商標拒絶査定不服審判
2025-007343
デンセツノテバサキ、デンセツノ、デンセツ
- 審判番号
- 2025-007343
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2024-022963
- 請求日
- 2025年05月13日
- 審決日
- 2026年01月29日
- 公報発行日
- 2026年04月24日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社プロジェクトM
- 【請求人代理人】橘 哲男
- 審判長/審判官
- 審判長 大島 康浩
- 審判官 小林 裕子
- 審判官 中島 光
- 分類
- T18 .16 -Z (W303543)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項6号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第6号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2024-22963拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 手続の経緯
本願は、令和6年3月6日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和6年10月11日付け:拒絶理由通知書
令和6年12月 2日 :意見書の提出
令和7年 2月 7日付け:拒絶査定
令和7年 5月13日 :審判請求書の提出
令和7年10月 9日付け:審尋
令和7年11月25日 :回答書の提出
2 本願商標
本願商標は、「伝説の手羽先」の文字を普通に用いられる方法で表してなり、第30類、第35類及び第43類に属する別掲1のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として登録出願されたものである。
3 原査定の拒絶の理由の要点
本願商標は、「伝説の手羽先」の文字を普通に用いられる方法で表してなるところ、食品業界において、「伝説の手羽先」の文字が、「語り伝えられるべきものというくらいの名声が確立した手羽先料理」ほどの意味合いで宣伝、広告的に使用されている実情が認められる。そうすると、本願商標をその指定商品及び指定役務中、第30類「焼肉弁当,弁当,すし,調理済みのチャーハン,調理済み焼きそば,調理済みスパゲッティ,おにぎり,菓子,パン,サンドイッチ,中華まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ,ぎょうざ,しゅうまい,たこ焼き,ラビオリ」及び第43類「飲食物の提供」に使用しても、これに接する需要者は、「語り伝えられるべきものというくらいの名声が確立した手羽先料理に係る商品(役務)」であることを端的に表現した顧客の吸引、販売促進等のための宣伝広告の一類型を表示したものと理解するにとどまり、自他商品役務の識別標識としての機能を果たし得ないというのが相当であるから、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る商品、役務であることを認識することができない商標と認められる。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。
4 当審における審尋
当審において、令和7年10月9日付け審尋により、本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当する旨の暫定的見解を示し、相当の期間を指定して、請求人に対し、意見を求めた。
5 審尋に対する請求人の意見(要旨)
(1)本願商標は、同書・同大・同色・同間隔で外観上まとまりよく一体に表示され、「デンセツノテバサキ」の称呼も一気一連に淀みなく発音される、全体で一体不可分のものである。
(2)審尋において、「伝説の手羽先」という表現の使用例について挙げているのはわずか5件程度にすぎず、しかもいずれも文中における断片的な使用にとどまっている。このようなわずか5件程度の使用例では、社会通念上、広く一般に使用されているとは到底認められず、むしろこれは特定の事業者による個別的・限定的な使用にすぎないものである。
(3)「伝説の」という語自体が、本来的に誇張的・修辞的な表現であり、商品・役務の具体的な品質や特性を客観的に示す記述的表現とは明らかに異なるものである。
(4)商標の構成中に「伝説の」の文字を有する過去の登録例が存在する。
(5)「伝説の手羽先」の語は、一般的な辞書・辞典類はもちろん、専門的な辞書・辞典類にも一切掲載されていない。この事実は、当該表現が一般語や慣用句として確立していないことを示している。
6 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第6号の趣旨について
商標法は、「商標を保護することにより、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もつて産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護することを目的とする」ものであるところ(同法第1条)、商標の本質は、自己の業務に係る商品又は役務と識別するための標識として機能することにあり、この自他商品の識別標識としての機能から、出所表示機能、品質保証機能及び広告宣伝機能等が生じるものである。同法第3条第1項第6号が、「需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標」を商標登録の要件を欠くと規定するのは、同項第1号ないし第5号に例示されるような、識別力のない商標は、特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、一般的に使用される標章であって、自他商品又は役務の識別力を欠くために、商標としての機能を果たし得ないものであることによるものと解すべきである(知財高裁平成24年(行ケ)第10323号参照)。
(2)本願商標の商標法第3条第1項第6号該当性について
本願商標は、「伝説の手羽先」の文字を、普通に用いられる書体で横書きしてなるところ、その構成中、「伝説」の文字は、「言い伝えられること」の意味を有する語として(「大辞林 第四版」株式会社三省堂)、「手羽先」の文字は「鶏肉で、手羽の先の部分」の意味を有する語として(「広辞苑 第七版」株式会社岩波書店)、いずれも広く一般に親しまれているものであるから、本願商標は「伝説」と「手羽先」の各文字を、助詞「の」を用いて結合してなるものと容易に看取されるものである。
そして、別掲2のとおり、飲食料品及び飲食物の提供に係る分野において、「手羽先」の文字が、手羽先(鶏肉で、手羽の先の部分)を揚げるなどした料理の名称として一般に使用されている実情がある。
また、別掲3のとおり、同分野において、例えば「伝説のぎょうざ」、「伝説のカツサンド」等のように、「伝説」の文字と料理の名称とを、助詞「の」を用いて結合してなる「伝説の○○」(合議体注:○○には料理の名称が入る。)の文字が、販売される飲食料品又は飲食店において提供される料理が、通常の商品又は提供される料理に対して優位性のある、語り伝えられるべきものというくらいの名声が確立したものであるという体裁を整えて需要者に訴求する、一種の宣伝、広告のために広く用いられている実情がある。
加えて、別掲4のとおり、飲食物の提供に係る分野において、複数の事業者によって、「伝説の手羽先」の文字が、前記と同様に、役務の宣伝、広告のために使用されている実情もある。
そうすると、本願商標の各構成文字の意味及び前記の各実情に照らせば、本願商標は、これをその指定商品及び指定役務中、第30類「焼肉弁当,弁当」及び第43類「飲食物の提供」に使用しても、これに接する需要者は、「語り伝えられるべきものというくらいの名声が確立した手羽先料理」であること、すなわち、商品又は役務の優位性を示すための、宣伝広告のための語句であると理解するにとどまるものであって、自他商品役務の識別標識として認識し得ないものというのが相当である。
してみれば、本願商標は、特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、一般的に使用される標章であって、需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができないものといわざるを得ない。
したがって、本願商標は商標法第3条第1項第6号に該当する。
(3)請求人の主張について
ア 請求人は、本願商標は全体で一体不可分のものである旨を主張する。
しかしながら、本願商標の構成中、「伝説」及び「手羽先」の文字は、辞書に掲載されている、いずれも広く一般に親しまれているものであるから、本願商標は「伝説」と「手羽先」の各文字を、助詞「の」を用いて結合してなるものと容易に看取されるものであることは、前記(2)のとおりである。
イ 請求人は、審尋において挙げられている、「伝説の手羽先」という表現の使用例はわずか5件程度にすぎず、しかもいずれも文中における断片的な使用にとどまっている旨、及び、「伝説の手羽先」の語が、辞書・辞典類に掲載されていない旨を主張する。また、請求人は、「伝説の」という語が、本来的に誇張的・修辞的な表現であり、商品・役務の具体的な品質や特性を客観的に示す記述的表現とは異なるものである旨も主張する。
しかしながら、本願商標を構成する各文字の意味及び別掲2ないし別掲4の実情に照らせば、本願商標は、これを第30類「焼肉弁当,弁当」及び第43類「飲食物の提供」に使用しても、これに接する需要者に、「語り伝えられるべきものというくらいの名声が確立した手羽先料理」であること、すなわち、商品又は役務の優位性を示すための、宣伝広告のための語句であると理解するにとどまるものであって、自他商品役務の識別標識として認識し得ないものというべきであることは前記(2)のとおりである。
ウ 請求人は、商標の構成中に「伝説の」の文字を有する過去の登録例が存在する旨を主張する。
しかしながら、登録出願に係る商標が、自他商品・役務の識別標識として機能し得るか否かの判断は、当該登録出願の査定時又は審決時において、当該商標の構成態様と指定商品・指定役務の取引の実情等に基づいて、個別具体的に判断されるべきものであるところ、本願については前記(2)のとおり判断するものであるから、請求人の挙げた登録例があることをもって、本願の判断を左右するものではない。
エ したがって、請求人の前記主張は、採用することができず、その他、請求人の主張は、いずれも採用することができない。
(4)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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