商標異議申立
2025-685023
ティービーエスインサイト、テイビイエスインサイト、ティービーエス、テイビイエス、インサイト、パワードバイメディカルエイアイテクノロジー、パワードバイメディカルアイテクノロジー、パワードバイ、メディカルエイアイテクノロジー、メディカルアイテクノロジー、メディカルエイアイ、メディカルアイ、エイアイテクノロジー、アイテクノロジー、テクノロジー
- 審判番号
- 2025-685023
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- —
- 請求日
- 2025年11月12日
- 審決日
- 2026年06月25日
- 公報発行日
- 2026年09月25日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】Medimaps Group SA
- 【権利者代理人】村澤 彰
- 【異議申立人】株式会社 TBSホールディングス
- 【異議申立人代理人】木村 浩也
- 審判長/審判官
- 審判長 山田 啓之
- 審判官 山根 まり子
- 審判官 吉岡 めぐみ
- 分類
- T1651.261-Y (W091042) / T1651.262-Y (W091042) / T1651.263-Y (W091042) / T1651.271-Y (W091042)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項11号商標法4条1項15号商標法43条の2商標法43条の3第4項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第11号、商標法第4条第1項第15号、商標法第9条の2
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
国際登録第1642761号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。
結論
国際登録第1642761号商標の商標登録を維持する。
理由
1 本件商標
本件国際登録第1642761号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、2021年(令和3年)6月25日にスイスにおいてした商標登録出願に基づいて、パリ条約第4条(商標法第9条の2)による優先権を主張し、同年12月10日に国際商標登録出願され、第9類、第10類及び第42類に属する別掲4に記載の商品及び役務を指定商品及び指定役務として、令和7年6月17日に登録審決、同年10月17日に設定登録されたものである。
2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標は次のとおりであり(以下、これらをまとめて「引用商標」という。)、いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。
(1)登録第5254806号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の態様:別掲2のとおり
指定役務 :第35類に属する商標登録原簿に記載の役務
登録出願日:平成19年6月7日
設定登録日:平成21年8月7日
(2)登録第6380223号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の態様:別掲3のとおり
指定商品及び指定役務:第3類、第5類ないし第9類、第14類ないし第16類、第18類、第20類、第21類、第24類ないし第26類、第28類ないし第45類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務
登録出願日:令和元年12月5日
設定登録日:令和3年4月21日
3 本件登録異議申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきものであると申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第19号証(なお、証拠の表記にあたっては、以下、「甲第○号証」を「甲○」と記載する。)を提出した。
(1)本件商標の構成
ア 本件商標の称呼の特定
本件商標は、中央部に、上下2段で大きく表された「TBS」及び「iNsight」の文字を内包してなるから、「ティービーエス」と「インサイト」と分断して称呼が生じ、主な称呼としては「ティービーエス」又は「インサイト」が生じる。
なお、本件商標中の円周の上部には「powered by」の文字、下部には「medical AI technology」の文字がそれぞれ円周に沿うように極めて小さく表されているが、文字も小さいため、専らデザインとして捉えられ、これよりは称呼は生じない。
仮に、本件商標が「ティービーエスインサイト」と一連一体的に称呼される場合であっても、「インサイト」は役務の内容を連想させる識別力の弱い語であり、商標全体の要部は著名な「ティービーエス」にあるため、引用商標と称呼において類似する。
イ 本件商標から看取される観念
日本国内で「TBS」の欧文字3文字は、申立人のグループ企業であり、著名な日本の放送局「TBSテレビ」を想起させる。
よって、本件商標からは「TBS」の「インサイト(内側、洞察、深い視点)」、すなわち「日本の放送局の内側」という観念や「TBSの調査報道力」といった観念が看取される。
ウ 本件商標の外観上の印象と一体性
本件商標の構成中、「TBS」は太いゴシック体様の書体、「iNsight」は細い書体とそれぞれ異なるフォントであるため、外観上は分断され、一見したところ、太いゴシック体様の書体である「TBS」が目にとどまり、前述のとおり日本の放送局と関連する商標という印象を持つものである。
なお、前述のとおり、円周に沿うように表された文字は、「TBS」や「iNsight」の文字と比して極めて小さく、かつ円周と同系色のため、これらの文字は円に同化しており、専らデザインとして捉えられるものである。
以上より、本件商標は、外観上において分断され、かつ「TBS」のみが注目される、一体性を有しない商標である。
仮に本件商標の外観が「TBS iNsight」と一連一体的にとらえられる場合であっても、改行及び「iNsight」は役務の内容を連想させる識別力の弱い語であり、商標全体の要部は著名な「TBS」にあるため、引用商標と外観上において類似する。
エ 本件商標の取引の実情
本件商標の商標権者はスイス法人であるが、本件商標の商標権者からライセンスを受けたと思料される「東洋メディック株式会社」のホームページ(甲4)では、「骨評価の新しい指標TBS(Trabecular Bone Score)」との説明はあるものの、「TBSは過去のDXA測定データから解析可能」、「TBSをFRAX」と表記されているように、説明の表記と離れた箇所で「TBS」が単体で表記されることによって、放送局が医療分野に進出したとの「広義の混同」が生じ得る取引実情が発生している。
オ 小括
本件商標は、上述のとおり、外観、称呼、観念のいずれにおいても、「TBS」の文字、「iNsight」の文字、円周デザインのように、3つに分断しており、中でも太いゴシック体様の書体である「TBS」は、放送局である「TBSテレビ」を想起させ、TBSテレビの役務との混同が生じ得る。
(2)引用商標の構成
ア 引用商標の称呼の特定
引用商標は、申立人である放送局グループ企業のメインコーポレート商標であり、称呼は、放送局の名称「ティービーエス」のみである。
イ 引用商標から看取される観念
引用商標は、申立人である放送局グループ企業のメインコーポレート商標であり、看取される観念は、「放送局」と解される。
ウ 外観上の特徴
引用商標は、「TBS」の文字を黒色又は青色で横書きしてなるものである。
引用商標1はローマン体であって、1994年から2020年の26年間にわたり、申立人が継続して使用した商標である。
引用商標2は、ゴシック体をベースとした書体で、2020年から現在に至るまで申立人及び申立人のグループ企業(以下、これらをまとめて「申立人ら」という。)がコーポレート商標として使用している商標である。
よって、引用商標は単なる文字列ではなく、申立人らが長年継続して使用している商標であって、放送局としての信用が化体している外観となる。
エ 引用商標の取引の実情
引用商標は、長年にわたって申立人らが使用しており、放送局としての信用が化体している商標となる。
また「TBS」の文字に関しては、1960年から申立人らが使用を開始し、65年間という長期にわたって使用を続けている、日本国内において著名な商標である。
さらに、近年、申立人らが、教育分野やゲーム分野など新たな産業に進出していることを鑑みると、ヘルスケア分野等へ進出することも社会通念上、十分予測され得る。
オ 小括
引用商標は、上述のとおり、称呼は「ティービーエス」のみである。そして、申立人らが65年間にわたって「TBS」という文字を使用してきたことによって、引用商標はもちろんのこと、どのような外観であっても、「TBS」という文字は、日本国内では放送局を想起させる文字列となっており、ヘルスケア分野にも進出し得ると予測される取引の事情がある。
(3)本件商標が引用商標と類似する理由
ア 称呼上の比較
本件商標は、「ティービーエス」と「インサイト」を分断して生じる称呼に対し、引用商標は、「ティービーエス」という称呼のみが生じ、両商標は「ティービーエス」という称呼で同一である。
イ 観念上の比較
本件商標から看取される観念は「日本の放送局の内側」であるのに対して、引用商標から看取される観念は「日本の放送局」であるため、両商標は観念上、類似の商標である。
ウ 外観上の比較
本件商標は、外観上において分断され、かつ、「TBS」のみが注目され、引用商標は「TBS」という文字列のみであり、両商標は外観上、類似する商標である。
エ 取引の実情の比較
引用商標の商標権者である申立人は、65年間にわたって「TBS」という文字を使用し続けていることによって、「TBS」という文字のみで日本国内では放送局を想起する文字列となっている取引事情がある。他方、本件商標のライセンサーが日本国内において本件商標を使用することによって、放送局が医療分野に進出したと捉えられる「広義の混同」が生じ得る取引実情が発生している。
オ 小括
上記のとおり、本件商標は、引用商標と称呼、外観、観念が同一又は類似であって、混同が生じ、また、本件商標は、取引の実情から本件商標のライセンサーに広義の混同も生じている。
したがって、本件商標は引用商標と類似する商標であることが明らかである。
(4)引用商標の著名性
引用商標の商標権者である申立人は、1951年に「株式会社ラジオ東京」として設立され、ラジオ放送事業を開始、1955年にテレビジョン放送事業を開始している。1960年には商号を「株式会社東京放送」(英記:Tokyo Broadcasting System,Inc.)とし、略称を「TBS」に変更(甲5)して以降65年間、申立人は、「TBS」という文字列を使用し続け、現在では辞書にも載る知名度である(甲6)。
まだインターネットが存在せず、数少ないメディアであった1978年には、「全日」、「ゴールデン」及び「プライム」の全てで平均視聴率1位を獲得して視聴率三冠王第1号を達成し(甲7)、国民に一番視聴された放送局となった。
さらに、近年、2010年6月のサッカー中継放送では、関東地方での平均世帯視聴率として57.3%を記録し(甲8)、申立人らの放送を日本国民の半数以上が視聴したことになる。このことは、申立人らが、老若男女を問わず幅広い性別・世代において著名な放送局であることの証左である。
上記のように、申立人が引用商標を使用した結果、テレビ視聴者及びラジオ聴取者以外にも「TBS」の文字列及び「ティービーエス」という称呼は浸透し、現在インターネット検索サービスGoogleにおいて「TBS」という文字列を検索した際にも、検索結果上位には申立人らの情報のみが表示されている(甲9)。そればかりか、検索結果下位を見ても申立人らの情報ばかりが目につく一方で、「骨評価の新しい指標TBS(Trabecular Bone Score)」にかかる情報は一切表示されない。
(5)特許庁の審査・審判における矛盾
ア 商標法第4条第1項第11号違反に係る矛盾
本件商標と同じく、先願先登録商標を一部に含む場合に、類似と判断された審決及び決定として、不服2025-000483(甲10)、異議2024-900085(甲11)、不服2024-013128(甲12)、不服2024-011923(甲13)及び不服2024-010340(甲14)の例がある。
イ 商標法第4条第1項第15号違反に係る矛盾
本件商標と同じく、著名商標である引用商標を一部に含む場合に、類似と判断され拒絶となった審査例として、国際登録第1638436号(甲15)、国際登録第1291913号(甲16)、国際登録第1098681号(甲17)、商願2011-23352(甲18)及び商願2004-74665(甲19)があり、2000年以降に、申立人以外による「TBS」を含む商標は、登録となっていない。
(6)むすび
本件商標は、他人の先願先登録である引用商標と同一又は類似する商標であり、本件商標の指定商品及び指定役務は、引用商標の指定商品及び指定役務と同一又は類似する商品及び役務であるため、商標法第4条第1項第11号に該当する。
また、本件商標は、他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標であるため、商標法第4条第1項第15号に該当する。
4 当審の判断
(1)「TBS」の文字の周知性について
申立人の主張及び同人提出の証拠並びに職権調査によれば、以下のとおりである。
申立人らは、1951年に「株式会社ラジオ東京」として設立され、1960年に社名を「株式会社東京放送(略称「TBS」)」に、2020年に商号を「TBSホールディングス」に変更した(甲5)。
そして、デジタル大辞泉(甲6)には、「TBS」の文字について、「《Tokyo Broadcasting System》TBSテレビやTBSラジオ、また、それらの持ち株会社である東京放送ホールディングスの通称。」の記載がある。
また、申立人らは、1978年に視聴率3冠王(午前6時から午前0時までの「全日」、午後7時から10時の「ゴールデンタイム」、午後7時から11時の「プライム」)を第1号として達成し(甲7)、さらに、ビデオリサーチの「全局高世帯視聴率番組50」によれば、「視聴率調査開始(1962年12月3日)からの全局高世帯視聴率番組50【関東】」において、申立人らの2010年6月29日放送のスポーツ番組が12位である(甲8)。
加えて、ビデオリサーチの「2023年 年間高個人視聴率番組30(関東地区)」のウェブサイト(https://www.videor.co.jp/tvrating/past_tvrating/top30/202330.html)によれば、申立人らに係るスポーツ番組、バラエティ番組、ドラマが30位以内に9番組あり、毎日新聞(2025年5月31日付夕刊)によれば、申立人らの2024年度の売上高は4,067億円であって、NHK放送文化研究所のウェブサイト「データブック 世界の放送メディア」(https://www.nhk.or.jp/bunken/data-world/summary/japan.html)によれば、日本の放送は公共放送(NHK)と民間放送の二元体制で、「TBSテレビ」は、全国ネットワークを形成している東京に5社ある民放のキー局の一つであり、TBSテレビがキー局のJNNの加盟局数は28局である(2025年10月現在)(以上、職権調査)。
上記のとおり、申立人らは、1960年に社名を「株式会社東京放送」(Tokyо Broadcasting System)に変更して以降、その略称として「TBS」の使用を開始し、現在まで「TBS」の文字をテレビやラジオなどの放送事業に使用していると認められるところ、日本に5社しかない民間放送の一つであり、本件商標の登録審決後のデータではあるものの、関連するキー局は全国に28局あること、1978年及び2023年に高視聴率を獲得していること、及び申立人らは相当の売上高があることなどからすれば、申立人らが放送事業に係る役務に使用する「TBS」の文字(以下「申立人商標」という。)は、本件商標の登録出願時及び登録審決時において、取引者及び需要者の間に広く認識されているというのが相当である。
(2)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標
本件商標は、別掲1のとおり、円周の上部に「powered by」の文字、下部に「medical AI technology」の文字(以下、両者を合わせて「円周の文字部分」という。)をそれぞれ円周に沿うように極めて小さく表し、円の内側中央に、上段に太線で「TBS」の文字、下段に細線で「iNsight」の文字を、上下2段に表してなるものである。
そして、その構成中、円周の文字部分は、円の内側中央の文字に比して相当に小さく表されていることから、外観上、強い印象を与えるものでなく、かつ、当該文字部分全体は「医療AI技術によって駆動」ほどの意味合いを有するものであるから、本件商標の指定商品及び指定役務との関係において、商品及び役務の出所識別のための機能を有しないか極めて弱いものといえ、円周の文字部分からは出所識別標識としての称呼及び観念は生じない。
これに対し、円の内側中央に配された「TBS」及び「iNsight」の文字部分は、文字の線の太さは異なるものの、上下にほぼ同じ大きさで近接してまとまり良く一体的に表されており、その構成文字全体から生じる「ティービーエスインサイト」の称呼も無理なく一連に称呼できるものである。
そして、上記構成中の「TBS」の文字は、本件商標の指定商品及び指定役務との関係において「海綿骨スコア」を意味する「Trabecular Bone Score」の略語として使用されていることが認められ、その指定商品及び指定役務の記載においても、そのような略語として記載されている。
また、「iNsight」の文字は、構成文字からこれを「insight」とみると、「洞察力」の意味(研究社新英和辞典第7版 株式会社研究社)を有する英語であるものの、その意味合いをもって、我が国において親しまれている語とはいえない。
そうすると、本件商標中の「TBS iNsight」の文字部分からは、「ティービーエスインサイト」の称呼が生じ、特定の観念を生じないものといえ、また、「TBS」の文字は、上記のとおり、本件商標の指定商品及び指定役務との関係においては、商品及び役務の用途、品質、質等を表すものとして理解される語であるから、自他商品役務識別標識としての機能は極めて弱いものといえ、本件商標から殊更に「TBS」の文字部分を抽出しなければならない特段の事情は見いだせず、さらに、「iNsight」の文字が、本件商標の指定商品及び指定役務との関係において、商品及び役務の品質又は質等を表すものとして、普通に使用されている実情も見いだせない。
なお、申立人は、本件商標の商標権者からライセンスを受けたとされる法人のウェブサイト(甲4)において、説明の表記と離れた箇所で「TBS」の文字が単体で表記されることによって、放送局が医療分野に進出したと「広義の混同」が生じ得る取引実情が発生している旨主張している。
しかしながら、当該ウェブサイトは、その内容及び表示態様からみて、医療従事者向けの製品に関する情報を提供するものであり、その需要者は、主として当該分野の専門的知見を有する者であると認められるところ、同ウェブサイトには、「医療従事者向け製品」の見出しの下、「骨評価の新しい指標 TBS(Trabecular Bone Score)」と記載されているのであるから、当該「TBS」の文字は、それに続く「Trabecular Bone Score」の略語として認識されるとみるのが自然である。
そうすると、たとえ、上記(1)のとおり、「TBS」の文字が、申立人の業務に係る放送事業に使用され、需要者の間に広く認識されているとしても、当該表示に接した需要者が、これを申立人らの使用に係る「TBS」と結び付けて認識するとはいい難く、放送事業を営む申立人らとの関係を連想又は想起して、商品又は役務の出所について混同を生ずるおそれがあるとは認められず、申立人の上記主張は採用できない。
したがって、本件商標は、構成中の「TBS iNsight」の文字部分から「ティービーエスインサイト」の称呼を、また、「iNsight」の文字部分から「インサイト」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものである。
イ 引用商標
引用商標は、別掲2及び別掲3のとおり、いずれも「TBS」の文字からなるものであり、その構成文字に相応し「ティービーエス」の称呼を生じ、上記(1)のとおり、「TBS」の文字が、申立人らの業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている申立人商標であると理解されることから、申立人らに係る「(日本の放送局の社名・名称)TBS」の観念を生じる。
ウ 本件商標と引用商標の類否について
本件商標と引用商標は、それぞれ上記ア及びイのとおりであるところ、両商標は、全体構成において、他の文字、図形及び色彩の有無に明らかな差違を有するものであり、また、本件商標の文字部分である「TBS iNsight」及び「iNsight」との比較においても、その構成文字及びその文字数において相違し、外観上、顕著な差違を有するものであるから、外観において明確に区別できるものである。
そして、本件商標から生じる「ティービーエスインサイト」及び「インサイト」の称呼と引用商標から生じる「ティービーエス」の称呼とは、構成音及び音数が異なり、語調、語感が顕著に相違するから、明瞭に聴別できるものである。
さらに、観念においては、本件商標は、全体として特定の観念を生じないものであるところ、引用商標からは、申立人に係る「(日本の放送局の社名・名称)TBS」の観念を生じるから、観念において相紛れるおそれはない。
そうすると、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念において区別できるものであるから、両商標の外観、称呼及び観念によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両商標は相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。
その他、本件商標と引用商標が類似するというべき事情は見いだせない。
エ 小括
上記のとおり、本件商標と引用商標は類似しないものであるから、両者の指定商品及び指定役務について言及するまでもなく、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第15号該当性について
上記(1)のとおり、申立人商標は、本件商標の登録出願時及び登録審決時において、申立人らの業務に係る役務を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていたものと認められる。
しかしながら、申立人商標が、「テレビジョン放送,ラジオ放送」等の放送関連事業の役務について使用され、取引者、需要者の間に広く認識されていることは認められるとしても、当該役務と本件商標の指定商品及び指定役務とは、その用途、目的、提供者、提供場所等が全く異なるものであり、かつ、「TBS」の文字は、本件商標の指定商品及び指定役務との関係においては、商品及び役務の用途、品質及び質等を表すものとして、需要者に認識され得るものであるから、本件商標において当該文字が強く支配的であるとは言い難い。
また、上記(2)のとおり、本件商標と引用商標は相紛れるおそれのない非類似の商標であり、「TBS」の文字からなる申立人商標も同様の理由により、本件商標とは非類似の商標というべきものであって、類似性の程度は低い。
以上のとおり、申立人商標は、本件商標の登録出願時及び登録審決時において、申立人らの業務に係る役務を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていたと認められるとしても、本件商標とは類似性の程度は低く、かつ、「TBS」の文字は、本件商標の指定商品及び指定役務との関係においては、商品の品質及び役務の質を表すものと認識されるものであって、本件商標においては、当該文字部分が、商品及び役務の出所識別標識として、分離して看取されるとはいい難いものである。
以上よりすれば、申立人商標が、申立人らの業務に係る役務を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されているものであるとしても、本件商標は、これをその指定商品及び指定役務について使用しても、それに接する取引者、需要者が、申立人ら又はその業務に係る商品又は役務との関連性を連想又は想起し、同人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品又は役務であると誤認し、商品又は役務の出所について混同を生ずるおそれはないというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(4)むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも該当するとはいえず、他にその登録が同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2025-685023