特許訂正審判
2025-390155
仮想空間体感システム
- 審判番号
- 2025-390155
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2021-520431
- 登録番号
- 6936465
- 請求日
- 2025年10月29日
- 審決日
- 2026年05月12日
- 公報発行日
- 2026年07月31日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社ABAL
- 【請求人代理人】小林 浩
- 【請求人代理人】古橋 伸茂
- 【請求人代理人】梶並 彰一郎
- 審判長/審判官
- 審判長 圓道 浩史
- 審判官 木方 庸輔
- 審判官 宮下 誠
- 分類
- P141 .841-Z (G06T)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第5項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第6936465号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本件訂正審判に係る特許第6936465号(以下「本件特許」という。)は、2019年(令和元年)11月13日を国際出願日として出願され、令和3年8月31日に特許権の設定登録がなされたものである。
その後、令和7年10月29日に本件訂正審判の請求がなされ、同年12月23日付けで訂正拒絶理由が通知され、当該訂正拒絶理由に対して令和8年2月3日に意見書が提出されたものである。
第2 請求の趣旨、訂正の内容
1 請求の趣旨
本件訂正審判の請求の趣旨は「特許第6936465号の明細書、特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正明細書、訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~4について訂正することを認める」との審決を求めるというものである。
2 訂正の内容
本件訂正審判請求に係る訂正(以下「本件訂正」という。)は、一群の請求項を構成する請求項1~4を訂正の単位として訂正することを求めるものであり、その内容は、次のとおりである。
なお、下線は、本件訂正により訂正された箇所である。
(1) 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「前記仮想空間画像決定部は、前記第2プレイヤーに認識させる前記仮想空間の画像に、前記トリガーイベントが認識された際には、前記第1プレイヤーの座標と前記第1アバターの座標との対応関係にズレを生じさせるように前記第1アバターが移動する画像を含ませるとともに、前記トリガーイベントが認識された後には、前記第2アバター及び前記第3アバターの画像を含ませ、」と記載されているのを、「前記仮想空間画像決定部は、前記第2プレイヤーに認識させる前記仮想空間の画像に、前記トリガーイベントが認識される前において、前記第1アバター及び前記第2アバターの画像を含ませ、前記トリガーイベントが認識された際には、前記第1プレイヤーの座標と前記第1アバターの座標との対応関係にズレを生じさせるように前記第1アバターが移動する画像及び前記第2アバターの画像を含ませるとともに、前記トリガーイベントが認識された後には、前記第2アバター及び前記第3アバターの画像を含ませ、」と訂正する。
(2) 訂正事項2
明細書の【0009】に「前記仮想空間画像決定部は、前記第2プレイヤーに認識させる前記仮想空間の画像に、前記トリガーイベントが認識された際には、前記第1プレイヤーの座標と前記第1アバターの座標との対応関係にズレを生じさせるように前記第1アバターが移動する画像を含ませるとともに、前記トリガーイベントが認識された後には、前記第2アバター及び前記第3アバターの画像を含ませ、」と記載されているのを、「前記仮想空間画像決定部は、前記第2プレイヤーに認識させる前記仮想空間の画像に、前記トリガーイベントが認識される前において、前記第1アバター及び前記第2アバターの画像を含ませ、前記トリガーイベントが認識された際には、前記第1プレイヤーの座標と前記第1アバターの座標との対応関係にズレを生じさせるように前記第1アバターが移動する画像及び前記第2アバターの画像を含ませるとともに、前記トリガーイベントが認識された後には、前記第2アバター及び前記第3アバターの画像を含ませ、」と訂正する。
第3 訂正の適否についての判断
1 訂正事項1について
新規事項の追加(特許法第126条第5項)の有無について検討する。
(1) 訂正事項1のうち「前記トリガーイベントが認識される前において、前記第1アバター及び前記第2アバターの画像を含ませ、」の記載の追加について
訂正事項1は、請求項1に係る仮想空間体感システムに対して発明特定事項を追加するものであり、当該仮想空間体感システムが備える仮想空間画像決定部において、トリガーイベントが認識される前に生成される第2プレイヤーに認識させる仮想空間の画像について、第1アバターの画像及び第2アバターの画像を必ず含ませるものに特定するものと解釈される。
当該仮想空間画像決定部における、トリガーイベントが認識される前の構成に関連する記載として、願書に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面には、次のとおり記載されている。
なお、下線は強調のために当審にて付した。
「【0010】
ここで、「仮想空間の画像」とは、プレイヤーが自らに対応するアバターの仮想空間における座標を推認し得る画像を指す。例えば、仮想空間の画像には、仮想空間の背景の画像の他、他のアバターの画像、仮想空間にのみ存在するオブジェクトの画像、現実空間に対応して仮想空間に存在するオブジェクトの画像等が含まれる。」
「【0039】
このVRシステムSを用いてゲーム等を行う場合、プレイヤーPは、仮想空間VSの画像と音声のみを認識して、プレイヤーP自身が仮想空間に存在していると認識させられる。すなわち、VRシステムSは、いわゆる没入型のシステムとして構成されている。」
「【0045】
表示画像生成部31は、HMD4のモニタ41を介してプレイヤーPに認識させる画像を生成する。表示画像生成部31は、仮想空間生成部31aと、アバター生成部31bと、移動体生成部31cとを有している。
【0046】
仮想空間生成部31aは、仮想空間VSの背景となる画像及び仮想空間VSに存在するオブジェクトの画像を生成する。
【0047】
アバター生成部31bは、仮想空間VSに、プレイヤーPの動作に対応して動作するアバターを生成する。アバター生成部31bは、複数のプレイヤーPが存在する場合には、それぞれのプレイヤーPに対応するようにして複数のアバターを生成する。このアバターは、対応するプレイヤーPの現実空間RSにおける動作(すなわち、座標の移動及び姿勢の変化)に対応して、仮想空間VSにおいて動作する。
【0048】
移動体生成部31cは、仮想空間VSに、現実空間RSには対応する物体が存在せず、仮想空間VSにアバターと接続可能な移動体を生成する。」
「【0061】
仮想空間画像決定部35は、アバターの座標に基づいて、HMD4のモニタ41を介して、そのアバターに対応するプレイヤーPに認識させる仮想空間の画像を決定する。
【0062】
ここで、「仮想空間の画像」とは、プレイヤーが自らに対応するアバターの仮想空間における座標を推認し得る画像を指す。例えば、仮想空間の画像には、仮想空間の背景の画像の他、他のアバターの画像、仮想空間にのみ存在するオブジェクトの画像、現実空間に対応して仮想空間に存在するオブジェクトの画像等が含まれる。」
「【0068】
[通常時における処理]
まず、図2、図3及び図4を参照して、VRシステムSが通常時に(すなわち、後述するトリガーイベントを認識していない状態で)実行する処理について説明する。
【0069】
この処理においては、まず、サーバ3の表示画像生成部31は、仮想空間VS、第1アバターA1及び第2アバターA2、並びに、移動体を生成する(図3/STEP101)。
【0070】
具体的には、表示画像生成部31の仮想空間生成部31aは、仮想空間VS及び仮想空間VSに存在する各種オブジェクトを生成する。また、表示画像生成部31のアバター生成部31bは、第1プレイヤーP1に対応する第1アバターA1及び第2プレイヤーP2に対応する第2アバターA2を生成する。また、表示画像生成部31の移動体生成部31cは、後述するエレベータVS1等の移動体を生成する。
【0071】
このSTEP101の処理により生成された仮想空間VSには、図4Bに示すように、第1アバターA1及び第2アバターA2、移動体であるエレベータVS1の他、現実空間RSに設置されているホワイトボードRS1(図4A参照)に対応する位置に生成されたスイッチVS2等のトリガーイベントに関連するオブジェクトが設置されている。」
「【0074】
次に、サーバ3の仮想空間画像決定部35及び仮想空間音声決定部36は、プレイヤーPに認識させる画像及び音声を、第1アバターA1及び第2アバターA2の仮想空間VSにおける座標及び姿勢に基づいて決定する(図3/STEP104)。
【0075】
次に、プレイヤーPの装着しているHMD4は、HMD4に搭載されているモニタ41に決定された画像を表示させ、HMD4に搭載されているスピーカ42に決定された音声を発生させる(図3/STEP105)。」
「【0082】
そして、第1プレイヤーP1及び第2プレイヤーP2は、それぞれが装着したHMD4で表示される画像及び発生される音声によって、それぞれに対応する第1アバターA1及び第2アバターA2を介して、自身が仮想空間VSに存在し、自由に動作することができると認識するようになる。」
「【図2】
[図:0001437321000001.jpg]
」
「【図3】
[図:0001437321000002.jpg]
」
「【図4】
[図:0001437321000003.jpg]
」
本願の明細書の【0070】によれば、「第1アバターA1」は第1プレイヤーP1に対応し、「第2アバターA2」は第2プレイヤーP2に対応する。
本願の明細書に記載された発明の「仮想空間画像決定部」は、【0061】によれば「アバターの座標に基づいて」「そのアバターに対応するプレイヤーPに認識させる仮想空間の画像を決定する」と記載されており、【0062】によれば、「仮想空間の画像」とは「プレイヤーが自らに対応するアバターの仮想空間における座標を推認し得る画像」を指し、「仮想空間の背景の画像の他、他のアバターの画像、仮想空間にのみ存在するオブジェクトの画像、現実空間に対応して仮想空間に存在するオブジェクトの画像等が含まれる」と記載されている。
また、【0068】以降には「通常時における処理」として、「トリガーイベントを認識していない状態で」「実行する処理」についての説明が記載されており、【0074】によれば、「仮想空間画像決定部35」が「プレイヤーPに認識させる画像」を「第1アバターA1及び第2アバターA2の仮想空間VSにおける座標及び姿勢に基づいて決定する」と記載されており、【0075】によれば「プレイヤーPの装着しているHMD4は、HMD4に搭載されているモニタ41に決定された画像を表示させ」ると記載されている。
そして、【0045】によれば、表示画像生成部31は、仮想空間生成部31aと、アバター生成部31bとを有し、【0046】によれば、仮想空間生成部31aは、仮想空間VSの背景となる画像及び仮想空間VSに存在するオブジェクトの画像を生成し、【0047】によれば、アバター生成部31bは、仮想空間VSに、プレイヤーPの動作に対応して動作するアバターを生成するものである。
これらの記載によれば、トリガーイベントが認識される前にサーバ3の表示画像生成部31によって、各アバター(第1アバターA1及び第2アバターA2)を生成していることが記載されているとはいえるものの、仮想空間画像決定部35が決定する、プレイヤーPに認識させる「仮想空間の画像」は、プレイヤーPの装着しているHMD4に搭載されているモニタ41に表示させる画像であり、各アバターの座標や姿勢によっては、第1アバターA1の画像及び第2アバターA2の画像が含まれる可能性があると解釈する余地があるにとどまり、「第2プレイヤーP2のHMD(ヘッドマウントディスプレイ)4に表示される画像に、第1アバターA1の画像及び第2アバターA2の画像が必ず含まれることは、記載されているとはいえない。
また、本件訂正後の請求項1に記載された、トリガーイベントが認識される前に生成される第2プレイヤーP2に認識させる仮想空間の画像に、第1アバターA1の画像及び第2アバターA2の画像を必ず含ませるものについては、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載されていない。
したがって、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正ではないから、特許法第126条第5項の規定に適合しないものである。
(2) 訂正事項1のうち「及び前記第2アバターの画像」の記載の追加について
訂正事項1は、請求項1に係る仮想空間体感システムに対して発明特定事項を追加するものであり、当該仮想空間体感システムが備える仮想空間画像決定部において、トリガーイベントが認識された際に生成される第2プレイヤーに認識させる仮想空間の画像について、第2アバターの画像を必ず含ませるものに特定するものと解釈される。
当該仮想空間画像決定部における、トリガーイベントが認識された際の構成に関連する記載として、願書に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面には、次のとおり記載されている。
「【0083】
[トリガーイベント認識時における処理]
次に、図2、図4~図8を参照して、VRシステムSがトリガーイベントを認識した際に実行する処理について説明する。」
「【0096】
具体的には、トリガーイベント認識部33は、仮想空間VSで、第2プレイヤーP2に対応する第2アバターA2がスイッチVS2近傍の位置でそのスイッチVS2に触れる姿勢となるように(図5B参照)、現実空間RSで、第2プレイヤーP2が移動して所定の姿勢となったか否か(図5A参照)を判断する。
【0097】
そして、第2プレイヤーP2の座標が所定の位置まで移動して、第2プレイヤーP2の姿勢が所定の姿勢となったときには、トリガーイベント認識部33は、第2プレイヤーP2の動作に基づいたトリガーイベントが発生したと認識する。」
「【0099】
一方、トリガーイベントの発生を認識した場合(STEP202でYESの場合)、サーバ3の表示画像生成部31は、第3アバターA3及び第4アバターA4を生成する(図8/STEP203)。」
「【0107】
次に、サーバ3のアバター座標決定部34は、プレイヤー情報認識部32が認識した第2プレイヤーP2の現実空間RSにおける座標及び姿勢に基づいて、第4アバターA4の仮想空間VSにおける座標及び姿勢を決定する(図8/STEP206)。」
「【0113】
次に、サーバ3の仮想空間画像決定部35及び仮想空間音声決定部36は、プレイヤーPに認識させる画像及び音声を、第1アバターA1、第2アバターA2、第3アバターA3及び第4アバターA4の仮想空間VSにおける座標及び姿勢に基づいて決定する(図8/STEP208)。」
「【図5】
[図:0001437321000004.jpg]
」
本願の明細書に記載された発明において、【0083】以降には「[トリガーイベント認識時における処理]」として、「トリガーイベントを認識した際に実行する処理」についての説明が記載されており、【0097】によれば「第2プレイヤーP2の座標が所定の位置まで移動して、第2プレイヤーP2の姿勢が所定の姿勢となったときに」「第2プレイヤーP2の動作に基づいたトリガーイベントが発生したと認識する」と記載されており、【0113】によれば「仮想空間画像決定部35」は「プレイヤーPに認識させる画像」を「第2アバターA2」の「仮想空間VSにおける座標及び姿勢に基づいて決定する」と記載されている。
これらの記載によれば、トリガーイベントを認識した際にサーバ3において各アバター(第1アバターA1及び第2アバターA2)を生成していることが記載されているとはいえるものの、仮想空間画像決定部35が決定する、プレイヤーPに認識させる「仮想空間の画像」は、プレイヤーPの装着しているHMD4に搭載されているモニタ41に表示させる画像であり、各アバターの座標や姿勢によっては、第1アバターA1の画像及び第2アバターA2の画像が含まれる可能性があると解釈する余地があるにとどまり、第2プレイヤーP2のHMD(ヘッドマウントディスプレイ)4に表示される画像に、第1アバターA1の画像及び第2アバターA2の画像が必ず含まれることは、記載されているとはいえない。
また、本件訂正後の請求項1に記載された、トリガーイベントが認識された際に生成される第2プレイヤーP2に認識させる仮想空間の画像に、第1アバターA1の画像及び第2アバターA2の画像を必ず含ませるものについては、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載されていない。
したがって、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正ではないから、特許法第126条第5項の規定に適合しないものである。
2 訂正事項2について
訂正事項2は、明細書の記載を特許請求の範囲の記載と整合させるために、訂正事項1と同様の訂正を明細書にするものであって、上記1と同様に、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正ではないから、特許法第126条第5項の規定に適合しないものである。
3 判断の基準とする明細書等について
特許法第126条第5項の規定によれば、同条第1項ただし書第2号に掲げる事項を目的とする訂正の場合にあっては、願書に「最初に」添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「当初明細書等」という。)に記載した事項の範囲内においてしたものであるかを判断することになる。
しかしながら、本件特許の設定登録時の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項は、当初明細書等に記載した事項と同一であるから、本件訂正の目的は、上記1及び2の結論に影響しない。
第4 審判請求人の意見について
請求人は、訂正拒絶理由に対する意見書の「5 意見の内容」における「第1」の4及び5(第5ページ第7~21行)において、以下のとおり主張している。なお、下線は当審が付したものである。
「4 ・・・
このように、訂正明細書において、「仮想空間の画像」は、特定の局面、時点及び方向においてHMDに表示された画像とは定義されておらず、「プレイヤーが自らに対応するアバターの仮想空間における座標を推認し得る画像を指す」とされている。「プレイヤーが自らに対応するアバターの仮想空間における座標を推認し得る画像」というのは、特定の局面、時点及び方向においてHMDに表示された画像に限られず、HMDに表示されていない画像も含むものである。・・・
5 以上のとおりであるから、請求項1における「仮想空間の画像」は、仮想空間画像決定部が決定する画像であって、仮想空間画像表示器によってプレイヤーに認識された画像は「仮想空間の画像」を定義づけるものではない。」
当該主張について検討する。
そもそも、訂正拒絶理由、及び本審決は、いずれも、「仮想空間画像表示器」によってプレイヤーに認識された画像が「仮想空間の画像」を定義づけるとは認定していない。
また、請求項1の「前記第1プレイヤー及び前記第2プレイヤーに、前記仮想空間の画像を認識させる仮想空間画像表示器」(第7段落)との記載によれば、「前記第1プレイヤー及び前記第2プレイヤーに認識させる前記仮想空間の画像」(第5段落)を、特定の局面、時点及び方向において「仮想空間画像表示器」に表示された画像に限られず、「仮想空間画像表示器」に表示されていない画像も含むものと解すべき根拠は見いだせない。
また、請求項1に記載された「前記第1プレイヤー及び前記第2プレイヤーに認識させる前記仮想空間の画像」を、請求人が主張する上記下線部の意味に解釈したとしても、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された内容は、上記「第3」の1(1)で説示したとおりであって、「仮想空間画像決定部35」が「HMD4」に搭載されている「モニタ41」に表示されていない画像をも決定することは、記載も示唆もされていないから、請求人の当該主張は、訂正事項1が特許法第126条第5項の規定に適合しないとの結論に影響しない。
ところで、請求人の当該主張が、請求項1に記載された「仮想空間画像決定部」により決定される「前記第1プレイヤー及び前記第2プレイヤーに認識させる前記仮想空間の画像」は、「第1プレイヤー」「に認識させる前記仮想空間の画像」、及び「第2プレイヤーに認識させる前記仮想空間の画像」(第9段落)を含む共通の画像であるとの解釈を前提としている可能性を考慮して、念のため検討する。
願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面には、「トリガーイベントが認識される前」及び「トリガーイベントが認識された際」において、「仮想空間画像決定部35」が、「前記第1アバター及び前記第2アバターの画像」を含む共通の「仮想空間の画像」を決定することは、記載も示唆もされていない。
ここで、本願の明細書には、【0061】及び【0062】(上記「第3」の1(1)において摘記した。)に以下の記載がある。
「仮想空間画像決定部35は、アバターの座標に基づいて、HMD4のモニタ41を介して、そのアバターに対応するプレイヤーPに認識させる仮想空間の画像を決定する。
ここで、「仮想空間の画像」とは、プレイヤーが自らに対応するアバターの仮想空間における座標を推認し得る画像を指す。例えば、仮想空間の画像には、仮想空間の背景の画像の他、他のアバターの画像、仮想空間にのみ存在するオブジェクトの画像、現実空間に対応して仮想空間に存在するオブジェクトの画像等が含まれる。」
この記載によれば、明細書に記載された「仮想空間画像決定部35」が決定する「仮想空間の画像」は、プレイヤー毎に決定される画像であって、全プレイヤーに共通する画像とはいえない。
そして、プレイヤー毎に決定される「仮想空間の画像」において、第1アバターA1の画像及び第2アバターA2の画像を必ず含まれることが、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載されていないことは、上記「第3」の1(1)で説示したとおりである。
したがって、請求人の上記主張は、採用できない。
第5 むすび
以上から、本件訂正審判の請求に係る訂正事項1及び2は、特許法第126条第5項の規定に適合しないものである。
したがって、訂正事項1及び2を含む本件訂正である請求項1~4及び明細書についての訂正は、認められない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2025-390155