商標拒絶査定不服審判
2025-002516
デンショーノアジワイナラチャメシヤナギチャヤコーフクジホンボートナリ、デンショーノアジワイナラチャメシ、デンショーノアジワイ、ナラチャメシ、ヤナギチャヤ、コーエンメーブツナラチャメシヤナギチャヤ
- 審判番号
- 2025-002516
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2023-137892
- 請求日
- 2025年02月18日
- 審決日
- 2025年05月27日
- 公報発行日
- 2025年08月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】新居 ひろみ
- 【請求人代理人】中島 了
- 審判長/審判官
- 審判長 旦 克昌
- 審判官 真鍋 伸行
- 審判官 須田 亮一
- 分類
- T18 .261-Z (W43) / T18 .262-Z (W43) / T18 .263-Z (W43)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項11号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第11号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2023-137892拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和5年12月13日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和6年7月29日付け :拒絶理由通知書
令和6年9月4日 :意見書の提出
令和6年11月13日付け:拒絶査定
令和7年2月18日 :審判請求書の提出
第2 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、第43類「飲食物の提供」を指定役務として、登録出願されたものである。
第3 原査定の拒絶の理由(要旨)
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録第6125583号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、平成30年5月15日登録出願、第43類「飲食物の提供」を指定役務として、同31年3月1日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
第4 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号について
商標の類否は、対比される両商標が同一又は類似の役務に使用された場合に、役務の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであるが、それには、そのような役務に使用された商標がその外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すべく、しかもその役務の取引の実情を明らかにし得る限り、その具体的な取引状況に基づいて判断するのを相当とする(最高裁昭和39年(行ツ)第110号同43年2月27日判決参照)。
また、複数の構成部分を組み合わせた結合商標については、商標の各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合していると認められる場合においては、その構成部分の一部を抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して類否を判断することは、原則として許されないが、その場合であっても、商標の構成部分の一部が取引者又は需要者に対し、役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与える場合や、それ以外の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じない場合などには、商標の構成部分の一部だけを取り出して、他人の商標と比較し、その類否を判断することが許されるものと解される(最高裁昭和37年(オ)第953号同38年12月5日判決、最高裁平成3年(行ツ)第103号同5年9月10日判決、最高裁平成19年(行ヒ)第223号同20年9月8日判決参照)。
2 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本願商標
本願商標は、別掲1のとおり、内部に赤色の何らかの文字と思しきものが複数表示された紋章風の図形(以下「本願図形部分」という。)の下に、大きく「柳茶屋」の文字を縦書きし、その右側には「伝承の味わい「奈良茶飯」」の文字を、また、左側には「興福寺本坊トナリ」の文字をそれぞれ縦書きしてなる(以下、これらの文字をまとめて「本願文字部分」という。)ところ、本願図形部分は、内部に何らかの文字と思しきものが複数表示されているものの、これらが何の文字を表したものなのか直ちに判別ができないことに加え、本願図形部分も当該図形に表示された何らかの文字と思しきものも特定の事物を表したもの、又は意味合いを表すものとして認識され、親しまれているというべき事情は認められないことから、特定の称呼及び観念は生じないものである。
次に、本願文字部分についてみると、「柳茶屋」の文字は辞書等に掲載のないものであって、特定の意味合いを認識させるものではなく、本願の指定役務との関係において、役務の質等を表示するものでもないから、自他役務の出所識別標識としての機能を十分に発揮し得るものといえる。
また、「伝承」の文字は「伝え受けつぐこと」の意味を有する語、「の」の文字は「連体格を示す」格助詞、「味わい」の文字は「食物のあじ」の意味を有する語、「奈良茶飯」の文字は「(奈良の東大寺・興福寺などで始めたからいう)煎じた茶に大豆などを入れて塩味で炊いた飯」の意味を有する語である(いずれも「広辞苑 第7版」株式会社岩波書店)。そして、「奈良茶飯」の文字を括弧でくくった上で、これらを結合してなる「伝承の味わい「奈良茶飯」」の文字全体としては、「伝え受け継いだあじの奈良茶飯(煎じた茶に大豆などを入れて塩味で炊いた飯)」程の意味合いを認識させるものであるところ、これは本願の指定役務との関係においては、提供される「奈良茶飯」の特徴を表示するもの、すなわち役務の宣伝広告をしたものと容易に理解されるものであるから、当該文字は、自他役務の識別標識としての機能を発揮し得ないか、又は希薄な部分であると判断するのが相当である。
さらに、「興福寺」の文字は「奈良市にある法相宗の大本山。」の、「本坊」の文字は「末寺から本寺を指していう語」の意味を有する語であり、「トナリ」は「横に相接した位置」の意味を有する「隣」の語(いずれも前掲書)を片仮名表記したものと容易に理解できるものであり、これらを結合してなる「興福寺本坊トナリ」の文字全体としては「奈良市にある法相宗の大本山である興福寺の本寺の隣」程の意味合いを認識させるものであって、本願の指定役務との関係においては、役務の提供場所を表すものと理解、認識されるとみるのが相当であるから、これも自他役務の識別標識としての機能を発揮し得ないか、又は希薄な部分であると判断するのが相当である。
そして、本願図形部分と本願文字部分とは、重なり合うことなく、スペースを空けて配されており、図形と文字という構成要素を異にしていることから、両者は視覚的に分離して看取されるものである。
また、本願文字部分についてみると、「柳茶屋」の文字と、「伝承の味わい「奈良茶飯」」の文字及び「興福寺本坊トナリ」の文字とは、スペースを空けて表されていることに加え、「柳茶屋」の文字部分の構成文字の大きさは、他の文字部分の構成文字のおよそ25倍という大きさで表されていることから、これらは視覚的に分離して看取されるものである。
さらに、本願商標は、全体としても、本願文字部分全体としても、また、「柳茶屋」の文字、「伝承の味わい「奈良茶飯」」の文字及び「興福寺本坊トナリ」の文字のそれぞれを互いに組み合わせたものとしても、親しまれた意味合いを表す熟語等を表したものとはいえず、他に、本願商標及び本願文字部分を不可分一体のものとして把握しなければならない事情も見いだせないことからすると、本願図形部分と本願文字部分並びに「柳茶屋」の文字と「伝承の味わい「奈良茶飯」」の文字及び「興福寺本坊トナリ」の文字は、それぞれ分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものではない。
以上からすると、本願文字部分中、「伝承の味わい「奈良茶飯」」の文字及び「興福寺本坊トナリ」の文字は自他役務の識別標識としての機能を発揮し得ないか、自他役務の識別標識としての機能が希薄な部分である一方、「柳茶屋」の文字と本願図形部分は、そのいずれもが、役務の質等を表すものではなく、それぞれが独立して役務の出所識別標識としての機能を発揮し得るものである。さらに、本願商標の構成において、本願図形部分は赤色で目立つように表され、「柳茶屋」の文字は大きく目立つように表されていることをも踏まえれば、これらは本願商標の構成において目をひく部分であり、そのいずれもが取引者又は需要者に対し、自他役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるというのが相当である。
してみると、本願商標は、その構成中の「柳茶屋」の文字部分だけを要部として取り出して、他人の商標と比較し、その類否を判断することが許されるというべきである。
したがって、本願商標は、その構成中の「柳茶屋」の構成文字に相応して「ヤナギチャヤ」の称呼を生じ、特定の観念を生じるものではない。
(2)引用商標
引用商標は、別掲2のとおり、黒塗りされたの六角形の内部に白色の六角形と複数の曲線を配してなる図形(以下、「引用図形部分」という。)の下に、「やなぎ茶屋」の文字を大きく横書きし、その下には「YANAGI-CHAYA」の文字を横書きし(以下、これらの文字を合わせて「引用文字部分」という。)、「やなぎ茶屋」の文字の右側には、赤色の角丸長方形の内部に白抜きで何らかの文字と思しきものを複数表示したもの(以下「赤図形部分」という。)を配してなるところ、引用図形部分は、特定の事物を表したもの、又は意味合いを表すものとして認識され、親しまれているというべき事情は認められないことから、特定の称呼及び観念は生じないものである。
次に、引用文字部分についてみると、「やなぎ茶屋」の文字は辞書等に掲載のないものであって、特定の意味合いを認識させるものではなく、また、「YANAGI-CHAYA」の文字は「やなぎ茶屋」の文字の読みを欧文字表記したものと理解、認識されるものであり、引用商標の指定役務との関係において、これらは役務の質等を表すものでもないから、自他役務の識別標識としての機能を十分に果たし得るものといえる。
そして、赤図形部分については、内部に何らかの文字と思しきものが複数表示されているものの、これらが何の文字を表したものなのか直ちに判別ができないものであり、赤図形部分は特定の事物を表したもの、又は意味合いを表すものとして認識され、親しまれているというべき事情は認められないことから、特定の称呼及び観念は生じないものである。
また、引用図形部分と引用文字部分とは、重なり合うことなく、スペースを空けて配されており、図形と文字という構成要素を異にしていることから、両者は視覚的に分離して看取されるものである。
さらに、引用商標は、全体としても、引用文字部分、引用図形部分及び赤図形部分のそれぞれを互いに組み合わせたものとしても、親しまれた意味合いを表す熟語等を表したものとはいえず、他に、引用商標全体、引用文字部分と引用図形部分、引用文字部分と赤図形部分をそれぞれ不可分一体のものとして把握しなければならない事情も見いだせないことからすると、引用図形部分、引用文字部分及び赤図形部分は、それぞれ分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものではない。
以上からすると、引用図形部分、引用文字部分及び赤図形部分は役務の質等を表すものではなく、そのいずれもが、それぞれ独立して役務の出所識別標識としての機能を果たし得るものであって、引用商標の構成において目をひく部分であるから、これらはいずれも取引者又は需要者に対し自他役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるといえる。
してみると、引用商標は、その構成中の引用文字部分だけを要部として取り出して、他人の商標と比較し、その類否を判断することが許されるというべきである。
したがって、引用商標は、その構成中の引用文字部分の構成文字に相応して「ヤナギチャヤ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
(3)本願商標と引用商標との類否
本願商標の要部である本願文字部分と引用商標の要部である引用文字部分とを比較すると、両者は文字数、文字種及び書体の差異並びに「YANAGI-CHAYA」の文字の有無という差異等があるものの、商標の使用においては、商標の構成文字を同一の称呼を生じる範囲内で文字種を相互に表記することや、当該商標の読みを併記すること、当該商標が表示される場所に合うように縦書きに表記したり、横書きに表記したりすることが一般的に行われている取引の実情があることに鑑みれば、これらの外観上の差異が看者に対し、強い印象を与えるとまではいえない。
そして、両者は、「ヤナギチャヤ」の称呼を共通にするものである。
また、両者は、ともに特定の観念を生じないものであるから、観念上比較することができない。
以上によれば、本願文字部分と引用文字部分は、観念において比較することができないものの、称呼を共通にするものであって、外観上の相違は、上記のとおり強い印象を与えるものとはいえず、称呼の同一性をしのぐほどの差異として需要者に認識されるものとはいえないことから、その外観、称呼及び観念が、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合すれば、本願商標と引用商標は、役務の出所について誤認混同を生ずるおそれのある類似の商標と判断するのが相当である。
(4)本願の指定役務と引用商標の指定役務との類否について
本願の指定役務は、引用商標の指定役務と同一の役務である。
(5)小括
本願商標と引用商標とは、相紛れるおそれのある類似の商標であり、かつ、本願の指定役務は、引用商標の指定役務と同一のものである。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
3 請求人の主張について
請求人は、引用商標の構成中、赤図形部分の内部には「浅草」の文字が配されているとし、当該部分について、引用商標の構成中唯一の赤色部分であり、かつ、「浅草」という有名地名称であることから、殊更目を引くとともに印象に残る部分であって、これと「やなぎ茶屋」の文字の結合から、「ヤナギチャヤアサクサ」の称呼及び「浅草に存在する茶店(飲食店)」の観念をも生じる旨を主張している。
しかしながら、引用商標の構成中の赤図形部分は、引用商標の構成において非常に小さく表されているものであって、その内部に配された白抜きの文字と思しきものは、上記2(2)のとおり、直ちに何の文字を表したものなのか判別できないものというべきである。
また、仮に、請求人が主張するように、需要者に、赤図形部分には「浅草」の文字が記載されていると理解、認識される場合には、当該文字は「東京都台東区の一地区」の意味を表すもの(前掲書)であり、当該地名は広く一般に知られていることからすれば、需要者は、赤図形部分を、役務の提供場所を表すものと理解、認識するにとどまり、当該部分は、自他役務の識別標識としての機能を発揮し得ないか、又は希薄な部分と判断するのが相当である。
そうすると、赤図形部分は自他役務の識別標識としての機能を発揮し得ないか、当該機能が希薄な部分である一方、引用図形部分及び引用文字部分は役務の質等を表すものではなく、そのいずれもが、それぞれ独立して役務の出所識別標識としての機能を果たし得るものであって、引用商標の構成において目をひく部分であるから、これらはいずれも取引者又は需要者に対し自他役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるといえる。
したがって、この場合であっても、引用商標の構成中、引用図形部分のみを要部として抽出して、他人の商標と比較し、その類否を判断することが許されるというべきである。
したがって、請求人の主張は、採用できない。
4 まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2025-002516