商標拒絶査定不服審判
2025-014445
エビノヤ、エビノケ、エビノイエ、エビノウチ
- 審判番号
- 2025-014445
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2024-075708
- 請求日
- 2025年09月11日
- 審決日
- 2026年05月26日
- 公報発行日
- 2026年08月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社F&T COMPANY
- 【請求人代理人】洲崎 竜弥
- 審判長/審判官
- 審判長 大島 康浩
- 審判官 浜岸 愛
- 審判官 佐藤 緋呂子
- 分類
- T18 .261-Z (W43) / T18 .262-Z (W43) / T18 .263-Z (W43) / T18 .264-Z (W43)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項11号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第11号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2024-75708拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和6年6月29日に登録出願されたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和7年 1月21日付け:拒絶理由通知書
令和7年 3月 7日 :意見書の提出
令和7年 6月26日付け:拒絶査定
令和7年 9月11日 :審判請求書の提出
第2 本願商標
本願商標は、「海老乃家」の文字を横書きしてなり、第43類「小売店の店先において消費可能な飲食物の提供,店舗の内外で消費可能な飲食物の提供」を指定役務として登録出願されたものである。
第3 引用商標
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録商標は、以下のとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。
1 登録第5725608号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:別掲1のとおり
指定役務:第43類「天ぷらを主とする飲食物の提供,レストラン等の飲食店に関する情報の提供」
登録出願日:平成26年6月20日
設定登録日:平成26年12月12日
更新登録日:令和6年7月8日
2 登録第5725609号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:別掲2のとおり
指定役務:第43類「天ぷらを主とする飲食物の提供,レストラン等の飲食店に関する情報の提供」
登録出願日:平成26年6月20日
設定登録日:平成26年12月12日
更新登録日:令和6年7月8日
以下、引用商標1及び引用商標2をまとめていうときは、「引用商標」という場合がある。
第4 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本願商標について
本願商標は、「海老乃家」の文字を横書きしてなるところ、当該文字は、我が国の一般的な国語辞典等に載録された既成語ではなく、我が国において何らかの意味を有する語として親しまれているという事情も見いだせないことから、特定の意味合いを生じない造語と認められるものである。
したがって、本願商標は、その構成文字に相応して「エビノヤ」及び「エビノイエ」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものである。
(2)引用商標について
ア 引用商標1について
引用商標1は、別掲1のとおり、「えびのや」の文字を手書き風の書体で大きく縦書きし、その「え」の文字の右横に「天麩羅」の文字を楷書体で小さく縦書きし、また、同「や」の文字の左下に赤色の落款風の小さな図形(以下「引用1図形部分」という。)を配置してなるところ、各構成部分は、重なり合うことなく配置され、文字と図形という構成要素の差異や、文字の大きさ、種類及び書体の差異があることから、それぞれ視覚上分離して看取され得るものである。
そして、引用1図形部分は、内部に何らかの文字又は図形と思しきものが白抜きで表示されているものの、これが何を表したものなのか直ちに判別ができないことに加え、引用1図形部分が特定の意味合いを表すものとして認識され、親しまれているというべき事情は認められないことから、これより特定の称呼及び観念は生じないものである。
次に、構成中の「天麩羅」の文字部分は、「魚介類や野菜などに小麦粉を水でといたころもを着けて油で揚げた料理。」(「広辞苑第7版」株式会社岩波書店)を意味する語であって、引用商標1の指定役務との関係においては、役務の質を表したものと認識されるものであるから、自他役務の識別標識としての機能を有しないか、極めて弱く、出所識別標識としての称呼、観念が生じないものというのが相当である。
一方、構成中の「えびのや」の文字部分は、我が国の一般的な国語辞典等に載録された既成語ではなく、我が国において何らかの意味を有する語として親しまれているという事情も見いだせないことから、特定の意味合いを生じない造語と認められ、引用商標1の指定役務との関係において、自他役務の出所識別標識としての機能を有さないと判断するべき特段の事情はない。
そうすると、引用商標1は、その構成中、手書き風の書体で大きく顕著に表された「えびのや」の文字部分が需要者に対し役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものであり、「天麩羅」の文字部分及び引用1図形部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないといえるから、「えびのや」の文字部分を要部として抽出し、他人の商標と比較することが許されるものというべきである。
したがって、引用商標1は、その要部である「えびのや」の文字部分に相応して、「エビノヤ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
イ 引用商標2について
引用商標2は、別掲2のとおり、「えびのや」の文字を手書き風の書体で大きく横書きし、その上段に「天麩羅」の文字を楷書体で小さく横書きし、また、同「や」の文字の右下に赤色の落款風の小さな図形(以下「引用2図形部分」という。)を配置してなるところ、各構成部分は、重なり合うことなく配置され、文字と図形という構成要素の差異や、文字の大きさ、種類及び書体の差異があることから、それぞれ視覚上分離して看取され得るものである。
そして、引用2図形部分は、内部に何らかの文字又は図形と思しきものが白抜きで表示されているものの、これが何を表したものなのか直ちに判別ができないことに加え、引用2図形部分が特定の意味合いを表すものとして認識され、親しまれているというべき事情は認められないことから、これより特定の称呼及び観念は生じないものである。
次に、構成中の「天麩羅」の文字部分は、「魚介類や野菜などに小麦粉を水でといたころもを着けて油で揚げた料理。」(前掲書)を意味する語であって、引用商標2の指定役務との関係においては、役務の質を表したものと認識されるものであるから、自他役務の識別標識としての機能を有しないか、極めて弱く、出所識別標識としての称呼、観念が生じないものというのが相当である。
一方、構成中の「えびのや」の文字部分は、我が国の一般的な国語辞典等に載録された既成語ではなく、我が国において何らかの意味を有する語として親しまれているという事情も見いだせないことから、特定の意味合いを生じない造語と認められ、引用商標2の指定役務との関係において、自他役務の出所識別標識としての機能を有さないと判断するべき特段の事情はない。
そうすると、引用商標2は、その構成中、手書き風の書体で大きく顕著に表された「えびのや」の文字部分が需要者に対し役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものであり、「天麩羅」の文字部分及び引用2図形部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないといえるから、「えびのや」の文字部分を要部として抽出し、他人の商標と比較することが許されるものというべきである。
したがって、引用商標2は、その要部である「えびのや」の文字部分に相応して、「エビノヤ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
(3)本願商標と引用商標との類否について
本願商標と引用商標の要部である「えびのや」の文字部分を比較すると、両者は文字種及び書体等の差異があるものの、商標の使用においては、商標の構成文字を同一の称呼が生じる範囲内で文字種を相互に変換して表記したり、デザイン化したりすることが一般的に行われている取引の実情があることに鑑みれば、これらの外観上の差異が看者に対し、出所識別標識としての外観上の顕著な差異として強い印象を与えるとまではいえない。
そして、両者は、「エビノヤ」の称呼を共通にするものである。
また、両者は、ともに特定の観念を生じないものであるから、観念において比較することができない。
そうすると、本願商標と引用商標の要部は、観念において比較することができないものの、称呼を共通にするものであって、外観における差異についても、称呼の共通性を凌ぐほどの顕著な差異として強い印象を与えるとまではいえず、その外観、称呼及び観念が、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、本願商標と引用商標は、役務の出所について誤認混同を生ずるおそれのある類似の商標と判断するのが相当である。
(4)本願商標の指定役務と引用商標の指定役務との類否について
本願商標の指定役務である第43類「小売店の店先において消費可能な飲食物の提供,店舗の内外で消費可能な飲食物の提供」は、引用商標の指定役務である「天ぷらを主とする飲食物の提供,レストラン等の飲食店に関する情報の提供」と同一又は類似の役務である。
(5)小括
以上より、本願商標は、引用商標と類似する商標であり、かつ、その指定役務も引用商標の指定役務と同一又は類似するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
2 請求人の主張について
(1)請求人は、本願商標が漢字で構成されているのに対し、引用商標の要部は平仮名で構成されており、引用商標の要部を漢字表記に変換した際、当然に本願商標の文字に変換され得る一対一の対応関係にないため、本願商標と引用商標とは、外観上、判然と区別されるものである旨主張する。
しかしながら、本願商標を「エビノヤ」と称呼する場合、その平仮名表記は「えびのや」となり、本願商標と引用商標の要部は、その構成文字を同一の称呼が生じる範囲内で文字種を相互に変換して表記したものといえる。そして、文字種を相互に変換して使用することが商取引において一般に行われることからすると、文字種の差異は、両商標が別異のものであると認識させるほどの強い印象を与えるものではない。
(2)請求人は、本願商標は「海老の家」ほどの観念を生じるものであるのに対し、引用商標は「主として天麩羅を提供する『えびのや』なる屋号」ほどの観念を生じるものであるから、本願商標と引用商標とは、観念上、明確に区別されるものである旨主張する。
しかしながら、本願商標を構成する「海老乃家」の文字及び引用商標の要部である「えびのや」の文字は、いずれも我が国の一般的な国語辞典等に載録された既成語ではなく、我が国において何らかの意味を有する語として親しまれているという事情も見いだせないことから、特定の意味合いを生じない造語とみるのが相当である。
したがって、両者は、観念において比較することができない。
(3) 請求人は、本願商標の指定役務「小売店の店先において消費可能な飲食物の提供,店舗の内外で消費可能な飲食物の提供」と引用商標の指定役務「天ぷらを主とする飲食物の提供,レストラン等の飲食店に関する情報の提供」とは、需要者が役務の出所につき誤認混同を生ずるおそれがない非類似の役務である旨主張する。
しかしながら、本願商標の指定役務と引用商標の指定役務は、いずれも飲食物を提供する役務に係るものであるから、注文により直ちにその場所で料理や飲料を作ったり、調理済みの料理を用意したりするといった提供手段及び料理や飲料を飲食させるという目的において一致し、提供の場所は飲食店であり、需要者の範囲は飲食の提供を受けようとする一般消費者であって、業種は飲食サービス業である等の点において共通するから、それらを総合的に考慮すれば、両指定役務に同一又は類似する商標が使用された場合には、同一営業主の提供に係る役務と誤認されるおそれがあるとみるのが相当である。
したがって、本願商標の指定役務と引用商標の指定役務は、同一又は類似の役務であるといわなければならない。
(4)したがって、請求人の主張はいずれも採用することができない。
3 まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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