意匠拒絶査定不服審判
2025-017132
浄水器用カートリッジ
- 審判番号
- 2025-017132
- 法域
- 意匠
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 意願2024-020252
- 登録番号
- 1824886
- 請求日
- 2025年10月28日
- 審決日
- 2026年03月17日
- 公報発行日
- 2026年04月24日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】TOTO株式会社
- 【請求人代理人】稲葉 良幸
- 【請求人代理人】茜ヶ久保 公二
- 【請求人代理人】林 美和
- 審判長/審判官
- 審判長 綿貫 浩一
- 審判官 藤原 宗久良
- 審判官 清野 貴雄
- 分類
- D18 .113-WY (K6-1)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 意匠法第3条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
意願2024- 20252「浄水器用カートリッジ」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、物品の部分について意匠登録を受けようとする、令和6年(2024年)9月30日の意匠登録出願であって、その後の手続の主な経緯は以下のとおりである。
令和7年(2025年) 3月18日付け :拒絶理由の通知
同年 5月 1日 :意見書の提出
同年 7月25日付け :拒絶査定
同年 10月28日 :審判請求書の提出
第2 本願の意匠
本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は、意匠に係る物品を「浄水器用カートリッジ」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状等」という。)を、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり、本願意匠において物品の部分として意匠登録を受けようとする部分(以下「本願部分」という。)を、「各図において、赤色で着色を施した部分以外の部分が、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」としたものである。(別紙第1参照)
第3 原査定における拒絶の理由及び引用の意匠
原査定の拒絶の理由は、本願意匠は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の意匠(以下「引用意匠」という。別紙第2参照)に類似するものであるから、意匠法3条1項3号に掲げる意匠(先行の公知意匠に類似するため、意匠登録を受けることのできない意匠)に該当する、というものである。
「引用意匠
特許庁発行の意匠公報記載
意匠登録第1645728号
(意匠に係る物品、浄水器用カートリッジ)の意匠の本願意匠の意匠登録を受けようとする部分に相当する部分
本願意匠の意匠登録を受けようとする部分と引用意匠のそれに相当する部分を比較した場合、意匠に係る物品が同一であり、意匠全体の中の意匠登録を受けようとする部分が、本願意匠では本体上端部に位置し、引用意匠では底蓋部に位置していますが、大きさ及び範囲が概ね共通しています。
形状等については、ともにカートリッジ端部表面の略同心円状の領域であり、その領域の幅も内側の円より外側の円が若干太い点が共通しています。
これらの態様が相俟って、需要者に両部分の形状等が共通しているという印象を強く与えています。
一方、上述したように意匠登録を受けようとする部分が、本願意匠では本体上端面であるのに対し、引用意匠では底蓋部の表面であるという点で差異が認められますが、ともに円筒状カートリッジの端面に位置するという共通した構成の中のわずかな差異であって、類否判断に及ぼす影響は小さいです。
したがって、両意匠は類似するものと認められます。 」
第4 当審の判断
1 本願意匠と引用意匠の対比
(1)意匠に係る物品
本願意匠及び引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は、どちらも、「浄水器用カートリッジ」であるから、両意匠の意匠に係る物品は、一致する。
引用意匠において、本願部分に相当する部分(以下「引用部分」という。)は、右側面視に表れる略2重の円環状の頂端部の面である。
以下、引用意匠の図の向きを本願意匠の図の向きに合わせて両意匠を対比する。
(2)本願部分と引用部分の用途及び機能並びに位置、大きさ及び範囲
本願部分と引用部分(以下「両部分」という。)の用途及び機能は、本願部分は、水栓内部に設置して用いる浄水器用カートリッジの、流水経路を備えた端部の部分であって、引用部分は、水の濾過に使用する浄水器用カートリッジの、流水経路を備えた端部の部分であって、どちらも水を流す経路が開通した端部の部分であり、両部分の用途及び機能は一致する。
両部分の位置、大きさ及び範囲については、本願部分は、底面側から上側に向けてテーパー面を設けて窄まって表れる略同心円形状の外側の円環、内側の円環及び放射状の連結箇所のうち、外側と内側の円環の頂端部(以下、外側と内側の円環の頂端部について、それぞれ「外円部」、「内円部」という。)の面であるのに対して、引用部分は、底面側から上側に向けて垂直に立ち上がった端部に面一状に表れる略同心円形状の3重の円環及び放射状の連結箇所のうち、外側の円環と中間の円環の頂端部(以下、引用部分の外側と中間の円環の頂端部を、それぞれ「外円部」、「内円部」という。)の面であるから相違しており、両部分の位置、大きさ及び範囲は相違する。
(3)両部分の形状等
両部分の意匠に係る物品である「浄水器用カートリッジ」においては、当該意匠の類否判断の主体である需要者は、主として、本物品の使用者(購買者を含む)及び販売業者等の取引者であって、当該需要者は、主に、浄水器用カートリッジを用いる際の交換の簡便さや、浄水能力及び流水量に関する流水経路の大きさ及び形状等を注視して観察するものといえる。
両部分の形状等については、主として、以下のとおりの共通点及び相違点がある。
ア 共通点
両部分は、浄水器用カートリッジの端部に、略同心円形状で薄幅な2つの略円環状頂端部を有する基本的な構成態様において、共通する。
イ 相違点
(ア)外円部と内円部の大きさの比率
平面視において、外円部に対する内円部の外径の比率が、本願部分は約1:0.38であるのに対して、引用部分は約1:0.48であり、本願部分の方が外円部に対する内円部の大きさが小さい点、
(イ)外円部と内円部の厚みの比率
平面視において、外円部と内円部の厚み(円環の内縁から外縁の距離)の比率が、本願部分は約1.6:1であるのに対して、引用部分は約2.6:1であり、引用部分の方が、内円部に比べて外円部の厚みが大きい点、
(ウ)外円部と内円部との間隔
平面視において、外円部の外径に対する、外円部と内円部の間隔の比率は、本願部分が約1:0.25であるのに対して、引用部分は約1:0.18であり、本願部分の方が、外円部の大きさに比べて外円部と内円部の間隔が大きい点、
において相違する。
2 両部分の類否判断
以上の共通点及び相違点が両部分の類否判断に与える影響を評価するとともに、評価に基づき、総合的に観察して、両部分の類否を部分全体として検討し、判断する。
(1)意匠に係る物品
両意匠の意匠に係る物品は、一致するから、同一である。
(2)両部分の用途及び機能並びに位置、大きさ及び範囲
両部分の用途及び機能は一致する一方で、位置、大きさ及び範囲については、本願部分が、上記1(2)のとおり、テーパー面を設けて窄まった端面に位置するものとして、一定のまとまりがあり、美感を生じさせる形状等からなる部分といえるのに対し、引用部分は、面一状の端面の中における本願部分に相当する2つの円環部というものであって、位置等が相違し、この相違は両意匠に異なった美感をもたらすものということができる。
(3)両部分の形状等の共通点及び相違点の評価
ア 共通点の評価
両部分の略同心円で2つの薄幅な略円環状頂端部を有する基本的な構成態様は、下記参考意匠のように、本願出願前にも見られる構成態様であるから、この共通点は、両部分のみが有する特徴とは言えず、共通点が類否判断に与える影響は小さい。
参考意匠(別紙第3参照)
特許庁発行の意匠公報記載
意匠登録第1181936号の意匠
(意匠に係る物品、濾過フィルターユニットキャップ)の意匠
イ 相違点の評価
(ア)及び(イ)については、本願部分は外円部に対して内円部の大きさが約3分の1程度と小さく、外円部と内円部の幅の厚みの比率差は約1.6倍であり大きな差がない一方で、引用部分は外円部に対する内円部の大きさが約2分の1程度であって、内円部が大きく、外円部の厚みが内円部の2.6倍であり、外円部の幅が厚いことは、両部分全体の構成要素がシンプルなものである中にあっては、両部分全体の印象を左右する、意匠の骨格と言うべき構成比率に関する相違であって、需要者の強い注意をひく顕著な相違があり、別異の印象を強く与えるものであるから、両部分の類否判断に与える影響は大きい。
(ウ)外円部と内円部との間の間隔の差は、本願部分が外径の約4分の1であるのに対して、引用部分は外径の約5分の1程度であって、部分全体としてみた場合には、本願部分の方がわずかに大きいものの、当該箇所が流水経路にあたることから、格別需要者の注意を引かないとまでは言えず、両部分の類否判断に一定程度の影響を与える。
(4)形状等の類否判断
両部分の形状等における共通点及び相違点の評価に基づき、部分全体として総合的に観察し判断した場合、共通点が両部分の類否判断に与える影響は小さいのに対して、相違点(ア)、相違点(イ)及び相違点(ウ)が両部分の類否判断に与える影響は大きい又は一定程度ある。
したがって、両部分の形状等を全体として総合的に観察した場合、両部分の形状等は、共通点に比べて、相違点が両部分の類否判断に与える影響の方が大きいものであるから、両部分の形状等は類似しない。
(5)小括
そうすると、両意匠は、意匠に係る物品は同一であり、両部分の用途及び機能は一致する一方で、位置、大きさ及び範囲は相違しており、両部分の形状等においては類似しないから、本願意匠は引用意匠に類似しない。
第5 むすび
以上のとおりであって、原査定の引用意匠をもって、本願意匠は、意匠法3条1項3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから、原査定の拒絶の理由によって、本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。
また、当審において、更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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