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商標異議申立

2025-685001

オリマーク、オリマルク、オライマーク、オライマルク

審判番号
2025-685001
法域
商標
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
—
請求日
2025年01月15日
審決日
2025年08月26日
公報発行日
2026年08月28日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】RIMFROST TECHNOLOGIES AS
  • 【異議申立人】コミッティー インターナショナル オリンピック
  • 【異議申立人代理人】田中 尚文
  • 【異議申立人代理人】岡田 淳
  • 【異議申立人代理人】渡部 彩
審判長/審判官
  • 審判長 高野 和行
  • 審判官 豊瀬 京太郎
  • 審判官 清川 恵子
分類
T1651.22 -Y (052931) / T1651.271-Y (052931)
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第4条第1項第7号、商標法第4条第1項第15号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

国際登録第1734991号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。

結論

国際登録第1734991号商標の商標登録を維持する。

理由

1 本件商標 本件国際登録第1734991号商標(以下「本件商標」という。)は、「OLYMARC」の欧文字を書してなり、2022年(令和4年)10月24日にNorwayにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張して、2023年4月5日に国際商標登録出願、別掲のとおりの第5類、第29類及び第31類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、令和6年10月7日に登録査定、同年11月8日に設定登録されたものである。 2 登録異議申立人が引用する商標及び標章 (1)登録異議申立人(以下「申立人」という。)が商標法第4条第1項第7号及び同項第15号に該当するとして引用する国際登録第1128501号商標(以下「引用商標」という。)は、「OLYMPIC」の欧文字を書してなり、2011年9月16日にSwitzerlandにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張して、同年11月8日に国際商標登録出願、第1類ないし第22類及び第24類ないし第45類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、2015年(平成27年)6月19日に設定登録され、その後、指定商品及び指定役務については、2021年(令和3年)10月28日に国際登録簿に記録された本件の登録の減縮によって、第1類ないし第3類、第5類、第7類ないし第12類、第14類、第16類ないし第19類、第21類、第24類、第25類、第28類、第32類、第35類ないし第39類、第41類ないし第44類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務となり、その商標権は、現に有効に存続しているものである。 (2)申立人が商標法第4条第1項第7号及び同項第15号に該当するとして引用する標章は、引用商標と構成を同じくする標章(以下「「OLYMPIC」標章」という。)であって、申立人が運営・統括の中心となって開催する「オリンピック競技大会」やオリンピック・ムーブベントの普及・啓発事業に使用して、需要者の間で広く認識されていると主張するものである。 以下、引用商標と「OLYMPIC」標章をまとめていう場合は、「引用商標等」という。 3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第7号及び同項第15号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第121号証を提出した。 (1)申立人について 申立人は、1894年6月23日に設立されたオリンピック競技大会を運営・統括する国際的な非政府の非営利団体である(甲4)。 申立人は、オリンピック競技大会の運営・統括と共に、オリンピックの理念であるオリンピズムを具現化し、次の世代へと受け継いでいく様々な活動たるオリンピック・ムーブメントを統括する最高機関として、オリンピック憲章に従い、オリンピズムを普及させる役割を担っている(甲4)。 (2)「OLYMPIC」標章の著名性及び公益性について ア 申立人が運営・統括に携わる、近代オリンピック競技大会の誕生は、今から120年以上前の1896年であり、同年に第1回オリンピックアテネ大会が開催され、以後、1世紀以上にわたり、美と技を競う世界規模の平和とスポーツの祭典として原則として2年又は4年に一度開催されてきた。 近年に開催された、2008年の第29回夏季オリンピック北京大会と2012年の第30回夏季オリンピックロンドン大会には、いずれも204の国と地域から1万人以上もの選手が参加し(甲5)、また、2016年の第31回夏季オリンピックリオデジャネイロ大会には、過去最大の205の国と地域から1万1000人以上の選手が参加しており(甲6)、テレビ・インターネット・ラジオを通じて世界中の数十億の人々に視聴された。 我が国で出版されたオリンピック競技大会に関する書籍(甲7~甲66)からは、同競技大会が我が国でも大いに注目されており、「OLYMPIC」標章が、オリンピック競技大会を表すものとして、120年以上もの間継続して使用されてきた事実をうかがい知ることができる。 以上より、1896年の第1回オリンピックアテネ大会から2024年の第33回夏季オリンピックパリ大会までの120年以上の長期にわたり、世界の各都市を舞台として盛大に開催されてきた、オリンピック競技大会を指称する「OLYMPIC」標章は、全世界で老若男女問わず、申立人がその運営・統括の中心となって開催するオリンピック競技大会やその関連活動等を広く示すものとして認識されており、その程度は極めて高く、世界で最も著名な標章の一つであるとともに、公益性も非常に高いものである。 イ 申立人及び「OLYMPIC」標章の公益性について触れると、オリンピック憲章では、申立人の使命として、「スポーツと文化および教育を融合させる活動を奨励し支援する」と規定されている(甲4)。かかる規定に基づき、申立人は、オリンピック・ムーブメントの一環として、様々な教育・文化活動を世界的規模で行い、「OLYMPIC」標章は、これらの各種教育・文化活動についても広く用いられ、親しまれている。我が国では、日本オリンピック委員会(JOC)等がオリンピック・ムーブメントの普及・啓発事業として、各種の教育・文化活動を国内で精力的に行っており(甲67~甲119)、オリンピックデーイベント、環境活動、日本オリンピック・アカデミー(JOA)による活動等、多岐にわたる。 ウ このような公益性が高く、世界各国で著名に至っていることが明白な「OLYMPIC」標章と同一又は類似、あるいは、これとの関連性を想起させるような商標の登録・使用が認められれば、スポーツによる教育、平和への貢献といったオリンピック・ムーブメントにより築き上げられた価値観が棄損され、公益に反する結果を招くことは想像に難くなく、特に、2021年の夏に東京で第32回夏季オリンピック東京大会が開催され、日本でもオリンピック・ムーブメントの公益的な目標の達成に向けて官民一体となって邁進していたことにも鑑みると、本件商標の商標法第4条第1項第7号該当性の検討に際しては、「OLYMPIC」標章及びこれに使用される各種活動の公益性という点が十分に考慮されるべきである。 (3)本件商標の商標法第4条第1項第7号該当性について ア 申立人は、オリンピズムの理念に基づいてオリンピック競技大会を頂点としたオリンピック・ムーブメントを永きにわたり主導的な立場で推進してきたが、申立人と何ら関わりのない本件商標は、著名な「OLYMPIC」標章に便乗し、その信用、名声にあやかろうとする意図が明らかであって、申立人が推進してきたオリンピック・ムーブメントが阻害されることを意味するに他ならない。 イ 本件商標と「OLYMPIC」標章とを比較すると、両商標は、7文字中の語頭4文字と語尾の1文字を共通にするばかりか、「OLYMC」の文字の順序を同じくして共通に含むものであるところ、簡易迅速を旨とする実際の商取引では細部の差異よりも商標の全体的な構成の方が看者に強い印象を与えることから、本件商標に接した需要者・取引者にあっては、これを「OLYMPIC」標章と見誤るおそれが高いものというべきである。 また、「OLYMPIC」に関連して「オリンピズム/OLYMPISM」や「オリンピアン/OLYMPIAN」等の「オリン/OLYM」を語頭に含む表現が多用されている現状からすると、本件商標は、「OLYMPIC」に着想を得た名称であると容易に理解され、これに接する需要者等をして「OLYMPIC」との関連性を想起させるものである。 ウ 上記イの諸点に鑑みると、本件商標は、「OLYMPIC」標章に化体した信用にただ乗りし、不正な利益を得ようとしたものであって、スポーツを通じ、平和でよりよい世界の実現に貢献するという、まさに公共の利益を追及するオリンピック競技大会の尊厳が害されるおそれがあるのみならず、「OLYMPIC」標章の著名性にあやかって不正な利益を得ようとするものであり、公正な取引秩序を乱すばかりか、国際信義及び公序良俗にも反するものである。 したがって、本件商標のように申立人と何ら関係のない者が本件商標を独占して使用することは、オリンピック憲章に基づき開催されるオリンピック競技大会の権威を損なうおそれがあるばかりか、社会公共の利益に反し、公の秩序を乱すものと判断されるのが相当である。 そうすると、本件商標は、「OLYMPIC」標章に化体した信用、名声及び顧客吸引力に便乗して不当な利益を得る等の目的をもって引用商標の特徴を模倣して出願し登録を受けたもので、商標を保護することにより、商標を使用する者の業務上の信用の維持を図り、需要者の利益を保護するという商標法の目的に反するものであり、公正な取引秩序を乱し、商道徳に反するものというべきである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。 (4)商標法第4条第1項第15号について ア 出所の混同のおそれについて (ア)申立人の使用に係る「OLYMPIC」標章が1894年から現在に至るまでおよそ130年以上にわたり、オリンピック競技大会を指称する商標として使用されており、オリンピック競技大会といったスポーツの興行の企画・運営にとどまらず、これに関連した極めて広範な商品や役務との関係で著名であることは、上記(2)の諸点より明らかである。 (イ)本件商標は、上記(3)イのとおり、7文字中の5文字を共通にすると共に、「OLYMC」の文字の順序を同じくして共通に含むものであるところ、簡易迅速を旨とする実際の商取引では細部の差異よりも商標の全体的な構成の方が看者に強い印象を与えることから、本件商標に接した需要者・取引者にあっては、これを「OLYMPIC」標章と見誤るおそれが高いことも鑑みると、本件商標は、著名な「OLYMPIC」標章に着想を得て創作されたものと推認できると共に、「OLYMPIC」の極めて高い著名性と相まって、本件商標は「OLYMPIC」関連の一群の商標と認識され得るものである。 (ウ)申立人は、各企業とのスポンサーシップ契約を締結し、それらのスポンサーがオリンピック資産を利用したさまざまなマーケティング活動を行っているという実態(甲120、甲121)からすれば、著名な「OLYMPIC」標章との関係性を容易に想起させる本件商標が付された本件商標の指定商品が実際の商取引に資された場合、これに接した需要者・取引者は、申立人あるいは日本オリンピック委員会と正式なスポンサー契約を締結した、オフィシャルスポンサーの業務に係る商品であるかの如く、商品の出所について混同を生じるおそれがあることは明らかである。 イ 小括 以上のとおり、「OLYMPIC」標章と密接な関連性を印象付ける本件商標は、これが使用された場合、オリンピック競技大会を容易に想起又は連想させ、申立人あるいは日本オリンピック委員会とスポンサー関係にある者の業務に係る商品であると商品の出所について混同を生じさせるおそれがある。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。 4 当審の判断 (1)引用商標等の周知性について 申立人提出の証拠及び同人の主張によれば、以下のとおりである。 ア 申立人は、1894年に設立された、オリンピック競技大会を運営・統括する国際的な非政府の非営利団体であって、「OLYMPIC」標章は、1896年の第1回オリンピックアテネ大会以降、120年以上にわたり、美と技を競う世界的規模の平和とスポーツの祭典として、原則として4年又は2年に一度開催されるオリンピック競技大会を表示するものとして継続して使用されていたことが確認できる(甲5~甲66)。 イ オリンピック憲章では、申立人の使命として、「スポーツと文化および教育を融合させる活動を奨励し支援する」と規定され(甲4)、申立人は、当該規定に基づき、オリンピック・ムーブメントの一環として、様々な教育・文化活動を世界的規模で行い、我が国でも各種教育・文化活動を多岐にわたり行っており(甲67~甲119)、「OLYMPIC」標章は、当該競技大会やその関連活動等を指称するものとして広く認識されている。 したがって、「OLYMPIC」標章及び当該標章と構成を同じくする引用商標は、公益に関する事業であって営利を目的としないものを表示する標章として、本件商標の登録出願前より現在に至るまで著名なものであると認められる。 (2)本件商標と引用商標等との類否について ア 本件商標について 本件商標は、上記1のとおり、「OLYMARC」の欧文字を書してなるところ、当該構成文字は、一般的な辞書等に載録のない語であり、本件商標の指定商品との関係において直ちに何らかの意味を理解させる文字でもないことから、特定の意味合いを生じることのない一種の造語を表したものとして認識されるというべきである。 そうすると、本件商標は、その構成文字に相応して「オリマーク」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものである。 イ 引用商標等について 引用商標等は、「OLYMPIC」の欧文字からなるところ、上記(1)のとおり、当該文字は、申立人に係るオリンピック競技大会を示す標章として広く認識されている。 したがって、引用商標等は、その構成文字に相応した「オリンピック」の称呼を生じ、「オリンピック競技大会」の観念が生じること明らかである。 ウ 本件商標と引用商標等の類否について 本件商標と引用商標等は、それぞれ上記ア及びイのとおりの構成からなるところ、外観においては、7文字の構成文字からなり、5文字目、6文字目における「AR」と「PI」の2文字の差異を有するものである。 そうすると、欧文字7文字という比較的短い文字構成においては、上記2文字の差異は容易に認識できるものであるから、両者は、外観上判然と区別できるものである。 次に、称呼についてみるに、本件商標から生じる「オリマーク」の称呼と引用商標等から生じる「オリンピック」の称呼とは3音目以降における「マーク」と「ンピック」の音に明らかな差異を有するものであり、音数及び音調が異なり、該差異音が称呼全体に与える影響は大きいものであるから、両者をそれぞれ一連に称呼するときは、明瞭に聴別し得るものである。 また、観念については、本件商標からは特定の観念が生じないのに対し、引用商標等からは「オリンピック競技大会」の観念が生じるから、両者は観念においても明らかに相違する。 してみると、本件商標と引用商標等とは、外観において判然と区別でき、称呼においても明瞭に聴別し得るものであり、観念においても明らかに相違するものであるから、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。 (3)商標法第4条第1項第15号について 上記(1)のとおり、引用商標等は、オリンピック競技大会を指称するものとして広く認識されている。 しかしながら、上記(2)のとおり、本件商標は、引用商標等とは相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものであるから、本件商標と引用商標等との類似性の程度は低いものである。 さらに、両者を関連付けてみるべき事情も認められないから、本件商標と引用商標等とは別異の出所を表すものとして看取されるというべきである。 してみると、本件商標は、その指定商品について使用しても、これに接する取引者、需要者をして引用商標等を連想又は想起させることはなく、その商品が他人(申立人)又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 (4)商標法第4条第1項第7号該当性について 上記(1)のとおり、引用商標等は、申立人に係るオリンピック競技大会を指称するものとして広く認識されている。 しかしながら、上記(2)のとおり、本件商標は、引用商標等とは、相紛れるおそれのない非類似の商標である。 そうすると、引用商標等が周知であり、かつ、本件商標から、「OLYMPIC」を連想することを前提に引用商標等に化体した信用、名声及び顧客吸引力に便乗して不当な利益を得る等の目的をもって本件商標を登録出願し登録を受けたものであるとする申立人の主張には理由はない。 その他、本件商標の構成が、きょう激、卑わい、差別的若しくは他人に不快な印象を与えるようなものではないことは明らかであり、また、その使用が、法的に禁じられているとか、公正な取引秩序を乱すおそれがあったり、国際信義に反するものとすべき理由は見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。 (5)申立人の主張について 申立人は、本件商標は、引用商標等と「OLYMC」の文字の順序を同じくして共通に含むものであり、本件商標に接した需要者・取引者にあっては、これを「OLYMPIC」標章と見誤るおそれが高い旨、また、申立人が「OLYM」を語頭に含む表現を多用しているから、本件商標は「OLYMPIC」との関連性を想起させる旨主張している。 しかしながら、上記(2)のとおり、本件商標と引用商標等は外観において判然と区別できるものであり、称呼及び観念においても非類似の商標である上に、申立人が「OLYM」を語頭に含む標章を多用しているとしても、本件商標と引用商標等を関連付けてみるべき事情は認められない。 したがって、申立人の主張は採用できない。 (6)まとめ 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号及び同項第15号のいずれにも該当するものではなく、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録は維持すべきである。 よって、結論のとおり決定する。

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