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特許無効審判

2025-800034

非円形のインダクタコイルを備えたエアロゾル発生システム

審判番号
2025-800034
法域
特許
審判種別
無効審判(無効の審決)
出願番号
特願2020-506333
登録番号
7235721
請求日
2025年04月28日
審決日
2026年06月17日
公報発行日
2026年08月28日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】Future Technology 株式会社
  • 【被請求人】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
  • 【被請求人代理人】▲吉▼田 和彦
  • 【被請求人代理人】須田 洋之
  • 【被請求人代理人】山崎 一夫
  • 【被請求人代理人】近藤 直樹
  • 【被請求人代理人】那須 威夫
  • 【被請求人代理人】鈴木 信彦
  • 【被請求人代理人】工藤 嘉晃
  • 【被請求人代理人】豊島 匠二
  • 【被請求人代理人】岩上 健
審判長/審判官
  • 審判長 大山 健
  • 審判官 鈴木 充
  • 審判官 山本 崇昭
分類
P1123.121-Y (A24F)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第169条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

上記当事者間の特許第7235721号発明「非円形のインダクタコイルを備えたエアロゾル発生システム」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。

理由

理 由 第1 請求の趣旨及び答弁の趣旨 1 請求の趣旨 特許第7235721号の特許請求の範囲の請求項1に係る発明についての特許を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求める。 2 答弁の趣旨 本審判の請求は成り立たない。 審判費用は請求人の負担とする。 との審決を求める。 第2 手続の経緯 (1)特許第7235721号(以下「本件特許」という。)の出願から設定登録までの経緯 本件特許の出願から設定登録までの手続の経緯は、大略次のとおりである。 2018年(平成30年)8月8日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2017年8月9日(EP)欧州特許庁)を国際出願日とする出願 令和5年 1月23日付け 特許査定 令和5年 2月28日 設定登録 (2)本無効審判事件の手続の経緯 本無効審判事件の手続の経緯は、以下のとおりである。 令和7年 4月28日 審判請求書の提出 令和7年 8月27日 審判事件答弁書の提出 令和8年 1月28日付け 審理事項通知 令和8年 2月26日 口頭審理陳述要領書の提出(請求人) 令和8年 3月27日 口頭審理陳述要領書の提出(被請求人) 令和8年 4月22日 口頭審理 第3 本件発明 本件特許の請求項1に係る発明(以下「本件発明」という。)は、願書に添付された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。 「【請求項1】 エアロゾル発生装置であって、 エアロゾル発生物品の少なくとも一部分を受容するようにサイズが決められたチャンバーを有するハウジングと、 前記チャンバーの少なくとも一部分の周りに配置されたインダクタコイルと、 前記チャンバーの中に突出していて、相互に間隙を介した複数の細長いサセプタ素子であって、前記複数の細長いサセプタ素子がそれぞれ前記インダクタコイルの磁軸と実質的に平行に延びている、複数の細長いサセプタ素子と、 使用時に前記インダクタコイルが交番磁界を発生して前記複数の細長いサセプタ素子を誘導加熱し、これによって前記チャンバーの中に受容されたエアロゾル発生物品の少なくとも一部分を加熱するように、前記インダクタコイルに接続された、かつ交流電流を前記インダクタコイルに提供するように構成された電源およびコントローラーと、を備え、前記インダクタコイルがらせん状であり、かつ非円形の断面形状を有する、エアロゾル発生装置。」 第4 両当事者の主張 1 請求人の主張及び証拠方法 (1)無効理由の概要 審判請求書及び口頭審理陳述要領書によれば、請求人が主張する無効理由は、以下のとおりである。 本件発明は、甲第1号証に記載された発明に基づいて、優先日前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。 (2)証拠方法 甲第1号証:国際公開第2017/036950号 2 被請求人の主張及び証拠方法 審判事件答弁書及び口頭審理陳述要領書によれば、被請求人の無効理由に対する主張は以下のとおりである。 本件発明は、甲第1号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に想到し得るものではない。 第5 当審の判断 1 甲第1号証の記載事項等 甲第1号証(以下「甲1」という。)には、次の記載事項及び図示事項がある。なお、摘記箇所で示す行数の数え方については、甲1の本文側方にある番号によるものとし、空行も行数に含んでいる。また、訳は、甲第1号証訳文として提出された特表2018-529322号公報の記載及び段落を参照している。下線は、当審において付与した。 (1)「As used herein, the term "smokable material" includes materials that provide volatilised components upon heating, typically in the form of vapour or an aerosol. "Smokable material" may be a non-tobacco-containing material or a tobacco-containing material. "Smokable material" may, for example, include one or more of tobacco per se, tobacco derivatives, expanded tobacco, reconstituted tobacco, tobacco extract, homogenised tobacco or tobacco substitutes. The smokable material can be in the form of ground tobacco, cut rag tobacco, extruded tobacco, liquid, gel, gelled sheet, powder, or agglomerates. "Smokable material" also may include other, non- tobacco, products, which, depending on the product, may or may not contain nicotine. "Smokable material" may comprise one or more humectants, such as glycerol or propylene glycol.」(8ページ27行ないし9ページ4行) (訳:「【0054】 本書では、用語「喫煙材」は、加熱されると揮発成分を、典型的には蒸気又はエアロゾルの形態で供する材料を含む。「喫煙材」は非タバコ含有材料であってもよいし、タバコ含有材料であってもよい。「喫煙材」は、例えば、タバコ自体、タバコ派生物、膨張タバコ、再生タバコ、タバコ抽出物、均質化タバコ、又はタバコ代替品のうちの1つ以上を含んでいてもよい。喫煙材は、挽きタバコ、刻みラグタバコ、押出タバコ、液体、ゲル、ゲル化シート、粉末、又は塊の形態とすることが可能である。「喫煙材」は、他に非タバコ製品を含んでいてもよい。この非タバコ製品は、製品によってニコチンを含んでもよいし、含まないでもよい。「喫煙材」は、1つ以上の保湿剤、例えばグリセロール又はプロピレングリコール、を含んでいてもよい。」) (2)「Referring to Figures 2 and 1 there are respectively shown a schematic cross-sectional view of an example of apparatus for heating smokable material to volatilise at least one component of the smokable material, according to an embodiment of the invention, and a schematic perspective view of a portion of the apparatus. Broadly speaking, the apparatus 100 comprises a heating zone 113 for receiving at least a portion of an article comprising smokable material, a magnetic field generator 120 for generating a varying magnetic field, and an elongate heating element 130 projecting into the heating zone 113. In this embodiment, the heating zone 113 comprises a cavity. The heating element 130 comprises heating material that is heatable by penetration with the varying magnetic field to heat the heating zone 113. In this embodiment, the apparatus 100 comprises a body 110 that defines the heating zone 113, and that is free of heating material that is heatable by penetration with the varying magnetic field. However, in other embodiments, the body 110 may comprise heating material that is heatable by penetration with the varying magnetic field, or may be omitted.」(11ページ1行ないし16行) (訳:「【0062】 図2及び図1を参照すると、喫煙材を加熱して喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるための、本発明の実施形態による装置の例の概略断面図、及びその装置の一部分の概略斜視図をそれぞれ示している。概して、装置100は、喫煙材を備える物品の少なくとも一部分を受け入れる加熱領域113と、変動磁場を発生させるための磁場発生器120と、加熱領域113内に突出する細長い加熱素子130とを備える。この実施形態では、加熱領域113は空洞を含む。加熱素子130は、変動磁場の侵入によって加熱可能な加熱材を備えて加熱領域113を加熱する。 【0063】 この実施形態では、装置100は加熱領域113を画定する本体110を備え、この本体110には、変動磁場の侵入によって加熱可能な加熱材はない。しかしながら、他の実施形態では、本体110は、変動磁場の侵入によって加熱可能な加熱材を備えることができる、又は、本体110を省略することができる。」) (3)「The first and second portions of the heating element 130 may be located adjacent each other in the longitudinal direction of the heating element 130, or may be disposed adjacent each other in a direction perpendicular to the longitudinal direction of the heating element 130, for example.」(17ページ10行ないし13行) (訳:「【0080】 加熱素子130の第1の部分と第2の部分とは、例えば、加熱素子130の長手方向に互いに隣接して配置することができる、又は加熱素子130の長手方向に垂直な方向に互いに隣接して配置することができる。」) (4)「In this embodiment, the coil 122 is a circular helix. That is, the coil 122 has a substantially constant radius along its length. In other embodiments, the radius of the coil 122 may vary along its length. For example, in some embodiments, the coil 122 may comprise a conic helix or an elliptical helix. In this embodiment, the coil 122 has a substantially constant pitch along its length. That is, a width measured parallel to the longitudinal axis of the coil 122 of a gap between any two adjacent turns of the coil 122 is substantially the same as a width of a gap between any other two adjacent turns of the coil 122. In other embodiments, this may not be true. The provision of a varying pitch may enable the strength of a varying magnetic field produced by the coil 122 to be different at different portions of the coil 122, which may help provide progressive heating of the heating element 130 and heating zone 113, and thus any article located in the heating zone 113, in a manner similar to that described above.」(19ページ31行ないし20ページ9行) (訳:「【0089】 この実施形態では、コイル122は円形螺旋である。すなわち、コイル122はその長さに沿って実質的に一定の半径を有する。他の実施形態では、コイル122の半径は、その長さに沿って変えることができる。例えば、いくつかの実施形態では、コイル122は円錐螺旋又は楕円螺旋を含むことができる。この実施形態では、コイル122はその長さに沿って実質的に一定のピッチを有する。すなわち、コイル122の長手方向軸に平行に測ると、コイル122の隣接する任意の2つの巻きの間の隙間の幅は、コイル122の隣接する他の任意の2つの巻きの間の隙間の幅と実質的に同じである。他の実施形態では、このようにしないことができる。ピッチを変えることによって、コイル122によって生成される変動磁場の強度をコイル122の異なる部分で異なるようにすることができ、これは、加熱素子130及び加熱領域113を、したがって、加熱領域113内に配置された任意の物品を、上記と同様な態様で漸進的に加熱する助けとなり得る。」) (5)「In this embodiment, the coil 122 is in a fixed position relative to the heating element 130 and the heating zone 113. In this embodiment, the coil 122 encircles the heating element 130 and the heating zone 113. In this embodiment, the coil 122 extends along a longitudinal axis that is substantially aligned with the longitudinal axis A-A of the heating zone 113. In this embodiment, the aligned axes are coincident. In a variation to this embodiment, the aligned axes may be parallel to each other. However, in other embodiments, the axes may be oblique to each other. Moreover, in this embodiment, the coil 122 extends along a longitudinal axis that is substantially coincident with the longitudinal axis of the heating element 130. This can help to provide more uniform heating of the heating element 130 in use, and can also aid manufacturability of the apparatus 100. In other embodiments, the longitudinal axes of the coil 122 and the heating element 130 may be aligned with each other by being parallel to each other, or may be oblique to each other. 」(20ページ11行ないし23行) (訳:「【0090】 この実施形態では、コイル122は、加熱素子130及び加熱領域113に対して固定位置にある。この実施形態では、コイル122は、加熱素子130及び加熱領域113を取り囲んでいる。この実施形態では、コイル122は、加熱領域113の長手方向軸A-Aと実質的に揃えられた長手方向軸に沿って延在している。この実施形態では、これらの揃えられた軸は一致する。この実施形態の変形例では、揃えられた軸は互いに平行とすることができる。しかしながら、他の実施形態では、軸は互いに傾けることができる。さらに、この実施形態では、コイル122は、加熱素子130の長手方向軸と実質的に一致する長手方向軸に沿って延在している。これは、使用時に加熱素子130をより均一に加熱する助けとなり得、また、装置100の製造性にも助けになり得る。他の実施形態では、コイル122及び加熱素子130の長手方向軸は、互いに平行にすることによって互いに揃えることができる、又は、互いに傾けることができる。」) (6)「In this embodiment, the device 123 for passing a varying current through the coil 122 is electrically connected between the electrical power source 121 and the coil 122. In this embodiment, the controller 124 also is electrically connected to the electrical power source 121, and is communicatively connected to the device 123. The controller 124 is for causing and controlling heating of the heating element 130. More specifically, in this embodiment, the controller 124 is for controlling the device 123, so as to control the supply of electrical power from the electrical power source 121 to the coil 122. In this embodiment, the controller 124 comprises an integrated circuit (IC), such as an IC on a printed circuit board (PCB). In other embodiments, the controller 124 may take a different form. In some embodiments, the apparatus may have a single electrical or electronic component comprising the device 123 and the controller 124. The controller 124 is operated in this embodiment by user-operation of the user interface 125. The user interface 125 is located at the exterior of the apparatus 100. The user interface 125 may comprise a push-button, a toggle switch, a dial, a touchscreen, or the like. In this embodiment, operation of the user interface 125 by a user causes the controller 124 to cause the device 123 to cause an alternating electrical current to pass through the coil 122, so as to cause the coil 122 to generate an alternating magnetic field. The coil 122 and the heating element 130 are suitably relatively positioned so that the alternating magnetic field produced by the coil 122 penetrates the heating material of the heating element 130. When the heating material of the heating element 130 is an electrically-conductive material, this may cause the generation of one or more eddy currents in the heating material. The flow of eddy currents in the heating material against the electrical resistance of the heating material causes the heating material to be heated by Joule heating. As mentioned above, when the heating material is made of a magnetic material, the orientation of magnetic dipoles in the heating material changes with the changing applied magnetic field, which causes heat to be generated in the heating material.」(21ページ6行ないし22ページ2行) (訳:「【0092】 この実施形態では、コイル122に変動電流を流すためのデバイス123は、電源121とコイル122との間に電気的に接続される。この実施形態では、制御器124もまた、電源121に電気的に接続され、デバイス123に通信可能に接続される。制御器124は、加熱素子130を加熱させ、且つ、その加熱を制御するためのものである。より詳細には、この実施形態では、制御器124はデバイス123を制御して、電源121からコイル122への電力の供給を制御するためのものである。この実施形態では、制御器124は、プリント回路基板(PCB:printed circuit board)上の集積回路(IC:integrated circuit)などのICを備える。他の実施形態では、制御器124は異なる形態を採ることができる。いくつかの実施形態では、本装置は、デバイス123及び制御器124を備える単一の電気又は電子構成部品を有することができる。この実施形態では、制御器124は、ユーザインターフェース125を使用者が操作することによって動作する。ユーザインターフェース125は、装置100の外側に配置される。ユーザインターフェース125は、押しボタン、トグルスイッチ、ダイヤル、タッチスクリーンなどを備えることができる。 【0093】 この実施形態では、使用者がユーザインターフェース125を操作すると、制御器124は、デバイス123に、コイル122に交流電流を流してコイル122に交流磁場を発生させる。コイル122及び加熱素子130は、コイル122によって生成された交流磁場が加熱素子130の加熱材に侵入するように適切な相対位置に配置される。加熱素子130の加熱材が導電性材料のとき、加熱材内に1つ以上の渦電流を発生させることができる。渦電流が加熱材の電気抵抗に抗して加熱材内を流れると、加熱材はジュール加熱によって加熱される。上記のように、加熱材が磁性材料で作られているとき、加熱材内の磁気双極子の向きは印加された磁場の変化に応じて変化し、それによって、加熱材内に熱が生成される。」) (7)「 [図:0001438224000001.jpg] 」(図2) (8)上記記載事項(6)から、装置100は、使用時にコイル122が交番磁界を発生して加熱素子130を誘導加熱し、これによって、加熱領域113内に受け入れられた物品の喫煙材を加熱するように、コイル122に接続された、かつコイル122に交流電流を提供するように構成された、電源121と制御器124とを備えるといえる。 上記より、甲1には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されているものと認められる。 〔甲1発明〕 「装置100であって、 喫煙材を備える物品の少なくとも一部分を受け入れる加熱領域113を有する本体110と、 前記加熱領域113を取り囲んでいるコイル122と、 前記加熱領域113の中に突出していて、第1の部分及び第2の部分からなる細長い加熱素子130であって、前記細長い加熱素子130とコイル122の長手方向軸が互いに平行である細長い加熱素子130と、 使用時に前記コイル122が交番磁界を発生して前記細長い加熱素子130を誘導加熱し、これによって前記加熱領域113の中に受容された喫煙材を備える物品の少なくとも一部分を加熱するように、前記コイル122に接続された、かつ交流電流を前記コイル122に提供するように構成された電源121および制御器124と、を備え、前記コイル122が楕円螺旋を含む、装置100。」 2 本件発明と甲1発明との対比 本件発明と甲1発明とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比する。 甲1発明の「喫煙材を備える物品」は、上記1(1)の記載事項によればエアロゾルを発生する材料を含むから、本件発明の「エアロゾル発生物品」に相当する。 甲1発明の「受け入れる」は、「受け入れる」ために、受け入れるようにサイズが決められていることは自明であるから、本件発明の「受容するようにサイズが決められた」に相当する。 甲1発明の「加熱領域113」は、本件発明の「チャンバー」に相当し、同様に「本体110」は「ハウジング」に相当する。 そうすると、甲1発明の「喫煙材を備える物品の少なくとも一部分を受け入れる加熱領域113を有する本体110」は、本件発明の「エアロゾル発生物品の少なくとも一部分を受容するようにサイズが決められたチャンバーを有するハウジング」に相当する。 甲1発明の「加熱領域113を取り囲んでいる」は、本件発明の「チャンバーの少なくとも一部分の周りに配置された」に相当し、同様に「コイル122」は「インダクタコイル」に相当する。 そうすると、甲1発明の「前記加熱領域113を取り囲んでいるコイル122」は、本件発明の「前記チャンバーの少なくとも一部分の周りに配置されたインダクタコイル」に相当する。 甲1発明の「第1の部分及び第2の部分からなる細長い加熱素子130」及び「細長い加熱素子130」と、本件発明の「相互に間隙を介した複数の細長いサセプタ素子」とは、「細長いサセプタ素子」という限りにおいて一致する。 また、甲1発明の「前記細長い加熱素子130と前記コイル122の長手方向軸が互いに平行である」に関して、コイル122の長手方向軸が磁軸となることが技術常識だから、甲1発明の「前記細長い加熱素子130と前記コイル122の長手方向軸が互いに平行である」ことと、本件発明の「前記複数の細長いサセプタ素子がそれぞれ前記インダクタコイルの磁軸と実質的に平行に延びている」こととは、「前記細長いサセプタ素子が前記インダクタコイルの磁軸と実質的に平行に延びている」ことという限りにおいて一致する。 そうすると、甲1発明の「加熱領域113の中に突出していて、第1の部分及び第2の部分からなる細長い加熱素子130であって、細長い加熱素子130とコイル122の長手方向軸が互いに平行である細長い加熱素子130」と、本件発明の「前記チャンバーの中に突出していて、相互に間隙を介した複数の細長いサセプタ素子であって、前記複数の細長いサセプタ素子がそれぞれ前記インダクタコイルの磁軸と実質的に平行に延びている、複数の細長いサセプタ素子」とは、「前記チャンバーの中に突出している、細長いサセプタ素子であって、前記細長いサセプタ素子が前記インダクタコイルの磁軸と実質的に平行に延びている、細長いサセプタ素子」という限りにおいて一致する。 甲1発明の「電源121」は、本件発明の「電源」に相当し、以下同様に、「制御器124」は「コントローラー」に相当する。 そうすると、甲1発明の「使用時に前記コイル122が交番磁界を発生して前記細長い加熱素子130を誘導加熱し、これによって前記加熱領域113の中に受容された喫煙材を備える物品の少なくとも一部分を加熱するように、前記コイル122に接続された、かつ交流電流を前記コイル122に提供するように構成された電源121および制御器124」と、本件発明の「使用時に前記インダクタコイルが交番磁界を発生して前記複数の細長いサセプタ素子を誘導加熱し、これによって前記チャンバーの中に受容されたエアロゾル発生物品の少なくとも一部分を加熱するように、前記インダクタコイルに接続された、かつ交流電流を前記インダクタコイルに提供するように構成された電源およびコントローラー」とは、「使用時に前記インダクタコイルが交番磁界を発生して前記細長いサセプタ素子を誘導加熱し、これによって前記チャンバーの中に受容されたエアロゾル発生物品の少なくとも一部分を加熱するように、前記インダクタコイルに接続された、かつ交流電流を前記インダクタコイルに提供するように構成された電源およびコントローラー」という限りにおいて一致する。 甲1発明の「楕円螺旋」は、本件発明の「らせん状」及び「非円形の断面形状」に相当する。 そうすると、甲1発明の「前記コイル122が楕円螺旋を含む」は、本件発明の「前記インダクタコイルがらせん状であり、かつ非円形の断面形状を有する」に相当する。 甲1発明の「装置100」は、エアロゾルを発生する装置であるから、本件発明の「エアロゾル発生装置」に相当する。 よって、本件発明と、甲1発明とは、以下の一致点で一致し、相違点で相違する。 〔一致点〕 「エアロゾル発生装置であって、 エアロゾル発生物品の少なくとも一部分を受容するようにサイズが決められたチャンバーを有するハウジングと、 前記チャンバーの少なくとも一部分の周りに配置されたインダクタコイルと、 前記チャンバーの中に突出している細長いサセプタ素子であって、前記細長いサセプタ素子が前記インダクタコイルの磁軸と実質的に平行に延びている、細長いサセプタ素子と、 使用時に前記インダクタコイルが交番磁界を発生して前記細長いサセプタ素子を誘導加熱し、これによって前記チャンバーの中に受容されたエアロゾル発生物品の少なくとも一部分を加熱するように、前記インダクタコイルに接続された、かつ交流電流を前記インダクタコイルに提供するように構成された電源およびコントローラーと、を備え、前記インダクタコイルがらせん状であり、かつ非円形の断面形状を有する、エアロゾル発生装置。」 〔相違点〕 「前記チャンバーの中に突出している、細長いサセプタ素子であって、前記細長いサセプタ素子が前記インダクタコイルの磁軸と実質的に平行に延びている、細長いサセプタ素子」に関して、本件発明は、前記チャンバーの中に突出していて、「相互に間隙を介した複数の」細長いサセプタ素子であって、前記「複数の」細長いサセプタ素子がそれぞれ前記インダクタコイルの磁軸と実質的に平行に延びている、「複数の」細長いサセプタ素子であるのに対して、甲1発明は、加熱領域113の中に突出していて、「第1の部分及び第2の部分からなる」細長い加熱素子130であって、細長い加熱素子130とコイル122の長手方向軸が互いに平行である細長い加熱素子130である点。 3 相違点についての判断 本件発明の「相互に間隙を介した複数の細長いサセプタ素子」の「間隙」は、細長い加熱素子130の長手方向に垂直な方向(すなわち、「幅方向」)に設けられているものと解される。この点は、口頭審理において請求人も認めているように、両当事者間で争いはない。 そして、甲1発明の「第1の部分及び第2の部分からなる細長い加熱素子130」について甲1には次の記載がある。 「加熱素子130の第1の部分と第2の部分とは、例えば、加熱素子130の長手方向に互いに隣接して配置することができる、又は加熱素子130の長手方向に垂直な方向に互いに隣接して配置することができる。」(上記1(3)) すなわち、甲1発明の細長い加熱素子130の第1の部分と第2の部分とは、隣接して配置されるものである。 そして、甲1の記載全体を見ても、細長い加熱素子130の第1の部分と第2の部分を、細長い加熱素子130の長手方向に垂直な方向(幅方向)に間隙を設けて配置する動機付けとなる記載は見当たらない。 そうすると、甲1発明において、上記相違点に係る本件発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易になし得たものではない。 したがって、本件発明は、甲1発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 4 請求人の主張について 請求人は、口頭審理陳述要領書「6.」、「第2」において、次のとおり主張する。 「甲1号証には、「他の実施形態では、他の(1つ以上の)加熱材を使用することができる。」という記載がされています(甲1訳文段落0076)。これは、2つ以上の加熱材を使用することができることを意味しますが、これは、一つの加熱素子130に2つ以上の加熱材を使用する方法の他に、2つ以上の加熱素子にそれぞれ異なる加熱材を使用することでも実質的に2つ以上の加熱材を使用することもできることは、当業者であれば容易に想到できることであると思料します。そして、この場合、2つ以上の加熱素子130を一か所に隙間なくまとめて配置する場合と、相互に隙間を介して配置する場合とが容易に想定されるので、甲1号証の当該記載に触れた当業者であれば、複数の細長い加熱素子130を相互に間隙を介して配置することは、当業者にとって特段の技術的困難性を伴うものではないといえます。」 上記主張について検討する。 上記3で述べたとおり、「第1の部分及び第2の部分からなる細長い加熱素子130」の「第1の部分」、「第2の部分」をそれぞれ、「細長い加熱素子」に見立てたとしても、「第1の部分」と「第2の部分」とは隣接して配置されるのであって、これらを、相互に間隙を介して配置する動機付けとなる記載は、甲1には見当たらない。 よって、請求人の主張は採用できない。 第6 むすび 以上のとおりであるから、無効理由には理由がなく、本件発明についての特許は、無効とすることはできない。 審判に関する費用については、特許法第169条2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人の負担とする。 よって、結論のとおり審決する。

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2025-800034

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