特許拒絶査定不服審判
2025-001255
プログラム、情報処理システム及び情報処理方法
- 審判番号
- 2025-001255
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2024-037984
- 請求日
- 2025年01月29日
- 審決日
- 2026年05月13日
- 公報発行日
- 2026年07月31日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】リベラルロジック株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人IPX
- 審判長/審判官
- 審判長 道祖土 新吾
- 審判官 後藤 亮治
- 審判官 関口 英樹
- 分類
- P18 .55 -Z (G09G) / P18 .561-Z (G09G)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第3項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2024-037984号「プログラム、情報処理システム及び情報処理方法」拒絶査定不服審判事件〔令和6年12月 4日出願公開、特開2024-167880〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和5年5月22日に出願した特願2023-083691号の一部を令和6年3月12日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。
令和6年 3月15日 :上申書、手続補正書の提出
同月29日付け:拒絶理由通知書
同年 4月26日 :応対記録
同年 5月 2日 :手続補正書の提出
同月13日付け:拒絶理由通知書(最後)
同年11月 7日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
(同月12日 :原査定の謄本の送達)
令和7年 1月29日 :審判請求書、手続補正書の提出
同年 3月17日付け:前置報告書
第2 令和7年1月29日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和7年1月29日にされた手続補正を却下する。
[補正の却下の決定の理由]
1 補正の内容
令和7年1月29日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲の補正をするものであり、本件補正により、次の(1)に示す本件補正前(令和6年5月2日にされた手続補正後のものをいう。以下同じ。)の特許請求の範囲の請求項1の記載は、後記(2)に示す本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載に補正された。下線は補正箇所を示す。
(1) 本件補正前
「表示装置の異常箇所を特定するためのプログラムであって、
少なくとも1つのコンピュータに、次の各ステップを実行させ、
第1の受付ステップでは、予め設置された表示装置の少なくとも一部に対応する領域を設定する入力を受け付け、ここで、前記表示装置は前記コンピュータとは異なる装置であり、
第2の受付ステップでは、要素の数を指定する入力を受け付け、
生成ステップでは、前記第2の受付ステップで受け付けた数の前記要素が配置された点検用画像を生成する、プログラム。」
(2) 本件補正後
「【請求項1】
表示装置の異常箇所を特定するためのプログラムであって、
少なくとも1つのプロセッサを備えるコンピュータに、次の各ステップを実行させ、
第1の受付ステップでは、予め設置された表示装置の少なくとも一部に対応する領域を設定する入力を受け付け、ここで、前記表示装置は前記コンピュータとは異なる装置であり、
第2の受付ステップでは、要素の数を指定する入力を受け付け、
生成ステップでは、前記第2の受付ステップで受け付けた数の前記要素が配置された点検用画像を生成し、設定された前記領域に対応する前記表示装置の少なくとも一部に前記点検用画像が表示されることにより、ユーザが前記要素を目視して前記表示装置の異常箇所を特定することを可能とする、プログラム。」
2 本件補正についての当審の判断
本件補正後の請求項1の記載は、以下の発明特定事項(以下「発明特定事項A」という。)を含むところ、以下に詳述するとおり、発明特定事項Aを追加する補正はいわゆる新規事項を追加するものであるから、本件補正は特許法17条の2第3項の規定に違反するものである。
<発明特定事項A>
「第2の受付ステップでは、要素の数を指定する入力を受け付け、
生成ステップでは、前記第2の受付ステップで受け付けた数の前記要素が配置された点検用画像を生成し、設定された前記領域に対応する前記表示装置の少なくとも一部に前記点検用画像が表示されることにより、ユーザが前記要素を目視して前記表示装置の異常箇所を特定することを可能とすること」
前記発明特定事項Aに関し、「点検用画像」は「第2の受付ステップで受け付けた数の前記要素が配置され」ることが特定されているのみであるから、「要素」と「表示装置」を構成する「表示体」との対応関係がない「点検用画像」も含むものとなっている。
(1) 当初明細書等の記載について
前記発明特定事項Aに関して、本願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「当初明細書等」という。)には以下の記載がある。なお、下線は審判合議体が付したものである。以下、同様とする。
「【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラム、情報処理システム及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
…(中略)…
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年において、デジタルサイネージシステムの保守作業の効率化が求められている。
【0005】
本発明では上記事情を鑑み、デジタルサイネージシステムの保守作業を効率化する技術を提供することとした。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、プログラムが提供される。このプログラムは、少なくとも1つのコンピュータに、次の各ステップを実行させる。表示制御ステップでは、連続して配置された複数の表示部を含む第1の大型表示装置に第1の画像を表示させる。第1の画像は、表示部それぞれが配置されている位置を特定する要素を含む。
【0007】
本開示によれば、デジタルサイネージシステムの保守作業を効率化することが可能となる。」
「【0013】
1.情報処理システム1のシステム構成
図1は、情報処理システム1のシステム構成の一例である。情報処理システム1は、サーバ装置2、クライアント装置3と、第1の大型表示装置4と、第2の大型表示装置5と、ネットワークNとを含む。
【0014】
サーバ装置2は、クライアント装置3からの指示に基づいて、種々の情報を第1の大型表示装置4の表示部44又は第2の大型表示装置5の表示部54に表示させる。
【0015】
クライアント装置3は、ユーザが操作する装置である。例えば、クライアント装置3は、PC(Personal Computer)、タブレット型コンピュータ、スマートフォン等のいずれであってもよい。
【0016】
第1の大型表示装置4及び第2の大型表示装置5(以下において、単に大型表示装置という)は、種々の情報を表示する。例えば、第1の大型表示装置4は、複数のLEDディスプレイを備えるモニター、ビジョン、デジタルサイネージ等であってよい。一例として、大型表示装置は、球技、水泳、陸上、モータースポーツ、ウィンタースポーツ、eスポーツ等の競技場に設置されるデジタルサイネージであってよい。大型表示装置の形状又は大きさ(別の観点によると、大型表示装置に含まれる大型ディスプレイの形状又は大きさ)は、特定の態様に限定されない。例えば、大型表示装置の形状は、多角形、円、楕円等の幾何学的形状、これらの形状の一部、又はこれらの形状の組み合わせによって実現可能な形状であってよい。
図1
[図:0001436915000001.jpg]
」
「【0031】
3.サーバ装置2のプロセッサ21の機能構成
図5は、プロセッサ21が備える機能部の一例である。図5に示すように、プロセッサ21は、記憶部22に記憶された各種プログラムを実行することにより、表示制御部211、受付部212、生成部213及び関連付け部214として機能する。すなわち、記憶部22に記憶されているソフトウェアによる情報処理がハードウェアの一例であるプロセッサ21によって具体的に実現されることで、プロセッサ21に含まれる各機能部として実行されうる。
…(中略)…
【0035】
関連付け部214は、関連付けステップを実行可能に構成される。具体的には、関連付け部214は、第1の大型表示装置4の表示部44又は第2の大型表示装置5の表示部54と、所定のスクリーンに含まれる少なくとも1つの領域とを関連付ける。例えば、所定のスクリーンは、所定の表示部に表示される画面のうちの少なくとも一部である。
図5
[図:0001436915000002.jpg]
」
「【0036】
4.第1の画像IM1及び第2の画像IM2の構成
情報処理システム1で実行される好ましい情報処理において、表示制御部211は、表示制御ステップとして、第1の大型表示装置4に第1の画像IM1を表示させる。また、表示制御部211は、表示制御ステップとして、さらに、第2の大型表示装置5に第2の画像IM2を表示させる。第1の画像IM1及び第2の画像IM2は、例えば、点検画面6として表示されてよい。図6~図8は、第1の大型表示装置4及び第2の大型表示装置5に表示される点検画面6の一例である。
【0037】
図6~図8を用いて、第1の大型表示装置4に表示された点検画面6について説明する。第1の画像IM1は、表示部44それぞれが配置されている位置を特定する要素ELを含む。要素ELは、画像を構成する構成要素の一例である。このような構成によれば、第1の大型表示装置4を構成する表示部44が故障した場合に、ユーザは、故障した表示部44を目視によって容易に特定することができる。これにより、デジタルサイネージシステムの保守作業を効率化することができる。
【0038】
図6~図8の例では、第1の画像IM1は、識別子IDを含む。例えば、識別子IDは、テキスト表示エリア63に表示されたテキストである。別の観点によると、要素ELは、表示部44それぞれを識別する識別子IDを含む。このような構成によれば、ユーザは、表示部44の位置をより容易に特定することができる。
【0039】
図6の例では、表示部44の一部である故障箇所64が、損傷により表示不可能な状態となっている。第1の大型表示装置4は、複数の表示部44によって構成される大型ディスプレイに一体としての映像を表示させる装置であるため、通常、ユーザが目視で故障箇所64の位置を特定することは困難である。特に、ユーザは、第1の大型表示装置4を遠くから俯瞰した状態では、どのLEDモジュールが故障しているかを特定することができない。第1の大型表示装置4に点検画面6を表示させることで、ユーザは、「A, 2, 309」の識別子IDによって識別される表示部44が故障していることを、一目瞭然に特定することができる。
【0040】
一例において、テキスト表示エリア63に表示されるテキストは、ユーザの入力により設定が可能であってよい。別の観点によると、識別子IDは、ユーザによって入力されたテキストを含む。このような構成によれば、ユーザが自由に識別子IDを設定することができ、よりユーザフレンドリーである。
【0041】
図6~図8の例では、第1の画像IM1は、第1の図形60を含む。別の観点によると、要素ELは、表示部44それぞれに対応する範囲を区分けする第1の図形60を含む。第1の図形60は、任意の色で着色される。例えば、図7の例では、隣り合う第1の図形60同士が異なる色となるように、第1の図形60が市松模様状に着色されている。このような構成によれば、ユーザは、各表示部44に対応する範囲を、目視によってより容易に識別することができる。
【0042】
例えば、図8の例では、第1の画像IM1は、第1の図形60の境界線62を含む。別の観点によると、第1の図形60それぞれは、境界線62によって識別可能に表示される。このような構成によれば、各表示部44に対応する範囲の視認性がより向上する。
【0043】
図6~図8の例に示すように、第2の大型表示装置5に表示される第2の画像IM2は、第1の図形60とは異なる色で着色された第2の図形61を含む。一例として、図6~図8では、第1の図形60は、第2の図形61とは異なる、少なくとも一色で着色されている。このような構成によれば、複数の大型表示装置を含むシステムの保守及び点検をより容易に行うことができる。
【0044】
大型表示装置が競技場のデジタルサイネージであり、競技場の脇に設置される場合、観戦の妨げにならないよう細長い形状とすることが好ましい。例えば、大型表示装置は、長辺の長さが短辺の長さの3倍以上である。具体的には例えば、長辺の長さは、短辺の長さの3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,20,21,22,23,24,25,26,27,28,29,30,31,32,33,34,35,36,37,38,39,40,41,42,43,44,45,46,47,48,49,50,51,52,53,54,55,56,57,58,59,60,61,62,63,64,65,66,67,68,69,70,71,72,73,74,75,76,77,78,79,80,81,82,83,84,85,86,87,88,89,90,91,92,93,94,95,96,97,98,99,又は100倍である。また、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。競技場に設置される大型表示装置は、選手又は観客によって破損させられる可能性が高い上に、広告収入を得るために素早い復旧が求められる。このような構成によれば、競技場に設置されるデジタルサイネージの保守及び点検をより効率的に行うことができる。
図6
[図:0001436915000003.jpg]
図7
[図:0001436915000004.jpg]
図8
[図:0001436915000005.jpg]
」
「【0045】
5.情報処理システム1の動作の流れ
5.1 情報処理の概要
図9は、情報処理システム1によって実行される情報処理の流れの一例を示すアクティビティ図である。好ましい態様の一例として、プログラムは、サーバ装置2に、次の各ステップを実行させる。
【0046】
まず、受付部212は、第1の受付ステップとして、表示部44と関連付けられた、少なくとも1つの領域を設定するための入力を受け付ける(アクティビティA001)。具体的には例えば、受付部212は、クライアント装置3の入力部34を介したユーザの入力を、ネットワークN及び通信部23等を介して受け付ける。領域については、後に詳述する。
【0047】
次に、受付部212は、第2の受付ステップとして、リージョンRGに対応させる素材データを指定する入力を受け付ける(アクティビティA002)。素材データは、映像の作成に用いられる素材として扱われる、表示情報の一単位である。例えば、素材データは、静止画、動画、音楽、効果音、演出効果等であってよい。素材データは、例えば、第1の画像IM1を含むデータである。
【0048】
次に、生成部213は、指定された素材データから、大型表示装置に表示させるための映像を生成する(アクティビティA003)。具体的には例えば、生成部213によって生成された映像は、記憶部22に記憶され、クライアント装置3の物理ディスプレイに表示される。
【0049】
次に、受付部212は、生成された映像を出力し、第1の大型表示装置4に表示させるための入力を受け付ける(アクティビティA004)。
【0050】
次に、表示制御部211は、表示制御ステップとして、第1の大型表示装置4に第1の画像IM1を表示させる(アクティビティA005)。具体的には例えば、表示制御部211は、アクティビティA004で受け付けた入力に応じて、通信部23及びネットワークN等を介して、第1の大型表示装置4に第1の画像IM1を表示させる。
【0051】
本実施形態によれば、映像を管理又は生成するにあたって、複雑な情報処理を必要としないため、サーバ装置2及びクライアント装置3のキャッシュメモリの使用を少なくすることができる。また、キャッシュメモリの使用を少なくすることができる結果として、大掛かりな装置又はコンピュータ等を必要としないため、安価に情報処理を実行することができる。また、情報処理システム1によれば、複雑な事前設定を必要とせず、多数の異なる映像を同時に出力することが可能となる。これにより、デジタルサイネージの広告収入の増加が期待される。また、多数の表示装置を備えるシステムであっても、ユーザは各表示装置への送出映像をより容易に管理することができる。これにより、ユーザは、表示装置が設置された環境の状況に応じて容易に映像を切り替えることができ、より柔軟な演出が可能となる。
図9
[図:0001436915000006.jpg]
」
「【0052】
5.2 情報処理の詳細
上記概説された情報処理の詳細部分を、図を用いて説明する。
【0053】
まず、図10を用いて、表示部44と関連付けられた領域について説明する。図10は、ディスプレイDP、スクリーンSC及びリージョンRGの概念を説明するための図である。リージョンRGは、領域の一例である。リージョンRGは、複数の表示部44によって構成される表示領域に対応する論理部品である。例えば、リージョンRGは、スクリーンSCという論理部品の上に仮想的に配置される。スクリーンSCは、ディスプレイDPという論理部品の上に仮想的に配置される。別の観点によると、スクリーンSCはディスプレイDPに含まれ、リージョンRGはスクリーンSC及びディスプレイDPに含まれる。
【0054】
ディスプレイDPとは、例えば、実際にクライアント装置3に接続されている物理ディスプレイに対応する論理部品である。ディスプレイDPは、物理ディスプレイに一対一の関係で関連付けられ、物理ディスプレイと同じ配置となるように仮想的にレイアウトされる。
【0055】
例えば、スクリーンSCとは、大型表示装置に送出される映像領域に対応する論理部品である。例えば、スクリーンSCの領域から切り出した映像が管理され、スクリーンSCの範囲から切り出した映像が大型表示装置に送出される。
図10
[図:0001436915000007.jpg]
」
「【0056】
図11は、出力部35に表示されるレイアウト設定画面70の一例である。例えば、アクティビティA001における領域の設定は、レイアウト設定画面70を介して行われてよい。
【0057】
一例として、レイアウト設定画面70は、レイアウト編集エリア700、プロパティ表示エリア701、操作ボタン702を含む。
【0058】
レイアウト編集エリア700には、仮想的に配置された論理部品が、プレビュー画像703として表示される。プレビュー画像703は、第1のディスプレイDP1、第2のディスプレイDP2、第1のスクリーンSC1、第2のスクリーンSC2、及びリージョンRGを含む。ユーザは、操作ボタン702の選択により、論理部品を追加し、編集し、又は削除することができる。各論理部品は、ユーザによって、位置又は数が自由に設定されてよい。ロックアイコン704は、該当する論理部品の位置又は大きさ等の編集が制限されていることを示す。
【0059】
プロパティ表示エリア701には、選択された論理部品に関連付けられた情報が表示される。各論理部品には、例えば、名称、大きさ、解像度、位置、編集が制限されているか否かの情報が関連付けられてよい。ユーザは、テキストボックス705又はチェックボックス706を介し、論理部品に関する情報を編集することができる。
【0060】
ユーザにより「決定」と示された操作ボタン702が選択されることで、表示部44と関連付けられたリージョンRGが設定される。
図11
[図:0001436915000008.jpg]
」
「【0061】
図12は、出力部35に表示される映像編集画面71の一例である。例えば、アクティビティA002における素材データの指定は、映像編集画面71を介して行われてよい。
【0062】
一例として、映像編集画面71は、プロパティ表示エリア710、素材データ表示エリア711、及び操作ボタン712を含む。
【0063】
プロパティ表示エリア710には、映像データ又は素材データに関連付けられた情報が表示される。例えば、映像データには、名称、出力先のスクリーンSC、表示時間等の情報が関連付けられてよい。例えば、素材データには、例えば、名称、種類、データサイズ、解像度等の情報が関連付けられてよい。ユーザは、テキストボックス715又はプルダウンメニュー717を介し、これらの情報を編集することができる。
【0064】
素材データ表示エリア711には、ユーザにより指定された素材データが表示される。一態様として、生成部213によって生成された素材データが指定されてもよい。素材データ表示エリア711は、操作タブ718を含む。各操作タブ718は、映像の表示先として選択されたスクリーンSCに含まれるリージョンRGに対応する。このような態様により、スクリーンSCに複数のリージョンRGが含まれる場合であっても、ユーザが各リージョンRGに表示させる映像の編集を効率的に行うことができる。
図12
[図:0001436915000009.jpg]
」
「【0065】
図13は、出力部35に表示される素材データ作成画面72の一例である。例えば、図12中の「素材データ新規作成」と示された操作ボタン712が選択されることにより、素材データ作成画面72が表示されてもよい。図13の例には、点検画面6として表示させる第1の画像IM1が作成されている様子が示される。
【0066】
素材データ作成画面72は、設定エリア720、プレビューエリア721、及び操作ボタン722を含む。
【0067】
設定エリア720は、作成する画像に関する種々の情報が表示される。ユーザは、各表示部44の解像度、第1の大型表示装置4に含まれる表示部44の数を入力することで、第1の大型表示装置4を点検するための第1の画像IM1を作成することができる。ユーザは、テキストボックス725、チェックボックス726、又はプルダウンメニュー727を介し、作成した画像を編集することができる。プレビューエリア721には、生成された画像を確認するためのプレビュー画像723が表示される。
図13
[図:0001436915000010.jpg]
」
「【0068】
図14は、クライアント装置3の物理ディスプレイに表示される映像確認画面73の一例である。映像確認画面73は、出力映像730を含む。図14の例では、出力映像730は、第1の画像IM1である。第1の画像IM1は、リージョンRGに対応する表示領域において、左上から右下に向かって折り返される態様で表示される。別の観点によると、表示部44と関連付けられた領域は、クライアント装置3の物理ディスプレイによって出力される映像確認画面73(所定のスクリーンの一例)に含まれる。これにより、送出中の映像が一覧性のある態様で表示されるため、複数の映像の管理がより容易になる。
図14
[図:0001436915000011.jpg]
」
(2) 新規事項の追加の有無の検討
ア 前記(1)に摘記した事項によれば、本願発明の解決しようとする課題は、「デジタルサイネージシステムの保守作業を効率化する技術を提供すること」であり(【0005】)、かかる課題を解決する構成として、「表示制御ステップ」で、「連続して配置された複数の表示部を含む第1の大型表示装置」に「表示部それぞれが配置されている位置を特定する要素を含む」「第1の画像を表示させる」「プログラム」を提供するものである。(【0006】)そして、かかる構成を採用したことにより、「デジタルサイネージシステムの保守作業を効率化することが可能となる」との効果を奏するものである。(【0007】)
イ デジタルサイネージシステムの具体的構成に関し、【0013】~【0016】及び図1には、複数の表示部44を含む第1の大型表示装置4、複数の表示部54を含む第2の大型表示装置5が記載され、例えば、第1の大型表示装置4は、複数のLEDディスプレイを備えるモニター、ビジョン、デジタルサイネージ等であってよいことが記載されている。
ウ また、【0035】には、クライアント装置3からの指示に基づいて、種々の情報を第1の大型表示装置4の表示部44又は第2の大型表示装置5の表示部54に表示させるサーバ装置3(【0014】)が備える機能構成として、第1の大型表示装置4の表示部44又は第2の大型表示装置5の表示部54と、所定のスクリーンに含まれる少なくとも1つの領域とを関連付ける、関連付け部214が記載されている。
エ そして、【0036】~【0044】及び図6~8には、「デジタルサイネージシステムの保守作業を効率化することができる」(【0037】)具体的構成として、大型表示装置4を構成する表示部44、又は、大型表示装置5を構成する表示部54それぞれが配置されている位置を特定するものであって、表示部44、表示部54のそれぞれに対応付けられた要素EL、識別子ID、図形60、境界線62等を含む、第1の画像IM1、第2の画像IM2を表示させ、ユーザに、目視で、識別子IDを特定させることによって、識別子IDによって識別される表示部44が故障していることを特定させる構成が記載されている。
オ 他方、大型表示装置に表示する(一般的な)映像の生成又は管理について、【0045】~【0051】及び図9には、サーバ装置2の受付部212が、表示部44と関連付けられた領域の設定(アクティビティA001)と、素材データの指定(アクティビティA002)を受け付け、サーバ装置2の生成部213が、指定された素材データから、大型表示装置に表示させるための映像を生成し、クライアント装置3の物理ディスプレイに表示させることが記載されている。
カ また、【0052】~【0055】及び図10には、領域管理として、表示部44と関連付けられた領域として、物理ディスプレイに一対一の関係で関連付けられ、物理ディスプレイと同じ配置となるように仮想的にレイアウトされる論理部品であるディスプレイDP(【0054】)、大型表示装置に送出される映像領域に対応する論理部品であるスクリーンSC(【0055】)、複数の表示部44によって構成される表示領域に対応する論理部品であるリージョンRG(【0053】)があり、リージョンRGは、スクリーンSCという論理部品の上に仮想的に配置され、スクリーンSCは、ディスプレイDPという論理部品の上に仮想的に配置されること(【0053】)が記載されている。そして、【0056】~【0060】及び図11には、クライアント装置3の出力部35に表示されるレイアウト設定画面70を介して、アクティビティA001の領域の設定が行われ(【0056】)、各論理部品には、例えば、名称、大きさ、解像度、位置、編集が制限されているか否かの情報が関連付けられてよいこと(【0059】)が記載されている。
キ 前記オの素材データの指定を行う、クライアント装置3の出力部35に表示される映像表示画面71(【0061】)に関し、素材データには、例えば、名称、種類、データサイズ、解像度等の情報が関連付けられてよいこと(【0063】)が記載され、素材データの新規作成の一例として、ユーザは、各表示部44の解像度、第1の大型表示装置4に含まれる表示部44の数を入力することで、第1の大型表示装置4を点検するための第1の画像IM1を作成することができること(【0067】)が記載されている。
ク 【0068】及び図14には、クライアント装置3の物理ディスプレイに表示される映像確認画面73の一例として、リージョンRGに対応付けられた第1の画像IM1が、リージョンRGに対応する表示領域において、左上から右下に向かって折り返される態様で表示されることが記載されているものの、図14におけるリージョンRGと、スクリーンSC、ディスプレイDPの対応関係は明らかでないから、第1の画像IM1を構成する各要素ELと、ディスプレイDPの対応関係は不明である。
ケ そして、「大型表示装置を使ったデジタルサイネージシステム」の技術分野において、大型表示装置が、縦横に配列された表示モジュール(例えば、LEDモジュール)により構成されていることは、技術常識である。
コ 前記ア~クによれば、当初明細書等には、デジタルサイネージシステムの保守作業を効率化するとの課題を解決するために(前記ア)、大型表示装置4を構成する表示部44、又は、大型表示装置5を構成する表示部54それぞれが配置されている位置を特定するものであって、表示部44、表示部54にそれぞれ対応付けられた要素EL、識別子ID、図形60、境界線62等を含む、第1の画像IM1、第2の画像IM2を表示させ、ユーザに、目視で、識別子IDを特定させることによって、識別子IDによって識別される表示部44が故障していることを特定させる構成が記載され(前記エ)、第1の画像IM1を作成するにあたり、各表示部44の解像度、第1の大型表示装置4に含まれる表示部44の数を入力する(前記キ)ことにより、表示部44に対応付けられた要素ELを含む、第1の大型表示装置4を点検するための第1の画像IM1を作成することは記載されている。他方、当初明細書等には、第1の大型表示装置4を点検するための第1の画像IM1として、要素ELと表示部44との対応関係が無いものは記載されていない。
サ そして、デジタルサイネージシステムの保守作業の効率化を行うために、当初明細書等においては、大型表示装置を構成する複数の表示体の中から、故障が生じた交換対象の表示体の特定を容易化することを目指すものと認められるところ(【0037】、【0039】、【0041】)、かかる効果を奏するためには、前記ケの技術常識も踏まえるに、「点検用画像」として、表示部に対応付けられた要素を含む画像を作成し、大型表示装置に表示することが必須の構成といえる。
シ してみれば、本件補正によって補正された請求項1に記載された発明は、かかる事項を備えていないから、これらの構成において、当初明細書等に記載された必須の構成を、無限定に上位概念化させていることとなっている。
よって、本件補正によって補正された請求項1に記載された発明は、当初明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係で、新たな技術的事項を導入するものというべきである。
(3) 請求人の主張について
請求人は、審判請求書において、「第2の受付ステップでは、要素の数の指定する入力を受け付け」との記載は、当初明細書等の段落0047,0067等と図13の記載に基づくものであり、新規事項の追加には当たらないと主張している。
しかしながら、前記(2)サで述べたように、デジタルサイネージシステムの保守作業の効率化を行うためには、「点検用画像」として、表示部に対応付けられた要素を含む画像を作成し、大型表示装置に表示することが必須の構成といえるところ、「第2の受付ステップで受け付けた数の前記要素が配置され」る「点検用画像」には、表示部に対応付けられた要素を含む画像ではないものも含まれているから、新たな技術的事項を導入しないものとはいえない。
また、請求人は、審判請求書において、表示部と要素とが1対1となるようなものではない構成をとることが、本願発明の特徴であり、敢えて複数の表示部に対して1つの要素を設定して、複数の表示部ごとに異常のある箇所を特定するための要素を表示させることもできる旨、主張しているが、かかる事項は、当初明細書等に記載も示唆もされておらず、当初明細書等に基づくものではないから、その前提において失当である。
よって、請求人の主張を採用することはできない。
(4) 小括
以上検討のとおり、本件補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものではなく、特許法17条の2第3項の規定に違反しているから、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
3 本件補正の却下の決定の理由のむすび
前記2(4)のとおり、本件補正は、同法17条の2第3項の規定に違反しているから、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
よって、前記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 新規事項の追加についての当審の判断
1 原査定前補正の補正内容
本件補正は、上記第2のとおり却下されたところ、令和6年5月2日にされた特許請求の範囲についての補正(以下「原査定前補正」という。)は、本願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の請求項1の記載を、前記第2の1(1)に示される本件補正前の特許請求の範囲の請求項1の記載に補正するものである。
2 原査定における拒絶の理由の概要
原査定の本願発明に対する拒絶の理由(新規事項)の概要は、次のとおりである。
理由1(新規事項)原査定前補正は、下記の点で当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。
記
上記補正は請求項1について「前記第2の受付ステップで受け付けた数の前記要素が配置された点検用画像を生成する」という事項を付加するものを含む点。
3 原査定前補正についての当審の判断
請求項1の「第2の受付ステップで受け付けた数の前記要素が配置された点検用画像」という発明特定事項は、原査定前補正により追加されたものであるから、原査定前補正についても、本件補正について検討した新規事項の追加の有無の検討内容が同様に当てはまる。
したがって、原査定前補正は、当初明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものであるとはいえない。
よって、原査定前補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものではなく、特許法17条の2第3項の規定に違反している。
第4 むすび
以上検討のとおり、原査定前補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものではなく、特許法17条の2第3項の規定に違反している。
したがって、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2025-001255