商標拒絶査定不服審判
2025-007630
サカナヤアラマサ、アラマサ
- 審判番号
- 2025-007630
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2024-036828
- 請求日
- 2025年04月25日
- 審決日
- 2025年09月11日
- 公報発行日
- 2025年11月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社レストレ
- 【請求人代理人】坂口 英一
- 審判長/審判官
- 審判長 旦 克昌
- 審判官 真鍋 伸行
- 審判官 須田 亮一
- 分類
- T18 .261-Z (W43) / T18 .262-Z (W43) / T18 .263-Z (W43)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項11号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第11号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2024-36828拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和6年3月26日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和6年10月31日付け:拒絶理由通知書
令和6年12月3日 :意見書の提出
令和7年2月4日付け :拒絶査定
令和7年4月25日 :審判請求書の提出
第2 本願商標
本願商標は、「魚屋あらまさ」の文字を標準文字で表してなり、第43類「飲食物の提供」を指定役務として、登録出願されたものである。
第3 原査定の拒絶の理由(要点)
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録第6882536号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、第43類「宿泊施設の提供,宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ,飲食物の提供,会議室の貸与,展示施設の貸与,食器の貸与,調理用機械器具の貸与」のほか、第35類及び第37類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として令和5年8月31日に登録出願され、同7年1月7日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
第4 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号について
商標の類否は、対比される両商標が同一又は類似の役務に使用された場合に、役務の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであるが、それには、そのような役務に使用された商標がその外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すべく、しかもその役務の取引の実情を明らかにし得る限り、その具体的な取引状況に基づいて判断するのを相当とする(最高裁昭和39年(行ツ)第110号同43年2月27日判決参照)。
また、複数の構成部分を組み合わせた結合商標については、商標の各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合していると認められる場合においては、その構成部分の一部を抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して類否を判断することは、原則として許されないが、その場合であっても、商標の構成部分の一部が取引者又は需要者に対し、商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与える場合や、それ以外の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じない場合などには、商標の構成部分の一部だけを取り出して、他人の商標と比較し、その類否を判断することが許されるものと解される(最高裁昭和37年(オ)第953号同38年12月5日判決、最高裁平成3年(行ツ)第103号同5年9月10日判決、最高裁平成19年(行ヒ)第223号同20年9月8日判決参照)。
2 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本願商標
本願商標は、上記第2のとおり、「魚屋あらまさ」の文字を標準文字で表してなるところ、「魚屋」の文字は「魚類その他の海産物を売る店」の意味を有する語(「広辞苑 第七版」株式会社岩波書店)であり、「あらまさ」の文字は一般的な辞書等に掲載のないものであって特定の意味合いを認識させるものではない。
また、「魚屋」の文字及びその平仮名表記と認められる文字は、原審において示したとおり(別掲2参照)、本願の指定役務を取り扱う業界においては、主に魚料理を取り扱う飲食店であること、すなわち役務の質(内容)を表すものとして、一般に使用されている実情があるから、本願商標の構成中の「魚屋」の文字は、本願の指定役務との関係において、自他役務の識別標識としての機能が弱い部分というのが相当である。
他方、「あらまさ」の文字は、上記のとおり、特定の意味合いを認識させるものではないから、本願の指定役務との関係において役務の質等を表すものではなく、自他役務の識別標識としての機能を十分発揮し得る部分である。
そして、本願商標の構成中「魚屋」の文字と「あらまさ」の文字は互いに観念上のつながりがなく、一連一体となって何らかの観念が生じるともいえないものであって、ほかにこれらを常に一体のものとしてのみ観察しなければならない特段の事情も見いだせない。
そうすると、本願商標の構成中の「魚屋」の文字と「あらまさ」の文字とを分離して観察することが、取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているとはいえないものというべきである。
以上からすれば、本願商標の構成中、「あらまさ」の文字は、本願商標の構成においては、当該文字が、需要者に対して、強く支配的な印象を与える要部であるといえる。
したがって、本願商標の構成から、「あらまさ」の文字を要部として抽出し、他の商標と比較して商標の類否を判断することが許されるものであり、本願商標は、その要部である「あらまさ」の文字に相応して、「アラマサ」の称呼を生じ特定の観念を生じないものである。
(2)引用商標
引用商標は、別掲1のとおり、「新政」の漢字を筆書き風の書体で横書きし、その下段に若干小さく「ARAMASA」の欧文字を横書きしてなるところ、「新政」の文字は、「新しい政治や政令」の意味を有する語(前掲書)であるものの、その構成文字である「新」を「アラ」、「政」を「マサ」と読むことから「アラマサ」と読むことも自然といえるところ、この場合、下段の「ARAMASA」の文字は、本願商標の読みを特定するものといえる。
そして、引用商標を「アラマサ」と読む場合には、そのように読む「新政」の文字は一般の辞書等には掲載のないものであって、特定の意味合いを認識させるものではない。
そうすると、引用商標は、「アラマサ」の称呼を生じ、特定の観念を生じるものではない。
また、引用商標の構成中の「新政」の文字を「新しい政治や政令」の意味を有する語と認識し、「シンセイ」と読む場合には、下段に書された「ARAMASA」の文字は、辞書等に掲載のないものであって、特定の意味合いを認識させるものではない。
そして、この場合には、引用商標の構成中「新政」の文字と「ARAMASA」の文字は、上下2段にスペースを空けて書されていること、文字の大きさが異なることに加え、これらは互いに観念上のつながりがなく、一連一体となって何らかの観念が生じるともいえないものであって、ほかにこれらを常に一体のものとしてのみ観察しなければならない特段の事情も見いだせないことからすれば、引用商標の構成中の「新政」の文字と「ARAMASA」の文字とを分離して観察することが、取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているとはいえないものというべきである。
さらに、引用商標の構成中の「新政」の文字と「ARAMASA」の文字は、いずれも、引用商標の指定役務との関係において、役務の質等を表すものではなく、自他役務の識別標識としての機能を十分発揮し得る部分である。
以上からすれば、「新政」の文字を「シンセイ」と読む場合には、引用商標の構成においては、「新政」の文字と「ARAMASA」の文字の双方が、それぞれ独立して自他役務の識別標識としての機能を発揮し得る部分ということができ、これらは、需要者に対して、強く支配的な印象を与える要部であるといえる。
したがって、引用商標の構成から、「ARAMASA」の文字を要部として抽出し、他の商標と比較して商標の類否を判断することが許されるものであり、引用商標は、その要部の一つである「ARAMASA」の文字に相応して、「アラマサ」の称呼を生じ特定の観念を生じないものである。
(3)本願商標と引用商標との類否
ア 引用商標の構成中「新政」の文字を「アラマサ」と読むものと認識される場合
本願商標と引用商標は、「魚屋」の文字及び「ARAMASA」の文字の有無という差異並びに書体及び文字種の差異を有することから、両商標は、その構成全体の比較において外観上相違するものであって、また、本願商標の構成中の「あらまさ」の文字と引用商標との比較においても、両者の外観は、「ARAMASA」の文字の有無並びに書体及び文字種の差異を有するものである。
しかしながら、商標の使用においては、商標の構成文字を同一の称呼を生じる範囲内で文字種を相互に表記することが一般に行われている取引の実情があること、「ARAMASA」の文字は引用商標の読みを特定するものと理解されることに鑑みれば、本願商標の構成中の「あらまさ」の文字と引用商標における上記の差異が看者に対し、強い印象を与えるとまではいえない。
また、称呼においては、両者は、「アラマサ」の称呼を生じるものであるから、称呼を共通にするものである。
そして、観念においては、両者はともに、特定の観念を生じないから、観念を比較することはできない。
以上によれば、本願商標の「あらまさ」の文字部分と引用商標は、観念において比較することができないとしても、称呼を共通にするものであって、外観上の相違は、上記のとおり強い印象を与えるものとはいえず、称呼の同一性をしのぐほどの差異として需要者に認識されるものとはいえないことから、その外観、称呼及び観念が、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合すれば、本願商標と引用商標は、役務の出所について誤認混同を生ずるおそれのある類似の商標と判断するのが相当である。
イ 引用商標の構成中「新政」の文字を「シンセイ」と読むものと認識される場合
本願商標と引用商標は、「魚屋」の文字及び「ARAMASA」の文字の有無という差異並びに書体及び文字種の差異を有することから、両商標は、その構成全体の比較において外観上相違するものであって、また、本願商標の構成中の「あらまさ」の文字と引用商標の構成中の「ARAMASA」との比較においても、両者の外観は、書体及び文字種の差異を有するものである。
しかしながら、商標の使用においては、商標の構成文字を同一の称呼を生じる範囲内で文字種を相互に表記することが一般に行われている取引の実情があることに鑑みれば、本願商標の構成中の「あらまさ」の文字と引用商標の構成中の「ARAMASA」の文字における上記の差異が看者に対し、強い印象を与えるとまではいえない。
また、称呼においては、両者は、「アラマサ」の称呼を生じるものであるから、称呼を共通にするものである。
そして、観念においては、両者はともに、特定の観念を生じないから、観念を比較することはできない。
以上によれば、本願商標の「あらまさ」の文字部分と引用商標の構成中の「ARAMASA」の文字は、観念において比較することができないとしても、称呼を共通にするものであって、外観上の相違は、上記のとおり強い印象を与えるものとはいえず、称呼の同一性をしのぐほどの差異として需要者に認識されるものとはいえないことから、その外観、称呼及び観念が、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合すれば、本願商標と引用商標は、役務の出所について誤認混同を生ずるおそれのある類似の商標と判断するのが相当である。
ウ 小括
本願商標と引用商標は、引用商標の構成中の「新政」の文字を「アラマサ」と読むものと認識される場合であっても、「シンセイ」と読むものと認識される場合であっても、役務の出所について誤認混同を生ずるおそれのある類似の商標と判断するのが相当である。
(4)本願の指定商品及び指定役務と引用商標の指定役務との類否について
本願の指定役務は、引用商標の指定役務中の第43類「飲食物の提供」と同一の役務である。
(5)小括
本願商標と引用商標とは、相紛れるおそれのある類似の商標であり、かつ、本願の指定役務は、引用商標の指定役務と同一又は類似のものである。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
3 請求人の主張について
請求人は、過去における登録例や審決例を挙げて、本願商標も登録されるべき旨を主張している。
しかしながら、商標の類否判断は、商標の構成、指定役務、取引の実情等を踏まえて、商標ごとに個別に判断すべきものであって、請求人が指摘するような他の登録例や審決例があるからといって、本願商標と引用商標の類否判断が影響を受けるものではないから、本願商標が引用商標と類似することを否定する理由にはならない。
したがって、請求人の主張は、採用できない。
4 まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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