商標異議申立
2024-900229
アーマーイン、アルモールイン
- 審判番号
- 2024-900229
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 商願2023-143646
- 登録番号
- 6839569
- 請求日
- 2024年11月08日
- 審決日
- 2025年07月02日
- 公報発行日
- 2025年08月29日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】エーエムエイチ エルオー インコーポレイテッド
- 【権利者代理人】弁理士法人大島特許事務所
- 【異議申立人】アンダー・アーマー・インコーポレイテッド
- 【異議申立人代理人】弁理士法人深見特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 大橋 良成
- 審判官 馬場 秀敏
- 審判官 板谷 玲子
- 分類
- T1651.261-Y (W2528) / T1651.262-Y (W2528) / T1651.263-Y (W2528) / T1651.271-Y (W2528)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項11号商標法4条1項15号商標法43条の2商標法43条の3第4項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第11号、商標法第4条第1項第15号
- データ出所
- 審決公報(XML)
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登録第6839569号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。
結論
結 論
登録第6839569号商標の商標登録を維持する。
理由
理 由
1 本件商標
本件登録第6839569号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、令和5年12月26日に商標登録出願、第25類「被服,ガーター,靴下留め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴,ゴルフ靴,帽子,手袋,靴下,マフラー」及び第28類「おもちゃ,人形,遊戯用器具,ビリヤード用具,運動用具,ゴルフ用具,ゴルフクラブ,ゴルフバッグ,ゴルフバッグ用タグ,ゴルフ用ディボット修復具,ゴルフ用手袋,ゴルフボール,ゴルフ用ボールマーカー,ゴルフ用ティー」を指定商品として、同6年8月2日に登録査定、同月30日に設定登録されたものである。
2 登録異議申立人が引用する商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標は次のとおりであり(以下、これらをまとめて「引用商標」という。)、いずれの商標権も有効に存続しているものである。
(1)登録第4618194号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成 UNDER ARMOUR(標準文字)
指定商品 第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」
登録出願日 平成14年2月27日
設定登録日 平成14年11月1日
(2)登録第5119210号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成 UNDER ARMOUR
指定商品 第25類「ラクロス用パッド入りリストバンド」及び第28類「すね当て,あご当て,ひざ当て,ひじ当て,マウスピース,運動用股間プロテクター,ゴールキーパー用グローブ,その他の運動用具」
登録出願日 平成18年9月20日
設定登録日 平成20年3月14日
(3)登録第5850267号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の構成 UNDER ARMOUR
指定商品 第9類及び第25類に属する商標登録原簿に記載の商品
登録出願日 平成26年5月12日
優先権主張日 2013年(平成25年)11月12日(アメリカ合衆国)
設定登録日 平成28年5月13日
(4)登録第5742724号商標(以下「引用商標4」という。)
商標の構成 アンダーアーマー(標準文字)
指定商品・役務 第18類、第25類、第28類及び第35類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務
登録出願日 平成25年10月4日
設定登録日 平成27年2月20日
3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により、取り消されるべきである旨申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第9号証を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号について
ア 商標の類否について
(ア)外観上の類否
本件商標は、装飾が施された「ARMOUR」の英文字、赤紫色の円柱の図形、及び「N」の英文字を組み合わせてなる商標である。円柱の図形によって本件商標は「ARMOUR」と「N」に分断されやすく、本件商標からは「ARMOUR」のみが独立して認識され得る。
一方、引用商標1ないし引用商標3は、「UNDER」と「ARMOUR」の2つの単語から構成される。「UNDER」の単語は「~の下に」ほどの意味を有する前置詞であり、前置詞は比較的省略されやすいため、引用商標1ないし引用商標3に接する需要者は「UNDER ARMOUR」を全体で一体として認識する他に、「ARMOUR」部分のみを主要部として認識し得る。
本件商標及び引用商標1ないし引用商標3の外観を比較すると、両商標ともに「ARMOUR」部分が独立して需要者に認識され得るため、本件商標と引用商標1ないし引用商標3とは外観上類似する。
引用商標4は片仮名の「アンダーアーマー」で構成されるため、本件商標と引用商標4の外観は異なる。
(イ)観念上の類否
本件商標中「ARMOUR」の部分は、「よろい、甲冑」ほどの意味を有する平易な英単語である。円柱の図形からは「円柱」の観念が生じ、「N」は英文字一文字のみであるため何らの観念も生じない。「ARMOUR」と円柱の図形は不可分的に結合しているとはいえないため、本件商標からは「よろい、甲冑」の観念、又は「円柱」の観念が生じ得る。
一方、引用商標1ないし引用商標3について、「UNDER」の部分は「~の下に」ほどの意味を有するため、各引用商標全体からは「よろいの下に」ほどの観念が生じる。また、前置詞である「UNDER」は識別力が比較的弱く省略されやすいため、各引用商標からは「よろい、甲冑」のみの観念も生じ得る。
引用商標4についても、「アンダーアーマー」の片仮名からは「UNDER ARMOUR」の英文字が容易に想起されるため、引用商標1ないし引用商標3と同様に「よろいの下に」ほどの観念の他に「よろい、甲冑」のみの観念も生じ得る。
本件商標と引用商標の観念を比較すると、両商標ともに「よろい、甲冑」の観念が生じ得るため、本件商標と引用商標とは観念上類似する。
(ウ)称呼上の類否
本件商標からは、その構成に応じて「アーマーエヌ」又は「アーマー」の称呼が生じる。一方、引用商標からは、その構成に応じて「アンダーアーマー」の称呼が生じる。上記(ア)及び(イ)で述べたとおり、引用商標中「アンダー」の部分は省略されやすいため、引用商標からは「アーマー」の称呼も生じ得る。
本件商標及び引用商標からは、いずれも「アーマー」の称呼が生じ得るため、本件商標と引用商標とは称呼上も類似する。
(エ)商標の類否判断は、各商標が外観、観念、称呼等によって需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すべきところ、本件商標と引用商標1ないし引用商標3とは外観・観念・称呼のいずれにおいても類似し、本件商標と引用商標4とは外観は異なるものの観念及び称呼において類似するため、外観・称呼・観念を総合的に考慮して判断すると、本件商標と引用商標とは、互いに相紛らわしい類似商標であるというのが相当である。
イ 指定商品(役務)の類否について
特許庁編「類似商品・役務審査基準」によると、同じ類似群コードが付された商品・役務については、審査において類似すると推定される。
本件商標の第25類における指定商品は全て、引用商標1の第25類、引用商標2の第25類及び第28類、引用商標3の第25類並びに引用商標4の第18類、第25類、第28類及び第35類のいずれかの指定商品又は指定役務と同じ類似群コードが付されている。
本件商標の第28類における指定商品は全て、引用商標1の第25類、引用商標2の第25類及び第28類並びに引用商標4の第25類、第28類及び第35類のいずれかの指定商品及び指定役務と同じ類似群コードが付されている。
よって、本件商標の指定商品は全て引用商標のいずれかの指定商品又は指定役務と類似すると判断されるべきである。
ウ 小括
このように、本件商標は引用商標と類似し、かつ、本件商標の指定商品は全て引用商標のいずれかの指定商品又は指定役務と類似するものである。そうすると、本件商標は商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
(2)商標法第4条第1項第15号について
ア 「UNDER ARMOUR」の周知性について
申立人は、アメリカ合衆国メリーランド州ボルチモアに本社を置くスポーツ用品メーカーである。1996年に設立され、約30年の歴史があり、「Under Armour(アンダーアーマー)」ブランド(以下「アンダーアーマーブランド」という。)の下でコンプレッションウェアの製造・販売を行っている。この「Under Armour(アンダーアーマー)」のブランド名は、「セカンドスキン(第二の皮膚)」のように身体に密着するという特徴的なウェアを、ユニフォームの下(Under)に着用する「アスリートが戦うためのよろい(Armour)」としたことに由来する。申立人の製品は、アスリートの間で高い評価を得ており、現在では全米でも屈指の総合スポーツ用品ブランドである(甲6)。
申立人は、米国のみならず日本国内においても数多くの直営店を有し、アンダーアーマーブランドの商品を販売している(甲7)。申立人は、日本において数多くのアスリートやスポーツチームと契約しており(甲8)、また、あらゆるスポーツチームのユニフォームサプライヤーでもある(甲6)。日本国内のスポーツ業界において申立人はもはや欠かせない存在であるといっても過言ではない。
さらに、アンダーアーマーブランドは、プロのアスリートやスポーツチームのみならず、日本の一般的な需要者からも高い人気を得ており、国内のスポーツブランドランキングにおいて、アディダス、ナイキ、アシックスに次いで第4位を獲得している(甲9)。
このような事実を考慮すると、引用商標は、少なくとも本件商標の出願日及び査定日の時点において、申立人の商品を表示する商標として日本国内及び外国において需要者の間に広く認識されており、周知性を獲得していることは明らかである。
イ 出所の混同のおそれ
申立人の商標「Under Armour」及び「アンダーアーマー」は上述のとおり「アスリートが戦うためのよろい(Armour)」に由来するものであり、「Armour」の部分はアンダーアーマーブランドにおいて重要な意味を持つ。
一方、本件商標は「ARMOUR」の単語が需要者の目を引くものであり、かつ「O」の文字に施されたデザインは米国国旗を連想させる。申立人が米国でも屈指の企業であることに鑑みれば、この米国国旗を連想させるデザインは申立人につながるものである。さらに、本件商標は「ARMOUR」と「N」の組合せである他に、「ARMOUR」と「IN」の組合せであるとも認識され得る。「IN」は「~の中に」ほどの意味を有する前置詞であるところ、「ARMOUR」の単語と前置詞の組合せは、引用商標と同じ構成であるといえ、本件商標は申立人の周知なブランド「UNDER ARMOUR」のセカンドブランドなど、何らかの関連するブランドであると需要者に認識される可能性が高いといえる。
つまり、本件商標は、その指定商品について使用されると引用商標と何らかの関連性を有するとの誤認混同を需要者にもたらすおそれがある。
そうすると、本件商標の登録が認められた場合には、周知に至っている引用商標が有する顧客吸引力や信用へのただ乗り、さらには、その希釈化を招くという結果を生じかねない。
ウ 小括
以上より、本件商標は周知に至っている申立人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがあり、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。
4 当審の判断
(1)本件商標と引用商標の類似性について
ア 本件商標について
本件商標は、別掲のとおりの構成からなるところ、一部について色彩が施され図案化されているものの、当該部分の外郭の形状と左右に連なる欧文字のつづりを合わせみると、「ARmOURin」の欧文字を図案化してなるものと看取される。そして、本件商標は、上下の高さをそろえて同じ大きさで等間隔に表されていることからすれば、構成全体が一体のものとして把握され、「アーマーイン」の一連の称呼を生じるものである。
また、当該構成文字は、一般的な辞書等に載録のないものであって、特定の意味を有しない造語と理解されるものであるから、特定の観念を生じないものである。
そうすると、本件商標は、「アーマーイン」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
イ 引用商標について
引用商標は、「UNDER ARMOUR」の欧文字(引用商標1~3)又は「アンダーアーマー」の片仮名(引用商標4)からなるところ、当該文字に相応して「アンダーアーマー」の一連の称呼を生じ、一般的な辞書等に載録のないものであって、特定の意味を有しない造語と理解されるものであるから、特定の観念を生じないものである。
この点につき、申立人は、前置詞である「UNDER」は識別力が比較的弱く省略されやすいとした上で、引用商標からは「ARMOUR」(「アーマー」)の部分から「よろい、甲冑」の観念及び「アーマー」の称呼も生じ得る旨を主張するが、前置詞は省略されやすいとの主張の根拠は明らかでなく、その他、引用商標から「ARMOUR」「アーマー」の文字部分のみが出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものとして分離抽出されるというべき事情は見いだせない。
そうすると、引用商標は、その構成文字全体が一体不可分のものであって、当該構成文字全体から生じる称呼のみを生じるというのが相当であるから、「アンダーアーマー」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
ウ 本件商標と引用商標との類否について
本件商標と引用商標とを比較すると、まず外観において、図案化の有無及び構成文字等に明らかな相違があることから、判然と区別し得るものである。
そして、称呼においては、本件商標から生じる「アーマーイン」の称呼と、引用商標から生じる「アンダーアーマー」の称呼とは、「アンダー」及び「イン」の音の有無という明らかな差異を有するから、明瞭に聴別し得るものである。
また、観念においては、本件商標と引用商標は、いずれも特定の観念は生じないものであるから比較することはできない。
したがって、本件商標と引用商標とは、観念において比較できないとしても、外観においては判然と区別し得るものであり、称呼においても明瞭に聴別し得るものであるから、これらが需要者に与える印象、記憶、連想等を総合してみれば、両者は、相紛れるおそれのない非類似の商標というのが相当である。
(2)商標法第4条第1項第11号該当性について
上記(1)のとおり、本件商標と引用商標は、非類似の商標である。
したがって、本件商標の指定商品が引用商標の指定商品及び指定役務と同一又は類似するものであるとしても、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第15号該当性について
申立人の提出に係る証拠によれば、申立人は、アメリカ合衆国メリーランド州に本社を置く1996年設立のスポーツ用品メーカーであり、設立から10年余りで全米でも指折りの総合スポーツ用品ブランドに成長したと評する記事があること(甲6)、複数のスポーツチームのユニフォームサプライヤーであること(甲6)、我が国において全国各地に直営店を有すること(甲7)及び「みんなのランキング」と称するウェブサイトのスポーツブランドランキング(最終更新日は本件商標の登録査定後)において4位に位置していること(甲9)が認められる。
しかしながら、上記ランキングについてはその調査方法等が明らかでなく、その他、引用商標を使用した商品の我が国における売上高、販売数量についての販売実績及び宣伝広告の回数や費用等の広告実績など、その周知性を数量的に判断し得る客観的、かつ、具体的な証拠の提出はないから、提出された証拠によっては、引用商標の周知性を推し量るに足りないものであり、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていたということができない。
また、仮に、引用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、需要者の間に広く認識されているとしても、上記(1)のとおり、本件商標と引用商標は、相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものであるから、その類似性の程度は低いものである。
そうすると、本件商標は、本件商標権者がこれをその指定商品について使用をしても、これに接する需要者が、引用商標を連想、想起することはなく、その商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように誤認し、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
その他、本件商標について、出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情も見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(4)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも違反してされたものではなく、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
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