商標拒絶査定不服審判
2025-004399
モア、エムオオエイ
- 審判番号
- 2025-004399
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2024-046327
- 請求日
- 2025年03月21日
- 審決日
- 2025年06月24日
- 公報発行日
- 2025年10月31日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社エム・オー・エー商事
- 【請求人代理人】湯浅 正彦
- 【請求人代理人】宇田川 和也
- 【請求人】一般社団法人MOAインターナショナル
- 【請求人代理人】湯浅 正彦
- 【請求人代理人】宇田川 和也
- 【請求人】公益財団法人岡田茂吉美術文化財団
- 【請求人代理人】湯浅 正彦
- 【請求人代理人】宇田川 和也
- 審判長/審判官
- 審判長 高橋 幸志
- 審判官 小俣 克巳
- 審判官 白鳥 幹周
- 分類
- T18 .261-Z (W0309162029313541) / T18 .262-Z (W0309162029313541) / T18 .263-Z (W0309162029313541)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項11号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第11号、商標法第10条第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2024- 46327拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和5年7月31日に登録出願された商願2023-89879に係る商標法第10条第1項の規定による商標登録出願(分割出願)として、令和6年4月17日に登録出願されたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和6年 6月21日 :出願人名義変更届
令和6年 7月19日付け:拒絶理由通知書
令和6年 8月30日 :意見書の提出
令和6年12月13日付け:拒絶査定
令和7年 3月21日 :審判請求書の提出
第2 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、別掲2のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として登録出願されたものである。
第3 原査定の拒絶の理由(要旨)
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録商標は、以下の1ないし6のとおりであり(以下、これらをまとめて「引用商標」という。)、いずれも現に有効に存続しているものである。
1 登録第279961号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:「モア」の片仮名を一列に縦書きしてなるもの
指定商品:第3類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品
登録出願日:昭和10年10月31日
設定登録日:昭和11年 7月18日
書換登録日:平成18年11月 8日
2 登録第1390741号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:「モア」の片仮名を一列に横書きしてなるもの
指定商品:第29類、第30類及び第31類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品
登録出願日:昭和49年 8月28日
設定登録日:昭和54年 9月28日
書換登録日:平成21年 7月29日
3 登録第2081508号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の構成:「MOA」の欧文字と「エムオーエー」の片仮名を上下二段に横書きしてなる商標
指定商品:第9類及び第16類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品
登録出願日:昭和56年 7月15日
設定登録日:昭和63年 9月30日
書換登録日:平成21年 3月 4日
4 登録第4986551号商標(以下「引用商標4」という。)
商標の構成:MOA(標準文字)
指定役務:別掲3のとおり
登録出願日:平成18年 3月 2日
設定登録日:平成18年 9月 8日
5 登録第5221752号商標(以下「引用商標5」という。)
商標の構成:「MOA」の欧文字と「モア」の片仮名を上下二段に横書きしてなるもの
指定役務:別掲4のとおり
登録出願日:平成19年 4月 2日
設定登録日:平成21年 4月10日
6 登録第6568841号商標(以下「引用商標6」という。)
商標の構成:MOA(標準文字)
指定役務:別掲5のとおり
登録出願日:令和 3年 7月 8日
設定登録日:令和 4年 6月 9日
第4 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本願と引用商標3の関係について
本願の請求人(出願人)は、上記1の出願人名義変更届により、「株式会社エム・オー・エー商事」(静岡県熱海市田原本町・・・)、「一般社団法人MOAインターナショナル」(静岡県熱海市田原本町・・・)及び「公益財団法人岡田茂吉美術文化財団」(静岡県熱海市桃山町・・・)の三者となっている。
他方、商標登録原簿の記載によれば、引用商標3の商標権者は当該三者と名称及び住所が同一であるから、本願の請求人は、引用商標3の商標権者と同一人であると認められる。
そうすれば、引用商標3は、「他人の登録商標」とはいえないから、商標又は指定商品若しくは指定役務について比較するまでもなく、本願は、引用商標3との関係において、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(2)本願商標について
本願商標は、別掲1のとおり、赤色の細い線からなる多数の同心円(外側にいくほど各円の間隔が狭くなり、色が濃く見えるもの)からなる図形(以下「本願図形部分」という。)を表し、その右に黒色で「MOA」の文字(以下「本願文字部分」という。)を一列に横書きしてなるものである。
そして、本願図形部分と本願文字部分とは、色彩が異なる上、重なり合うことなく分離して配置されているものであるから、視覚上、分離して看取されるものである。
また、本願図形部分は、これが何を表したものかは判然とせず、これに接する取引者、需要者において、特定の意味合いが認識されるというべき事情も見当たらないことからすれば、これより自他商品の識別標識としての称呼や観念は生じないものというべきである。他方、本願文字部分は、「MOA」の文字からなるところ、同文字は、「モア、恐鳥(絶滅したニュージーランド産の無翼の巨大な鳥)」(出典:「新英和中辞典 第7版」株式会社研究社)を意味する語として辞書類に掲載されてはいるものの、一般に親しまれた語とはいえないことから、特定の意味合いを認識させない造語というべきである。
そのため、本願図形部分と本願文字部分とに、観念的なつながりがあるともいえず、そのほか、これらが常に一体のものとして把握されるというべき特段の事情も見いだせない。
そうすると、本願図形部分と本願文字部分とは、分離して観察することが取引上不自然と思われるほど不可分的に結合しているということはできず、簡易迅速を尊ぶ商取引の実際においては、本願商標に接する取引者、需要者が、その構成中に表された「MOA」の文字部分(以下「本願要部」という。)をもって取引に当たる場合もあるものというのが相当である。
したがって、本願商標よりは、本願要部の構成文字に相応する「エムオーエー」及び「モア」の称呼が生じ、また、特定の観念は生じないものである。
(3)引用商標1、引用商標2及び引用商標4ないし引用商標6について
ア 引用商標1及び引用商標2について
引用商標1は、「モア」の片仮名を一列に縦書きしてなるものであり、また、引用商標2は、「モア」の片仮名を一列に横書きしてなるものである。
そして、「モア」の文字は、「ダチョウ目の走鳥。恐鳥。」又は「イギリスの政治家・思想家。」を意味する語として辞書類に掲載されてはいるものの(出典:「広辞苑 第七版」株式会社岩波書店)、いずれも一般に親しまれた語とはいえず、また、これは「もっと多い」(出典:「新英和中辞典 第7版」株式会社研究社)などを意味する平易な英語である「more」の読みを片仮名で表したものとも理解し得ることからすれば、同文字は、これに接する取引者、需要者に、特定の意味合いを認識させるとはいえないものである。
したがって、引用商標1及び引用商標2よりは、それぞれの構成文字に相応する「モア」の称呼が生じ、また、特定の観念は生じないものである。
ウ 引用商標4及び引用商標6について
引用商標4及び引用商標6は、「MOA」の文字を標準文字で表してなるものであり、これは、上記(2)と同様に、特定の意味合いを認識させない造語というべきである。
したがって、引用商標4及び引用商標6よりは、それぞれの構成文字に相応する「エムオーエー」及び「モア」の称呼が生じ、また、特定の観念は生じないものである。
エ 引用商標5について
引用商標5は、「MOA」の欧文字と「モア」の片仮名を上下二段に横書きしてなるものであって、その構成態様からすれば、下段の片仮名は上段の欧文字の読みを表したと理解できるものである。
そして、上記ア及び(2)と同様に、これらは特定の意味合いを認識させるとはいえないものである。
したがって、引用商標5よりは、その構成文字に相応する「モア」の称呼が生じ、また、特定の観念は生じないものである。
(4)本願商標と引用商標1、引用商標2及び引用商標4ないし引用商標6の類否について
ア 本願商標と引用商標1及び引用商標2の類否について
本願商標と引用商標1及び引用商標2を比較するに、外観においては、全体としては図形の有無などで異なり、本願要部と引用商標1及び引用商標2との対比でも、文字種や書体などが相違するものであるから、明確に区別できるものである。
また、称呼においては、「モア」の称呼を共通にするが、本願商標より生じるもう一つの称呼「エムオーエー」と引用商標1及び引用商標2より生じる称呼「モア」とでは、音数や構成音が明らかに異なり、明瞭に聴別できるものである。
そして、観念においては、いずれも特定の観念を生じないものであるから、比較することができない。
そうすると、本願商標と引用商標1及び引用商標2とは、本願商標より生じる二つの称呼のうちの一つにおいて共通する場合があるとしても、もう一つの称呼において明瞭に聴別できるものであって、観念において比較できないものであり、外観においては明確に区別できるものであるから、これらの商標が与える印象、記憶等を総合してみれば、商品の出所について誤認混同を生じるおそれはなく、非類似の商標というのが相当である。
イ 本願商標と引用商標4及び引用商標6の類否について
本願商標と引用商標4及び引用商標6を比較にするに、外観においては、全体としては図形の有無などで異なるものであるが、本願要部と引用商標4及び引用商標6との対比では、書体は相違するものの、いずれも「MOA」の欧文字からなるものであるから、相当程度近似した印象を与えるものといえる。
また、称呼においては、「モア」及び「エムオーエー」の称呼を共通にするものである。
そして、観念においては、いずれも特定の観念を生じないものであるから、比較することができない。
そうすると、本願商標と引用商標4及び引用商標6とは、観念において比較することはできず、全体の外観において相違するものの、本願要部との対比においては外観上相当程度近似した印象を与えるものであり、かつ、称呼を共通にするものであるから、これらの外観、称呼及び観念によって、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、本願商標と引用商標4及び引用商標6は、役務の出所について誤認混同を生じるおそれのある、互いに類似の商標というのが相当である。
ウ 本願商標と引用商標5の類否について
本願商標と引用商標5を比較するに、外観においては、全体としては図形の有無などで異なるものであるが、本願要部と引用商標5との対比では、書体や読み仮名としての片仮名の有無が相違するものの、いずれも「MOA」の欧文字を構成中に顕著に表してなる点で共通しており、相当程度近似した印象を与えるものといえる。
また、称呼においては、「モア」を共通にするが、本願商標より生じるもう一つの称呼「エムオーエー」と引用商標5より生じる称呼「モア」とでは、音数や構成音が明らかに異なり、明瞭に聴別できるものである。
そして、観念においては、いずれも特定の観念を生じないものであるから、比較することができない。
そうすると、本願商標と引用商標5とは、観念において比較することはできず、全体の外観においては相違があるものの、本願要部との対比においては外観上相当程度近似した印象を与えるものであり、かつ、本願商標より生じる二つの称呼のうちの一つを共通にするものであるから、これらの外観、称呼及び観念によって、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、本願商標と引用商標5は、商品又は役務の出所について誤認混同を生じるおそれのある、互いに類似の商標というのが相当である。
(5)本願の指定商品又は指定役務と引用商標4ないし引用商標6の指定役務の類否について
ア 本願の指定役務中、第35類「広告業,美術館等の文化施設に関する事業の管理及び運営」と、引用商標4の指定役務中「広告,試供品の配布,商品の販売促進・役務の提供促進のための企画及び実行の代理,経営の診断又は経営に関する助言,事業の管理,企業の人事・労務管理及び求人活動に関する指導及び助言,企業の人事管理のための適性検査,市場調査,商品の販売に関する情報の提供,商品の売買契約の代理・媒介・仲介・取次ぎ・代行,商品の売買契約の代理・媒介・仲介・取次ぎ・代行に関する情報の提供,ホテルの事業の管理,企業に関する情報の提供,インターネットのホームページにおける広告用スペースの貸与,職業の適性に関する助言,職業(職種・職務)適性検査」とは、同一又は類似するものである。
イ 本願の指定商品及び指定役務中、第9類「レコード,インターネットを利用して受信し及び保存することができる音楽ファイル」、第16類「紙類,文房具類」、第29類「食肉,食用魚介類(生きているものを除く。)」、第31類「海藻類,飼料」及び第35類「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,酒類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,食肉の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,食用水産物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,野菜及び果実の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,菓子及びパンの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,米穀類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,牛乳の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,清涼飲料及び果実飲料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,茶・コーヒー及びココアの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,加工食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,台所用品・清掃用具及び洗濯用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,化粧品・歯磨き及びせっけん類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,農耕用品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,花及び木の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,印刷物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,紙類及び文房具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」と、引用商標5の指定役務中「食肉の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,食用水産物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,台所用品・清掃用具及び洗濯用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,薬剤及び医療補助品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,農耕用品(種子類・木・草・芝・ドライフラワー・苗・苗木・花・牧草・盆栽を除く。)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,紙類及び文房具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,楽器及びレコードの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」とは、同一又は類似するものである。
ウ 本願の指定役務中、第41類に属する役務(別掲2参照。)と、引用商標6の指定役務中「技芸・スポーツ又は知識の教授,学校・スクール情報の提供,セミナーの企画・運営又は開催,求人に関する講習会の企画・運営又は開催,文化又は教育のための展示会の企画・運営及び開催,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,電子計算機端末による図書・電子出版物及び記録の供覧,図書の貸与,書籍の制作,映画の上映・制作又は配給,オンラインによる画像・映像の提供,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),放送番組の制作における演出,運動施設の提供,娯楽施設の提供,電子計算機端末による通信を用いて行うゲームの提供,映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供,興行場の座席の手配,音響・映像・静止画及び動画の制作」とは、同一又は類似するものである。
(6)小括
上記(1)ないし(5)によれば、本願の出願人と引用商標3の権利者とは他人ではないから、その商標又は指定商品若しくは指定役務について比較するまでもなく、引用商標3との関係において、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
また、本願商標は、引用商標1及び引用商標2とは非類似の商標であるから、その指定商品又は指定役務について比較するまでもなく、引用商標1及び引用商標2との関係において、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
しかしながら、本願商標は、引用商標4ないし引用商標6と類似する商標であって、かつ、本願の指定商品及び指定役務には、引用商標4及び引用商標6の指定役務と同一又は類似する役務を含んでいるものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
2 請求人の主張について
(1)請求人は、本願商標は、その構成中の図形部分と「MOA」の文字の結合商標として、それらを一体として要部とすべきものであり、また、本願図形部分は、「溢れ出る光」が強く印象付けられるものであって、仮に、これらを無理矢理分断して考えるとすれば、最も目に付き、しかも印象に残りやすい図形部分が要部であるというべきであり、そうすると、本願商標と引用商標とは、称呼において同一又は類似するとしても、外観及び観念の相違が称呼の類似性を凌駕するというべきであって、総合的には非類似の商標と判断されるべきである旨主張する。
しかしながら、複数の構成部分を組み合わせた結合商標については、商標の各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合していると認められる場合においては、その構成部分の一部を抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して類否を判断することは、原則として許されないが、その場合であっても、商標の構成部分の一部が取引者又は需要者に対し、商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与える場合や、それ以外の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じない場合などには、商標の構成部分の一部だけを取り出して、他人の商標と比較し、その類否を判断することが許されるものと解される(最高裁昭和37年(オ)第953号同38年12月5日第一小法廷判決・民集17巻12号1621頁、最高裁平成3年(行ツ)第103号同5年9月10日第二小法廷判決・民集47巻7号5009頁、最高裁平成19年(行ヒ)第223号同20年9月8日第二小法廷判決・裁判集民事228号561頁参照)。
また、簡易、迅速を尊ぶ取引の実際においては、各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められない商標は、常に必ずしもその構成部分全体の名称によって称呼、観念されず、しばしば、その一部だけによって簡略に称呼、観念され、一個の商標から二個以上の称呼、観念の生ずることがあるのは、経験則の教えるところである(最高裁昭和37年(オ)第953号同38年12月5日第一小法廷判決・民集17巻12号1621頁参照)。
以上のことを踏まえ、本願商標についてみるに、上記1(2)のとおり、これを構成する本願図形部分と本願文字部分とは、それを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められないものであり、本願商標に接する取引者、需要者が、その構成中に表された「MOA」の文字部分をもって取引に当たる場合もあるものというのが相当であって、同文字部分を要部として、他人の商標と比較し、その類否を判断することが許されるものといえる。
(2)請求人は、引用商標5と、特許情報プラットフォームにおいて「モア」の称呼が生じるとされている登録商標とが併存しているとして、この判断方法に従えば、本願商標と引用商標とは非類似と判断されるべきである旨主張する。
しかしながら、商標の類否の判断は、出願された商標と他人の登録商標との対比において、個別具体的に判断すべきものであり、また、請求人の挙げる登録例と本願とは、商標の構成等を異にするものであるから、当該登録例によって、直ちに本願商標に係る判断が左右されるものではない。
そして、本願商標と引用商標4ないし引用商標6とが類似の商標であることは、上記1のとおりである。
(3)したがって、請求人の上記(1)及び(2)の主張は、採用することができない。
3 まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、これを登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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