商標拒絶査定不服審判
2025-000140
ゼンコクシュワケンテーシケン、ゼンコクシュワ、シュワケンテーシケン、シュワケンテー
- 審判番号
- 2025-000140
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2023-102218
- 請求日
- 2025年01月07日
- 審決日
- 2025年09月22日
- 公報発行日
- 2025年10月31日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】社会福祉法人全国手話研修センター
- 【請求人代理人】杉浦 健文
- 審判長/審判官
- 審判長 大島 康浩
- 審判官 小林 裕子
- 審判官 中島 光
- 分類
- T18 .13 -WY (W41) / T18 .17 -WY (W41)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号、商標法第3条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2023-102218拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願商標は、登録すべきものとする。
理由
理 由
1 手続の経緯
本願は、令和5年9月13日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和6年 2月20日付け:拒絶理由通知書
令和6年 7月 3日 :意見書の提出
令和6年10月 2日付け:拒絶査定
令和7年 1月 7日 :審判請求書、手続補正書の提出
2 本願商標
本願商標は、「全国手話検定試験」の文字を標準文字で表してなり、第16類、第41類及び第42類に属する、願書記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として登録出願されたものであり、その後、指定役務については、前記1の手続補正書により、第41類「手話に関する能力の検定試験の企画・運営又は開催」に補正されたものである。
3 原査定の拒絶の理由の要点
本願商標は、「全国手話検定試験」の文字を標準文字で表してなり、構成中「全国」の文字は「その国全体」の意味を、「手話」の文字は「主として耳や口の不自由な人が手を使ってする話」の意味を、「検定試験」の文字は「特定の資格を与えることの適否を検定するために行われる試験」の意味を表すものである。
そして、本願の指定役務の業界においては、手話に関する検定試験が行われている実情があり、また、「全国」の文字は、検定試験の先頭に付けて、その試験の受験対象者、実施会場の設置、又は合否の判断基準等が全国規模であることを表すものとして使用されている。
そうすると、本願商標をその指定役務中「手話に関する能力の検定,手話に関する能力の検定試験の企画・運営又は開催,インターネットを通じた検定試験の実施」に使用した場合、これに接する需要者は、これらの役務が「手話に関する全国規模の検定試験」であることを理解するにとどまる、すなわち、単に役務の質を普通に用いられる方法で表示したものとして認識するというのが相当である。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
また、本願商標は、需要者の間で全国的に広く認識されるに至っているとは認められず、商標法第3条第2項の規定の適用を受ける商標であるとの出願人の主張を採用することはできない。
4 当審の判断
(1)本願商標の商標法第3条第1項第3号該当性について
商標法第3条第1項第3号に掲げる商標が商標登録の要件を欠くとされているのは、このような商標は、商品の産地、販売地その他の特性を表示記述する標章であって、取引に際し必要適切な表示としてなんぴともその使用を欲するものであるから、特定人によるその独占的使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、一般的に使用される標章であって、多くの場合自他商品識別力を欠き、商標としての機能を果たし得ないものであることによるものと解される(昭和53年(行ツ)第129号、最高裁昭和54年4月10日第三小法廷判決・裁判集民事126号507頁)。
また、この趣旨に照らせば、当該商標が指定商品の品質等を表すものとして、審決時に需要者に広く認識されている場合はもとより、将来を含め、需要者にその商品の品質等を表すものと認識される可能性があって、これを特定人に独占使用させることが公益上適当でないと判断されるときは、その商標は、同号に該当すると解するのが相当である。
本願商標は、「全国手話検定試験」の文字を標準文字で表してなり、構成中「全国」の文字は「国内全体」の意味を、「手話」の文字は「主に聾者によって用いられる、手の形・動き・位置などによって意味を伝える言語」の意味を、「検定試験」の文字は「特定の資格を与えるべきか否かを検定するため行う試験」の意味を有する(いずれも「広辞苑 第七版」(株式会社岩波書店))、いずれも広く一般に親しまれた語であるから、本願商標は、「全国」の文字と、「手話」の文字と、「検定試験」の文字を結合した構成よりなる、全体として、「国内全体の手話の検定試験」程の意味合いを容易に認識させるものである。
そして、別掲によれば、手話を内容とする検定試験が行われている実情がある。
してみれば、本願商標を補正後の指定役務に使用しても、これに接する需要者に、「国内全体の手話の検定試験」であること、すなわち、役務の質(内容)を表示したものとして認識させるにすぎないものというのが相当である。
加えて、前記のとおり、本願商標は、標準文字で表してなるものであるから、その態様上顕著な特徴は認められない。
したがって、本願商標は、役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)本願商標の商標法第3条第2項該当性について
請求人は、本願商標は、商標法第3条第2項に規定する要件を具備しており、登録されるべき商標である旨を主張し、証拠として甲第1号証ないし甲第48号証を提出している。
そこで、請求人提出の証拠の内容に照らし、本願商標が、使用をされた結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至っているか否かについて、以下検討する。
なお、証拠の記載に当たっては、「甲第○号証」を、「甲○」と表記する場合がある。
ア 本願商標と使用商標の同一性について
本願商標は、本願商標は、「全国手話検定試験」の文字を標準文字で表してなるものである。他方、請求人が補正後の指定役務である「手話に関する能力の検定試験の企画・運営又は開催」(以下「使用役務」という。)に使用する「全国手話検定試験」の文字(以下「使用商標」という。)は、使用時期及び媒体に書体及び色彩が異なる場合があるものの、いずれも一般的な書体で表されたものであり、色彩における差違を考慮しても、本願商標と使用商標とは、外観において同一視できるものである(甲5~甲12、甲14、甲25、甲27、甲29及び甲31)。
イ 使用商標の使用開始時期及び使用期間
請求人は、2006年から2024年まで手話に関する能力の検定試験を開催しており、この検定試験のウェブサイトや宣伝広告において使用商標を表示していることから、使用商標は、請求人によって、少なくとも19年間にわたり継続して使用されているものと認められる(甲4~甲12、甲14、甲24~甲26及び甲28~甲31)。
ウ 使用商標の使用地域
使用役務に係る検定試験は、遅くとも2023年の時点で、日本全国の試験会場及びインターネット上で開催されている(甲5)。
エ 使用役務の提供の実績
使用役務に係る検定試験の受験者(受験申込者)は、2023年の時点で、累計141,178人である(甲10)。
オ 広告宣伝のされた期間・地域及び規模
請求人は、自己のウェブサイト及びSNSにおいて使用役務の広告宣伝を行っている(甲6、甲7及び甲11)。
また、使用役務について、少なくとも2006年から2024年にかけて、「NHKみんなの手話」(発行部数5万部~7万部)をはじめとする、複数の手話に関する雑誌、新聞等において、使用商標が目視可能な態様で広告宣伝が行われている(甲12及び甲23~甲31)。
カ 請求人以外の者による同一又は類似の標章の使用の有無
職権による調査では、請求人以外の者が、本願商標と同一又は類似の標章を、補正後の本願指定役務に使用している事実は発見できなかった。
キ 指定役務の性質
補正後の本願指定役務は、手話に関する能力の検定試験に関するものであり、この役務の需要者は、専ら、手話の学習者であると認められる。
ク その他
本願商標が、補正後の指定役務について、請求人の出所を表示するものとして、手話に関する役務の需要者及び取引者の間において全国的に認識されていることについて、京都商工会議所、一般財団法人全日本ろうあ連盟、一般社団法人全国手話通訳問題研究会、一般社団法人日本手話通訳士協会、特定非営利活動法人全国聴覚障害者情報提供施設協議会、手話を広める知事の会及び全国手話言語市区長会による証明書が提出されている(甲36~甲48)。
ケ 小括
上記アないしクを総合して考察すれば、請求人は、本願商標と同一視できる使用商標を、2006年から現在まで継続して、使用役務について使用しているものであり、請求人に係るウェブサイト、SNSに加え、複数の雑誌、新聞等において、継続して使用商標を表示した形で、使用役務が宣伝されている。
そして、使用役務は全国において提供されており、役務「手話に関する能力の検定試験の企画・運営又は開催」が、専ら、手話の学習者を需要者とするものであるという取引の実情を有するものであることを勘案すれば、その役務に係る検定試験の受験者数は相当程度に多いことが認められる。
してみれば、本願商標は、使用役務について、請求人によって、長年にわたり、継続的に使用をされた結果、需要者が、請求人の業務に係る役務であることを認識するに至ったものというのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を具備するものというべきである。
(3)まとめ
以上検討したところによれば、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものの、同条第2項の要件を具備するものであり、商標登録を受けることができるものであるから、原査定は取消しを免れない。
その他、本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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