第7号に該当する。 (3)商標法第4条第1項第19号 上記(1)エによれば、申立人商品は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、業務上の信用を獲得したと評価できる程度に中国で周知であった。 また、上記(1)イ及びウのとおり、引用商標は造語よりなり、これと本件商標は同一又は極めて類似する。 そうすると、商標審査基準の商標法第4条第1項第19号に基づき、「不正の目的をもって使用するもの」が推認される。 したがって、本件商標は、外国における需要者の間に広く認識されている引用商標と同一又は類似であって不正の目的をもって使用するものに該当する。 よって、仮に商標法第4条第1項第15号又は同項第7号に該当しないとしても、本件商標は商標法第4条第1項第19号に該当する。 4 当審の判断 (1)引用商標の周知性について ア 申立人の主張及び同人の提出した証拠によれば、以下のとおりである。 なお、提出された証拠のうち甲第2号証は、外国語で作成されたものであり、翻訳文の提出もないから、具体的な内容を把握することができない。 (ア)「HYNTOOR」の文字を含む店舗の販売開始時期について、SNS「小紅書(RED)」に「2018-11-07」(甲11)、ECサイト「并多多(ピンドゥオドゥオ)」に「2019-12-10」(甲12)、「天猫(Tmall)」に「2019-12-20-2025-12-31」(甲13)、「抖音(Douyin)」に「2020-08-31」(甲14)の記載があるが、これらには、販売された商品の表示はない。 (イ)「BRAND BOOK」の表示の書面(甲18)には、別掲のとおり、「N」の文字における斜線を左右逆に、「R」の文字をややデザイン化した「HYNTOOR」の文字からなる引用商標2を包装容器に表示した商品「化粧品」の写真及び店舗看板に「HYNTOOR」の文字が表示された写真が掲載されていることが認められ、「2023 THANKS」の表示があることから、2023年頃に作成されたことがうかがえるものの、その作成者、配布部数、配布先などの詳細は明らかでない。 また、店舗写真(甲19)には、商品の陳列棚に引用商標2が表示されていることが認められるが、その撮影時期、撮影場所などの詳細は明らかではない。 (ウ)中国のECサイト(甲20~甲23)において、引用商標2を包装容器に表示した、商品「化粧品」が掲載されているが、上記証拠は、掲載日の記載が確認できない。 (エ)申立人は、「小紅書」、「并多多」、「天猫」及び「抖音」における申立人に係る商品の売上額の合計は、約14億3,896万円であるとして、甲第24号証ないし甲第27号証を提出しているところ、当該証拠はその一部についてのみ翻訳が記載されているものの、外国語で作成されていることから、上記証拠によっては、販売された商品を確認できない。 (オ)「実店舗名称」の書面(甲28)によれば、中国における申立人の店舗数は現在52店舗であるが、これを裏付ける証拠の提出はない。 (カ)申立人は、「小紅書」、「天猫」及び「抖音」の広告宣伝費の合計は、約3,674万円であり、これには、インフルエンサーによる広告が含まれているとして、甲第29号証ないし甲第32号証を提出しているが、上記証拠には、本件商標の登録出願後の日付のものも含まれており、また、各インフルエンサーによる動画の投稿は年に1回又は2回であって、2023年及び2024年の投稿についてそれぞれ10回分表示されていることは確認できるものの、サムネイル表示のみであり、その内容の詳細を確認することができないばかりか、これら以外の広告宣伝の具体的な詳細は明らかではない。 (キ)申立人は2023年10月16日~同月18日に、国際展示場「インテックス大阪」の「beautyworld」に出展し、引用商標2を使用した化粧品を展示した(甲36、甲37)。 (ク)引用商標2を包装容器に表示したリップグロスが、2025年2月20日に「抖音」のウェブサイト上での部門別ランキングで1位となった(甲35、申立人の主張)が、当該日付は本件商標の登録出願後である。 イ 上記アによれば、申立人は、引用商標1である「HYNTOOR」の文字及び引用商標2を使用した化粧品(以下「申立人商品」という。)を中国において販売しているとはいえるものの、申立人商品の市場シェアは明らかではない。 さらに、中国のECサイトで申立人商品がランキング1位を獲得したのは本件商標の登録出願後であり、加えて、申立人が大阪の展示会に出展したことが認められるが、それにより、どの程度注目あるいは報道され、需要者の間で認識されているのかなど、引用商標の周知性を判断する上で、どのように結びつくのかについては、明らかでない。 そして、インフルエンサーによる申立人商品の紹介は、年に1回か2回にすぎず、年間でどの程度投稿されているのか不明であり、当該インフルエンサーのフォロワー数及び再生回数をもって、申立人商品の周知性を具体的に裏付けるものとはいい難く、さらに、中国国内の実店舗数は、これを裏付ける書面の提出もない。 その他、申立人の提出に係る証拠をみても、引用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国又は外国(中国)の取引者、需要者の間で、広く認識されていたと認めるに足りる証拠は見いだせない。 そうすると、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表すものとして、我が国又は外国(中国)の取引者、需要者の間に広く認識されていたと認めることはできないものである。 (2)本件商標と引用商標との類否について 本件商標と引用商標1は、上記1及び2のとおり、いずれも「HYNTOOR」の文字からなるものである。 また、引用商標2は、「HYNTOOR」の文字の構成中、3番目の「N」の文字における斜線を左右逆に表し、「R」の文字をややデザイン化した別掲のとおりの構成からなるものである。 そうすると、本件商標と引用商標とは、その構成文字を同じくすることから、相紛れるおそれのある同一又は類似する商標である。 (3)商標法第4条第1項第15号該当性について 上記(2)のとおり、本件商標と引用商標とは、同一又は類似の商標であるとしても、上記(1)のとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の需要者の間に広く認識されていたと認めることができないものであるから、本件商標に接する需要者が申立人の業務に係る引用商標を連想、想起するものということはできない。 そうすると、本件商標は、本件商標権者が本件商標をその指定商品について使用をした場合、これに接する取引者、需要者が、引用商標を連想、想起し、申立人又は同人と経済的又は組織的に何らかの関係のある者の業務に係る商品であると誤認し、その商品の出所について混同を生じさせるおそれはない。 その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 (4)商標法第4条第1項第19号該当性について 上記(2)のとおり、本件商標と引用商標とは、同一又は類似の商標であるとしても、上記(1)のとおり、引用商標は本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、外国(中国)又は我が国の需要者の間で広く認識されていたものと認めることができないものである。 また、申立人の提出した証拠からは、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、本件商標権者が外国権利者の国内参入を阻止し、又は国内代理店契約を強制する目的、又は引用商標の顧客吸引力を希釈化若しくは便乗し不当な利益を得るなどの目的のもとに出願し、権利を取得したと認めるに足りる具体的事実を立証する証拠は見いだせない。 そうすると、本件商標が、不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他不正の目的をもって使用するものとはいえない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。 (5)商標法第4条第1項第7号該当性について 申立人は、本件商標権者は、中国在住であり、引用商標が中国において周知又は少なくともある程度知られていたこと、本件商標は、極めて独創的な引用商標と同一又は酷似するといえること、及び本件商標の出願は申立人が展示会に出展した直後に行われたことなどから不正の目的をもって、剽窃的に出願されたものである旨主張する。 しかしながら、本件商標と引用商標とは、同一又は類似の商標であるとしても、上記(1)のとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして、我が国又は外国(中国)の需要者の間で広く認識されていたものとは認められないものである。 そうすると、本件商標をその指定商品に使用しても、需要者において、申立人及び申立人の取り扱う商品を連想、想起するということはできないものであるため、本件商標は、引用商標の知名度や名声にただ乗りするなど不正の目的をもって使用をするものと認めることはできない。 また、本件商標は、その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、きょう激若しくは他人に不快な印象を与えるようなものでないことは明らかであり、さらに、申立人が提出した全証拠を勘案しても、本件商標が剽窃的に出願されたものであって、高額で買い取らせる又は申立人の事業活動を阻害する等の目的など、本件商標の登録出願の経緯に社会的相当性を欠く、又は本件商標をその指定商品について使用することが、社会公共の利益に反し、社会の一般的道徳観念に反するものとすべき具体的事情を見いだすことができない。 その他、本件商標が公序良俗に反するものというべき事情も見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。 (6)むすび 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号、同項第15号及び同項第19号のいずれにも違反してされたものではなく、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきである。 よって、結論のとおり決定する。

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