特許異議申立
2025-701049
ウエハ載置台
- 審判番号
- 2025-701049
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2024-509360
- 登録番号
- 7675282
- 請求日
- 2025年11月06日
- 審決日
- 2026年06月17日
- 公報発行日
- 2026年09月25日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】NGK株式会社
- 【権利者代理人】弁理士法人アイテック国際特許事務所
- 【異議申立人】野村 修
- 審判長/審判官
- 審判長 松永 稔
- 審判官 緑川 隆
- 審判官 中野 浩昌
- 分類
- P1651.113-YAA(H10P) / P1651.121-YAA(H10P)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第1項、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第9項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7675282号発明「ウエハ載置台」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7675282号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1、〔5~7〕について訂正することを認める。
特許第7675282号の請求項1~7に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7675282号の請求項1~7に係る特許(以下「本件特許」という。)についての出願は、2023年(令和5年)9月4日に国際出願され、令和7年4月30日にその特許権の設定登録がされ、令和7年5月12日に特許掲載公報が発行された。
その特許についての本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
令和7年11月6日 :特許異議申立人 野村 修(以下「申立人」という。)による特許異議の申し立て
令和8年1月26日付け:取消理由通知
同年3月26日 :特許権者による意見書、訂正請求書の提出
同年4月 1日付け:訂正請求があった旨の通知
なお、申立人は、訂正請求があった旨の通知に対して、指定期間内に意見書を提出しなかった。
第2 訂正の適否についての判断
1 訂正の内容
令和8年3月26日提出の訂正請求書(以下「本件訂正請求書」という。)による訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、以下のとおりである(下線は、訂正箇所を示す。)。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「前記基体接合領域は、前記電極取出部の上面のうち外周縁部の一部を含む、ウエハ載置台。」と記載されているのを、
「前記基体接合領域は、前記電極取出部の上面のうち外周縁部の一部を含み、前記電極取出部は、該電極取出部を上下方向に貫通する貫通孔を有する、ウエハ載置台。」に訂正する。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項5に「請求項1~4のいずれか1項に記載のウエハ載置台。」と記載されているのを、「請求項2~4のいずれか1項に記載のウエハ載置台。」に訂正する。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項6に「請求項1~4のいずれか1項に記載のウエハ載置台。」と記載されているのを、「請求項2~4のいずれか1項に記載のウエハ載置台。」に訂正する。
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項7に「請求項1~4のいずれか1項に記載のウエハ載置台。」と記載されているのを、「請求項2~4のいずれか1項に記載のウエハ載置台。」に訂正する。
(5)一群の請求項について
訂正前の請求項1、5~7について、請求項5~7は、請求項1を引用しているものであるから、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。したがって、本件訂正は、一群の請求項〔1、5~7〕について請求されている。
また、特許権者は、訂正後の請求項5~7に係る訂正について、当該請求項についての訂正が認められる場合には、一群の請求項の他の請求項とは別の訂正単位とすることを求めている。
2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項1について
ア 訂正の目的について
訂正事項1は、本件訂正前の請求項1の「電極取出部」について、「電極取出部を上下方向に貫通する貫通孔を有する」ことを限定するものである。
よって、訂正事項1は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことについて
訂正事項1は、上記アのとおり、本件訂正前の請求項1の構成を限定するものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「特許明細書等」という。)に記載した事項の範囲内の訂正であることについて
訂正事項1は、訂正前の請求項1に訂正前の請求項5の構成を追加する訂正であるから、訂正事項1は、特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。
(2)訂正事項2~4について
ア 訂正の目的について
訂正事項2~4は、訂正前の請求項5~7が、請求項1~4のいずれか1項の記載を引用する記載であるところ、請求項1を引用しないものに限定する訂正であるから、訂正事項2~4は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことについて
訂正事項2~4は、上記アのとおり、請求項1を引用しないものに限定するものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
ウ 特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であることについて
訂正事項2~4は、上記アのとおり、請求項1を引用しないものに限定する訂正であるから、訂正事項2~4は、特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。
3 小括
以上のとおり、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
なお、本件特許異議の申立ては、全請求項に対してなされているから、訂正後の請求項1、5~7に係る発明については、特許法第120条の5第9項において読み替えて準用する同法第126条第7項に規定する独立特許要件は課されない。
そして、上記1(5)のとおり、特許権者は、訂正後の請求項5~7に係る訂正について、当該請求項についての訂正が認められる場合には、一群の請求項の他の請求項とは別の訂正単位とすることを求めている。
したがって、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1、〔5~7〕について訂正することを認める。
第3 本件発明
本件訂正請求により訂正された請求項1~7に係る発明(以下「本件発明1」~「本件発明7」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1~7に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】
上面にウエハ載置面を有するセラミックス基体と、
前記セラミックス基体に内蔵された電極と、
前記セラミックス基体に内蔵され前記電極と電気的に接続された導電性の電極取出部と、
を備え、
前記電極取出部は、前記電極と比較して前記セラミックス基体の主成分と同じセラミック材料の体積含有率が高く、
前記電極取出部の上面の一部は、前記セラミックス基体と接合されている基体接合領域となっており、
前記基体接合領域は、前記電極取出部の上面のうち外周縁部の一部を含み、
前記電極取出部は、該電極取出部を上下方向に貫通する貫通孔を有する、
ウエハ載置台。
【請求項2】
上面にウエハ載置面を有するセラミックス基体と、
前記セラミックス基体に内蔵された電極と、
前記セラミックス基体に内蔵され前記電極と電気的に接続された導電性の電極取出部と、
前記セラミックス基体のうち下面から挿入されるように配置されて前記電極取出部と電気的に接続された給電部材と、
を備え、
前記電極取出部は、前記電極と比較して前記セラミックス基体の主成分と同じセラミック材料の体積含有率が高く、
前記電極取出部は、1つの前記給電部材に対して複数設けられている、
ウエハ載置台。
【請求項3】
前記電極取出部の上面の一部は、前記セラミックス基体と接合されている基体接合領域となっている、
請求項2に記載のウエハ載置台。
【請求項4】
前記基体接合領域は、前記電極取出部の上面のうち外周縁部の一部を含む、
請求項3に記載のウエハ載置台。
【請求項5】
前記電極取出部は、該電極取出部を上下方向に貫通する貫通孔を有する、
請求項2~4のいずれか1項に記載のウエハ載置台。
【請求項6】
前記電極取出部は、前記電極と比較して、上下方向の厚さが大きい、
請求項2~4のいずれか1項に記載のウエハ載置台。
【請求項7】
前記セラミック材料は、アルミナ又は窒化アルミニウムである、
請求項2~4のいずれか1項に記載のウエハ載置台。」
第4 申立理由の概要
1 特許異議の申立理由
申立人の主張は、概略、以下のとおりである。
(1) 申立理由1(新規性欠如)
本件発明1、6、7は、甲1に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、請求項1、6、7に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。
(2) 申立理由2(進歩性欠如)
本件発明1~7は、甲1に記載された発明、甲2~甲5に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明することができたものであるから、本件特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
2 申立人の提出した証拠
申立人は、次の甲第1号証~甲第5号証(以下、それぞれ「甲1」~「甲5」という。)を証拠として提出している。
甲1:特開2008-130609号公報
甲2:特開2019-140164号公報
甲3:特開2017-228360号公報
甲4:特許第6077258号公報
甲5:特開2002-231798号公報
第5 申立人の提出した証拠の記載
1 甲1の記載及び甲1発明
(1)甲1の記載
甲1には、以下の記載がある(当審注:下線は合議体が付与した。以下、同様である。)。
「【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱装置に関する。
【背景技術】
・・・
【0004】
このような高周波電極を具備する加熱装置に関し、セラミックス基材としての窒化アルミニウムに、メッシュ状の高周波電極が埋設され、このセラミックス基材の穴に露出した高周波電極と、Ni製の端子とを、ロウ材にて接合したものがある(例えば、特許文献1)。
【0005】
また、Mo製のメッシュ状高周波電極とNi製端子の間に、これらの部材の熱膨張係数の中間の熱膨張係数を有するコバールを介在させ、Mo/コバール/Niの間をロウ材で接合したものがある。また、Mo製のメッシュ状高周波電極とコバール材とを直接接合するのではなく、Mo製のメッシュ状高周波電極に直径3mm、厚み2mmほどのMoのバルク材を導電性部材として共焼結させ、このMoバルク材にコバール材を接合させているものもある(例えば、特許文献2、特許文献3)。
・・・
【発明を実施するための最良の形態】
・・・
【0015】
図1に示す加熱装置10は、円盤状のセラミックス基体11を有している。このセラミックス基体11は、窒化アルミニウムやアルミナ等を主成分とする絶縁性セラミックスからなる。図1に示す本実施例では、セラミックス基体11が、窒化アルミニウムの例を示している。セラミックス基体11の一方の面は、被加熱物、例えば半導体ウエハを載置して加熱するための加熱面11aとなる。
【0016】
このセラミックス基体11の内部には、メッシュ状の平面形状を有し、厚さが0.2mm程度の平板状の高周波電極12が、加熱面11aから所定の距離(例えば、1~1.2mm程度)で、加熱面11aとほぼ平行に埋設されている。また、セラミックス基体11の加熱面11aとは反対側の裏面11bには、高周波電極12に向かう端子穴11cが形成されている。この端子穴11cは、内周面にねじ溝が形成されたねじ穴である。この端子穴11cに、耐酸化性を有するNi製の端子13が挿入される。端子13の一方の先端は、図示しない電気接続部材を介して高周波電源と接続される。
・・・
【0019】
そして、本実施形態の加熱装置10では、端子穴11cの底面と高周波電極12との間に、窒化アルミニウムを主成分とし、炭素繊維を含む導電性セラミックス部材17Aが、この高周波電極12と接するように埋設されるとともに、この導電性セラミックス部材17Aの表面の一部が端子穴11cの底面に露出している。この導電性セラミックス部材17Aは、窒化アルミニウムを主成分とし、導電材料、例えばカーボンナノチューブを含有するセラミックスである。端子穴11cの底面に露出した導電性セラミックス部材17Aと応力緩和材15とが、ろう材16により接合されることにより、応力緩和材15、さらには端子13と、高周波電極12とが、電気的に接続されている。本実施例では、導電性セラミックス部材17Aの径Aは端子穴11cの径Cよりも小さく、導電性セラミックス部材17Aの厚さBは、従来の加熱装置のMoバルク材と同程度の厚さである。また、導電性セラミックス部材17Aと接する高周波電極12と加熱面11aとの距離Dは、公知の加熱装置と同程度の、例えば、1~1.2mm程度である。
・・・
【0025】
本実施形態の加熱装置は、高周波電極12と端子穴11cの底面との間に、セラミックス基体11と主成分を同じくする導電性セラミックス部材17Aが埋設されている。この導電性セラミックス部材17Aは、セラミックス基体11と同等の熱膨張係数を有しているので、導電性セラミックス部材17Aは、周囲のセラミックス材とは熱膨張係数差がほとんどなく、熱膨張係数差によるクラックが生じない。具体的には熱膨張係数差は0.3×10-6/K以下である。また、導電性セラミックス部材17Aは、周囲のセラミックス材と同様の熱伝導率であるため、導電性セラミックス部材17Aの部分が局所的に低温になることが抑制されるため、熱応力によるクラックが抑制される。
・・・
【0034】
図4に示した本実施例に係る加熱装置30は、端子穴11cの底面と、高周波電極12との間に、導電性セラミックス部材17Cが埋設されている。この導電性セラミックス部材17Cは、端子穴11cの底面部及び側面部を含む、下向きに開口を有する凹形状であり、かつ、この凹形状の内側の側面に、スリーブ14のねじと嵌まり合うねじが形成されている例である。その点以外は、図1及び図2に示した実施例と同じ構成を有している。また、導電性セラミックス部材17Cは、図1及び図2に示した実施例における導電性セラミックス部材17Aと同じ材料を適用することができる。
【0035】
図4に示した本実施例の加熱装置30は、端子穴11cの底面と高周波電極12との間に、導電性セラミックス部材17Cを具備することにより、図1及び図2を用いて説明した先の実施例の加熱装置10と同様の効果を有している。また、図4に示した本実施例の加熱装置30は、導電性セラミックス部材17Cが、端子穴11cの底面部及び側面部の一部を構成しており、これにより端子穴11cの底面の径よりもよりも大きい形状を有していることから、図3を用いて説明した先の実施例の加熱装置20と同様の効果を有している。
【0036】
そればかりでなく、本実施例の加熱装置30は、導電性セラミックス部材17Cが、内側面にねじ溝が形成されていることから、外周面にねじ山が形成されたスリーブ14と当該導電性セラミックス部材17Cとを、ねじ結合することができる。このねじ結合された領域を、クラックが生じない条件のもとで更にろう付けにより固着することもできる。したがって、導電性セラミックス部材17Cは、端子穴11cの底面のみならず、ねじが形成された側面にてスリーブ14を介して端子13と接触することになるから、導電性セラミックス部材17Cと端子13との接触面積を拡大することが可能となり、接続部の信頼性がより優れた加熱装置30とすることができる。
・・・
【0063】
次に、セラミックス基体11を作製する。このセラミックス基体11は、その内部に高周波電極12及び抵抗発熱体19を埋設して備えているので、製法の一例としては、セラミックス基体11を厚み方向に分割した、部分的な成形体を作製し、その成形体に高周波電極12、原料セラミックス粉末、抵抗発熱体19及び原料セラミックス粉末を順次積層し、加圧成形して、得られた成形体を最終的に焼結することにより、セラミックス基体11の焼結体を得ることができる。
【0064】
このセラミックス基体11の作製の過程において、前述したセラミックス基体11を厚み方向に分割した、部分的な成形体は、セラミックス基体11の加熱面となる部分を含む成形体であり、金型による一軸加圧成形により成形することができる。
【0065】
次に、高周波電極12を、上述の部分的な成形体の一方の表面上に載置する。この高周波電極12には、MoやWなどの金属のバルク体からなる孔明きパターンを持つ面状の電極、より好ましくは、メッシュ状(金網状)の電極を用いることができる。
【0066】
この高周波電極12上の所定の位置に、前述した導電性セラミックス部材17A~17E用の成形体又は焼結体を埋め込む。この埋め込みは、例えば、所定の形状の導電性セラミックス部材17A~17E用の焼結体を、高周波電極12が載置された金型の所定の位置に設置し、そこにセラミック基体の原料粉を流し込んで、原料と一緒に一軸加圧成形することで行うことができる。もしくは、成形体の表面に孔を開け、そこに機械的に厚み方向に押し込むことによって行うことができる。
・・・
【0068】
この高周波電極12上の導電性セラミックス部材17A~17E用の焼結体及びその周囲に、セラミックス基体11の原料セラミックス粉を所定の厚みを形成するための必要量だけ置き、再び一軸加圧成形した後、更に抵抗発熱体19を載置する。この抵抗発熱体19は、コイル状、スパイラル状等の所定形状に加工した金属バルク体からなるMoやW等の高融点金属を用いることができる。
【0069】
抵抗発熱体19を載置した後、更にセラミックス基体11の原料セラミックス粉末を所定の厚みを形成するための必要量だけ置き、再び一軸加圧成形して成形体を得る。
【0070】
得られた成形体を、ホットプレス法又は常圧焼結法等を用いて、加熱及び焼成し、焼結体を作製する。この焼成では、ホットプレス法を用いることにより、焼成時に一軸方向の加圧を行うため、電極と窒化アルミニウム焼結体との密着性をより良好なものにできるので有利である。焼成温度は、焼結助剤の添加量等によっても異なるが、好ましくは1650℃~2200℃とする。このとき焼成時の雰囲気は、真空、不活性、または還元雰囲気とすることが望ましい。」
「【図1】
[図:0001439230000001.jpg]
【図2】
[図:0001439230000002.jpg]
・・・
【図4】
[図:0001439230000003.jpg]
」
(2)甲1に記載された発明
ア 上記(1)の【0034】によれば、図4に示した実施例の「加熱装置30」は、端子穴11cの底面と、高周波電極12との間に、「導電性セラミックス部材17C」が埋設されており、「導電性セラミックス部材17C」が、下向きに開口を有する凹形状であり、かつ、この凹形状の内側の側面に、スリーブ14のねじと嵌まり合うねじが形成されている点以外は、図1及び図2に示した実施例と同じ構成を有するものである。
イ そうすると、甲1には次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されているといえる。(括弧内は引用元の段落番号等を示す。)
「円盤状のセラミックス基体11と、平板状の高周波電極12と、導電性セラミックス部材17Cとを有する加熱装置30であって、(【0015】、【0016】、【0019】、【0034】、【図1】、【図2】、【図4】)
セラミックス基体11は、窒化アルミニウムやアルミナ等を主成分とする絶縁性セラミックスからなり、一方の面は、被加熱物、例えば半導体ウエハを載置して加熱するための加熱面11aとなり、加熱面11aとは反対側の裏面11bには、高周波電極12に向かう端子穴11cが形成されており、(【0015】、【0016】)
高周波電極12は、メッシュ状の平面形状を有し、厚さが0.2mm程度で、加熱面11aとほぼ平行に埋設されており、MoやWなどの金属のバルク体からなるメッシュ状(金網状)の電極を用いることができ、(【0016】、【0065】)
導電性セラミックス部材17Cは、窒化アルミニウムを主成分とし、炭素繊維を含み、高周波電極12と接するように埋設されており、セラミックス基体11と主成分を同じくするものであり、(【0019】、【0025】、【0034】)
導電性セラミックス部材17Cは、端子穴11cの底面のみならず、ねじが形成された側面にてスリーブ14を介して端子13と接触するものであり、端子13と、高周波電極12とが、電気的に接続され、端子13の一方の先端は、高周波電源と接続され、(【0016】、【0019】、【0036】)
セラミックス基体11の作製の過程は、セラミックス基体11を厚み方向に分割した、部分的な成形体であって、セラミックス基体11の加熱面となる部分を含む成形体の一方の表面上に高周波電極12を載置し、(【0064】、【0065】)
この高周波電極12上の所定の位置に、導電性セラミックス部材17C用の成形体又は焼結体を埋め込み、この埋め込みは、例えば、所定の形状の導電性セラミックス部材17C用の焼結体を、高周波電極12が載置された金型の所定の位置に設置し、そこにセラミック基体の原料粉を流し込んで、原料と一緒に一軸加圧成形することで行うことができ、(【0066】)
更に抵抗発熱体19を載置し、更にセラミックス基体11の原料セラミックス粉末を所定の厚みを形成するための必要量だけ置き、再び一軸加圧成形して成形体を得て、得られた成形体を、加熱及び焼成し、焼結体を作製したものである、(【0069】、【0070】)
加熱装置30。」
2 甲2の記載
甲2には、以下の記載がある。
「【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される技術は、対象物を保持する保持装置に関する。
・・・
【発明を実施するための形態】
・・・
【0032】
第1の端子用孔110には、柱状の第1の給電端子741が収容されている。また、第1の端子用孔110を構成するセラミックス部材10の凹部12の底面には、第1の電極パッド731が設けられている。第1の給電端子741は、第1の電極パッド731に接合されている。また、第1の電極パッド731は、第1の給電側ビア711の一方の端部に接合されている。第1の給電側ビア711の他方の端部は、第1のドライバ電極60xに接合されている。同様に、第2の端子用孔120には、柱状の第2の給電端子742が収容されている。また、第2の端子用孔120を構成するセラミックス部材10の凹部12の底面には、第2の電極パッド732が設けられている。第2の給電端子742は、第2の電極パッド732に接合されている。また、第2の電極パッド732は、第2の給電側ビア712の一方の端部に接合されている。第2の給電側ビア712の他方の端部は、第2のドライバ電極60yに接合されている。また、給電端子741,742、電極パッド731,732、給電側ビア711,712は、導電性材料により形成されている。第1の電極パッド731および第2の電極パッド732の形状は、例えば、Z軸方向視で略円形である。また、第1の給電側ビア711および第2の給電側ビア712は、それぞれ、複数(本実施形態では、4つ)のビアで構成されている(後述の図5参照)。」
「【図5】
[図:0001439230000004.jpg]
・・・
【図7】
[図:0001439230000005.jpg]
」
3 甲3の記載
甲3には、以下の記載がある。
「【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば半導体ウェハ等の被加工物を加熱できるセラミックヒータ等の加熱部材と、その加熱部材を備えた静電チャックに関するものである。
・・・
【発明を実施するための形態】
・・・
【0074】
図7に示すように、端子パッド81は、セラミック基板17内に設けられた複数(例えば2個)のビア33により、対向する内部配線層35eに接続されており、更に、この内部配線層35eは、他の複数(例えば2個)のビア33により、対向する他の内部配線層35fに接続されている。
・・・
【0076】
また、図8(b)に示すように、端子パッド81の第1の主面A側(表側)は、複数のビア33により内部配線層35eに接続されており、図8(c)に示すように、端子パッド81の第4の主面D側(裏側)には、端子ピン83がろう付けされている。」
「【図7】
[図:0001439230000006.jpg]
」
4 甲4の記載
甲4には、以下の記載がある。
「【技術分野】
【0001】
本発明は、積層発熱体、静電チャック、及びセラミックヒータに関する。
・・・
【発明を実施するための形態】
・・・
【0026】
端子11、13、15、17は、本体部3における下方の端部(厚み方向の一端)に設けられた、導電性の材料から成る棒状の端子であり、上方から見たとき、図2に示す配置となるように、端子9の周囲に設けられている。端子11は給電経路21により導電層Y1と接続しており、端子13は給電経路23により導電層Y2と接続しており、端子15は給電経路25により導電層Y3と接続しており、端子17は給電経路27により導電層Y4と接続している。給電経路21、23、25、27は、それぞれ、導電層とスルービアとにより構成される周知の構造の給電経路である。」
「【図4】
[図:0001439230000007.jpg]
【図5】
[図:0001439230000008.jpg]
」
5 甲5の記載
甲5には、以下の記載がある。
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プラズマ発生機構を備えたサセプタや、静電吸着機構を備えた静電チャック等のウエハ支持部材に関するものであり、特に半導体ウエハや液晶用基板などのウエハを保持し、ウエハに成膜処理を施す成膜装置やエッチング処理を施すエッチング装置に好適なものである。
・・・
【発明の実施の形態】
・・・
【0024】そして、本発明のウエハ支持部材1によれば、板状セラミック体3中の異なる深さに埋設された2つの内部電極6,7間の導通を図る通電部8を筒状体とし、その開口端部全体が各内部電極6,7と当接させることができるため、各内部電極6,7との接触面積を大きくすることができるとともに、通電部8をなす筒状体の内側と外側のセラミックスが同種のものであり、また、筒状体からなる通電部8は厚みを薄くすることができるため、焼成時や加熱されるような雰囲気下で使用されたとしても、通電部8と板状セラミック体3との間に作用する応力を抑えることができるため、板状セラミック体3が破損するようなことがなく、簡単な構造で長期間にわたって確実な通電を実現することができる。」
「【図2】
[図:0001439230000009.jpg]
」
第6 取消理由通知に記載した取消理由について
1 取消理由の概要
当審で通知した令和8年1月26日付けの取消理由通知の概要は、次のとおりである。
取消理由1(新規性) 本件発明1、6、7は、甲1に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、請求項1、6、7に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。
取消理由2(進歩性) 本件発明1、6、7は、甲1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明することができたものであるから、請求項1、6、7に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
2 当審の判断
(1) 本件発明1について
ア 対比
本件発明1と甲1発明を対比する。
(ア) 「上面にウエハ載置面を有するセラミックス基体」について
甲1発明の「セラミックス基体11」は、一方の面に、被加熱物、例えば半導体ウエハを載置して加熱するための加熱面11aを有するものであるから、本件発明1の「上面にウエハ載置面を有するセラミックス基体」に相当する。
(イ) 「前記セラミックス基体に内蔵された電極」について
甲1発明の「高周波電極12」は、「セラミックス基体11」の加熱面11aとほぼ平行に埋設されたものであるから、「セラミックス基体11」に内蔵されているといい得るものであり、本件発明1の「前記セラミックス基体に内蔵された電極」に相当する。
(ウ) 「前記セラミックス基体に内蔵され前記電極と電気的に接続された導電性の電極取出部」について
甲1発明の「導電性セラミックス部材17C」は、高周波電極12と接するように埋設され、また、スリーブ14を介して端子13と接触するものであり、端子13と、高周波電極12とが、電気的に接続されるのであるから、「導電性セラミックス部材17C」は、高周波電極12、端子13から見て「電極取出部」として機能している。また、上記(イ)で示したように、甲1発明の「高周波電極12」は、本件発明1の「前記セラミックス基体に内蔵された電極」に相当する。
そうすると、甲1発明の「導電性セラミックス部材17C」と本件発明1の「電極取出部」は、「前記セラミックス基体に内蔵され前記電極と電気的に接続された導電性の電極取出部」である点で一致する。
(エ) 「前記電極取出部は、前記電極と比較して前記セラミックス基体の主成分と同じセラミック材料の体積含有率が高く」について
甲1発明は、「高周波電極12」が、MoやWなどの金属のバルク体からなるものであるから、その主成分は、MoやWなどの金属であり、「導電性セラミックス部材17C」が、セラミックス基体11と主成分を同じくするものであるから、「導電性セラミックス部材17C」は、「高周波電極12」と比較してセラミックス基体11の主成分と同じセラミック材料の体積含有率が高いことは自明である。また、上記(イ)で示したように、甲1発明の「高周波電極12」は、本件発明1の「前記セラミックス基体に内蔵された電極」に相当する。
そうすると、甲1発明の「導電性セラミックス部材17C」と本件発明1の「電極取出部」は、「前記電極取出部は、前記電極と比較して前記セラミックス基体の主成分と同じセラミック材料の体積含有率が高」い点で一致する。
(オ) 「前記電極取出部の上面の一部は、前記セラミックス基体と接合されている基体接合領域となっており」について
甲1発明の「導電性セラミックス部材17C」は、高周波電極12と接するように埋設されており、かつ、高周波電極12はメッシュ状の平面形状であるから、甲1発明の「導電性セラミックス部材17C」は、メッシュの目開きの部分において、上面のうち一部でセラミックス基体11と接触し、その他の部分で高周波電極12と接触する。
そして、甲1発明におけるセラミックス基体11の作製の過程を踏まえれば、甲1発明の「導電性セラミックス部材17C」のセラミックス基体11と接触している部分は、セラミックス基体11と接合され、「基体接合領域」といえるから、甲1発明は、「前記電極取出部の上面の一部は、前記セラミックス基体と接合されている基体接合領域となっており」といえる点で、本件発明1と一致する。
(カ) 「前記基体接合領域は、前記電極取出部の上面のうち外周縁部の一部を含み」について
上記(オ)で示したように、甲1発明の「導電性セラミックス部材17C」は、メッシュの目開きの部分において、上面のうち一部でセラミックス基体11と接触するものであり、その「外周縁部」において同様であるから、甲1発明におけるセラミックス基体11の作製の過程を踏まえれば、「導電性セラミックス部材17Cは、上面のうち外周縁部の一部」が、セラミックス基体11と接合しているといえる。
そうすると、甲1発明は、「前記基体接合領域は、前記電極取出部の上面のうち外周縁部の一部を含」むといえる点で、本件発明1と一致する。
(キ) 以上によれば、本件発明1と甲1発明は、以下の一致点及び相違点を有する。
[一致点]
「 上面にウエハ載置面を有するセラミックス基体と、
前記セラミックス基体に内蔵された電極と、
前記セラミックス基体に内蔵され前記電極と電気的に接続された導電性の電極取出部と、
を備え、
前記電極取出部は、前記電極と比較して前記セラミックス基体の主成分と同じセラミック材料の体積含有率が高く、
前記電極取出部の上面の一部は、前記セラミックス基体と接合されている基体接合領域となっており、
前記基体接合領域は、前記電極取出部の上面のうち外周縁部の一部を含む、
ウエハ載置台。」
[相違点]
本件発明1の「電極取出部」は、「該電極取出部を上下方向に貫通する貫通孔を有する」のに対し、甲1発明の「導電性セラミックス部材17C」は、そのように構成されていない点。
イ 判断
(ア) 検討
a 取消理由1(新規性)について
甲1には、「導電性セラミックス部材17C」に上下方向に貫通する貫通孔を設けることは記載も示唆もないから、相違点は実質的なものである。
したがって、本件発明1は、甲1発明ではない。
b 取消理由2(進歩性)について
甲1発明において、相違点に係る構成とすることが、設計的事項であるともいえない。
また、甲2~甲5を見ても、セラミックス基体に内蔵された電極と比較して前記セラミックス基体の主成分と同じセラミック材料の体積含有率が高い「電極取出部」において、上下方向に貫通する貫通孔を設けることは記載されておらず、技術常識であるともいえないから、甲1発明において、相違点に係る構成とすることは、当業者が容易になし得たものではない。
したがって、本件発明1は、甲1発明及び甲2~甲5に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(イ) 申立人の主張について
相違点に関して、申立人は、異議申立書の20頁下から6行~21頁4行において、甲5の段落【0024】の記載及び図2等に基づけば、甲5には、内部電極6と電気的に接続された導電性の通電部8を筒状態とすることが記載されており、甲1発明に適用して相違点に係る構成とすることは、当業者であれば容易になし得たことである旨主張する。
しかしながら、甲5の段落【0024】の記載によれば、通電部8を筒状態とする目的は、内部電極6,7との接触面積を大きくするため、及び、厚みを薄くして通電部8と板状セラミック体3との間に作用する応力を抑えるためであるところ、甲1発明の「導電性セラミックス部材17C」は、筒状態とすることで、高周波電極12との接触面積を大きくすることはできないし、また、甲1発明の「導電性セラミックス部材17C」は、セラミックス基体11と主成分を同じくするものであるから、厚みを薄くしてセラミックス基体11との間に作用する応力を抑える必要もない。
そうすると、甲1発明に甲5に記載された事項を適用する動機付けはないから、申立人の上記主張は採用できない。
(2) 本件発明6、7について
本件発明6、7に対する取消理由1(新規性)及び取消理由2(進歩性)は、本件発明1を引用する本件発明6、7に対するものであったところ、本件訂正の訂正事項3、4によって、本件発明6、7が本件発明1を引用しないものとなったため、いずれも解消された。
(3) 小括
以上のとおり、本件発明1、6、7は、甲1発明ではないし、甲1発明及び甲2~甲5に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
したがって、取消理由1(新規性)及び取消理由2(進歩性)は、本件訂正により解消し、いずれも理由がない。
第7 取消理由通知で採用しなかった特許異議申立理由について
1 申立理由2(進歩性欠如)について
(1) 本件発明2について
ア 対比
本件発明2と甲1発明を対比する。
(ア) 「上面にウエハ載置面を有するセラミックス基体」、「前記セラミックス基体に内蔵された電極」について
上記第6の2(1)ア(ア)、(イ)の検討と同様に、甲1発明の「セラミックス基体11」、「高周波電極12」は、本件発明2の「上面にウエハ載置面を有するセラミックス基体」、「前記セラミックス基体に内蔵された電極」にそれぞれ相当する。
(イ) 「前記セラミックス基体に内蔵され前記電極と電気的に接続された導電性の電極取出部」について
上記第6の2(1)ア(ウ)の検討と同様に、甲1発明の「導電性セラミックス部材17C」と本件発明2の「電極取出部」は、「前記セラミックス基体に内蔵され前記電極と電気的に接続された導電性の電極取出部」である点で一致する。
(ウ) 「前記セラミックス基体のうち下面から挿入されるように配置されて前記電極取出部と電気的に接続された給電部材」について
甲1発明の「導電性セラミックス部材17C」は、「セラミック基体11」の「裏面11b」に形成された「端子穴11c」の底面及び側面にて「スリーブ14」を介して「端子13」と接触するものであり、「端子13」と「高周波電極12」とが、電気的に接続されるのであるから、「スリーブ14」及び「端子13」は、「セラミック基体11」の「裏面11b」から挿入されて、「導電性セラミックス部材17C」と接触することで、「端子13」と「高周波電極12」とが、電気的に接続される。
そして、端子13の一方の先端は、高周波電源と接続されることから、「スリーブ14」及び「端子13」から、「高周波電極12」へ給電を行うものといえる。
そうすると、甲1発明の「スリーブ14」及び「端子13」と本件発明2の「給電部材」は、「前記セラミックス基体のうち下面から挿入されるように配置されて前記電極取出部と電気的に接続された給電部材」である点で一致する。
(エ) 「前記電極取出部は、前記電極と比較して前記セラミックス基体の主成分と同じセラミック材料の体積含有率が高く」について
上記第6の2(1)ア(エ)の検討と同様に、甲1発明の「導電性セラミックス部材17C」と本件発明2の「電極取出部」は、「前記電極取出部は、前記電極と比較して前記セラミックス基体の主成分と同じセラミック材料の体積含有率が高」い点で一致する。
(オ) 以上によれば、本件発明2と甲1発明は、以下の一致点及び相違点を有する。
[一致点]
「 上面にウエハ載置面を有するセラミックス基体と、
前記セラミックス基体に内蔵された電極と、
前記セラミックス基体に内蔵され前記電極と電気的に接続された導電性の電極取出部と、
前記セラミックス基体のうち下面から挿入されるように配置されて前記電極取出部と電気的に接続された給電部材と、
を備え、
前記電極取出部は、前記電極と比較して前記セラミックス基体の主成分と同じセラミック材料の体積含有率が高い、
ウエハ載置台。」
[相違点]
本件発明1の「電極取出部」は、「1つの前記給電部材に対して複数設けられている」のに対し、甲1発明の「導電性セラミックス部材17C」は、そのように構成されていない点。
イ 判断
(ア) 検討
甲1には、「導電性セラミックス部材17C」を一つの「スリーブ14」及び「端子13」に対して複数設けることは記載も示唆もないし、甲1発明において、相違点に係る構成とすることが、設計的事項であるともいえない。
また、甲2~甲5を見ても、セラミックス基体に内蔵された電極と比較して前記セラミックス基体の主成分と同じセラミック材料の体積含有率が高い「電極取出部」を、一つの給電部材に対して複数設けることは記載されておらず、技術常識であるともいえないから、甲1発明において、相違点に係る構成とすることは、当業者が容易になし得たものではない。
したがって、本件発明2は、甲1発明及び甲2~甲5に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(イ) 申立人の主張について
相違点に関して、申立人は、異議申立書の19頁9行~18行において、電極取出部を1つの給電部材に対して複数設けることは、甲2~甲4等に記載されているように、本件特許の出願時における周知技術であり、甲1発明に適用して相違点に係る構成とすることは、当業者であれば容易になし得たことである旨主張する。
しかしながら、甲2~甲4には、セラミックス基体に内蔵された電極と比較して前記セラミックス基体の主成分と同じセラミック材料の体積含有率が高い「電極取出部」を一つの給電部材に対して複数設けることは記載されておらず、また、本件特許の出願時における周知技術であるともいえないから、申立人の上記主張を採用できない。
(2) 本件発明3~7について
本件発明3~7は、本件発明2を限定した発明であり、甲1発明と対比すると、少なくとも、上記(1)ア(オ)の相違点を有する。
よって、上記(1)イと同様に、本件発明3~7は、甲1発明及び甲2~甲5に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
2 申立理由1(新規性欠如)について
本件発明6、本件発明7は、いずれも本件発明2を限定した発明であり、甲1発明と対比すると、少なくとも、上記1(1)ア(オ)の相違点を有する。
そして、甲1には、「導電性セラミックス部材17C」を一つの「スリーブ14」及び「端子13」に対して複数設けることは記載も示唆もないから、相違点は実質的なものである。
したがって、本件発明6、本件発明7は、甲1発明ではない。
3 小括
以上のとおり、本件発明6、7は、甲1発明ではないし、本件発明2~7は、甲1発明及び甲2~甲5に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
したがって、申立理由1(新規性欠如)及び申立理由2(進歩性欠如)は、いずれも理由がない。
第8 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、請求項1~7に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1~7に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2025-701049