意匠拒絶査定不服審判
2025-011518
建物用壁板
- 審判番号
- 2025-011518
- 法域
- 意匠
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 意願2024-015537
- 登録番号
- 1812341
- 請求日
- 2025年07月24日
- 審決日
- 2025年09月16日
- 公報発行日
- 2025年11月28日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】旭トステム外装株式会社
- 【請求人代理人】星野 寛明
- 【請求人代理人】芝 哲央
- 【請求人代理人】岩池 満
- 【請求人代理人】瓜本 忠夫
- 審判長/審判官
- 審判長 前畑 さおり
- 審判官 津熊 哲朗
- 審判官 清野 貴雄
- 分類
- D18 .113-WY (L6-1)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 意匠法第3条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
意願2024- 15537「建物用壁板」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和6年(2024年)7月26日の意匠登録出願であって、その後の手続の主な経緯は以下のとおりである。
令和6年(2024年)12月12日付け:拒絶理由の通知
令和7年(2025年) 1月24日 :意見書の提出
同年 4月18日付け:拒絶査定
同年 7月24日 :審判請求書の提出
第2 本願の意匠
本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は、意匠に係る物品を「建物用壁板」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状等」という。)を、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである。(別紙第1参照)
第3 原査定における拒絶の理由及び引用の意匠
原査定の拒絶の理由は、本願意匠は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の意匠(以下「引用意匠」という。別紙第2参照)に類似するものであるから、意匠法3条1項3号に掲げる意匠(先行の公知意匠に類似するため、意匠登録を受けることのできない意匠)に該当する、というものである。
「引用意匠
特許庁発行の意匠公報記載
意匠登録第1295328号
(意匠に係る物品、壁板材)を、おおむね本願意匠と同等の長さ
に連続させた意匠
本願意匠と引用意匠を全体として比較した場合、意匠に係る物品が同一です。
形状等については、正面視板材の表面に等間隔細幅の凹凸を施した点及び幅方向両端部のジョイント部の形状が共通しています。
これらの態様が相俟って、需要者に両意匠の全体の形状等が共通しているという印象を強く与えています。
一方、上記細幅の凹凸が、本願意匠では深さが浅く、角も丸みがあるのに対し、引用意匠では深さが深く、角が若干角張っている点で差異が認められますが、意匠全体からすると軽微な差異であり、正面から見た場合の共通した印象を超えるほどの顕著なものとは言えませんので、類否判断に及ぼす影響は小さいです。
したがって、両意匠は類似するものと認められます。」
第4 当審の判断
1 本願意匠と引用意匠の対比
(1)意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は、「建物用壁板」であり、引用意匠の意匠に係る物品は、外壁として使用する「壁板材」である。
表記は異なるが、どちらも建物の外壁として使用する壁板であって、その用途及び機能は共通しているから、本願意匠と引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は、一致する。
(2)両意匠の形状等
両意匠の形状等については、主として、以下のとおりの共通点及び相違点がある。
なお、引用意匠の認定に際しては、本願意匠と同じ向きとなるように、正面図における左側を上向きとして認定する。
ア 共通点
(共通点ア)基本的構成態様
全体は、上下端に接続部を有する正面視略横長長方形状の板材であって、正面は、上側の接続部を除いて、左右方向に延びる扁平な略山形状の凸条を上下に多数形成している点、
各部の態様として、
(共通点イ)上側の接続部
全体を、側面視において、略中央及び背面側が上方に突出した形状のものとし、正面側から略中央の突起の付け根に向けて上がる2段の階段状とし、略中央の突起と背面側の突起の間の溝の底を略U字状とし、中央の突起及び背面側の突起の上下方向の長さの比が約0.3:1である点、
(共通点ウ)下側の接続部
全体を、側面視において、略中央に凹溝及び背面に切り欠きを形成したものとし、凹溝は、正面側に傾斜面を有し、切り欠きは、上方側を傾斜面とする略直角台形状であり、凹溝及び切り欠きの上下方向の長さの比が約0.3:1である点、
において、共通する。
イ 相違点
(相違点ア)凸条
断面形状において、本願意匠は、全体を、緩やかな略凸弧状の湾曲面としているのに対し、引用意匠は、全体を、平坦な頂面の上下端に緩やかな傾斜面及び傾斜面に続く平坦な底面を有する形状とし、傾斜面と頂面との境界に稜線が表れる点、
(相違点イ)凸条の数
本願意匠は、37個であるのに対し、引用意匠は、18個である点、
(相違点ウ)凸条の高さと板全体の厚みの比
本願意匠は、約1:13であるのに対し、引用意匠は、約1:8である点、
(相違点エ)壁板の寸法
本願意匠は、定形材であるのに対し、引用意匠は、左右に連続する長尺材である点、
において、相違する。
2 両意匠の類否判断
両意匠は、建物の外壁として使用する壁板であるから、需要者は、主に外観に注目する住宅等購入者のほか、壁板の取り付けや施工を行う取引業者や施工業者が含まれる。
したがって、まず、需要者が最も注意を払う部位である壁板の正面の態様について両意匠の類否判断に与える影響を評価し、かつそれ以外の形状等も併せて、各部を総合して意匠全体として両意匠の類否を検討し、判断する。
(1)意匠に係る物品
両意匠の意匠に係る物品は、一致するから、同一である。
(2)両意匠の形状等の共通点及び相違点の評価
ア 共通点の評価
(共通点ア)
この種物品の分野において、上下端に接続部を有する正面視略横長長方形状の板材であって、正面は、上側の接続部を除いて、左右方向に延びる扁平な略山形状の凸条を上下に多数形成しているものは、下記参考意匠に見られるように、本願出願前から公然知られている態様であって、両意匠のみに共通する態様とはいえないことから、(共通点ア)は、正面の態様を概括的に捉えた場合のものにすぎず、(共通点ア)が、両意匠の類否判断に与える影響は小さいものである。
(共通点イ)及び(共通点ウ)
この種物品の分野において、側面視において、上側の接続部の全体を、略中央及び背面側が上方に突出した形状のものとし、正面側から略中央の突起の付け根に向けて上がる2段の階段状とし、略中央の突起と背面側の突起の間の溝の底を略U字状としたもの及び下側の接続部の全体を、略中央に凹溝及び背面に切り欠きを形成したものとし、凹溝は、正面側に傾斜面を有し、切り欠きは、上方側を傾斜面とする略直角台形状としたものは、それぞれ参考意匠に見られるように、本願出願前から公然知られており、両意匠にのみ見られる態様とはいえず、また、接続部は施工後に見えない部位であり、格別、需要者の注意を惹かないから、(共通点イ)及び(共通点ウ)が、両意匠の類否判断に与える影響は小さいものである。
参考意匠(別紙第3参照)
特許庁発行の意匠公報記載
意匠登録第1716252号
(意匠に係る物品、壁板材)の意匠
イ 相違点の評価
(相違点ア)
本願意匠は、凸条が緩やかな略凸弧状の湾曲面であることで、丸みを帯びた柔和な印象を与えるのに対し、引用意匠は、凸条の傾斜面と頂面との境界に稜線が表れることで、エッジの効いたシャープな印象を与えていることから、需要者に別異の美感を起こさせ、かつ、凸条は、需要者が最も注意を払う正面全体に形成されるものであることを考慮すると、(相違点ア)が、両意匠の類否判断に与える影響は大きいものである。
(相違点イ)
本願意匠は、凸条の数が37個であり、凸条が連続していることも相まって、凸条が密に形成されている印象を与えているのに対し、引用意匠は、凸条の数が18個であり、凸条の間に平坦な底面があることも相まって、凸条がまばらに形成されている印象を与えていることから、需要者に別異の美感を起こさせるといえ、(相違点イ)が、両意匠の類否判断に与える影響は大きいものである。
(相違点ウ)
本願意匠は、凸条の高さと板全体の厚みの比が約1:13であるのに対し、引用意匠は、約1:8であることで、本願意匠は、表面の凹凸が小さく、柔らかい印象を与えるのに対し、引用意匠は、表面の凹凸が大きく、凸条に稜線が表れることと相まって、シャープな印象を与えていることから、需要者に別異の美感を起こさせるといえ、(相違点ウ)が、(相違点ア)と相まって、両意匠の類否判断に与える影響は大きいものである。
(相違点エ)
この種物品の分野において、壁板は、建物の幅に合うように切断して使用するものであるところ、壁板の寸法は、需要者の注意を惹かないため、(相違点エ)が、両意匠の類否判断に与える影響は小さいものである。
(3)形状等の類否判断
両意匠の形状等における共通点及び相違点の評価に基づき、意匠全体として総合的に観察し判断した場合、(共通点ア)から(共通点ウ)は、両意匠の類否判断に与える影響は小さいのに対し、(相違点エ)が、両意匠の類否判断に与える影響は小さいものの、(相違点ア)から(相違点ウ)が、両意匠の類否判断に与える影響は大きいものであるから、相違点全体が相まって両意匠の類否判断に与える影響が大きいものである。
したがって、両意匠の形状等を全体として総合的に観察した場合、両意匠の形状等は、共通点に比べて、相違点が両意匠の類否判断に与える影響の方が大きく、需要者である住宅等購入者や壁板の取引業者等に別異の印象を与えるものであるから、両意匠の形状等は類似しない。
(4)小括
そうすると、両意匠は、意匠に係る物品は同一であるが、その形状等において類似しないから、本願意匠は引用意匠に類似しない。
第5 むすび
以上のとおりであって、原査定の引用意匠をもって、本願意匠は、意匠法3条1項3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから、原査定の拒絶の理由によって、本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。
また、当審において、更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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