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商標異議申立

2024-900241

ラッキン、ラックイン

審判番号
2024-900241
法域
商標
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
商願2023-137570
登録番号
6857154
請求日
2024年11月21日
審決日
2025年05月27日
公報発行日
2025年06月27日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】株式会社mamoru
  • 【異議申立人】ラッキン コーヒー グループ カンパニー リミテッド
  • 【異議申立人代理人】田中 将隆
審判長/審判官
  • 審判長 小林 正和
  • 審判官 杉本 克治
  • 審判官 渡邉 あおい
分類
T1651.261-Y (W09) / T1651.262-Y (W09) / T1651.263-Y (W09) / T1651.222-Y (W09)
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第4条第1項第19号、商標法第4条第1項第11号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

登録第6857154号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。

結論

結 論 登録第6857154号商標の商標登録を維持する。

理由

理 由 第1 本件商標 本件登録第6857154号商標(以下「本件商標」という。)は、「LUCKIN」の文字を標準文字で表してなり、令和5年12月12日に登録出願、第9類「写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,測定機械器具,太陽電池,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,電気通信機械器具,携帯情報端末,電子応用機械器具及びその部品,防じんマスク,防毒マスク,溶接マスク,眼鏡,家庭用テレビゲーム機用プログラム,携帯用液晶画面ゲーム機用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,メトロノーム,電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,楽器用エフェクター,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,マイクロフォン,サウンドカード,ステレオ,イヤホン,スマートフォン用スタンド,放送用機械器具」を指定商品として、同6年10月1日に登録査定、同月23日に設定登録されたものである。 第2 引用商標及び引用標章 1 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議の申立ての理由において、本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する登録第6450905号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、令和2年2月28日に登録出願、第7類、第30類、第35類及び第43類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同3年10月4日に設定登録され、その商標権は現に有効に存続しているものである。 2 申立人が、本件商標に係る登録異議の申立ての理由において、本件商標が商標法第4条第1項第19号に該当するとして引用する標章(以下「引用標章」という。)は、「luckin」の欧文字からなり、申立人が、同人の業務に係る「コーヒー」に関する商品又は役務に使用し、本件商標の登録出願の日前から、周知著名な商標である旨主張するものである。 第3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同項第19号に違反して登録されたものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第10号証(枝番号を含む。)を提出した。 以下、証拠の表記に当たっては、例えば「甲第1号証」を「甲1」のように簡略して記載し、枝番号を全て表示する場合は枝番号を省略して記載する。 1 商標法第4条第1項第11号について 本件商標は、「LUCKIN」の文字を標準文字で表してなるものである。 申立人は、中国法人の飲食店企業たる「ラッキン コーヒー グループ カンパニー リミテッド社」であり、我が国において、「luckin」を冠する登録商標をいくつか所有しており、また、ワールドワイドで計21,343店舗(2024年11月時点)を構える企業であり、米国・ナスダック(NASDAQ)にも上場している。 また、申立人所有の引用商標は、その構成中に「luckin coffee EXPRESS」の欧文字を有してなり、その指定商品及び指定役務中に商品「交流発電機」を含んでおり、本件商標の登録出願前から使用されている。 そして、本件商標は、上記「交流発電機」と類似する指定商品を含み、本件商標と引用商標とは、本件商標の登録出願前から周知著名な商標「luckin」と同一又は類似するものである。 したがって、本件商標は、引用商標と類似するものであり、かつ、その指定商品は、引用商標の指定商品及び指定役務中、同一又は類似のものを含むものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。 2 商標法第4条第1項第19号について 申立人は、中国法人の飲食店企業であり、我が国において、「luckin」の文字を冠する登録商標をいくつか所有し、2024年11月時点で21,343店舗を構える企業であり、米国・ナスダック(NASDAQ)にも上場している。 本件商標の登録出願の日前における、申立人の事業規模として、2022年の第1四半期における純利益は、24億中国元(1元=19.06円。457億円。)であった(甲2)。 さらに、2024年の第3四半期では、純利益が100億中国元を超え、営業利益が15億5,700万中国元、総店舗数は21,343店舗、2023年の年間売上高が200億元を超えた(甲6~甲10)。 本件商標は、これまでに「luckin」にかかる先出願・先登録を行い、かつ事業努力を重ねてきた主体である申立人とは、全く無関係の者が突然に登録出願をなしており、さらに、中国は、今や我が国の貿易相手国ランキング1位であり、本件商標権者が自身の経済活動を通じて、インターネットによる情報閲覧や中国訪問などの際に、「ラッキン コーヒー」のブランドを知る可能性もあると推定される。 このような事情に鑑みると、本件商標については、申立人の著名性に対するフリーライドなど「不正の目的」も推認され、商標法第4条第1項第19号に該当し、登録要件を欠くものである。 さらに、申立人は、中国のみならず、我が国をはじめとする各国において、通算212件の商標登録出願をしており(甲5)、これはグローバルに展開する申立人による「世界規模のブランド戦略」を、如実に示すものである。 以上より、本件商標権者は、本件商標について、申立人の商標に化体された業務上の信用と顧客吸引力にただ乗りし、その著名性を利用して不正の利益を得る等の目的をもって登録出願し登録を受けたものと推認される。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。 第4 当審の判断 1 商標法第4条第1項第11号該当性について (1)本件商標について 本件商標は、「LUCKIN」の文字を標準文字で表してなるところ、構成文字全体から「ラッキン」の称呼が生じ、その構成文字全体としては、辞書等に載録されている語ではなく、直ちに何らかの意味合いを理解させるものではないから、一種の造語として認識されるものである。 したがって、本件商標は、その構成文字に相応して「ラッキン」の称呼が生じ、特定の観念を生じないものである。 (2)引用商標について 引用商標は、別掲のとおり、青地円形内に白抜きで角を有する何らかの動物とおぼしき図形(円形から飛び出した角状部分は青色で描かれている)を左に配し、その右側に、「luckin coffee」の欧文字を横書きし、さらにその右側に、横長四角形の枠線内に「EXPRESS」の欧文字を、やや小さな文字で横書きしたものとを配した構成からなるところ、左側の図形部分と、それ以外の文字部分とが常に不可分一体のものとしてのみ、認識し把握されるべき格別の理由は見いだし難く、図形部分と文字部分は、それぞれ独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものというべきである。 そして、引用商標の構成中、左側に配した図形部分は、我が国において特定の事物又は意味合いを表すものとして認識され、親しまれているというべき事情は認められないものであるから、これよりは、特定の称呼及び観念は生じないものである。 また、引用商標の構成中、図形右側の文字部分は、大きく横書きされた「luckin coffee」の欧文字と、その右側に、枠線内にやや小さな文字で横書きした「EXPRESS」の欧文字の構成全体から、「ラッキンコーヒーエクスプレス」の称呼が生じ、当該文字部分は、一般的な辞書等に載録されておらず、特定の意味合いをもって親しまれているような事情も見いだせないことから、一種の造語として認識されるものであって、特定の観念を生じないものである。 さらに、引用商標の文字部分は、大きく横書きされた「luckin coffee」の文字部分と、枠線で囲まれ、やや小さな書体で表された「EXPRESS」の文字部分とは、両文字部分が、一体で何らかの特定の意味合いを生じさせるものとはいえないことからすると、これに接する取引者、需要者が、引用商標の構成右端部において、囲み線内に横書きされた「EXPRESS」の文字を捨象して、当該「EXPRESS」の文字より大きな書体で、その構成の中間部に半角文字程度の空白を有するとしても、同書同大でまとまりよく一体に表されている「luckin coffee」の欧文字に着目し、当該文字部分をもって取引に資する場合も決して少なくないとみるのが相当であり、本件商標との類否を判断するに当たって、当該文字を要部として抽出し、この部分のみを他人の商標と比較して商標の類否を判断することも許されるというべきである。 加えて、当該「luckin coffee」の文字構成中、構成前半部の「luckin」の文字が一般の辞書類に載録がないものであるのに対し、構成後半部の「coffee」の文字が「コーヒー」を意味する文字(語)であるとしても、構成前半部の「luckin」の文字も、「運」等を意味する「luck」及び「の中に」等を意味する「in」の比較的知られた英単語である各欧文字から構成されているといえ、当該「luckin coffee」の構成全体からも特定の観念は生じない。 そうすると、当該「luckin coffee」の文字部分からは、その構成文字に相応して「ラッキンコーヒー」の称呼が生じ、特定の観念を生じないものであるといえる。 したがって、引用商標は、その構成文字全体から生じる「ラッキンコーヒーエクスプレス」の称呼が生じるほか、その構成中「luckin coffee」の欧文字に相応して「ラッキンコーヒー」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。 (3)本件商標と引用商標の類否について ア 外観について 本件商標及び引用商標は、外観において、上記(1)及び(2)のとおりの構成からなるところ、図形の有無の差異、並びに、「coffee」及び「EXPRESS」の文字の有無の差異を有しており、別異の商標であると印象を強く与えるものであるから、両商標は、外観上、判然と区別し得るものである。 イ 称呼について 上記(1)及び(2)のとおり、本件商標からは「ラッキン」の称呼が生じ、引用商標からは「ラッキンコーヒーエクスプレス」又は「ラッキンコーヒー」の称呼が生じるところ、本件商標から生じる「ラッキン」の称呼と引用商標から生じる「ラッキンコーヒーエクスプレス」又は「ラッキンコーヒー」の称呼とは、音構成が明らかに相違するから、本件商標と引用商標は、称呼上、明瞭に聴別し得るものである。 ウ 観念について 上記(1)及び(2)のとおり、本件商標及び引用商標は、いずれも特定の観念を生じないものであるから、本件商標と引用商標の観念は、比較することができない。 エ 小括 以上のとおり、本件商標と引用商標とは、観念において比較できないものであるとしても、外観及び称呼において、相紛れるおそれのないことが明らかなものであるから、これらが需要者に与える印象、記憶、連想等を総合してみれば、両商標は、相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。 その他、本件商標と引用商標とが類似するというべき特段の事情は見いだせない。 よって、本件商標と引用商標とは、非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。 (4)まとめ したがって、本件商標と引用商標の指定商品が同一又は類似する商品を含むものであるとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。 2 商標法第4条第1項第19号該当性について (1)引用標章の周知性について 申立人の主張及び同人より提出された証拠によれば、以下のとおりである。 ア 申立人は、コーヒー等を提供するコーヒーチェーンを運営(自社運営及び共同運営)する中国法人の企業であり、同人は、我が国において、「luckin」の文字を冠する商標を5件登録しており、これらを含む8件の登録出願を行い、そのうち7件が登録されている(甲1、申立人の主張)。 イ 申立人が運営する上記事業を含む申立人に係る事業について、2022年の第1四半期における事業全体の純利益が約24億中国元(1元=19.06円。約457億円。)で、店舗数が6,580店舗であり(甲2)、2024年の第3四半期では、純利益が100億中国元を超え、営業利益が約15億5,700万中国元、総店舗数は2万1,343店舗、2023年の年間売上高が200億元を超えていることがうかがえる(甲6~甲10)。 中国国内に開設された店舗以外の、我が国を含む外国における申立人の業務に係る店舗は、シンガポールへの出店45店舗についてはうかがえるものの(甲10)、我が国への出店・事業進出を示す証拠は見いだせない。 ウ 申立人は、米国の証券取引所・ナスダック(NASDAQ)に、「Luckin Coffee Inc ADR(LKNCY)」の銘柄表示で、上場している(甲3)。 しかし、米国における申立人の業務に係る出店・事業進出を示す証拠は見いだせない。 エ 2021年や2022年の日付が確認できる欧文字(英語)で表されたウェブサイトの記事(甲2)によれば、これら欧文字(英語)で表されたウェブサイトの記事本文及び画像には、「luckin(LUCKIN又はLuckin)」の欧文字が表されていることが確認できるが、これらの記事中には「Luckin Coffee(luckin coffee)」の記載も確認することができる。 オ 2024年における中国語で表されたウェブサイトの記事(甲6~甲10)によれば、申立人の業務に係る飲食店の店舗数については、「中国コーヒー市場で最大の店舗数を誇るチェーンブランドとして、ラッキンコーヒーは・・・」(甲8の和訳)、「2023年末時点で中国のラッキン店舗数は1万6218店に達し、中国市場最大のコーヒーチェーンブランドとなった。」(甲9の和訳)及び「店舗規模は中国第1位となった。」(甲10の和訳)とされており、申立人の業務に係る飲食店の店舗数が中国国内で1位であることがうかがえるものの、これら中国語で表されたウェブサイト記事の本文には、「luckin(LUCKIN又はLuckin)」の欧文字の記載は認められない。 カ また、当該ウェブサイト等において、「luckin coffee」の欧文字を店舗の看板や装飾に表した、飲食店舗の外観と認められる画像や、カップの側面に、当該文字や引用商標の図形部分と近似する図形を表示した画像(甲2、甲4、甲9)が認められるものの、「luckin」の文字のみからなる店舗の外観画像やカップを表した画像は、確認することができない。 キ 申立人は、中国に限らず、我が国をはじめとする各国において、212件の商標登録出願を行っていることがうかがえる(甲5)。 ク 上記アないしキからすれば、申立人は、2022年の第1四半期の総純利益が約24億中国元、2023年末において、中国国内で第1位の店舗数を有する、コーヒーショップにおける飲食物の提供を行っており、2023年の年間売上高も200億中国元を超えている。 しかしながら、中国国内における当該売上げにかかる市場シェアを示す証拠は提出されていないため、当該金額の多寡を判断することができず、また、飲食物の提供の分野における広告宣伝に関して、広告宣伝費、広告宣伝の回数やその頻度、開始時期や期間を示す証拠の提出は、認められない。 そして、当該申立人の業務に係る店舗において、店舗の看板や装飾,飲料に用いるカップの側面に、「luckin coffee」の文字を使用していることがうかがえ、その構成中「coffee」の文字が「コーヒー」を意味する文字(語)であるとしても(新英和中辞典 第7版(研究社))、これは「luckin」の欧文字と「coffee」の欧文字とを、スペースを介してまとまりよく一体に表してなり、これに接する取引者、需要者は、当該「luckin coffee」の構成文字全体をもって一体不可分のものとして認識し、把握するとみるのが相当である。 さらに、申立人に関して、引用標章を構成する「luckin」(「LUCKIN」又は「Luckin」の文字も含む。)の文字及び「luckin coffee」(「LUCKIN COFFEE」又は「Luckin Coffee」の文字も含む。)の文字が、申立人の業務にかかる飲食物の提供に関する2020年ないし2022年の作成日におけるウェブサイト情報の記事及び掲載の画像において見受けられるものの、「luckin」(「LUCKIN」又は「Luckin」の文字も含む。)の文字が単独で、申立人の業務にかかる飲食物の提供に関する2024年の作成日におけるウェブサイト情報の記事及び掲載の画像において使用されていることは、これを確認することができない。また、これら「luckin」(「LUCKIN」又は「Luckin」の文字も含む。)の文字が単独で、現に使用されていることについては、これを裏付ける客観的な証拠の提出はなく、宣伝広告に関する証拠の提出も見いだせない。 そうすると、申立人が自社運営又は共同運営する店舗において提供する「コーヒーショップにおける飲食物の提供」の役務について、その店舗数が中国国内で第1位の店舗数であることからすれば、中国国内における、主としてコーヒーを飲用する需要者の間において、「luckin coffee」の文字(語)が相当程度知られていることはうかがえるものの、引用標章である「luckin」の文字(語)が、中国国内において周知であることを推し量ることはできない。 したがって、「luckin coffee」の文字(語)は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る役務「飲食物の提供」を表示するものとして、中国における当該役務の需要者の間で相当程度認識されていたと判断し得るものの、引用標章が、中国の需要者の間に広く認識されているものとは認めることができない。 (2)本件商標の商標法第4条第1項第19号該当性について 上記(1)のとおり、引用標章は、申立人の業務に係る役務を表示するものとして、我が国又は外国の需要者の間に広く認識されていると認めることはできない。 また、申立人の提出に係る証拠からは、本件商標が不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をもって使用をするものであると認めるに足りる具体的事実は見いだせないから、その他の要件について検討するまでもなく、本件商標は、商標法第4条第1項第19号を適用するための要件を欠くものである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。 3 むすび 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第19号に該当するとはいえず、他にその登録が同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。

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