特許拒絶査定不服審判
2025-010040
表面処理鋼板
- 審判番号
- 2025-010040
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2021-135839
- 請求日
- 2025年06月27日
- 審決日
- 2026年06月12日
- 公報発行日
- 2026年07月31日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】日本製鉄株式会社
- 【請求人代理人】青木 篤
- 【請求人代理人】三橋 真二
- 【請求人代理人】福地 律生
- 【請求人代理人】齋藤 学
- 【請求人代理人】木村 健治
- 審判長/審判官
- 審判長 佐藤 陽一
- 審判官 富永 泰規
- 審判官 川崎 良平
- 分類
- P18 .121-WY (C23C) / P18 .56 -WY (C23C) / P18 .572-WY (C23C)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第5項第2号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2021-135839「表面処理鋼板」拒絶査定不服審判事件〔令和 5年 3月 8日出願公開、特開2023- 30615、請求項の数(5)〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和 3年 8月23日の出願であって、令和 7年 1月 6日付けで拒絶理由が通知され、令和 7年 2月28日に意見書及び手続補正書が提出され、令和 7年 5月 1日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。)がされ、これに対し、令和 7年 6月27日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正書が提出されたものである。
第2 補正の却下の決定
1 補正の却下の決定の結論
令和 7年 6月27日付けの手続補正(以下「本件補正」という)を却下する。
2 補正の却下の決定の理由
(1)本件補正の内容
ア 本件補正は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1~5を、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1~5に補正するものである。
イ 本件補正前の特許請求の範囲の請求項1~5の記載及び本件補正後の特許請求の範囲の請求項1~5の記載は、それぞれ以下のとおりである。
(ア)本件補正前の特許請求の範囲の請求項1~5の記載
「 【請求項1】
亜鉛含有めっき層を有するめっき鋼板と、
前記めっき鋼板の少なくとも一方の主面であって、亜鉛含有めっき層の表面に設けられた表面処理層と、
を有する、表面処理鋼板であって、
前記表面処理層が、塗膜を有し、
前記塗膜が、バインダー樹脂と、防錆剤と、導電剤と、を含み、
前記塗膜の表面の算術平均うねりWaが、0.10μm以上3.00μm以下であり、
前記導電剤として、70質量%以上のSiを含有するフェロシリコンを含む
表面処理鋼板。
【請求項2】
前記塗膜が、前記バインダー樹脂として、ポリエステル樹脂を含む、
請求項1に記載の表面処理鋼板。
【請求項3】
前記塗膜が、前記防錆剤として、リン化合物及びバナジウム化合物のうちの少なくとも一方を含む、
請求項1又は2に記載の表面処理鋼板。
【請求項4】
前記塗膜が、前記防錆剤として、シリカを含む、
請求項1~3のいずれか1項に記載の表面処理鋼板。
【請求項5】
前記塗膜の付着量が、2g/m2以上30g/m2以下である、
請求項1~4のいずれか1項に記載の表面処理鋼板。」
(イ)本件補正後の特許請求の範囲の請求項1~5の記載
「 【請求項1】
亜鉛含有めっき層を有するめっき鋼板と、
前記めっき鋼板の少なくとも一方の主面であって、亜鉛含有めっき層の表面に設けられた表面処理層と、
を有する、表面処理鋼板であって、
前記表面処理層が、塗膜を有し、
前記塗膜が、バインダー樹脂と、防錆剤と、導電剤と、を含み、
前記塗膜の表面の算術平均うねりWaが、0.10μm以上3.00μm以下であり、
前記導電剤として、70質量%以上のSiを含有するフェロシリコンを含み、
前記表面処理鋼板を2枚重ね、先端径5mm、R40のCF型Cr-Cu電極を用い、加圧力1.96kNの条件で挟み込んだのち、溶接電流1kAを流した時の上電極と下電極に接している面の抵抗値を任意の5点で測定し、その平均を接触抵抗値とするとき、接触抵抗値が2500mΩ超であり、
前記表面処理鋼板の端面をシールテープし、めっき下の鋼板に達するカット疵(×の形)を付与したのち、塩水噴霧(SST、5%NaCl、35℃雰囲気)2hr、乾燥(60℃)2hr、及び湿潤(50℃、98%RH)4hrを1サイクルとするサイクル腐食試験を30サイクル実施した後、傷部からの赤錆最大幅が7mm以下であり、
前記表面処理鋼板の折り曲げ加工を行ったのち、幅5cmに切断した試験片について、JIS G3312に準じた試験方法で20℃の雰囲気中で2T曲げを行い、その加工部に対し、テープ剥離試験を実施した際、剥離した塗膜がテープを貼付した面積の50%未満であり、
前記表面処理鋼板に対して、サーフファイン5N-8(日本ペイント社製)の0.1質量%水溶液で40℃、30秒間スプレー処理(表面調整)し、続いてSD5350(日本ペイント社製)の6質量%水溶液で35℃、2分間スプレー処理(化成処理)した後、水道水で30秒間スプレー処理(水洗)し、その後、電着塗装パワーニクス110(日本ペイント社製)を用いて電着塗装し、水道水で30秒間スプレー処理(水洗)した後、170℃で20分間加熱して焼付けを行い、15μmの乾燥膜厚となる電着塗装膜厚を作製し、端面をシールテープし、めっき下の鋼板に達するカット疵(×の形)を付与したのち、塩水噴霧(SST、5%NaCl、35℃雰囲気)2hr、乾燥(60℃)2hr、及び湿潤(50℃、98%RH)4hrを1サイクルとするサイクル試験を300サイクル実施した後、傷部からの赤錆最大幅が7mm以下である
表面処理鋼板。
【請求項2】
前記塗膜が、前記バインダー樹脂として、ポリエステル樹脂を含む、
請求項1に記載の表面処理鋼板。
【請求項3】
前記塗膜が、前記防錆剤として、リン化合物及びバナジウム化合物のうちの少なくとも一方を含む、
請求項1又は2に記載の表面処理鋼板。
【請求項4】
前記塗膜が、前記防錆剤として、シリカを含む、
請求項1~3のいずれか1項に記載の表面処理鋼板。
【請求項5】
前記塗膜の付着量が、2g/m2以上30g/m2以下である、
請求項1~4のいずれか1項に記載の表面処理鋼板。」
ウ すなわち、本件補正は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1に「前記表面処理鋼板を2枚重ね、先端径5mm、R40のCF型Cr-Cu電極を用い、加圧力1.96kNの条件で挟み込んだのち、溶接電流1kAを流した時の上電極と下電極に接している面の抵抗値を任意の5点で測定し、その平均を接触抵抗値とするとき、接触抵抗値が2500mΩ超であり、
前記表面処理鋼板の端面をシールテープし、めっき下の鋼板に達するカット疵(×の形)を付与したのち、塩水噴霧(SST、5%NaCl、35℃雰囲気)2hr、乾燥(60℃)2hr、及び湿潤(50℃、98%RH)4hrを1サイクルとするサイクル腐食試験を30サイクル実施した後、傷部からの赤錆最大幅が7mm以下であり、
前記表面処理鋼板の折り曲げ加工を行ったのち、幅5cmに切断した試験片について、JIS G3312に準じた試験方法で20℃の雰囲気中で2T曲げを行い、その加工部に対し、テープ剥離試験を実施した際、剥離した塗膜がテープを貼付した面積の50%未満であり、
前記表面処理鋼板に対して、サーフファイン5N-8(日本ペイント社製)の0.1質量%水溶液で40℃、30秒間スプレー処理(表面調整)し、続いてSD5350(日本ペイント社製)の6質量%水溶液で35℃、2分間スプレー処理(化成処理)した後、水道水で30秒間スプレー処理(水洗)し、その後、電着塗装パワーニクス110(日本ペイント社製)を用いて電着塗装し、水道水で30秒間スプレー処理(水洗)した後、170℃で20分間加熱して焼付けを行い、15μmの乾燥膜厚となる電着塗装膜厚を作製し、端面をシールテープし、めっき下の鋼板に達するカット疵(×の形)を付与したのち、塩水噴霧(SST、5%NaCl、35℃雰囲気)2hr、乾燥(60℃)2hr、及び湿潤(50℃、98%RH)4hrを1サイクルとするサイクル試験を300サイクル実施した後、傷部からの赤錆最大幅が7mm以下である」という事項を追加する補正事項を含むものである。
(2)本件補正の適否の判断
ア 特許法第17条の2第5項の規定によれば、拒絶査定不服審判の請求と同時にする特許請求の範囲についての補正は、請求項の削除(第1号)、特許請求の範囲の減縮(第2号)、誤記の訂正(第3号)、明りょうでない記載の釈明(第4号)のいずれかを目的とするものに限るとされている。
イ そこで、本件補正について、以下、検討する。
(ア)本件明細書の段落【0058】~【0065】の記載をみると、本件補正は、請求項1に係る「表面処理鋼板」の性能評価試験の評価方法と評価結果を特定する補正であると認められる。
(イ)一方、上記(1)イ(ア)のとおり、本件補正前の請求項1には、「表面処理鋼板」の性能評価試験に係る事項が記載されていないから、本件補正は、本件補正前の「請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するもの」とはいえない。
よって、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号(特許請求の範囲の減縮)に掲げる事項を目的とするものに該当しない。
(ウ)そして、本件補正が、特許法第17の2第5項第1号、第3号及び第4号に掲げる、請求項の削除、誤記の訂正、明りょうでない記載の釈明のいずれの事項を目的とするものにも該当しないことは明らかである。
ウ 以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
本件補正は、前記のとおり却下されたので、本願の請求項1~5に係る発明は、令和 7年 2月28日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~5に記載された事項により特定されるとおりのものであると認める。
そして、本願については、原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2025-010040