商標異議申立
2025-900001
リンクルフリーシップ、リンクルフリー、フリーシップ
- 審判番号
- 2025-900001
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 商願2024-065575
- 登録番号
- 6853867
- 請求日
- 2024年12月23日
- 審決日
- 2025年09月25日
- 公報発行日
- 2025年10月31日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】タケヤ ユーエスエイ コーポレイション
- 【権利者代理人】アクシス国際弁理士法人
- 【異議申立人】ランウェイ ブルー,エルエルシー
- 【異議申立人代理人】稲葉 良幸
- 【異議申立人代理人】田中 克郎
- 【異議申立人代理人】石田 昌彦
- 【異議申立人代理人】栗下 清治
- 審判長/審判官
- 審判長 大橋 良成
- 審判官 馬場 秀敏
- 審判官 板谷 玲子
- 分類
- T1651.222-Y (W21) / T1651.25 -Y (W21) / T1651.271-Y (W21)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項10号商標法4条1項15号商標法4条1項19号商標法43条の2商標法43条の3第4項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第10号、商標法第4条第1項第15号、商標法第4条第1項第19号
- データ出所
- 審決公報(XML)
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登録第6853867号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。
結論
結 論
登録第6853867号商標の商標登録を維持する。
理由
理 由
1 本件商標
本件登録第6853867号商標(以下「本件商標」という。)は、「WRINKLE-FREE SIP」の文字を標準文字により表してなり、2023年12月18日にアメリカ合衆国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、令和6年6月18日に登録出願、第21類「再利用可能なステンレス製の飲料用断熱容器,再利用可能なスポーツ用水筒」を指定商品として、同年9月6日に登録査定され、同年10月11日に設定登録されたものである。
2 登録異議申立人が引用する商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議申立ての理由において引用する商標(以下「引用商標」という。)は、「FreeSip」の欧文字からなり、申立人の業務に係る商品「水筒等」について使用し、我が国及び米国を含む外国における取引者、需要者の間で周知・著名であると主張するものである。
3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同項第15号及び同項第19号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第29号証を提出した。
(1)申立人と引用商標について
申立人は、Trove Brands, LLC(以下「Trove社」という。)の子会社である。このTrove社は、「BlenderBottle」、「Owala」などのブランドのもと、水筒などを製造販売する米国企業である(甲2)。同社の特許取得済みでベストセラーとなっている製品は、世界90か国以上、90,000を超える小売店で販売されており、2000年に設立され、従業員数は201名ないし500名規模である。Trove社が展開する「Owala」の「FreeSip」(引用商標)シリーズは、アメリカ発の革新的な水筒で、特許取得済みの独自構造により、1本のボトルで2通りの飲み方が可能である。この水筒は、素材には高品質のステンレスやトライタンが使用されており、日本では、2023年12月1日よりステンレスモデルが、2024年9月3日よりトライタンモデルが正式に発売されている。このシリーズは、機能性とデザイン性を兼ね備えたウォーターボトルとして、多くのユーザーから支持を集めている(甲3)。Trove社は、米国を含む全世界で、引用商標を登録している。
その結果、引用商標は、日本の需要者・取引者においても、広く一般に知られている。
具体的には、引用商標の使用期間は2021年3月29日から、使用地域はオンラインショップ(甲4~甲10)である。
そして、引用商標のメディアヘの掲載として、米国のニュース雑誌「TIME」において引用商標を使用した製品が2023年最優秀発明として紹介されたほか、米国の情報誌、ヨガ愛好者向けのライフスタイルマガジン、米国のNBCが運営するニュース・ライフスタイル系のウェブサイト、米国の料理雑誌の公式ウェブサイト、及び米国のCNNが運営するウェブサイトにおいて、引用商標を使用した製品が紹介されたものがある(甲11~甲16)。
また、オーストラリアのキッチン用品専門店の公式ウェブサイトで引用商標を使用した製品が販売され、シンガポールのオンライン情報エンターテインメントマガジンにおいて引用商標を使用した製品が「Z世代の間で人気を博している」として紹介された(甲17、甲18)。
さらに、日本のプレスリリース・ニュースリリース配信サービスである「PR TIMES」及び日本のスポーツ専門のプレスリリース情報サイトである「SPORTS MANIA」において、引用商標を使用した製品が「FreeSipボトルは既に40,000件を超えるレビューを獲得しており、TikTokでハッシュタグ「#owala」は2億7,200万回以上再生されています」として紹介された(甲19、甲20)。
加えて、「Instagram」や「TikTok」などのSNSでも多数紹介されている(甲21~甲28)。
以上のとおり、引用商標は全国規模での使用、多数のメディア掲載等の結果、その周知著名性は極めて高いものとなっている。
(2)商標法第4条第1項第10号について
ア 引用商標の周知著名性について
上記(1)のとおり、全国規模での使用、多数のメディア掲載等の結果、引用商標の周知著名性は極めて高いものとなっている。
イ 本件商標と引用商標の類否
(ア)本件商標について
本件商標は、「WRINKLE」の欧文字と「FREE SIP」の欧文字とを「-(ハイフン)」を介して結合してなるものであり、その構成文字のうち、「WRINKLE」の文字は「しわ」の意味を有し、日本人にも比較的馴染みのある語であるといえる。
そうすると、「WRINKLE」の文字部分の識別力は比較的弱く、「FREE SIP」の文字部分が出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる。
そのため、本件商標からは、その全体から「リンクルフリーシップ」の称呼が生じるほか、その要部に応じて「フリーシップ」の称呼も生じる。また、本件商標の構成文字のうち、「WRINKLE」の部分は「しわ」と理解されるのに対して、「FREE SIP」の部分は全体として一種の造語と認識されるものであり、指定商品である水筒等との関係では申立人が関係する著名なブランドを想起させるものである。
(イ)引用商標について
引用商標は、「FreeSip」の欧文字を一連に横書きしてなるものであり、「フリーシップ」の称呼が生じ、一種の造語と認識されるものであり、水筒等との関係では申立人が関係する著名なブランドを想起させる。
(ウ)本件商標と引用商標の類否
a 外観の比較
本件商標は、「WRINKLE」の欧文字と「FREE SIP」の欧文字とを「-(ハイフン)」を介して結合してなるものである。これに対して、引用商標は、「FreeSip」の欧文字を、一連に横書きしてなるものである。
本件商標と引用商標とは、「FREE SIP」の文字部分が大きく共通するため、両者は外観上も一定の類似性を有している。
b 称呼の比較
本件商標からは「リンクルフリーシップ」の称呼が生じるほか、その要部に応じて「フリーシップ」の称呼も生じるのに対して、引用商標からは「フリーシップ」の称呼が生じる。そのため、両者は「フリーシップ」の称呼が共通する。
したがって、本件商標と引用商標は、称呼上類似である。
c 観念の比較
本件商標と引用商標はともに、一種の造語と認識されるものであり、水筒等との関係では申立人が関係する著名なブランドを想起させる点で共通する。
したがって、本件商標と引用商標は、観念上類似である。
d 商標審査基準
商標審査基準において、「指定商品又は指定役務について需要者の間に広く認識された他人の登録商標と他の文字又は図形等と結合した商標は、その外観構成がまとまりよく一体に表されているもの又は観念上の繋がりがあるものを含め、原則として、その他人の登録商標と類似するものとする」と規定されている。上記(1)で述べたとおり、引用商標の周知著名性は極めて高いものとなっている。
したがって、仮に、引用商標が、外観構成がまとまりよく一体に表されているもの又は観念上の繋がりがあると認められる場合であっても、本基準によると、本件商標と引用商標は類似と判断される。
e 小括
以上のとおり、本件商標は、引用商標と、少なくとも称呼及び観念が共通し、商標審査基準に従ったとしても、両者は類似と判断される。
ウ 使用商品の類否
上記(1)で述べたとおり、申立人は、引用商標を使用して、水筒等を提供しているから、本件商標の指定商品と、引用商標の使用商品とは、相互に類似する。
エ 小括
以上によれば、本件商標は、周知著名な引用商標に類似し、その使用商品と同一又は類似の商品を指定するものであるため、商標法第4条第1項第10号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第15号について
ア 引用商標の周知著名性及び独創性の程度について
上記(1)のとおり、全国規模での使用、多数のメディア掲載等の結果、引用商標の周知著名性は極めて高いものとなっている。
また、引用商標「FreeSip」は、一般的な日本人にとっては直ちにその意味合いが理解されるとは考えられず、一種の造語としても認識され得るものであるから、引用商標の独創性は高いと考えられる。
イ 本件商標と引用商標との類似性の程度について
上記(2)イ(ウ)で述べたとおり、本件商標は、引用商標と、称呼及び観念が共通し、商標審査基準も総合的に考慮すると、両者の類似性は相当高いと判断される。
ウ 本件商標の指定商品と引用商標の指定商品等との関連の程度について
本件商標の指定商品が、引用商標の使用商品等と類似するのは、上記(2)ウで述べたとおりである。
エ 小括
以上のとおり、本件商標は引用商標とは類似性が高く、引用商標の周知著名性及び独創性の程度も高く、本件商標の指定商品と引用商標に係る使用商品等とは関連性が高いため、本件商標に接する需要者・取引者は申立人と経済的又は組織的に何等かの関係がある者の業務に係る商品又は役務であると誤認し、出所について混同するおそれがあるから、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(4)商標法第4条第1項第19号について
ア 本件商標と引用商標との類否について
上記(2)イ(ウ)で述べたとおり、本件商標は、引用商標と、称呼及び観念が共通し、両者の類似性は相当高いと判断される。
イ 「不正の目的」について
上記(1)のとおり、継続的な使用、多数のメディア掲載等の結果、水筒等の需要者・取引者の間では、引用商標の周知著名性は高いものとなっている。特に米国における周知著名性は極めて高いといえる。また、引用商標は、本来的に、造語であり、その独創性は高い。
本件商標の商標権者は、水筒等を販売する企業であり、米国においても販売を行っている(甲29)。申立人と本件商標の商標権者は、同種の商品を扱う同業者である。そうすると、本件商標の商標権者は、当然に、周知著名である申立人の引用商標の存在を知っていたはずである。
これらのことから、本件商標の商標権者には不正の目的が推認されるのみならず、引用商標の出所表示機能を稀釈化させるおそれがある。
ウ 小括
以上のとおり、本件商標は、申立人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標と類似の商標であって、不正の目的をもって使用をするものであるため、商標法第4条第1項第19号に該当する。
4 当審の判断
(1)引用商標の周知性について
申立人は、Trove社の子会社であって、このTrove社が展開する「Owala」の「FreeSip」(引用商標)シリーズがユーザーの支持を集めた結果、引用商標の周知著名性は極めて高いものとなっている旨主張し、証拠方法として、甲第2号証ないし甲第28号証を提出している。
しかしながら、「Owala」のブランドの下、引用商標を使用した商品「水筒」(以下、これを「使用商品」という。)がオンラインストア等のウェブサイトに掲載、紹介されていること(甲3~甲7、甲11~甲26、甲28)、Trove社が引用商標に係る何らかの商品を記載し日本向けに2023年6月ないし2024年2月に発行した請求書(INVOICE)が存在すること(甲8~甲10)は確認できるものの、本件商標の登録出願時及び登録査定時における、引用商標の周知性を立証する証拠としては不十分なものである。
また、他に引用商標を使用した申立人ないしはTrove社の業務に係る商品(使用商品)の販売数量、売上高、市場シェアなどの販売実績、宣伝広告の回数や宣伝広告の額などの広告実績等、周知性を具体的に裏付ける証拠の提出はない。
したがって、申立人の提出に係る証拠及び同人の主張によっては、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用商標が他人(申立人ないしはTrove社)の業務に係る商品を表示するものとして、我が国又は外国における需要者の間に広く認識されているものとは認めることができない。
(2)本件商標と引用商標との類似性について
ア 本件商標
本件商標は、上記1のとおり、「WRINKLE-FREE SIP」の文字を標準文字により表してなるところ、その指定商品との関係において、構成中の「WRINKLE」の文字が、商品の品質等を表示するものであるなど商品の出所識別標識としての称呼等が生じないというべき事情は見いだせず、また、構成中の「FREE SIP」の文字が、強く支配的な印象を与えるものであるというべき事情も見いだせない。
そして、本件商標は、その構成文字に応じて「リンクルフリーシップ」の称呼を生ずるものであり、やや冗長ではあるものの無理なく一連に称呼し得るものである。
そうすると、本件商標は、構成全体として親しまれた意味合いを想起させることのない造語として認識され、特定の観念を生じないものというのが相当である。
イ 引用商標
引用商標は、「FreeSip」の欧文字からなるものであるところ、当該文字に相応して「フリーシップ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものというのが相当である。
ウ 本件商標と引用商標との対比
本件商標と引用商標を比較すると、外観においては、「WRINKLE」の文字の有無等において異なることから、両者は、外観上、判然と区別し得るものである。
また、称呼においては、本件商標から生じる称呼と引用商標から生じる称呼とは、「リンクル」の音の有無において異なることから、両者は、称呼上、明瞭に聴別し得るものである。
そして、観念においては、本件商標及び引用商標は、ともに特定の観念を生じないから、観念上、比較することができない。
そうすると、本件商標と引用商標とは、観念において比較することができないとしても、外観及び称呼において区別できることから、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきである。
(3)商標法第4条第1項第10号について
上記(1)のとおり、引用商標は他人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標とは認められないものであり、上記(2)のとおり、本件商標と引用商標は非類似の商標である。
したがって、本件商標の指定商品と使用商品とが同一又は類似するとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。
(4)商標法第4条第1項第15号について
上記(1)のとおり、引用商標は他人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標とは認められないものであり、上記(2)のとおり、本件商標と引用商標は非類似の商標であって、別異の商標といえるものである。
そうすると、本件商標の指定商品と使用商品の関連性の程度及び需要者の共通性を考慮しても、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品について使用しても、これに接する取引者、需要者をして、引用商標を連想又は想起させるものとは認められず、その商品が、他人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係がある者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
その他、本件商標について、出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情も見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(5)商標法第4条第1項第19号について
上記(1)のとおり、引用商標は他人の業務に係る商品を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標とは認められないものであり、上記(2)のとおり、本件商標と引用商標は非類似の商標である。
そして、本件商標権者が引用商標の存在を知ってその周知性にただ乗りするなど不正の目的をもって本件商標を使用するものであると認めるに足りる証拠の提出はなく、本件商標権者が、本件商標を不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をもって使用をするものということはできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
(6)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号、同項第15号及び同項第19号のいずれにも違反してされたものではなく、その他、同法第43条の2の各号に該当するというべき事情は見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
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