審決検索MVP
← 検索一覧に戻る
特許異議申立

2025-701013

即使用可能な睫毛エクステンション

審判番号
2025-701013
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2023-512225
登録番号
7665733
請求日
2025年10月21日
審決日
2026年05月22日
公報発行日
2026年08月28日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】キス ネイル プロダクツ インコーポレイテッド
  • 【権利者代理人】平田 慎二
  • 【権利者代理人】藤沼 光太
  • 【異議申立人】副島 朋子
審判長/審判官
  • 審判長 村上 聡
  • 審判官 芝井 隆
  • 審判官 長馬 望
分類
P1651.537-YAA(A41G)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第4項、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第6項第2号、特許法第120条の5第5項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7665733号発明「即使用可能な睫毛エクステンション」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7665733号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-18〕、19について訂正することを認める。 特許第7665733号の請求項1から19に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7665733号の請求項1から19に係る特許(以下、「本件特許」いう。)についての出願は、2021年(令和3年)8月23日(優先権主張外国庁受理 2020年8月21日 (US)米国)を国際出願日とする出願であって、令和7年4月11日にその特許権の設定登録がされ、同月21日に特許掲載公報が発行された。その後、本件特許に対して、令和7年10月21日に特許異議申立人副島 朋子(以下、「申立人」という。)により特許異議の申立てがあり、その後、同年12月12日付けの取消理由通知書により取消理由が特許権者に通知され、これに対し、令和8年3月10日に特許権者から意見書が提出されると共に訂正請求がされ、同月16日付けで申立人に訂正があった旨の通知(特許法第120条の5第5項)がされた。なお、この訂正があった旨の通知に対し、申立人から、意見書は提出されなかった。 第2 訂正請求の適否について 1 訂正請求の内容 令和8年3月10日に提出された訂正請求書により請求された訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は、次の訂正事項1及び2のとおりである(下線は、訂正箇所を示す。)。 (1)訂正事項1 本件訂正前の請求項1に「前記接着剤要素は、前記人工睫毛エクステンションシステムを塗布するときに、前記ユーザの天然睫毛に接着するように適合され、」と記載されているのを、「前記接着剤要素は、前記人工睫毛エクステンションシステムをユーザの天然睫毛に取り付けるときに、前記ユーザの天然睫毛に接着するように適合され、」に訂正する。 (2)訂正事項2 本件訂正前の請求項19に「前記接着剤要素は、前記人工睫毛エクステンションシステムを塗布するときに、ユーザの天然睫毛に接着するように適合されている」と記載されているのを、「前記接着剤要素は、前記人工睫毛エクステンションシステムをユーザの天然睫毛に取り付けるときに、ユーザの天然睫毛に接着するように適合されている」に訂正する。 2 訂正の目的、新規事項、特許請求の範囲の拡張・変更について 訂正事項1及び2は、いずれも本件訂正前の請求項1及び19に記載されていた「前記人工睫毛エクステンションシステムを塗布するとき」を「前記人工睫毛エクステンションシステムをユーザの天然睫毛に取り付けるとき」と訂正するものである。そして、本件訂正前の「前記人工睫毛エクステンションシステムを塗布するとき」は、人工睫毛エクステンションシステムを塗布する対象が明瞭でなく、さらに、塗布することが想定されているとはいえない人工睫毛エクステンションシステムを「塗布する」とは、どのような事項を特定するのか明らかでなく、明瞭でない記載であった。訂正事項1及び2は、この記載を「天然睫毛に取り付けるとき」と訂正することで、人工睫毛エクステンションシステムを「取り付ける」ものであり、取り付ける対象が天然睫毛であることを釈明するものである。したがって、訂正事項1及び2は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 また、願書に添付した明細書には、「睫毛エクステンションシステムは、睫毛支持ストリップから延びる睫毛フィラメントを備え、フィラメントは、ユーザの天然睫毛に取り付けるための接着剤要素を備える」(【0014】)こと及び、「本発明の睫毛エクステンションシステムは、ユーザの天然睫毛の下側に取り外し可能に取り付けられる」(【0035】)ことが記載指されているから、本件訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものである。 さらに、本件訂正は、明瞭でない記載の釈明であるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでない。 以上のことから、特許法第120条の5第9項の規定により準用する同法第126条第5項及び同条第6項の規定に適合する。 3 一群の請求項について 本件訂正前の請求項2から18は、請求項1を直接または間接的に引用する請求項であるから、請求項1から18は、一群の請求項である。そして、請求項1から18を含む請求項1から19について訂正することを求める本件訂正は、当該一群の請求項ごとに訂正請求をするものであり、特許法120条の5第4項の規定に適合する。 4 訂正についての結論 以上の1から3より、本件訂正は、特許法120条の5第2項ただし書き第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とし、特許法第120条の5第9項の規定により準用する同法第126条第5項及び同条第6項の規定に適合すると共に、特許法第120条の5第4項の規定に適合するから、本件訂正を認める。 第3 訂正後の本件発明 上記第2に示すように本件訂正が認められるから、本件の請求項1から19に係る発明(以下、請求項1に係る発明を「本件発明1」といい、他の請求項に係る発明も同様とする。)は、令和8年3月10日提出の訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1から19に記載された次の事項に特定されるとおりのものである。 「【請求項1】 人工睫毛エクステンションシステムであって、 それぞれが基部及び先端部を有する複数の睫毛フィラメントと、 前記睫毛フィラメントの前記基部に取り付けられた支持ストリップと、 ユーザに販売するために前記人工睫毛エクステンションシステムがパッケージングされる前に、前記支持ストリップに接続され、複数の前記睫毛フィラメントに塗布された接着剤要素と、 を備え、 前記接着剤要素は、前記人工睫毛エクステンションシステムをユーザの天然睫毛に取り付けるときに、前記ユーザの天然睫毛に接着するように適合され、 前記接着剤要素は、前記睫毛フィラメントの長さに沿って前記支持ストリップから延びる、システム。 【請求項2】 前記接着剤要素が、前記支持ストリップと、前記支持ストリップから離れた前記睫毛フィラメントの平均長さの2分の1との間の位置に塗布される、請求項1に記載のシステム。 【請求項3】 前記接着剤要素が、長手軸と、上向き表面と、下向き表面と、前記上向き表面及び前記下向き表面に配置された接着剤とを有する細長い基材を備え、前記下向き表面の前記接着剤が前記睫毛フィラメントに接触する、請求項2に記載のシステム。 【請求項4】 前記細長い基材の前記上向き表面の前記接着剤が、第二の細長い基材と取り外し可能に重ね合わされる、請求項3に記載のシステム。 【請求項5】 前記細長い基材が両面テープからなる、請求項4に記載のシステム。 【請求項6】 前記細長い基材の前記上向き表面の前記接着剤と前記下向き表面の前記接着剤とが異なる、請求項3に記載のシステム。 【請求項7】 前記システムは、前記細長い基材を前記睫毛フィラメントから取り外すことなく、前記細長い基材を前記ユーザの睫毛から取り外すように適合されている、請求項3に記載のシステム。 【請求項8】 前記接着剤要素が、接着剤の複数の離散的な液滴からなる、請求項2に記載のシステム。 【請求項9】 前記接着剤要素が、前記睫毛フィラメントの上向き表面に塗布される、請求項2に記載のシステム。 【請求項10】 前記接着剤要素が、前記支持ストリップと前記睫毛フィラメントの平均長さの2分の1との間の位置から、前記睫毛フィラメントの平均長さの2分の1以下の距離まで連続的に塗布される、請求項9に記載のシステム。 【請求項11】 前記接着剤要素が、前記人工睫毛エクステンションシステムの保管中にその粘着性を保持する接着剤からなる、請求項1に記載のシステム。 【請求項12】 前記システムが、前記ユーザの天然睫毛に追加の接着剤を塗布することなく、前記ユーザの天然睫毛に取り付けるように適合されている、請求項1に記載のシステム。 【請求項13】 前記接着剤要素に取り外し可能に重なる細長い基材をさらに備える、請求項1に記載のシステム。 【請求項14】 前記人工睫毛エクステンションシステムを構成する全ての睫毛フィラメントの2分の1から4分の3の間が、前記接着剤要素を受ける、請求項1に記載のシステム。 【請求項15】 前記睫毛フィラメントが、前記支持ストリップから、前記睫毛フィラメントの少なくとも一部が重なるように延びる、請求項1に記載のシステム。 【請求項16】 前記睫毛フィラメントが、前記睫毛フィラメントの少なくとも4分の1が重なるように、前記支持ストリップから延びる、請求項1に記載のシステム。 【請求項17】 前記人工睫毛エクステンションシステムが、フルストリップ睫毛エクステンションシステムよりも短いセグメント化された睫毛エクステンションシステムである、請求項1に記載のシステム。 【請求項18】 前記睫毛フィラメントと前記接着剤要素との間の結合は、前記接着剤要素と前記細長い基材との間の結合より強い、請求項13に記載のシステム。 【請求項19】 人工睫毛エクステンションシステムであって、 複数の睫毛フィラメントであって、それぞれが基部及び先端部を備える複数の睫毛フィラメントと、 前記睫毛フィラメントの前記基部に取り付けられた支持ストリップと、 ユーザに販売するために前記人工睫毛エクステンションシステムがパッケージングされる前に、前記支持ストリップ上に配置され、前記支持ストリップから外側に延びる複数の前記睫毛フィラメントの一部上に配置された接着剤要素と を備え、 前記接着剤要素は、前記人工睫毛エクステンションシステムをユーザの天然睫毛に取り付けるときに、ユーザの天然睫毛に接着するように適合されている、システム。」 第4 取消理由通知に記載した取消理由 令和7年12月12日付けの取消理由通知書により、当審が特許権者に通知した取消理由は、概略、次の理由1及び2のとおりである。 理由1 (サポート要件)本件特許は、特許請求の範囲の記載が不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 発明の詳細な説明には、接着剤要素は、睫毛エクステンションシステムをユーザの天然睫毛に取り付けるときに、睫毛エクステンションシステムがこのユーザの天然睫毛に接着するように適合されているものである人工睫毛エクステンションシステムについて記載されているのに対し、本件訂正前の請求項1に係る発明は、「前記接着剤要素は、前記人工睫毛エクステンションシステムを塗布するときに、前記ユーザの天然睫毛に接着するように適合され」ることは、特定されているが、接着剤要素が人工睫毛エクステンションシステムをユーザの天然睫毛に取り付けるときに、このユーザの天然睫毛に接着するものであることは特定されていない。 理由2 (明確性)本件特許は、特許請求の範囲の記載が不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 本件訂正前の請求項1に係る発明の「前記接着剤要素は、前記人工睫毛エクステンションシステムを塗布するときに、前記ユーザの天然睫毛に接着するように適合され」るとは、どのような事項を特定しているのか明確でない。 第5 取消理由通知書に記載した取消理由についての当審の判断 1 理由1(サポート要件)について 本件の発明の詳細な説明には、概ね、睫毛エクステンションシステムについて、「最近では、自分でできる下睫毛エクステンションシステムが開発されている」(【0004】)が、「これらの自分でできるシステムは、依然として、ユーザが、使用前に、自分の睫毛又は睫毛エクステンションシステムのいずれかに特殊な接着剤を有し、塗布することを必要とする」(【0004】)ものであって、「先行技術のシステムの困難さを解消する睫毛エクステンションシステムに対するニーズが当技術分野に存在する」(【0005】)ことから、「先行技術における多くの欠点を克服した睫毛エクステンションを作成すること」を課題とした発明が記載されている。すなわち、本件の発明の詳細な説明に記載された発明は、「使用前に、自分の睫毛又は睫毛エクステンションシステムのいずれかに特殊な接着剤を有し、塗布することを必要」とせず、「睫毛エクステンションシステムを即使用可能」(【0006】)としたことを解決する課題としたものと理解できる。 そして、上記課題を解決するものとして、発明の詳細な説明には、「複数の人工睫毛フィラメントと、支持ストリップと、接着剤要素とを含」む睫毛エクステンションシステムが記載(【0018】)されており、人工睫毛フィラメントは、「基部16と先端部18との間に延び」(【0018】)、「支持ストリップ12は、睫毛フィラメントの基部に取り付けられ」(【0018】)、「接着剤要素20は、ユーザに販売するために人工睫毛エクステンションシステムがパッケージングされる前に、複数の睫毛フィラメントに塗布され」(【0023】)ることが記載されている。 また、発明の詳細な説明には、この接着剤要素が「ユーザの天然睫毛に取り付けるため」(【0014】)のものであることが記載され、さらに、「睫毛エクステンションシステムの睫毛フィラメント14の上向き表面上に塗布される接着剤要素を示す。これらの構成において、本発明の睫毛エクステンションシステムは、ユーザの天然睫毛の下側に取り外し可能に取り付けられる。代替実施形態では、接着剤要素は、睫毛エクステンションシステムの睫毛フィラメント14の下向き表面に配置される。この代替実施形態では、睫毛エクステンションシステムは、ユーザの天然睫毛の上部に取り外し可能に取り付けることができる。」(【0035】)と記載されていることと合わせてみると、発明の詳細な説明に記載された接着剤要素は、睫毛エクステンションシステムをユーザの天然睫毛に取り付けるときに、このユーザの天然睫毛に接着するものであり、この点は、本件の図3A等の記載とも整合する。 さらに、接着剤要素は、発明の詳細な説明及び図面に「睫毛フィラメント14上の接着剤の離散的な塗布として示」され(【0029】)、あるいは「支持ストリップ12から始まる睫毛フィラメント14の長さに沿って規定位置まで連続して延びる」(【0029】)ことが記載されている。 これらのことから、発明の詳細な説明には、上記課題を解決するものとして、複数の睫毛フィラメントと、前記睫毛フィラメントの前記基部に取り付けられた支持ストリップと、パッケージングされる前に複数の睫毛フィラメントに塗布された接着剤要素とを備え、接着剤要素は、睫毛エクステンションシステムをユーザの天然睫毛に取り付けるときに、睫毛エクステンションシステムがこのユーザの天然睫毛に接着するように適合されているものであり、接着剤要素は、睫毛フィラメント14上の接着剤の離散的な塗布として示されるもの、あるいは、支持ストリップ12から始まる睫毛フィラメント14の長さに沿って規定位置まで連続して延びるものである人工睫毛エクステンションシステムについて記載されていると認められる。 これに対し、本件発明1及び19は、上記第3に示すとおりのものであって、「前記接着剤要素は、前記人工睫毛エクステンションシステムをユーザの天然睫毛に取り付けるときに、前記ユーザの天然睫毛に接着するように適合され」ること、または「前記接着剤要素は、前記人工睫毛エクステンションシステムをユーザの天然睫毛に取り付けるときに、ユーザの天然睫毛に接着するように適合されている」ことが特定されており、これは、発明の詳細な説明に上記課題を解決するものとして示された睫毛エクステンションシステムの接着剤要素が睫毛エクステンションシステムをユーザの天然睫毛に取り付けるときに、睫毛エクステンションシステムがこのユーザの天然睫毛に接着するように適合されていることを特定したものと理解できる。 また、他に、本件発明1及び19が発明の詳細な説明に記載された発明ではないとする理由もない(下記第6・2参照。)。 さらに、本件発明2から18である請求項2から18に係る発明は、請求項2から18が請求項1を直接または間接的に引用する型式で記載されたものであり、本件発明1を更に限定して特定する発明であるから、「前記接着剤要素は、前記人工睫毛エクステンションシステムをユーザの天然睫毛に取り付けるときに、前記ユーザの天然睫毛に接着するように適合され」ることが特定されており、発明の詳細な説明に記載されたものである。 以上のことから、本件発明1から19は、発明の詳細な説明に記載されたものである。 2 理由2(明確性)について 本件発明1及び19は、上記第3に示すとおりのものであって、「前記接着剤要素は、前記人工睫毛エクステンションシステムをユーザの天然睫毛に取り付けるときに、前記ユーザの天然睫毛に接着するように適合され」ること、または「前記接着剤要素は、前記人工睫毛エクステンションシステムをユーザの天然睫毛に取り付けるときに、ユーザの天然睫毛に接着するように適合されている」ことが特定されており、これは、人工睫毛エクステンションシステムは、天然睫毛に取り付けるものであって、このとき、接着剤要素は、人工睫毛エクステンションシステムを天然睫毛に接着するように適合されているものと理解でき、その特定事項は、明確である。 また、他に、本件発明1及び19、並びに請求項1を引用する請求項2から18に係る発明である本件発明2から18が明確でないとする理由もない(下記第6・3参照。) 以上のことから、本件発明1から19は、明確である。 3 取消理由通知書に記載した取消理由についての結論 以上のことから、本件発明1から19は、発明の詳細な説明に記載されたものであり、明確であるから、取消理由通知書に記載した取消理由1及び2により、本件特許を取り消すことはできない。 第6 取消理由において採用しなかった異議申立理由について 1 申立人が主張する異議申立理由 申立人が本件特許の請求項1から19に対して申立てた特許異議の申立て理由は、次のとおりである。 (1)本件発明1から19は、発明の詳細な説明及び図面に記載されたものではないため、請求項1から19に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 本件発明1から19は、睫毛フィラメント上に塗布等される接着剤要素の範囲や量に関する規定がない。例えば、塗布等された接着剤要素が睫毛フィラメント上に延びる長さや占める面積、塗布等された接着剤要素の体積や質量、等の下限値が規定されていない。そのため、本件特許発明には、接着剤としての機能を発揮できないような極微小範囲又は極微量の接着剤要素しか睫毛フィラメント上に塗布等されていない態様も含まれている。当該態様に係る人工睫毛エクステンションシステムは、上記した課題を解決できない。 (2)本件発明1から19は、明確でないため、請求項1から19に係る特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 本件発明1から19では、塗布等された接着剤要素が睫毛フィラメント上に延びる長さや占める面積、塗布等された接着剤要素の体積や質量、等の下限値が規定されておらず、特許請求の範囲の記載が第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であり、特許を受けようとする発明が明確でない。 2 サポート要件について 上記1(1)に示すいわゆるサポート要件について検討する。 本件の発明の詳細な説明には、上記第5・1に示す技術的事項が記載されている。これに対し、本件発明1は、上記第3に示すとおりであり、「前記接着剤要素は、前記人工睫毛エクステンションシステムをユーザの天然睫毛に取り付けるときに、前記ユーザの天然睫毛に接着するように適合され」ることが特定され、また、本件発明19は、「前記接着剤要素は、前記人工睫毛エクステンションシステムをユーザの天然睫毛に取り付けるときに、ユーザの天然睫毛に接着するように適合されている」ことが特定されている。これらのことから、本件発明1及び19の接着剤要素は、人工睫毛エクステンションシステムをユーザの天然睫毛に接着するように適合されたものに特定されているといえる。したがって、本件発明1及び19には、申立人が主張するように、接着剤要素の具体的な睫毛フィラメント上に延びる長さや占める面積、塗布等された接着剤要素の体積や質量、等の下限値(以下、「接着剤要素の下限値」という。)は、特定されていないが、接着剤要素は、人工睫毛エクステンションシステムをユーザの天然睫毛に接着することができるものに限られることとなる。そうすると、本件発明1及び19の接着剤要素は、接着剤要素の下限値が特定されていなくても、接着剤としての機能を発揮できないような極微小範囲又は極微量のものは、含まれないこととなるから、上記1(1)に示す申立人が主張するサポート要件についての理由により、本件発明1及び19、並びに請求項1を引用する請求項2から18に係る発明である本件発明2から18は、発明の詳細な説明及び図面に記載されたものではないとはいえず、申立人の主張は、採用することができない。 そして、本件発明1から19は、上記第5・1に示すとおり、発明の詳細な説明に記載されたものである。 3 明確性について 上記1(2)に示すいわゆる明確性について検討する。 上記2に示すように、本件発明1及び19の接着剤要素は、人工睫毛エクステンションシステムをユーザの天然睫毛に接着するように適合されたものである。一方、一般に、接着するものが特定された場合に、接着するように適合された接着剤要素の下限値は、おのずと定まるものであり、接着剤要素の下限値が規定されていなくても、特許請求の範囲の記載が第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるとはいえないから、上記1(2)に示す申立人が主張する明確性についての理由により、本件発明1及び19、並びに請求項1を引用する請求項2から18に係る発明である本件発明2から18は、明確でないとはいえず、申立人の主張は、採用することができない。 そして、本件発明1から19は、上記第5・2に示すとおり、明確である。 第7 むすび 以上のとおり、取消理由通知書に記載した取消理由及び申立人が提出した特許異議申立書に記載された特許異議申立理由によっては、本件特許を取り消すことはできない。さらに、他に本件特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

審決本文(J-PlatPat)

J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。

J-PlatPat 審決検索を開く
2025-701013

メモ・タグ(非公開)

あなただけに表示されます。審決本文の公開範囲は変わりません。

メモとタグは Pro の機能です。ログイン/Proでメモを保存