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商標取消審判

2025-300251

ドラゴンフライ

審判番号
2025-300251
法域
商標
審判種別
取消審判(商標取消の審決)
出願番号
商願2011-000024
登録番号
5421592
請求日
2025年03月11日
審決日
2025年12月23日
公報発行日
2026年06月26日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】メトレックス リサーチ エルエルシー
  • 【請求人代理人】村山 靖彦
  • 【請求人代理人】小暮 理恵子
  • 【請求人代理人】行田 朋弘
  • 【請求人代理人】安部 光河
  • 【被請求人】ライトラブ イメージング, インコーポレイテッド
  • 【被請求人代理人】達野 大輔
  • 【被請求人代理人】竹中 陽輔
  • 【被請求人代理人】山頭 めぐみ
審判長/審判官
  • 審判長 山田 啓之
  • 審判官 杉本 克治
  • 審判官 小林 正和
分類
T131 .1 -Y (X10)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法50条
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第50条第1項、商標法第2条第3項第8号、商標法第50条、商標法第50条第2項、商標法第38条第5項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

上記当事者間の登録第5421592号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。

理由

理 由 第1 本件商標 本件登録第5421592号商標(以下「本件商標」という。)は、「DRAGONFLY」の欧文字を横書きしてなり、平成23年1月4日に登録出願、第10類「カテーテル,その他の医療用機械器具」(以下「請求に係る商品」という。)を指定商品として、同年6月24日に設定登録されたものである。 そして、本件審判の請求の登録の日は、令和7年3月27日であり、商標法第50条第2項に規定する「その審判の請求の登録前3年以内」とは、令和4年(2022年)3月27日から同7年(2025年)3月26日までの期間(以下「要証期間」という。)である。 第2 請求人の主張 請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、審判請求書及び令和7年7月2日付け審判事件答弁書(以下「答弁書」という。)に対する同年9月2日付け審判事件弁駁書にて、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証から甲第6号証を提出した。 なお、以下、証拠の表記にあたっては、甲第1号証を「甲1」、乙第1号証を「乙1」のように簡略して表記する場合があり、枝番号を有する証拠において、枝番号の全てを引用する場合は、枝番号の記載を省略する。 1 請求の理由 本件商標は、請求に係る商品について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。 2 答弁に対する弁駁 (1)使用許諾の有効性について 使用許諾について、商標権者のライトラブ イメージング,インコーポレイテッド(以下「商標権者」という。)が主張するとおり、アボット・ラボラトリーズ社(以下「アボット社」という。)とアボットメディカルジャパン合同会社(以下「アボットメディカルジャパン社」という。)との間で、「「登録商標の使用を許諾する合意」が明確に存在していた」といえるためには、以下の2点が要件になる。 (ア)商標権者がアボット社に対し、本件商標について専用使用権を設定していること。 (イ)アボット社がそのグループ会社のアボットメディカルジャパン社に対し、この専用使用権について通常使用権を許諾していること。 前提として、答弁書中に「本件商標を使用している・・・アボットメディカルジャパン社・・・は、・・・商標権者からアボット社への使用許諾により、本件商標の使用について使用権を有している。」と記載されていることから、商標権者はこの使用許諾を直接アボットメディカルジャパン社に認めたのではなく、アボット社のみに認めたことが理解できる。 まず、要件(ア)について、商標権者が発行したとされているAUTHORIZATION LETTER(以下「承認書」という。)(乙1)からは、承認書によってアボット社に認められている使用権が専用使用権である旨は読み取れない。そのため、アボット社がアボットメディカルジャパン社に対し、専用使用権についての通常使用権を許諾しているか否かは不明といわざるを得ない。 次に、要件(イ)に関し、仮にアボット社が商標権者から専用使用権の設定を受けていたとしても、アボット社がアボットメディカルジャパン社に対して通常使用権を許諾することについて商標権者の「承諾」を受けていた事実は見当たらない。 したがって、アボット社がアボットメディカルジャパン社に対して「口頭の契約」を行っていたとしても、この許諾に基づく使用権の有効性については、乙第1号証から乙第5号証までの全証拠資料の内容を考慮したとしても、疑義があるといわざるを得ない。 以上より、アボットメディカルジャパン社は商標法第50条第1項の「使用権者」に該当しない。 (2)使用許諾の時期について 仮に、アボットメディカルジャパン社が承認書(乙1)に係る使用許諾(以下「本件使用許諾」という。)に基づく有効な通常使用権を認められているとしても、本件使用許諾の時期が問題となる。 請求人は、国際登録第1659461号「DRAGONFLY」(第10類)(以下「本件出願」という。)の名義人であるところ、本件出願について、本件商標が引用された拒絶の理由を含む暫定拒絶通報(送付日2023年2月9日)を受けたため、請求人は、商標権者代理人に対し、同年6月5日付けで、本件出願を一時譲渡することによって商標登録を受けることについて協力を要請した(甲3)。この要請を受け、商標権者代理人は、請求人代理人に対し、同月13日付けで、当該要請に、(ア)一時譲渡契約の成立にかかわらず、発生済みの商標権者代理人費用ほか全費用を請求人が負担すること、及び(イ)当該契約の作成は商標権者代理人が担当することを条件として応じる旨回答した(甲4)。請求人は、発生済みの商標権者代理人費用を支払った後、商標権者代理人を介さずに商標権者側と米国において直接交渉することにしたところ、商標権者側は請求人の協力要請を拒否し、結果的に、交渉は不成立に終わった。 本件使用許諾の日付として「2025年6月6日」と記載されているが(乙1)、この日付は、上記の交渉の終了後の日付であり、本件審判の請求が登録された2025年3月27日(予告登録日)よりも後の日付である。 以上の経緯及び事実から、本件使用許諾及び上記(1)の「口頭の契約」は、いずれも商標権者側で本件審判の請求後に行われたことが明らかなものであり、本件商標を要証期間内に使用することを許諾したものではないため、本件商標が要証期間に使用されていたことを証明するものではない。 以上より、本件商標は、「その審判の請求の登録前3年以内に」使用したものに該当しない。 (3)本件商標と使用商標の同一性について 乙第3号証から乙第5号証は、それぞれ、アボットメディカルジャパン社が要証期間の「2023年11月」、「2025年1月」、「2023年」に「DragonflyTM OPTISTM」(別掲のとおりの構成からなるものであり、以下「使用商標」という。)と称する「イメージングカテーテル」を取り扱っていたことを示す資料である。 なお、「イメージングカテーテル」が、請求に係る商品中「カテーテル」に含まれることについては争わない。 上記の使用例において、本件商標については、これを要証期間内にその指定商品について単独で使用した使用例は見当たらず、「DRAGONFLYイメージングカテーテル」のように、その指定商品との関係において識別力がないか又は弱い文字のみと組み合わせて使用した使用例も見当たらない(甲6)。 さらに、使用商標の構成文字「Dragonfly」は、本件商標の構成文字「DRAGONFLY」と、語頭の「D」以外の文字において大文字と小文字の差異を除き、共通している。 ここで、使用商標が、本件商標と社会通念上同一の商標「Dragonfly」にTMマークを付した商標に該当するか否かが問題となる。使用商標に係る商品「イメージングカテーテル」は、「血管内光断層撮影用カテーテル」(乙3)であり、需要者である個人の血管内に挿入して使用する医療機器である。このような商品は、その性質上、患者(需要者)の健康や生命に影響するものであるがゆえに、他の商品との取り違えは許されないという取引実情が存在する。そのため、本件において、商標権者、アボット社、アボットメディカルジャパン社、これらの当事者に係るイメージングカテーテルの取引者及び需要者は、いずれも、使用商標を使用したイメージングカテーテルを、これと部品の長さ等が異なる「DragonflyOpStarTM」に係るイメージングカテーテル(乙3~乙5)その他の関連製品と厳密に区別し、取り違えを徹底的に防止しなければならないものと考えられる。このような事情の下では、たとえ使用商標において、「Dragonfly」がその直後にTMマークが付されることで「OPTIS」と区切られているとしても、使用商標は常に全体として把握する必要がある。 以上、使用商標の使用態様、及び使用商標に係る商品「イメージングカテーテル」を取り巻く取引実情等を総合的に考慮すると、使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標の使用例には該当しない。すなわち、使用商標におけるTMマークが、文字「Dragonfly」が商標である旨を意味する記号であるからといって、使用商標が直ちに本件商標と社会通念上同一の商標の使用例に該当するとはいい難い。 したがって、本件商標が、請求に係る商品について要証期間内に使用された事実は何ら立証されていない。 第3 被請求人の答弁 被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証から乙第5号証(枝番号を含む。)を提出した。 1 通常使用権の許諾について 本件商標は、商標権者から、関連会社のアボット社に使用の許諾がなされているものであり(乙1)、アボット社は本件商標の使用について正当な権限を有している。乙第1号証は承認書であり、日本において、アボット社が本件商標の使用の権利を有することを確認する書簡である。 本件商標を使用しているのはアボットメディカルジャパン社であるが、かかる日本の会社は、アボット社のグループ会社であり、商標権者からアボット社への使用許諾により、本件商標の使用について使用権を有している。使用許諾契約は、必ずしも書面により合意する必要はなく、口頭の契約であっても有効に成立することは、民法の基本原則として論ずるまでもないことであるところ、本件使用許諾に関しても、アボット社とアボットメディカルジャパン社との間で、書面による「使用許諾契約書」はないものの、「登録商標の使用を許諾する合意」は明確に存在していた。このことは、アボットメディカルジャパン社が本件商標を使用している証拠の全て(乙3、乙4)に、アボット社のロゴ(乙2)が付されていることからも確認できる。よって、アボット社が、商標権者からの使用許諾に基づき、アボットメディカルジャパン社に本件商標の使用を許諾していたことは当然の事実である。 2 本件商標の使用について 乙第3号証は、アボットメディカルジャパン社が、お得意様各位に宛てた書簡であり、2023年11月吉日の日付が付されている。この書簡において、アボットメディカルジャパン社は、製品名「Dragonfly」にTMマークを付して、医療用の「イメージングカテーテル」、つまり「カテーテル」の法定薬事ラベルが変更されたことに関する案内を出している。この書簡は、本件商標と社会通念上同一の商標を、「カテーテル」について、取引書類に使用するものである。 また、アボットメディカルジャパン社が、2025年1月(2025 JANUARY)の段階で「PTCA用製品価格表」を発行しており、この価格表の中において、OCT関連製品(光の干渉現象を利用して物体の断層画像を撮影するOCT技術を応用した製品)の一覧に、「OCTイメージングカテーテル」、つまり、「カテーテル」について、本件商標と社会通念上同一の「Dragonfly」商標を使用している事実が認められる(乙4)。 さらに、2023年発行の資料に、本件商標と社会通念上同一の商標が「カテーテル」に使用されている(乙5)。 乙第3号証から乙第5号証における本件商標の使用は、取引書類及び価格表への使用であるので、商標法第2条第3項第8号の「使用」に該当する。 第4 当審の判断 1 被請求人提出の証拠の内容 (1)乙第1号証は、「承認書」と題する書簡であり、当該書簡には、アボット社の名称、住所、電話番号及びロゴ、「June 6,2025(2025年6月6日)」の日付、商標権者の名称、代表者名及びそのサインの記載があり、本文には、「本書は、・・・アボット・ラボラトリーズ・グループの一員である、ライトラブ イメージング,インコーポレイテッドが、日本における「DRAGONFLY」商標の所有者であることを確認するものです。ライトラブ イメージング,インコーポレイテッドは、・・・アボット・ラボラトリーズに対し、日本におけるカテーテルへの「DRAGONFLY」商標の使用を許諾しております。・・・」の記載がある。 (2)乙第3号証は、「Dragonfly OpStarTMイメージングカテーテル、DragonflyTM OPTISTMイメージングカテーテルおよびPressureWireTM X 法定薬事ラベル表示の変更に関するお知らせ」と題する書簡(以下「本件書簡」という。)であり、本件書簡には、乙第1号証に記載されたアボット社のロゴと同様のロゴ、アボットメディカルジャパン社の名称、住所、電話番号等、「お得意様各位」、「2023年11月吉日」の日付の記載があり、本文には、「弊社が販売しておりますDragonfly OpStarTMイメージングカテーテル、DragonflyTM OPTISTMイメージングカテーテルおよびPressureWireTM Xに関しまして、法定薬事ラベルが変更されることになりましたのでご案内申し上げます。」等の記載があり、さらに、その下に「■法定薬事ラベル表示変更製品」として、「製品名:DragonflyTM OPTISTMイメージングカテーテル」、「分類:高度管理医療機器」、「特定保険医療材料分類:血管内光断層撮影用カテーテル」の記載がある。 2 上記1及び被請求人の主張によれば、以下の事実が認められる。 (1)商標権者は、アボット社のグループ会社であり、アボット社に対して、日本における「カテーテル」への本件商標の使用を許諾している(乙1)。 (2)アボットメディカルジャパン社は、アボット社のグループ会社である(被請求人の主張)。 (3)アボットメディカルジャパン社は、2023年(令和5年)11月に、同社の顧客に宛てた、使用商標を表示した「イメージングカテーテル」の法定薬事ラベル表示変更に関するお知らせ(本件書簡)を作成した(乙3)。 3 上記2において認定した事実によれば、以下のとおり判断できる。 (1)使用商品について アボットメディカルジャパン社は「イメージングカテーテル」(以下「使用商品」という。)に関する本件書簡を作成したところ、使用商品は「カテーテル」の一種であると認められるから、請求に係る商品中「カテーテル」の範ちゅうに含まれる商品である。 なお、使用商品が、請求に係る商品中「カテーテル」に含まれることについて、請求人は争っていない。 (2)使用商標について 本件商標は、「DRAGONFLY」の欧文字を横書きしてなるものである。 他方、本件書簡には、別掲のとおりの使用商標が表示されており、その構成中「Dragonfly」の文字及び「OPTIS」の文字には、それぞれ右上に小さな「TM」の文字が付されていることにより、使用商標は不可分一体のものではなく、「TM」の文字が右上に付された文字(語)のまとまりごとに、すなわち、「DragonflyTM」の文字(以下「本件使用商標」という。)と「OPTISTM」の文字とに分離して認識されるものといえる。 加えて、使用商標の構成中「TM」の文字は、「商標」であることを示すために一般に使用されているものであるから、本件使用商標と「OPTISTM」の文字部分とは、それぞれ独立して自他識別標識としての機能を果たすものといえる。 そうすると、本件書簡には、本件使用商標も表示されているといえる。 そして、本件使用商標と本件商標とは、一部構成文字における大文字と小文字の差異はあるが、「DRAGONFLY(Dragonfly)」のつづりを共通にするものであり、「TM」の文字の有無は社会通念上同一性に影響を与えるものとはいえないから、両者は社会通念上同一の商標であると認められる。 (3)使用者について 商標権者及びアボットメディカルジャパン社は、アボット社のグループ会社であり、商標権者は、アボット社に対して、本件商標の使用を許諾している。また、アボットメディカルジャパン社は、その名称からして、アボット社の日本法人であるといえる。 そして、上記(2)のとおり,本件商標と社会通念上同一の商標である本件使用商標を付した本件書簡を、アボットメディカルジャパン社が自己の商取引に際して使用していることについて、商標権者が問題としているような事情は確認できない。 そうすると、商標権者は、同一企業グループに属するアボットメディカルジャパン社が、本件商標と社会通念上同一の商標である本件使用商標を付した本件書簡を使用することを容認していたといえるから、アボットメディカルジャパン社は、本件商標の使用について商標権者から黙示の許諾を受けていたとみるのが相当であり、同社は、本件商標の通常使用権者ということができる。 (4)使用時期について アボットメディカルジャパン社は、2023年(令和5年)11月に本件書簡を作成しており、本件書簡は、その内容からして、同社の顧客に宛てた「イメージングカテーテル」の広告又は取引書類といえるものであり、その性質上、同月又はその翌月頃に当該顧客に対して頒布されたものと推認することができる。 そして、2023年(令和5年)11月又はその翌月頃は、要証期間に該当する。 (5)小括 上記(1)ないし(4)からすれば、本件商標の通常使用権者であるアボットメディカルジャパン社は、要証期間である2023年(令和5年)11月又はその翌月頃に、日本国内において、請求に係る商品中「カテーテル」に含まれる使用商品(イメージングカテーテル)の広告又は取引書類である本件書簡に、本件商標と社会通念上同一と認められる本件使用商標を付して頒布したものと認めることができる。 そして、当該行為は、商標法第2条第3項第8号に規定する行為に該当する。 4 請求人の主張について (1)請求人は,商標権者が発行したとされている承認書からは、アボット社がアボットメディカルジャパン社に対し、専用使用権についての通常使用権を許諾しているか否かは不明といわざるを得ず、アボット社がアボットメディカルジャパン社に対して通常使用権を許諾することについて商標権者の「承諾」を受けていた事実は見当たらないことから、本件商標の使用権者に該当するとはいえない旨述べている。 しかしながら、上記3(3)のとおり、商標権者とアボットメディカルジャパン社とは同一の企業グループに属する企業であり、商標権者はアボットメディカルジャパン社が本件使用商標を使用することを容認していたといえるから、アボットメディカルジャパン社は、本件商標について、商標権者から黙示の許諾を受けた通常使用権者とみて差し支えない。 (2)請求人は、使用商品である「イメージングカテーテル」は「血管内光断層撮影用カテーテル」であり、患者(需要者)の健康や生命に影響するものであるため、イメージングカテーテルの取引者及び需要者は、使用商標を使用したイメージングカテーテルを、他の関連製品と厳密に区別し、取り違えを徹底的に防止しなければならず、このような事情の下では、使用商標は常に全体として把握する必要があるため、使用商標におけるTMマークが、文字「Dragonfly」が商標である旨を意味する記号であるからといって、使用商標が直ちに本件商標と社会通念上同一の商標の使用例に該当するとはいい難い旨述べている。 ところで、商標法第50条に規定されている不使用取消審判制度は、本来商標の使用によって蓄積された信用に対して与えられる商標法上の保護を、長期間にわたって使用されていない商標に与えたままにしておくことは、国民一般の利益を不当に侵害し、かつ、その存在により権利者以外の商標使用希望者の商標の選択の余地を狭めることとなるため、そのような商標登録を取り消すための制度であると解される(平成21年(行ケ)第10216号同年10月22日判決)。 そうすると、社会通念上同一性(商標法第38条第5項、同法第50条)の判断においては、使用されていない商標を取り消すとの上記趣旨を踏まえて判断すれば足りるものであり、仮に、請求人が主張するような患者(需要者)の健康や生命に影響する取り違えのおそれがあるのであれば、これを所管する厚生労働省に判断を委ねるべきであり、不使用取消審判における社会通念上同一性の判断において、請求人主張の事情を考慮することは妥当ではない。 そして、本件使用商標が本件商標と社会通念上同一であることは、上記3(2)のとおりである。 5 まとめ 以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標の通常使用権者が、請求に係る商品である「カテーテル,その他の医療用機械器具」に含まれる使用商品について、本件商標と社会通念上同一の本件使用商標の使用をしていたことを証明したということができる。 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すことはできない。 よって、結論のとおり審決する。

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