商標取消審判
2025-300025
モアナ
- 審判番号
- 2025-300025
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- 商願1999-009841
- 登録番号
- 4369105
- 請求日
- 2024年12月26日
- 審決日
- 2026年03月31日
- 公報発行日
- 2026年09月25日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】モアナ パシフィク フィッシャリーズ リミテッド
- 【請求人代理人】樋口 洋
- 【被請求人】株式会社アオテアロア
- 【被請求人代理人】飯塚 智恵
- 審判長/審判官
- 審判長 山田 和彦
- 審判官 小俣 克巳
- 審判官 白鳥 幹周
- 分類
- T131 .1 -Y (Z29)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法50条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第50条第2項、商標法第50条第1項、商標法第2条第3項第2号、商標法第50条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第4369105号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第4369105号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、平成11年2月5日に登録出願、第29類「緑イ貝のエキスを主成分とする粉状・粒状・カプセル状の加工食品,緑イ貝のエキスを主成分としビール乾燥酵母・ビタミンC等を加えた粉状・粒状・カプセル状の加工食品,鮫軟骨を粉末化した加工食品,鮫軟骨パウダーを主成分とし舞茸等のきのこの抽出物・ビタミンC等を加えた粉状・粒状・カプセル状の加工食品,肉製品,加工水産物,豆,加工野菜及び加工果実,冷凍果実,冷凍野菜,卵,加工卵,乳製品,食用油脂,食用たんぱく」を指定商品として、同12年3月17日に設定登録されたものであり、その商標権は現に有効に存続しているものである。
そして、本件審判の請求の登録日は、令和7年1月28日である。
なお、本件審判において、商標法第50条第2項に規定する「その審判の請求の登録前3年以内」とは、令和4年(2022年)1月28日ないし同7年(2025年)1月27日である(以下「要証期間」という。)。
第2 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、審判請求書において、その理由として、本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取消されるべきものである旨主張し、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
なお、請求人は、令和7年10月16日付け答弁書(以下「答弁書」という。)に対して、何ら弁駁していない。
第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求め、答弁書において、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第40号証を提出した(以下、表記に当たっては「乙○」(「○」部分は数字)のように省略して記載する場合がある。)。
1 本件商標使用の事実
被請求人は、乙第1号証ないし乙第40号証で示すように、要証期間内において、「緑イ貝のエキスを主成分とするカプセル状の加工食品」に、本件商標を付して、日本国内で販売しているので、以下、この事実を立証する。
(1)被請求人が、日本国内で製造・販売する、本件商標を付した「緑イ貝のエキスを主成分とするカプセル状の加工食品」(以下「使用商品」という。)の存在の立証
ア 使用商品について
乙第1号証は、本件商標「モアナ」を付した使用商品の写真である。商品胴ラベルに表れる「モアナ(R)エキス」(審決注:「(R)」は「丸で囲まれた「R」」である。以下同じ。)は、下記に述べるように、本件商標「モアナ/MOANA」と社会通念上同一と認められる商標である。また、ラベル正面の下記部分に、「AOTEAROA」、左側面部に「販売者:株式会社アオテアロア」と明記されている。
乙第2号証は、使用商品のリーフレットである。
また、乙第3号証は被請求人の販売部門「キオラくらぶ」の商品を一覧としたフライヤー広告である。これらは後に証明するように、被請求人が第三者に外注して制作した宣伝広告物である。
イ 本件商標と使用商標との社会通念上の同一性について
使用商品の容器の胴体部分に付されたラベルには、特段の特徴のない書体で、英文字「MOANA EXTRACT」、その下に、仮名文字「モアナ」の後ろ右上に登録商標であることを示す「(R)」、続いて「エキス」と表され、その下に「緑イ貝エキス」の文字が3段に配されている。このうち、2段目に、一番大きな文字で記載された「モアナ(R)エキス」(以下「使用商標」という。)における「(R)」は、日本でも登録商標であることを示すために慣習的に使用されているマークであり、これが「モアナ」の文字の右上に記載されていることからも、被請求人が「モアナ」を登録商標として使用していることは明らかである。
さらに、「エキス」は「抽出物(EXTRACT)」を意味する語であるが、サプリメント業界においては、植物や動物などから特定の成分を抽出して粉末状にした原料を「エキス末」という。「緑イ貝」もエキス末に加工される原料の一つで、使用商品はこれを原材料とした商品である(乙第1号証の左側面ラベルに「原材料名:緑イ貝エキス末(ニュージーランド製造)」と記載)。「エキス末」についての理解のため、乙第4号証を提出する。また、特許庁の審査においても、いわゆる「サプリメント」(類似群コード:32F15)について、「エキス」の語が識別力が弱いと判断されていることは、原材料名等を表す識別力に欠ける語に「エキス」の語を加えてもなお識別力がないとして拒絶されている商標が多数あることからも明らかと思料するので、拒絶例の一部を乙第5号証として提出する。
すなわち、使用商標のうち「エキス」の部分は、エキス末を使用した商品であることを示すにすぎない、きわめて自他商品識別力の弱い語である。他方、「モアナ」はニュージーランド先住民マオリ族の言葉で「海」を表す語で、「サプリメント」との関係で特段の結びつきを有するものではなく、商品識別標識としての機能を果たし得るもので、商標の同一性を基礎づける中核的部分と言える。使用商標に接する需要者等から見ても、「(R)」の表示と相まって、「モアナ」の部分が独立して自他商品識別標識としての機能を発揮し、使用商品の商標として認識すると考えるのが妥当である。してみれば、使用商標の「モアナ」と、本件商標の上段の仮名文字「モアナ」は同一であるから、社会通念上同一の標章であることは明らかである。
ウ 被請求人が本件商標を使用している事実について
使用商品及びその宣伝広告物に表れる「株式会社アオテアロア」「AOTEAROA」の住所「東京都墨田区業平1-8-9」と、被請求人住所「東京都墨田区業平2丁目15番4号」が異なることについて説明する。
被請求人の商業登記簿上の本店所在地は、商標登録原簿記載の住所と同一の「東京都墨田区業平2丁目15番4号」(以下「本店住所」という。)である(乙第6号証)。一方、使用商品の販売者住所として記載された「東京都墨田区業平1-8-9」(以下「営業所住所」という。)は、被請求人に係る営業所の所在地であるが、会社法における「支店」と異なり「営業所」には法人登記の義務はないため、履歴事項証明書には記載されていない。被請求人は、以前は「東京都中央区日本橋1-21-3ハイマートビル」(以下「旧営業所住所」という。)に営業所を有していたが、令和4(2022)年9月に、ビルの建て替えの関係で、現在の営業所住所に存する「ハイマートビル」に移転した。被請求人代表者が代表取締役をつとめるグループ会社「株式会社ハイマート」も同時に営業所住所のハイマートビルに移転し、こちらについては本店所在地も変更している。以上の事実を証するため、事務所移転に関する案内を乙第7号証及び乙第8号証、(株)ハイマートの履歴事項証明書を乙第9号証、現在の営業所住所に存在する「ハイマートビル」の写真を乙第10号証として提出する。なお、被請求人の本店所在地は以前から変わらないが、事業上の表向きの住所は以前から営業所の住所を用いていたため、移転の案内状には「本社移転」としている。ただ、一部の商品については、販売者住所として「本店住所」が記載されている商品もあるので、参考までに乙第11号証及び乙第12号証を提出する。また、営業所の移転についての公的な証拠として都税事務所への「異動届出書」の写しを乙第13号証として提出する。ちなみに、実際の営業所移転が令和4年9月であるのに、本届出が令和7年8月19日であるのは、それまでは郵便物が転送されていて不自由がなかったためである。
以上、乙第1号証ないし乙第13号証により、被請求人が販売する、本件商標を付した「緑イ貝のエキスを主成分とするカプセル状の加工食品」が存在することは明らかである。
(2)要証期間内に、被請求人が、日本国内で本件商標を使用した事実の立証
ア 使用商品の製造について
被請求人は、要証期間内に、株式会社三協(以下「(株)三協」という。)(静岡県富士市伝法573-13)に使用商品の製造を委託しているので、この事実を証明する。
なお、乙第1号証で使用商品のラベルに表れる製造所の住所は、実際に商品を製造・出荷している(株)三協の日の出工場の住所である。
被請求人は、要証期間に、使用商品の製造を発注し、納品を受けている。
これを証するため、被請求人からの発注書に、(株)三協の担当者が直接書き込んでFAX送信した「注文請書」を乙第14号証及び乙第16号証として提出する。あわせて、この注文に対応する納品に係る「送付案内」(令和5年2月14日付けはFAX送信、令和6年5月8日付けは納付商品に同封)を、乙第15号証及び乙第17号証として提出する。また、この事実を補強するため、使用商品の「商品規格書」及び在庫状況を示す写真及び(株)三協のHP情報を乙第18号証から乙第21号証として提出する。
なお、各取引書類において、商品名が「モアナエキス」となっているのは、使用商標「モアナ(R)エキス」と記載するのが煩雑なためにすぎず、取引書類に記載の「モアナエキス」が使用商品を示すものであることは、提出証拠から明らかである。また、令和5年以降の発注書に記載の住所が、旧営業所住所のままになっているが、レターヘッドの住所の変更を忘れたにすぎない。
イ 使用商品の宣伝広告物への本件商標の使用について
被請求人は、乙第2号証及び乙第3号証として提出した、使用商品に係る宣伝広告物の制作を、要証期間内に第三者企業に委託しているので、この事実を証明する。
(ア)被請求人は、乙第2号証として提出した使用商品に係るリーフレットの制作を、2022年7月、2022年10月、2024年12月に、株式会社プリントパック(以下「(株)プリントパック」という。)に委託しているので、これを証するため、請求書写しと(株)プリントパックのHP情報を、乙第22号証ないし乙第25号証として提出する。
(イ)被請求人は、乙第3号証として提出した、被請求人販売部門「キオラくらぶ」の商品を一覧としたフライヤー広告の制作を、2024年3月に、ARC株式会社(以下「ARC(株)」という。)に委託しているので、これを証するため、ARC(株)の担当者が被請求人担当者に宛てて、広告物のサンプルを送付したメールの写し(2024/3/15付け)と、発注を受けたことを示すFAXの写し(2024/3/29)、及び、ARC(株)のHP情報を、乙第26号証ないし乙第28号証として提出する。
ウ 使用商品の販売について
被請求人が、要証期間内に、日本国内で使用商品を販売している事実を証明する。
被請求人は、使用商品を含む健康食品を、BtoB及びBtoC両方の形態で販売している。本件審判の要証期間内における、使用商品の販売の事実を明らかにするため、社内資料である「日付別売上明細表」を乙第29号証として提出する。また、この販売実績に対応する納品書の一部を、乙第30号証ないし乙第40号証として提出する。ここでは、使用商品は、品番「A2006」商品名「緑イ貝モアナエキス」と記載されているが、商品を確実に識別・管理するための社内資料であり、使用商標と異なるのは珍しいことではない。
以上、乙第14号証ないし乙第40号証により、要証期間内に、被請求人が、日本国内で本件商標を使用した事実は明らかである。
(3)以上立証のとおり、被請求人は、本件審判請求に係る指定商品中「緑イ貝のエキスを主成分とするカプセル状の加工食品」について、本件商標を付した商品を、要証期間内に、日本国内において使用している事実は明らかである。
第4 当審の判断
1 被請求人が提出した証拠及び同人の主張によれば、以下のとおりである。
(1)乙第1号証は、被請求人が使用商品の写真であると主張するものであり、ボトルの正面及び側面を写したもの、当該ボトルが箱詰めされた状態を写したものなど、計5枚の写真からなる。
ボトルの正面には「MOANA EXTRACT」「モアナ(R)エキス」(使用商標(別掲2))「緑イ貝エキス」「AOTEAROA」などと記載されており、また、側面には「名称:緑イ貝加工食品」「原材料名:緑イ貝エキス末」「内容量:46.2g(308mg×150カプセル) 1カプセル当り内容用245mg」(※審決注:当該記載中、「150カプセル」のうちの「ル)」及び「245mg」のうちの「g」は写真から必ずしも確認できないが、ほかの証拠の内容等から、当該記載があるものと推認される。以下、必ずしも確認できない記載内容について同じ。)「販売者:株式会社アオテアロア」「東京都墨田区業平1-8-9」などの記載がある。
また、乙第2号証は、被請求人が使用商品のリーフレットと主張するものであり、「本件商品リーフレット 表」と「本件商品リーフレット 裏」からなる。
そのうち「本件商品リーフレット 表」には「MOANA EXTRACT」、「モアナ(R)エキス」、「緑イ貝エキス」「150カプセル入り(1カプセルあたり内容量245mg)」「8,100円(税込価格)」などの記載のほか、使用商品と考えられる写真画像が表されており、また、「本件商品リーフレット 裏」には「AOTEAROA」「株式会社アオテアロア」「東京都墨田区業平1-8-9」の記載がある。
次に、乙第3号証は、被請求人が、その販売部門「キオラくらぶ」の商品を一覧としたフライヤー広告と主張するものであって、1葉目の右上に、使用商品と考えられる写真画像が掲載されているとともに、その近傍には「緑イ貝エキス」「モアナ(R)エキス」「150カプセル入り」「税込価格8,100円」などの記載があり、また、1葉目及び2葉目の下部に「AOTEAROA キオラくらぶ」「東京都墨田区業平1-8-9」の記載がある。
(2)乙第7号証は、「本社移転のご案内」と題する書面であり、「株式会社アオテアロア」及び「株式会社ハイマート」が「東京都墨田区業平一丁目八-九 ハイマートビル」へ移転する旨、及び、移転後の業務開始日が「令和四年九月二十日(火曜日)」である旨などが記載されている。
また、乙第8号証は、「事務所移転のご案内」と題する、「2022年9月9日」に送信された、「株式会社アオテアロア」のN氏(審決注※合議体により略記。以下、個人の氏名について同じ。)から「ゆう国際特許事務所」のI氏宛ての電子メール及び添付されたPDFファイルの写しであり、電子メールには新所在地が「東京都墨田区業平1-8-9 ハイマートビル」である旨などが記載され、PDFファイルにはそれに加えて業務開始日が「令和4年9月15日(木曜日)」である旨などが記載されている。
(3)乙第36号証及び乙第40号証は、いずれも発行者を「東京都墨田区業平1-8-9 ハイマートビル」所在の「株式会社アオテアロア」とする「納品書(控)」の写しであり、「以下のとおり納品致しましたのでご査収下さい。」の記載の下、表中に納品内容と考えられる情報が記載されている。
そのうち、乙第36号証は、2023年11月1日付けのものであり、表外の左上に納品先と考えられるN氏の氏名の記載、表中に「品番・品名」として「緑イ貝モアナエキス(150粒)」、その「数量」として「2」、「単位」として「本」、「単価」として「7,500」、「金額」として「15,000」の記載があり、また、「【課税(軽)8.0% 消費税額】」として「1,200」の記載、表左下に「摘要」として「11/2着 コンビニ振替ヤマト便」の記載がある。
また、乙第40号証は、2024年4月12日付けのものであり、表外の左上に納品先と考えられるO氏の氏名の記載、表中に「品番・品名」として「緑イ貝モアナエキス(150粒)」、その「数量」として「2」、「単位」として「本」、「単価」として「7,500」、「金額」として「15,000」の記載があり、また、「定期割引20%」として「金額」欄に「-3,000」の記載、「【課税(軽)8.0% 消費税額】」として「960」の記載、表左下に「摘要」として「4/15着 18-20時指定ヤマトコレクト便」の記載がある。
2 上記1に基づき、以下判断する。
(1)本件商標と使用商標の社会通念上の同一性について
本件商標は、別掲1のとおり、「モアナ」の片仮名と「MOANA」の欧文字を上下二段に横書きしてなるものであって、上段の片仮名は下段の欧文字の読みを表したといえるものであるところ、これは一般的な辞書類に掲載されている語ではないものの、ハワイ語などのポリネシア諸語において「海洋」などを意味する語であり(参考:「ハワイ語の意味を調べよう」のウェブサイトにおける「moana(モアナ)」のページ https://hawaii-go.com/moana/)、我が国においてもしばしば使用、紹介等されているものである。
したがって、本件商標よりは、「モアナ」の称呼が生じ、また、「海洋」の観念が生じ得るものといえる。
他方、使用商標は、別掲2のとおり、「モアナ(R)エキス」の文字及び図形からなるものである。
そして、使用商標の構成中「(R)」の部分は、他の文字や図形が登録商標であることを表現するための記号として、我が国において慣用的に使用されているものであり、その文字や図形等の近傍(主に右側)に付されることが一般的である、また、使用商標の構成中の「エキス」の文字は、「薬物または肉・骨・植物などの有効成分を水・アルコールなどに溶かし出して濃縮したもの。」(出典:「広辞苑 第七版」株式会社岩波書店)を意味する語であり、使用商品を含む栄養補助食品(サプリメント)との関係においては、その使用商品の原材料が何らかの濃縮物であることを表現するための語として、広く一般的に使用されているものであって(乙4)、使用商品との関係において自他商品の識別標識として機能を有しないか、又は、当該機能が極めて弱い部分といえる。
以上のことからすると、使用商標を使用商品に使用するときは、その構成中の「モアナ」の文字部分が自他商品の識別標識として機能を果たす文字部分といえ、使用商標の要部であるとみるのが相当であり、使用商標よりは、その要部に相応した「モアナ」の称呼が生じ、また、本件商標と同様に「海洋」の観念が生じ得るものといえる。
そうすると、本件商標と使用商標の要部は、欧文字の有無について相違はあるものの、片仮名のつづり字は共通しており、「モアナ」の称呼及び「海洋」の観念を同一にするものであることから、社会通念上同一と認められる。
(2)使用商標の使用者について
使用商標を付した使用商品の包装及びその紹介資料(リーフレット、フライヤー広告)、並びに、下記(4)のとおり、使用商品に関するものと推認される納品書(控)には、本件商標の商標権者(以下「本件商標権者」という。)の名称(会社名)と同一の名称である「株式会社アオテアロア」の記載がある。
また、その名称と合わせて記載されている同社の所在地(東京都墨田区業平1-8-9)は、本件商標権者の商標登録原簿上の住所とは異なるものの、「本社移転の案内」(乙7)及び「事務所移転のご案内」(乙8)からすれば、当該住所は、令和4年9月以降に使用されている、本件商標権者の営業所の住所であると認められる。
したがって、使用商品を販売し、N氏やO氏に納品したのは、本件商標権者であるといえるから、使用商標の使用者は、本件商標権者であると認められる。
(3)使用商品について
使用商品は、その包装や紹介資料に「緑イ貝エキス」「名称:緑イ貝加工食品」「原材料名:緑イ貝エキス末」「150カプセル入り」などの記載があることからすると、「緑イ貝のエキスを主成分とするカプセル状の加工食品」であると認められる。
そしてこれは、本件商標の指定商品中、第29類「緑イ貝のエキスを主成分とする粉状・粒状・カプセル状の加工食品」の範ちゅうの商品である。
(4)商標の使用行為について
本件商標権者が発行した納品書(控)には、品名を「緑イ貝モアナエキス(150粒)」とする商品(以下「納品商品」という。)がN氏及びO氏に納品されたことが示されている。
そこで、この納品商品が使用商品と同一のものであるかについて検討するに、使用商品は、その「名称」を「緑イ貝加工食品」とするものであるところ、その包装やリーフレットには「モアナ(R)エキス」「緑イ貝エキス」の文字が見やすい位置に大きく表されており、また、フライヤーには「緑イ貝エキス」の記載及び商品画像の下に「モアナ(R)エキス」と太字で表されている。その内容量は「150カプセル」であり、価格は税込で「8,100円」である。
他方、納品商品は、上述のとおり商品名を「緑イ貝モアナエキス(150粒)」とするものであり、そのうち「(150粒)」の記載は、商品の内容量を表したものと考えるのが自然である。納品商品の単価は「7,500円」であり、これに消費税(8%)を加えると「8,100円」となる。
そうすると、使用商品と納品商品とは、これらが同一のものであることを直ちには確認できないものの、これらはいずれも「緑イ貝」に係るものであることが明らかである上、使用商品の商品名のごとく用いられている「モアナ(R)エキス」の表示と納品商品に係る「モアナエキス」の表示は、「(R)」の表示を除いた文字列が共通するものであり、さらに、商品の内容量(150カプセル(粒))及び価格(税込み8,100円)を共通にするものであって、また、リーフレット等に記載された商品名と納品書等の取引書類に記載される品名とが異なることについては、必ずしも不自然とはいえないものである。
以上のことからすると、使用商品と納品商品とは、同一の商品であると推認することができる。
また、納品者である本件商標権者が国内所在の法人であって、納品先も日本国内のものと考えられることや、納品書も日本語で作成されていることからすると、使用商品が販売され、納品されたのは日本国内であると推認される。
したがって、本件商標権者は、日本国内において、N氏及びO氏に使用商品を販売し、納品していたものと推認することができる
(5)商標の使用時期について
本件商標権者が使用商品を販売し、納品した時期について検討するに、乙第36号証は2023年11月1日付けのもので「11/2着」とされているものであり、乙第40号証は2024年4月12日付けのもので「4/15着」とされているものである。
したがって、本件商標権者は、使用商標を包装に付した使用商品を、2023年11月2日頃又は2024年4月15日頃に販売し、納品したものと推認される。
そして、当該行為の時点である上述の期間は、要証期間内である。
(6)小括
以上によれば、本件商標権者は、要証期間に日本国内において、本件商標の指定商品に含まれる「緑イ貝のエキスを主成分とするカプセル状の加工食品」の包装に、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付して、商品を販売し、納品していたものと推認することができる。
そして、本件商標の商標権者による上記行為は、商標法第2条第3項第2号にいう、商品の包装に標章を付したものを譲渡する行為に該当する。
3 まとめ
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標権者が、本件商標の指定商品に含まれる「緑イ貝のエキスを主成分とするカプセル状の加工食品」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたことを証明したというべきである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2025-300025