商標異議申立
2025-685015
ランプ
- 審判番号
- 2025-685015
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- —
- 請求日
- 2025年08月29日
- 審決日
- 2026年06月05日
- 公報発行日
- 2026年08月28日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】Bayerische Motoren Werke Aktiengesellschaft
- 【権利者代理人】江崎 光史
- 【権利者代理人】佐久間 洋子
- 【権利者代理人】田崎 恵美子
- 【異議申立人】倉光 周作
- 審判長/審判官
- 審判長 小林 正和
- 審判官 小林 裕子
- 審判官 大島 康浩
- 分類
- T1651.13 -Y (W09353842) / T1651.16 -Y (W09353842) / T1651.271-Y (W09353842) / T1651.272-Y (W09353842)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項3号商標法3条1項6号商標法4条1項15号商標法4条1項16号商標法43条の2商標法43条の3第4項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号、商標法第4条第1項第15号、商標法第43条の2第1号、商標法第3条第1項第6号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
国際登録第1785623号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。
結論
国際登録第1785623号商標の商標登録を維持する。
理由
第1 本件商標
本件国際登録第1785623号商標(以下「本件商標」という。)は、「LAMP」の文字を横書きしてなり、2023年(令和5年)6月6日にEUIPOにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、同年12月1日に国際商標登録出願、第9類、第35類、第38類及び第42類に属する別掲のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、令和7年5月30日に登録査定、同年7月4日に設定登録されたものである。
第2 登録異議申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同項第6号並びに同法第4条第1項第15号及び同項第16号に該当するものであるから、商標法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第8号証(以下、証拠の記載にあたっては、甲第○号証を甲○のように記載する。)を提出した。
1 本件商標について
本件商標は、「LAMP」の欧文字を普通に用いられる方法で示したものであり、第9類、第35類、第38類及び第42類のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務(以下「本件商品役務」という場合がある。)とするものである。
2 主張の概要について
「LAMP」の文字は、特定のオペレーティングシステム、ウェブサーバ、データベースシステム及びスクリプト言語環境によって構成されるウェブサイト・ウェブアプリケーション構築環境を示す用語である。具体的には、LAMP環境では、オペレーティングシステムにLinuxが、ウェブサーバにApacheが使用される。データベースシステムには、通常MySQLが使用されるが、代わりにMariaDBが使用されることがある。スクリプト言語環境には、PHP、Python、Perlなどが使用される(甲1~甲6)。
LAMP環境は、IT用語辞典によれば「定番のオープンソースソフトウェアの組み合わせ」と評され(甲1)、ウェブ開発の分野で広く使用されており、そのことは、応用情報技術者試験のシラバスで「LAMP」が取り上げられていることにも示される(甲7)。LAMP環境は、それを構成する各ソフトウェアのインストールにより、誰でも構築できる(甲3)。
なお、申立人の知る限りでは、商標権者は上記のソフトウェアの開発者などと一切関係を有していない。
3 商標法第3条第1項第3号、同項第6号及び同法第4条第1項第16号該当性について
本件商標は、「LAMP」の文字からなり、LAMP環境に係る指定商品及び指定役務に使用した場合、それがLAMP環境に係るものであるという商品の品質及び役務の質、例えば「LAMP環境(やそれに用いられるソフトウェア)に対応しているソフトウェア」、「LAMP環境で構築されたデジタルプラットフォーム及び電子データベースの管理」、「LAMP環境への接続用回線の提供」、「LAMP環境のホスティング」及び「LAMP環境用ソフトウェアの提供」であることを示すにとどまる。また、それ以外の指定商品及び指定役務に本件商標を使用した場合、商品の品質及び役務の質の誤認を生じさせるおそれがある。
仮に「LAMP」が商品の品質及び役務の質の表示ではないとしても、本件商標は需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標である。
4 商標法第4条第1項第15号該当性について
前述のとおり、LAMP環境で使用されるデータベースシステムは、商標権者以外の業務に係る商品(MySQL又はMariaDB)であるということが、需要者により広く理解されている。このため、少なくとも指定商品中、「データベース管理用のコンピュータソフトウェア」に対し商標権者が本件商標を使用した場合、商標権者がMySQL又はMariaDBを開発しているかのような印象を与え、他人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがある。
5 むすび
上記の理由により、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同項第6号並びに同法第4条第1項第15号及び同項第16号に該当するものであるから、本件商標登録は商標法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきである。
第3 当審の判断
1 商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について
本件商標は、前記第1のとおり「LAMP」の文字を横書きしてなるところ、当該文字は、「(石油・ガス・電気による)ランプ、電気スタンド、明かり」等を意味する英語(「ジーニアス英和辞典 第6版」株式会社大修館書店発行)として、広く知られた語である。
また、申立人は、「LAMP」の文字は、「Webアプリケーション開発に使用される「Linux」、「Apache」、「MySQL」及び「PHP/Perl/Python」のオープンソフトウェアの頭文字をつないだ略語」(甲1~甲5、甲7)ほどの意味合いを表し、Webサイト及びWebアプリケーション構築環境を示す用語として使用されていることを証拠として挙げ、本件商標を、LAMP環境に係る指定商品及び指定役務に使用した場合、それがLAMP環境に係るものであるという商品の品質及び役務の質を表すものである旨主張する。
しかしながら、申立人の前記主張及び証拠からは、「LAMP」の文字が、Webアプリケーション等の開発環境を構築するための一連のソフトウェアを示す名称として使用されている実情はうかがい知れるとしても、申立人の全証拠及び主張からは、本件商品役務の具体的な内容を表しているとはいい難いものである。
さらに、当審において職権をもって調査するも、本件商品役務を取り扱う分野において、「LAMP」の文字が、商品の品質、役務の質等を具体的に表示するものとして、一般的に使用されているというべき事実を発見することはできず、そのほか、本件商標に接する取引者、需要者が、それを商品の品質、役務の質等の表示であると理解するというべき事実を発見することもできなかった。
そうすると、本件商標は、Webアプリケーション等の開発環境を構築するための一連のソフトウェアを意味する「LAMP」を認識させる場合があるとしても、本件商品役務との関係で具体的に商品の品質、役務の質等を表示するものとして使用されている事実は立証されておらず、また、本件商標について、識別力がないといえる実情もうかがえないものであるから、これを本件商品役務について使用しても、商品の品質、役務の質等を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものとはいえず、自他商品役務の識別標識としての機能を果たし得るものである。
また、本件商標が商品の品質又は役務の質等の誤認を生ずるおそれがあるものというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当しない。
2 商標法第3条第1項第6号該当性について
上記1のとおり、本件商標は、「ランプ、電気スタンド、明かり」等を意味する英語として一般的に知られている語であり、また、IT分野においては、Webアプリケーション等の開発環境を構築するための一連のソフトウェアを意味する「LAMP」を認識させる場合があるとしても、本件商標に識別力がないといえる実情もうかがえないものであるから、これを本件商品役務に使用しても、これに接する取引者、需要者が、何人かの業務に係る商品及び役務であることを認識することができない商標とは認められない。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第6号に該当しない。
3 商標法第4条第1項第15号該当性について
申立人は、LAMP環境で使用されるデータベースシステムは、商標権者以外の業務に係る商品(MySQL又はMariaDB)であるということが、需要者により広く理解されているため、指定商品中、第9類「データベース管理用のコンピュータソフトウェア」に対し商標権者が本件商標を使用した場合、商標権者がMySQL又はMariaDBを開発しているかのような印象を与え、他人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがあるから、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する旨主張する。
しかしながら、申立人は、その申立ての根拠について、何ら具体的な主張及び立証を行ったとはいえず、また、当審においても、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情も見出せない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
4 むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第3条第1項第3号、同項第6号並びに同法第4条第1項第15号及び同項第16号のいずれにも該当するものでなく、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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