商標拒絶査定不服審判
2025-003215
ティグガウジング
- 審判番号
- 2025-003215
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2023-122869
- 請求日
- 2025年02月28日
- 審決日
- 2025年12月18日
- 公報発行日
- 2026年03月27日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】神野 太郎
- 【請求人代理人】木村 仁志
- 審判長/審判官
- 審判長 小林 正和
- 審判官 渡邉 あおい
- 審判官 吉岡 めぐみ
- 分類
- T18 .13 -Z (W09) / T18 .272-Z (W09)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項3号商標法4条1項16号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号、商標法第4条第1項第16号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2023-122869拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 手続の経緯
本願は、令和5年11月6日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和6年 9月18日付け:拒絶理由通知書
令和6年10月 3日 :意見書の提出
令和7年 1月20日付け:拒絶査定
令和7年 2月28日 :審判請求書の提出
令和7年 9月25日付け:審尋
2 本願商標
本願商標は、「TIGガウジング」の文字を標準文字で表してなり、第9類「ティグ溶接機(手持ち式のものに限る。)並びにその部品及び附属品」を指定商品として、令和5年11月6日に登録出願されたものである。
3 原査定の拒絶の理由(要旨)
原査定は、「本願商標は、「TIGガウジング」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中、「TIG」の文字は、本願指定商品との関係で「TIG(Tungsten Inert Gas:タングステン不活性ガス)溶接」、「ガウジング」の文字は、「熱切断の原理を応用して金属に溝を掘ること」の意味を有する語であり、本願商標に係る指定商品の分野においては、各種の「TIG溶接機」や「TIG溶接棒」等の販売が行われている実情がある。そうすると、本願商標は、「TIG溶接によるガウジングに関する商品」ほどの意味合いを容易に理解、認識させるものであり、単に商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるというのが相当である。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
4 当審における審尋
当審において、令和7年9月25日付けで通知した審尋により、別掲の証拠を提示した上で、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する旨の暫定的見解を示し、相当の期間を指定して、これに対する回答を求めた。
5 審尋に対する請求人の回答
請求人は、上記4の審尋に対し、所定の期間を経過するも、何ら意見を述べていない。
6 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号について
商標法第3条第1項第3号に掲げる商標が、商標登録の要件を欠くとされているのは、このような商標は、指定商品との関係で、その商品の品質、用途等その他の特性を表示記述する標章であって、取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものであるから、特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、一般的に使用される標章であって、多くの場合自他商品の識別力を欠き、商標としての機能を果たし得ないものであることによるものと解されるものである。
そうすると、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するというためには、本件審決時において、本願商標がその指定商品との関係で、商品の品質、用途等その他の特性を表示記述するものとして取引に際し必要適切な表示であり、本願商標がその指定商品に使用された場合に、将来を含め、指定商品の取引者、需要者によって商品の上記特性を表示したものと一般に認識されるものであれば足りると解される(最高裁昭和53年(行ツ)第129号判決、平成27年(行ケ)第10107号判決参照)。
(2)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号の該当性について
本願商標は、「TIGガウジング」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成は、欧文字と片仮名の文字種の違いもあることから、「TIG」及び「ガウジング」の語を組み合わせてなるものと容易に認識、理解できるものである。
そして、原審の拒絶理由通知書の参考情報1ないし参考情報4及び別掲(1)ないし別掲(3)によれば、溶接機に関連する分野において、本願商標を構成する「TIG」の文字は、「TIG(Tungsten Inert Gas:タングステン不活性ガス)溶接」の意味を表す語として、「ガウジング」の文字は、「熱切断の原理を応用して金属に溝を掘ること」の意味を表す語として知られ、使用されている事実が認められる。
また、原審の拒絶理由通知書の参考情報5及び別掲(4)によれば、本願商標に係る指定商品の分野において、各種の機能を有する「TIG溶接機」や「TIG溶接棒」等の製造や販売が行われている実情が確認できる。
そうすると、本願商標の構成文字の語義及び前記の実情を総合すれば、本願商標をその指定商品に使用した場合、これに接する取引者・需要者は、当該商品が、例えば「TIG溶接のみならず、ガウジングもできる商品」、あるいは、「TIG溶接の工法を利用してガウジングを行う商品」のように、たとえ、それが一般的に知られた技法ではないとしても、溶接技法の一種であること、すなわち、商品の品質、特徴を表示したものと看取、理解するにとどまるというのが相当であり、これを商品の出所を表示する標識又は自他商品の識別標識として認識することはないというべきである。
さらに、本願商標は標準文字で表してなるものであるから、普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるといえる。
してみれば、本願商標は、その商品の品質、特徴を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であり、上記内容に照応する商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるものというのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。
(3)請求人の主張について
ア 請求人は、「本願商標は、「TIG」と「ガウジング」の文字の組み合わせから構成されるが、「TIGガウジング」の一連の表示では一般的に使用されているものではない。本願商標は、「TIG溶接によるガウジングに関する商品」の意味合いを想起させるとしても、需要者に、商品の特定の品質等を具体的かつ直接的に表したものと理解、認識させるものとは言い難い。本願商標は、出願人のみが使用している造語である。」旨主張する。
しかしながら、商標法第3条第1項第3号に該当する商標であるか否かは、現実の使用の事実が、同号の適用の要件となるものではないから、請求人以外に「TIGガウジング」の使用例がないとしても、本件の判断が左右されるものではない。
また、本願商標に接する取引者及び需要者には、溶接について標準的な知識を有する者も含まれるところ、そのような者であれば、本願商標の構成中の「TIG」の文字及び「ガウジング」の文字について、上記(2)の意味を表す語として認識、理解し、本願商標について、全体として、例えば「TIG溶接のみならず、ガウジングもできる商品」、あるいは、「TIG溶接の工法を利用してガウジングを行う商品」ほどの意味合いを認識するというのが相当である。
そうすると、上記(2)のとおり、本願商標は、その構成文字全体から、当該商品が、例えば「TIG溶接のみならず、ガウジングもできる商品」、あるいは、「TIG溶接の工法を利用してガウジングを行う商品」のように、たとえ、それが一般的に知られた技法ではないとしても、溶接技法の一種であること、すなわち、商品の品質、特徴を表示したものと看取、理解するにとどまるというのが相当であり、これを商品の出所を表示する標識又は自他商品の識別標識として認識することはないというべきである。
イ 請求人は、過去の審決例を挙げて、本願商標も、同様に取り扱われるべきである旨主張する。
しかしながら、請求人の挙げる審決例は、本願商標とは、指定商品、構成文字や構成態様(他の文字等)が異なるものであって、かつ、具体的事案の判断においては、過去の審決例等に拘束されることなく、当該商標登録出願の査定時又は審決時において、当該商標の構成態様と取引の実情に応じて個別に判断されるべきであるから、これらの事例の存在によって、上記(2)の認定、判断が左右されるものではない。
したがって、請求人の上記主張は、いずれも採用することができない。
(4)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるから、これを登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2025-003215