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商標異議申立

2024-900262

ウオンキー

審判番号
2024-900262
法域
商標
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
商願2024-018623
登録番号
6852662
請求日
2024年12月17日
審決日
2025年07月15日
公報発行日
2025年08月29日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】株式会社ダイナー
  • 【権利者代理人】川浪 圭介
  • 【異議申立人】本田技研工業 株式会社
  • 【異議申立人代理人】齊藤 誠一
  • 【異議申立人代理人】シュワルツ 知子
審判長/審判官
  • 審判長 山田 啓之
  • 審判官 渡邉 あおい
  • 審判官 深田 彩紀子
分類
T1651.22 -Y (W1225) / T1651.255-Y (W1225) / T1651.261-Y (W1225) / T1651.262-Y (W1225) / T1651.263-Y (W1225) / T1651.271-Y (W1225) / T1651.222-Y (W1225)
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第4条第1項第7号、商標法第4条第1項第15号、商標法第4条第1項第11号、商標法第4条第1項第10号、商標法第4条第1項第19号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

登録第6852662号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。

結論

結 論 登録第6852662号商標の商標登録を維持する。

理由

理 由 1 本件商標 本件登録第6852662号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、第12類及び第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、令和6年2月26日に登録出願、同年9月27日に登録査定、同年10月9日に設定登録されたものである。 2 登録異議申立人が引用する商標 (1)登録異議申立人(以下「申立人」という。)が登録異議の申立ての理由において引用する登録第2512844号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、平成2年3月5日に登録出願、第12類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として同5年3月31日に設定登録され、同16年9月1日に指定商品を第12類を含む6つの区分に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品とする指定商品の書換登録がされ、同25年1月15日に第12類のみについて存続期間の更新登録がされたものであり、その商標権は現に有効に存続している。 (2)申立人が、登録異議の申立ての理由において、「二輪車」に使用しているとして引用する商標は、様々な態様及び書体で表した「MONKEY」、「Monkey」及び「モンキー」の文字からなるものである(以下「申立人商標」という。)。 3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第7号、同項第10号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第365号証を提出した。以下、証拠の記載に当たっては、「甲第○号証」を「甲○」のように省略して記載する。 (1)申立人商標及び引用商標について ア 「レジャーバイク」というカテゴリー 現在においては、二輪自動車のカテゴリーの一つに「レジャーバイク」があるが、その元々のコンセプトは「車のトランクにバイクを積み込み、旅先でバイクに乗り換えて楽しむ」ことであり(甲3)、ハンドル等が折り畳めたり車体を分離できたりするなど、コンパクト、かつ、軽量に設計されていることがその特徴として挙げられる。このようなレジャーバイクの歴史は、1961年開園のモータースポーツをテーマにした申立人遊園地「多摩テック」における遊具の一つとして申立人が製作したMonkey Z100「モンキーオート(モンキーオートバイ)」まで遡る(甲4、甲23~甲25)。Monkey Z100は、コンパクトな車体と5インチサイズのタイヤを採用したミニサイズの二輪車であり、扱いやすさで好評だったスーパーカブのエンジンを搭載することにより、子どもたちはもちろん大人たちも自分で操る楽しみを遊園地内で享受できたもので、レジャーバイクの草分け的ルーツとなった。その後、海外におけるMonkey Z100への大きな反響に応える輸出モデルMonkey CZ100(甲26~甲28)を経て、最初の日本国内向けモデルMonkey Z50Mが1967年に発売されたことをもって(甲29~甲31)、「レジャーバイク」という新しいカテゴリーが誕生したのである。 Monkey Z50Mの発売以降、遊び心と機能性を両立させた申立人のレジャーバィクMONKEYは、高い人気を誇り、以後、申立人は、「DAX」(甲5)、「GORILLA」(甲6)、「モトコンポ」(甲7)、「MOTRA」(甲8)と多彩なレジャーバイクを市場に投入した。そして、MONKEYを始めとする申立人に係るレジャーバイクの人気に対抗して、他社も次々にレジャーバイクに参入した(甲9~甲16)。しかしながら、現在においても日本国内向けの生産・出荷が継続しているレジャーバイクは申立人によるMONKEY及びDAXに限られ、レジャーバイクのカテゴリーにおける申立人の強さは圧倒的である。そして、申立人によるMONKEYは、レジャーバイクの礎を築いた始祖として、同時に、登場から現在に至るまでの63年間にわたり進化しながら歴史を刻み続けるレジャーバイクの象徴的存在として、需要者に愛される超ロングセラーモデルなのである。 イ MONKEYの歴史 1961年、遊園地のアトラクション乗物用に、子どもが乗れる二輪車のレジャーモデルとして製作されたMonkeyZ100が登場した(甲4、甲23~甲25)。これが1962年10月から11月にかけて欧州で開催されたフランクフルトショーとロンドンショーで出品されると、ユニークなスタイリングやクルマのトランクに入るサイズから、現地において高い人気を博した(甲17~甲20)。そして、欧州のモーターショーで大きな反響があったことにより、1962年12月に申立人からヨーロッパホンダに20台のMonkeyZ100が出荷された(甲24)。このような背景から、一般公道も走行できる海外輸出モデルとして1963年12月に開発されたMonkey CZ100は、1964年~1966年の間にフランスやドイツなどに約2,500台が輸出された(甲27)。また、アメリカにもMONKEYが輸出されて好評を博し、1971年にはアメリカYMCA各支部に10,000台のMONKEYが寄付された(甲21)。このように、MONKEYは海外での販売・人気が先行したが、海外におけるヒットを受け、日本国内向け販売用のモデルの開発が行われたのである。 (2)「MONKEY」の著名性 ア 使用態様(宣伝広告広報活動) 「MONKEY」の具体的な使用態様は、甲第23号証ないし甲第83号証にも示されているが、ほかに、申立人ウェブサイト(甲84)、カタログ(甲85~甲210)、申立人ブック(甲211)、モーターショー(甲212~甲231)、雑誌(甲232~甲246)、YouTube(甲247~甲256)、インターネット記事(甲257~甲265)、受賞・ランキング(甲266~甲275)、モンキーミーティングの開催(甲276~甲293)等で使用されている。 イ 使用地域 申立人ウェブサイト(甲84)、YouTube(甲247~甲256)、インターネット記事(甲257~甲293)など、MONKEYに係る様々な情報がインターネットを介して発信されており、その発信範囲は日本全国に及ぶ。そして、申立人カタログ(甲85~甲210)は、日本全国に分布する申立人の正規販売店や正規取扱店(甲294~甲340)において頒布されたほか、日本全国において場所を問わず、オンラインで取り寄せることができるようになっている。 ウ 使用商品 申立人に係る「MONKEY」は、「二輪車並びにその部品及び附属品」に使用されていることはいうに及ばず(甲4、甲17~甲293)、モンキーグッズとして、手ぬぐい、携帯ストラップ、キーホルダー、バンダナ、ヘルメット、エプロン、Tシャツ、マグカップ、トートバッグ、バスタオル、インテリアチェアなどに使用された実績がある(甲211)。また、MONKEYのライセンス商品としてはミニカー/カプセルトイの販売が実現したほか(甲360)、岡山県倉敷市の児島ジーンズとのコラボレーションにより、「モンキーコンボパンツ」や「モンキーコンボTシャツ」にも使用されている(甲341、甲342)。 エ 業績 MONKEYの販売価格(税抜)は、1967年の発売当初は63,000円であり、2000年には200,000円弱であったが(甲22)、同年の大卒初任給に鑑みれば、いつの時代でも、廉価な商品とはいえなかったことが考えられる。 そして、廉価とはいえない価格であったにもかかわらず、各モデルに係るMONKEY発売時の生産・販売計画台数(月産又は年産)は、数千台かそれ以上の数量が設定された(甲22)。このような積極的な計画台数は、MONKEYに係る商品の継続的な人気の高さと好調な販売実績を裏付けるものである。 また、申立人記録によれば、1970年~2024年11月までのMONKEYの累計国内出荷台数は48万台以上である。 二輪車全体におけるレジャーバイクの市場シェアは、他のカテゴリーのバイク(ビジネスバイク、スポーツバイク、ファミリーバイク、スクーター)の市場シェアと比較して相対的に小さいことが一般的であることに鑑みれば(甲344)、レジャーバイクのカテゴリーにおける申立人のMONKEYの市場シェアは大きいことが推認される。何より、排ガス規制や騒音規制等により年々厳しさを増す二輪車業界において、過去63年という長期間にわたって継続的に需要者に愛され販売実績を維持するということ自体が非常に困難、かつ、稀有な事績であり、MONKEYの評判の高さの確固たる証左なのである。 なお、50ccとしてのMONKEYの最終モデル(50周年スペシャル)が2017年に販売された際には、限定500台の枠に45,333通もの申し込みがなされ、その抽選倍率は90倍以上であった(甲345)。このように、MONKEYに係る人気は、2017年当時においても陰りを知らず、レジャーバイクの代名詞として、現在に至っても、長期継続的、かつ、着実に業績を積み重ねているのである。 オ 使用期間 申立人がMONKEYに係る商標の使用を開始したのは1961年であり、以降、現在に至るまでの63年間もの長期間にわたって、日本全域で継続的な使用を行っている。 カ 日本有名商標集 申立人の「Monkey」は、2004年発行の日本有名商標集に掲載されている(甲347)。これは、申立人の「MONKEY」に係る商標が、少なくとも2004年には既に一般の需要者に広く知られた著名な商標であったと認められていたことを客観的に示すものである。そして、申立人が、2004年以降も継続して「MONKEY」を使用している事実と合わせ鑑みれば(甲4、甲17~甲293、甲341、甲342、甲345)、「MONKEY」は、現在に至るまで、変わらずにその著名性を維持していることは明白である。 キ 小括 以上のように、「MONKEY」に係る商標の使用態様(宣伝広告広報活動)、使用地域、使用商品、業績、使用期間等(甲4、甲17~甲342、甲345、甲347)を考慮すれば、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、「MONKEY」が日本全国的に著名であったということは明らかである。 (3)商標法第4条第1項第11号について 本件商標は、欧文字で「wonkey」の構成からなり、その文字に相応して「ウォンキー」の称呼が生じる。一方で、引用商標は欧文字で「MONKEY」の態様からなり、「モンキー」の称呼が生じる。そして、両称呼を比較すると、その唯一の差異は「ウォ」と「モ」に見られるのみであり、かつ、該差異音「ウォ(uo)」は二重母音で、あたかも1音「オ(o)」のように発音され聴取される音であって、「モ(o)」とは母音を共通にする近似音である。さらに、「モ」の音は、響きの弱い鼻子音(m)と明確に響く母音(o)が結合した音であることから、子音(m)よりはむしろ(o)が強く響き、印象に残る。すなわち、「ウォ」と「モ」の音は、いずれも二重母音中の(u)と響きの弱い子音(m)が強く響く母音(o)に吸収されて、(o)の音が印象的に聴取されるものであり、この点において互いに近似した音である。さらに、残りの3音は「ンキー」と称呼を共通にするため、本件商標と引用商標をそれぞれ一連に称呼するときは、全体の語韻・語調・語感が極めて近似したものとなり、称呼が類似する相紛らわしい商標であるというのが相当である。 外観においては、構成に係る全6文字中5文字「onkey」は文字種・つづり及び配列を同一にし、僅かに「w」と「m」のみが相違するにとどまる。そして、当該「w」と「m」についても、文字構成自体が本来いずれもよく似たv状又はu状の直線又は曲線を2つ結合する字形を有し、一見した場合の文字の形状が似通っているため、本件商標と引用商標は、全体として近似した印象を与える相紛らわしいもので、外観上類似の商標であるといえる。特に、本件商標に係る「w」に相当するフォントは、もともと「m」であったフォントを単にそのまま180度回転させたにすぎないものであるため(甲348)、一見して「w」であるか「m」であるか判別し難いことも生じ得る。 さらに、例えば、本件商標の指定商品中「自転車」や「オートバイ」の場合には、商標を貼付する車体フレーム部材の表面が平面ではなく曲面であることが多いから、商標の上下辺付近が見切れて「w」か「m」かの視認がしづらくなること、また、各フレーム部材が水平ではなく斜め又は垂直に組み立てられていることにより商標も斜め又は垂直に貼付され、一見して「w」か「m」かの判別が難しいことが想定される。また、最近はスマートフォンで商品等を閲覧することが多くなっているが、その画面がパソコンと比較してかなり小さいことから、商標も小さく表示され、字形が似通った「w」と「m」の識別がより困難となることも想定される。 商品については、本件商標の指定商品中、第12類の商品は、引用商標の指定商品と同一又は類似である。 上記のとおり、本件商標と引用商標は、観念は同一ではないものの、称呼において類似することに加え、外観においても相紛らわしく類似するもので、相当程度類似性の程度が高いものであり、また、本件商標の指定商品も引用商標の指定商品と同一又は類似のものである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。 (4)商標法第4条第1項第10号について 上記(2)で述べたように、申立人に係る商標「MONKEY」は、申立人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標である。また、上記(3)のとおり、本件商標と「MONKEY」は類似の商標で、特に、著名な商標として強力な識別性を発揮する「MONKEY」との対比という特別な事情の下においてはなおさら、称呼に係る「ウォ」と「モ」の相違、外観における「w」と「m」の相違は、いずれも区別に資さない微差にとどまるものであり、本件商標と「MONKEY」は混同するほどに類似する商標であるといえる。そして、本件商標は、「MONKEY」に係る商品又はこれらに類似する商品について使用をするものである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。 (5)商標法第4条第1項第15号について ア 本件商標と「MONKEY」の類似性の程度 本件商標と「MONKEY」は類似性の程度が高い商標であり、本件商標をその指定商品に使用するときは、これに接する取引者・需要者をして、申立人の使用に係る著名な商標「MONKEY」を想起させ、該商品が申立人あるいは申立人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生じさせるおそれがある。 イ 「MONKEY」の周知度 上記(2)で述べたように、申立人は、1961年来63年間にわたって、「二輪車並びにその部品及び附属品」及びその他のグッズ商品(被服、履物、日用品など)やライセンス商品(おもちゃ、被服)との関係において、広範囲に「MONKEY」の使用を継続してきた。そして、このような長期間、かつ、広範な使用により、「MONKEY」は、今や申立人を代表する商標の一つに数えられるほどの周知著名性を獲得するに至っているものである。 ウ 「MONKEY」が造語よりなるか又は構成上顕著な特徴を有するか 「MONKEY」は造語ではないが、もともと商品との関係で識別性を有する文字である。そして、本来備わっている識別性に重ねて、「MONKEY」は、上記で述べたような他に類を見ない歴史的な存在意義、長期的、かつ、広範な継続使用に基づいて、申立人を代表する商標たる著名性を獲得したものであり、それゆえに、他人が同一又は類似の商標を使用したときには狭義又は広義の混同のおそれが生じるものである。よって、本件商標の商標法第4条第1項第15号該当性を判断するに当たっては、「MONKEY」が造語であるかとか構成上顕著な特徴を有するかは、さほど影響を及ぼすべき点ではないと考える。 エ 「MONKEY」がハウスマークであるか 「MONKEY」は申立人のハウスマークではない。しかしながら、上記で述べたとおり、申立人によるMONKEYは、レジャーバイクというカテゴリーの始祖であり、同時に、レジャーバイクというカテゴリーの誕生とその後の発展とともに63年間にわたり連綿と歴史を刻み続ける象徴的存在であることに鑑みれば、まさに、「MONKEY」イコール申立人のように、申立人の代名詞ともいえる商標といえる。そして、「MONKEY」の商標の下で幅広くグッズ展開やライセンス展開がなされていることも考慮すれば、「MONKEY」は、「二輪車並びにその部品及び附属品」の範ちゅうを超えて、需要者が申立人の業務に係る商品又は役務であることを認識できる商標として、申立人のハウスマーク同然の著名性・識別性を獲得していることは自明である。 オ 申立人における多角経営の可能性 申立人は、日本を代表する世界有数の大企業であることは顕著な事実であり、その業務に係る商品役務は、多岐、かつ、広範である(甲349)。そして、自動車、二輪車、パワープロダクツ、船外機、航空をその主要な事業とするが、申立人は、世界における連結子会社289社によって構成される大規模な多角経営グループ企業を構成する(甲350)。これら事業の2023年度連結営業利益は1兆3,819億円であって(甲350)、その事業規模は巨大である。現在においては、自由な移動の喜びをサステナブルに提供し続けるために、申立人は様々な事業・製品において「電動化」と「知能化」を進めており、それに関連する課題や困難を解決し事業を発展させるため、同業種・他業種に係る他社との協業に係るパートナーシップも積極的に構築している(甲351)。 また、申立人による多角経営の一例として、申立人は、自身によるオフィシャルグッズも展開しており、ライディングジャケット、Tシャツ、ブルゾン、ジャージ、パーカー、パンツ、シューズ、ブーツ、バッグ、グローブ、財布、ベルト、タンブラー、キーホルダー、カードケース、コインケース、時計、タオル、マグカップ、パブミラーなど、多くの商品を販売している(甲352~甲358)。さらに、申立人は、全ての需要者に「生活の可能性が拡がる喜び」を提供することを目指しており、この申立人の想いに共感する幅広い業種のパートナーヘのライセンスも積極的に開示し、申立人ブランド・デザインの他社による活用も意欲的に推進している(甲359)。この申立人のライセンス商品については、ミニカーやプラモデルだけでなく、ゲームやアパレル、お菓子、生活雑貨など多岐に渡るジャンルで積極的にパートナーを募集しており、既に様々な商品(自転車やアパレル商品を含む。)との関係でライセンス事例が実現している(甲360、甲361)。 このように、申立人の多角経営による業務に係る商品役務は多岐にわたる上、申立人は、自身によるグッズの展開のみならず、他社とのライセンスによるコラボレーションやタイアップも積極的に行っている実情がある。よって、乗物と関連がある分野の商品役務はもちろんのこと、たとえ乗物と関連が薄い分野の商品役務であっても、申立人による商標と同一又は類似の商標が使用されれば、需要者が、それが申立人の業務に係る商品役務であると誤認し出所について混同するおそれが多分にあるのみならず、申立人と経済的又は組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品役務であると誤認し出所について混同するおそれも大いにあることは明らかである。 カ 商品間の関連性、及び商品等の需要者の共通性 本件商標は、自転車、オートバイ、陸上の乗物用の機械に係る各種商品、被服、履物、運動用特殊衣服、運動用特殊靴等を指定商品とするところ、申立人による「MONKEY」は、前記のとおり、二輪車、被服、シューズ、日用品等に使用されてきたものであるから、本件商標の指定商品は、申立人の業務に係る商品と同一又は類似のものを含む密接な関連性を有するものであり、かつ、その性質・用途・目的において関連するということができ、取引者・需要者も共通する。 特に、申立人に係る「MONKEY」は、主に、二輪車の車両区分の中でも「原動機付自転車」に使用されているところ、本件商標が実際に使用される本件商標権者の商品「特定小型原動機付自転車」も、「原動機付自転車」の範ちゅうに属するものである(甲362、甲363)。そして、この「特定小型原動機付自転車」は、ナンバープレートの交付申請及び取付義務、軽自動車税の納付義務、車道通行義務(原則)、自賠責保険への加入義務など、多くの規則が「原動機付自転車」と共通する(甲363)。さらに、「特定小型原動機付自転車」は動力が電動であるため、二輪車を含む様々な事業・製品において「電動化」を推し進める申立人の業務に係る商品役務とその分野も重複する。このように、自転車やオートバイに関する商品については、取引の実情においてその線引きが曖昧になりつつあることからも、申立人の「MONKEY」に係る商品と本件商標の指定商品は、互いに密接な関連性を有する商品であり、かつ、取引者・需要者も共通する。 キ 取引の実情 近年の商取引においては、需要者は、スマートフォンなどの画面上で商品等を閲覧し、商標、商品説明、写真などを見た上で、商品の購入を行うことが多くなっており、そのような小さな画面上で商標を明確に視認できることは、極めて重要である。そして、このような画面上で表示される商標については、外観が相紛らわしい商標は、混同の大きな原因となり得る。 よって、本件商標と「MONKEY」の外観上の唯一の相違である「w」と「m」が、文字構成自体が本来いずれもよく似たv状又はu状の直線又は曲線を2つ結合する字形を有し、一見した場合の文字の形状が似通っていることにより、全体として近似した印象を与える相紛らわしいものであることは、重視されるべきである。特に、本件商標に係る「w」のフォントが、もともと「m」であったフォントを単にそのまま180度回転させたにすぎないものであることは(甲348)、混同のおそれをより一層高めるものである。このように本件商標と「MONKEY」の外観が類似することにより、看者をもって、著名な「MONKEY」であると誤認混同する事態が発生することが容易に想定されるものである。 以上、上記アないしキで述べた商標の類似性の高さ、申立人に係る「MONKEY」の周知著名性、申立人の多角経営、商品間の関連性、需要者の共通性などの事情を総合考慮すると、本件商標の指定商品の取引者・需要者において普通に払われる注意力を基準として、本件商標を指定商品に使用したときに、これに接する取引者・需要者が申立人に係る「MONKEY」を想起・連想し、当該商品が申立人あるいは申立人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者又は申立人と同一の表示による商品化事業を営むグループに属する関係にある者の業務に係る商品であると誤信され、その出所について混同を生ずるおそれがあるというべきである。 したがって、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当する。 (6)商標法第4条第1項第19号について 上記のとおり、申立人に係る「MONKEY」は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして日本国内における需要者の間に広く認識されている商標であり、また、本件商標は、「MONKEY」と混同するほどに類似する商標である。そして、「MONKEY」は、1961年以来、63年という長きにわたって、主に「二輪車並びにその部品及び附属品」との関係で継続的に使用がなされている著名商標であること、本件商標と「MONKEY」の類似性の高さ、及び取引者・需要者も共通していることなどを考慮すれば、同じ二輪車を取り扱う本件商標権者が、本件商標の出願前に申立人の著名商標「MONKEY」を知らず、かつ、偶然にも「MONKEY」と類似する本件商標に考え至ったというのは甚だ不自然である。むしろ、本件商標権者が、申立人の「MONKEY」の存在を承知の上で、それと類似した商標を登録出願したものであるというのが自然であり、全国的な周知著名性により強力な識別性を有する「MONKEY」にフリーライドする不正の目的をもって本件商標を採択・使用する本件商標権者の意図が推認できる。このような本件商標の登録を維持することは、申立人に係る「MONKEY」の出所表示機能を希釈化させ、また、「MONKEY」に化体した申立人の信用・名声・顧客吸引力を毀損させるものであり、到底許されるものではないといわざるを得ない。 加えて、申立人による「MONKEY」はコンパクトであることをその特徴の一つとし、バイクとしてはサイズが小さいものである。本件商標の実際の使用に係る本件商標権者の商品(全長1,380mm・シート高560mm)と比較すると、サイズが近似する(甲364)。さらに、本件商標権者の商品は、ファットタイヤを使用するため(甲362)、商品のプロポーション及びシルエットも、申立人の商品のそれと近似する(甲364)。また、実際の本件商標権者の商品のプロポーション及びシルエットが申立人の商品のそれと近似することは、申立人による「MONKEY」が125ccにややサイズアップされても変わらない(甲365)。このように、申立人の「MONKEY」に係る商品態様に近似する態様を有する商品に、わざわざ「MONKEY」と混同するほどに類似する本件商標を採択・使用する事実は、本件商標権者の不正の目的を裏付ける証左に他ならない。 したがって、本件商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして日本国内における取引者・需要者の間に広く認識されている商標と類似の商標であって、不正の目的をもって使用をするものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。 (7)商標法第4条第1項第7号について 本件商標権者は、申立人に係る「MONKEY」が著名商標であることを知り、意図的に「m」のフォントを単にそのまま180度回転させて「w」に見せるように加工して(甲348)、全体として申立人の「MONKEY」と混同するほどに類似した外観・構成態様に仕上げることにより、本件商標に接する取引者・需要者に申立人の「MONKEY」を連想・想起させ、「MONKEY」に化体した信用・名声・顧客吸引力にただ乗り(フリーライド)する不正な目的で採択・出願し登録を受けたものと認めることができる。そして、本件商標をその指定商品に使用する場合には、申立人の「MONKEY」の出所表示機能が希釈化(ダイリューション)され、「MONKEY」に化体した信用・名声・顧客吸引力、ひいては申立人の業務上の信用を毀損させるおそれがある。これは、本件商標が使用される本件商標権者の商品の実際の態様(サイズ、プロポーション、シルエット)が、申立人によるMONKEYに係る商品の態様と近似しており(甲364、甲365)、そのような近似する商品にわざわざ「MONKEY」と混同するほどに類似する本件商標を採択・使用している事実からも、自明である。このように、本件商標は、申立人の「MONKEY」に化体した信用・名声・顧客吸引力に便乗して不当な利益を得る等の目的をもって「MONKEY」を模倣して出願し登録を受けたもので、商標を保護することにより、商標を使用する者の業務上の信用の維持を図り、需要者の利益を保護するという商標法の目的に反するものであり、公正な取引秩序を乱し、商道徳に反するものというべきである。よって、本件商標をその指定商品について使用することは、社会公共の利益・社会の一般的道徳観念に反し、かつ、本件商標の登録出願の経緯に社会的相当性を欠き、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして容認し得ないものといえる。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。 4 当審の判断 (1)申立人商標及び引用商標の周知性について ア 申立人提出の証拠及び申立人の主張によれば、以下の事実が認められる。 (ア)1961年、遊園地のアトラクション乗物用に、子どもが乗れる二輪車のレジャーモデルとして製作されたMonkeyZ100が登場した(甲4、甲23~甲25)。これが1962年にドイツフランクフルトのモーターショーとベルギーブラッセルのモーターショーに出品された(甲17、甲18)。また、フランスにおいて、モンキーオートバイが話題となり(甲19、甲20)、1962年12月に申立人からヨーロッパホンダに20台のMonkeyZ100が出荷された(甲24)。さらに、1971年にアメリカのYMCAに、ホンダミニトレール(モンキーの輸出タイプ)を1万台寄贈した(甲21)。 このように、海外におけるヒットを受け、日本国内向け販売用のモデルの開発が行われた(甲22)。 (イ)申立人のウェブサイト(甲84)、カタログ(甲85~甲210)、モーターショー(甲212~甲231)、雑誌(甲232~甲246)、インターネット記事(甲257~甲265)には、「二輪車」に使用する別掲3のとおりの構成の商標のほか、「MONKEY」、「Monkey」及び「モンキー」の文字からなる申立人商標が使用されている。 (ウ)原動機付自転車ホンダ・モンキーは、1987年にグッドデザイン賞(甲266)、小型二輪車「モンキー125」が2018年に日経産業新聞賞・優秀賞(甲270)を受賞し、バイク王バイクライフ研究所における「リセール・プライス」ランキング(2015年12月~2016年2月)で、「ホンダ・モンキー」が首位を獲得している(甲268)。また、2023年9月15日時点/ウェビック調べにおける原付二種バイク(~125cc)満足度ランキングTOP30では、「モンキー125/ホンダ」が1位(甲273)、新車・中古バイク情報GooBikeにおける2024年11月おすすめ人気51cc~125ccバイクランキングにおいて、「ホンダ モンキー125」が2位(甲274)、及びヤングマシンにおける読者人気ランキングTOP16(2024/11/28)では、「ホンダ モンキー125」が1位に位置している(甲275)。 (エ)第一回 多摩テックモンキーミーティングが2005年10月2日に開催されたことを始め、モンキーファンが一同に集結したモンキーミーティングが各地で行われている(甲276~甲293)。 (オ)国際交通安全学会誌Vol9No.2における「特集 交通における二輪車の新しい位置づけ」の23ページには、「タイプ別国内出荷および構成比」とする昭和50年から昭和57年のファミリーバイクスクータ、レジャーバイク、スポーツバイク、ビジネスバイクのカテゴリーについてのグラフが表示され、その中でレジャーバイクの割合は、相対的に小さいといえる(甲344)。 (カ)日本経済新聞(2017年8月28日:甲345)には、「さらばモンキー 半世紀愛された二輪車にファン殺到」の見出しの下、「都内のホンダ本社1階に100人近くの二輪ファンが集まった。お目当ては原付き1種のレジャーバイク「モンキー」最終モデルの商談権の抽選会だ・・・発売から半世紀のロングセラーは500台の限定生産にもかかわらず4万5333通の申し込みがあった。」との記載がある。 (キ)申立人商標中、別掲3のとおりのデザイン化された「Monkey」は、2004年発行の日本有名商標集に掲載されている(甲347)。 イ 上記アの認定事実によれば、申立人は、1961年レジャーモデルとして製作されたMonkeyZ100を始め、各種モデルを開発し、ホンダ・モンキーは、グッドデザイン賞、「モンキー125」が日経産業新聞賞・優勝賞を受賞し、また、「ホンダ・モンキー」がランキングで首位を獲得し、人気があることが認められる。 そして、申立人の業務に係る二輪車については、申立人のウェブサイト、カタログ、モーターショー、雑誌、インターネット記事等に本件商標の登録出願前から申立人商標が使用されている。 また、モンキーファンが一同に集結したモンキーミーティングが各地で行われている。 そうすると、申立人商標を使用している二輪車は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の需要者等の間に広く認識されていたというべきである。 (2)商標法第4条第1項第11号該当性について ア 本件商標と引用商標の類否について 本件商標は、別掲1のとおり、「wonkey」の欧文字を書したものであり、その構成文字に相応して「ウォンキー」の称呼が生じ、当該文字は、辞書等に載録が認められないものであるから、特定の観念は生じないといえる。 他方、引用商標は、別掲2のとおり、「MONKEY」の欧文字を書してなるところ、当該文字は、我が国において一般に親しまれている「猿」の意味を有する語といえることから、当該文字に相応して「モンキー」の称呼を生じ、「猿」の観念が生じる。 そうすると、本件商標と引用商標は、外観において語頭の「w」と「M」以外の文字を共通にし、称呼において語頭音の「ウォ」の音と「モ」の音以外の音を共通にするものの、全体として6文字及び4音という短い文字構成及び音構成にあっては、当該差異が外観及び称呼全体に与える影響は大きく、引用商標から生じる「猿」の観念ともあいまって、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。 イ 本件商標の指定商品と引用商標の指定商品について 本件商標の指定商品中、第12類の商品は、引用商標の指定商品と同一又は類似の商品を含むものである。 ウ 小括 したがって、本件商標の指定商品が引用商標の指定商品と同一又は類似の商品を含むものであるとしても、本件商標は、引用商標とは非類似の商標であるから、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 (3)商標法第4条第1項第10号該当性について 上記(1)のとおり、引用商標及び申立人商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されているとしても、上記(2)のとおり、本件商標と引用商標とは、非類似の商標であるから、本件商標は、商標法第4条第1項第10号を適用するための要件を欠くものといわざるを得ず、同号に該当しない。 (4)商標法第4条第1項第15号該当性について 上記(1)のとおり、引用商標及び申立人商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の取引者、需要者の間に申立人の業務に係る商品を表示するものとして広く知られているとしても、上記(2)のとおり、本件商標と引用商標(申立人商標)とは類似する商標とはいえないから、類似性の程度は低いものである。 そうすると、本件商標は、本件商標権者がこれをその指定商品について使用しても、取引者、需要者をして引用商標及び申立人商標を連想又は想起させることはなく、その商品が他人(申立人)又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。 その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 (5)商標法第4条第1項第7号該当性について 本件商標は、上記(2)のとおり、引用商標とは非類似の商標であって、申立人の提出に係る証拠において、本件商標権者が引用商標及び申立人商標の周知性にただ乗りするなど不正の目的をもって使用をするものと認めることはできず、また、本件商標が、その登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないというべき事情は見いだせないものである。 また、本件商標は、その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、矯激又は他人に不快な印象を与えるようなものでもない。 さらに、他に、本件商標が国際信義に反し、また、その登録出願及び登録の経緯に社会的相当性を欠くなど、公序良俗に反するものというべき事情は見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。 (6)商標法第4条第1項第19号該当性について 本件商標と引用商標とは、上記(2)のとおり、非類似の商標である。 さらに、申立人が提出した証拠からは、本件商標権者が本件商標を不正の利益を得る目的、他人に損害を与える目的その他不正の目的をもって使用するものと認めるに足りる具体的事実は見いだせない。 したがって、本件商標は、他人の業務に係る商品を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であって、不正の目的をもって使用をするものということはできないから、商標法第4条第1項第19号に該当しない。 (7)むすび 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同項第10号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号に該当するとはいえず、他にその登録が同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。

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2024-900262

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