商標拒絶査定不服審判
2025-010325
エルエルエムオオシイアアル、エルエルエム、オオシイアアル
- 審判番号
- 2025-010325
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2024-083248
- 請求日
- 2025年07月02日
- 審決日
- 2026年03月02日
- 公報発行日
- 2026年05月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社ITSO
- 【請求人代理人】弁理士法人小野・引田特許商標事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 大島 康浩
- 審判官 小林 裕子
- 審判官 中島 光
- 分類
- T18 .13 -WZ (W42)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2024-83248拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 手続の経緯
本願は、令和6年7月19日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和7年 1月22日付け:拒絶理由通知書
令和7年 2月21日 :意見書、手続補正書の提出
令和7年 3月27日付け:拒絶査定
令和7年 7月 2日 :審判請求書、手続補正書の提出
令和7年11月17日付け:拒絶理由通知書
2 本願商標
本願商標は、「LLM OCR」の文字を標準文字で表してなり、第35類及び第42類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務として、令和6年7月19日に登録出願され、その後、指定役務については、同7年2月21日及び同年7月2日提出の手続補正書により、最終的に、第42類「電子計算機の貸与,電子計算機用プログラムの提供,オンラインによるアプリケーションソフトウェアの提供(SaaS),コンピュータソフトウェアプラットフォームの提供(PaaS),クラウドコンピューティングを介した仮想コンピュータシステムの提供,コンピュータプログラムのインストール」に補正されたものである。
3 原査定の拒絶の理由の要点
本願商標は、「LLM OCR」の文字を標準文字で表してなるところ、構成中「LLM」の文字は、「膨大な文章データでディープラーニングによる事前学習を行った言語モデル」の意味を、「OCR」の文字は、「手書きされたり印刷されたりした文字や数字を、光学的に読み取る装置。光学式文字読み取り装置」の意味を、それぞれ有する語として広く使用されているものであることに加え、「LLM」及び「OCR」は併用して活用することが可能であり、「LLM」及び「OCR」の技術を用いた各種機器(コンピュータプログラム、AIを含む。)によって提供されるサービスが存在する実情がある。そうすると、本願商標をその指定役務に使用しても、これに接する取引者・需要者は、例えば、「LLM及びOCRの技術を用いた一般事務代行」、「LLM及びOCRの技術を用いたデータの転記業務の代行」のように、「LLM及びOCRの技術を用いた役務」と理解するにとどまるというのが相当であるから、本願商標は、役務の質を普通に用いられる方法で表示したものとして認識するにすぎないものである。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
4 当審における拒絶理由通知及びそれに対する請求人の回答
当審において、請求人に対し、令和7年11月17日付けで、別掲1ないし別掲4の事実を示した上で、本願商標は、上記2の補正後の指定役務との関係において、役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるから、商標法第3条第1項第3号に該当する旨の拒絶理由を通知し、相当の期間を指定して、これに対する意見を求めた。
請求人は、当該拒絶理由通知に対し、指定した期間を経過するも、何ら回答していない。
5 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号について
ア 商標法第3条第1項第3号に掲げる商標が商標登録の要件を欠くとされているのは、このような商標は、商品の産地、販売地その他の特性を表示記述する標章であって、取引に際し必要適切な表示としてなんぴともその使用を欲するものであるから、特定人によるその独占的使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、一般的に使用される標章であって、多くの場合自他商品識別力を欠き、商標としての機能を果たし得ないものであることによるものと解される(昭和53年(行ツ)第129号、最高裁昭和54年4月10日第三小法廷判決・裁判集民事126号507頁)。
また、この趣旨に照らせば、当該商標が指定商品又は指定役務の品質又は質等を表すものとして、審決時に需要者に広く認識されている場合はもとより、将来を含め、需要者にその商品又は役務の品質又は質等を表すものと認識される可能性があって、これを特定人に独占使用させることが公益上適当でないと判断されるときは、その商標は、同号に該当すると解するのが相当である。
イ 本願商標は、「LLM OCR」の文字を標準文字で表してなるところ、構成中の「LLM」の文字は、「膨大な文章データでディープラーニングによる事前学習を行った言語モデル」を意味し、対話型AIなどの生成AIで利用される、「large language model」の語の略語(「デジタル大辞泉」株式会社小学館)として辞書に載録されているものである。また、別掲1によれば、「LLM」は、前記の特徴を備えた、自然言語処理に特化したAIの一種であり、「大規模言語モデル」とも呼ばれている実情があることがうかがえる。
また、構成中の「OCR」の文字は、「光学的文字読取装置」(「広辞苑 第七版」株式会社岩波書店)の意味を有するものである一方、別掲2のとおり、近時においては、「文字をコンピュータが認識できるようデジタルデータに変換する技術」の意味でも使用されているものである。
加えて、別掲3のとおり、LLMを含むAI技術を用いたOCR(文字をコンピュータが認識できるようデジタルデータに変換する技術)が開発、提供されている実情がある。
そうすると、本願商標の各構成文字の意味と、前記の各実情に照らせば、本願商標は、全体として「LLM(大規模言語モデル)を利用した、文字をコンピュータが認識できるようデジタルデータに変換する技術」ほどの意味合いを容易に認識させるものである。
そして、別掲4のとおり、文字をコンピュータが認識できるようデジタルデータに変換する技術としてのOCR(システム、ソフトウェア)が、インターネット上で提供されている実情、OCR(システム、ソフトウェア)のインストールサービスが提供されている実情、及び、OCR機能を有する電子計算機の貸与を行うサービスが提供されている実情があることからすれば、本願商標を上記2の指定役務に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、その役務が、LLMを利用したOCR(文字をコンピュータが認識できるようデジタルデータに変換する技術)システム又はソフトウェアを提供する役務であるという、役務の質(内容)を表示したものと認識するにとどまるものであって、本願商標は、特定人によるその独占使用を認めるのは公益上適当でないとともに、自他役務識別力を欠くものというのが相当である。
なお、上記のとおり、本願商標は、標準文字で表してなるものであるから、その態様上顕著な特徴は認められない。
以上を踏まえると、本願商標は、上記指定役務との関係において、その役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標といわざるを得ない。
したがって、本願商標は商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)審判請求書における請求人の主張について
ア 請求人は、本願商標は、格別の意味合いを有しない一種の造語であり、補正後の第42類の指定役務との関係において、これより直ちに特定の意味合いを認識させるものではなく、また、請求人による使用を除き、「LLM OCR」の文字が、前記指定役務の分野において使用されている事実は発見できない旨を主張する。また、請求人は、自身の使用に係る「LLM OCR」の文字のうち、「OCR」の文字を採択した意図を述べている。
しかしながら、上記(1)アのとおり、当該商標が指定商品又は指定役務の品質又は質等を表すものとして、審決時に需要者に広く認識されている場合はもとより、将来を含め、需要者にその商品又は役務の品質又は質等を表すものと認識される可能性があって、これを特定人に独占使用させることが公益上適当でないと判断されるときは、その商標は、同号に該当すると解するのが相当であるところ、本願商標を構成する「LLM」及び「OCR」の文字が有する意味、LLMを含むAI技術を用いたOCR(文字をコンピュータが認識できるようデジタルデータに変換する技術)が開発、提供されている実情に照らせば、本願商標を採択した請求人の意図に関わらず、本願商標は、全体として「LLM(大規模言語モデル)を利用した、文字をコンピュータが認識できるようデジタルデータに変換する技術」ほどの意味合いを容易に認識させるものであって、その指定役務との関係で、役務の質を表示記述するものとして取引に際し必要適切な表示であり、本願商標の指定役務の需要者によって本願商標がその指定役務に使用された場合に、将来を含め、役務の質を表示したものと一般に認識されるものであることは、上記(1)イで述べたとおりである。
イ 請求人は、過去の登録例を挙げ、本願商標も同様に、その指定役務との関係において、識別力を有していると判断されるべきである旨主張する。
しかしながら、登録出願に係る商標が、商標法第3条第1項第3号に該当するものであるか否かの判断は、当該登録出願の査定時又は審決時において、当該商標の構成態様と指定商品又は指定役務の取引の実情等に基づいて、個別具体的に判断されるべきものであるところ、本願については上記(1)のとおり判断するものであるから、請求人の挙げた登録例があることをもって、本願の判断を左右するものではない。
ウ したがって、請求人の前記主張は、いずれも採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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