商標異議申立
2025-685004
キョートーキョーゾー、ジーンドーンジーンザオ、ケートーケーゾー
- 審判番号
- 2025-685004
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- —
- 請求日
- 2025年02月20日
- 審決日
- 2025年08月21日
- 公報発行日
- 2025年10月31日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】BEIJING JINGDONG 360 DU E-COMMERCE LTD.
- 【権利者代理人】弁理士法人栄光事務所
- 【異議申立人】河北省青龍滿族自治縣百峰貿易有限公司
- 【異議申立人代理人】Authense弁理士法人
- 審判長/審判官
- 審判長 高野 和行
- 審判官 豊瀬 京太郎
- 審判官 清川 恵子
- 分類
- T1652.25 -Y (W31) / T1652.271-Y (W31) / T1652.222-Y (W31)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項10号商標法4条1項15号商標法4条1項19号商標法43条の2商標法43条の3第4項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第10号、商標法第4条第1項第15号、商標法第4条第1項第19号、商標法第43条の2第1号
- データ出所
- 審決公報(XML)
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国際登録第1760858号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。
結論
国際登録第1760858号商標の商標登録を維持する。
理由
第1 本件商標
本件国際登録第1760858号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、2023年(令和5年)3月13日にChinaにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、同年6月27日に国際登録出願、第31類「Poultry, live; fruit, fresh; betel nuts, fresh; vegetables, fresh; animal foodstuffs; malt for brewing and distilling; mushroom spawn for propagation; litter for animals; plants; trees; fresh beans.」のほか、第3類、第5類、第10類、第12類、第14類、第27類、第28類、第30類及び第33類に属する国際登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品とし、令和6年11月15日に登録査定、同年12月13日に設定登録されたものである。
第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議申立ての理由において引用するのは以下のとおりである。
1 登録第4729849号商標(以下「引用商標1」という。)は別掲2のとおりの構成からなり、平成15年2月19日に登録出願、「果実」を含む第31類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、同年11月28日に設定登録されたものであるが、令和5年11月28日に存続期間の満了により商標権の登録の抹消がされている。
2 商願2024-128239号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲3のとおりの構成からなり、「生栗」を含む第31類に属する願書に記載のとおりの商品を指定商品として、令和6年11月28日に商標登録出願されたものであり、同出願は、現在審査に係属中である。
以下上記1及び2をまとめていうときは「引用商標」という。
3 申立人が、申立人の業務に係る商品「栗」に使用して高い知名度を獲得しているとする「京▲東▼」(決定注:「▲東▼」は簡体字である。以下同じ。)からなる商標(以下「申立人商標」という。)である。
以下上記1ないし3をまとめていうときは「引用商標等」という。
第3 登録異議の申立ての理由
1 申立ての根拠
本件商標は、その指定商品中、第31類の指定商品については、商標法第4条第1項第10号、同項第15号及び同項第19号に違反して登録されたものであるから、本件商標は商標法第43条の2第1号の規定により、取り消されるべきである。
2 具体的理由
(1)引用商標等について
申立人は2004年から日本市場に参入し、「京▲東▼」を使用して「栗」の販売を開始し、以降、日本において継続的に販売している。なお、申立人は、日本における商標権を保護するため、引用商標1を登録(甲2)をしていた。当該商標は、「京▲東▼」の文字及び龍が地球儀の中に配置され、当該地球儀の下に「JING DONG」の文字が配されている構成をとっており、「京▲東▼」の文字が目立つ態様をとっている商標である。当該商標は、出願日である2003年2月19日から設定登録を経て2023年11月28日まで存続しており、申立人の市場における活動とともに、消費者、需要者において広く認知されるものとなっているとともに、当該認知は現在においても同様である。
また、出願人は、現在、生栗を含む第31類及び第29類に属する商品について、新たに商標出願(引用商標2ほか)をおこなっている(甲3、甲4)。
(2)引用商標等の著名性について
申立人は2004年から日本市場に参入し、継続的に栗を販売し、日本における栗の販売について、良好な評判と高い知名度を獲得している。
2007年から2022年までの日本の取引者との販売契約を含む証拠を提出する(甲5)。
申立人が提出する証拠には、販売契約書、購入契約書、税関申告書、請求書、貨物運送業者リスト、企業輸出自己検査表、梱包リストなどが含まれており、当該販売契約書には、品名として「京▲東▼」ブランドの栗であることが明確に記載されている。
また、商品が梱包されている写真(甲6)においても商品の販売に際し、引用商標(甲2~甲4)が使用されている。
申立人である河北省青龍満族自治県百峰貿易有限公司は、2002年に中国において設立され、中国河北省に本社を構えている。申立人は、農産物等の販売、各種商品の輸出入業務を行っており、年間輸出額は申立人の主要農産物である「栗」を含め、法人設立当初の50万米ドルから現在500万米ドルまで増加し、企業資産も設立時の500万元から現在2500万元以上に増加した。取扱品目も当初の数種類から現在の3つのシリーズ、20種類以上の品目に拡大し、中でも「京▲東▼」ブランドの栗及び「独山」ブランドの冷凍栗は、申立人の主要製品となっている。
また、申立人は、中国においても商標を取得し(甲7)、申立人のホームページにおいても「京▲東▼」ブランドを大きく取り上げている(甲8)。この実情をみれば、国籍を同じく中国とし、かつ、取り扱う商品の分野が類似する本件商標の権利者(以下「本件商標権者」という場合がある。)は、引用商標等を当然に知っていたといえる。
申立人の企業理念は、「品質第一、信頼第一」であり、「平等互恵、誠実信用」のビジネス方針を貫き、さらに、「人材重視、責任・権利・利益の統一」を基本とした制度を導入し、基盤の強化、品質管理の徹底、マーケットの拡大、技術革新を進めている。誠実な姿勢と優れた評判により、「京▲東▼」ブランドの栗は国内外の顧客から高い評価を得ている。
このように、申立人は引用商標等を付した栗(第31類に属する商品)を、日本において継続して販売している企業であり、本件商標の出願前から当該商品が属する業界において取引者及び需要者の間に広く認識されている商品であるといえる。
(3)本件商標と引用商標等の同一又は類似性について
本件商標は「京▲東▼京造」の文字からなり、当該文字が白、背景が黒の構成となっている。なお、本件商標中「京造」は、「北京産の、北京製の」といった、中国の首都である北京にゆかりのある製品であることの意味が想起されるから、本件商標からは、「北京産の「京▲東▼」という商品」であることが想起される。
一方、申立人は、「京▲東▼」を使用して商品の販売をしており、長期間の継続した使用により申立人の「栗」のブランド名として、取引者、需要者に広く認知されている。
両商標の「▲東▼」の文字は簡体字であり、我が国ではなじみのない字体であるが、これが起因となり、両商標は中国に何らかの由来があると需要者に想起させる。申立人は、栗の販売において、いわゆるBtoBの企業間取引を行っているが、そのような取引を行う日本の取引業者は、取引先の国の商習慣や言語について一定の理解がある、又は理解しようと努める者と考えることが妥当であるから、簡易、迅速をたっとぶ取引の実際において、栗の売買を行う当業者間においては、「北京産の」といった生産地や販売地等を示す地名部分は重視せず、要部となり得る「京▲東▼」を重視し、商取引を行うものと考えるべきである(最判昭和38年12月5日 「リラ宝塚事件」)。
そうすると、本件商標の要部と引用商標等は「京▲東▼」で同一であり、両商標は類似するといえる。
特に、栗の輸入品という特定の狭い業界において、商標上重視される語頭の2文字が一致していることは、重要な類似点である。仮に、本件商標権者が本件商標を、栗等を含む第31類の商品に付して販売をした場合、同じ中国企業の商品に語頭の2文字が一致した商標が付されているから、申立人の栗ブランドのシリーズ商品又は、関連企業の商品と誤解を生じるおそれがある。
(4)本件商標と引用商標等の指定商品(役務)の類似性について
本件商標は第31類に「果実」を含む指定商品にて構成されるものである。一方で、申立人の業務に係る商品は「栗」であり、長く日本市場で栗の販売を行っており、高い知名度を獲得している。
本件商標の指定商品「果実」と「栗」は類似する商品であることは明らかであり、本件商標権者が本件商標を指定商品に使用すると、申立人の商品又は申立人に関連した商品であると誤認するおそれがある。
(5)商標法第4条第1項第10号の該当性
ア 引用商標等が広く認識されていること
上記(2)のとおり、引用商標等は、申立人が販売する栗を示す商標であることは日本の取引者、需要者において広く知られている。
イ 本件商標と引用商標等の類似性
上記(3)のとおり、本件商標と引用商標等が同一又は類似であることは明らかである。また、上記(4)のとおり、本件商標と引用商標等の指定商品は、同一又は類似関係にある。
ウ 小括
以上より、本件商標は、本件商標の登録出願前より、取引者及び需要者の間に広く認識されている引用商標等と同一又は類似であり、かつ、指定商品と同一又は類似の商品に使用するものと認められるから、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。
(6)商標法第4条第1項第15号の該当性
ア 「混同を生ずるおそれ」について
商標法第4条第1項第15号にいう「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標」は、最高裁平成10年(行ヒ)第85号 同12年7月11日第三小法廷判決のとおり、総合的に判断されるべきである。
イ 本件商標と引用商標等の類似性の程度
上記(3)のとおり、本件商標と引用商標等が同一又は類似であることは明らかである。
ウ 申立人の著名性について
上記(2)のとおり、申立人が栗の分野において、日本の取引者、需要者の間で広く知られていることに疑いはない。
エ 商品の関連性の程度
上記(4)のとおり、本件商標の指定商品と、引用商標等の指定商品が同一又は類似の関係にあることは明らかである。
したがって、本件商標に係る指定商品と、引用商標等に係る指定商品は、高い関連性を有している。
オ 小括
以上より、本件商標は、申立人が販売する栗を示す商標として広く認識されている引用商標等と同一又は類似であり、本件商標と引用商標等の指定商品は同一又は類似の関係にあり、かつ、申立人は栗の分野において日本において広く知られた企業であることも明らかである。
そうすると、本件商標を指定商品に使用した場合、取引者及び需要者が、申立人の販売する商品と出所の混同を引き起こす可能性が極めて高い。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(7)商標法第4条第1項第19号の該当性
ア 本件商標は、申立人が「栗」について使用し、本件商標の登録出願前より、中国をはじめ日本で需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似のものである。
本件商標に係る指定商品を取り扱う者であれば、中国をはじめ日本の需要者の間に広く認識されている引用商標等の存在を当然に知っていたものと推認するのが相当である。
さらに、本件商標権者の住所と申立人の住所が共に中国であることは、引用商標等の存在を当然に知っていたことの補強となる。
また、本件商標が、引用商標等と偶然に類似したとは考え難いから、本件商標を、本件商標権者が自己の商標として出願、登録及び使用をすることは、引用商標等の名声や顧客吸引力に便乗して不正の利益を得る等の目的をもって使用をするものと考えられる。
そうすると、本件商標は、他人の業務に係る商品を表示するものとして外国における需要者の間に広く認識されている引用商標等と同一又は類似の商標であって、不正の目的をもって使用をするものと考えるのが相当である。
また、申立人が本件商標権者に引用商標等の使用を許諾したという事実もない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。
第4 当審の判断
1 引用商標等の周知性について
申立人の提出に係る甲各号証及び申立人の主張によれば、以下のとおりである。
(1)申立人は、2002年に中国において設立され、農産物等の販売、各種商品の輸出入業務を行っている。申立人の年間輸出額は申立人の主要農産物である「栗」を含め、法人設立当初の50万米ドルから現在500万米ドルまで増加し、企業資産も設立時の500万元から現在2500万元以上に増加し、取扱品目も当初の数種類から現在の3つのシリーズ、20種類以上の品目に拡大、中でも「京▲東▼」ブランドの栗及び「独山」ブランドの冷凍栗は、申立人の主要製品である(申立人主張)。
そして、2007年から2022年までの申立人と日本の取引者との販売契約を含む証拠(甲5、販売契約書、購入契約書、税関申告書、請求書、貨物運送業者リスト、企業輸出自己検査表、梱包リスト)を提出しているところ、甲第5号証は、いずれも外国語(英語及び中国語)で作成されており、「CHINESE CHESTNUTS」(甲5の1~甲5の3、甲5の5、甲5の6)、「FRESH CHESTNUTS」(甲5の4、甲5の7~甲5の19)等の商品名や日本の企業名等とみられる外国語の記載があるが、翻訳文の添付がないため、その詳細な内容は不明である。
(2)申立人は、商品が梱包されている写真として、甲第6号証を提出している。当該写真の梱包されている袋の右上に、引用商標らしき標章が付されており、中央に「青〇甘栗」(決定注:〇は日本の漢字にはないため〇で示す。以下同じ。)の文字が縦書きされている。
(3)申立人のウェブサイトには、「中国板栗数京▲東▼」「京▲東▼板栗数青○」「京▲東▼板栗」の文字と栗の写真が掲載されている(甲8)。当該ウェブサイトは中国語で作成されたウェブサイトであり、翻訳文の添付がないため、その詳細な内容は不明である。
(4)上記(1)によれば、引用商標等は、申立人の業務に係る商品「栗」に使用する商標であり、2007年(甲5)から我が国の数社の企業と取引があることはうかがえる。しかしながら、証拠として提出された外国語の証拠資料には、翻訳文の添付がなく、その内容が明らかとはいえない上、我が国及び外国においてその周知性の度合いを客観的に判断するための資料、例えば、引用商標等を使用した申立人の商品に関する我が国及び外国における市場シェア、売上高、広告の頒布範囲・回数等を示す証拠の提出はない。
なお、申立人は、申立人の主要農産物である「栗」を含め年間輸出額は、現在500万米ドルまで増加し、企業資産も現在2500万元以上に増加している旨主張しているが、主張のみでそれを裏付ける客観的な証拠の提出はない。
また、上記(2)のとおり、商品の梱包袋(甲6)の写真については、「青〇甘栗」の文字の記載はあるものの、当該記載からは、内容物が確認できず、甲第5号証の販売契約書等に記載の商品(「CHINESE CHESTNUTS」又は「FRESH CHESTNUTS」)の梱包袋であるのか不明であるばかりか、右上に表された引用商標らしき標章についても、不鮮明であり、商品「栗」(第31類の商品)に引用商標が使用されていることを確認できない。
さらに、上記(3)のとおり、申立人のウェブサイトについては、栗の写真等から、栗を取り扱っていることは推認されるものの、外国語(中国語)のウェブサイトであるため、その内容が明らかとはいえない上に、日本語の表示は一切ないから日本の取引者・需要者向けに作成されたものとはいえない。
以上からすると、申立人の提出に係る証拠からは、引用商標等が申立人の業務に係る商品について使用する商標として、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国及び外国の取引者、需要者の間に広く認識されていたとは認めることができないというべきである。
2 商標法第4条第1項第10号該当性について
(1)引用商標等は、上記1のとおり、申立人の業務に係る商品について使用する商標として、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国及び外国の取引者、需要者の間に広く認識されていたとは認めることができない。
(2)本件商標と引用商標等の類否について
ア 本件商標は、別掲1のとおり、同書同大で表された「京▲東▼京造」の文字を白抜きで表し、背景を黒の横長長方形(左上部と右下部の角は削られている。以下同じ。)とする構成からなり、視覚上一体的に看取されるものである。
そして、構成中の黒の横長長方形は文字部分の装飾や背景として看取、認識されるものであるから、特定の称呼観念は生じないのに対し、構成中の「京▲東▼京造」の漢字については、これに接する取引者、需要者をして、直ちにその読みを理解されるとはいえないものの、四文字中の「京」と「京造」の漢字は日本の漢字にもあること、二文字目の「▲東▼」の漢字は日本の漢字ではないとしても、「東」の簡体字であり「東」の漢字を想起させることも少なくないといえるから、全体として「キョートーキョーゾウ」と称呼されることもあり得るものである。
そして、「京▲東▼京造」の文字は辞書に掲載されていない文字であり、特定の意味を有しない造語といえるから、本件商標よりは、観念は生じないものである。
イ 引用商標等について
(ア)引用商標は、別掲2及び別掲3のとおり、地球儀とみられる図形(以下「図形部分」という。)の中に筆文字風に「京▲東▼」の文字が記載され、その横に龍が描かれており、当該図形部分の下に小さく「JING DONG」の文字を配した構成からなる文字と図形の結合商標である。
引用商標構成中の「京▲東▼」の文字及び龍を含んだ図形部分と「JING DONG」の文字部分は視覚的に分離して看取されるうえ、図形部分は顕著に表された「京▲東▼」の文字の背景図形として理解されるというのが自然であり、龍の図形及び「JING DONG」の文字部分についても、「京▲東▼」の文字との何らかの観念的なつながりがあると理解することはできない。
そうすると、引用商標の構成中、顕著に表された「京▲東▼」の文字部分(以下「引用商標の要部」という。)が、自他商品の識別標識としての機能を強く発揮する部分といえるから、当該文字部分を要部として抽出し、他人の商標と比較し、その類否を判断することが許されるというべきである。
そして、当該文字に接する取引者、需要者をして、直ちにその読みを把握、理解されるとはいえないものの、上記アと同様に、二文字目の「▲東▼」は、「東」の漢字を想起させることも少なくないといえるから、全体として「キョートー」と称呼されることもあり得るものである。
また、引用商標の要部は、上記アと同様に特定の意味合いを有しない造語であるから、観念は生じないものである。
(イ)申立人商標は、「京▲東▼」の文字からなり、引用商標の要部と同じであるから、上記(ア)と同様に、「キョートー」の称呼が生じ、観念は生じないものである。
ウ 本件商標と引用商標等との比較
(ア)本件商標と引用商標との類否について検討するに、全体の外観においては、黒の横長長方形と図形部分や龍の相違及び「京造」の文字の有無等の明らかな差異を有するものであるから、両者は、外観上明確に区別できるものである。また、本件商標と引用商標の要部との比較においては、文字数の相違や書体等、両者は明らかに構成態様が異なるものであるから、外観上、明確に区別できるものである。
次に、称呼においては、本件商標からは「キョートーキョーゾウ」の称呼が生じ、引用商標の要部からは、「キョートー」の称呼を生じるものであるから、その構成音、構成音数が明らかに相違するものであるから、両者は称呼上相紛れるおそれのないものである。
そして、観念においては、ともに特定の観念を生じないから、比較することができない。
そうすると、本件商標と引用商標とは、観念において比較できないとしても、外観及び称呼において相紛れるおそれのないものであるから、両者の外観、観念、称呼等によって、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考慮すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
(イ)申立人商標は、引用商標の要部と同じ文字構成からなるものであるから、上記(ア)と同様に、本件商標と申立人商標とは、相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
(3)本件商標の指定商品と申立人の業務に係る商品について
本件商標の指定商品中、第31類「果実」と申立人の業務に係る商品「栗」とは類似する商品である。
(4)小括
上記(1)ないし(3)からすると、本件商標の指定商品と申立人の業務に係る商品が類似するものであるとしても、本件商標と引用商標等は非類似の商標であり、さらに、引用商標等は本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国及び外国の需要者に広く認識されていたとは認めることができない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当するとはいえない。
3 商標法第4条第1項第15号該当性について
本件商標と引用商標等とは、上記2(2)のとおり、非類似の商標といえるから、本件商標と引用商標等の類似性の程度は低く、また、引用商標等は、上記1のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国及び外国の取引者、需要者の間に広く認識されていたとは認めることができない。
以上からすると、本件商標と引用商標等とは非類似の商標であり、引用商標等が申立人の業務に係る商品を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国及び外国の需要者の間に広く認識されていたと認めることができないから、本件商標権者が本件商標をその指定商品について使用をした場合、これに接する取引者、需要者が、引用商標等を連想、想起し、申立人又は同人と経済的又は組織的に何らかの関係のある者の業務に係る商品であると誤認し、その商品の出所について混同を生じさせるおそれはないものである。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
4 商標法第4条第1項第19号該当性について
本件商標は、上記2(2)のとおり、引用商標等とは非類似の商標であり、引用商標等は、上記1のとおり、我が国及び外国の需要者の間において、広く認識されているとはいえない。
また、申立人が提出した証拠からは、本件商標権者が本件商標を不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をもって使用するものと認めるに足りる具体的事実は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
5 申立人の主張について
申立人は、「本件商標中「京造」は、「北京産の、北京製の」といった、中国の首都である北京にゆかりのある製品であることの意味が想起されるから、本件商標からは、「北京産の「京▲東▼」という商品」であることが想起される。そして、簡易、迅速をたっとぶ取引の実際において、栗の売買を行う当業者間においては、「北京産の」といった生産地や販売地等を示す地名部分は重視せず、要部となり得る「京▲東▼」を重視し、商取引を行うものと考えるべきである」旨主張している。
しかしながら、本件商標中の「京造」は日本における一般的な辞書等に掲載されている語ではなく、本件商標に接する需要者、取引者が「北京産の、北京製の」という意味合いを想起するともいえず、申立人の商品「栗」を取り扱う業界において当該文字部分から上記意味合いを理解させる語として知られているといった事情も見いだせないから、申立人の主張は採用できない。
6 むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同項第15号及び同項第19号に該当するとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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