商標異議申立
2024-900238
イエスノーシャンパン、イエスノー
- 審判番号
- 2024-900238
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 商願2023-133081
- 登録番号
- 6843113
- 請求日
- 2024年11月20日
- 審決日
- 2025年06月24日
- 公報発行日
- 2025年07月25日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】株式会社ZERU.
- 【異議申立人】コミテ アンテルプロフェッショネル デ ヴァン ドゥ シャンパーニュ
- 【異議申立人代理人】田中 克郎
- 【異議申立人代理人】稲葉 良幸
- 【異議申立人代理人】佐藤 俊司
- 【異議申立人代理人】池田 万美
- 審判長/審判官
- 審判長 高橋 幸志
- 審判官 小俣 克巳
- 審判官 白鳥 幹周
- 分類
- T1651.22 -Y (W33)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項7号商標法43条の2商標法43条の3第4項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第7号、商標法第4条第1項第19号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
登録第6843113号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。
結論
結 論
登録第6843113号商標の商標登録を維持する。
理由
理 由
1 本件商標
本件登録第6843113号商標(以下「本件商標」という。)は、「yes no champagne」の欧文字と「イエスノーシャンパン」の片仮名を上下2段に横書きしてなり、第33類「「シャンパーニュ」という原産地名称によって保護されているぶどう酒」を指定商品として、令和5年11月16日に登録出願、同6年8月6日に登録査定、同年9月11日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は商標法第4条第1項第7号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第48号証(枝番号を含む。以下、各号証を「甲○」のように省略して記載し、また、枝番号の全てを示すときは、枝番号を省略して記載する。)を提出した。
(1)原産地統制名称又は原産地表示としての「シャンパン(CHAMPAGNE)」
ア 原産地統制名称又は原産地表示の統制と保護 申立人は、「シャンパーニュ地方ぶどう酒生産同業委員会」を意味する「Comite Interprofessionnel du Vin de Champagne」(「Comite」中の「e」には、アクサンテギュ記号が付されている。略称「C.I.V.C.」)の名のもとに、フランス国シャンパーニュ地方における酒類製造業者の利益の保護を目的の一つとして設立されたフランス法人である(甲2~甲5ほか)。
フランス国においては、原産地統制名称又は原産地表示が厳格に統制されており、その中核をなすのが、1935年に制定された原産地統制呼称法「Appellation d’Origine Controlee」(「Controlee」中の6番目の「o」には、シルコンフレックス記号、8番目の「e」には、アクサンテギュ記号が付されている。)である(甲6、甲7ほか)。この法律は優れた産地のぶどう酒を保護・管理することを目的とし、政府機関のINAO(Institut National des Appellation d’Origineの略称)によって運用されている(甲2、甲9ほか)。同法において原産地統制名称ぶどう酒(A.O.C.)は、原産地、品質、最低アルコール含有度、最大収穫量、醸造法等の様々な基準に合うように製造されなければならず、その基準に合格してはじめてA.O.C.名称を使用することができる。しかし、鑑定試飲会の際に不適当であるとみなされたものは、名称使用権利を失うことになっており、厳格な品質維持が要求されている。原産地統制名称は、産地の名称を法律に基づいて管理し、生産者を保護することを第一の目標とし、また名称の使用に対する厳しい規制は、消費者に対して品質を保証するものとなっている。
また、ヨーロッパにおいては、限られた地域で特定の材料・製法により生産される農産物等の伝統的特産物が数多く存在している。かかる伝統的特産物には、他の地域の産物との区別のため産地名が使用され、特に良質な産品については国際的に名声を得たものについて、その産地を保護する必要性が生じてきたことから、ヨーロッパ連合は、1992年に農産物の原産地表示保護のために理事会規則2081/92号を制定した。本規則で保護される原産地表示は、本規則にて定められた品目に限られ、EC委員会において審査された後「保護地理的表示(protected geographical indication)」ないしは「保護原産地呼称(protected designation of origin)」として登録された場合、規則2081/92号の保護対象となりヨーロッパ全土で保護される。なかでも「保護原産地呼称」として認定されるためには、定められた製法で生産・加工・調整されることを要するといった非常に厳格な基準が設けられている。上記のとおり、ヨーロッパでは、原産地表示保護のための独自の制度を設けることにより、原産地表示を手厚く保護している(甲10)。「Champagne」(シャンパン)は、最も厳しい基準を要求される「保護原産地呼称」として認定され、ヨーロッパにおいて保護されている(甲11)。
イ 「CHAMPAGNE」及び「シャンパン」表示の著名性及び顧客吸引力
「CHAMPAGNE」及び「シャンパン」は、原産地統制呼称法による原産地統制名称であり、シャンパーニュ地方産の発泡性ぶどう酒にのみ使用を許される名称であって、この表示を付した商品(シャンパン)は、我が国においても高品質で稀少価値を有する商品として広く販売されており、産地を表示する標章の代表的なものの一つとして極めて著名となっている。
上記事実は、書籍及び雑誌及び新聞等における記載から明らかである(甲12~甲37)。
以上のことから、「CHAMPAGNE(シャンパン)」が、(i)フランス北東部の地名であり、同地で作られる発泡性ぶどう酒をも意味する語であること、(ii)生産地域。製法、生産量など所定の条件を備えたぶどう酒についてだけ使用できるフランス国の原産地統制名称であることや、また、(iii)「CHAMPAGNE」を表す邦語として「シャンパン」が普通に使用されていること、(iv)シャンパンが発泡性ぶどう酒を代表するほど世界的に著名であること、(v)日本国において数多くの辞書、事典、書籍、雑誌及び新聞等がシャンパンの説明に多くの紙面を割いていることなどが認められる。これらを総合すると、日本国において、「CHAMPAGNE(シャンパン)」の表示は、「フランスのシャンパーニュ地方で作られる発泡性ぶどう酒」を意味するものとして、一般需要者の間に広く知られ、当該表示には多大な顧客吸引力が備わっていることは明らかである。
申立人は、フランス国やINAO等と共に、「CHAMPAGNE(シャンパン)」表示が有するこのような著名性及びそれに伴う顧客吸引力の維持のために努力を永年重ねてきた。すなわち、国内外の需要者・取引者が想起する「CHAMPAGNE(シャンパン)」表示の信頼性や評判を損なわぬよう、シャンパーニュ地方のぶどう生産者やぶどう製造業者を厳格に管理・統制し、厳格な品質管理・品質統制をし、これらの者と関係のない他人が「CHAMPAGNE(シャンパン)」を無断で使用あるいは登録することにより、申立人やINAOそしてシャンパーニュ地方のぶどう生産者やぶどう製造業者らの努力により蓄積・維持されてきた「CHAMPAGNE(シャンパン)」表示のイメージが毀損されることを防止するための活動を積極的に行ってきた。このような申立人の努力により、「CHAMPAGNE(シャンパン)」表示は、現在まで長期にわたり著名性を保ち続け、高い名声、信用、評判が形成されているものであり、ぶどう酒の商品分野に限られることなく一般消費者に至るまで、多大な顧客吸引力が化体するに至っている。
(2)商標法第4条第1項第7号該当性について
ア 著名な原産地名称については保護すべきであることについて
まず、著名商標の保護については、従前より、周知・著名商標の保護の明確化の要請が高まってきたことに伴い、国内又は外国において広く認識されている商標が不正な目的で使用されることを防ぐことを目的として、商標法等の一部を改正する法律(平成8年法律第68号)により、商標法第4条第1項第19号の規定が不登録事由として設けられている。
一方、「CHAMPAGNE」及び「シャンパン」の文字は、上述したように著名なフランスの原産地統制名称として、その使用が厳格に管理・統制されているものであって、申立人による長年にわたる厳格な品質管理・品質統制の努力の結果、高い名声、信用、評判が形成されているものであり、ぶどう酒の商品分野に限られることなく一般消費者に至るまで、世界的に著名な原産地名称として広く知られている。
原産地名称は、商品が産出された土地の地理的名称をいい、商標とは地理的名称に限定されること及びその商品の品質、社会的評価、その他の特性が、産出地固有の気候、地味等の自然条件又は産出地の人々が有する伝来の生産技術、経験若しくは文化等の人的条件といった地理的要因に基づくこと等の点において異なるが、商標とは、商品の出所表示機能、品質保証機能及び広告機能を有する点において、共通しているものと考えられる。そうすると、原産地名称のうち、著名な標章については、著名商標の有するこれら機能が商標法によって保護されているのと同様に保護されることが望ましいというべきである(甲41の2)。
したがって、商標法第4条第1項第7号にいう「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれのある商標」には、著名な原産地名称を含む表示からなる商標を同法第4条第1項第17号によって商標登録を受けることができないとされているぶどう酒又は蒸留酒以外の商品に使用した場合に、当該表示へのただ乗り又は希釈化を生じさせるおそれがある等公正な取引秩序を乱すおそれがあると認められるものや国際信義に反すると認められるものも含まれると解すべきである。
ゆえに、著名な原産地名称を原産地と離れた特定個人又は企業が自己の商標として登録し使用することは、商標法第4条第1項第7号に該当するものとして、認められるべきではなく、商標法の下、著名な原産地名称については保護されるべきである。
イ 本件商標について
本件商標は、欧文字の「yes no champagne」及び片仮名の「イエスノーシャンパン」を上下二段に配した態様からなる商標であるところ、上述した著名な原産地統制名称に相当する「champagne」の欧文字と「シャンパン」の片仮名をそっくりそのまま含んでいる。
さらに、「yes no」や「イエスノー」が付されていたとしても、「champagne」と「シャンパン」の語が、上記のとおり、フランスのシャンパーニュ地方で作られる発泡性ぶどう酒を意味するものとして、周知著名であり、当該表示には多大な顧客吸引力が備わっていることに照らすと、本件商標に接した取引者・需要者が有する通常の注意力としては、「champagne」及び「シャンパン」の部分に強く印象付けられ、ここから発泡性ぶどう酒又はその著名な原産地統制名称を想起連想して、著名な原産地統制名称である「champagne」「シャンパン」を含む商標という印象をもって取引にあたると考えられる。
したがって、本件商標は、その構成上、「champagne」及び「シャンパン」部分が強く看者の印象に残るものである。
ウ 本件商標が国際信義に反することについて
上記に示す事実(甲12~甲37)を総合すると、日本国では、本件商標の登録査定時において、「シャンパン(CHAMPAGNE)」が、著名な原産地統制名称として一般需要者の間に広く知られていたことは明らかである。
したがって、著名な原産地統制名称である「CHAMPAGNE」及び「シャンパン」は、極めて高度な商品の出所表示機能、品質保証機能及び広告機能を有する著名商標と同様に、商標法によって保護されるべきものである。
既述のとおり、本件商標は、高度な著名性を有する原産地統制名称である「champagne」の欧文字及び「シャンパン」の片仮名の部分が強く印象に残るものであり、本件商標を使用した商品に接した取引者・需要者の通常の注意力からすれば、本件商標は、容易かつ直感的に、該原産地統制名称である「CHAMPAGNE」「シャンパン」を想起させるものといえる。
なお、「yes no champagne」及び「イエスノーシャンパン」が仮に一連一体であるとしても、知的財産高等裁判所の平成24年12月19日判決(知財高判平成24年(行ケ)第10267号:甲38)や令和6年9月11日判決(知財高判令和6年(行ケ)第10030号:甲48)で判示されているとおり、本件商標が周知著名な原産地統制名称であり、当該表示には多大な顧客吸引力が備わっている「champagne」及び「シャンパン」の文字を明確に含む以上、本件商標を「CHAMPAGNE」「シャンパン」から離れた全く別の意味を生じる部分と考えるべき合理的な理由はなく、「シャンパン」という称呼及び観念が生じるものというべきである。
エ 裁判例並びに特許庁の登録実務
多数の先例(甲38、甲41、甲42、甲46)に示す判断に照らせば、「CHAMPAGNE」及び「シャンパン」の文字をその構成に含む商標は、国際信義に反するものであり、公序良俗に違反するとの登録実務が特許庁において定着しているといえ、原産地統制名称として著名な「CHAMPAGNE」及び「シャンパン」を想起させる以上、シャンパン表示に対するただ乗り及び同表示の希釈化を生じさせるおそれがあるばかりでなく、シャンパーニュ地方のぶどう生産者及びぶどう酒製造者はもとより国を挙げてぶどう酒の原産地名称又は原産地表示の保護に努めているフランス国民の感情を害するおそれがあることは明らかであるから、本件商標は、公正な取引秩序を乱し、国際信義に反するものであるとして、公の秩序を害するおそれがあるものといわなければならない。
オ 諸外国でのケースについて 著名な原産地統制名称である「CHAMPAGNE」が、その著名標章の信用へのただ乗りから引き起こされる不利益から保護されるべきであることは、申立人らがフランス・イギリス・スイス等において提訴した事件において認められている(甲2、甲44、甲45)。
カ 小括
以上のとおり、著名な原産地統制名称である「CHAMPAGNE」及び「シャンパン」は、フランス国の政府機関たる申立人による不断の努力によって、高い名声・信用・評判が維持されているものであって、これを容易に想起させ、原産地とかけ離れた特定人が自己の商標として登録し使用することは、公序良俗を害するものであるというべきである。即ち、本件商標は、著名な原産地名称である「CHAMPAGNE」及び「シャンパン」の名声をせん用し、「CHAMPAGNE」及び「シャンパン」に化体している高い名声・信用・評判から不正な利益を得るために使用する目的でなされたものであるから、「CHAMPAGNE」及び「シャンパン」という表示へのただ乗り及び同表示の希釈化を生じさせるおそれがあり、公正な取引秩序を乱し、国際信義に反するものであるため、商標法によって登録され、保護されるに値しない商標というべきである。
(3)結び
以上のように、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当するというべきである。
3 当審の判断
(1)「シャンパン(Champagne)」の著名性について
ア 申立人提出の甲各号証及び同人の主張によれば、「シャンパン」の語は「Champagne」を表す邦語であり、正式には「バン(ヴァン)・ド・シャンパーニュ」といい、「フランス北東部シャンパーニュ(Champagne)地方で生産されたスパークリングワイン」を意味するものであること(甲12~甲15ほか)、「世界の名酒事典」、「The一流品」、「男の一流品大図鑑」などの雑誌、書籍、新聞で昭和57年から平成8年まで多数紹介等されていること(甲19~甲33ほか)、それらの中には、「シャンパーニュには、他の産業もいろいろとあるが、何といってもシャンパンで世界的に知られている。」(甲21)、「この地でつくられるスパークリングワインのシャンパンは、スパークリングワインの代名詞として使用されるほど、世界で最も有名なワインのひとつです。」(甲23)のような記載のほか、スパークリングワインの説明として「スパーリングワイン、発泡性で炭酸ガスを多量に含んだワインである。いちばん有名なのがシャンパン。」(甲26の1)などと紹介していることが認められる。
また、フランスにおいて、1908年(明治41年)には法律により「Champagne」という名称が法律上指定され、1935年に制定された原産地統制呼称法(A.O.C)などにより、原産地統制名称として、公立行政機関である原産地名称国立研究所(INAO)が定める生産区域、ブドウ品種、生産高、最低天然アルコール純度、栽培方法、醸造方法、蒸留方法に関する諸条件を満たすぶどう酒のみが、その名称として「Champagne」(シャンパン)を使用する権利を有するとされ、その品質について厳格な管理・統制が行われていること(甲3~甲7、甲9、甲15、甲36、甲37)、申立人である「コミテ アンテルプロフェッショネル デ ヴァン ドゥ シャンパーニュ(シャンパーニュ地方ワイン生産同業委員会)」は、フランスのシャンパーニュ地方における酒類製造業者の利益の保護を目的の一つとして設立された法人であり、フランス国内及び国外において、シャンパーニュ地方産のワインの販売促進、「シャンパン(Champagne)」の原産地統制名称を保護する等の活動を、上記INAOなどと共に行っていること(甲2~甲5、甲8、甲38の1)が認められる。
イ 上記アからすれば、「シャンパン(Champagne)」の語は、「フランスのシャンパーニュ地方で作られる発泡性ぶどう酒」を意味するものであり、生産地域、製法、生産量など所定の条件を備えたぶどう酒にだけ使用できるフランスの原産地統制名称であって、本件商標の登録査定時以前から、我が国において、シャンパーニュ地方産スパークリングワインの名称にとどまらず、発泡性ぶどう酒の代名詞のようなイメージを持たれるほどに取引者のみならず消費者に広く認識されて著名な表示であったというのが相当である。
そして、その周知著名性、高い名声、信用、評判は、申立人や公立行政機関である上記INAO等の原産地統制名称を保護する活動、努力などにより、獲得、維持されているといえる。
そうすると、「Champagne(シャンパン)」の語及びその商品(シャンパン)は、フランス及びフランス国民の文化的所産というべきものであって、同国及び同国民にとって重要性が極めて高いものである。
(2)「Champagne(シャンパン)」についての取引の実情について
ア 新聞記事情報
(ア)1988年2月18日付け日経産業新聞の17ページにおいて、「日欧商事、仏製シャンパン販売(短信)」の見出しの下、「日欧商事、仏製シャンパン販売洋酒輸入業者の日欧商事(本社東京・・・)はフランス五位のシャンパンメーカー、ピッパー・ハイドシック社の商品を販売する。ピ社のシャンパンは軽く、新鮮な口当たりが特色。」の記載がある。
(イ)「仏シャンパン・ポメリー、ストローで飲むシャンパン販売。」(2000年7月27日 日経流通新聞 13ページ)の見出しの下、「仏大手シャンパンメーカーのシャンパン・ポメリー(パリ、ジャンマリー・ルフェーブル社長)はメルシャンを通じ、都内で若者を意識したシャンパンを発売した。・・・ポメリーはインターネットのホームページ(http://www.pop-champagne.com)で情報発信するなど、若者へのアピールを強化している。」の記載がある。
(ウ)2004年5月29日付けFujiSankei Business i.26ページにおいて、「【ニュースリリース】ケーエルシーがシャンパン販売」の見出しの下、「■ケーエルシーがフランスの『ハッピー・アペリティフの日』に協賛しシャンパン販売・・・フランスの正統派シャンパン・・・の販売を開始した。」の記載がある。
(エ)2007年7月7日付け日本経済新聞の朝刊31ページにおいて、「シャンパン、夏も楽しむ-若い女性や夫婦、自宅で気軽に。」の見出しの下、「シャンパンは仏シャンパーニュ地方でつくり、瓶内発酵などの条件を満たしたものだけが名乗ることを許されている。シャンパーニュ地方ワイン生産同業委員会日本事務局(東京・港)によると、二〇〇六年のシャンパンの日本への輸入量は約八百万本で、前の年に比べ三割伸びた。」の記載がある。
(オ)2015年6月6日付け産経新聞の東京朝刊8ページにおいて、「シャンパン世界6位の仏社と販売契約」の見出しの下、「サッポロビールは5日、シャンパン販売量で世界6位の仏テタンジェと日本で同社ブランドを販売する契約を結んだと発表した。」の記載がある。
(カ)2016年5月4日付け日刊工業新聞の13ページにおいて、「食品・飲料メーカー、SNS活用で話題性向上」の見出しの下「メルシャンは中高価格帯のチリワインや、高価格のシャンパン販売に力を注いでいる。同社にとってワインの中でシャンパンは重要なカテゴリー・・・」の記載がある。
(キ)2016年12月2日付け日経済MJ(流通新聞)の16ページにおいて、「シャンパン毎月お届け(いち早Check)」の見出しの下「酒類販売を手掛けるワサヴィ(東京・中央)はシャンパン定期購入サービス「Art of Chanpagne」(・・・)を提供。」の記載がある。
イ インターネット情報
(ア)楽天市場のウェブサイト(https://item.rakuten.co.ip/ledled/moet-n-rose-nir/)には、「創業以来、貴族や皇族をはじめ世界中で愛され続ける高級シャンパンメゾン『モエ・エ・シャンドン』」の見出しの下、当該ボトルの写真には、ラベル中に「MOET&CHANDON」の文字の上方に「CHAMPAGNE」の文字が表示されている。同ウェブサイト(https://item.rakuten.co.ip/champanehouse/w599/)には、「ベルエポックが当たる!こだわり抜いた辛口シャンパン5本セット」の見出しの下、当該ボトルの写真には、ラベルの上方又は下方に「CHAMPAGNE」の文字が表示されている。
(イ)ENOTECAonlineのウェブサイト(https://www.enoteca.co.jp/item/list?_area=3001&utm)には、「シャンパーニュ」及び「CHAMPAGNE」の表示の下、「きめ細やかな泡と優美な味わいで飲む者を魅了する美酒、シャンパーニュ(シャンパン)。」の記載とともにフランスシャンパーニュと表示された各種ボトルの写真が表示されている。
(ウ)ワインスクール アカデミー・デュ・ヴァンのワンショップのウェブサイト(https://www.adv.gr.jp/shop/products?area%5B3%5D=1)には、「Champagne シャンパーニュ」の表題の下、「シャンパーニュワインについて」として「シャンパーニュはパリの北東約150キロの距離にあるワイン生産地区。この地で造られる優美なワインは、その卓越した品質と名声からスパークリング・ワインの『代名詞』として用いられています。・・・特定の品種のみを用いて造られたスパークリング・ワインだけが『シャンパーニュ』を名乗ることが出来ます。」の記載とともに、各種シャンパーニュが紹介されている。
ウ 上記ア及びイの内容からすれば、「シャンパーニュ産の発泡性ぶどう酒」は、我が国において少なからず流通しており、当該商品を取り扱う事業者においては、「Champagne」、「シャンパーニュ」及び「シャンパン」の文字が、その商品が「シャンパーニュ産の発泡性ぶどう酒」であることを表示するための語として、一般的に使用されているといえる。
(3)商標法第4条第1項第7号該当性について
ア 商標法第4条第1項第7号
本件異議の申立ては、本件商標が商標法第4条第1項第7号に該当するとして、同法第43条の3第2項の規定に基づき本件商標の登録の取消を求めるものであるところ、同法第4条第1項第7号にいう「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」には、その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、矯激若しくは他人に不快な印象を与えるような文字又は図形である場合、当該商標の構成自体がそのようなものでなくとも、指定商品又は指定役務について使用することが社会公共の利益に反し、社会の一般的道徳観念に反するような場合、他の法律によって、当該商標の使用等が禁止されている場合、特定の国若しくはその国民を侮辱し、又は一般に国際信義に反する場合、当該商標の登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合、などが含まれるものというべきである。そして、当該商標登録が特定の国との国際信義に反するかどうかは、当該商標の文字・図形等の構成、指定商品又は指定役務の内容、当該商標の対象とされたものがその国において有する意義や重要性、我が国とその国の関係、当該商標の登録を認めた場合にその国に及ぶ影響、当該商標登録を認めることについての我が国の公益、国際的に認められた一般原則や商慣習等を考慮して判断すべきである(知的財産高裁、平成17年(行ケ)第10349号、平成18年9月20日判決参照)。
イ 本件商標の商標法第4条第1項第7号該当性について
「Champagne」、「シャンパン」の語は、上記(2)のとおり、商品「シャンパーニュ産の発泡性ぶどう酒」を取り扱う事業者によって、当該商品を指称する語として、一般的に使用されているものである。
そうすると、「Champagne」、「シャンパン」の語は、それを構成中に含む商標を「シャンパーニュ産の発泡性ぶどう酒」に使用したとしても、公正な競業秩序を害するとはいえないというべきである。
そして、本件商標は、上記1のとおり、「yes no champagne」の欧文字と「イエスノーシャンパン」の片仮名を上下2段に横書きしてなるから、その構成中に「Champagne」及び「シャンパン」の文字を含むものであるが、本件商標の指定商品が「「シャンパーニュ」という原産地名称によって保護されているぶどう酒」であることから、「シャンパーニュ産の発泡性ぶどう酒」に使用をするものである。
また、本件商標の構成中の「yes no」及び「イエスノー」の文字部分は、英語における肯定及び否定する際に使用される語の組み合わせであり、その文字自体が非道徳的、卑わい、差別的、きょう激若しくは他人に不快な印象を与えるようなものではない。
してみると、本件商標は、それを構成する文字が公の秩序及び善良の風俗を害するおそれがあるとはいえないものであり、本件商標の権利者がその指定商品に使用したとしても、社会公共の利益に反し、社会の一般的道徳観念に反する場合や国際信義に反する場合に当たるものとはいえないものであり、さらに、その登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ない事情を見いだすことはできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当するとはいえない。
ウ 申立人の主張
申立人は、申立人らの努力により、「CHAMPAGNE(シャンパン)」は、現在まで長期にわたって著名性を保ち続け、高い名声、信用、評判を獲得してきたのであって、該名称は、フランス国による原産地統制名称法に基づき指定されたぶどう酒として厳格にその使用を規制されているものであるから、そのような表示を構成中に含む本件商標を、原産地とかけ離れた特定人が自己の商標として登録し使用することは、公序良俗を害するものであるというべきであり、また、フランス国民の感情を害するおそれがある旨主張する。
しかしながら、上記(1)のとおり、「CHAMPAGNE(シャンパン)」の語は、本件商標の登録査定時以前から、我が国において著名な表示であり、当該語及びその商品(シャンパン)は、フランス国及びフランス国民の文化的所産にまでなっているといえるとしても、上記(2)ウのとおり、「CHAMPAGNE(シャンパン)」の語は、我が国において「シャンパーニュ産の発泡性ぶどう酒」を取り扱う事業者によって、当該商品を指称する語として、一般的に使用されているものであることから、「Champagne」及び「シャンパン」の文字を含む本件商標を、その指定商品「「シャンパーニュ」という原産地名称によって保護されているぶどう酒」すなわち「シャンパーニュ産の発泡性ぶどう酒」について、本件商標権者が自己の商標として採択、使用したとしても、我が国とフランス国の間の良好な関係に影響を及ぼすとはいえず、フランス国民の感情を害するともいえないというべきである。
(4)まとめ
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当するとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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