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商標無効審判

2025-890030

グングンオヤツ、グングン

審判番号
2025-890030
法域
商標
審判種別
無効審判(無効の審決)
出願番号
商願2024-017065
登録番号
6830199
請求日
2025年04月28日
審決日
2025年11月06日
公報発行日
2026年02月27日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】江崎グリコ 株式会社
  • 【請求人代理人】山田 威一郎
  • 【請求人代理人】松本 響子
  • 【被請求人】アサヒグループ食品株式会社
  • 【被請求人代理人】弁理士法人酒井国際特許事務所
審判長/審判官
  • 審判長 高野 和行
  • 審判官 山田 和彦
  • 審判官 清川 恵子
分類
T112 .261-Y (W30) / T112 .262-Y (W30) / T112 .263-Y (W30)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法4条1項11号商標法46条1項
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第4条第1項第11号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

上記当事者間の登録第6830199号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。

理由

理 由 第1 本件商標 本件登録第6830199号商標(以下「本件商標」という。)は、「ぐんぐんおやつ」の文字を標準文字で表してなり、令和6年2月21日に登録出願、「菓子(肉・魚・果物・野菜・豆類又はナッツを主原料とするものを除く。),パン,サンドイッチ,中華まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ」を含む第30類及び第5類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同年8月1日に設定登録されたものである。 第2 引用商標 請求人が、本件商標の登録の無効の理由として引用する登録第4268100号商標(以下「引用商標」という。)は、「ぐんぐん」の文字を標準文字で表してなり、平成9年10月24日に登録出願、第30類「菓子及びパン」を指定商品として、同11年4月30日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。 第3 請求人の主張 請求人は、本件商標の指定商品中 、第30類「菓子(肉・魚・果物・野菜・豆類又はナッツを主原料とするものを除く。),パン,サンドイッチ,中華まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ」(以下「請求に係る指定商品」という。)についての商標登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を審判請求書及び弁駁書において要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第14号証(枝番号を含む。)を提出した。 1 請求の理由 本件商標は、請求に係る指定商品について、商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、同法第46条第1項第1号により、無効にすべきものである。 2 本件商標における要部観察の可否 (1)本件商標は、上記第1のとおりの構成からなり、「ぐんぐん」、「おやつ」との2語からなる商標であるが、後半の「おやつ」の語は、「午後の間食」との意味を有する語であり(甲5)、本件商標の請求に係る指定商品の品質、用途の表示に該当し、自他商品識別力を有さない語である。 この「おやつ」の語は、具体的な食べ物の名称ではなく、食べる時間や食べ方も含めた概念であるが、「おやつ」(午後の間食)として食べる食材の典型が「菓子」であり、「パン,サンドイッチ,中華まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ」も「おやつ」(午後の間食) として食べることの多い食材である。 この点、「菓子」が「おやつ」の典型的な食材であることは、以下のウェブサイト(甲6) において「おやつ」といえば「菓子」を想起することが当然の前提になっていることからも明らかといえる。 そのため、本件商標に接する取引者、需要者は、本件商標の後半の「おやつ」の文字部分を、請求に係る指定商品の品質、用途を表す自他商品識別力を有さない文字であると認識するということができるため、本件商標の構成中の「おやつ」の文字部分からは、出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認められる。 (2)一方、本件商標の前半の「ぐんぐん」の文字は、「1 力強く物事が行われるさま。2 変化する度合いが大きいさま。」との意味を有する語であるが(甲5)、かかる意味合いは、請求に係る指定商品の品質等を表すものではなく、十分に自他商品識別力を発揮する語である。 また、商標「ぐんぐん」は、請求人の創業者が考案し、1962年以降、魚肉ソーセージを主として食品のブランド名に使用していた商標である(甲7、甲8)。 また、請求に係る指定商品とは異なる分類ではあるが、被請求人は、第5類「乳幼児用粉乳」に関し、商標「ぐんぐん」を使用しており(甲9)、かかる点からみても、「ぐんぐん」の語が単独で強い自他商品識別力を発揮する語である。 これらの点に鑑みると、本件商標の前半の「ぐんぐん」の文字部分は、取引の場で、強い自他商品識別力を有する語であるといえ、本件商標の構成中の「ぐんぐん」の文字部分は、取引者、需要者に対し、商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものであるといえる。 (3)以上の点に鑑みると、本件商標の前半の「ぐんぐん」の文字部分は、最高裁判例(最一小判昭和38年12月5日民集17巻12号1621頁、最二小判平成5年9月10日民集47巻7号5009頁、最二小判平成20年9月8日集民228号561頁参照)の規範で挙げられた、ア 商標の構成部分の一部が取引者、需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合、イ それ以外の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認められる場合、のいずれの基準から見ても、要部として抽出されるべき語であるというべきである。 また、「ぐんぐん」の語と「おやつ」の語は、一方がもう一方を修飾する関係にあるものではなく、観念上、相互に結びつきが強いとはいえない。さらに、「広辞苑 七版」において「ぐんぐんおやつ」との一連の語や用例が掲載されている事実もなく、「ぐんぐんおやつ」の語から具体的な意味合いが想起されることもない。そのため、本件商標「ぐんぐんおやつ」は、一体不可分のものとして看取すべき特段の事情もない商標であり、かかる点から見ても、本件商標は、前半の「ぐんぐん」の文字部分が要部になる商標であるというべきである。 3 過去の判決・審決の認定との整合性 最高裁判例の規範から考えると、本件商標は前半の「ぐんぐん」の文字が要部として抽出される商標といえるが、このような判断手法は、過去の下級審判決や特許庁の審決でも踏襲されているものである。 例えば、知財高裁の過去の判決においても、指定商品の品質等を表し、識別力がない語と他の語との結合からなる商標において、識別力を欠く語を除いた部分を要部として抽出して類否を判断している例が多数存在する(甲10)。 また、特許庁の過去の審決においても、第30類を指定商品とする、指定商品に関連する語と他の語の結合からなる商標において、指定商品に関連する語を除いた部分を抽出して類否判断している例が存在する(甲11)。 4 本件商標と引用商標の対比 (1)本件商標は、前半の「ぐんぐん」の文字が要部になる商標であるため、本件商標と引用商標は、「グングン」の称呼、「力強いさま。」との観念を共通にする商標である。 また、本件商標の要部となる「ぐんぐん」の文字は、引用商標「ぐんぐん」と同一の文字からなるため、両商標は外観においても類似する。 したがって、本件商標と引用商標は、外観、称呼、観念のいずれにおいても類似しており、本件商標は引用商標に類似の商標であるといえる。 (2)指定商品の類似性 本件商標の指定商品中、第30類「菓子( 肉・魚・果物・野菜・豆類又はナッツを主原料とするものを除く。),パン,サンドイッチ,中華まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ」は、引用商標の指定商品、第30類「菓子及びパン」と同一又は類似である。 5 答弁に対する弁駁 本件商標の前半の「ぐんぐん」の文字部分は、最高裁判例が要部抽出を肯定する根拠として挙げた2つの基準のいずれの基準から見ても、要部として抽出されるべき語である。 (1)本件商標が引用商標に類似すること ア 本件商標の構成中の「ぐんぐん」の文字が要部になることは、上記2のとおりである。 イ 本件商標「ぐんぐんおやつ」が「ぐんぐん」と「おやつ」という2語を結合したものであることは、一見して明らかであり、本件商標を一連一体の造語であるということはできない。被請求人は、「本件商標中「ぐんぐん」は辞書に記載された副詞(擬態語)」であることを認める主張をしているが、かかる主張は、本件商標が「ぐんぐん」、「おやつ」との2語の結合商標であることを自認するものであり、本件商標が一連一体の造語であるという主張とは整合しないものである。また、「ぐんぐん」の文字の「広辞苑 第七版」(甲5)及びデジタル大辞泉に掲載の意義は、いずれも請求に係る指定商品の品質等に結びつくものではなく、「ぐんぐん」の文字の自他商品識別力が弱いなどといえないことは明らかである。さらに、被請求人は、本件商標からは「ぐんぐん成長することを助けるおやつ」「ぐんぐん食べられるおやつ」との観念が生じると主張しているが、このような意味合いを想起させるためには「ぐんぐん」の後に「成長する」、「食べられる」というような表現を補うことが必須であり、これらの語を補充しない限り、「ぐんぐんおやつ」の語から、被請求人が主張するような観念は生じ得ない。そのため、本件商標の前半の「ぐんぐん」の語が、後半の「おやつ」の語を修飾しているとはいえず、観念上、両語の結びつきがあるといえないことは明らかである。 以上の点に鑑みると、被請求人の主張は、本件商標の前半の「ぐんぐん」の文字を要部として抽出することを否定する論拠にはなり得ないものである。 (2)過去の審査、審判との整合性 被請求人が主張する各類型の商標を類似と判断し、拒絶している例が多数存在している(甲13、甲14)。 なお、被請求人が挙げている過去の並存登録例は、その大半が本件商標よりも、一連一体との判断がしやすい事例であり、本件商標「ぐんぐんおやつ」の類否判断の参考になるものではない。また、並存登録例中の「もぐもぐ」「ぱくぱく」「サクサク」「さらさら」の語は、食品の関係において、「ぐんぐん」よりもはるかに識別力が弱い語であるため、これらの語に関連した並存登録例があるからといって、本件商標と引用商標を非類似と判断すべきであるとはいえない。 第4 被請求人の主張 1 答弁の理由 (1)本件商標と引用商標について 本件商標は「ぐんぐんおやつ」を標準文字で表してなる商標であり、引用商標は「ぐんぐん」を標準文字で表してなる商標である。 請求人は、最高裁判例(最一小判昭和38年12月5日民集17巻12号1621頁(リラ宝塚事件)、最二小判平成5年9月10日民集47巻7号5009頁(SEIKO EYE事件)、最二小判平成20年9月8日集民228号561頁(つつみのおひなっこや事件))を参照し、本件商標の構成中「おやつ」はその指定商品の品質・用途の表示に該当し、自他商品識別力を有さないため、その要部は「ぐんぐん」であることを理由として本件商標と引用商標が互いに類似する商標であると主張している。 商標の類否については、原則として全体観察を行うものとされている(最三判昭和43年2月27日民集第22巻2号399頁(氷山印事件)、最一小判昭和38年12月5日民集17巻12号1621頁(リラ宝塚事件)。つまり、全体観察が原則であり、分離観察はその例外として特別な場合にのみ許されることであるので、分離観察を採用するにあたっては慎重な検討が求められる。 上記の点について請求人の最高裁判例の解釈は不適切であると思料される。そもそも商標はその構成部分全体について観察すべきものであり、これを各構成部分に分離して観察することが許されるのは、例外として認められる場合のみであるという点が請求人の主張においては考慮されていない。 「リラ宝塚事件」(最一小判昭和38年12月5日)においては、「各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められない商標」に限って分離観察が許される場合があるということである。 また「つつみのおひなっこや事件」においては、原則として商標全体を観察して類否を判断するということになる。 特許庁の商標審査基準十、4.(1)(ア)においても、分離観察することが認められるのは「各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど強く結合しているものと認められない場合」に限定されている。 商標審査基準十、4.(1)(ア)の記載の点については、本件商標「ぐんぐんおやつ」は全体として一連一体の造語とみなされるべきであり、本件商標は上記原則には該当しないので「ぐんぐん」とは類似しない。 本件商標「ぐんぐんおやつ」は音数も7音と冗長ではなく、まとまりよく一気に発音できる商標であるため、「ぐんぐん」の部分を分離して観察することは取引上不自然だからである。 本件商標中「ぐんぐん」は辞書に記載された副詞(擬態語)であり、「1 物事が勢いよく進行するさま。どんどん。「病気がぐんぐん(と)よくなる」」「2 力強く物事をするさま。ぐいぐい。「ロープをぐんぐん引っばる」」と説明されているため、さほどユニークな語ではなく、指定商品との関係において識別力が特段に強いものではない(乙1)。 よって、本件商標中「ぐんぐん」は「取引者、需要者に対し、商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるもの」であるとはいえず、「おやつ」との間で質的軽重の差は小さい。加えて、本件商標は標準文字で一連一体に表された商標であることから、本件商標を看る一般需要者及び取引者は「ぐんぐん」と「おやつ」とを分離して判断することはなく、本件商標からは造語として「グングンオヤツ」の称呼しか生じないとするのが妥当である。「ぐんぐんおやつ」は「ぐんぐん成長することを助けるおやつ」「ぐんぐん食べられるおやつ」等の観念を想起せしめるものであって一連一体に理解、認識され、そこからあえて「ぐんぐん」のみを抽出する必然性はない。 「おやつ」の部分も前半の「ぐんぐん」と相まって看者の意識、記憶に強く残るものである。後述のとおり「ぐんぐん」と「ぐんぐんグミ」とが非類似の商標として併存登録されているのは、単なる「ぐんぐん」(勢いよく進むさま)と「ぐんぐんグミ」(どんどん成長することを助けるグミキャンディ)とでは、観念が全く異なり、称呼から受ける音調、語呂も違うからである。 つまり、本件商標中「ぐんぐん」以外の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じえないと断定することはできない。 しかして本件商標中「ぐんぐん」が要部として抽出されるという請求人の主張は失当である。 (2)過去の審査、審判との整合性について 特許庁においては、乙第2号証ないし乙第6号証の併存例が認められる。これらの先登録例に鑑みると、本件商標と引用商標とを非類似の商標として併存登録した判断は妥当なものであり、違法性はない。 乙第3号証及び乙第4号証に列記したように、「○○」と「○○おやつ」からなる商標とが併存登録されていることから、本件商標中「おやつ」の部分を捨象すべきではなく、一連一体に「グングンオヤツ」の称呼のみが生じるとするのが相当である。 また本件商標から生じる称呼は冗長ではなく、無理なく一連に称呼できるものである。 そうであるならば、本件商標の構成中「おやつ」の文字が、本件商標にかかる指定商品との関係で商品の品質又は用途を表すとしても、「ぐんぐん」との間で質的軽重の差がさほど大きくなく全体として一連の造語とみなされるため、構成全体をもって一連の造語であると理解できる。そしてこれに接する取引者、需要者が「おやつ」の文字部分を捨象し、「ぐんぐん」の文字部分のみに着目して取引に当たるというよりは、むしろ「ぐんぐんおやつ」の構成全体から生ずる称呼、観念をもって取引に資されるというのが自然である。 本件商標は、外観においても平仮名「ぐんぐんおやつ」を同書同大同間隔で表してなるものであるから、全体としてまとまりよく、一連一体に認識される。 (3)指定商品の類似性について 本件商標にかかる指定商品中、引用商標にかかる指定商品と類似するものは第30類「菓子(肉・魚・果物・豆類又はナッツを主原料とするものを除く。),パン,サンドイッチ,中華まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ, ミートパイ」である。それ以外の商品については、抵触関係はない。 (4)結論 以上のとおり、本件商標と引用商標とは、外観、称呼、観念のいずれにおいても類似せず、互いに非類似の商標である。 第5 当審の判断 1 利害関係について 請求人が本件審判を請求する利害関係を有することについては、当事者間に争いがないものであり、請求人が本件審判を請求する利害関係を有するものと認められるから、本案に入って審理する。 2 商標法第4条第1項第11号該当性について (1)本件商標について 本件商標は、上記第1のとおり、「ぐんぐんおやつ」の文字を標準文字で表してなるものであるところ、全て平仮名で、同書同大同間隔で、外観上、その構成全体がまとまりのある一体のものとして認識されるものである。 また、かかる構成からなる文字全体から生ずる「グングンオヤツ」の称呼も、冗長とはいえずよどみなく一連に称呼し得るものである。 そして、本件商標の構成中、「ぐんぐん」の文字は,請求人が挙げる広辞苑(甲5)の意味合いとほぼ同じではあるが、「勢いよく成長するさま。[用例]背がぐんぐん伸びる。」「勢いよく進行するさま。はかどるさま。[用例]仕事がぐんぐん進む。」(出典「日本語大辞典」株式会社講談社)を意味する語としても知られているものであり、「おやつ」の文字は「(八つ時に食べることから)午後の間食。お三時。」(出典「広辞苑 第七版」株式会社岩波書店)を、意味する語として広く知られている語であるといえる。 そうすると、「ぐんぐんおやつ」の文字は、これ自体は辞書等に載録されている成語ではないものの、よく知られた語を組み合わせてなるものであるから、構成する文字の語義から、全体として「勢いよく成長するおやつ」 ほどの意味合いを想起するというのが相当である。 そして、本件商標の指定商品を含む食品を取り扱う業界においては、栄養等を補給して成長をサポートするための商品が販売され、成長するさまを比喩的に表した「ぐんぐん」の文字と他の文字を組み合わせた語が採択されていることが、被請求人が提出している「ぐんぐん」の文字を含む登録例(乙2)の商品や請求人の商品「お子様の成長を応援する」との記載があるソーセージ(グングンソーセージ、甲8)からも確認できる。 そうすると、本件商標の指定商品との関係から、本件商標よりは「成長を促すおやつ」程の意味合いを漠然と理解させるものといえる。 してみると、本件商標のかかる構成態様、構成文字全体から理解される意味合いなどを合わせ考慮すれば、本件商標に接する取引者、需要者が、殊更、その構成中の「ぐんぐん」の文字部分のみに着目するということはいえず、その構成文字全体をもって把握するとみるのが相当であるから、本件商標よりは、その構成文字に相応した「グングンオヤツ」の称呼のみが生じ、「成長を促すおやつ」ほどの意味合いを漠然と理解させるというのが相当である。 (2)引用商標について 引用商標は、「ぐんぐん」の文字を標準文字で表してなるものである。 そして、「ぐんぐん」の文字は、上記(1)と同様に、「勢いよく成長するさま。」等を意味する語である。 そうすると、引用商標よりは、その構成文字に相応した「グングン」の称呼が生じ、「勢いよく成長するさま。」の観念を生じるものである。 (3)本件商標と引用商標の類否について 本件商標と引用商標を比較するに、外観においては、「おやつ」の文字の有無によって明らかに異なるものであり、明確に区別できるものである。 そして、称呼においては、本件商標より生じる「グングンオヤツ」と、引用商標より生じる「グングン」とでは、後半の「オヤツ」の音の有無によって、明瞭に聴別できるものである。 また、観念においては、本件商標よりは「成長を促すおやつ」ほどの意味合いを漠然と理解させるのに対し、引用商標よりは「勢いよく成長するさま。」ほどの観念が生じ得るため、相紛れるおそれのないものである。 してみれば、本件商標と引用商標とは、外観において明確に区別できるものであり、称呼において明瞭に聴別できるものであって、観念において相紛れるおそれのないものであるから、両商標が与える印象、記憶等を総合してみれば、商品の出所について誤認混同を生じるおそれのない、非類似の商標というのが相当である。 (4)小括 以上のとおり、本件商標と引用商標とは、非類似の商標であるから、両商標の指定商品が同一又は類似するものであるとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。 3 請求人の主張について (1)請求人は、本件商標は「ぐんぐん」、「おやつ」との2語からなる商標であり、後半の「おやつ」の語は、「午後の間食」との意味を有する語(甲5)で、本件商標の請求に係る指定商品の品質、用途の表示に該当し、自他商品識別力を有さない語であるから、本件商標の構成中の「おやつ」の文字部分からは、出所識別標識としての称呼、観念が生じない旨主張する。 しかしながら、本件商標が「ぐんぐん」、「おやつ」との2語からなるものであって、「おやつ」の文字が商品の用途等を表示する場合があるとしても、本件商標は文字全体としての意味合いを漠然と理解させるものであり、一体的な構成態様からなるものであるから、本件商標は「ぐんぐんおやつ」全体として理解、把握されるものというべきである。したがって、本件商標に接する需要者、取引者に、「ぐんぐん」の文字のみが商品の出所識別標識として、強く支配的な印象を与えるものと認めることはできない。 (2)請求人は、過去の判決例、審決例、審査例等を挙げて、識別力を欠く語を除いた部分を要部として抽出して類否を判断している例が多数存在する旨主張する。 しかしながら、商標の類否判断は、対比する商標について個別具体的に判断されるべきものであって、請求人が挙げる判決例、審決例、審査例等とは商標の具体的構成、指定商品等との関係等において本件商標とは事案を異にするものといえる。そして、本件商標と引用商標については上記2のとおり判断するものであるから、過去の判決例、審決例、審査例をもってその判断が左右されるものではない。 (3)したがって、上記請求人の主張は採用できない。 4 むすび 以上のとおり、本件商標の請求に係る指定商品についての登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものではないから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすることはできない。 よって、結論のとおり審決する。

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