特許拒絶査定不服審判
2025-003715
ポリエチレン系シーラントフィルム及び積層体
- 審判番号
- 2025-003715
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2024-062044
- 請求日
- 2025年03月07日
- 審決日
- 2026年06月09日
- 公報発行日
- 2026年08月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】フタムラ化学株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人Kighs
- 審判長/審判官
- 審判長 岩谷 一臣
- 審判官 笹木 俊男
- 審判官 長谷川 一郎
- 分類
- P18 .113-Z (B32B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(XML)
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特願2024-62044「ポリエチレン系シーラントフィルム及び積層体」拒絶査定不服審判事件〔令和7年10月21日出願公開、特開2025-159469〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和6年4月8日の出願であって、その手続の経緯は、概略、以下のとおりである。
令和6年 5月 1日 :手続補正書の提出
令和6年 7月11日付け:拒絶理由通知書
令和6年 9月17日 :意見書の提出
令和6年12月 6日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
令和6年12月10日 :原査定の謄本の送達
令和7年 3月 7日 :審判請求書の提出
第2 本願発明
令和6年5月1日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりである。
「【請求項1】
少なくともラミネート層、基層、シーラント層の3層以上の複数層からなるとともに、前記ラミネート層、前記基層、前記シーラント層が順に積層されてなるポリエチレン樹脂を主体とするフィルム体であって、
前記フィルム体は、前記基層の層密度(D2)が0.935g/cm3以上、前記シーラント層の層密度(D3)が0.924g/cm3以下、かつ、全体密度(DA)が0.930~0.935g/cm3であり、
JIS K 7127(1999)に準拠するプラスチック引張特性の試験方法に基づいて測定された縦(MD)方向の弾性率と横(TD)方向の弾性率の和(MD+TD)が0.66GPa以上であり、
前記ラミネート層の層密度(D1)と前記シーラント層の層密度(D3)が|D1-D3|≦0.020の関係を満たし、かつ、全体の層厚に対して前記シーラント層の層厚が15%以上である
ことを特徴とするポリエチレン系シーラントフィルム。」
第3 原査定の理由
原査定の本願発明に対する拒絶の理由は、概略、以下の内容を含むものである。
・(新規性)この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができない。
<引用文献>
1 特開2021-181517号公報
第4 当審の判断
1 引用文献1について
(1)引用文献1の記載事項
ア 引用文献1の記載
引用文献1には、次の事項が記載されている(下線は当審において付した。「・・・」は省略を表す。)。
「【0021】
本発明の易引裂性フィルムは、ポリエチレン系の樹脂からなる。ポリエチレン系の樹脂からなることから、ヒートシール等により、融着可能であり、例えば、食品等の物品をピロー包装や三方シール包装等により包装する包装袋や、物品を収容した包装容器の容器開口部を密封するためのシート状の蓋材等に用いられる。」
「【0029】
易引裂性フィルムの厚さは適宜ではあるものの、10~200μm、好ましくは20~150μmの範囲とするのがよい。図1(a)に示される通り、単層の樹脂フィルムである易引裂性フィルム10Aとすることができ、そして、図1(b)に示されるように、基材層11の一側にはポリエチレン樹脂よりなるシーラント層12を備える積層体である易引裂性フィルム10Bとすることができ、また、図1(c)に示されるように、シーラント層12の他側にはポリエチレン樹脂よりなる表面層13を備える積層体である易引裂性フィルム10Cとすることができる。該積層体の厚さも、同様に10~200μm、好ましくは20~150μmの範囲とするのがよい。表面層と基材層とシーラント層の厚さの比率は、特に規定されないが、1:1:1~1:10:1の範囲であり、実施例に示される通り、1:4:1程度が好ましく規定される。
・・・
【0031】
表面層は、いわゆるラミネート層であり、基材層から剥離しない樹脂であれば特段限定されず、ポリプロピレン系樹脂やポリエチレン系樹脂等の一般的なポリオレフィン系樹脂から選択される。表面層は基材層と相性のよい樹脂とすることが好ましく、基材層と同じポリエチレン樹脂からから選択されるのが特に好ましい。表面層は所望する機能により適宜選択され、他のフィルムとさらに積層させる場合の接着性やラミネートの加工適性等を勘案し、用途に応じた樹脂を用いることができる。
【実施例】
【0032】
[易引裂性フィルムの作製]
試作例1~29及び比較例1~3の易引裂性フィルムについて、後述の樹脂配合割合(重量%)に基づき、原料となる樹脂を溶融、混練してTダイフィルム成形機を用いたTダイ法により共押出し、冷却ロールで冷却して無延伸のポリエチレン樹脂からなるフィルムを製膜した。基材層を構成する使用原料は、合計で100重量部となる配合割合である。各試作例のフィルムは共通の設定により製膜し、いずれのフィルムの厚さも50μmとした。なお。試作例1,2は単層フィルム、試作例3,4は基材層及びシーラント層よりなる二層フィルム、試作例5~29及び比較例1~3は表面層、基材層及びシーラント層よりなる三層フィルムである。
・・・
【0034】
<高圧法低密度ポリエチレン樹脂(PEa)>
・樹脂PEa1:宇部丸善ポリエチレン株式会社製、商品名「F222NH」、密度0.922g/cm3、MFR2.0g/10min
・樹脂PEa2:宇部丸善ポリエチレン株式会社製、商品名「J1019」、密度0.917g/cm3、MFR10.0g/10min
・樹脂PEa3:宇部丸善ポリエチレン株式会社製、商品名「J2522」、密度0.919g/cm3、MFR20.0g/10min
【0035】
<コモノマーとして1-ブテンを有する直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(PEb)>
・樹脂PEb1:密度0.918g/cm3、MFR4.0g/10min、メタロセン触媒
・樹脂PEb2:密度0.940g/cm3、MFR4.0g/10min、メタロセン触媒
・樹脂PEb3:日本ポリエチレン株式会社製、商品名「UF240」、密度0.920g/cm3、MFR2.1g/10min、チーグラー触媒
【0036】
<コモノマーとして1-ヘキセンを有する直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(PEc)>
・樹脂PEc1:宇部丸善ポリエチレン株式会社製、商品名「3540FC」、密度0.931g/cm3、MFR3.6g/10min
・樹脂PEc2:宇部丸善ポリエチレン株式会社製、商品名「4040F」、密度0.937g/cm3、MFR4.0g/10min
・樹脂PEc3:宇部丸善ポリエチレン株式会社製、商品名「0540F」、密度0.904g/cm3、MFR4.0g/10min
・樹脂PEc4:宇部丸善ポリエチレン株式会社製、商品名「1540F」、密度0.913g/cm3、MFR4.0g/10min
・樹脂PEc5:宇部丸善ポリエチレン株式会社製、商品名「2540F」、密度0.923g/cm3、MFR4.0g/10min
・樹脂PEc6:宇部丸善ポリエチレン株式会社製、商品名「4540F」、密度0.944g/cm3、MFR4.0g/10min
・樹脂PEc7:宇部丸善ポリエチレン株式会社製、商品名「2040FC」、密度0.919g/cm3、MFR5.0g/10min」
「【0055】
〔試作例15〕
試作例15は、基材層の原料樹脂を、高圧法低密度ポリエチレン樹脂(PEa)と樹脂PEa1を2重量部、コモノマーとして1-ブテンを有する直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(PEb)として樹脂PEb1を30重量部、コモノマーとして1-ヘキセンを有する直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(PEc)として樹脂PEc6を68重量部とした。また、表面層の原料樹脂として、樹脂PEc2を用い、シーラント層の原料樹脂として、樹脂PEc7を用い、これらを製膜して三層構造のフィルムとした。」
「【0077】
【表5】
[図:0001437985000001.jpg]
」
「【0081】
[易引裂性フィルムの性能の評価]
試作例1~29及び比較例1~3のフィルムを用いて易引裂性及び剛性について、それぞれ試験を行い、その結果に基づいて性能を評価した。その結果を後述の表9~表16に示した。また、各表には、試作例及び比較例のフィルムの層ごとの厚さの比率を示した。さらに、表面層、基材層及びシーラント層の原料密度からフィルム全層の密度(g/cm3)を下記の式(i)より算出し、フィルム密度として表中に示した。式(i)は、複数種類の原料(X,Y,Z)を混合した場合の密度を算出する式であって、ρXは原料Xの密度、ρYは原料Yの密度、ρZは原料Zの密度であって、xは原料Xの配合割合、yは原料Yの配合割合、zは原料Zの配合割合を示す。
【0082】
【数1】
[図:0001437985000002.jpg]
・・・
【0084】
[剛性の評価]
試作例1~29及び比較例1~3のフィルムについて、剛性の指標として、JIS K 7127(1998)に準拠し、当該フィルムの引張弾性率(GPa)をそれぞれ測定した。引張弾性率の測定に際し、各フィルムを製膜方向(縦方向)10mm、幅方向(横方向)200mmに裁断しフィルム試験片とした。引張試験機(株式会社オリエンテック製,「RTF-1310」)を使用し、同試験機のチャック間距離を50mmとし、200mm/minの引張速度にて測定し、フィルム試験片の製膜方向(縦方向)及び幅方向(横方向)の引張弾性率(GPa)を測定した。剛性が低いフィルムを包装袋とすると自立性に劣り、商品陳列時の視認性が低下してしまうこととなる。そのため、剛性の評価として、製膜方向(縦方向)及び幅方向(横方向)の引張弾性率がそれぞれ0.16GPa以上の場合に「〇(良好)」、0.16GPaより低い場合に「×(不可)」とした。」
「【0089】
【表13】
[図:0001437985000003.jpg]
」
「【符号の説明】
【0101】
10A,10B,10C 易引裂性フィルム
11 基材層
12 シーラント層
13 表面層」
「【図1】
[図:0001437985000004.jpg]
」
イ 引用文献1の図面から認定できる事項
【図1】の(c)より、易引裂性フィルム10Cは、表面層13、基材層11、シーラント層12が三層からなり、表面層13、基材層11、シーラント層12が順に積層されている構成が看取できる。
ウ 引用文献1の表から認定できる事項
(ア)【0077】の表5から、「試作例15」の「表面層」は「樹脂PEc2」が「100」(重量部)であり、「基材層」は、「(PEa)成分」として、「樹脂PEa1」が「2」(重量部)であり、「(PEb)成分」として、「樹脂PEb1」が「30」(重量部)であり、「(PEc)成分」として、「樹脂PEc6」が「68」(重量部)であり、「シーラント層」は「樹脂PEc7」が「100」(重量部)であること。
(イ)【0089】の表13から、「試作例15」の「層厚比」は「表面層」、「基材層」、「シーラント層」が1:4:1であり、「フィルム密度(g/cm3)」が「0.933」であり、「引張弾性率(GPa)」について「縦方向」が「0.34」、「横方向」が「0.40」であること。
エ 引用文献1の【0084】の「JIS K 7127(1998)」の記載について
「JIS K 7127(1998)」という規格は存在せず、引用文献1の出願日である2020年5月18日時点における当該JIS規格は、1999年に改訂されたもののみである。その上で、JIS K 7127:1999の「プラスチック-引張特性の試験方法-第3部:フィルム及びシートの試験条件」によると、試験片は、10mm~25m幅とし、長さは150mm以上が望ましいこと、チャック間隔は50mmまで減らしてもよいこと、引張試験機の速度として200mm/minが記載されていることが認められるところ、これらの数値は、引用文献1の【0084】に記載されている試験の条件と整合する。
これらのことから、当該記載は、JIS K 7127(1999)の誤記であると合理的に推論される。
オ 引用発明
上記ア~エを踏まえ、特に【図1】(c)の構成を有する、本願発明の実施例である試作例15に着目すると、引用文献1には以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。なお、括弧内は、理解促進のために特に参考になる箇所を参照として付したものである。
「表面層13、基材層11、シーラント層12が順に積層されている三層のフィルムであって、(【0055】、上記イ)
当該フィルムは、ポリエチレン系の樹脂からなり、(【0021】)
表面層13は、いわゆるラミネート層であり、(【0031】)
当該表面層13は、樹脂PEc2(宇部丸善ポリエチレン株式会社製、商品名「4040F」、密度0.937g/cm3)が100重量部であり、基材層11は、(PEa)成分として、樹脂PEa1(宇部丸善ポリエチレン株式会社製、商品名「F222NH」、密度0.922g/cm3)が2重量部、(PEb)成分として、樹脂PEb1(密度0.918g/cm3)が30重量部、(PEc)成分として、樹脂PEc6(宇部丸善ポリエチレン株式会社製、商品名「4540F」、密度0.944g/cm3)が68重量部であり、シーラント層12は、樹脂PEc7(宇部丸善ポリエチレン株式会社製、商品名「2040FC」、密度0.919g/cm3)が100重量部であり、(【0034】~【0036】、上記ウ(ア))
前記フィルムの層ごとの厚さの比率は、表面層13、基材層11、シーラント層12が1:4:1であり、表面層13、基材層11及びシーラント層12の原料密度から算出したフィルム全層の密度は、0.933g/cm3であり、(【0081】、上記ウ(イ))
前記フィルムについて、剛性の指標として、JIS K 7127(1999)に準拠して測定した、製膜方向(縦方向)の引張弾性率は0.34GPa、幅方向(横方向)は0.40GPaである、(【0084】、上記ウ(イ)、上記エ)
フィルム。」
2 本願発明について
(1)対比
本願発明と引用発明とを対比する。
ア 引用発明における「基材層11」及び「シーラント層12」はそれぞれ、本願発明における「基層」及び「シーラント層」に相当する。
イ 引用発明における「表面層13」は、「いわゆるラミネート層であ」るから、本願発明における「ラミネート層」に相当する。
ウ 引用発明における「表面層13、基材層11、シーラント層12が順に積層されている三層のフィルム」は、本願発明における「少なくともラミネート層、基層、シーラント層の3層以上の複数層からなるとともに、前記ラミネート層、前記基層、前記シーラント層が順に積層されてなる」ものに相当する。
エ 引用発明における「フィルム」は、「ポリエチレン系の樹脂からな」り、「シーラント層12」を有しているから、本願発明における「ポリエチレン樹脂を主体とするフィルム体」及び「ポリエチレン系シーラントフィルム」に相当する。
オ 引用発明の「基材層11」は、「(PEa)成分として、樹脂PEa1(宇部丸善ポリエチレン株式会社製、商品名「F222NH」、密度0.922g/cm3)が2重量部、(PEb)成分として、樹脂PEb1(密度0.918g/cm3)が30重量部、(PEc)成分として、樹脂PEc6(宇部丸善ポリエチレン株式会社製、商品名「4540F」、密度0.944g/cm3)が68重量部であ」る。そして、このように複数の密度を混ぜた際の全体密度は、特段の事情がない限り、引用文献1の【0081】、【0082】の記載を待つまでもなく、全体の質量/全体の体積で計算される。
してみれば、引用発明の「基材層11」の密度は、約0.9356(1/(((1/0.922)×(2/100))+((1/0.918)×(30/100))+((1/0.944)×(68/100)))と計算される。そうすると、当該密度は、本願発明における「前記基層の層密度(D2)が0.935g/cm3以上」に相当する。
カ 引用発明における「シーラント層12」は、「樹脂PEc7(宇部丸善ポリエチレン株式会社製、商品名「2040FC」、密度0.919g/cm3)が100重量部であ」るから、本願発明における「シーラント層の層密度(D3)が0.924g/cm3以下」に相当する。
キ 引用発明における「表面層13、基材層11及びシーラント層12の原料密度から算出したフィルム全層の密度は、0.933g/cm3である」から、これは、本願発明における「全体密度(DA)が0.930~0.935g/cm3であり」に相当する。
ク 引用発明における「前記フィルムについて、剛性の指標として、JIS K 7127(1999)に準拠して測定した、製膜方向(縦方向)の引張弾性率は0.34GPa、幅方向(横方向)は0.40GPaである」という事項は、本願発明の「JIS K 7127(1999)に準拠するプラスチック引張特性の試験方法に基づいて測定された縦(MD)方向の弾性率と横(TD)方向の弾性率の和(MD+TD)が0.66GPa以上であり」という事項に相当する。
ケ 引用発明における「表面層13」、「シーラント層12」は、それぞれ「密度0.937g/cm3」、「密度0.919g/cm3」の樹脂を100重量部用いたものであるから、その密度の差は、0.018と計算される。そうすると、引用発明における当該事項は、本願発明の「前記ラミネート層の層密度(D1)と前記シーラント層の層密度(D3)が|D1-D3|≦0.020の関係を満たし」という事項に相当する。
コ 引用発明における「前記フィルムの層ごとの厚さの比率は、表面層13、基材層11、シーラント層12が1:4:1であ」るから、フィルム全体の層厚に対して「シーラント層12」の層厚は、約16.6%(=1/(1+4+1))である。そうすると、引用発明における当該事項は、本願発明の「全体の層厚に対して前記シーラント層の層厚が15%以上である」という事項に相当する。
そうすると、両者は、
「 少なくともラミネート層、基層、シーラント層の3層以上の複数層からなるとともに、前記ラミネート層、前記基層、前記シーラント層が順に積層されてなるポリエチレン樹脂を主体とするフィルム体であって、
前記フィルム体は、前記基層の層密度(D2)が0.935g/cm3以上、前記シーラント層の層密度(D3)が0.924g/cm3以下、かつ、全体密度(DA)が0.930~0.935g/cm3であり、
JIS K 7127(1999)に準拠するプラスチック引張特性の試験方法に基づいて測定された縦(MD)方向の弾性率と横(TD)方向の弾性率の和(MD+TD)が0.66GPa以上であり、
前記ラミネート層の層密度(D1)と前記シーラント層の層密度(D3)が|D1-D3|≦0.020の関係を満たし、かつ、全体の層厚に対して前記シーラント層の層厚が15%以上である
ポリエチレン系シーラントフィルム。」
である点で一致するから、相違点はない。
(2)小括
以上のとおり、本願発明と引用発明とは相違するところがない。
したがって、本願発明は引用発明である。
(3)審判請求人の主張について
審判請求人は、令和7年3月7日提出の審判請求書において、「特許・実用新案審査基準第III部第2章第3節3.1.1」及び「知財高裁平成19年(行ケ)第10378号審決取消請求事件」の判旨を示し、縷々主張する。
しかし、引用発明は、上記1(1)オのとおり、引用文献1に記載されている事項及び記載されているに等しい事項から把握されたものである。そして、当該認定及び対比は事実であるから、いわゆる後知恵による分析が紛れ込む余地もない。
また、当該知財高裁における判決は、審判請求人が主張するような引用発明の認定に際し、引用文献の記載に本願発明の技術的思想の開示を求めたものとは解されないし、そもそも実施ができるか不透明な場合がある化学物質等と本件とでは、事案が異なる。
よって、審判請求人の上記主張は採用できない。
3 まとめ
以上のとおり、本願発明と引用発明とは相違するところがなく、本願発明は引用文献1に記載された発明である。
第5 むすび
以上のとおり、請求項1に係る発明は、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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