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特許拒絶査定不服審判

2025-000524

加飾容器体

審判番号
2025-000524
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2020-216252
請求日
2025年01月15日
審決日
2026年05月12日
公報発行日
2026年07月31日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】株式会社吉野工業所
  • 【請求人代理人】渡辺 一成
審判長/審判官
  • 審判長 田口 傑
  • 審判官 笹木 俊男
  • 審判官 岩谷 一臣
分類
P18 .121-Z (B65D)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項
データ出所
審決公報(XML)

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特願2020-216252「加飾容器体」拒絶査定不服審判事件〔令和4年7月7日出願公開、特開2022-101890〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、令和2年12月25日の出願であって、その手続の経緯は、以下のとおりである。 令和6年 2月 1日付け:拒絶理由通知書 4月 5日 :意見書、手続補正書の提出 7月 1日付け:拒絶理由通知書(最後) 8月21日 :意見書、手続補正書の提出 10月 8日付け:補正の却下の決定、拒絶査定 (謄本送達:同月15日。以下「原査定」という。) 令和7年 1月15日 :審判請求書、手続補正書の提出 第2 補正の却下の決定 〔補正の却下の決定の結論〕 令和7年1月15日の手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 本件補正の内容 本件補正は、特許請求の範囲の請求項1に対する以下の補正を含むものである。なお、下線は、補正個所である。 (1)本件補正前の請求項1 「【請求項1】 表面に凹凸模様(A)又は微細エンボス加飾(B)による加飾部(13)が形成された透明又は半透明から成る合成樹脂製の加飾成形体(10A)と、前記加飾成形体(10A)の内側に配置された内パーツ(20)と、を有し、 外側から前記加飾成形体(10A)の内部を見たときに、前記加飾部(13)が前記内パーツ(20)の表面色を背景として浮き出て視認されることを特徴とする加飾容器体。」 (2)本件補正後の請求項1 「【請求項1】 表面を空押しホットスタンプした文字、図形、記号又はこれらの組み合わせから成る凹凸模様(A)又は微細エンボス加飾(B)による加飾部(13)が形成された透明又は半透明から成る合成樹脂製の加飾成形体(10A)と、前記加飾成形体(10A)の内側に配置された内パーツ(20)と、を有し、 外側から前記加飾成形体(10A)の内部を見たときに、前記加飾部(13)を構成する前記凹凸模様(A)又は前記微細エンボス加飾(B)から成る文字、図形、記号又はこれらの組み合わせが前記内パーツ(20)の表面色を背景として浮き出て視認されることを特徴とする加飾容器体。」 2 補正の適否 本件補正は、補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「凹凸模様(A)又は微細エンボス加飾(B)」について、「空押しホットスタンプした文字、図形、記号又はこれらの組み合わせから成る」ものであり、それら「凹凸模様(A)又は前記微細エンボス加飾(B)から成る文字、図形、記号又はこれらの組み合わせが」浮き出て視認されることを限定するものである。 そして、本件補正の前後において、請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一であるから、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。 (1)本件補正発明 本件補正発明は、上記1(2)に記載されたとおりのものであると認める。 (2)引用文献 以下、原査定で引用された特開2018-118768号公報を「引用文献1」という。 ア 引用文献1について (ア)引用文献1の記載 引用文献1には、次の記載がある。ただし、下線は当審において付し、「・・・」は記載を省略した箇所である。 ・「【請求項1】 容器本体とその外側に位置する外体を有する二重壁構造の加飾容器であって、 外体が透明性を有し、外体の内側表面と外側表面にそれぞれ凹凸模様が形成されている加飾容器。 【請求項2】 容器本体と外体との間に加飾層を有する請求項1記載の加飾容器。」 ・「【発明の効果】 【0008】 本発明の加飾容器によれば、外体の内側表面と外側表面にそれぞれ凹凸模様が形成されているので、凹凸模様によるレンズ効果や散乱効果が顕著に強まる。したがって、本発明の加飾容器は、感性に訴える立体感のある加飾を有するものとなる。」 ・「【0011】 <実施形態1> (全体構成) 図1は、本発明の一実施形態の加飾容器1Aの片側断面図である。この加飾容器1Aは、内容物の充填領域側に位置する容器本体2と、容器本体2の外側に位置する外体10とを有する。加飾容器1Aは更に、容器本体2の口部に螺合して該口部を密封する蓋3と、容器本体2の側面と外体10との間にある加飾層20と、容器本体2の底面と外体10との間にある底部加飾層30と、容器本体2の口部近傍で容器本体2と外体10の隙間を塞ぐ肩カバー40を有する。」 ・「【0016】 (外体) 本実施形態の加飾容器1Aにおいて外体10は有底筒状であり、透明性を有するポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アイオノマー系樹脂、アクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、エラストマー系樹脂等で形成されている。 ・・・ 【0017】 外体10は、その内側表面11と外側表面12の双方に凹凸模様を有している。ここで凹凸模様とは、表面凹凸により形成された模様をいう。 ・・・ 【0018】 一方、本発明において、外体10の内側表面11の凹凸模様と外側表面12の凹凸模様はそれぞれ別個の模様としてもよく、内側表面11の凹凸模様と外側表面12の凹凸模様の凸部同士又は凹部同士は必ずしも重ならなくてもよい。内側表面11の凹凸模様と外側表面12の凹凸模様が別個の模様であっても、内側表面11と外側表面12の双方に凹凸模様があることで、双方の表面11、12のそれぞれでレンズ効果やプリズム効果を得られるので内側表面11と外側表面12のいずれか一方に凹凸模様がある場合に比して複雑な加飾を形成することが可能となる。 ・・・ 【0019】 また、図1Aに示した実施形態の加飾容器1Aでは、外体10の側面全周に花柄模様が設けられているが、本発明において、凹凸模様における模様の種類に特に限定はなく、花柄の他、ダイヤモンドカットを含む宝石調模様、筋状模様、幾何学模様等を挙げることができる。」 ・「【0023】 (加飾層) 本発明において加飾層20は必要に応じて設けられ、本実施形態の加飾容器1Aでは加飾層20としてシート21を有する。加飾層20を形成するシート21は、透明又は不透明な樹脂シート、紙、樹脂シート又は紙とアルミ等の金属箔とのラミネートシート等から形成することができる。また、シート21を透明又は不透明な発光フィルムから形成してもよい。」 ・「 [図:0001436900000001.jpg] 」 (イ)認定事項 上記(ア)、【0016】の記載からみて、「外体10」は、透明性を有する樹脂製であると認められる。 (ウ)引用文献1に記載の発明 上記(ア)、(イ)、特に【請求項1】、【請求項2】の記載から、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認める。 「容器本体とその外側に位置する外体を有する二重壁構造の加飾容器であって、外体が透明性を有する樹脂製であり、外体の内側表面と外側表面にそれぞれ凹凸模様が形成されており、容器本体と外体との間に加飾層を有する加飾容器。」 イ 周知技術について 当審において周知技術を示す例として、特開平6-32355号公報、特開2014-105032号公報(それぞれ「引用文献2」、「引用文献3」という。)を引用する。 (ア)引用文献2の記載 引用文献2には、次の記載がある。 ・「【0001】 【産業上の利用分野】本発明はプラスチック製の収納ケースとその製造方法に関し、更に詳しくは諧調表現が可能な標識を有するプラスチック製収納ケースに関する。 ・・・ 【0003】 【発明が解決使用とする課題(審決注:「解決しようとする課題」の誤記と認める。)】従来、プラスチック製薄板等に標識を表示するには、加熱した金型をプラスチック製薄板の面に型押し(ホットスタンプ)することが行われている。」 (イ)引用文献3の記載 引用文献3には、次の記載がある。 ・「【背景技術】 【0002】 二重壁構造の合成樹脂製ボトルとして、外殻体を透明にした構成のものが優れた光学的な加飾機能が発揮できることから、高級感のあるパーケージング(審決注:「パッケージング」の誤記と認める。以下同様。)で商品の差別化が要望される化粧料容器等への利用展開が進んでいる。 本願の出願人による特許文献1には内層を構成するボトル本体をインサート材とし、透明で厚肉の外殻体を射出成形により成形する二重壁構造を有する合成樹脂製ボトルが記載されている。 【0003】 この種の二重壁構造を有するボトルでは、ボトル本体の外周面にシルク印刷や、ホットスタンプ法により加飾層を積層し、この加飾層による模様が透明な外殻体の周壁の中に浮き上がるような3次元的な視覚効果を発揮させて高級感のあるパーケージングを実現できるものとして、従来は硝子製のボトルが使用されていた化粧料用の容器への利用展開が進んでいる。」 (ウ)周知技術 上記(ア)、(イ)からみて、樹脂製品に標識や加飾層を設けるに当たり、いわゆるホットスタンプ法(空押しホットスタンプ)を用いることは、周知技術であると認める。 (3)対比 本件補正発明と引用発明を対比すると、以下のとおりである。 ・引用発明の「外体」は、本件補正発明の「加飾成形体」に相当する。また、引用発明における「外体が透明性を有する樹脂製であ」るという事項は、本件補正発明の「透明又は半透明から成る合成樹脂製の加飾成形体」という事項に相当する。 ・引用発明の「凹凸模様」は、「外体の内側表面と外側表面にそれぞれ」設けられているところ、少なくとも「外体」の「外側表面」に加飾のために設けられたものであるから、本件補正発明の「表面を空押しホットスタンプした文字、図形、記号又はこれらの組み合わせから成る凹凸模様(A)又は微細エンボス加飾(B)による加飾部(13)が形成され」との関係において、「表面に凹凸模様又は微細エンボス加飾による加飾部が形成され」という点に限り相当する。 ・引用発明の「加飾層」は、「容器本体と外体との間に」設けられたものであるから、本件補正発明の「前記加飾成形体の内側に配置された内パーツ」に相当する。 そうすると、本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は、以下のとおりである。 <一致点> 「表面に凹凸模様又は微細エンボス加飾による加飾部が形成された透明又は半透明から成る合成樹脂製の加飾成形体と、前記加飾成形体の内側に配置された内パーツと、を有する、 加飾容器体。」 <相違点1> 表面に形成された凹凸模様又は微細エンボス加飾部に関し、本件補正発明は、「空押しホットスタンプした文字、図形、記号又はこれらの組み合わせから成る」ものであるのに対し、引用発明の「凹凸模様」は、どのように加工したものか不明であり、また、その形状も明らかでない点。 <相違点2> 本件補正発明では、「外側から前記加飾成形体の内部を見たときに、前記加飾部を構成する前記凹凸模様又は前記微細エンボス加飾から成る文字、図形、記号又はこれらの組み合わせが前記内パーツの表面色を背景として浮き出て視認される」ものであるのに対し、引用発明は、外側から「加飾容器」の内部を見たときに、このように視認されるか不明である点。 (4)判断 当該相違点1、2について判断する。 ア 相違点1について 引用発明において、「凹凸模様」をどのように形成するかは、当業者が適宜選択すべき事項であるところ、上記(2)イ(ウ)のとおり、樹脂製品に標識や加飾層を設けるに当たり、いわゆるホットスタンプ法(空押しホットスタンプ)を用いることは周知技術である。そうすると、引用発明における当該「凹凸模様」を空押しホットスタンプにより形成することは、当業者が容易に想到し得たものである。 また、上記(2)ア(ア)のとおり、引用文献1の【0019】には、「凹凸模様における模様の種類に特に限定はなく、花柄の他、ダイヤモンドカットを含む宝石調模様、筋状模様、幾何学模様等を挙げることができる。」と記載されている。してみれば、当該記載に基づいて、引用発明の「凹凸模様」をこれらの形状とすることは、当業者が容易に想到し得たものである。そして、当該模様は、少なくとも図形又は記号ということができるから、本件補正発明における「文字、図形、記号又はこれらの組み合わせから成る」ものに該当する。 イ 相違点2について 上記(2)ア(ア)のとおり、引用文献1の【0023】には、「加飾層20を形成するシート21は、透明又は不透明な樹脂シート、紙、樹脂シート又は紙とアルミ等の金属箔とのラミネートシート等から形成することができる。また、シート21を透明又は不透明な発光フィルムから形成してもよい。」と記載されている。してみれば、引用発明における「加飾層」について、不透明なもの、金属箔、発光フィルムなどを採用し、外側から「加飾容器」の内部を見た場合、透明性のある「外体」を通じ、その色ないし光が透過して見えるようにすることは、当業者が適宜なし得たものである。 そして、引用発明において、「凹凸模様」に図形又は記号相当の模様を設けることは上記アのとおり容易想到であるところ、当該「凹凸模様」を透過した色ないし光は、そのレンズないしプリズム効果によって形状が浮き出すように見えることは当然である。 ウ 効果について 本件補正発明が奏する効果を検討しても、引用発明、引用文献1に記載の事項、及び周知技術から当業者が予測できないような格別なものは見いだせない。 3 請求人の主張について 請求人は、審判請求書において、引用文献1の凹凸模様は図柄であり、本願発明の「前記加飾部を構成する凹凸模様(A)又は微細エンボス加飾(B)から成る文字、図形、記号又はこれらの組み合わせ」ではない旨主張するが、この点は上記相違点1で検討したとおりである。 また、請求人は、引用文献1のものは、本願発明のように凹凸模様の内容まで理解できるという効果を奏するものではないとの主張もする。しかし、引用発明のものは、凹凸模様が浮き出て見えるものと解されるところ、通常の者であれば、その内容が理解できるように見えているはずである。 したがって、請求人の主張は採用できない。 4 補正の却下の決定についてのむすび 以上のとおりであるから、本件補正発明は、引用発明、引用文献1に記載の事項、及び周知技術に基づいて当業者が容易に想到し得たものである。 よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 1 本願発明 本件補正は、上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1~3に係る発明は、令和6年4月5日の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~3に記載されたとおりのものであると認めるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記第2[理由]1(1)に記載したとおりのものである。 2 原査定の拒絶の理由 原査定における本願発明に対する拒絶の理由は、概略、以下のとおりである。 ・(進歩性)本願発明は、引用文献1に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 3 引用発明 引用発明は、上記第2[理由]2(2)ア(ウ)のとおりである。 4 対比 本願発明と引用発明とを対比すると、両発明の相違点は、次のとおりである。 <相違点2’> 本願発明では、「外側から前記加飾成形体の内部を見たときに、前記加飾部が前記内パーツの表面色を背景として浮き出て視認される」のに対し、引用発明では、外側から「加飾容器」の内部を見たときに、このように視認されるか不明である点。 5 判断 当該相違点2’について検討するに、上記第2[理由]2(4)イのとおり、引用発明の「加飾層」として不透明なもの、金属箔、発光フィルムなどを採用し、外側から「加飾容器」の内部を見た場合、透明性のある「外体」を通じ、その色ないし光が透過して見えるようにすることは、当業者が適宜なし得たものである。そして、引用発明において、「凹凸模様」を透過した色ないし光は、そのレンズないしプリズム効果によって形状が浮き出すように見えることは当然である。 6 小括 してみれば、本願発明は、引用発明及び引用文献1に記載の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明、すなわち本願の請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2025-000524

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